新作映画 試写室日記(2008年5月9日更新)

ほぼ毎日更新 掲示版

☆速報!お陰様で22年目!皆さま方の「福岡アジア映画祭」への多大なるご協力に大変感謝いたします。
 さて、私たち福岡アジア映画祭は、この度、日本ファッション協会主催の「シネマ夢倶楽部・シネマ文化賞」を受賞いたしました。2月28日(木)東商ホール(東京商工会議所ビル)に於いて、東京商工会議所創立130周年記念イベントとして、表彰式が行われました。ぜひとも、周囲の方々にお知らせ下さい。

 詳細は、
http://www.cine-culture.jp/topics/topics.htm

(紹介文)福岡アジア映画祭
 アジアの映画作品を中心に展開している映画祭。アジアの人々と文化や交流を深めることを基本姿勢に、企画・運営・作品選択・字幕通訳など、すべて市民ボランティアで推進し、21回を数える長い歴史と実績、422本にものぼるアジア映画を紹介してきた。


クラシック・シネクラブ 第22回福岡アジア映画祭2008・7月4日〜7月13日 プレイベント5月17日

このホームページでは、毎日のように試写室でこれから公開される新作映画を見ている筆者たちによる批評を掲載していきます。時には辛口の、時には思いやりのコメントをお楽しみ下さい。                                     執筆:前田秀一郎(映画評論家)、今村ミヨ(シネマ・コメンテーター)

ご意見・ご感想・ご質問などは、掲示板へどうぞ。(掲示板の部分をクリックして下さい)

5月9日(金)日本映画「山のあなた 徳市の恋」

 温泉場に向う2人の按摩、徳市と福市。宿屋・鯨屋に呼ばれた徳市は、東京から来た美千穂に出会い、ほのかな恋心を抱く。しかし、彼女は何かにおびえているようで、徳市は気が気でない。伊豆の温泉で出会った二人の淡い恋。清水宏監督の「按摩と女」をセリフもシーンも全く同じようにカヴァーしていて、色だけが鮮やか。美千穂を演じるマイコの朴訥なしゃべり方が昔の松竹映画を彷佛とさせてくれる。草ナギクンの目の演技もユニークだが、加瀬亮のヘンなしゃべり方も面白い。(ヴィスタ・94分・08年5月24日)

5月8日(木)アメリカ映画「フールズ・ゴールド/カリブ海に沈んだ恋の宝石」Fool's Gold

 18世紀、海に沈んだまま、未だに見つからないスペイン王から王妃への贈り物。この財宝探しに没頭したトレジャーハンターのフィンは、愛する妻テスから愛想をつかされ、離婚が迫る。ある日、その宝と繋がる皿のかけらを発見するが、宝を狙っているのはフィンばかりではなかった。マシュー・マコノヒー、ケイト・ハドソンという恋愛ドラマ・カップルを起用した海洋アドヴェンチャー。海中、海上、そして空中でのアクションは、なかなか本格的だ。(スコープ・112分・08年5月31日)

5月2日(金)日本映画「ザ・マジックアワー」The Magic Hour

 三谷幸喜監督第4作は、ハリウッドスタイルのノスタルジーなセットで繰り広げられるスクリューボール・コメディ。ギャングのボスの愛人に手を出してしまった手下の備後は、口から出まかせで、伝説の殺し屋・デラ冨樫を知っていると言ってしまう。期限の5日が過ぎ、どうしてもデラを探しだせない備後は、撮影所に行き、誰も知らない俳優・村田を雇ってくる。映画の撮影だということにして、村田にデラを演じさせようというのだ。果たして、村田は、ボスを騙しとおせるのか?ちょっとはじけ過ぎの感もあるが、佐藤浩市がとんでもないおとぼけキャラを演じたり、妻夫木聡が髪を七三に撫で付けた頼り無い男を演じたり、ふだんとは違ったイメージで楽しんでいる。ただ、登場(したい)人物が多すぎたのか、ちょっと長過ぎ。(スコープ・136分・08年6月7日)

4月25日(金)アメリカ映画「ラスベガスをぶっつぶせ」21

 数学の天才的能力を使ってラスベガスのカジノで大儲けしたMIT(マサチューセッツ工科大学)の学生の実話をもとに映画化したもの。使用されたカードを記憶して、これから配られるカードを推測し、計算するカウンティングという戦術をトレーニングして、仲間と共に、カジノに乗り込むベン。彼の最初の目的は、医学部に進むための学費を稼ぐことだった。しかし、ラスベガスでの派手な暮らしは、次第にベンの心を変化させていく。カウンティングという技術は、違法ではないが、チームを組んでやるというのが、犯罪なのだろう。だが、カードをすべて憶えるということがまず、並の人間には無理だ。(スコープ・122分・08年5月31日)

4月24日(木)日本映画「クライマーズ・ハイ」Climber's High

 1985年8月12日、日航ジャンボ機事故。その時、地元・群馬県の地方新聞社の中で何が起こったのか?突然、この事件の全権デスクを任されたのは、遊軍記者の悠木だった。場所が特定できないまま、事故現場に向う2人の記者。そして彼らからの電話を待つデスク。それから、悠木の苦悩と闘いの日々が始まった。事故の生々しい映像はないが、それでも、あの事故の凄まじさは今でも憶えている。そしてそんな事故報道の裏には、さまざまなメディアの闘いがあったのだ。悲惨な題材でシリアスで重い展開だが、新聞社の編集と販売の戦いは、大時代的なものでほほえましかった。(ヴィスタ・145分・08年7月5日)

4月24日(木)日本映画「僕の彼女はサイボーグ」Cyborg She

 大学生ジローの20歳の誕生日に突然現われた“彼女”は、次々ととんでもないことを起こして去っていった。そして、21歳の誕生日、再び、“彼女”がジローの前に姿を現す。いったい、“彼女”の正体は? 「猟奇的な彼女」のクァク・ジェヨン監督が日本で撮った日本映画なので、随所に韓国的ギャグが入るが、いつものようにちょっとしつこすぎの感も否めない。今、売れっ子の綾瀬はるかと小出恵介のコンビは、監督の無理な注文によく応えている。(スコープ・120分・08年5月31日)

4月22日(火)アメリカ映画「奇跡のシンフォニー」August Rush

 親に捨てられ、11年もの間、施設で育った少年エヴァンは、かすかに聞こえる音楽を頼りにニューヨークの街にやってくる。そして、楽器との出会いが少年の天才的才能の華を開かせていく。その頃、チェリストだったライラは病床の父親から衝撃の事実を打ち明けられる。さらに、バンドを脱退し、ビジネスの世界に入っていたルイスも、ライラのことが忘れれず、ニューヨークへ。運命の糸に引き寄せられるかのように3人は集まってくる。天才少年を主人公にした少女コミックのようなストーリーだが、「スパイダーウィックの謎」でも2役で頑張っていた天才子役フレディ・ハイモアを見ていると、本当に天才的に見えてきて、感情移入させられてしまう。(スコープ・114分・08年6月21日)

4月18日(金)フランス・ドイツ・ベルギー・イタリア・南ア合作「マンデラの名もなき看守」Goodbye Befana

 1968年、人種差別のアパルトヘイト政策が行われていた南アフリカ。国内一と言われるロベン島の刑務所に赴任してきたグレゴリーは、“コーサ語”が分かるという理由で、マンデラの担当に抜擢される。面会や手紙の検閲をやり、細かいことまで公安の少佐に報告するグレゴリー。だが、マンデラという人物に触れ、彼の信念を知ったグレゴリーは、次第に考えを変化させていく。27年もの長い間、投獄されていたマンデラ。その彼の近くに、このような看守の存在があったとは、…。警官に殴られる黒人毋子を見て、“ひどい!”と泣くグレゴリーに娘の言葉が、人間としての叫びだ。(スコープ・117分・東京08年5月17日、福岡7月19日)

4月18日(金)日本映画「隠し砦の三悪人 The Last Princess」

 山名の軍によって、秋月は落城する。城から逃げ出した金掘り師の武蔵(たけぞう)ときこりの新八は、河原で金を発見する。それは、秋月の隠し金だった。秋月の真壁六郎太に捕われた二人は、男の身なりをした雪姫と六郎太と4人で、金を早川領に運ぶことになる。だが、冷酷な大将・鷹山率いる山名の手勢が追ってくる。黒澤明監督の名作をCGをふんだんに使ってリメイクしたものだが、オリジナルとはかなり異なるテイストに仕上がっている。まず、主演が松本潤なので、主人公が六郎太ではなく、新たに作り出された武蔵になっている。彼と雪姫の関係も親密だ。まあ、オリジナルと比べて見るのではなく、別ものとして見たほうがいいだろう。(ヴィスタ・118分・08年5月10日)

4月16日(水)日本映画「築地魚河岸三代目」

 一流商社のエリートサラリーマン、赤木旬太郎は、恋人・明日香の実家である魚河岸の仲卸「魚辰」を手伝うことになる。だが、河岸のしきたりや経験のなさで悪戦苦闘の連続だ。しかし、そんな厳しい状況の中で、旬太郎は、築地独特の魅力を感じ、次第にのめり込んでいく。「ビッグコミック」に連載中の人気コミックの映画化だが、主人公が全く違う世界に入っていき、“自分らしい生き方”を見つけていくという浪花節的サクセス・ストーリーは、松竹にはピッタリ!今回は、“誕生編”なので、もちろんシリーズになるのは、当然!(ヴィスタ・116分・08年6月7日)

4月15日(火)日本映画「山桜」

 浦井家の長女・野江は、叔母の墓参りの帰り、山桜の木の下で一人の武士に出会う。その男は、かつて野江を妻に望んでいたが果たせなかった手塚弥一郎だった。野江は、最初の夫に先立たれ、再び磯村家に嫁いでいたが、辛い日々をおくっていた。東北は雨が続き、その年も飢饉で、農民たちの生活は困窮していた。しかし、藩の重臣・諏訪たちは、私腹を肥やすために、年貢を増やして、農民たちを苦しめていた。その窮状を見るに見かねた弥一郎は、決断する。そして、野江もまた、心を決める。藤沢周平の原作は短編で、そのイメージを損なわないように、東北の美しい風景の中で、ゆったりと丁寧に物語が進んでいく。(ヴィスタ・99分・東京08年5月31日、福岡6月7日)

4月15日(火)アメリカ映画「噂のアゲメンに恋をした」Good Luck Chuck

 歯科医のチャーリーは、“彼と寝ると次に必ず運命の男に出会い、結婚できる”という噂がインターネットでたちまち広がってしまう。最初はとまどうチャーリーだったが、次々と女性たちを幸せにしていく。しかし、そんな彼の前に、運命の女性キャムが現れる。果たして、チャーリーは、キャムの運命の男になれるのか?「Mr. ブルックス」には全く違うキャラで出ていたデイン・クックだが、今、売れっ子のコメディアンで波に乗っているようだ。ジェシカ・アルバがドジなペンギンの飼育員というのが面白い!(ヴィスタ・99分・08年5月17日)

4月14日(月)アメリカ映画「スパイダーウィックの謎」The Spiderwick Chronicles

 森の奥に廃虚のように放置されていた屋敷に引っ越してくる双子の兄弟と姉、毋の4人。ところが、兄弟の1人ジャレッドが屋根裏部屋で1冊の本を見つける。“決して読んではならない”という警告のメモを気にせず、封印を解くと屋敷全体が大きく揺れ、さまざまな出来事が始まる。それは、普段は人間の目には見えない“妖精”たちの仕業だった。そしてさらに、その本を狙った邪悪な妖精たちが屋敷を襲ってくる。いい妖精と悪い妖精がいるというアイデアや、“普段は見えない妖精が自分が見てもらいたい時には目える”とか、“妖精の世界では時の流れが違う”とか、なかなかユニークで、事前にそんな“妖精予備知識”を勉強しておくと、2倍楽しめるだろう。(スコープ・96分・08年4月26日)

4月14日(月)アメリカ映画「Mr. ブルックス 完璧なる殺人鬼」Mr. Brooks

 ケビン・コスナーが冷酷無比な連続殺人犯をクールに演じるクライムサスペンス。名士としても知られる大物実業家アール・ブルックスには、家族さえ知らない殺人鬼という裏の顔を持っていた。ところが、たった一つのミスからほころびが起き始める。クールにクールに殺人を冒していくケビン・コスナー。そして、彼の邪悪な面を演じるウィリアム・ハートの存在が無気味さを倍増させる。犯人を追う刑事がデミ・ムーアなど共演陣も豪華で、さすが大物ケビン・コスナーの面目躍如といったところか?(ヴィスタ・120分・08年5月 日)

4月12日(土)福岡アジア映画祭ボランティアミーティング4月。香港映画祭で見てきた作品などを上映するかどうか皆んなで検討する。さらに、日本語のタイトルについてもいろいろと意見を聞く。

4月10日(木)アメリカ映画「ランボー 最後の戦場」John Rambo

 20年の時を経て、ランボーが帰ってきた。タイ北部のジャングルでボートを操るランボーの元に、アメリカのキリスト教支援団がやってくる。迫害されているカレン族の村に医薬品を届けたいというのだ。内戦の厳しいミャンマーへ行くのを断るランボーだったが、サラの懸命な願いが彼を動かす。しかし、村に着いた彼らは、政府軍に拉致されてしまう。救出にために雇われた5人の傭兵たちと共に村に向うランボー。もう、後は戦うしかない!タイのエキストラを大量動員し、派手なアクションに、血のりがデジタル合成されて、リアルな殺りくシーンが繰り返される。このリアルさが、ランボーの行き着いたところなのだろう。(スコープ・90分・08年5月24日)

4月8日(火)韓国映画「恋の罠」淫乱書生/Forbidden Quest

 司憲府の官吏ユンソは、すり替えられた掛け軸の事件で踏み込んだ食器屋の奥で、“淫らな本”を目にする。事件を解決し、王妃チョンビンから好意を持たれるようになった彼は、彼女のことを夢見ながら淫らな筆を走らせる。そして、書き写された淫乱小説「黒谷秘事」はたちまち評判になっていく。淫らな本が素材だけに、お色気シーンもある程度はあるが、ラストは“愛”のテーマに収束していく。再現された李朝時代のセット、衣装などが見事に豪華で、この作品のレベルの高さを表している。(スコープ・139分・東京08年4月5日、福岡6月14日)

4月4日(金)アメリカ映画「最高の人生の見つけ方」The Bucket List

 末期ガンで余命6ヶ月と宣告されたエドワードとカーターの二人は、死ぬ前にやっておきたいことを書き出した“棺おけリスト”を実行するために、病院を飛び出す。そして、エジプト、フランス、インドと世界中を駆け巡る。ジャック・ニコルスン、モーガン・フリーマンという名優による壮年版“自分探しの旅”は、人生最後の旅で、少しほろ苦い。(ヴィスタ・97分・08年5月10日)

3月28日(金)日本映画「少林少女」Shaolin Girl

 「少林サッカー」のチャウ・シンチーがプロデュースする日本版「少林サッカー」。中国で修行をしていた凛が日本に帰ってくると、祖父の道場は廃虚となっていた。何とか道場を復活させようとする凛は、ミンミンの誘いで、大学のラクロス部の助っ人になる。最初はほかのメンバーのことを考えることができずに浮いてしまう凛だったが、次第にチームワークも出来るようになってくる。ところが、そんな凛を黒い影が狙ってくる。スーパー・スポ根ものというよりは、精神論的な部分が多く、そこがこれまでの日本映画と違うところか?仲村トオルは、最近なぜか、こんな悪役が多い。(スコープ・107分・08年4月26日)

3月27日(木)日本映画「砂時計」Sands' Chronicle

 離婚で母親の故郷、島根にやってきた14歳の女子中学生・杏。近所に住む同い年の大悟や藤、藤の妹の椎香らと仲良くなり、田舎での生活にも慣れてきた頃、ある出来事が杏の気持ちを打ち砕く。そして、大好きな大悟との別れ。10年後、久しぶりに再会する二人。杏の心の中に、高校時代の思い出が甦ってくるのだった。600万部を越すベストセラーの原作コミックから、07年のテレビドラマを経ての映画化だが、原作がかなりボリュームのあるものなので、2時間にまとめるには、もう少し削き落とし、その分描き込む部分が必要だった。(ヴィスタ・121分・08年4月26日)

3月25日(火)無事、帰国。香港では、“アジア・フィルム・アワード”の授賞式&パーティーで、イ・チャンドン監督やソン・ガンホ、チョン・ドヨン、侯孝賢(ホウ・シャオシエン)監督、オ・ジュンワンプロデューサー、トニー・レオンなど多くの映画人に会いました。詳細は、アジア映画通信に掲載します。

