新作映画 試写室日記(2009年11月9日更新)

ほぼ毎日更新 掲示版

クラシック・シネクラブ 第24回福岡アジア映画祭2010・7月2日〜7月11日 プレイベント5月  日

このホームページでは、毎日のように試写室でこれから公開される新作映画を見ている筆者たちによる批評を掲載していきます。時には辛口の、時には思いやりのコメントをお楽しみ下さい。                                     執筆:前田秀一郎(映画評論家)、今村ミヨ(シネマ・コメンテーター)

ご意見・ご感想・ご質問などは、掲示板へどうぞ。(掲示板の部分をクリックして下さい)

11月9日(月)日本映画「銀色の雨」Silver Rain

 住込で新聞配達をやっていた高校生の和也は、ささいなことで店主と喧嘩になり、家出する。そして、かつて母にやっていたスナックで働いていた菊枝と再会する。そして、さらに客に絡まれていた菊枝を救ってくれたのが、プロボクサーの章次だった。それから3人の奇妙な共同生活が始まるが、彼らはそれぞれに心の傷を持っていた。浅田次郎の短編を元にしたストーリーだが、展開がゆったりし過ぎて、なかなか感動まで上り詰めていかない。中村獅童のシーンがゆったりし過ぎ。(ヴィスタ・113分・東京09年11月28日、福岡12月19日)

11月6日(金)日本映画「曲がれ!スプーン」

 ちょっと風変わりな喫茶店“カフェ・ド・念力”では、クリスマス・イブ恒例の“エスパー・パーティー”が開かれていた。テレビの超常現象番組「あすなろサイキック」のAD・桜井米(ヨネ)は、超能力探しの旅で、その店を訪れる。果たして、彼女は本物のエスパーを見つけることができるのか!?元がヨーロッパ企画の戯曲「冬のユリゲラー」ということもあって、長澤まさみ主演作品というよりは、小劇場のクセ者役者たちの演技のぶつかり合いが見もの。(ヴィスタ・106分・09年11月21日)

11月5日(木)アメリカ映画「ジュリー&ジュリア」Julie & Julia

 1949年、夫の転勤でパリにやってきたジュリア・チャイルドは、料理学校に通い、フランス料理を習得する。そして、家庭で作れる524のレシピをまとめた本を出版する。それは、アメリカで大ベストセラーになった。一方、50年後のニューヨークでは、9.11の事後処理の仕事に疲れていたジュリー・パウエルが、ジュリアの本を元に、365日で524の料理を作り、それを自分のブログに載せるというチャレンジを開始する。二つの時代、2人の女性を同じ料理が繋いでいく。ノーラ・エフロンのシナリオは、破たんが無いので、安心しながら見ていられる。ボナ・ペティ!(ヴィスタ・123分・09年12月12日)

11月5日(木)日本映画「ウルルの森の物語」A Tale of Ululu's Wonderful Forest

 母親の入院で、離婚した父親のいる北海道にしばらく預けられることになった兄の昂と妹のしずく。父親は、野生動物を救う獣医だ。ある日、オオカミに似た子犬を見つけた二人は、子犬に“ウルル”という名前をつけ、飼うことに。ところが、このウルルが本当に絶滅したオオカミの子供ではないか、ということが分かり、貴重なサンプルとして、引き取られるということになる。そこで、兄妹は、…。基本的なストーリーは、「マリと子犬の物語」と似たようなものだが、やはり動物ものには泣かされる。(ヴィスタ・119分・09年12月19日)

10月30日(金)日本映画「Soul Red 松田優作」Soul Red

 松田優作が逝って、もう20年になるという。時間の経つのは、早いものだ。松田優作に注目し始めたのは、テレビの「大都会」の頃だった。毎週、監督や脚本をチェックして、大学ノートで記録していた。そして、映画「最も危険な遊戯」だ。このポスターを、大学時代の下宿にずっと貼っていた。だから、それからの優作の映画はすべてリアルタイムで見ているし、キャンペーンには必ず出ていた。だから、挿入されるフィルムの一つ一つが懐かしい。そして、「陽炎座」の記者会見の夜の大喧嘩の時も新宿の店にいた。福岡でのコンサートの後は、天神の屋台で一緒に飲んだ。忘れられない思い出だ。(ヴィスタ・102分・09年11月7日)

