新作映画 試写室日記(2012年2月8日更新)

ほぼ毎日更新 掲示版

クラシック・シネクラブ 第26回福岡アジア映画祭2012・7月6日〜7月15日 プレイベント5月  日

 このホームページでは、毎日のように試写室でこれから公開される新作映画を見ている筆者たちによる批評を掲載していきます。時には辛口の、時には思いやりのコメントをお楽しみ下さい。                                     執筆:前田秀一郎(映画評論家)、今村ミヨ(シネマ・コメンテーター)

ご意見・ご感想・ご質問などは、掲示板へどうぞ。(掲示板の部分をクリックして下さい)

2月7日(火)アメリカ映画「スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜」The Ides of March

 “スーパー・チューズデー”と呼ばれるオハイオ州予備選は、その後の大統領選の行方を決める天下分け目の重要な選挙だ。そんな大事な日を1週間後に控えた民主党の有力候補マイク・モリスのキャンペーン本部。広報官スティーブン・マイヤーズは、ライバル陣営の選挙参謀ダフィからの電話を受け、極秘に会いに行ってしまう。その行動が、その後の彼の人生を大きく変えていくことになる。アメリカは、今、予備選の真只中だ。そんな時に、こんなスキャンダラスな題材の映画を作れるというのも、アメリカだ。一人でも主役を張れるような豪華キャストが揃ったのは、ジョージ・クルーニー監督の人気によるものだ。(スコープ・101分・12年3月31日)

2月7日(火)スペイン映画「フラメンコ・フラメンコ」Flamenco, Flamenco

 スペインの巨匠カルロス・サウラが1995年の「フラメンコ」に続いて作ったフラメンコ映画。“緑よ、私が愛する緑”に始まる21幕から構成されたフラメンコのオンパレードは、音楽を巡る生命の旅を表現していく。フラメンコのパロ(曲種)がこんなにも多く、魅力に満ちたものだったのか、ということを初めて、認識させられた。そして、鬼才ヴィットリオ・ストラーロのキャメラが、贅沢に舞台を駆け巡り、一級の“映画”に仕上げている。(ヴィスタ・101分・13年3月17日)

2月1日(水)今日で、九大伊都キャンパスでの今学期の授業終了。

2月1日(水)日本映画「生きているものはいないのか」

 かつて一緒に映画を作っていた石井聰亙監督が石井岳龍と名前を新たにして10年ぶりに監督した待望の新作。大学病院の病室を抜け出す女性、都市伝説研究サークルのメンバーたち、妹を探してさまよう男、大事故を目撃して気分が悪くなってしまった男たち、…。大学キャンパスの中で、それぞれの“最後の瞬間”が展開されていく。まるでアドリブのようなリアルな若者たちの軽い会話の洪水。それは、普通の日常なのだが、そんな日常の中に、突然、不条理な“死”はやってくる。これまでの石井作品とは、かなり異なるタイプの会話劇だが、それが今の石井作品なのだろう。2月13日に福岡で監督トーク付きの有料試写会が行われる。すぐにチケットをゲットすべし! http://www.ikiteru.jp(ヴィスタ・113分・東京12年2月18日、福岡2月25日)

1月27日(金)アメリカ・スウェーデン・イギリス・ドイツ合作「ドラゴン・タトゥーの女」The Girl with the Dragon Tattoo

 祝アカデミー主演女優賞ノミネート!スウェーデン映画「ミレニアム」のハリウッド・リメイクだが、あえて舞台をアメリカに移すことなく、スウェーデンでロケをしているのは正解。ジャーナリスト、ミカエルの元に、大富豪ヴァンゲルからの奇妙な依頼が舞い込む。それは、40年前に殺されたであろう一族の娘の事件の真実と、その犯人を見つけるというものだった。水辺のコテージで当時の捜査資料をチェックし始めるミカエル。自分を調査した天才ハッカー、リスベットをアシスタントに抜擢し、思いもよらぬ謎に挑戦していく。スウェーデン版のじめじめした暗さはなく、メジャーなハリウッド大作になった。オートバイを巧みに疾走させるルーニー・マーラの新リスベットがなかなか魅力的だ。レッド・ツェッペリンの「移民の歌」を使ったオープニングタイトルがダークで迫力満点だ。(スコープ・158分・12年2月10日)

1月25日(水)イギリス映画「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」The Iron Lady

 祝アカデミー主演女優賞ノミネート!男性優位社会のイギリス議会の中で、女性として、男たちが言えないことを堂々と述べ、2008年には、ついに首相にまで登りつめたサッチャー。“強いイギリス”を作ることを目指し、“鉄の女”とよばれ、次々と保守的な強攻策を実行したサッチャー。そんな彼女のひとりの女であり、妻であり、母である姿にスポットを当てる。相当嫌われ者だった彼女だが、最近は、肯定的な意見も出てめているということか?!ブリティッシュ・イングリッシュを使いこなし、サッチャーそっくりのメリル・ストリープが見ものだ。(スコープ・105分・12年3月16日)

1月23日(月)旧正月。今日で、西南学院大学の今学期の授業終了。

1月13日(金)日本映画「ベルセルク 黄金時代篇I 覇王の卵」Berserk I The King's Egg

 中世ヨーロッパの甲冑時代を舞台にした壮大な《ベルセルク・サーガプロジェクト》の第1弾となる「黄金時代篇」の第一部。友も家族もいない孤独な傭兵ガッツは、戦場を渡り歩いていた。そんな彼に目をつけたのが、傭兵集団“鷹の団”を率いる青年グリフィスだった。グリフィスとの決闘に破れたガッツは、鷹の団の一員として、数々の激戦をくぐり抜けていく。そして、ミッドランド王国の正規軍に伸し上がった団は、“自分の国を手に入れる”というグリフィスの夢の実現に近づいていく。グリフィスとの強い絆を感じるガッツだったが、二人の運命は、大きく動き始めるのだった。80分という時間があっという間で、早く続きが見たい!第II部「ドルドレイ攻略」が6月、第III部「降臨」が冬の予定だ。(スコープ・80分・12年2月4日)

1月12日(木)アメリカ映画「ペントハウス」Tower Heist

 マンハッタンの一等地にそびえ立つ65階建ての超高級マンション“ザ・タワー”。そのサービスを一手にコントロールしているのが、管理マネージャーのジョシュだった。タワーの最上階であるペントハウスに優雅に暮らす大富豪アーサー・ショウは、最もVIPな居住者だった。ところが、彼が詐欺容疑でFBIに逮捕されてしまう。ジョシュは、彼にタワー従業員全員の年金を預けていたのだ。従業員たちのお金を取りかえすために、ジョシュは、仲間を集め、無謀な作戦を立てる。果たして、犯罪シロウトの彼らの作戦はうまくいくのか!?超高層マンションを舞台に、とんでもない犯罪アクションが繰り広げられる。ベン・スティラー、ケイシー・アフレック、マシュー・ブロデリックなど豪華キャストが集結したのは、エディ・マーフィがプロデューサーだからだ。(スコープ・104分・12年2月3日)

1月10日(火)日本映画「逆転裁判」

 資格を取ったばかりの新米弁護士・成歩堂龍一(なるほどうりゅういち)の上司・綾里千尋が何者かに殺害され、その場にいた妹の真宵(まよい)が犯人として逮捕される。彼女が無実だと確信した龍一は、弁護を引き受ける。しかし、相手は、冷酷な天才検事・御剣怜侍(みつるぎれいじ)だ。それからいよいよ、数多くの証人を巡っての激しい法廷バトルが繰り広げられていく。もともとカプコムのファミコンゲームの映画化ということで、ゲームのキャラ・イメージに沿ったアニメ的なヘヤースタイルなどが面白いが、ベタなギャグにはついていけないものもある。(スコープ・135分・12年2月11日)

1月10日(火)日本映画「日本列島 いきものたちの物語」

 北海道・知床半島に暮らすヒグマの兄弟、屋久島のニホンザルの親子、六甲山地に住むイノシシの子どもウリボウの兄弟、釧路湿原のキタキツネの親子、襟裳岬のゼニガタアザラシなど、日本列島に住む動物たちの姿を、多くの動物キャメラマンたちが2年半にわたって撮影してきた映像をまとめた日本初の本格自然ドキュメンタリー。動物の親子や家族をテーマにしていて、NHKらしい丁寧で分かりやすい作りに仕上がっている。(ヴィスタ・95分・12年2月4日)