3月17日〜25日、第32回香港国際映画祭に出席します。

3月14日(金)香港映画「ミラクル7号」CJ7/長江7號

 幼い頃に毋を亡くした小学生のディッキーは、父親ティーと二人でバラックのようなボロ家に暮らしている。“貧しくても一生懸命に勉強すれば尊敬される”がモットーの父親は、朝から晩までディッキーのために働きづめだ。そんなティーがある夜、ゴミ捨て場で緑の物体を見つけ、ディッキーにあげる。学校に緑の物体を持っていったディッキーは、それが新しいおもちゃ“ミラクル7号”だと、ウソをついてしまう。しかし、ミラクル7号は、ディッキーが期待しているようなスーパーおもちゃではなかった。まるで「ET」のようなストーリーだが、そこはチャウ・シンチーのしたたかさで、香港版に換骨奪胎したハートフルな展開を見せてくれる。(余談だが、直後に行った香港で、CJ7ぬいぐるみを探しまくった末、3種類ゲット!カワイイ!)(スコープ・88分・08年6月28日)

3月6日(木)アメリカ映画「大いなる陰謀」Lions for Lambs

 次期大統領候補と目されるアーヴィング上院議員のオフィスに招かれ、1時間ものインタヴューをするベテラン・ジャーナリストのジャニーン。議員の狙いは、アフガニスタンで展開される新しい作戦のリークと、好意的な報道だった。しかし、その作戦は、あまりにも危険で、実際、その頃、アフガニスタンでは、志願兵2人が敵に包囲されていた。同じ頃、2人の兵士がかつて学んでいたカリフォルニア大学のマレー教授の部屋に一人の学生が呼ばれていた。三つの場所で繰り広げられる三つの物語は、次第に絡み合っていく。トム・クルーズ、メリル・ストリープ、そして、ロバート・レッドフォードという大物の豪華共演。学生たちはなぜ、志願したのか?そして、彼らの命を何とも思っていない議員の思想とは?ロバート・レッドフォード監督らしい骨太のテーマだあ。(スコープ・92分・08年4月18日)

3月6日(木)日本映画「アフタースクール」After School 今にも生まれそうな大きなお腹をした妻を同級生の神野に宜しくと言って、会社に出ていった木村が失踪する。そして、横浜のホテルで女との密会を写真に撮られてしまう。木村の会社の上司は、アダルトショップをやっている怪しい探偵に木村の行方を探させる。探偵は、神野の学校へ行き、なぜか神野も探偵と共に木村を探すことに、…。GPSケータイ電話やパソコンなどの最新機器を駆使する探偵。でも、ホテルやビルの監視カメラのビデオは、あんなに簡単に手に入るのか?仕掛けたっぷりで、かなり練り込まれた内容でハイレベルな構成のシナリオだ。佐々木蔵之介の探偵、大泉洋の先生の凸凹コンビの掛け合いが絶妙で笑える。(ヴィスタ・102分・08年5月)

3月5日(水)日本映画「銀幕版 スシ王子! ニューヨークへ行く」

 スシ王子・米寿司(まいず つかさ)は、シャリの修行のためにニューヨークへ。やっと探しあてた「八十八」(やそはち)は、店を乗っ取ろうとするペペロンチーノ一味によって嫌がらせを受けて、客足が途絶え、数人の変わった常連客しかいなかった。そこで、シャリの修行を始めるつかさ。しかし、ペペロンチーノの裏には、ミスター・リンがいた。果たして、ミスター・リンとの寿司対決の勝敗は?!テレビ版を見ていないので、最初ついていくのが大変だが、ナンセンス・ギャグを散りばませたテレビのスペシャル版といったところか?でも、キャストが豪華なので、製作費は数億円!(ヴィスタ・114分・08年4月19日)

3月3日(月)アメリカ映画「ジェイン・オースティンの読書会」The Jane Austin Book Club

 アメリカでは、皆んなで集まって飲みながら同じ本についてディスカッションする“読書会”が流行っているそうだ。愛犬が死んで落ち込んでいるジョスリンを励まそうと、バーナデットは、オースティンの読書会を企画する。ジョスリンの高校時代からの友人シルヴィア、フランス語教師のプルーディーがメンバーに参加。さらに、シルヴィアの娘アレグラが加わり、最後は“オースティン初心者”のグリッグ。6人はそれぞれ長篇小説を担当し、月一の読書会が始まる。そして、小説さながらの人生の転機がそれぞれを待ち受けていた。オースティンは、「プライドと偏見」と「いつか晴れた日に」の映画ぐらいしか見ていないが、小説を読んでなくても、ついていける。結構マニアックなセリフも多い。(ヴィスタ・105分・東京08年4月12日、福岡5月24日)

2月28日(木)東京の東商ホール(東京商工会議所ビル)に於いて、東京商工会議所創立130周年記念イベントとして、日本ファッション協会主催の「シネマ夢倶楽部」の表彰式が行われ、私たちがやっている「福岡アジア映画祭」が「シネマ文化賞」を受賞しました。これまでの応援大変ありがとうございました。そして、これからも末長いご支援を宜しくお願い致します。

2月26日(火)アメリカ映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」There will be Blood

 ダニエル・デイ=ルイスが見事アカデミー主演男優賞に輝いた異色作。19世紀半ば、カリフォルニアの地は、“ブラック・ゴールドラッシュ”と呼ばれる石油採掘ブームに席巻された。ある青年からの情報で石油の存在を知ったダニエルは、西部の小さな町リトル・ボストンに行き、土地を買い占め、採掘を始める。しかし、地元のカリスマ牧師イーライは、土地を荒らし、荒稼ぎするダニエルと対立していく。石油によって巨万の富を得た主人公。だが、運命は彼にさまざまな試練を与える。デイ=ルイスの知性と狂気がすさまじい。セリフも音楽もなく、黙々と坑を掘る冒頭のシーンも凄い。(スコープ・158分・08年5月3日)

2月25日(月)アメリカ映画「ヒットマン」HITMAN

 闇の組織によって、冷酷無比なプロの殺し屋たちが養成されていた。“エージェント47”に与えられた次の標的は、ロシアの政治家ベリコフ。任務は完璧に遂行された。しかし、目撃者がいた。さらに、殺したはずのベリコフが生きていた。この“失敗”には、何か裏があると悟った47は、連絡員に“依頼主”を問いただすが、答えはない。さらに、インターポールの刑事が、47を追ってくる。クールな殺し屋をクールに演じるのは、「ダイ・ハード 4.0」のテロリスト役が印象的だったティモシー・オリファント。ミュージックビデオなどで活躍するフランス人監督によるスタイリッシュな映像がハリウッドとは違ったアクションを見せてくれる。(スコープ・93分・08年4月12日)

2月25日(月)アメリカ映画「NEXT -ネクスト-」NEXT

 ニコラス・ケイジ製作・主演のSFアクション。ラスベガスのクラブでマジックショーをやるクリスは、2分先に起きることが見えるという特殊な能力を持っていた。FBIは、彼のその力をテロリストたちの居場所を発見するために利用しようと接触してくる。テロなど他人事で、そんな煩わしいことに関わりたくないクリスだったが、テロリストたちもすでにクリスの存在を察知していて、攻撃してくる。果たして、クリスは、事件を解決できるのか?原作がフィリップ・K・ディックだけに、なかなか理知的なSFだ。(スコープ・95分・08年4月 日)

2月22日(金)フランス・ベルギー合作「地上5センチの恋心」Odette Toulemonde

 デパートの化粧品売り場で働くオデットの楽しみは、寝る前に大好きな作家バルタザール・バルザンの本を読むこと。普通のラブロマンス小説なのだが、夫に先立たれ、二人の子供と暮らす平凡な主婦にとって、彼の本は架空の“夢の世界”だった。ところが、サイン会で彼に渡したファンレターが思わぬ出来事を起こすのだった。ジョセフィン・ベイカーの曲を口ずさみながら踊り出すオデットの明るさは、いかにもフレンチ・テイスト。化粧品が踊ったり、オデットが宙に浮いたりしても、それは、映画的ご愛嬌。大人のファンタジーだ。(ヴィスタ・100分・08年4月 日)

2月20日(水)アメリカ映画「ジャンパー」Jumper

 15歳の時に、瞬間移動ができることをしったデヴィッドは、銀行の金庫に入り込み、大金を手に入れる。それからは、ニューヨークに出て、悠々自適の生活を満喫。ところが、彼のような特殊な能力を持った“ジャンパー”を謎の敵“パラディン”が狙ってくる。そしてそこには、何千年も続く運命的な戦いがあった。主人公がスーパーマンではなく、普通の人間で、ただ“ジャンプ(瞬間移動)”が出来るというアイデアが面白いし、最新のVFXで、移動の映像もなかなかリアルだ。わざわざそんな場所に行かなくてもいいだろう、という場所も多いが、それは製作者たちのお楽しみなのだろう。シリーズ化必至のスタイリッシュSFアクション。(スコープ・88分・08年3月7日)

2月20日(水)イギリス映画「つぐない」Atonement

 13歳の少女の“勘違い”が、主人公たちの運命を翻弄していく。1935年、イングランド政府官僚の屋敷。長女セシーリアは、身分違いである使用人の息子ロビーを愛していた。ところが、同じようにロビーに恋心を抱いていた妹プライオニーの“勘違い”によって、二人の愛は、引き裂かれてしまう。刑務所、そして戦場に送られるロビー。そんな彼のことをひたすら待つセシーリア。イアン・マキューアンの最高傑作と言われる「贖罪」を、アカデミー賞主演女優賞ノミネート「プライドと偏見」のキーラ・ナイトレイとジョー・ライト監督ほかのスタッフが再び結集して映像化したもので、その重厚な面持ちは、さすがイギリス正当派といった感じだ。リアルタイムであれば、相当に暗くて辛い話だが、こういった形でまとめれば、過去の悲恋として見ることができる。(ヴィスタ・123分・08年4月 日)

2月19日(金)日本映画「Sweet Rain 死神の精度」

 人が死ぬ7日前に現れて、その人の“死”を決定する死神。1985年、電器メーカーのクレーム処理係の一恵のもとに現れた死神・千葉だったが、“愛した人たちが次々と死んでいった”という一恵のつらい告白に心を痛める。そして、判定の日。さらに、時が過ぎて、2007年、兄貴分の仇を討とうとするヤクザのもとへ。そして最後は、2028年、70歳の美容師のところに現れる。3つの時代に現れる死神をユーモラスに演じているのは、金城武。常識ばなれした飄々とした死神が好きなものが“ミュージック”というのも面白いアイデアだ。深刻でなく、軽い気持ちで楽しめるファンタジーだ。(ヴィスタ・113分・08年3月22日)

2月18日(月)日本映画「あの空をおぼえてる」

 交通事故に遭う小学4年生の兄と幼稚園児の妹。兄の英治は、雲の上を飛ぶという臨死体験をして、病室に生還する。やがて、退院して家に帰るが、両親のショックは大きく、かつてのような温かい家族はそこにはなかった。特に、父親・雅仁の自責の念は大きく、まったく口をきいてくれない。それでも必死で家庭を明るくしようと努力する英治。“家族の再生”というのは、理屈では出来るように思えるが、現実はなかなか簡単にはいかない。そしてそれが“娘の死”という悲惨な出来事があれば、なおさらだ。“死”というものについて深く考えさせてくれた。(ヴィスタ・115分・08年4月26日)

2月18日(月)日本映画「ぼくたちと駐在さんの700日間戦争」

 1979年、田舎町でのんびりとした高校生活をおくっていた“ママチャリ”たち7人。ところが、転勤してきた国家権力である“駐在さん”が彼らの前に立ちはだかる。7人がやるイタズラに、大人気なくリベンジしてくるのだ。こうして、高校生たちと駐在さんのイタズラ戦争が始まった。人気ランキング1位のブログ小説の映画化だけに、昭和の時代の高校生が考えるイタズラがリアルで、そのしょうもないせこさが面白い。駐在さん役の佐々木蔵之介はハマリ役。ママチャリの市原隼人も脳天気に元気でいい。まだ、700日までいっていないので、続編もあり?!(ヴィスタ・110分・08年4月5日)

2月14日(木)アメリカ映画「燃えよ!ピンポン」Balls of Fury

 12歳の時、天才卓球少年として、ソウル・オリンピックに出場したランディだったが、父親が原因で無惨な敗退。19年後、場末のカジノで働く彼の元をFBI捜査官が訪れ、裏社会で行われる卓球世界大会に出場し、潜入捜査を依頼される。チャイナタウンの少林卓球名人の弟子となり、特訓するランディ。そしてついに、世界大会への招待がやってくる。タイトルからも分かるように、ブルース・リーのカンフーものの“卓球版”コメディ。奇妙な中国人ボスを演じるクリストファー・ウォーケンを始め、キャラの立ったキャストに大笑いだ。(ヴィスタ・90分・08年3月22日)

2月12日(火)アメリカ映画「ダージリン急行」The Darjeeling Limited

 ついにエイドリアン・ブロディまでもアンダーソン組に入ってしまった!長男フランシスの呼び掛けで、1年ぶりに再会した3兄弟は、インドを横断する列車の旅を始める。父の死をきっかけに絶好していた兄弟がもう一度結束を固めようというのだ。ところが、かなり個性の強い3人は、それぞれわがままで相当な問題児だった。「ザ・ロイヤル・テネンンバウムズ」のインテリ監督ウェス・アンダーソン作品だけに、登場人物たちの奇妙さは、相当なものだし、ストーリーは、予想外の展開の連続だ。さらに、インドならではのギャグは、インド映画祭に通っていた我々には、バカウケだ。(ヴィスタ・短編と合わせて104分・08年3月15日)

2月8日(金)中国映画「王妃の紋章」満城尽帯黄金甲/Curse of the Golden Flower

 唐王朝の時代、“菊の節句”である重陽節に王家の人々が一堂に集まってくる。しかし、王妃は、王の先妻の息子と不倫をしており、それを知った王の陰謀が進んでいた。さらに、王妃もまた、恐るべき陰謀を企んでいた。黄金色に彩られた絢爛豪華な王宮のセットの中で、ゴージャスな衣装に身を包んだスター俳優たちの演技が繰り広げられるが、少女コミックのようなストーリーがもったいない!それに、中国の王宮に、「ベルばら」のようなフランス宮廷衣装は、ないだろう。チョウ・ユンファ久しぶりのアジア映画なのに本当にもったいない!(スコープ・114分・08年4月12日)

2月7日(木)フランス・香港合作「マイ・ブルーベリー・ナイツ」My Blueberry Nights

 恋人に別な女性ができて失恋したエリザベスは、向いのカフェで、ジェレミーのブルーベリー・パイを食べることで慰められる。だが、まだ失恋の痛手がいえない彼女は、旅に出る。そして、メンフィス、ラスベガス、そしてニューヨークと、さまざまな愛の形に出会う。ウォン・カーウァイ監督らしいけだるい空気が充満したロードムービー。ハリウッド俳優をふんだんに使ったハリウッド版「恋する惑星」といったところか!?(スコープ・95分・08年3月22日)

2月7日(木)イギリス映画「ペネロピ」Penelope

 先祖が掛けられた呪いによって、豚の鼻と耳を持って生まれてきた少女ペネロピ。呪いを解く鍵は、彼女への永遠の愛。そこで、相手を求めての“見合い”を繰り返すが、すべての男たちは、彼女の顔を見た途端に逃げ出してしまう。しかし、スクープを狙う新聞記者から金をもらって、ペネロピの写真を撮るために、“見合い”にやってきたマックスとの出会いは、彼女の気持ちを動かしてゆく。王子様を待っているばかりでは呪いは解けないという現代版のリアルなファンタジー。なかなか奥の深い蘊蓄のあるストーリー展開だ。(スコープ・101分・東京08年3月1日、福岡3月22日)

2月5日(火)日本映画「ポストマン」Postman

 千葉県房総町の郵便局員・海江田は、今でもバタンコと呼ばれる赤い自転車で郵便を配達している。2年前に妻に先立たれ、中学3年の娘と小学3年の息子の3人暮らしだ。寮生活をしなければならない高校への進学を望む娘に、“家族は絶対ひとつ屋根の下で暮らすべきだ”と譲らない父だった。長嶋一茂が企画・製作総指揮、そして主演の頑固な郵便配達人物語。(ヴィスタ・111分・08年3月22日)

2月5日(火)アメリカ映画「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」Annie Leibovitz : Life Through A Lens

 ジョン・レノンの最後の写真やデミ・ムーアの妊婦写真などで有名な女流写真家のドキュメンタリー。20歳の時、ローリングストーン誌に売り込みにいった彼女の最初の大仕事がジョン・レノンの取材だった。そして、その写真がいきなり表紙を飾る。それからは波に乗り、次々と大物スターを撮る。それも彼女独自の方法がユニークだ。セレブたちの有名な写真の撮影現場というのは、相当に大掛かりだ。(ヴィスタ・83分・08年4月 日)

2月4日(月)アメリカ映画「バンテージ・ポイント」Vantage Point

 スペインでのサミットに出席したアメリカ大統領が狙撃される。さらに、会場では次々に事件が起きていく。犯人は誰なのか?中継をしていたテレビ局の女性プロデューサーに始まった事件の様子は、8人の異なる人々の視点から繰り返し描き出される。そして、驚愕の真相が次第に明らかになっていく。見事に書き込まれたシナリオで、息も付かせぬ90分だ。渋い俳優たちがそれぞれにいい味を出しているし、モロッコ系俳優やスペイン系俳優などテロリスト側のキャストもなかなかいい。(スコープ・90分・08年3月8日)