10月24日(土)西南学院大学で「フランス映画論」の補講。

10月22日(木)日本映画「なくもんか」

 8歳の時に父に捨てられた祐太は、下町・善人通り商店街で、ハムカツに行列ができる店「デリカの山ちゃん」を繁昌させていた。一方、生き別れた弟・祐介は、“金城ブラザーズ”というお笑いの売れっ子になっていた。ある日、10数年前に出ていった「山ちゃん」初代店主の娘・徹子が帰ってくる。果たして、店はどうなるのか?そして、兄弟は出会うことができるのか?脚本・宮藤官九郎、主演・阿部サダヲ、監督:水田伸生の「舞姑 Haaaan!!!」トリオが描く笑いと涙のハチャメチャ・コメディ。面白いが、いろいろちょっと詰め込み過ぎ。ハムカツって本当においしいのか!?(ヴィスタ・134分・09年11月14日)

10月21日(水)日本映画「パンドラの匣」Pandora's Box

 太宰治生誕100周年記念映画第2弾!終戦後、結核療養のために、山里の<健康道場>に入った利助は、「ひばり」というあだ名をつけられ、ちょっと変わった仲間たちとの生活が始まる。ある日、病気が治った詩人のつくしが退院する。そして、新しい組長(看護婦長)として竹さんがやってくる。ひばりは、そんな道場での出来事を詳しく手紙に書き、つくしに送る。「がんばれよ」と声をかけられれば、「よしきた」と返すのが道場の決まりだったり、太宰の暗いイメージはない。“明るい太宰”だ。全編アフレコでレトロな雰囲気に徹している。(ヴィスタ・94分・東京09年10月10日、福岡11月14日)

10月20日(火)アメリカ映画「インフォーマント!」Informant !

 インフォーマントとは、内部告発者のこと。1992年、農業関係の大企業ADMの重役まで登り詰めたマーク・ウィテカーのエリートコースの人生は順調だった。ところが、工場で発生したウィルスのおかげで、頓挫してしまう。副社長に、“何とかしろ”と言われた彼は、“ウィルスを仕込んでいるのは日本の大企業の産業スパイで、1000万ドル払えば、やめる”と脅迫されたと口から出まかせを言う。そこで、FBIに連絡され、事態は収集がつかなくなっていく。ウソみたいな話だが、実話だ。製作のジョージ・クルーニー、監督のソダーバーグ、さらに主演のマット・デイモン、皆んな、こんなナンセンス・コメディが大好きだ。(ヴィスタ・108分・09年12月5日)

10月19日(月)イギリス・アメリカ合作「ヴィクトリア女王 世紀の愛」The Young Victoria

 1937年、病に倒れたウィリアム国王の王位後継者であるヴィクトリアは、周囲の人々の権力争いのターゲットだった。母ケント公爵夫人は、秘書ジョン・コンロイの言うままに、娘に摂政政治を承認させようとする。叔父であるベルギー国王レオポルドは、ドイツに行っていた甥のアルバートをイギリスに送り込む。首相のメルバーン卿もヴィクトリアに取り入ろうと近付いてくる。さまざまな陰謀が彼女を取り巻き、騙そうと躍起になる。そんな中、ヴィクトリアとアルバートは、本当に恋に落ちてします。大英帝国の黄金時代を統治したヴィクトリア女王の知られざる若き時代のラブロマンス。(スコープ・102分・09年12月 日)

10月16日(金)アメリカ映画「パブリック・エネミーズ」Public Enemies

 1933年、大恐慌の嵐が吹き荒れるアメリカで次々と銀行強盗を成功させるジョン・デリンジャー一味。しかし、彼らには、“汚れた金しか奪わない”というポリシーで、一般の客からお金は奪わない。そんな義賊的キャラで、民衆のヒーロー的存在になったデリンジャーを、創設されたばかりのFBIが追う。今をときめく2大スター、ジョニー・デップとクリスチャン・ベイルが壮絶な銃撃戦を繰り広げるギャング・アクション。当時のファッションを再現したスマートなスーツ姿が決まっている。映画館で見ている映画「男の世界」のクラーク・ゲイブルのセリフにも注目!(スコープ・141分・09年12月12日)

10月16日(金)日本映画「天使の恋」tenshi no koi

 飲酒したり、援交をやったりという不良女子高生・理央(りお)はグループのリーダー。ある日、自分と同じ小澤という苗字の大学講師に出会った彼女は、たちまち恋に落ちてしまう。小澤も次第に理央に惹かれていく。だが、小澤には、理央に話せない秘密があった。人気のケータイ小説からの映画化で、いくつかのエピソードは、斬新だが、全体的にはかなり古臭い。カリスマモデル・佐々木希の初主演映画ということで話題にはなるのかな?(ヴィスタ・119分・09年11月7日)

10月14日(水)日本映画「沈まぬ太陽」The Sun that doesn't set.