2012年1月1日(日)あけましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い致します。

12月19日(月)アメリカ映画「J・エドガー」J. Edgar

 J・エドガーとは、50年近くもの間、権力を欲しいままに牛耳っていた伝説のFBI長官エドガー・フーバーのことだ。彼は、政府の要人に対して、さまざまな情報をキャッチしながら、影からの力を使っていた。そんなフーバーだから、自身の私生活は一切表に出さず、謎に包まれていた。そんなフーバーのことを知るのは、側近中の側近であるクライド・トルソン、そして、秘書のヘレン・ガンディしかいなかった。イーストウッド監督は、そんなフーバーの人間性にスポットを当てていく。だから、ディカプリオのフーバーは、かなり人間的に見える。本当はもっともっと悪事をしてきたはずだが、…。(スコープ・137分・12年1月28日)

12月16日(金)アメリカ映画「戦火の馬」War Horse

 第一次世界大戦前夜のイギリスの農村。貧しい農家に引き取られた一頭の馬は、ジョーイと名付けられ、その家の少年アルバートに育てられる。しかし、戦争が始まり、ジョーイは、イギリス軍に買い取られ、軍用馬として、戦場に狩り出されていく。それは、ジョーイの苛酷な旅の始まりであり、ジョーイは、数々の戦場を渡り歩きなあがら、戦時下の人々に希望を与えていく。イギリスの農村からフランスの前線、さらに、フランスの森、田園、谷と舞台を変えながら、ジョーイの数奇な運命が描き出されていく。その背景は、時に美しい農村や田園の場面もあるが、死に直面する悲惨な戦場も多い。アカデミー賞最有力候補の呼び声高いスピルバーグ版「風と共に去りぬ」だ。(スコープ・147分・12年3月2日)

12月16日(金)日本映画「わが母の記」Chronicle of My Mother

 2011年のプサン映画祭クロージング上映作品。ベストセラー小説家の伊上洪作はあ、幼い頃に親戚に預けられたことをずっと引きずりながら生きてきた。年老いて物忘れが激しくなってきた母・八重の面倒をみているのは、妹たちだった。しかし、母の誕生パーティーを開いたホテルで、父との思い出をほとんど忘れてしまっている姿に、洪作はショックを受ける。そして、それまでずっと距離をおいてきた母と向き合うことになる。「天平の甍」「敦煌」などで有名な井上靖の自伝的小説の映画化で、井上と母との長い間の軋轢が明らかになっていく。母親を演じる樹木希林のおとぼけぶりがリアルだ。(ヴィスタ・118分・12年4月28日)

12月15日(木)日本映画「荒川アンダー ザ ブリッジ The Movie」Arakawa Under the Bridge The Movie

 厳格な父親に厳しく育てられた大企業の御曹子である市ノ宮行は、その父親の命令で、荒川の開発の妨げとなる不法占拠者たちの撤去に向かう。ところが、奇妙な人たちにズボンを奪われて、川に落ちてしまう。自称“金星人”という少女ニノに助けられた行は、“借り”を返すために、河川敷に残る。すると、次々と不思議な人々が現れてくる。しかし、行は、次第に彼らの世界にはまっていく。中村光のカルト的な人気コミックの映画化で、その独特なギャグ・ワールドには微妙な笑いがつきまとう。そして、とにかく、キャストが豪華!村長役の小栗旬や星役の山田孝之など、信じられない出演陣にはビックリだ。(ヴィスタ・115分・12年2月4日)

12月14日(水)アメリカ映画「ニューイヤーズ・イブ」New Year's Eve

 タイムズスクエアで行われる年越しカウントダウンのイベント“ボール・ドロップ”を仕切るクレアは、無事進行することで頭がいっぱい。セレブ・パーティーのケータリングを任されたローラは、元カレのジェンセンと再会するが、彼のことが許せない。自宅と会社を往復するだけの人生やイヤになったイングリッドは、会社を辞め、“今年の目標リスト”を実行するために動き出す。友人の結婚式に出席していたサムは、去年の大晦日にした“ある約束”のためにニューヨークを目指す。それぞれに悩みを抱えた8組の人々が大晦日のニューヨークで、希望を取り戻していく。昨年大ヒットになった「バレンタインデー」に続いて、ゲイリー・マーシャル監督が贈るオールスター絵巻。主役クラスのスター俳優たちを巧みに組み合わせたシナリオ構成がプロの仕事だ。ジョン・ボン・ジョヴィの演技も合格点。(ヴィスタ・118分・11年12月23日)

12月5日(月)日本映画「ALWAYS 三丁目の夕日'64」ALWAYS 3

 シリーズ第3作は、3Dで、昭和の東京が再現される。東京オリンピックの開催を控え、熱気に満ちあふれていた昭和39年。茶川は、ヒロミと結婚し、出産も間近だ。鈴木オートには、新しい従業員のケンジも加わり、六ちゃんに鍛えられている。そんな六ちゃんに、思いを寄せる人が出来、毎朝、着飾って、出かけていく。茶川の家に待望のTVが来れば、鈴木オートには、大型のカラーTVが到着する。お馴染みの三丁目の人々は、以前より生き生きとして、日本が急成長をしていた頃が懐かしく思い出される。日本は元気いっぱいだったのだ。3D技術も相当進歩してきていて、東京タワーの俯瞰ショットは、よく飛び出ている。(3D・スコープ・142分・12年1月21日)

11月29日(火)ドイツ・フランス・イギリス合作「ピナ」Pina

 天才舞踏家ピナ・バウシュの舞踏は、それまでのダンスの概念を大きく変えた。それは、単なる踊りではなく、身体全身で、歓びや悲しみ、怒りなどを表現する新しい芸術だ。残念ながら、ピナは、2009年6月に急逝してしまったが、彼女が作り出した舞踏の世界は、ダンサーたちによって受け継がれている。そんなピナ独特のエネルギッシュな舞踏が、立体的な3Dで甦る。ダンサーたちは、舞台だけでなく、ヴッパタールの町に飛び出していく。ピナに関する人間ドキュメンタリーというだけでなく、ちゃんと映画として成立させているところは、ヴィム・ヴェンダース監督の力だ。(3D・ヴィスタ・104分・12年2月25日)

11月22日(火)アメリカ・イギリス合作「宇宙人ポール」Paul

 「タンタンの冒険」にも出ていたサイモン・ペッグとニック・フロストの“迷コンビ”主演の爆笑SFコメディ。“コミコン”に参加するために、念願のアメリカにやってきたイギリス人のグレアムとクライブ。イベント終了後は、キャンピングカーを借りて、西部にUFOスポットを巡る旅に。ところが、途中、宇宙人と遭遇。それから、“ポール”と名乗る陽気な宇宙人との奇妙なドライブが始まる。突拍子もない発想のコメディだが、いかにもSFオタクらしい、SF映画への温かいオマージュがいたるところに散りばめられていて、映画好きには堪らないシーンが満載だ。さらに、大物スターのゲストも楽しい限りだ!(スコープ・104分・11年12月23日)

11月18日(金)日本映画「friends もののけ島のナキ」friends

 東宝試写室デジタル改装後、初めての3D試写。病気の母のためのキノコを捕ろうと、まんなか岩をくぐり、禁じられたもののけ島にやってきた竹市とコタケ。島には、怪物のような形相のもののけたちがいて、一目散に逃げる竹市。とこが、コタケが島に残ってしまう。200年前の人間たちとの戦以来、人間たちに怯えながら島でひっそりと暮らしていたもののけの長老は、人間の襲来を恐れ、コタケを人質にとることに決める。コタケの世話をするよう命じられた人間嫌いのナキとグンジョウは、なんとかコタケを帰そうとするが、すぐ戻ってきてしまう。そんな無邪気なコタケの姿に、頑固者のナキの中に優しい気持ちが芽生え始めてくる。「泣いた赤鬼」をベースに作られたストーリーだが、現代にも通じる不変の愛、友情がテーマになっていて、素直に泣かせてくれる。3D効果もなかなかの出来だ。(3D・ヴィスタ・88分・11年12月17日)