2月4日(月)日本映画「映画 クロサギ」

 クロサギが、今回ターゲットにしたシロサギ(サギ師)は、贈答サギでレイコの財産を奪った石垣という男。巧妙なワナを仕掛けるクロサギ。しかし、石垣は、かつて巨大なサギ事件に関与していたことが明らかになってくる。そして、その裏には、意外な人物が絡んでいた。TV版もずっと見ていたので、それなりに楽しんで見れたが、TVのスペシャル版といった感じだ。(ヴィスタ・126分・08年3月8日)

1月30日(水)日本映画「ガチ☆ボーイ」

 大学3年生の五十嵐は、ある日、プロレス研究会に入部する。去年の学園祭でプロレスの試合を見て以来、仲間に入りたいと思っていたと言う。しかし、彼は、試合はガチンコでやっていると思っていた。そして、彼には、部員たちに隠している秘密があった。果たして、五十嵐は、ガチンコ・プロレスができるのか?人気舞台の映画化で、軽いノリで始まるが、後半は、シリアスでストレートに感動できる。世の中には、本当にさまざまな病気があるものだ。(ヴィスタ・121分・08年3月1日)

1月23日(水)カナダ・フランス合作「中国の植物学者の娘たち」植物園/Les Filles du Botaniste Chinois

 ロシア人の父と中国人の毋を地震で亡くしたリー・ミンは孤児院で育った。そして、実習生として、チェン教授のいる植物園を訪れる。そこには、10歳の時に毋を亡くしてから、ずっと厳格な父と暮らしてきた娘アンがいた。教授怒られるミンをやさしくなぐさめるアン。お互いに孤独な生活を余儀無くされてきた二人は、ひそやかな愛を育んでいく。同性愛が病気だとされる中国で、スキャンダル的なテーマだが、ロケされたヴェトナムの風景があまりにも美しく、絵ハガキを見ているようだ。(スコープ・98分・東京07年12月15日、福岡08年2月23日)

1月23日(水)日本映画「チーム・バチスタの栄光」

 難易度の高いバチスタ手術を26例も成功させ、患者が殺到している東城大学付属病院のチーム・バチスタ。ところが、3例続けて、再鼓動が起こらず、術中死が発生してしまう。ただの偶然の事故なのか?それとも、誰かの殺人なのか?外科のことには全くの素人である心療内科医師の田口が内部調査を依頼される。チーム・バチスタの7人にインタビューをし、“問題なし”の報告書を提出する田口。ところが、そこに現れたのが、厚生労働省の役人・白鳥だ。彼の登場で、調査は振り出しに。田口を悪者にして、チーム・メンバーの本音を暴いていく白鳥。これは「トリック」の阿部・仲間コンビと似ている。だが、手術室の場面がリアルなだけに、おちゃらけだけで笑ってはいられない。役人というのは、本当に横暴なものだ。(ヴィスタ・118分・08年2月9日)

1月18日(金)アメリカ映画「ライラの冒険 黄金の羅針盤」The Golden Compass

 そこは、すべての人々が“ダイモン”と呼ばれる守護精霊の動物と共に生きるパラレル・ワールドだった。そして、パンタライモンをダイモンとする少女ライラが主人公。幼い頃に両親を亡くし、オックスフォード大の寮で育てられてきたライラだったが、ある日、金持ちのコールター夫人が現れ、引き取られる。リッチな生活が始まるが、次第に夫人の狙いが明らかになっていく。そして、ライラの冒険の旅が始まる。なかなか面白い設定のパラレル・ワールドで、だから“何でもあり”のCG合成の世界が目まぐるしく展開される。バトルのシーンなどかなりリアルなので、小さい子供は、どう思うのだろうか?(スコープ・112分・08年3月1日)

1月17日(木)アメリカ映画「魔法にかけられて」Enchanted

 アニメの世界のお姫様が、突如、現代のニューヨークに現れる。まったく未知の世界に戸惑うプリンセス・ジゼル。そんな彼女を偶然助けたのは、バツイチ弁護士のロバートと娘のモーガンだった。仕方なく、ロバートは、行く宛のないジゼルをアパートに泊めてやる。ところが、ジゼルは、普通の女性とは違っていて、次々とトラブルを起こしていく。そしてさらに、ジゼルを探して、アニメの世界からエドワード王子がやってきて、騒動は大きくなっていく。アニメの世界のキャラクターを現実の世界に登場させるという画期的なアイデアのファンタジーで、ディズニーならではの細かいパロディが次々と連打される。歌やBGMまでとことんこだわった作りがディズニー・ファンにはたまらない。(スコープ・108分・08年3月14日)

1月15日(火)日本映画「L change the WorLd」L change the WorLd

 デスノートに書いた自分の死まで残された23日間に、次々と未解決事件を解決するL。そんな彼の元に、ヘリコプターで運ばれてくる少年。彼は、タイで消滅した村の唯一の生き残りだった。そして、また一人、非業の死を遂げた父親から託された“もの”を持って、少女が訪ねてくる。さらに、少女が持ってきた“もの”を奪おうと、ある環境団体のメンバーがやってくる。これまで、モニターの前で事件を解決してきたLだが、今回は自ら動かなければならない羽目に陥っていく。「デスノート」からのスピンオフ作品だが、監督も替わって、全く別ジャンルになった。だが、中田監督作品だけに、貞子のような形相で復讐しようとする福田麻由子は、なかなかいい。(ヴィスタ・128分・08年2月9日)

1月11日(金)ハンガリー映画「君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956」Szabadsag szerelem / Children of Glory

 1956年、ソ連の衛星国として共産主義政権が独裁していたハンガリーで、自由を求めて市民たちがデモを始める。そこで、ハンガリーの水球チームのエース選手カラチは、デモの先頭に立つ女性闘士ヴィキに出会う。たちまち恋に落ちる二人だったが、苛酷な運命は彼らの人生を翻弄していく。“ハンガリー動乱”と、オリンピックの“メルボルンの流血戦”。この二つの事実を背景に、ハンガリーの自由への戦いと、これまで語られることのなかった歴史の暗部が明らかになっていく。激動の時代のヨーロッパで自由のために戦った人たちの勇気と行動力に経緯を表したい。(スコープ・120分・東京07年11月17日、福岡08年1月19日)

1月8日(火)イギリス映画「エリザベス:ゴールデン・エイジ」Elizabeth : The Golden Age

 「エリザベス」の続編。女王の座に就いたエリザベスだったが、ヨーロッパ全土をカトリックにしようとするスペインの圧力は日増しに強くなっていた。さらに、スコットランドから逃亡してきた従妹メアリーがイングランド女王を主張しているのも頭痛の種だった。その裏には、スペイン国王フェリペ2世の陰謀があったからだ。そして、女性として生きることを忘れたはずのエリザベスの前に現れる航海士ローリー。しかし、エリザベスは、ひとりの女性に戻ることは出来なかった。陰謀うずまく宮廷の時代に、絢爛豪華なコスチューム劇が繰り広げられる。また、スペインの無敵艦隊との戦いのシーンは、なかなかの迫力あるスペクタクルだ。(ヴィスタ・114分・08年2月16日)

1月1日(火)あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしく!

12月26日(火)アメリカ映画「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」Sweeney Todd The Demon Barber of Fleet Street

 15年もの間、無実の罪で投獄されていたベンジャミン・バーカーは、脱獄し、復讐のために、ロンドンにやってくる。そして、スウィーニー・トッドと偽名を名乗り、昔と同じ場所に理髪店を出す。自分を罪に陥れたターピン判事への復讐の機会を待つトッドだったが、自分の正体を見破って脅しをかけてきた理髪師を殺してしまう。そして、その死体は地下で処理され、ミセス・ラベットのパイとなって、評判を呼ぶ。ブラッディで、シニカルな内容が、ティム・バートン監督、ジョニー・デップコンビにぴったりだ。ブロードウェイ・ミュージカルの映画化だが、相当にダークなキワモノだ。大物を起用した配役は贅沢だし、オーディションで探したトビー役の少年の歌はすごい!(ヴィスタ・117分・08年1月19日)

12月25日(火)イタリア映画「マリア・カラス 最後の恋」Callas e Onassis

 20世紀を代表する歌姫(ディーヴァ)と言われるマリア・カラス。イタリア人実業家メネギーニに見い出された彼女は、またたく間に、オペラ歌手の頂点に立っていく。しかし、ギリシアの海運王オナシスとの出会いが、マリアの運命を変えていく。マリアとオナシス。お互いに不遇の子供時代をおくった二人は、惹かれあい、激しい恋に落ちる。だが、二人の人生は、平穏ではなかった。“自由奔放な愛に生きた”と思われているマリアとオナシスだが、その裏側には、こんな“愛のすれ違い”があったのだ。(ヴィスタ・117分・08年2月16日)

12月21日(金)アメリカ映画「団塊ボーイズ」Wild Hogs

 自己破産し、離婚したウディ。メタボリック症候群の歯科医ダグ。小説家を目指す下水配管工のボビー。恋人いない歴半世紀のパソコンおたくダドリー。“俺たちの人生、このままで終わっていいの!?”と奮起した4人の中年男たちが、憧れのハーレーにまたがって、大陸横断の冒険に出る。だが、中年男たちが、“ワイルドで行こう!”という訳にはいかない。行く手には、大小さまざまなトラブルが。そして、最大の敵は、ハイウェイのバーにたむろしていた不良バイカー集団デル・フエゴスだった。果たして、彼らは、“男”になれるのか?トラボルタを始めとする4人がそれぞれ性格俳優で、細かいギャグを連発しながら、辛らつな笑いを提供してくれる。そして、予期せぬ「イージー・ライダー」の登場も楽しい。(スコープ・99分・08年2月9日)

12月21日(金)韓国映画「ユゴ〜大統領有故〜」その時、その人々/The President's Last Bang

 1979年10月26日、独裁政権を支配する朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が射殺される。撃ったのは、当時のKCIA長官キム・ジェギュ。果たして、この日、いったい何が起こったのか?イム・サンス監督は、膨大な資料を元に、事件を再現する。ドキュメンタリーではないが、かなり信ぴょう性の高い内容だと思う。2年前にプサン映画祭で見た時には、朴正煕の遺族に訴えられ、最後のニュース場面3分50秒が真っ黒な画面でカットされていた。今回、オリジナルバージョンを見ると、確かに、最後のニュース映像は強烈だ。去年、監督に会った時に、“あの3分50秒が大切なんだ!”と言っていた意味がよく分った。(ヴィスタ・104分・東京07年12月15日、福岡08年2月2日)

12月17日(月)アメリカ映画「ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記」National Treasure : Book of Secrets

 日記の破片に名前があったことから、リンカーン暗殺の首謀者にされてしまうベン・ゲイツの祖父トーマス・ゲイツ。再度、日記を調べると、暗号が見つかる。ゲイツ一族の汚名を晴らすための新たなる旅が始まった。次々と見つかる暗号の謎はかなり難解だが、速いテンポで物語が進んでいくので、あまり理屈にはこだわらずに見ていられる。冒険コミックをそのまま実写映画化した感じで、楽に見ることができる。(スコープ・124分・07年12月21日)

12月17日(月)日本映画「毋べえ」の記者会見に出席。

12月14日(金)アメリカ映画「ウォーター・ホース」The Water Horse : Legend of the Deep

 出征したまま帰らない父を待つ少年アンガスは、湖で青く光る卵を見つける。それから生まれたのは、伝説の生き物“ウォーター・ホース”だった。クルーソーと名付けられた生き物は、みるみるうちに大きくなっていった。巨大になったクルーソーは、湖に放される。村人の中には、クルーソーを目撃する人たちも出てきて、観光に利用しようとしていた。そんな時、平和な村に、兵士たちがやってくる。ネス湖の恐竜の写真はトリックだった。しかし、本当に“伝説の生き物”がいたとしたら、という発想の動物ファンタジー。美しい湖の風景と、ウォーター・ホースのCGが見事だ。(スコープ・112分・08年2月1日)

12月14日(金)日本映画「毋べえ」

 昭和15年、東京の下町に暮らす四人家族。その家では、毋のことを“毋(かあ)べえ”、父のことを“父(とう)べえ”、長女・初子のことを“初べえ”、次女・照子のことを“照べえ”と呼んでいた。ある日突然、父べえが治安維持法で逮捕されたことから、一家の平和な日々が崩れていく。確かに、生活のために、さまざまなことを妥協しなければならない世の中。それがもっと大変だった昭和15年という時代に、人間としての誇りを貫いた父べえと、そんな父べえを尊敬し、何があっても支え続ける毋べえ。そこには、人を信じることの大切さ、そして、自分の信念に正直に生きることの“強さ”があった。やさしく、そして強く生きることを改めて痛感させられた。(ヴィスタ・132分・08年1月26日)

12月13日(木)イギリス映画「28週後...」28 Weeks Later

 ウィルスによって壊滅状態になった「28日後...」のその後。アメリカ軍によって、蔓延していたウィルスは駆逐され、ロンドンは再構築を始める。そして、スペインに旅行中で難を逃れた姉弟が、帰国を許される。彼らを待っていたのは、地区の統括官を任されている父親のドンだった。しかし、母親の姿は無かった。母親の写真を探すために、立ち入り禁止区域の自宅に行った二人が見たものは…。そして、再び、魔のウィルスが蔓延を始める。「28日後...」の恐怖は、ウィルスに感染した者が20秒以内に豹変し、狂暴化するということだったが、その恐怖が復活した。(ヴィスタ・104分・08年1月19日)

12月13日(木)日本映画「リアル鬼ごっこ」

 次々と謎の死を遂げる人々。共通点は、すべて“佐藤”という名字だということ。そして、不良少年・佐藤翼は、敵対グループに捕らえられ、絶対絶命の危機の瞬間、別な空間に移動してしまう。そこは、パラレルワールドで、国王の命令で、“佐藤”という名前の人間が黒装束の鬼に追いかけられ、捕まれば死刑という“リアル鬼ごっこ”が行われていた。「親指さがし」の時もそう思ったが、山田悠介原作には、ついていけない部分が多い。しかし、海賊版撲滅キャンペーンの少女は、なかなかいい役だ。(ヴィスタ・98分・08年2月2日)

12月12日(水)日本映画「陰日向に咲く」

 パチンコにのめり込んで借金まみれのダメ男シンヤは、浅草で寿子と出会い、かつて彼女の母親の相方を探す手伝いをすることに。一方、崖っぷちアイドル、みゃーこを追いかけるのは、アキバ系オタクのゆうすけ。エリートサラリーマンのリュウタロウは、街で見かけたモーゼに憧れて、ホームレス生活を始める。どこか日の当たらない人たちの関係は、次第に絡み合っていく。劇団ひとりの小説を映画化したもので、ちょっと作り過ぎの感もあるが、なかなかうまい人間関係のもって行き方だ。人生、その時は分からず、後で後悔することも多いのだ。(ヴィスタ・129分・08年1月26日)

12月11日(火)日本映画「犬と私の10の約束」

 14歳の少女あかりは、迷い込んで来た小犬に“ソックス”という名前をつけ、飼うことにする。入院中の毋は、犬を飼う時は、犬との“10の約束”を守らなければならないと教えてくれる。それから、さまざまな出来事が起きる中、あかりの中で、ソックスの存在が変化し始める。タイトルを聞いただけで想像できる内容なのだが、それでも、動物ものは泣けて仕方がない。(ヴィスタ・117分・08年3月15日)

12月11日(火)日本映画「歓喜の歌」

 とある地方都市の文化会館。大晦日に2つのママさんコーラスの発表会がダブルブッキング。先に申し込んだのは、結成1年半の庶民派ガールズ。しかし、セレブ系のレディースは、記念すべき20周年コンサートで、市長の奥さんまで入っている。日頃からいい加減な仕事ぶりで、どうにかなるさ、とタカをくくていた主任の運命は?立川志の輔の落語をベースにしているだけに、細かい仕草やセリフがとても洗練されていて、思わず吹き出してしまう。そして、最後は、ほんわか泣かせてくれる。和製喜劇の基本だ。(ヴィスタ・112分・08年2月2日)

12月7日(金)アメリカ映画「アイ・アム・レジェンド」I Am Legend

 2012年、世界は、ウィルスによって壊滅した。残されたのは、ロバート・ネビルと愛犬サムだけ。彼らは、人っ子一人いないニューヨークの廃虚を車で突っ走る。だが、生存者がいない訳ではない。太陽が沈むと、凶暴なゾンビ“ダーク・シーカーズ”が襲ってくる。3年経っても誰も現れず、ワクチンも作れないネビルは、自暴自棄になり、ダーク・シーカーズたちの罠にはまってしまうが、…。これまでに2度映画化されている有名な原作だが、今回は、かなり“ウィル・スミス風アレンジ”がなされ、主人公の性格がかなり深く描き込まれている。(スコープ・100分・07年12月14日)

12月6日(木)アメリカ映画「フライボーイズ」Flyboys

 1916年、フランスに侵攻したドイツ軍とイギリス・フランスの連合軍が戦っていた頃、フランス軍のパイロットとして志願してきたアメリカ青年たちがいた。当時の飛行機は、2枚羽根の複葉機で、操縦席は何のカバーもなく、敵からの攻撃に無防備だった。そんな時代の英雄パイロットたちの壮絶な戦いの実話だ。「スパイダーマン」のハリー・オズボーン役で知られるジェームズ・フランコが、無鉄砲ながらも次第に一流のパイロットとして成長していく主人公を熱演している。もちろん、CGによるシーンも多いが、本物の飛行機を使っている部分もかなりあって、迫力充分。製作費70億円の超大作だ。(スコープ・138分・08年1月5日)

12月5日(水)アメリカ映画「アメリカン・ギャングスター」American Gangster

 1970年代初めのニューヨーク、ハーレムを牛耳るギャングのボスに15年間使えて来たフランクは、ボスの跡を継ぐべく、ヴェトナム戦争の軍用機を使った麻薬の密輸に乗り出す。彼は、純度100%のヘロインを“ブルー・マジック”というブランドで売り出し、瞬く間に巨万の富を得、ハーレムのボスにのし上がる。そんなフランクに目をつけたのが、汚職はびこる警察を飛び出し、特別麻薬取締局で捜査を担当していたリッチー刑事だった。アメリカン・ドリームの表と裏で、ぶつかる二人の男たち。そこには、彼らが信じて疑わなかった“彼らなりの信念”があった。実話なので、地味な話だが、彼らがいたから、今のアメリカがあると言ってもいいぐらいの重要な事件の一つだ。(ヴィスタ・157分・08年2月1日)

12月4日(火)日本映画「銀色のシーズン」

 スキー客で賑わう白馬で、“雪山のなんでも屋”を派手に宣伝する銀たち3人組。めちゃくちゃな彼らの行動に町の人々は大迷惑だ。町の復興を賭けたスノーウェディングの花嫁第1号の七海がやってくる。全くスキーのできない彼女にコーチを買って出る銀だったが、特訓はすんなりとはいかない。そして、彼らそれぞれの過去と彼女の秘密が絡み合ってくる。「海猿」シリーズの羽住監督らスタッフが、雪山を舞台に撮ったスポ根ラブ・コメ。去年は異常に雪が少なかったため、カナダまで行って雪のシーンを撮らなければならなかったそうだ。(スコープ・108分・08年1月12日)

11月30日(金)ドイツ・イギリス合作「アース」Earth

 「ディープ・ブルー」のスタッフが、今度は地球全体に関するドキュメンタリーを5年の歳月をかけて完成。北極のホッキョクグマの親子に始まった旅は、カナダのカリブーの群れを追い、シベリアのアムール豹、砂漠のアフリカ象、そして熱帯の海から南極に移動するザトウクジラの毋子まで、地球を半周する。そこには、懸命に生命を育む動物たちの姿が走馬灯のように映し出される。そして、このまま気温が上昇を続ければ、ホッキョクグマたちの姿は、2030年までに見れなくなってしまうと締めくくる。自然破壊は、私たちの想像を遥かに越えたスピードで進んでいる。(ヴィスタ・98分・08年1月12日)

11月28日(水)アメリカ映画「Mr. ビーン カンヌで大迷惑?!」Mr. Bean's Holiday

 97年から10年ぶりの続編。教会の宝くじに当たったビーンは、南フランス・カンヌの海岸にヴァカンス旅行へ。しかし、フランス語など全くダメなビーンのことだから、次々とトラブルに。彼のおかげで父親とはぐれてしまった少年とカンヌを目指すが、失敗の連続で、無一文に。でも、なんとかカンヌを目指す。もともとビーンは喋らないキャラなのだが、1作目の映画で喋り過ぎたという反省があって、今回はほとんど喋らない。それが、いい。コメディは、シンプルでいい。お約束でトラブルが続いていくが、サイレント映画へのオマージュもたくさんあって、楽しいコメディになった。(ヴィスタ・89分・08年1月19日)

11月27日(火)アメリカ映画「ジェシー・ジェームズの暗殺」The Assasination of Jesse James by the coward Robert Ford

 西部劇の無法者ジェシー・ジェームズ。だが、彼の真の姿を描いた映画はこれまでなかった。それを今回は、ロン・ハンセンが丹念に調べた小説を基に、“人間ジェシー・ジェームズ”を描き出していく。1881年、ジェシーの名前は、アメリカ全土に知れ渡り、多額の賞金がかけられていた。それでも次々と強盗を重ねるジェシー。しかし、彼が本当に用心しなければならなかったのは、信頼している仲間だった。ブラッド・ピット演じるジェシーは、メディアによって勝手に英雄化されていく自分自身との葛藤に苦悩していた。そして、彼を撃ったロバート・フォードは、ジェシーの崇拝者だった。伝説と真実は異なる。それをリアルに描いた大作だが、リアルにこだわっただけ、地味で暗い作品だ。(スコープ・160分・08年1月12日)

11月24日(土)アメリカ映画「市民ケーン」Citizen Kane

 20年以上ぶりにフィルムで見たが、物凄い量の細かい映像と伝説のグレッグ・トーランドのキャメラワークがすばらしい!

11月22日(木)アメリカ映画「ブラザーサンタ」Fred Claus

 “サンタ・クロースに、ダメな兄がいたら…”という設定のコメディ。兄のフレッドは、借金取り立てのトラブルで警察へ。保証人になる代わりに弟が出した条件は、北極に来て、サンタの仕事を手伝うこと。しぶしぶやって来たフレッドは、次々にトラブルを起こしていく。そして、そこへ能率向上委員がサンタの工場のチェックにやってくる。順調にいっていなければ、操業停止の危機だ。果たして、サンタと兄フレッドは、今年も子供たちにプレゼントを届けることができるのか?主演のビンス・ボーンは、アメリカでは超人気のコメディアンで、この作品も大ヒットになっているそうだが、日本ではどこまでいけるか!仲の悪い兄弟で、スタローンの兄とボールドウィンの弟が出てくるのがおかしい。(ヴィスタ・116分・07年12月1日)

11月20日(火)アメリカ映画「ベオウルフ-呪われし勇者-」Beowulf

 6世紀のデンマーク。国王フロースガールが祝宴をやっていた城に突然現れた怪物グレンデルは、人々を虐殺する。怪物を退治した者には、富と名声を約束するという王のお達しに多くの強者たちが集まるが、ことごとく倒されてしまう。そんなところに海の向こうからやってきたのが勇者ベオウルフだった。何とかグレンデルとの闘いを制し、怪物を追い払うベオウルフ。しかし、グレンデルの母親の怒りが、再び、王国を襲う。古典的な英雄詩が元になっているだけに、かなり大時代的な古臭さを感じるが、すべての場面を3Dデジタルで合成し、映像的な斬新さが、RPGのような疑似体験をさせてくれる。(スコープ・114分・07年12月1日)

11月20日(火)日本映画「北辰斜にさすところ」

 昭和11年、旧制七高に入学した主人公上田勝弥は、先輩・草野正吾から“天才的な馬鹿になれ、馬鹿の天才になれ!”と諭される。それは、勉学に遊びにとことんのめり込み、本当に豊かで思い出に残る学生生活だった。そんな旧制高校の同窓生たちが、七高野球部創立100年を記念して、熊本の人吉で記念試合をやるという案内が、上田のところにも来る。しかし、上田には、戦場での忘れられない辛い出来事があった…。戦争がなければ、死なないでいた同窓生たちもたくさんいただろう。上田が戦後60年、故郷に帰らなかった理由が辛い。今では老人たちの思い出話だ。だが、旧制高校の良き伝統は受け継がれなければならない、と痛感する。“北辰(ほくしん)斜(ななめ)にさすところ”とは、七高の寮歌で、映画を見れば、これを題名にしたことがよく分かる。(ヴィスタ・111分・東京07年12月22日、福岡08年1月19日)

11月19日(月)日本映画「人のセックスを笑うな」Don't laugh at my romance.

 美術学校に通う19歳の青年みるめは、偶然、年上の女性と再会する。そこから、39歳のリトグラフの非常勤講師ユリとみるめの恋はエスカレートしていく。周囲から見ると、不自然な関係なのかもしれない。しかし、好きあった二人に、年の差や体裁は関係ない。タイトルから、激しい“性描写”を想像するかもしれないが、そんなポルノチックな映画ではない。正当派のラブ・ロマンスで、英語のタイトルの“私のロマンスを笑うな”のほうが当たっている。(ヴィスタ・137分・08年1月19日)

11月19日(月)アメリカ映画「ディセンバー・ボーイズ」December Boys

 「ハリー・ポッター」のラドクリフ君が第4作と第5作の撮影の間に多くの脚本の中から自ら選んだ青年への成長物語。孤児院で育った4人の少年たちは、夏休みを小さな海辺の老夫婦の家で過ごすことになる。隣りには、養子を迎えようと考えている若い夫婦がいた。何とか気に入られようとする少年たち。今度こそ、幸せな家庭に入りたいと必死なのだ。ひと夏の体験は、少年たちを大人に成長させる。舞台となるオーストラリアの小さな入り江が美しい。(ヴィスタ・105分・07年12月1日)

11月16日(金)アメリカ映画「ダーウィン・アワード」The Darwin Award

 ダーウィン賞というのは、最も愚かな死に方をした人に贈られるという実在の賞。サンフランシスコ市警のプロファイラー、マイケルは、殺人事件の犯人を取り逃がしたことで辞職。ダーウィン賞の人々がいかに保険会社の多額の損失を与えているかということを証明するために、アメリカ横断の旅に出る。このとぼけたキャラのマイケルを演じるのは、シリアスな役の多いジョセフ・ファインズ。そして、彼と共に旅をする保険調査員がウィノナ・ライダー。さらに、ダーウィン賞の奇妙な人々も、ハリウッドの性格俳優が続々と出て来て、ビックリ!皆んなで楽しみながら作ったというのが、よく分かるユニーク作品だ。(ヴィスタ・95分・東京07年12月1日、福岡08年1月12日)

11月13日(火)日本映画「オレの心は負けてない」

 在日朝鮮人「慰安婦」にさせられた宋神道(ソン・シンド)さんと、彼女の裁判を支える会の運動をテーマにしたドキュメンタリー。辛い過去を語るおばあちゃん。でも、彼女は決して悲観的ではなく、常に明るく元気だ。そんな宋神道おばあちゃんの姿を見ると、こっちも頑張らなきゃ!と逆に励まされた気がする。頑張ろう!(ヴィスタ・95分・07年各地で自主上映)

11月12日(月)アメリカ映画「PEACE BED アメリカ VS ジョン・レノン」The U.S. VS. John Lennon

 ジョン・レノンは、常に平和を訴えていた。しかし、ベトナム戦争に喘ぐニクソン政権は、彼の影響力の大きさに脅威を感じ、FBIに監視させる。元FBI捜査官の証言は驚くべきものだ。さらに、72年の出された国外退去命令の裏には、上院議員や司法長官が深く関与していた。国家がここまで個人を陥れようとして、許されるのか?改めて、ジョン・レノンの歌の意味が理解できた。そして、我々もその意志を引き継がねばならない。(ヴィスタ・99分・07年12月8日)

11月9日(金)韓国映画「カンナさん大成功です!」美女はつらいの/200 Pounds Beauty

 鈴木由美子の原作コミックは、韓国でも30万部を越えるミリオンセラーということで、昨年12月に公開され、662万人の大ヒット。95Lの巨体で、人気歌手の舞台の裏で、吹き替え“ゴースト歌手”をしてるカンナ。しかし、想いを寄せるプロデューサー、サンジュンの本音を聞いてしまった彼女は、絶望し、自殺しようとするが、そこで思わぬ邪魔が入り、全身整形をすることに。48Lのスレンダーボディに生まれ変わったカンナは、ジェニーという偽名を使って、サンジュンの元へ。ちょっとアブナイギャグもあるが、あまり深刻に議論するのではなく、軽く笑えるラブコメというところだろう。(スコープ・116分・07年12月15日)

11月8日(木)日本映画「椿三十郎」Sanjuro

 黒澤明監督の名作を脚本はそのままでリメイク。大目付たちの汚職を暴こうとする9人の若侍たちの純粋さを感じた素浪人・三十郎は、彼らと共に行動を始める。しかし、大目付サイドにも、剣術に長けた室戸半部衛がいた。三十郎と若侍たちは、捕らえられていた城代家老の奥方と娘を救うが、家老の居場所は分からない。殺陣のシーンでは、鈍い音や疲労感が強調され、リアルさへのこだわりがよく伝わってくる。さらに、有名なラストシーンも、黒澤版とは違うオリジナリティーにチャレンジしている。(スコープ・119分・07年12月1日)

11月7日(水)日本映画「スマイル〜聖夜の奇跡〜」SMILE

 東京でタップダンサーへの夢を絶たれた修平は北海道に帰って来る。そして、結婚の許しを得に行った恋人・静華の家で、少年アイスホッケー・チームの監督に決まる。試合に勝つことが、条件なのだ。そこから、全くの素人である修平のちょっと変わったチャレンジが始まる。陣内孝則の監督第2作で、泣ける話ではあるが、“なぜ、陣内孝則がこの題材を映画化するのか?”という素朴な疑問は残る。(ヴィスタ・125分・07年12月15日)

11月6日(火)アメリカ映画「テラビシアにかける橋」Bridge to Terabithia

 貧しい家庭のため、クラスメートからいじめられるのを仕方ないことのように思っている小学5年のジェス。しかし、転校してきた少女レスリーとの出会いは、彼の気持ちを徐々に変化させていく。二人は、小川を渡った森に、“テラビシア”という架空の王国を作り、小さな冒険を始める。有名な原作だそうだが、単なるファンタジーだけではなく、いじめや貧困などの現実的な要素が適所に取り込まれていて、学校の教材としてもぴったりな内容だ。「リーピング」では、イナゴ少女だったアナソフィア・ロブが、何ごとにもアクティブに生きる少女を屈託なく好演。新作も続々待機中で、これからが楽しみだ。(ヴィスタ・95分・08年1月26日)

11月5日(月)アメリカ映画「再会の街で」Reign Over Me

 歯科医のアランは、ある日街で、大学時代のルームメイト、チャーリーと出会う。彼は、5年前の9月11日、妻と3人の娘を失った悲しみから、過去を忘れ去り、自由きままな世界に住んでいた。何とかチャーリーを社会復帰させようと努力するアラン。そして、その行動がアラン自身の問題をも巻き込んでいく。お互いに、“何か”を喪失している二人の友情の物語は、“何か”を無くしている現代人すべてに共通するテーマだ。スプリングスティーンやザ・フーなどの70年代、80年代のロックが効果的に使われている。(スコープ・124分・08年1月 日)

11月2日(金)オーストラリアの先住民・アボリジニの人々についてのドキュメンタリー映画「カニニ」Kanyini 上映を記念して、アクロス福岡で、ワークショップ“思いを映像に変える”。メラニー・ホーガン監督の思いが1本の映画を造った。最後には、アンクル・ボブがアボリジニの歌を披露し、娘が伝統的なダンスを踊ってくれて、有意義な時間を共有できた。

11月2日(金)フランス映画「ペルセポリス」Persepolis

 イランの少女マルジが9歳の時に、イスラム革命が起きる。しかし、大規模な粛清で反政府主義者の処刑が続き、弱体化したところに隣国イラクが攻撃を始める。そんな揺れ動く国家体制の中で、マルジの考えは、自由奔放。危険を感じた両親は、マルジをウィーンに留学させる。イラン出身のマルジャン・サトラピの自伝的グラフィック・ノベルを自らの手で映画化。モノクロのアニメだが、描かれる内容は、かなり深刻。だが、アニメにしたことによって、イランという特殊な国のテーマを、普遍的なものに変化させることに成功している。監督がパリを拠点に活躍していることからフランス語の映画になり、ドヌーブを始めとする豪華ボイス・キャストを実現することが出来た。(ヴィスタ・95分・08年1月12日)

11月1日(木)アメリカ映画「その名にちなんで」The Namesake

 インドで見合い結婚をしたアシマは、夫アショケと共にニューヨークへ。まもなく生まれてきた長男に、“ゴーゴリ”と名付けるアショケ。成長したゴーゴリは、自分の名前や両親、そして故郷であるインドにギャップを感じていく。これまでにもさまざまなカルチャー・ギャップをテーマにしてきたミーラー・ナーイル監督がピュリツァー賞作家のベストセラーを映画化したものだが、今回は、家族の中でも特に、父と息子の絆に重心が置かれている。(ヴィスタ・122分・07年12月22日)