11月14日(月)日本映画「ロボジー」Robo-G

 木村電器の落ちこぼれ社員3人が、社長命令で取り組んでいたのは、二足歩行ロボットの開発。だが、ロボット博まで1週間に迫った時、ロボット“ニュー潮風”は粉々に壊れてしまう。窮地に追い込まれた3人が考えたのは、ロボットの中に人間を入れてゴマかすこと。そして、偽の着ぐるみオーディションで選ばれたのは、73歳のおじいさん。そのおじいさんが、とんでもないジジイで、…。“ロボットの中に人が入っていたら、…”という発想が矢口監督らしく、ユニークで、抱腹絶倒のコメディが出来上がった。ロボットに入ることになる五十嵐信次郎とは、ミッキー・カーチスの新しい芸名。かなり、イメージチェンジして、頑固ジジイを好演。ほとんど北九州でロケされていて、門司港駅など知っている風景も楽しい。(ヴィスタ・115分・12年1月14日)

11月10日(木)アメリカ映画「永遠の僕たち」Restless

 イーノック青年は、葬儀場に行き、知らない人の葬儀に、遺族のふりをして参列する“葬式ゲーム”が趣味だ。彼は、交通事故で両親を失い、生きることからドロップアウトしていた。そして、自分だけにしか見えない幽霊のヒロシだけが友人だった。ある日、葬儀場の係員から咎められようとする彼を、以前、葬式で会った少女アナベルが救ってくれる。明るく人生を謳歌するアナベルに惹かれ、彼女に心を開いていくイーノック。だが、彼女は、“子どものがん治療のボランティア”ではなく、がん闘病中だった。しかし、彼女との日々は、イーノックの考えを大きく変えていく。ガス・ヴァン・サント監督の新作は、“死”ということと、“生きる”ということを、若々しく新鮮なキャストで考えさせてくれる。深刻なテーマだが、青年版「勝手にしやがれ」とも言える爽やかな青春ラブストーリーで、ミア・ワシコウスカは、ジーン・セバーグの再来だ。特攻隊員ヒロシを演じる加瀬亮の英語がナチュラルだと驚いていたら、7歳までワシントン州で育ったそうだ。(ヴィスタ・90分・11年12月23日)

11月7日(月)アメリカ・ニュージーランド合作「タンタンの冒険/ユニコーン号の冒険」The Adventure of Tintin

 ある日、露店で、ユニコーン号という船の模型を手に入れたタンタンは、怪しい男たち2人から高値で譲ってほしいと持ちかけられるが断る。図書館で調べると、それは伝説の軍艦だった。ユニコーン号の謎解きに乗り出したタンタンは、凶悪な敵サッカリンによって、カラブジャン号の船室に閉じ込められてしまう。果たして、タンタンは、敵の攻撃をかわし、謎の財宝を探すことができるのか!?パフォーマンス・キャプチャーによって実際の俳優たちの演技がデジタルアニメに変化し、かなりリアルな映像を作り出すのに成功している。もちろん、アニメにしか出来ないアクションシーンも満載で、そのスピードはついていくのが大変だ。また、アニメなので3D効果もバッチリ。タンタンの世界は、夢と冒険がいっぱいで、子どもから大人まで楽しめる話なので、大ヒットは間違いなし!第2作目をピーター・ジャクソンがどう撮るのか、今から楽しみだ。(3D・スコープ・107分・11年12月1日)

11月4日(金)ノルウェー・ドイツ・スウェーデン合作「クリスマスのその夜に」Hjem til Jul

 イブを迎えたノルウェーの小さな町。一年に一度、クリスマスの夜だけは、大切な家族と過ごしたい。そんな思いで、それぞれは、愛する人を求めて、家路を急ぐ。そんなささやかなクリスマスの物語。妻に家から追い出され、子どもたちとも7週間も会っていないというパウルは、子どもたちにプレゼントを渡したいと、サンタの格好で、我が家に忍び込む。その友人の医師クヌートは、故郷を追われ、スウェーデンに亡命するというカップルの赤ちゃんを取り上げる。トマス少年は、クリスマスのお祝いをしないイスラム教徒の女の子との時間を楽しんでいる。そんな一つ一つのエピソードが、それぞれの大切な夜を迎えようとしていた。「ホルテンさんのはじめての冒険」「キッチン・ストーリー」などの話題作で、私たちに温かくて、ちょっぴり切ないハートウォーミング・ストーリーを見せてくれた、ノルウェーを代表するベント・ハーメル監督の最新作。恋に破れた人たちにも、これから恋に落ちるという人たちにも、決して大きいものではないが、確かな希望を与えてくれる北欧からのとっておきのクリスマス・プレゼントだ。(スコープ・85分・東京11年12月3日、福岡12月10日)

10月30日(月)日本映画「源氏物語 千年の謎」Tale of Genji

 平安時代、紫式部は、藤原道長の命令により、「源氏物語」を書き始める。それは、道長の娘・彰子に、帝の心を向けさせるための手段だった。主人公・光源氏は、義理の母・藤壺への思いを断ち切ることが出来ず、その苦しさゆえ、正妻・葵の上、六条御息所、夕顔などの女性たちの間で、愛を求めて彷徨う。そんな主人公の姿は、たちまち、宮中の女性たちの憧れの的となり、帝の心を掴むことに成功し、彰子には男の子が生まれる。道長の企みは成就し、式部も役目を終えるはずだった。しかし、なぜか式部は、「源氏物語」を書き続けるのだった。現実の世界と物語の世界が同時進行するというユニークな構成で展開される「源氏物語」製作秘話。豪華なキャストと絢爛豪華な衣装が見物だ。(スコープ・136分・11年12月10日)

10月28日(金)アメリカ映画「マネーボール」Moneyball

 ブラピが、伝説のGM(ゼネラル・マネージャー)の生きざまをストレートに熱演する実話ドラマ。選手時代にはパッとしなかったビリー・ビーンは、フロントに転身し、オークランド・アスレチックスのGMになった。だが、いいところまでいくチームに最後の勝ちが出ず、スター選手たちは、次々と移籍していく。貧乏球団なので、年俸の高い有名選手をスカウトすることはできない。イェール大学経済学部卒という変わり者のピーターと出会ったビリーは、彼が主張するデータ重視の理論の中に、今の状況を改造できる可能性を感じ、実行し始める。だが、そのやり方は、周囲の反対を買って、スムースには進んでいかない。選手たちの一生は、スカストに大きく左右される。そのことをビリーは、痛い程分っていた。しかし、ビリーは、選手たちを取り合う取引を巧みに操りながら、欲しい選手を獲得していく。メジャーリーグの契約のやり方は日本とはかなり異なるようだが、そんな駆け引きの末、チームは奇跡の連勝を続けていく。夢を追い続ける人たちもいる、ということだ。(スコープ・133分・11年11月11日)

10月27日(木)日本映画「映画 怪物くん」Kaibutsukun the Movie

 デジタル映写機に改装された東宝試写室での初めての試写。怪物ランドの新しい大王になる就任式を迎えた怪物くんだったが、そのあまりのワガママぶりに国民は大反対。怒った怪物くんは、ドラゴンに乗って人間界へ。ドラキュラ、オオカミ男、フランケンも怪物くんを追う。ところが、竜巻に巻き込れた一行が辿り着いたのは、“カレーの王国”。彼らのことを“伝説の勇者”ともてはやす権力者ヴィシャールは、反乱軍に捕らえられた王国の姫を助けてほしいと、怪物くんに頼む。反乱軍のアジトに乗り込んで姫を救出する怪物くんたち。だが、事態は、思わぬ方向に転がり出していく。ほぼTV版と同じキャスティングだが、製作費が高いだけに、インドロケなども行って、スケールは大きくなっている。デジタル上映だけに、画面がクリア過ぎて、ちょっと違和感もある。(ヴィスタ・103分・11年11月26日)

10月26日(水)日本映画「ワイルド7」Wild 7

 バイクの轟音と共に、銀行強盗犯の前に現れた7人の男たち。彼らこそ、凶悪犯を退治する権限を与えられた超法規的警察組織“ワイルド7”だ。製薬会社から極秘で研究されていたウイルスが盗み出され、犯人グループからのバイテロ予告が伝えられる。その手口から「広域指定犯罪グループM108号」のメンバーであることに間違いない。彼らの予告を未然に防ぐために、動き出すメンバー。ところが、その前に、謎のライダーが再び、現れる。ライダーの正体は誰なのか?そして、目的は?望月美起也の原作コミックは、大好きだったので期待大。メンバーが元犯罪者ということで、悪人たちをクールに撃ち殺していくのが、最近の日本映画には珍しい過激な描写だ。北九州や大分でロケされていて、知っている風景も結構ある。PSUの正面玄関は、福岡市博物館だ。(スコープ・109分・11年12月21日)