10月30日(火)朝日カルチャーセンターで、“韓流ドラマ・映画/秋の最新情報”と題した特別講座。

10月29日(月)九州大学芸術工学大学院で、“プサン国際映画祭”についての講演。今年の映画祭に参加した学生10名の研究レポートの発表も聞く。

10月25日(木)日本映画「マリと子犬の物語」A tale of Mari and three puppies

 2004年10月23日、新潟県の山古志村を襲った大地震。押しつぶされた家の下敷きになったおじいさんと孫娘・彩の命を救ったのは、愛犬マリだった。しかし、救助に来た自衛隊のヘリには、ペットを乗せることはできなかった。ヘリを追い掛けて走るマリ。彩ちゃんの泣叫ぶ声が響きわたる。もう、これだけ書いているだけでも、その場面が脳裏をよぎって、目頭が熱くなる。動物ものは、すぐ感情移入してしまうのだ。(ヴィスタ・124分・07年12月8日)

10月24日(水)日本映画「ロボ☆ロック」ROBO☆ROCK

 便利屋のマサルは、ある日、ニラサワというオタクから奇妙な依頼を受ける。それは、ランドツェッペリンという巨大ロボットを起動させるために、マサルの声が欲しいという突飛なものだった。「ブレイブストーリー」など多くのデジタルアニメを製作しているGONZO初の実写映画。だが、ロボットは、「鉄人28号」や「アイアン・ジャイアント」などの昔からのレトロな味を持った造形で、いかにも“プロのオタク”といった凝った映像で表現される。大人の造った“贅沢なオモチャ”といった感じだ。(ヴィスタ・92分・07年12月1日)

10月23日(火)アメリカ映画「ウェイトレス〜おいしい人生のつくりかた」Waitress

 田舎の小さなダイナーで働く3人のウェイトレス。中でも、パイ造りの名人ジェンナは、パイはうまく造れるが、ダメ亭主のせいで、人生は失敗続き。そんなジェンナが予想外の妊娠をしてしまったことで、同僚たちと計画していた家出もダメに。果たして、ジェンナは、子供を生むことができるのか、それとも!?いかにもアメリカの田舎町を舞台に繰り広げられる往年のTVホームドラマ的コメディだが、彼女たちの悩みは深刻でリアルだ。この作品が遺作となってしまったエイドリアン・シェリー監督の実体験に基づいたシナリオが実によくできている。(ヴィスタ・108分・08年1月5日)

10月22日(月)デンマーク映画「アフター・ウェディング」Efter Brylluppet (After the Wedding)

 インドで孤児たちの支援活動を行っているデンマーク人ヤコブとところに、デンマーク人実業家から多額の寄付の申し出がある。だが、直接、出向いて行くというのが条件だ。いやいやながら、久しぶりに故郷に帰るヤコブ。果たして、実業家ヨルゲンの思惑とは、いったい何なのか?「象の背中」の役所広司は、息子に病気を知らせるが、ヨルゲンの場合は、…。人間、直面すると、どう対処していいのか、理屈では理解できない行動というのがあるのだろう。「しあわせな孤独」のスサンネ・ビア監督、ただものではない才能だ。同時期に公開される前作「ある愛の風景」も早く見たい!(ヴィスタ・119分・07年11月24日)

10月19日(金)日本映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」ALWAYS

 多くの映画賞を独占した前作から4ヶ月後の昭和34年。完成した東京タワーを望む夕日町三丁目では、相変わらずの温かい日々がおくられていた。川渕が再び、淳之介を引き取りにやってくるが、茶川は、拒否。だが、川渕は“淳之介が人並みの暮らしをしていないと分ったら、その時は、連れて帰ります”と言い残して帰ってしまう。作家として成功するためには、芥川賞しかない。茶川は一念発起して、新作に取りかかるが、…。今回、VFXで再現されたのは、かつての日本橋や羽田空港など。合成技術の進歩には目を見張るばかりだ。(スコープ・146分・07年11月3日)

10月16日(火)アメリカ映画「マリア」The Nativity Story

 これまであまり語られることのなかったキリストの毋マリアと夫ヨセフの秘話。ヨセフと結婚したマリアだったが、しきたりによって、一年間は子づくりは禁止。ところが、森の中で天使ガブリエルに出会い、“神の子”を身ごもる。マリアの言葉をすぐに信じられないヨセフだったが、夢の中に現れた天使の御告げを聞く。“救世主”を見つけだそうやっきになるヘロデ王の人口調査に追われるように、ナザレからベツレヘムまでの苛酷な旅が始まる。“神の子”のために懸命に生きるマリアを力強く演じているのは、「クジラの島の少女」でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたケイシャ・キャッスル=ヒューズ。これまで、どちらかと言えば、弱々しいイメージだったマリアの人間性の強さが印象的だ。(スコープ・100分・07年12月1日)

10月11日(木)韓国映画「ノートに眠った願いごと」秋へ/Traces of Love

 去年のプサンで見ているが、今年のプサンで、ユ・ジテとキム・ジスに会ったので、もう一度、見る。一週間後に結婚を控えたヒョヌとミンジュは、一緒に家具を選びに行くことに。しかし、仕事が終わらないので、ヒョヌはミンジュに“デパートで待っていて”と伝える。ところが、ヒョヌがデパートに向った瞬間に、…。10年後、ヒョヌは、ミンジュの父から、彼女が残したノートを受取る。そして、そのノートに記されたとおりのコースを旅する。そして、一人の女性に出会う。韓国では、1995年のあのデパート崩落事故を強く記憶している人が多い。去年の第20回福岡アジア映画祭で上映した「愛を逃す」の主人公の両親も、あの事故で亡くなったという設定だった。それにしても、何度見ても悲しい話だ。(スコープ・108分・07年11月17日)

10月10日(水)今週から、九州大学での講議「映画を通してみるアジアと日本」が始まる。

10月9日(火)プサン国際映画祭から帰国。今年は、俳優の参加が多く、パク・チュンフン、ユ・ジテ、カン・スヨン、キム・ジス、ダニエル・ヘニー、パク・サンミョン、オ・グァンノク、イ・スヨン、ミョン・ゲナムなどに会えたし、監督やプロデューサーたちともいろいろ話すことが出来て、本当に有意義な映画祭だった。

10月4日より9日まで、第12回プサン国際映画祭に出席します。

10月2日(火)アメリカ映画「モーテル」Vacancy

 離婚を決めた男女の最後のドライブでも、二人は口論を続ける。しかし、車の故障で、仕方なく、寂れたモーテルに泊まることになる。かなり、異様な雰囲気のモーテルだ。部屋にあるTVは、どの局も映らない。散在するビデオテープを入れると、そこには、泣き叫ぶ男女の殺害シーンが。スナッフビデオだ。しかし、よく見ると、そのビデオが撮られたのは、そのモーテルのその部屋だった。最近は残酷描写やCG合成のホラー映画が流行なのだが、この作品は、そういった特殊撮影に頼らない正当派のスリラー。「サイコ」へのオマージュが著しいが、オチはない。(スコープ・85分・07年11月17日)

10月1日(月)アメリカ映画「バイオハザードIII」Resident Evil: Extinction

 前作から数年、T-ウィルスは、世界中に感染し、アンデッドによって地上は砂漠と変わり果てていた。クレア率いる新たな生存者グループと出会ったカルロスは、砂漠にあるモーテルに辿り着く。ところが、そこも安全な場所ではなかった。そして、生き延びたアリスの血液によって、スーパー・アンデッドを作り出そうと企むアンブレラ社のアイザックス博士は、監視衛星でアリスの居場所を突き止める。生存者グループを助けるために、アンデッドたちと死闘を繰り広げるアリス。そして、ついに、彼女の正体である“アリス計画”の実態が明らかになっていく。砂漠の中での撮影は大変だったそうだが、その分スケールの大きなアクション・シーンに仕上がっている。ファイナルと言っているが、まだまだ続きそうだ。(スコープ・94分・07年11月3日)

9月26日(水)アメリカ映画「ブレイブ ワン」The Brave One

 挙式を間近に控えたエリカとデイビッドだったが、ある日、犬の散歩に行った公園で3人組の暴漢に襲われる。意識不明のエリカが病院で目を覚ましたのは、3週間後だった。そして、知らされるデイビッドの死。警察の捜査は一向に進展しない。エリカは恐怖のあまり外出も出来ない。そんな彼女が手にしたのが拳銃だった。殺人は犯罪だ。しかし、きれいごとでは済まない事件もある。何もしていない人たちを突然襲って傷つける人間がいる。そんな事件が多すぎる。(スコープ・122分・07年10月27日)

9月26日(水)日本映画「象の背中」

 不動産会社の部長・藤山は、ある日、医者に肺がんと告知される。あと半年の命と宣告されるが、延命治療はしないと宣言する。残りの人生を有意義に“生きたい”と決めたのだ。彼は、その事実を息子にだけ告げ、これまでの人生の中で、別れを告げなければならない人々に会いに行く。そこには、藤山の大切な思い出があり、思わぬ和解があった。人間、いつかは死ぬ。その前に、しておかなければならないことがある、ということを痛感した。(ヴィスタ・124分・07年10月27日)

9月19日(水)日本映画「クローズZERO」Crows Zero

 ケンカ三昧の悪ガキたちのたまり場・鈴蘭男子校に、謎の転校生・滝谷源治がやってくる。学校の頂点(テッペン)を極めたい源治は、早速、最大勢力である芹沢軍団に戦いを挑む。そして、数でかなわないと知った源治は、新勢力GPSを旗揚げし、兵隊を集め始める。二つの勢力の“仁義なき戦い”の幕は切って落とされた!最近の少年コミックは、ケンカのシーンでも描写が劇画風だ。かつての「ビー・バップ・ハイスクール」とは、かなり違って、韓国のギャング映画のようだ。三池崇史監督だが、あまり汚くないのは、アイドル青少年たちが主人公だからだろう。(ヴィスタ・130分・07年10月27日)

9月18日(火)日本映画「未来予想図〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜」

 大学のキャンパスで撮影していた自主映画をきっかけに恋人になったさやかと慶太。しかし、慶太があこがれるスペイン転勤の話を聞いたさやかは、慶太に別れを告げる。そして、5年後、憧れの雑誌編集に携わっていたさやかだったが、“大切な想いは、伝えなければ叶わない”という強い気持ちで、慶太にいるスペインへ。ドリカムのヒット曲から生まれたコテコテのラブ・ストーリー。曲が2曲も全編かかると、PVのノリだ。(ヴィスタ・115分・07年10月6日)

9月14日(金)アメリカ映画「インベージョン」The Invasion

 1956年「SF/ボディ・スナッチャー」の2度目のリメイク。宇宙から侵入してきたウィルスが次々と周囲の人間をゾンビのような人間に変えてしまう。息子の細胞がウィルスの阻止につながると知った精神科医キャロルは、息子を守るために、闘う。ニコール・キッドマンが強い母親を熱演。(ヴィスタ・99分・07年10月20日)

9月13日(木)アメリカ映画「グッド・シェパード」The Good Shepherd

 ジョン・フランケンハイマーが亡くなったため、出演を予定していたロバート・デ・ニーロ自ら製作・監督したCIA誕生秘話。1961年、カストロ政権の転覆を目論んだピッグス湾侵攻作戦が失敗する。原因は、CIA内部からの機密の漏えいだった。3日後、作戦の指揮をとったエドワードのところへ、1本のテープと写真が送られてくる。東西冷戦時代に創設されたCIAの誕生のいきさつ、そして情報戦の裏側が時間をかけて丁寧に描写されていく。「オーシャンズ」シリーズでは、“若造”のマット・デイモンだが、顔に表情を出さないプロのスパイを淡々と演じ、堂々の主役だ。果たして、彼は、良い羊飼い(グッド・シェパード)だったのだろうか?(スコープ・167分・07年10月20日)

9月11日(火)ドイツ映画「4分間のピアニスト」Vier Minuten

 ピアノ教師として刑務所を訪れたクリューガーは、机を鍵盤代わりに指を動かす少女ジェニーを見つける。彼女の類い稀なる才能に気付いたクリューガーは、特別レッスンを始める。しかし、殺人の罪で投獄され、生きる希望を失ってしまっていたジェニーは、すべての人間に牙をむき、看守を半殺しにしてしまう。それでも、何とかピアノを弾かせようとするクリューガー。そして、ジェニーの心も次第に開かれていく。実在のピアノ教師の写真にインスパイアされた物語だが、辛い過去を持った二人の女性の再生に心を揺さぶられる。オーディションで見い出されたジェニー役の新人ハンナー・ヘルツシェプルングの粗暴さがリアルだ。(ヴィスタ・115分・07年12月)

9月10日(月)イギリス映画「ヴィーナス」Venus

 ピーター・オトゥールが今年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたイギリス映画。かつてはプレイボーイではやした俳優モーリスも、70歳を過ぎ、身体も次第にいうことを聞かなくなっていた。そんなモーリスの唯一の親友イアンのところに、姪のジェシーがやってくる。下品で不作法な今どきのティーンエイジャーの行動で、最悪の事態に陥るイアンだったが、モーリスは、ジェシーの“生の煌めき”に惹かれる。そして彼のアプローチが始まる。年老いたからと言って諦めずに若い女性を追い掛けるピーター・オトゥール。この人だったら、あり、という感じで、陰湿でないところが、いいのか、な!?(ヴィスタ・95分・07年11月)

9月4日(火)アメリカ映画「キングダム/見えざる敵」The Kingdom

 実際にサウジで起きた爆弾テロをモデルに、その事件を4人のFBI捜査官が、犯人たちを追い詰めていくという娯楽アクションだ。だが、かなりシリアスで重厚な内容がぎっしり詰まった一級の社会派作品に仕上がっている。これまでのハリウッド映画のように主人公たちアメリカ人側からの視点ばかりでなく、サウジ警察やアラブの人々に関してもリアルに描き出している。また、ただ単にアラブのテロリストを極悪非道の犯人にするのではなく、彼らがなぜ、テロに走るのか、という疑問にも答えてくれる。そして、さらに、アメリカが湾岸、アフガニスタン、イラクなどで起こしている戦争の裏に隠されているものも垣間見せてくれる。そういった意味では、この作品は、大いに勉強になる。新たなる石油危機の中、アメリカが中東でやっていることは、日本にも飛び火してくる可能性大だ。だから、今こそ、中東のことを真剣に議論する時だ。(スコープ・110分・07年10月13日)

8月30日(木)日本映画「クローズド・ノート」Closed Note

 引っ越してきたアパートの部屋に残された1冊のノート。それは、その部屋の前の住人・伊吹先生の日記だった。その日記を読み進むうちに、大学生の香恵は、自分自身の恋を始めていく。残された日記の中の人物を自分と同化させていくという設定は、小説では割によくある。だが、それを実際に映像化するのは、大変なことだ。それをうまく、観客を騙しながら、展開していくスマートな演出だ。だが、もう少し短い時間にまとめてほしい。行定監督作品は、少々くどい。(スコープ・138分・07年9月29日)

8月28日(火)アメリカ映画「大統領暗殺」Death of the President

 ブッシュ大統領が暗殺される!というショッキングな内容のドラマ・ドキュメンタリー。ブッシュやチェイニーなど本物の姿がニュース映像で巧みに編集される。だから、どこからどこまでが真実で、どこが“演出されたドラマ”なのか区別がつかない。だが、なぜ、ブッシュが殺されなければならなかったのか、という動機は次第に明らかになっていく。これは、ブラック・ユーモアの域を越えた、新しいジャンルだと言えるだろう。(ヴィスタ・93分・07年10月6日)

8月27日(月)アメリカ映画「リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?」Hoodwinked

 「赤ずきん」をベースにしたCGアニメだが、大幅にストーリーを改編し、かなり大人向き。おばあちゃんの家を訪れた赤ずきん少女レッドは、おばあちゃんに変装したオオカミに襲われる。が、その時、ぐるぐる巻きに縛られたおばあちゃんが飛び出してきて、さらに、オノを持ったきこりが飛び込んでくる。駆け付けた警察は、この事件が、森で起こっている“レシピ泥棒”と関係があると睨んで、関係者への事情聴取を始める。出だしこそ、「赤ずきん」だが、後は、犯人探しのサスペンス・アクション。さまざまな映画のパロディのオン・パレードで、マニアには楽しさ倍増かな!?(ヴィスタ・81分・07年10月6日)

8月24日(金)アメリカ映画「プラネット・テラー in グラインドハウス」Planet Terror

 「デス・プルーフ」と対のグラインドハウス映画。ゴーゴーダンサーに見切りをつけたチェリーがテキサスの故郷に帰って来て、2週間前に別れた恋人と再会。その頃、軍の研究所で、事件が起こり、恐怖の生物化学兵器の毒ガスがバラまかれてしまう。そして、町中が、この細菌に感染したゾンビのような人々でいっぱいになってしまう。果たして、生き残った人々に救いの道はあるのか?本当に久しぶりのゾンビ映画で、そのグロテスクさは徹底した気持ち悪さ。でも、切断した足にマシンガンをつけて、ぶっぱなす美女というのは、画になる!派手なアクションも本格的で、エンターテインメントに徹したロドリゲス演出に、理屈なんかいらない。(ヴィスタ・105分・07年9月22日)