10月24日(月)日本映画「アントキノイノチ」Life Back Then

 遺族に代わって亡くなった人の部屋を片付けるという遺品整理業の会社で働くことになった永島杏平。彼は、高校時代の辛い出来事で、心を閉ざしていた。そんな永島クンを、先輩として指導するゆき。しかし、ゆきにも隠しておきたい過去の事件があった。そして、そのことで彼女は、自分のイノチについて考え、悩んでいた。お互いに悩みを打ち明け合い、理解しようとする2人だったが、…。イノチについて悩む2人は、他人の死に直面することで、イノチについて深く考えさせられることになる。“生きるということ”とは、どういうことなのか!?それは、時には残酷な運命にもつながる。それでも、生きている人たちに声をかけたい。“元気ですか?”と。(ヴィスタ・131分・11年11月19日)

10月17日(月)日本映画「ヒミズ」Himizu

 震災から逃れてきた人たちを実家の貸しボート屋の敷地に住まわせている住田祐一。彼は、学校でもなるべく目立たない存在であるように振る舞っている高校生だが、心の奥には何かを突き詰めようとしていた。そんな住田のことが大好きな同級生・茶沢は、彼に猛アタックをかける。しかし、母親は、男と駆け落ちして、家を出ていってしまう。たった1人残された住田のもとへ、借金を作って蒸発していた父親が帰ってくる。“普通に生きたい”と思っていた高校生が、“普通に生きられない”と悟った時、住田は何を思い、どう行動するのか!?子どもは親を選ぶことはできない!悲惨な両親のもとに生まれたティーンエイジャーたちの生きざまが哀しい。震災後に、追加撮影されたという東北のがれきが痛々しい。(ヴィスタ・129分・12年1月14日)

10月14日(金)日本映画「RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ」RAILWAYS

 滝島徹は、鉄道の運転士を35年間無事故無違反で過ごしてきたが、定年まで1ヶ月となり、夫婦は第2の人生を始めようとしていた。ところが、妻・佐和子は、出産を機に辞めた看護師の仕事を再び始めたいと言い出し、徹と口論になり、家を出ていってしまう。徹は、定年後の人生を妻のために、と思っていた。しかし、妻は、“自分の人生”を生きたいと思っていた。鉄道ファンに大ウケして大ヒットになった「RAILWAYS」シリーズの第2弾は、富山地方鉄道を舞台に、熟年夫婦の第2の人生を考えさせてくれる感動作。来年還暦を迎えるという三浦友和が、頑固で堅物な夫を好演している。(スコープ・123分・11年12月3日)

10月14日(金)日本映画「ハラがこれなんで」Mitsuko Delivers

 妊娠9ヶ月の大きなお腹を抱えた光子は、文無しになって、子どもの頃に住んでいた長家に帰ってくる。そこは、時代に取り残されたような昭和の古い建物で、住んでいるのは、光子の幼馴染みの陽一と叔父の次郎、そして、早く死にたいという大家のおばちゃんだけだった。その長家に住みついた光子は、自分のことは棚に上げ、困っている人たちの人助けに乗り出す。“OK。大丈夫、私が何とかする!”これが、「粋な生き方」なんだ!仲里依紗が、ノー天気な妊婦ヒーローをノリノリで演じて、抱腹絶倒のストーリーが展開される。(ヴィスタ・109分・11年11月5日)

10月13日(木)アメリカ映画「コンテイジョン」Contagion

 香港への出張からアメリカに帰ってきたベスは、咳と発熱が止まらずに、2日後にERで息を引き取る。そして時を同じくして、香港のウエイター、ロンドンのモデル、東京のビジネスマンが死亡する。果たして、原因は何なのか!?ベスの解剖された脳を見た医師は、驚愕して、世界中に伝染病の告知をする。だが、その威力は凄まじく、瞬く間に、死者の数は倍増していく。そして、ワクチンの開発や投与の順番を巡って、さまざまな情報が飛び交う。まさに、“パンデミック”映画だが、出演者が凄い!マリオン・コティヤール、マット・デイモン、ケイト・ウィンスレット、グウィネス・パルトロウなどアカデミー賞受賞のスター俳優が次々と出てくる。こんな顔ぶれで、パニック映画を作れたのは、スティーブン・ソダーバーグという監督の凄さだ。(ヴィスタ・106分・11年11月12日)

10月13日(木)アメリカ映画「ラブ・アゲイン」Crazy, Stupid, Love

 レストランでのディナーの最中に、突然、妻のエミリーから離婚を言い出されたキャルは、それまでの“理想的な人生”を壊されてしまう。毎晩、バーでグチをこぼすキャルを見かねたプレイボーイのジェイコブは、“イケてない中年オヤジ”のキャルを“モテ男”に改造することになる。ブランドの服を着こなし、大人の女性とのつきあい方を指南されたキャルは、変身し、毎晩女性とベッドイン。しかし、彼の本当の願いは、妻エミリーに帰ってきてもらうこと。果たして、キャルの願いは、叶えられるのか!?ハリウッド人気コメディ・スター、スティーブ・カレル製作・主演のラブ・コメ。大人の恋のセリフがきわどてハラハラさせられる。(スコープ・118分・11年11月19日)

10月11日(火)第16回プサン映画祭から帰国しました。今年からメイン会場が、センタムシティに新しく完成した「映画の殿堂」Busan Cinema Center になり、連日かなりの大混雑でした。それでも、毎日朝から映画を見て、夜は遅くまで、世界各国の映画人との交流を深めました。

10月6日〜11日、第16回プサン映画祭にゲストとして出席します。

10月5日(水)今週から毎週、九州大学・伊都キャンパスでの「映画を通して見るアジアと日本」の講議がスタート。週に1回の伊都通いが始まる。

10月4日(火)アメリカ映画「リアル・スティール」Real Steel

 高性能なロボットが、リングで死闘を繰り広げている近未来。元ボクサーだったチャーリーは、ロボットのトレーナーをしながら、しのぎを稼いでいた。しかし田舎町の賭け試合に負け、借金を増やしてしまう。そんな文無しの彼の元に、10年前に別れた恋人の亡くなったという知らせ。裁判所に向かった彼は、“お金”のために、11歳の息子マックスを2ヶ月だけ、預かる羽目になってしまう。マックスは、ゴミ捨て場でみつけた旧式ロボット“ATOM”を戦闘ロボットにしようと改造を加える。そして、少しずつ勝ち進んでいく…。失われていた父親のボクサーとしてのプライドと息子との絆が甦っていくさまが感動的だ。あえて3Dではなく、2Dでの表現にこだわったのは、訴えたいテーマが、あくまでも人間ドラマだからだ。(スコープ・128分・11年12月9日)

10月4日(火)韓国映画「第7鉱区」Sector 7

 東シナ海に浮かぶ第7鉱区。ここは、1970年代に日韓の共同開発で、石油のボーリングが行われていたが、今は、中断した状態だ。そんな鉱区で、今だに石油を発掘するという夢を持って、採掘を続けているグループがあった。しかし、本部は、事業の中止を命令してくる。ところが、突然本部との交信が途絶え、隊員たちが次々と襲われていく。そしてついに、その犯人である巨大深海生物の姿が明らかになる!韓国初の3Dアクションということで、そのスケールの大きさは、よく分かるが、“怪物”が出過ぎで、ちょっと拍子抜け。もっとサスペンス部分を膨らませたほうが良かった。(ヴィスタ・101分・11年11月12日)

9月30日(金)日本映画「ステキな金縛り」Once in a Blue Moon

 負け続けてもうあとがないという三流弁護士エミのところに持ちかけられた事件は、資産家の妻殺しで捕まった男の弁護だった。彼には、アリバイがあった。事件のあった夜は、一晩中、旅館の一室で“金縛り”に遭っていたというのだ。しかし、それを証明できるのは、彼の上に乗っていた落ち武者の幽霊だけ。なんとエミは、その落ち武者に裁判の証人になってもらうことにする。果たして、幽霊が証言台に立てるのか!?前代未聞の法廷コメディが始まり!始まり!あまりにも豪華なキャストの中で、三谷幸喜お得意のワールドが展開されていく。(スコープ・143分・11年10月29日)

9月29日(木)日本映画「カイジ2〜人生奪回ゲーム〜」Kaiji 2

 命がけのゲームに勝利し、借金を帳消しにしたカイジだったが、1年も経たないうちに、またしても借金を作り、地下の強制労働施設にいた。そんな状況から何とか抜け出したい彼は、仲間たちから募った金を持って、2週間だけ地上に出ることを許される。そして、偶然手に入れた裏カジノの招待状で、再び、“ゲーム”に挑戦を始めるが、…。2009年にサプライズヒットとなった「カイジ」の続編だが、1作目で、映像化にマッチしたゲームを使ってしまったのか、登場するゲームに今一つ魅力がない。後半全部を“パチンコ”で押すのは、ちょっとキツかった。(スコープ・133分・11年11月5日)

9月28日(水)アメリカ映画「モンスター上司」Horrible Bosses

 昇進を目指して、日夜働いてきたニックだが、彼の意地の悪い上司は次々に難題を出し、なのにいつまで経っても昇進させてくれない。歯科助手のアールは、無類の男好きの女医からセクハラに毎日。そして、経理士のカートは、父親の後を継いて社長になったバカ息子に会社を潰されそうな勢いだ。そんなバカ上司たちに堪忍袋の緒が切れた3人は、それぞれの上司を“抹殺”することにする。ところが、その計画は、大きな穴があって、大変なことになっていく。こんな殺されてもいいような上司って、たくさんいる訳で、彼ら3人にも同情するが、そのやり方が稚拙で笑えるコメディ。でも、上司に扮しているのが、大物スターばかりでビックリだ。(スコープ・98分・11年10月29日)

9月27日(火)日本映画「指輪をはめたい」Looking for a True Fiancee

 スケートリンクで転倒した製薬会社の営業マン、片山のカバンの中から転がり落ちたのは、“婚約指輪”。だが、彼には、その指輪を誰に贈るのかという記憶だけがなくなっていた。そんな片山の前に、全くタイプの違う3人の女性たちが現れ、それぞれが彼女だという。果たして、本当の相手は誰なのか!?最近、出番の多い山田孝之久しぶりの主演で、3人の美女に追っかけられるうらやましい役。岩田ユキ監督こだわりのポップな映像世界の中で、片山の自分探しの旅が始まる。(ヴィスタ・108分・11年11月19日)

9月26日(月)今週から毎週、西南学院大学での「フランス映画論I」の講議がスタート。

9月22日(木)アメリカ映画「ラビット・ホール」Rabbit Hole

 兎とは直接関係のない内容なのですが、兎好きには気になる題名。これは「不思議の国のアリス」でアリスが落ちてしまう深い兎の穴になぞられて作られたヒューマンドラマです。
 不慮の事故で失ってしまった幼い子どもを思い偲び、次の人生へと歩み出せず、悩み戸惑う夫婦。夫は新しい子供を作れば、妻(ニコール・キッドマン)の悩みも晴れ夫婦仲も元に戻るのではと、単純に解決しようと考えます。しかし、そんな自分さえも、携帯動画の子供の映像を見るのが心の支えになっている決して強くない男性です。ところが、偶然にも妻は、加害者である未成年の少年に出会い、話すことで、ゆっくりと心に変化が起き…。
 一緒の写真、携帯に録画した映像、所有物、お気に入りの場所…存在したという確かな痕跡を排除しても、人の脳裏に残された思い出は、消え去るものではありません。むしろ、それを大事にしながら“いない時”を、ゆっくりでいいから自分なりに受け止めていく。そんな事を教えてくれる心にやさしい作品です。劇中、初老の母が娘に「…悲しみは消えないけれど変化する。重さが変わる。のしかかっていた重たい石が、ポケットに入る位の小石に変わっていくの…」という言葉にジーンときます。
 そして、人とペットとは全く違う次元だと思われる人もいると思いますが、失ってしまった家族同様の愛する生き物を思うあまり“ペットロス”になってしまう飼い主の心情ともかなり共鳴するところがあり、そんな辛い思いから抜け出せず、悩んでいる方にもお勧めの繊細な映画。(ヴィスタ・92分・11年11月5日)

9月15日(木)日本映画「サラリーマンNEO 劇場版(笑)」

 噂のテレビ番組の映画化だということだが、夜の遅めの時間帯なので私は一度も見たことはなかった。しかし、映画を見て初めてそのユニーク性に驚き、逆にテレビの方も見るまでになってしまった。というのもNHKでは異例と思える番組で、オムニバスのコント形式で構成され、かなりおふざけやシュールなシーンが多く、さすがに2004年から続いていると納得させられたからだ。内容はタイトルの通り、日本の会社でのよくあるエピソードや典型的な上司や同僚たちが、会社の中でどう働き、切磋琢磨していくかという、平成版“サラリーマンシリーズ”だ。
 万年業界5位から脱却し、今年こそは一位を目指すぞというワンマン社長命令によって、NEOビール会社の社員は、一丸となって新製品開発に悪戦苦闘しなければならなくなる。中でも営業一課の中西課長と新入社員の新城は、その責任で首も覚悟の事態に。ところが、ライバル会社も新製品の発売を目論んでいて、ネーミングをパクられて絶対絶命のピンチに!
 なんだか、既存の某会社がモデルになっているような現実的な物語に、思わず噴き出してしまう。出演者は、テレビとほぼ同じで、意外な性格俳優も投入しているので、不思議な相乗効果で、より一層笑える構成になっている。テレビ版と同様に生瀬勝久のどこかの会社にいそうな上司と、初めての出演となる小池徹平の新入社員の、ボケと突っ込みまがいの演技が楽しい。もちろん、テレビでブレイクした沢村一樹の“セクスィー部長”も健在だ。(ヴィスタ・108分・11年11月3日)

9月15日(木)日本映画「スマグラー お前の未来を運べ」Smuggler

 1999年、松田優作に憧れ、演劇の世界に入った25歳のフリーター、砧(きぬた)は、パチスロの借金を返済するために、秘密の運送屋(スマグラー)をやる羽目になってしまう。運ぶものは、ヤバイ“ブツ”。ヤクザたちの抗争に巻き込まれて、次第に絶体絶命の窮地に追い込まれていく砧。しかし、死を目前にして初めて、彼は、真剣に生きることを決意する。原作は、真鍋昌平のヴァイオレンス・コミック。そのリアルなヴァイオレンスの世界に、妻夫木聡が果敢に挑戦して、観客に“その強烈な痛み”を伝える。兄貴分ジョーを演じる永瀬正敏が儲け役。また、チャイニーズ・マフィアの伝説の殺し屋・背骨を演じる安藤政信の異様なキャラが立っている。(ヴィスタ・113分・11年10月22日)

9月9日(金)日本映画「モテキ」Moteki

 第一期モテキの終了から1年、派遣会社を卒業し、ニュースサイトのライターとして、再起を計ろうとしていた藤本幸世に、“セカンドモテキ”がやってくる!ツイッターで知り合い、趣味も合い、意気投合した雑誌の編集をやっているみゆきちゃん。みゆきちゃんの親友で、清楚系OLのるみ子。ガールズ・バーのハデかわアゲ嬢・愛。さらに、ドSな先輩・素子。そんな4人の美女からモテて、困惑する幸世。彼を本当に幸せにしてくれるのは、誰なのか!?テレビ版でもモテまくっていた森山未来が、またまたモテまくり悩みまくる。インド映画のような(突然)歌って踊ってのシーンが楽しい。(ヴィスタ・118分・11年9月23日)

9月9日(金)日本映画「DOG×POLICE」DOG×POLICE

 刑事になる日も近いと期待しながら、警備の仕事をこなしていた巡査・勇作は、爆破犯人を追い掛けるが、取り逃がしてしまう。そして、配属されたのが、警備部・第四係。そこは警備犬をトレーニングする部署だった。勇作は、そこで、「シロ」というバディを担当することなる。日夜、厳しい訓練を強いられる勇作とシロ。そして、警視庁から初めての出動要請が来るが、…。事件の捜査をする“警察犬”と違って、犯罪を未然に防ぐのが役目という“警備犬”の存在は、地味なもの。そんな警備犬と新米警察官の信頼関係が深くなっていき、事件が解決していく。広島のショッピングモールを実際に使った大爆破のシーンがすごい。(ヴィスタ・105分・11年10月1日)