8月23日(木)アメリカ映画「ヘアスプレー」Hairspray

 ダンスの得意な女子高生トレーシーの夢は、人気テレビ番組「コーニー・コリンズ・ショー」に出て踊ること。でも、彼女には、問題があった。それは、太っていること。でも、そんなことはお構い無しに、オーディションに参加してしまうトレーシー。しかし、すんなりと出演は出来ない。そして、さらなるトラブルが彼女の前に立ち塞がることになる。2年先までチケットが予約されているという大ヒット・ブロードウェイミュージカルの映画化だが、その元は、1987年のジョン・ウォーターズのカルトムービー。1960年代のファッションやダンスが、今見ると、なかなかポップだ。ジョン・トラボルタの特殊メイク“女装”は、そんなに気持ち悪くはない。妖艶な色気が売りだったミシェル・ファイファーの“クルエラ”ぶりも堂に入ったもの。(スコープ・117分・07年10月20日)

8月21日(火)日本映画「HERO」HERO

 久利生(くりゅう)検事が映画で帰ってきた。6年ぶりに東京に帰ってきた久利生は、ある過失致死刑事事件の裁判を任される。容疑者は犯行を全面的に認めていて、簡単に終わると思われた裁判だったが、そこに、大物弁護士・蒲生が現れたことから、事態は思わぬ方向に大きくなってゆく。そして、なんとか犯行を実証するために、証拠探しの日々が始まる。テレビシリーズから6年経っているが、去年スペシャルが放送され、30%を維持しているところから、大ヒットすることに自信を持った“テレビ的王道”の演出。さらに、韓流ブームにもあやかりたいので、プサンにロケし、イ・ビョンホンも特別出演。プサン映画祭での上映も決まりかな?因に、チョングッチャンとは、韓国の納豆のことで、劇中に出てくるのは、この納豆を入れて煮込んだ鍋。日本で流行るかな!?(スコープ・130分・07年9月8日)

8月21日(火)アメリカ・ノルウェー合作「酔いどれ詩人になるまえに」Factotum

 ショーン・ペンやU2のボノなど多くのアーティストたちからリスペクトされるカルト作家チャールズ・ブコウスキーが作家になる前の飲んだくれの日々を、マット・ディロンが“自然体”の演技で、好演。詩や小説を出版者に送り続けている自称詩人のチナスキーだが、仕事は何をやっても続かず、毎日、酒浸りの日々。バーで知り合ったジャンも同じようなアル中で、酒とセックスばかりのどうしようもない生活が続く。とにかく、だらだらと酒を飲み続け、やる気の全くない男の話で、よくこんなことをやりながら生きていけるものだ、と呆れるばかりだが、そんな生活だからこそ、傑作が生まれたんだろう。(ヴィスタ・94分・東京07年8月、福岡9月15日)

8月20日(月)日本映画「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」Sukiyaki Western Django

 壇ノ浦の戦いから数百年後のある山間の村、義経率いる源氏ギャングと清盛率いる平家ギャングが激しく対立していた。そこにやってくる凄腕のガンマン。たちまち、二つのギャング団の用心棒争奪戦が始まる。黒澤明監督「用心棒」、そして、イタリアの「荒野の用心棒」をベースにしたストーリーに、マカロニ・ウエスタンらしい何でもありのアクションがテンコ盛り。それぞれ、自分の世界に酔っている個性派俳優ばかりで、ノセながらの演出が、し易かったかも。それにしても、いつものことだが、三池崇史は、汚好き。1966年の「続・荒野の用心棒」の主題歌を演歌調に歌い上げる北島三郎は、さすが!(スコープ・120分・07年9月15日)

8月20日(月)日本映画「釣りバカ日誌18 ハマちゃんスーさん瀬戸の約束」

 1988年に始まったシリーズは、今年20年目で、2本のスペシャルを入れて通算20作目。社長の座を退いて、会長になったスーさんが失踪。鯉太郎への電話から、スーさんが岡山にいるという手がかりを得たハマちゃんは、急きょ岡山へ。そこで、瀬戸内のリゾート開発をめぐる反対運動に巻き込まれていく。これまでにもよくあったストーリー展開で新しさは、あまり感じられないが、「寅さん」もそうだったし、観客に安心して見続けてもらうためには、同じようなパターンもあり、なのかも!?(スコープ・114分・07年9月8日)

8月8日(水)アメリカ映画「シッコ」SiCKO

 世界の37位という健康保険制度に大問題を抱えるアメリカのすさまじい実態。2本の指を切断して病院に行っても、手術費用が高くて、1本しか付けてもらえなかったという男性。救急車で運んだ娘を病院が保険会社の系列じゃあないから系列の病院に行って、亡くしてしまった母親。アメリカの保険制度の裏には、巨大な営利企業が巣食っていて、それが政府にまで影響を及ぼしている。アメリカという国は、本当に大きく間違っている!マイケル・ムーアの新作で、お得意の突撃取材もいろいろ出てくるが、極めてうまくまとめていて、これまでの中では、一番分かりやすい。アメリカのような営利企業による医療制度改革を計画している日本政府を絶対に止めなければならない!(ヴィスタ・123分・07年8月25日)

8月6日(月)アメリカ映画「デス・プルーフ in グラインドハウス」Quentin Tarantino's Death Proof

1960年代から70年代にかけて、アメリカの大都市周辺にあった映画館グラインドハウスでは、刺激的なインディーズ映画の2、3本立てを上映していた。そんな雰囲気をもう一度と思うタランティーノとロドリゲス監督によって、再現されるグラインドハウス映画第一弾。ラジオ局の人気DJジュリアと親友の3人は、バーをハシゴしながら、飲み騒ぐ。そんな彼女たちを密かにつけまわしていたのが、スタントマン・マイクだった。言葉巧みに彼女たちに近付いていくマイク。そして、惨劇は起こる。さらに、2組目の女性たちもターゲットに、…。モデル出身でスタイル抜群のバッドガールズたち、そしてカルト作品「バニシング・ポイント」を崇拝するカート・ラッセルの怪演。タランティーノ監督、“何でもあり”のお約束で、やりたい放題のB級作品を作っちゃいました。ロドリゲス監督の第2弾は、9月22日公開。(スコープ・113分・07年9月1日)

7月31日(火)アメリカ映画「幸せのレシピ」No Reservations

 ニューヨークの人気フレンチ・レストランのシェフ、ケイトは、助手たちを怒鳴りまくる厨房のボス。時には、クレームをつける客と喧嘩もする。もう、ずいぶん恋もしていない。そんな彼女が、姉の娘ゾーイの面倒をみることになってしまう。さらに、出産間近のスー・シェフの代わりとして入ってきたニックという男のやり方が気に食わない。ことごとくぶつかり合う二人だったが、ケイトとの関係も手伝って、次第に変わっていく。2001年のドイツ映画「マーサの幸せレシピ」のハリウッド・リメイク。最近アクションが多かったキャサリン・ゼタ・ジョーンズ久しぶりのラブ・コメ。「リトル・ミス・サンシャイン」でアカデミー賞にノミネートされた子役アビゲイル・ブレスリンがうまい。(スコープ・104分・07年9月29日)

7月30日(月)日本・中国合作「夜の上海」the Longest Night in Shanghai

 音楽祭の仕事で、上海にやってきたカリスマヘアメイクアーティストの水島は、仕事の後、散歩しているうちに道に迷ってしまう。そして、偶然出会ったタクシードライバーのリンシーとの長い夜が始まる。見知らぬ都市で出会った言葉も通じない男女が次第に心を通わせていくという典型的なラブストーリーだが、ところどころに妙なギャグが入るのは、中国人監督の個性なのか? 竹中直人がなぜ、出てくるのか? せっかくユニークな設定なのに、竹中が出てくると、ほかの作品と同じになってしまう。(ヴィスタ・110分・07年9月22日)

7月27日(金)日本映画「Life 天国で君に逢えたら」Life

 8年間ワールドカップに出場し続けた世界的プロウィンドサーファー、飯島夏樹の半生。1991年、夏樹と寛子は、世界中を回りながら、レースに挑戦していた。しかし、なかなか勝つことができず、寝る場所にも苦労する貧乏生活だった。そして、このレースで勝てなければ、もう辞めようと決意したワールドカップ・オーストラリア大会で、見事優勝。やっと結婚式もあげ、4人の子供も生まれ、幸せな生活が始まる。しかし、数年後、夏樹は、スランプに陥り、さらに、ガンを告知される。残された数カ月で、何をできるのか?夏樹と寛子の葛藤が心に刺さる。実際に、死を前にして、笑って楽しく暮らしていたという飯島夏樹のドキュメンタリーを偶然、見ていたという大沢たかおの演技は、確かに明るい。涙が溢れてくるが、暗い話じゃない。(ヴィスタ・118分・07年8月25日)

7月24日(火)アメリカ映画「ファンタスティック・フォー:銀河の危機」Fantastic Four: Rise of the Silver Surfer

 銀河の彼方から、ひとつの星を破壊したエネルギーが、閃光となって、地球に現れる。それは、駿河湾を凍結させ、ロスを大停電に落としいれる。その実体は、銀のサーフボードに乗った“シルバーサーファー”。 彼の身体は、分子構造を変えて、超光速で物体をすり抜けられる驚異のエネルギー体だ。新たなる敵の出現に、F4たちの死闘が開始される。シリーズ第2作で、F4たちが町中の人気セレブになっているというところが、いかにもアメコミ的。シルバーサーファーは、なかなかユニークなキャラなので、スピンオフもありかも。(スコープ・92分・07年9月)

7月23日(月)日本映画「サッド ヴァケイション」Sad Vacation

 1996年のデビュー作「Helpless」の続編として脚本家されていたものに、7年前の「EUREKA ユリイカ」の梢のキャラクターを加えて、北九州サーガの3部目とした。密航の手伝いをする健次は、ある日、父親を亡くしてしまった中国人の少年アチュンを家に連れ帰る。その後、代行運転の仕事に移った健次が、ある日、送っていった先が、間宮運送だった。健次は、そこで、5歳の時に家を出ていった母に出会う。さらに、そこには、かつてのバスジャック事件の生き残りである梢も働いていた。奇妙な糸で繋がっていく人々。彼らの生きざまの行き着くところは、どこなのか?健次の物語は、まだまだ続きそうだ。久しぶりの、“ぼそぼそ”と囁くようなセリフのオンパレードで、特に浅野忠信のセリフは、しっかり聞いていないと、全く聞き取れない!青山監督のこだわりには逆らえない。(ヴィスタ・136分・07年9月15日)

7月18日(水)アメリカ映画「ストンプ・ザ・ヤード」Stomp the Yard

 今年はダンス映画ブームなのか?今作のダンスは、足を力強く打ち鳴らすストンプというステッピング。まるで、オーストラリアのアボリジニのダンスのようなグループ・ダンスだ。ロスのクラブでダンス・バトルに興じていた青年DJは、最愛の兄を失い、アトランタの叔父のところへ。叔父の仕事を手伝いながら、兄の夢だった大学に通い始める。そして、そこで出会ったエイプリルという女子大生に一目惚れし、再びダンスの世界へ。だが、そこは彼が得意だったピップホップではなく、ストンプというグループ・ダンスによるバトルだった。かなり力強いダンスで、見ている側にも力が入いる。(スコープ・114分・07年10月)

7月17日(火)日本映画「伝染歌」Densen-uta

 秋元康がケータイ(「着信アリ」)に続いて、都市伝説のアイテムにしたのは、カラオケ=歌。教室で突然自殺する女子高生。彼女は、何か“歌”を口ずさんでいた。この事件に、“伝染歌”の存在を知った風俗雑誌「月刊MASAKA」の編集をやっている陸たちは女子高生たちの取材を始める。はたして、その歌「僕の花」を歌った者は、本当に死ぬのか? 陸や太一たちは、女子高生たちと共に、その歌を歌う。テーマは、なかなか面白いし、松田龍平や伊勢谷友介などキャスティングも豪華なのだが、本格ホラーなのか、「TRICK」のようなライトコメディなのか、全体を貫くテーマが弱い。マーケティングしたウケる要素を詰め込み過ぎ。秋元康の思惑としては、AKB48の映画初主演ということで、大島優子と秋元才加を抜擢してもらって、大喜びというところか。(ヴィスタ・124分・東京07年8月18日、福岡8月25日)

7月12日(木)日本映画「ピアノの森」

 一色まことの人気コミックのアニメ映画化。ピアニストを目指す小学5年生の雨宮修平は、お祖母さんの病気で、田舎の学校に転校してくる。このエリート転校生の声をやっているのが、天才子役・神木龍之介。「遠くの空に消えた」と同じ設定だ。“またか”と思って見ていたら、自由奔放に生きる野生児・一ノ瀬海(かい)という同級生が出てくる。彼は、森の中にあるピアノが弾けるというのだ。放課後、森に入った二人は、ピアノを見つける。修平が弾いてみるが、音が出ない。ところが、海が弾くと、見事な音が奏でられたのだ。なぜ、海には音が出せるのか?一度もピアノを習ったことがない海の弾き方は、全くの我流だったが、なぜか不思議な力を持っていた。神木くんが主人公だとばかり思っていたが、こっちが主役。声は、上戸彩。長篇の導入部といった感じなので、続編ができそうだ。(ヴィスタ・100分・07年7月21日)

7月12日(木)アメリカ映画「トランスフォーマー」Transformers

 宇宙からやってきた謎の金属生命体。彼らは、パソコンなどのデータをハッキングし、あらゆるテクノロジー器機に姿を変えることができる。ジェット機の姿で、カタールの米軍基地を壊滅させた怪物生命体。そして、ある地方都市に住む16歳の少年サムの前に現れた車も、金属生命体なのか? 彼らの狙いは、人類を滅亡させることなのか? 瞬時に姿を変えるロボット(オートボット)というアイデアは、映画的には、すごく面白いが、それを実際に映像化するのには、想像を絶する技術が必要だ。そして、そのハイテク映像と、マイケル・ベイ監督お得意の派手なアクションがミックスされる。これは、ハリウッド超大作の王道。(スコープ・144分・07年8月4日)

7月8日(日)第21回福岡アジア映画祭2007、大成功のうちに終了!福岡グランプリ2007は、韓国映画「アイスケーキ」に決定!ヨ・イングァン監督は、賞状とトロフィーをもらって、大感激!でした。

7月6日(金)からは、第21回福岡アジア映画祭2007・後半のスタート。韓国の監督たちも来ますし、東京から福岡出身の女優・片山瞳さん、御法川修監督もゲスト参加予定です。

7月3日(火)アメリカ映画「オーシャンズ13」Oceans 13

 長老ルーベンが、巨大なホテル建設のパートナーとして組んでいたバンクから裏切られ、心筋梗塞で倒れてしまう。ダニーの呼び掛けで、ラスベガスのルーベンのところに集まった“オーシャンズ”のメンバーたち。彼らの“リベンジ”の相手は、もちろんバンク。彼がルーベンから奪い取った巨大ホテルにさまざまな罠を仕掛けるメンバー。彼らの狙いは、大金の強奪だけではない。仲間の借りを返すために、バンクのすべてを奪いに立ち上がったのだ。シリーズも3本目になってくると、かなり手慣れた演出で、遊びの部分が結構多い。日本映画全盛時代の東映オールスター時代劇のようなシリーズだ。大物アル・パチーノも、今人気ナンバーワンのジョージ・クルーニーたちと共演すれば、悪代官の役なんだ。(スコープ・122分・07年8月4日)

6月29日(金)いよいよ第21回福岡アジア映画祭2007のスタート。前半は、アート・ノムラ監督、クリストフ・ルッギ監督、阿曽多寿子監督、川口鉄也監督をゲストに迎えて、ドキュメンタリーやショート・フィルム中心の上映です。

6月28日(木)アメリカ映画「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」Harry Potter and the Order of the Phoenix

 除籍の手紙でホグワーツの呼び出されたハリー。ところが、ヴォルデモートが甦ったことが、学校には全く知らされていなかった!しかも、ファッジ魔法大臣は、この事件がダンブルドア校長が仕組んだ罠だと邪推し、監視役として、アンブリッジ先生を送り込んでくる。このままでは大変なことになると心配したハリーたちは、アンブリッジ先生の目を盗んで、“闇の魔術に対する防衛術”を学ぶグループ“ダンブルドア軍団”を立ち上げる。そしてついに、ヴォルデモートとの戦いが始まる。前半は、ほとんどCGなどを使ったアクションシーンがなく、ドラマが進んでいくので、これまでのシリーズとはかなり違って、かなりシリアス。派手なアクションだけが売り物ではなく、ハリーとヴォルデモートの複雑な関係をどう解きあかしていくかという部分に重きが置かれ、ただの子供向きファンタジーではないという意思表示が強く打ち出されていく。(スコープ・138分・07年7月20日)