9月8日(木)アメリカ映画「スパイキッズ4D/ワールドタイム・ミッション」Spy Kids: All the Time in the World in 4D

 シリーズ第4弾は、3Dに“におい”を加えた4D版。入口で渡された“4Dミッション・カード”を画面に出てくる番号に合わせて指で擦るとにおいがしてくるという仕掛けだが、なかなかにおいが判別できない。でも、DVDにする時も、においをつけるのかな!?今回のキッズは、レベッカとセシルの双子の姉弟。新しい母親マリッサからもらったネックレスの赤い石を奪われてしまうレベッカ。その赤い石こそ、“アルマゲドン計画”を阻止できる“クロノスサファイア”だった!奪われた石を取り返し、超時空崩壊を防ぐために、新スパイキッズが立ち上がる。新たな家族も加わって、スパイ一家のアドベンチャーが始まる!(3D・ヴィスタ・89分・11年9月17日)

9月7日(水)アメリカ映画「ファイナル・デッドブリッジ」Final Destination 5

 サムたちが乗った研修旅行に向かうバスが巨大吊り橋に差し掛かった時、大惨事が起きる。強風に煽られた橋が大きく揺れ、ひびが入り、ついには崩落し始めたのだ。次々に橋から落ちていく同僚たち。その瞬間、我に帰ったサム。惨事は、サムが見た“ヴィジョン”だった。彼は、バスを止め、同僚たちに逃げるよう伝える。しかし、助かった同僚たちは、謎の事故で次々と命を落としていく。果たして、サムたちは生き延びることができるのか!?「ファイナル・デスティネーション」シリーズの第5作は、橋の事故で死ぬはずだった人々の運命を描いたもので、これまで以上に悲惨な“死に方”が描かれていく。3D版もあるそうだが、2Dでも充分悲惨だ。(スコープ・98分・11年10月1日)

9月6日(火)アメリカ映画「ランゴ」Rango

 ジョニー・デップがカメレオンを演じる!?突拍子もない発想のアニメを考え出したのは「パイレーツ・オブ・カリビアン」の監督ゴア・ヴァービンスキー。しかも何度も目にした予告編では、エモーション・キャプチャーと監督が名付けた映像が流され、興味を引いていた。これはまず役者たちが実際の映画撮影にも近い状況で一緒に、キャラクラーを演じ、それを撮影。その映像を見てアニメーターが、キャラクターの細かい表情、仕草を足していくといった、かなり手間ひまかかった手法だ。まさに売れっこ監督の初アニメは、作り方から冒険かつ、企画外の作品だ。
 物語はペットでチャラ男タイプのカメレオンのランゴが、砂漠の町に辿りつき、成り行きで保安官になってしまう。そして、水を探す重大な任務を負わされて…。というまさに西部劇。カメレオンをはじめ、子ねずみ、ガラガラヘビ、フクロウなどど、次々とユニークでけったいなキャラクターたちが登場。かかる曲もミミヅクが奏でるマリアッチと、名作マカロニ・ウェスタンなどのパロディなどで笑い満載の中、水をめぐって、正義、冒険、腐敗、陰謀、愛といろんなメタファーが詰まった、かなりシビアでまじめな内容だ。さすがジョニー・デップ。イージーにカメレオン役なんてやらないのである。(スコープ・97分・11年10月22日)

9月6日(火)日本映画「とある飛行士への追憶」

 西の大陸と東の大陸が対立を続ける時代。孤立してしまったサン・マルティリアからレヴァーム皇国の皇子カルロ・レヴァームに嫁ぐために、飛行機に乗ったファナ。その水上偵察機を操縦して、単身彼女を本国に届ける任務を担ったのは、飛行士シャルルだった。彼は、レヴァーム人の父と天ツ上の母から生まれ、幼い頃からベスタド(混血児)と呼ばれ、いじめられていた。そんな彼にやさしく接し、励ましてくれたのが、ファナだった。孤独な飛行の中で、次第に心を通わせ始める2人。次々と襲い掛かる敵の大艦隊から逃れ、無事、皇国に辿り着くことができるのか!?「時をかける少女」「サマーウォーズ」など大ヒットアニメを生み出してきたマッドハウスの製作で、飛行機の戦闘シーンなどは迫力充分だが、物語が古臭い。(ヴィスタ・99分・11年10月1日)

9月5日(月)アメリカ映画「カウボーイ&エイリアン」Cowboys & Aliens

 この作品のタイトルは、原作のグラッフィック・ノベルが発行される前から、ハリウッドの映画人を魅了し、その映画化権が買われたという伝説の話題作。時代は西部開拓時代のアリゾナ。開拓民とネイディブ・アメリカンとの抗争が激化していた頃。ある町に、左腕に自分で取ろうとしても取れない腕輪をしているカウボーイがふらりとやって来る。しかも彼は記憶を失っていた。 そこは非情な牧場主が牛耳る町だった。彼には親の権力を傘に暴力を振う出来の悪い息子がいて、いつものようにトラブルを起こしていると、突然、空飛ぶ飛行物体が現われ攻撃し、住民を次々と連れ去っていった!この異常な事態を腕のたつこのカウボーイは、一応終息させる。住民は男に頼るしかなかったのだが、彼の素性を知る謎の女が現われ…。さて男は一体何者なのか?西部劇を意識してか、宇宙船が町人を投げ縄をかけるようにさらっていくのはユニーク。しかも人類は馬とピストル。対する敵は飛行物体と強力な光線と、攻撃レベルが違うような気がするが、登場人物たちは何者もくじけない西部魂むき出しの人間臭さで、未知なるものに向かっていく。そんなカウボーイ役をジェームズ・ボンド役のダニエル・クレイグ。そしてあのインディ・ジョーンズを演じたハリソン・フォードが、今まで見たこともないSF西部劇に挑んでいく。(スコープ・118分・11年10月22日)

9月2日(金)アメリカ映画「ステイ・フレンズ」Friends with Benefits

 セックスだけの男女関係は成立するのだろうか?時代が変わる度に、何度か映画化された男女の関係がテーマ。今回は、時代の寵児とも言えそうな、若い俳優が演じているのがミソ。そんな二人とはミュージシャンそして、俳優としても活躍するジャスティン・ティンバーレイクと、「ブラック・スワン」で若手俳優として注目株のミラ・クニス。物語はロサンゼルスでウェブサイト分野で成功し、ニューヨークの会社からヘッドハンティングされた青年と、そんな優秀な人材をハンティングするのが仕事の女性が、純粋にセックスを楽しむ大人として友達になることから始まります。後腐れがない、恋愛感情なしの関係で、楽しい時間を共有する二人でしたが、各々が持つ家族のことなど、パーソナルな問題に触れた時、次第に二人は、“セフレ”を超えた感情を持っていることに気付き始め…。まあ、本当にまったく眼中にない人と、食事をしたり遊んだり、セックスをしたりはしない訳で、劇中、出会ったばかりの二人が、すでに恋に落ちただろうことは、見ている側はわかっていて、その成り行きを見守るという、シチュエーションドラマ。ファッションセンスやデートで使うレストラン、流行のアイテムのiphoneなど、最近の若者のトレンディな若者文化が満載。小さな口ケンカなど早口で、まさに現在のアメリカ人の若者の本音トークが手にとれる恋愛ドラマです。(スコープ・109分・東京11年10月1日、福岡10月8日)

9月1日(木)アメリカ映画「キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー」Captain America : The First Avenger

 ついにマーベル・コミックの中でも最も伝説のヒーローの登場だ。物語が1941年という時代を反映して、どっぷりアメリカ式の愛国映画風になっているのは仕方がないが、一人の男性が虚構のお飾りのヒーローとしてだけではなく一人の人間として、悪に立ち向かっていく姿は共感するところがある。健全な精神は健全な肉体に宿る。そんな昔から言われる例えがぴったりだ。人一倍愛国心が強く、早く戦争を終わらせ平和になるために貢献したいと望む青年スティーブ。そんな純粋な心に体は報えず、病弱な体質で何度も入隊を断わられてしまう。そんな時、謎の軍医に出会い、軍の秘密実験の被検者として抜擢。それは超人血清を注入するスーパーソルジャー計画という前代未聞の人体実験だった。しかも心がピュアでなければ、邪悪なモンスターに変化していくという。実験は成功し、見事な肉体をもった超人となるのだが、敵によって博士が殺され、この計画は凍結される。彼は派手な星条旗の服を着て華やかな広告塔として活躍するが、現実の戦場は悪化していた。彼は独断で戦場に出向き、その生まれ変わった力を発揮し…。善悪がはっきりしていて、分かりやすい。そして何より、この善玉悪玉の最後の対決が早く見たくなるノリのいい展開だ。それにしても次なる「ザ・アベンジャーズ」を撮影中のクリス・エヴァンスのマッチョ系の肉体が、初めは身長も低く超ひ弱な体なのにビックリ。別人だと思っていたら、現代だからできる特撮の業で、顔も加工されて一人二役で演じているそうなので驚きだ。(スコープ・124分・11年10月14日)

8月19日(金)アメリカ映画「カウントダウンZERO」Countdown to Zero

 日本は3.11の大地震とそれによって起きた津波に破壊された原発事故によって、改めて核の脅威にさらされている。“今、そこにある危機が起きてしまった日本”には、今、解決しなければばらない実態と、将来の国の方針が早急にためされているのだ。そんな折り、公開されるこのドキュメンタリーは、大小さまざまな核保有国への不安と、危険性を、政府の重人たちや専門家へのインタビュー、そして実際起きた出来事のリサーチと映像を導入し、論理的に説明していく。なぜ、さまざまな国が軍事力を増大し、現代で一番の他国への脅威となる核を保有したがるのか?震災以前によく報道され論議されていた、あの近隣の国の、核ミサイル問題は、もうどこか遠い話のような感じさえするが、今もなお、そんな他国の実態は進行しているのだと、この作品は強い警告を鳴らす。最初、核分裂を立証した物理学者も、将来、冷戦の中でそれが、軍兵器として活用されるだろうと、予期していたというくだりもある。一方、平和利用のため開発された原発も同じく、莫大は放射能を出すプルトニウムからなる核分裂によってエネルギーを生みだしているシステムということも、今回の震災によってはっきりとクローズアップされた。目的利用はかなり違っても、その存在そのものが人の生活基盤をゆるがす脅威なのだ。人類は選択の岐路にたたされている。ちょっと前だったら、このような作品も映画館でかかることは稀だったろう。考えを広げるきっかけになる記録映画だ。(ヴィスタ・89分・11年9月1日)

8月19日(金)日本映画「アンフェア the answer」Unfair the answer

 甘いムードは微塵も感じさせない度胸の塊・女性刑事が活躍する人気のテレビシリーズ。それが映画化された「アンフェア the movie」だが、今回は主人公・雪平のキスシーンも登場する大人のムード満載の作品に仕上がっている。
 篠原涼子扮する雪平は、前回の事件は解決したものの、亡くなった同僚から警察内部の機密情報が入っているらしい謎のUSBを託され何かしっくりこず、その中身の答を求めて北海道に異動する。そこの課長(佐藤浩市)とは、昔からの縁で男女の仲であり、いつも姉ご肌の雪平とは、真反対の一面を見せる。路線が違うぞ?!ナンテ思っていたら、事件の方が彼女を普通の女性の幸せから遠ざけるかのように、東京で起きていた猟奇的な事件の犯人として、彼女が逮捕されてしまう。いったい、真犯人の狙いは何なのか?北海道と東京の2ケ所で、一段とハイテンションなミステリー・アクションが繰り広げられる。雪平はトレードマークの黒いコートを羽織り、登場する最初から、重い使命感にに引きずられているかのように、いつもより憂鬱な雰囲気を醸し出している。そんな彼女を取り巻く、初めての登場となった上司役の佐藤やエリート検察官役の山田孝之、この他、常連の同僚役の加藤雅也や寺島進、阿部サダヲなど男たちの中に、本当の協力者はいるのか?いないのか?USBの中身を追っているは誰なのか?そんな謎解きを、破天荒 な行動をとる主人公と一緒に、辿っていく見応え十分の展開になっている。(ヴィスタ・110分・11年9月17日)

8月11日(木)日本映画「監督失格」Kantoku Shikkaku  
  平野勝之監督の以前の「白 THE WHITE」を見ているのは、この業務試写会場では私くらいだろうな〜っと、平野監督の11年ぶりの新作を思いにふけりながら鑑賞した。それは無謀と思われる雪と暴風で過酷な真冬の北海道を、たった一人で自転車で旅行し、その様子を自ら撮影するという、ちょっとサディスティックな作風で、ベルリン国際映画祭にも出品された異色もの。しかし、この大変な作品に挑んだきっかけが、女優の林由美香にふられたからというのは記憶にあった。彼女は2005年に34才で急死した、伝説的なAV女優・由美香としても知られている。今回は、以前、彼女と平野監督が北海道を自転車旅行した記録を元に、当時、売れっこAV女優であり、若手監督たちのミューズ的な存在であり、平野監督の仕事仲間であり、元恋人でもあった由美香というエキセントリックな女性の魅力を、知らない観客にもわかるようにクローズアップさせていく。さらに今回は、遺族の了解を得て解禁となったという、 彼女が2005年に34才で急死した後(彼女の自宅)に居合わせた監督と驚きわめく彼女の母親、その現場を撮影した衝撃的な映像が一つの作品の中に、挿入されていく。亡くなった遺体こそ写らないが、その場の張り詰めた緊迫感がなんとも異様だ。今までの女優の記録映画とは一線を引くものだ。彼女の誕生日に久々、会ってカメラインタビューさせてもらう約束をしていたという…監督。最後まで、私を撮ってよと言っているようだったという。こうやって映画となって、女優と監督はスクリーンに戻ってきた。ある意味、幸せなことなのだろう。(ヴィスタ・111分・東京11年9月3日、福岡10月1日)

8月4日(木)アメリカ映画「ワイルドスピード メガ・マックス」Fast & Furious Five
                                          人気のこのアクションシリーズが製作されて早10年。そのアクションも気をてらうスピーディーなカースタントも、今回、ますます気合いの入った展開となった。
 話は前作「ワイルド・スピードMAX」からの続きで、投獄されることが決まった、主人公で天才ドライバーであり、強盗団のカリスマ的なリーダーのドミニクを、元FBI捜査官ブライアンと彼の恋人でドミニクの妹ミアが、のっけから警備を突破し、派手な脱走方法でまんまとブラジルへ国外逃亡に成功する。そこで旧知の友に再会、誘われた仕事は麻薬局が押収した高級車を貨物車から盗み出すこと。しかし彼らは何者かに襲撃され、友にも疑惑を持つ…。一体、誰が、なぜ?その車を解体して、裏社会の大物の弱みが記録されていたマイクロチップを発見!彼らはこれを利用して、大物から大金をせしめるという危険な賭けを最後の大仕事と決め、猛然と決行する。どっこい相手も手強い。しかも、アメリカからも彼らを追って特別捜査官が追ってきた。果たして、自由と大金を手に入れようとする彼らの野望は果たせるのか?
 次々と機敏な殴り合い、撃ち合いとハードなアクションをみせる主役のヴィン・ディーゼル。そして彼を追跡するドウェイン・ジョンソンらの、マッチョな体型の男たちの死闘に加えて、車好きにはたまらないだろう高級車やスーパーカーがエンジンをうならせる。まさに現代のダンディズム的なドラマだ。(スコープ・130分・11年10月1日)

8月2日(火)アメリカ映画「グリーン・ランタン」Green Lantern

アメリカの人気コミックが、またも映画化された。緑のマスクに緑のボディースーツと、ちょっと個性的ないでたちの新たなるヒーローの誕生だ。
 広い宇宙の平和を守り続けている勇者たちを集めて作り上げられたグリーン・ランタン=宇宙警察機構。それに地球人では初めてハルが選ばれた。勇者の資格とは、どんな恐怖を克服する強い意志を持った戦士であること。しかし、彼は空軍パイロットとしての腕前は一流でも、幼い時に父親を亡くし、そのトラウマがあるという欠点の多いフツーの若者だ。彼は、あるパワーリングが持ち主が亡くなる前に後継者として選んだ勇者なのだが、自分の力量の無さに悩み、うまくリングをコントロールできずジレンマに陥る。だが、仲間や恋人に支えられて、重大な任務に奮起し、銀河系を牛耳ろうと蘇った強敵を相手に立ち向かっていくのだ。
 なんだか、初めて「スーパーマン」を観た時のような感覚。外見の格好だけは決まっていても、ヒーローになるには、そのエネルギーをうまく使うためのトレーニングが必要だし、自分が選ばれたことへの自信も持たなければならない。へなちょこだった彼が、精神的にも一人前のグリーンランタンのメンバーになって、敵や勇者と一緒に戦っていくヒーロー像は、これからの次回作も予感させる展開だ。(3D・スコープ・114分・11年9月10日)

7月26日(火)ドイツ映画「ゲーテの恋」Goethe!