6月27日(水)アメリカ映画「レミーのおいしいレストラン」Ratatouille

 宣伝担当に抜擢された平野レミの舞台挨拶付き完成披露試写会。パリの高級レストラン“グストー”の厨房に亡き母の紹介状を持って現れたリングイニ青年。なんとか掃除係として採用されるが、大事なスープをダメにしてしまう。そんなリングイニの危機を救ったのは、ネズミのレミーだった。それから、青年とレミーの二人三脚の料理作りが始まる。ピクサーのアニメは、大人の恋愛感情もきちんと描いていて、結構大人向き。料理評論家イゴーのキャラなどは、よく練られた設定だ。(スコープ・120分・07年7月28日)

6月25日(月)日本映画「遠くの空に消えた」Into the faraway sky

 のどかな田舎の小学校に美少年の転校生・亮介がやってくる。一躍、アイドル的存在になる亮介のことが面白くなくて、喧嘩を仕掛ける悪ガキの公平。そして、喧嘩に引き分け、お互いの家庭のことを語り合う二人は、丘の上で、UFOを信じる少女・ヒハルと出会う。その頃、大人たちの間では、空港建設を巡る醜い争いが起きていた。そんな大人たちの争いに、子供たちは、一つの“奇跡”を起こそうとする。天才子役・神木隆之介を主人公とするお伽話的ファンタジーだが、映画全体のスタイルに統一性がない。「スワロウテイル」をやりたいのか?寺山修司ワールドを描きたいのか?行定監督、次々と作品に恵まれているようだが、スランプだ。(ヴィスタ・144分・07年8月18日)

6月19日(火)アメリカ映画「ダイ・ハード4.0」Die Hard 4.0

 独立記念日、ジョン・マクレーンは、ニュージャージーのハッカー青年マットをワシントンDCのFBIまで、護送するという命令を受ける。ところが、彼は、全米を狙った大規模なサイバーテロに関わっていたので、突然の銃撃を受けることになる。何とか生き延びた二人は、FBIに向うが、町中の機能が麻痺していてパニック状態だ。さまざまなハイテク・デジタル器機を駆使するマットと、何ごとにも体力で立ち向かうアナログおやじの弥次喜多珍道中だ。ブルース・ウィリスの体力を心配していたが、そこは、CGやスタントでカバーし、前作以上の派手なアクションを見せてくれる。(スコープ・129分・07年6月29日)

6月19日(火)アメリカ映画「レッスン!」Take the Leed

 ニューヨークのスラム街の高校に、一人の教師がやってくる。スーツに身を固めた彼が、問題児たちの巣窟のようなクラスで、教え始めたのは、社交ダンス。もちろん、HIP HOP専門の生徒たちは、見向きもしないが、先生は、さまざまな手段で、彼らをリードしていく。そして、賞金をかけたコンテストを目指した特訓が始まる。「フリーダム・ライターズ」も実話だったが、こっちのデュレイン先生も実在の人物。今では、相当な数の学校が、この社交ダンス教室をプログラムに入れているそうだ。社交ダンスを教えることで、お互いを尊重し、相手の気持ちを考えるというのは、なかなかいいアイデアだと思った。アントニオ・バンデラス久々の熱血役だ。(ヴィスタ・117分・07年8月18日)

6月14日(木)アメリカ映画「ファウンテン 永遠につづく愛」The Fountain

 不治の病に冒された妻イジーを救うために、新薬の開発に異様なまでにのめり込む医師のトミー。しかし、思うように開発は進まず、イジーの症状も重たくなっていくばかり。焦って冷静さを失ってしまったトミーに、イジーは、自分が書いている物語を読んで、最後の章を完成させてほしいと頼む。その物語の内容は、中世スペインを舞台に、女王イザベルの命を受けて、騎士トマスが、永遠の命を得られると信じられている伝説の<ファウンテン(生命の泉)>を探す旅に出るという壮大なものだった。読み進んでいくうちに、トミーの心は不思議な感覚に満ちていく。難解な内容が全く違う3つの時代で交錯していくという複雑な設定。これが、アロノフスキー監督独特の世界観なのだろう。マヤ時代というのは、ブームなのか?(ヴィスタ・97分・東京07年7月14日、福岡7月21日)

6月12日(火)日本映画「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」

 両親の葬式で、東京から姉の澄伽(すみか)が4年ぶりに故郷の田舎に帰ってくる。自意識過剰な彼女は、自分が女優として成功できないのは、妹・清深(きよみ)のせいだと決めつけ、いたぶる。二人の妹を異常に可愛がる兄の行動も不可解だ。そして、そんな兄の元に嫁いできた待子の病的な明るさも異常だ。とにかく、異常な家族の異常な物語。姉妹を演じた佐藤江梨子、佐津川愛美も熱演しているが、待子に扮した永作博美の怪演が気味悪い。(ヴィスタ・112分・東京07年7月7日、福岡7月14日)

6月7日(木)日本映画「夕凪の街 桜の国」

 昭和33年の広島、智美は、会社の同僚から愛を告白されるが、彼女には一生忘れることの出来ない深い心の傷があった。そして、現代。平成19年の東京、定年退職した父を追った娘の七波は、広島で、かつての家族が抱えた辛い過去の事実を知る。原爆投下から13年後の広島での出来事と、それから50年後の現代が次第に繋がっていく。原爆のことを忘れてはいけない!62年前に何が起こったのか。そして被爆という現実に今もなお苦しんでいる人々がいることを忘れてはいけない。現代の七波がやけに明るいのは、マンガが原作で、若い人たちに向けて書かれたからだと思う。そんな明るい世代にぜひ考えてほしいテーマだ。(ヴィスタ・118分・東京07年7月28日、福岡8月11日)

5月31日(木)日本映画「ベクシル 2077日本鎖国」Vexille

 2067年、日本は、ハイテク技術を独占し、それらの技術の危険性を指摘し、規制しようとする国連から脱退し、鎖国を開始する。それから10年後、アメリカ特殊部隊SWORDの女性兵士ベクシルたちは、日本に潜入する。しかし、そこで彼女が見たものは、想像を絶するものだった。まるで、戦後の闇市のような町を徘徊する生気のない日本人。いったい彼らに何が起こったのか?3Dライブアニメということで、実写ではできない架空空間でのアクションが効果的だ。(ヴィスタ・110分・07年8月18日)

5月28日(月)今年の第21回福岡アジア映画祭2007のプログラム&スケジュール発表!いよいよ、あと一ヶ月だ!

5月26日(土)イタリア映画「道」La Strada

 フェリーニ監督がこの作品で描き出した“魂の覚醒”が痛々しい。久しぶりに見ると、細かいディテールでの監督のこだわりがよく見える。

5月25日(金)日本映画「アヒルと鴨のコインロッカー」

 仙台に引っ越してきた大学生・椎名は、アパートの隣の部屋に住む河崎から、“一緒に本屋を襲わないか?”と誘われる。同じアパートに住むブータン人留学生ドルジに広辞苑を贈りたいと言うのだ。訳がわからないうちに、悪事に加担してしまう椎名。しかし、そこには、河崎とドルジ、そして、ドルジの恋人で、河崎の元カノの3人の不思議で切ないラブストーリーが隠されていた。TV「プロポーズ大作戦」の濱田岳がいかにもたよりない大学生を演じ、瑛太が正体不明の河崎をこれまでとは違う軽いタッチで好演。それにしても、松田龍平が出る作品の多いこと。(ヴィスタ・110分・東京07年6月23日、福岡7月21日)


5月22日(火)アメリカ映画
「シュレック3」Shrek the Third

父王ハロルドが病いに倒れ、王にならなければならなくなったシュレックは、もう一人の王位継承者であるアーサーを探す旅に出る。その旅立ちの時、シュレックは、フィオナ姫から妊娠を告げられる。“子供ができる!”と大喜びのシュレックだったが、アーサーは予想とは大幅に違うひ弱な青年だった。そしてその頃、王国には、チャーミング王子率いるおとぎ話の悪役たちが押し寄せていた。おとぎ話のキャラクターたちのギャグが絶妙で爆笑させられるシーンも多い。白雪姫とシンデレラの共闘なんて、アニメならではの楽しみだ。(ヴィスタ・93分・07年5月30日)

5月22日(火)香港映画「傷だらけの男たち」傷城/Confession of Pain

 2003年のクリスマス、ラウとポンの二人の刑事は、凶悪犯のアパートに踏み込み、逮捕する。ところが、思わぬ事態がポンを襲う。3年後、失意のうちに刑事を辞めたポンは、私立探偵になっていた。そんな彼の元に、ラウ刑事の妻が、父親の殺人事件の再捜査を依頼にくる。この事件には、どうも第三の犯人が関わっているようだ。そして、その犯人の過去が明らかになっていく。エリート刑事をクールに演じ切るトニー・レオン。アル中の私立探偵・金城武が追う。なかなかシリアスで面白い内容に仕上がっているが、大成功シリーズ「インファナル・アフェア」の後追い企画と言われれば、それは否定できないだろう。(スコープ・111分・07年7月7日)

5月20日(日)日本映画「ガイアシンフォニー第6番」Gaia Symphony No6

 第5番は、話題があちこちに飛び過ぎて、ちょっとまとまりがつかない感じだったが、今回は、音をテーマに絞って、さまざまな人たちにインタビュー。前半のラヴィ・シャンカールの生い立ちが興味深い内容だった。(ヴィスタ・127分・06年)

5月19日(土)第21回福岡アジア映画祭プレイベントで、アメリカ映画「ビザと美徳」Visas and Virtue「ノン・オブ・ジ・アバーブ」None of the Above、カナダ映画「マイ・ナイアガラ」My Niagaraを久しぶりに見る。「ノン・オブ〜」に出てくるエリカが若い!「マイ〜」のヘレン・リー監督も去年結婚した。年月の経つのは、早い!

5月8日(火)アメリカ映画「ボラット/栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」Borat

 アメリカ文化を学習するために、ニューヨークにやってきたカザフスタン国営テレビのレポーター、ボラット。たどたどしい英語で、通行人にインタビューし、キスしまくる彼に、マジで逃げ回るアメリカの人々。そんなボラットは、テレビで一目惚れしたCJことパメラ・アンダーソンに会って結婚するために大陸横断の度を始める。カザフスタン人がこんな映画は作らないと思っていたが、ボラットを演じているのは、ユダヤ系イギリス人の人気コメディアン。アポなし突撃インタビューの内容は、相当に過激でアブない。それでもまだ途中までは笑っていられるが、最後の下品さは、度を越していて、見ていたくない映像だった。(ヴィスタ・84分・07年5月26日)

5月7日(月)アメリカ映画「あるスキャンダルの覚え書き」Note on a Scandal

 ロンドンの中学校に赴任してきた美術教師シーバは、荒れた学校で苦労の連続。そんな彼女に助け船を出してくれたのは、厳格な歴史教師のバーバラだった。しかし、シーバが、15歳の教え子と不倫関係にあることを知ったバーバラは、偽りの友情によってシーバを思いのままに支配しようと企む。二人の間のパワーバランスは次第に変化していく。貧富の差、性差別、家庭、障害などさまざまなテーマが複雑に絡み合った内容だが、特に“女性としての生き方”が深いテーマとして浮き彫りになっていく。アカデミー賞ダブルノミネートとなったジュディ・デンチとケイト・ブランシェットという性格女優たちのぶつかり合いが、見物だ。(ヴィスタ・92分・07年6月9日)

5月1日(火)アメリカ映画「スパイダーマン3」Spider-Man 3

 アメリカ本国よりも3日も早く公開されたシリーズ完結編。“スパイディー”という愛称で、ニューヨークっ子の人気者になったスパイダーマン。だが、初舞台を酷評され、落ち込む恋人MJの気持ちが分らず、別れ話になってしまう。その頃、隕石と共に宇宙からやってきた黒い生物によって、ピーターは、ダークな心を増幅させていく。そして、全身真っ黒なブラック・スパイダーマンと化す。そして、父の仇と狙ってくる親友ハリーの攻撃。驚異の肉体を持った敵・砂男との死闘。ピーターの心の変化などハリウッド映画の定石どおりではあるが、派手なアクションにも磨きがかかっていて、エンターテインメントに徹した大作になっている。(スコープ・139分・07年5月1日)

4月30日(月)日本映画「世界はときどき美しい」Life can be so Wonderful

 松田龍平、市川実日子、浅見れいな、瀬川亮、遠山景織子、木之花ほか豪華キャストによって綴られていく5つの映画詩<シネポエム>。世界は苦悩に満ちていても、必ず、ときどき美しい。8ミリフィルムで撮られた映像の質感が、まるで絵画を見ているような不思議な世界に導いてくれる。福岡出身の人気モデル、片山瞳の映画デビュー作。(スタンダード・70分・東京07年3月、福岡7月福岡アジア映画祭にて)

4月26日(木)アメリカ映画「ゾディアック」Zodiac

 1969年7月4日、カリフォルニア州バレーホの駐車場で、いちゃついていたカップルに銃弾が撃ち込まれる。犯人は、警察に電話をかけて、事件を通報。そして事件から約1ヶ月後、サンフランシスコ・クロニクルという地元新聞の編集部に犯行声明の手紙が送られてくる。その手紙には、謎の暗号文が同封されており、新聞の1面にその暗号文を掲載しなければ、無差別殺人を繰り返す、と書かれていた。新聞に掲載された暗号を解こうとチャレンジしたのは、読者だけでなく、イラスト担当のロバート・グレイスミスは、この事件にのめり込んでいく。そして、そんな世間の大騒ぎに快感を感じた犯人は、次々と殺人を繰り返していく。実際に完全解決に至っていないというこの有名事件の映画化に挑戦したのは、「セブン」のデビッド・フィンチャー監督。今回は、犯人ではなく、この事件にのめり込んで、人生を破壊されていった周囲の人々に、ポイントを絞って描いていく。奇妙だが、それだけ、巧妙な事件だったことがよく分る。(スコープ・157分・07年6月16日)

4月26日(木)アメリカ映画「アポカリプト」Apocalypto

 マヤ文明後期、中央アメリカのジャングルに住む青年ジャガー・パウらは、狩猟を生活の糧としていた。ところが、襲ってきたマヤ帝国の傭兵たちによって村は焼かれ、ジャガーたちは、都会に連れていかれる。そして、そこに待っていたのは、…。全編マヤ語という聞いたことのない言葉。出演者は、映画経験のない者ばかり。だから、まるでドキュメンタリーのようなアクションが繰り広げられる。CG全盛の今、体育系メル・ギブソン監督があえてチャレンジした肉体のぶつかり合いが凄まじい!(ヴィスタ・138分・07年6月16日)

4月23日(月)日本映画「そのときは彼によろしく」

 ある日、智史が経営するアクアプランツの店「トラッシュ」に、アルバイトとして、鈴音がやってくる。店に寝泊まりするようになった彼女は、実は有名なトップモデルだった。店には、彼女目当ての客が押し寄せるが、智史は、彼女に何か懐かしいものを感じていた。彼女は、13年前、離ればなれになってしまった幼友だちの花梨だったのだ。しかし、彼女には、重大な秘密があった。離ればなれになった子供の頃の親友。そして、不治の病。まるで、韓国ドラマのようなこてこてのメロドラマだ。日本でも、典型的メロドラマができるんだ、と言いたかったんだろう。“セカチュー”“今あい”に続いて、“その彼”と略するそうだ。(ヴィスタ・113分・07年6月2日)

4月16日(月)アメリカ映画「リンガー!/替え玉★選手権」The Ringer

 「メリーに首ったけ」などで過激ギャグを飛ばすファレリー兄弟が知的障害者というビミューなテーマにチャレンジ。小心者のスティーブは、大ケガをしてしまった友人の手術費を作り出すために、叔父にそそのかされて、知的障害者を装って、スペシャルオリンピックスの競技に出ることになる。ところが、健常者には分らないが、障害者のチームメイトたちには、彼が本物の障害者ではないことがすぐにバレてしまう。だが、理由を知った彼らは、スティーブの特訓を始める。かなりアブナイ設定だが、ただのナンセンス・コメディではなく、障害者のことを知らなかった主人公が、彼らの気持ちを理解していくプロセスが、なかなか巧みなシナリオだ。(スコープ・95分・07年5月19日)

4月11日(水)中国・香港合作「女帝 エンペラー」夜宴/The Banquet

 古代中国で起こる突然の皇帝の死。それは、弟リーの策略で、彼は、皇太子ウールアンの暗殺も企んでいた。王妃ワンは、義理の息子である皇太子を守るために、新帝との結婚に同意する。そして、ワンへの思いを断ち切るために、呉越の地で隠とん生活をおくっていたウールアンは、父の死の知らせを聞き、都に帰ってくる。「ハムレット」をベースにした有名な復讐劇だが、絢爛豪華なセットや衣装、そしてワイヤーアクションを駆使した特撮など、壮大な絵巻物に仕上がっている。チャン・ツィイーにとっても、女優として大成するための重要な作品になった。(スコープ・131分・07年6月2日)