 家族とも自分の人生もうまくいなかない…。現代人にもありがちなこんな悩みを18世紀、偉大な文豪ゲーテも体験していたなんて…。ゲーテが若き時期にはこんな感じで『若きウェルテルの悩み』を生み出したのだろう。エンターテインメントに映画化したこの作品を見ながら、天才も人の子だと、なんだか親近感が持ててしまうユニークな構成だ。若きゲーテは裕福な出身で、学生の頃から詩や戯曲を書いては、作家になる夢を捨てず出版社に送っていたが不採用が続く。ついに父親の怒りにふれ、父親と同じ法律家の道を歩むため、田舎で実習生として働くことに…。ところが、そこで出会った運命の女性、シャルロッテと恋に落ちてしまう。しかし彼女は大家族を抱える、落ちぶれた家の長女であり、家族を助けるために、ゲーテの上司と婚約してしまいます。結ばれない恋に失意に落ちた頃、追いうちをかけるように人妻との恋に破れた親友が自殺。さらにゲーテは恋仇と決闘もし、獄中の人となってしまうとけっこう波乱万丈。このどん底の時に、自殺した不運な同僚の苦悩に自分の思いを重ね、書き綴ったのが名作『若きウェルテルの悩み』。そして、それが出版されて作家として脚光を浴び…。
 ドイツの1700年代というまだ若者にとって窮屈な時代の中で、熱く切ない恋に落ちてしまった若者のの、生き生きと美しくストイックな生き方。これを見るだけで同調して、若さを取り戻せる気がしてきた。(スコープ・105分・11年10月29日)

7月20日(水)アメリカ映画「イースターラビットのキャンディ工場」Hop

 日本ではまだ馴染みの薄いイースター(キリストの復活を祝う祭)ですが、キリスト教の国々では、春を呼ぶ年間行事として愛されています。その時、クリスマスのように子供たちにカラフルな卵やキャンディーがプレゼントされます。それもちょっと隠れたところに置かれ、それを子供たちが見つけるというゲーム感覚の楽しい祭でもあります。そんなお楽しみの卵を作り、運ぶのがサンタならぬウサギと言われ、この物語はその卵作りの本拠地が南のイースター島にあり、跡継ぎのウサギ王子が自分の夢を果たすため島から抜け出したため、大変な騒動になるというファンタジックなアニメです。そこで、ウサギ王子イービー が主人公なのですが、物語には本当に自分のやりたいことが見つけられずにいる人間社会の青年も登場し、それぞれの生き方を対比させ、大人も子どもも楽しめる物語構成になっています。しかもイービーや、次なる王の座を狙う悪玉ヒヨコのカルロスの、触ってみたい、まるで本物のような毛並みや目の奥行きの輝きには脱帽もの。まるで画面全体が実写のような驚異の完成度です。この人間とアニメという従来までの感覚を忘れさせてしまうほど精密な合成技術が、どっぷりと想像豊かな世界に浸らせてくれます。(ヴィスタ・95分・11年8月19日)

7月19日(火)アメリカ映画「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」Transformers: Dark of the Moon

 1969年、アポロ11号が始めて人類初の月面着陸に成功。しかし、その裏側には、アメリカ政府がひた隠していた驚愕の事実があった。それは、トランスフォーマーたちの地球侵略の足がかりとなる巨大な宇宙船が不時着していたのだ。それから40年が経ち、ディセプティコンの侵略を防いだサムも大学を卒業し、新しい恋人と平穏な日々を過ごしていた。しかし、ディセプティコンたちは、オートポッドが持っているある秘密の遺物を探し始めていた。シリーズ第3作は、3Dでエンターテインメント性を一気に倍増!トランスフォーマーたちの変身やバトル・シーンが飛び出してくる!(スコープ・3D・154分・11年7月29日)

7月15日(金)アメリカ映画「カーズ2」Cars 2

 ピストン・カップ4連覇を成し遂げて帰ってきた天才レーサー、マックィーンの次なる挑戦は、ワールド・グランプリ。彼は、初めて、親友のメーターをツアーに誘う。第1戦の開催地は、日本。歌舞伎や相撲を見物し、大興奮のメーターだったが、初戦で、過った指示を出してしまったメーターに、マックィーンは大激怒。二人の絆にピンチが訪れるが、…。今回の主役は、田舎から出てきたおんぼろレッカー車のメーター。彼がいかに、舞い上がり、落ち込み、そして再び、復活していくのか、という再生の物語。そういう意味では、大人向けのストーリーかも。「トイ・ストーリー3」のその後を描いた短編「ハワイアン・バケーション」も必見!(スコープ・3D・短編を合わせて114分・11年7月30日)

7月13日(水)アメリカ映画「ハリー・ポッターと死の秘宝 Part2」Harry Potter and the Deadly Hallows Part 2

 いよいよシリーズ完結編。Part1のラストシーンで、ダンブルドアの棺からニワトコの杖を手に入れたヴォルデモート卿。こうなってしまったら、ハリーに勝ち目はないのか!?魔法魔術学校に帰ってきたハリーたちは、7つの分霊箱のうち、残る3つを破壊して、ヴォルデモートとの最後の闘いに挑む。Part1では、旅に出た3人だったが、今回は、懐かしのホグワーツに帰ってきて、これまで舞台となってきた場所や、これまで登場してきた人々が次々と現れる。最終作に相応しい賑わいだ。そして、ヴォルデモートとの宿命の対決が決着する。10年間、見続けてきたシリーズが終わるとなると万感の思いが込み上げてくる。(スコープ・130分・11年7月15日)

7月10日(日)盛況のうちに、第25回福岡アジア映画祭2011終了。福岡グランプリに輝いたのは、韓国映画「ハロー・ゴースト」Hello Ghostに決定!「本当によく出来たシナリオで、それを巧みな演出で、見事にまとめあげ、観客を感動させてくれました」と審査員の志水教授。そして、「1回見るだけではなくて、何回も見たい傑作!昨日の深夜、パリのお母さんに電話して、10分以上、この映画について話しました。」と審査員のセバスティアン・プロー。それを聞いて、キム・ヨンタク監督の喜びもひとしおでした。

7月8日(金)第25回福岡アジア映画祭2011・後半戦スタート。ゲストは、キム・ヨンタク監督、キム・サンマン監督、江豊宏(ジャン・フォンホン)監督、ラッキー・クスワンディ監督、志水俊広教授、セバスティアン・プローほか。

7月5日(火)アメリカ映画「スリー・デイズ」The Next Three Days

 幼い息子ルークと共に幸せな生活をおくっていたブレナン一家に突然踏み込んでくる警察。そして、殺人の容疑で逮捕される妻ララ。夫のジョンは、何とか、無実を証明しようとするが、裁判では、有罪が確定し、妻は、刑務所に送還されてしまう。さらに、控訴も棄却され、ララは絶望のどん底に突き落とされてしまう。そこで、ジョンは、ある決意をする。それは、脱獄というとんでもない計画だった。2008年のフランス映画「すべて彼女のために」のハリウッド・リメイクだが、「クラッシュ」のポール・ハギス監督とラッセル・クロウ主演で、ビッグバジェットの大作に生まれ変わった。(スコープ・134分・11年9月23日)

7月1日(金)第25回福岡アジア映画祭2011・スタート。前半のゲストは、早川由美子監督、金知映(キム・ジヨン)監督、そして、主演も務める蜷川澄村プロデューサー、そして、「IPPO IPPOの会」のヒデさん。さらに、ノルウェーから和氣正太郎監督が、Skypeでティーチ・インに参加の予定。