4月6日(金)イギリス・南アフリカ合作「ツォツィ」Tsotsi

 2006年、アフリカに初めてアカデミー賞外国語映画賞をもたらした話題作。南アフリカ・ソウェトのスラム街に住む青年ツォツィ。“ツォツィ”とは、不良のこと。3人の悪ガキたちとつるんで、毎日悪事を働くツォツィ。ところが、盗んだ車の中に、赤ん坊がいたことで、彼の心の中に隠れていた人間性が現れていく。ピストルやアイスピックで殺人さえ簡単にこなす残忍な性格の青年が、次第に変わっていくプロセスがシンプルだが、リアルだ。(スコープ・95分・07年5月)

4月5日(木)日本映画「監督・ばんざい!」

 鬼才・北野武監督の13作目。得意だったギャング映画を封印してしまい、次回作に悩む監督キタノ・タケシは、思い付くままに、撮影を始めてしまう。まずは、〈小津安二郎風人情ドラマ〉、そして、〈昭和30年台ノスタルジー〉、さらには、〈ホラー〉や〈SFスペクタクル〉まで。ことごとくうまくいかずに中断。そして、最後のテーマは、政財界の大物とサギ師母娘の物語。とにかく、次から次に展開される全く違うジャンルの作品群。“やろうと思えば、何でもできるんだ”という自信のなせる技なんだろうが、果たして、こんなバラエティーに観客がついてこれるのか?結構重要なキャラのタケシ人形は面白かった。(ヴィスタ・104分・07年6月2日)

3月29日から4月4日まで、第31回香港国際映画祭に審査員として参加。

3月27日(火)フランス映画「輝ける女たち」Le Heros de la Famille

 ニースにあるキャバレー“青いオウム”のオーナー、ガブリエルが突然亡くなる。葬儀に集まった元ファミリー。ガブリエルのパートナー的存在のニッキーが、キャバレーの相続をすると誰もが思っていた。しかし、相続したのは、ニッキーの子供たちだった。そして、彼の元妻アリスとシモーヌ、さらに今の彼女である歌姫レアが加わり、これまで隠されてきた真実が次第に明らかになっていく。そして、ガブリエルの思いも説かれていく。往年のキャバレーを舞台に、カトリーヌ・ドヌーヴ、エマニュエル・ベアール、懐かしいミュウミュウなど豪華キャストで、いかにもフランス映画らしいエスプリのきいたオシャレな作品だ。(スコープ・103分・07年5月)

3月23日(金)アメリカ映画「ハンニバル・ライジング」Hannibal Rising

 ハンニバル・レクター誕生秘話。第二次世界大戦後のリトアニアで、両親を殺害され、愛する妹まで失ったハンニバルは言葉を失ってしまう。孤児院を脱走した彼は、唯一の親戚である叔父のいるパリで、レディ・ムラサキと出会う。疲れ切った彼は、美しい叔母の影響で、体力だけでなく、さまざまな知力も養っていく。クールに淡々と殺人鬼に変貌していくハンニバル。残忍さに、明せきな頭脳が備わっていくプロセスが、怖いぐらいに冷静に淡々と描かれていく。鎧や刀など日本文化の捉え方に少し誤解の部分もあるが、それは「SAYURI」同様、西洋から見た東洋なのだろう。それにしても、血なまぐさい作品だ。(スコープ・121分・07年4月21日)

3月22日(木)日本映画「恋しくて」

 石垣島の高校生を描いた青春ムービー。高校生になった加那子は、幼馴染みの栄順と久しぶりに再会する。そして、加那子の兄セイリョウの“バンドやるどー”の一声で、素人バンドが結成される。何とかさまになるようになった栄順たちは、東京大会に出場するために自分たちでバンド大会を主催する。果たして、彼らのバンドは? オーディションで選ばれた沖縄の現役高校生たちの演技は、決してうまくはないが、その素朴さが面白い!そして時間が経つにつれて、確実にうまくなっていく。主題歌を歌うBIGINの実話かと思って見ていたが、フィクションだそうだ。(ヴィスタ・99分・07年5月 日)

3月20日(火)アメリカ映画「プレステージ」The Prestige

 まだ助手をしていた頃の事故によって、憎み合う二人のマジシャン。彼らにとって一番大事なことは、トリックだった。お互いに仕掛けの謎を探り、相手を打ち負かそうとする二人は、さまざまな罠を仕掛けてくる。そしてそれは、次第に取りかえしのつかない方向へエスカレートしていく。クリストファー・ノーラン監督だけに、ダークな色合いのイリュージョンが19世紀のロンドンというノスタルジックな舞台で描かれていく。「バットマン ビギンズ」に引き続いて、ノーラン監督と組んだクリスチャン・ベールの悪役ぶりが堂に入っている。(スコープ・130分・07年6月9日)

3月16日(金)フランス映画「13/ザメッティ」13 Tzameti

 旧ソ連であるグルジアからの移民の青年セバスチャンは、屋根修理の仕事をしている家で、大金が転がり込むという話を聞く。そして偶然見つけた封筒に入っていた列車のチケットでパリへ。そして、見知らぬ男からの電話。男の指示どおりに行動したセバスチャンを待ち受けていたのは、想像を絶するロシアン・ルーレットだった。ローバジェットのインディーズ作品だが、ハングリー精神に満ちたエネルギーを持っている。そのあまりにも危ない内容に、すぐハリウッドでのリメイクが決まったそうだ。(スコープ・93分・07年4月7日)

3月12日(月)アメリカ映画「スモーキン・エース/暗殺者がいっぱい」Smokin' Aces

 マフィアの大物の秘密を握っているエースは、司法取引を勧めるFBIによって、タホ湖のリゾート・ホテルのペントハウスに身を隠していた。しかし、彼の心臓に賭けられた100万ドルの報奨金の噂はたちまち広がり、世界中の殺し屋たちが集まってくる。「パルプ・フィクション」とか「キル・ビル」のようなノリだが、それぞれのキャラクターには細かい部分まで書き込まれたシナリオがあり、それをモザイクのような映像ですばやく描き込んでいく。しかも、CG処理でない本物のアクションが機関銃のように炸裂する。「NARC ナーク」の時も思ったが、すごい才能の監督だ。だから、こんなすごいキャストが揃った。(スコープ・108分・07年5月12日)

3月6日(火)日本映画「眉山」Bizan

 さだまさし原作の映画化第3弾。東京の旅行代理店に務めている咲子は、入院した母親の看病のために、故郷の徳島に帰る。母は末期ガンだった。咲子は、その事実を母には告知せず、看病を続けるが、そんな中、亡くなったと聞かされていた父親が生きていることを知る。死を前にして、娘に真実を語る母親。気丈に生きる母親との確執が次第に変わっていく。「東京タワー」もそうだが、親の死について、考えさせられる映画が多くなってきた。たまには、親の顔を見に、故郷に帰らなければならないのかもしれない。(スコープ・120分・07年5月12日)

3月2日(金)香港映画「かちこみ!ドラゴン・タイガー・ゲート」龍虎門/Dragon Tiger Gate

 武道の鍛練をする「龍虎門」に育ったタイガーは、海上レストランでチンピラたちを叩きのめす。だが、そのチンピラたちは、秘密結社「江湖」の一味だった。江湖ギャングたちに囲まれるタイガー。そこに現れたドラゴンは、タイガーよりも上手の武術家だった。そして、彼が落としていったペンダントで、ドラゴンが実は、幼い頃別れ別れになった兄だということを知る。弟が「龍虎門」を守っていたことを知ったドラゴンは、自分が悪の組織のために働いていることを後悔し始めていた。とにかく、アクションのためのアクションの連続。これぞ、メインストリームの“香港アクション”。(スコープ・94分・07年4月21日)

2月28日(水)香港・中国合作「プロジェクトBB」寶貝計劃/Rob-b-hood

 ダメ男3人組の仕事は泥棒。新しい仕事で、金持ちの赤ん坊を誘拐してしまう。ところが、ボスが捕まってしまい、残された2人で赤ん坊の世話をする羽目に。そして、次第に赤ん坊に対する気持ちに変化が現れ始める。そこに、ギャングたちが赤ん坊を狙ってくる。ジャッキー・チェンが久しぶりに香港を舞台にしたコメディに挑戦し、アクションだけでなく、いろいろな演技ができることを証明してくれる。また、マイケル・ホイやユン・ピョウという共演陣も懐かしい。そして、最近は「エレクション」など渋いヤクザ役の多かったルイス・クーのコミカルな演技も楽しい。さらに、最近、中国のマーケットを意識して、大陸の俳優の起用が多い香港映画だが、カオ・ユェンユェンは注目株!(スコープ・126分・07年4月7日)

2月28日(水)日本映画「プルコギ」The Yakiniku Movie

 テレビの料理対決“焼肉バトルロワイヤル”で連戦連勝しているのは、巨大焼肉チェーン店“トラ王”の息子・トラオ。ところが、そのチェーン店の中で、唯一業績が悪いのが、北九州地区。そこには、“焼肉の達人”と呼ばれる老人が営む“プルコギ食堂”があったからだ。そこには、達人の味を習得しようと励むタツジがいた。トラオとタツジの味の対決が始まる。マンガのようなストーリーだが、その“軽さ”が若い観客にはウケるのかも?キャストは豪華だ!(ヴィスタ・114分・07年5月5日)

2月27日(火)アメリカ映画「ブラッド・ダイヤモンド」Blood Diamond

 レオナルド・ディカプリオをアカデミー主演男優賞にノミネートさせた作品。アフリカ・シエラレオネ共和国。反政府軍RUFの襲撃で、家族と引き離されてしまったソロモンは、採掘場で、見たこともない巨大なピンク・ダイヤモンドを見つけ、隠す。そのダイヤの噂を聞きつけた密売人ダニー・アーチャーは、ソロモンに近づくが、ソロモンはダイヤより家族のことが先決だ。ソロモンの家族探しを手伝う見返りとしてダイヤの在り処を聞き出そうとするダニーだったが、その先には、RUFと政府軍の戦争が待っていた。紛争の資金源として使われるダイヤ。その実態を暴露するシリアスな内容の骨太作品で、ディカプリオの頑張りもよく分かる。(スコープ・143分・07年4月7日)

2月23日(金)アメリカ映画「モーツァルトとクジラ」Mozart & The Whle

 アスペルガー症候群というのは、知的障害のない自閉症。テレビ「僕の生きる道」の草薙クンの役がそうだった。一見普通の若者に見える青年ドナルドだが、数字のこととなると他のことが分らなくなる。パニクった時には、数字を連呼する。そんな障害を持ったドナルドだが、同じような障害を持った仲間のため、定期的にミーティングをやって、何とか周囲に適応する努力をしている。そして、そんなグループ中に、美容師をやっているイザベルが加わってくる。自由奔放な彼女に惹かれ、たちまち恋に落ちるドナルドだったが、…。デリケートな内容だが、病気がテーマではなく、彼らの恋愛をメインに描いているところが、難病ものとは違う。実話の映画化で、モデルとなった本人が監修にあたっている。彼は「レインマン」を見て初めて自分がアスペルガー症候群だと知ったそうだ。(ヴィスタ・94分・07年5月5日)

2月22日(木)日本映画「ドラえもん のび太の新魔界大冒険〜7人の魔法使い〜」Doraemon

 「ドラえもん」をスクリーンで見るのは、何年ぶりだろう?のび太は、魔法が使えれば、なんでもできると「もしもボックス」で、魔法の世界を作ってしまう。しかし、魔法の世界にも勉強があった!そんな魔法を難無くあやつる少女美夜子と出会うが、彼女の父親が拉致されてしまう。魔界星に向かうのび太たちだったが、…。新しい声優になっての第2弾ということだが、やはり以前の声に慣れているので、違和感は否めない。だが、監督も作画監督も女性だということで、今までとは違う“ソフト”なイメージがあちこちに見られる。(ヴィスタ・112分・07年3月10日)

2月19日(月)日本映画「アンフェア the movie」Unfair the movie

 予測のつかない展開で、テレビシリーズは、毎週欠かさず見ていた。その後、10月にスペシャルがあり、劇場版で完結する。警察内部の不正が記録されているという機密文書を追う雪平警部補。あまり深入りすると身に危険が及ぶと、三上検視官から忠告を受けるが、娘の美央が傷付いてしまう。警察病院に入院させるが、雪平が帰るのと入れ違いに、不審な少年グループが乱入し、病院はハイジャックされる。果たして、彼らの狙いは?映画版なので、その分スケールが大きく、爆破シーンや銃撃戦などの迫力は充分だが、2時間では、テレビシリーズのような細かいディテールまで描き込むのは難しかったようだ。(ヴィスタ・112分・07年3月17日)

2月16日(金)ブラジル映画「フランシスコの2人の息子」Two Sons of Fraancisco

 痩せた土地を耕しながら、7人の子供たちを養っていかなければならない父親フランシス。しかし彼には夢があった。息子たちをミュージシャンにしたいと願う父は、全財産をはたいて、長男ミロズマルにはアコーディオン、次男エミヴィルにギターを与える。そして彼らの音楽の才能は次第に花開いていく。実話を基にしたブラジル映画だが、“人生、夢を追い掛ければ、何とかなる!”という父親の信念がすごい!これまで見たブラジル映画は、悲惨な子供たちを描いたものが多かった。実際はもっと悲惨な現実もあっただろうが、明るい空気で貫いているところは、見終わった後の気持ちが暗くならなくて良かった。(ヴィスタ・124分・東京07年3月、福岡4月14日)

2月14日(水)日本映画「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」Tokyo Tower

 1960年代、小倉に生まれたボクは、オトンの家を出て、筑豊のオカンの実家に行く。そして、大分の高校を卒業後、東京の大学へ。そこで、自堕落な5年間を過ごした後、オカンが上京してくる。テレビも時々見ているが、映画版は、オカンの若い頃に結構ウエイトが置かれていて、テレビとはかなり違っている。それも、若い頃のオカンを演じているのが、オカン役の樹木希林の実娘で、イメージがぴったり合っている。オダジョーも久しぶりに力の入った演技を見せてくれる。(スコープ・142分・07年4月14日)

2月8日(木)メキシコ映画「バベル」Babel

 モロッコの羊飼いの少年たちが手に入れたライフル銃。この銃が、一つの事件を起こし、事態は国際問題にまで発展してしまう。さらに、アメリカに残された二人の子供たちがメキシコへ。さらに、東京では、父親とのわだかまりが溶けない女子高生の元に刑事がやってくる。微妙に繋がってくる4つの物語。そこは、バベルの塔に対して怒った神の天罰なのか? メキシコの監督ならではの解釈が、ハリウッドとの大きな違いを見せてくれる。アカデミー賞などさまざまな助演女優賞にノミネートされている菊池凛子のウエイトが結構大きい。(ヴィスタ・143分・07年4月28日)

2月8日(木)アメリカ映画「ポイント45」.45

 ミラ・ジョボビッチ主演のアクションで、いかにもかっこいい女性スナイパーがヒロインかと思いきや、前半は、男にめちゃくちゃ虐待される主人公。もろDV(ドメステック・バイレンス)もの。かなり可哀相なヒロインだ。そして、後半、彼女の逆襲が始まる。決してスマートな作品ではなく、ローバジェットのこてこてニューヨーク・インディーズだ。(ヴィスタ・96分・07年3月17日)

2月7日(水)アメリカ映画「ステップ・アップ」Step Up

 深夜、忍び込んだ芸術学校の講堂で舞台を壊し、逮捕される落ちこぼれ高校生のタイラー。裁判の判決で、その芸術学校で奉仕活動をすることになるが、そこで、バレエの練習に懸命に励むノーラと出合う。ノーラが、練習しているのは、お堅いクラシック・バレエ。クラブなどで踊ってダンスだけには自信のあるタイラーだったが、彼のダンスは自己流のヒップホップ。クラシックの基本姿勢さえ出来ないテイラーが、訳の分らないバレエ用語に四苦八苦しながら、バレエを拾得していくプロセスが新鮮だ。青春映画の王道だが、素直に感動したい!(スコープ・100分・07年3月17日)

2月5日(月)イギリス・フランス・イタリア合作「クィーン」The Queen

 1997年8月31日、ダイアナ妃がパリで亡くなった。その報告を聞いたエリザベス女王は、何のコメントも発表せず、次第にイギリス国民の避難が王室に集まり始めることになる。窮地に追い込まれていく女王に電話をかけてきたのは、首相になったばかりのトニー・ブレアだった。彼の進言が女王を動かしていく。女王とダイアナ妃の間の確執というのは、いろいろと報道されていたのである程度知っているつもりだったが、こんな7日間があったのか!女王もブレアも生きている人たちなので、描くのは大変だっただろうが、人間・エリザベス女王の一面が垣間見れた。そして今、ブレアも矢面に立っている。(ヴィスタ・104分・07年4月14日)

1月31日(水)日本映画「バッテリー」Battery

 病弱な弟の静養のため、岡