 御巣鷹山で起きたジャンボ機墜落事故の遺族係を命じられた国民航空の恩地は、遺族の怒りや悲しみの前に精一杯のことをしようとするが、自分に何ができるのかという思いに苦悩は大きくなるばかりだった。彼は、昭和30年代に国民航空の労働組合の委員長を務めていた。そして、会社との交渉に勝つが、その後、懲罰人事でパキスタン、イラン、ケニアと10年にわたって流刑させられていた。事故からの再建を計ろうと、首相は関西紡績の石見会長を国民航空の会長に任命する。国見と恩地の改革が始まる。しかしそれは、一企業の問題に留まらず、運輸大臣など政府高官をも巻き込んだ大スキャンダルになっていく。山崎豊子の膨大な量の原作を、やっと休憩入り3時間半弱にまとめた。政治と企業に絡む汚職や利権の闇は、底なし沼だ。(ヴィスタ・インターミッションを含んで202分・09年10月24日)

10月13日(火)プサン国際映画祭から帰ってきました。キム・ドンホ委員長始め、アン・ソンギ、カン・スヨン、ソル・ギョング、イム・グォンテク監督、イ・ミョンセ監督、パク・クァンス監督、侯孝賢(ホウ・シャオシエン)監督など多くの映画人たちと再会し、楽しい日々を過ごしました。詳しいレポートは、アジア映画通信第113号に掲載する予定。

10月8日から13日まで、第14回プサン国際映画祭にゲストとして出席します。詳しいレポートは、アジア映画通信第113号に掲載する予定。

10月7日(水)九州大学で「映画を通じて見るアジアと日本」の講議スタート。今年から伊都キャンパスでの講議で通勤が大変だ。それに、台風の接近で風がすごい!

10月2日(金)日本映画「風が強く吹いている」It's Blowing Hard

 寛政大学陸上部の4年生ハイジは、やっと10人目のランナー、カケルを見つける。しかし、練成所であるアオタケの住人たちは、漫画オタクやヘビースモーカーの25歳など全く運動には向いていない連中ばかり。だが、ハイジは、このメンバーで“箱根駅伝”を目指そうとする。果たして、彼らは、予選会を突破することができるのか!?典型的なスポ根ドラマで、先が読める展開なのだが、選手たちの懸命ぶりを見ているとやはり感動する。1月に福岡で行われたロケには、福岡アジア映画祭のボランティアも数名エキストラで参加していて、うろうろしているのが分った。(ヴィスタ・133分・09年10月31日)

9月28日(月)西南学院大学で「フランス映画論I」の講議スタート。

9月18日(金)日本映画「携帯彼氏」Keitai Kareshi

 ケータイサイトで遊んでいた真由実が、“彼氏に殺される…”というメールを残して自殺する。“そのサイトには、ラブゲージが0か100になるとプレーヤーが死ぬ”という噂があった。里美と由香は、真由実の死がそのケータイサイトに関係していると知り、“携帯彼氏”を自分のケータイにダウンロードする。ケータイにはまっている女子高校生たちにはぴったりなホラー系ケータイ小説のヴィジュアル化。次は、「携帯彼女」だそうだ。(ヴィスタ・134分・09年10月24日)

9月18日(金)アメリカ映画「ファイナル・デッドサーキット3D」The Final Destination

 サーキット場でダブルデートを楽しむ4人の若者たち。しかし、ニックは、その後に起こる大惨事を予知して、その場を脱出するが、…。奇跡的に助かったと思われた主人公たちが次々に死んでいく「ファイナル・デスティネーション」シリーズ第4作は、3Dで凶器がバンバン飛んでくる。2Dでの試写だったが、それでも相当グロかった!これを3Dで見るのは大変だ。(スコープ・84分・09年10月19日)

9月17日(木)アメリカ映画「カールじいさんの空飛ぶ家」Up

 高層ビルの建築が進む中、頑なに立ち退きを拒否し、たった一軒だけポツンと残されたカールじいさんの家。だが、そんな家を手放さなければならなくなったカールじいさんは、最愛の妻エリーの思い出のつまった家ごと空中高く浮かべ、パラダイス・フォールを目指す。テレビのCMからすると、もっと悲しい話なのかと思っていたが、内容は明るいアドベンチャー。ディズニーに湿っぽい話は似合わないと思っていた。(ヴィスタ・短編「晴れ ときどき くもり」と合わせて103分・09年12月5日)

9月16日(水)アメリカ映画「きみがぼくを見つけた日」The Time Traveler's Wife

 主人公ヘンリーは、時空を越えることのできるタイムトラベラー。そんな彼が過去の世界で出会ったのが、孤独に悩んでいた少女クレア。彼女のヘンリーへの思いは、次第に愛に変化していく。そして大人になって、ついに出会う2人。その時すでに、クレアは、ヘンリーのことを何年も前から知っていた。瞬く間に恋に落ちる2人。だが、ヘンリーは自由にタイムトラベルできる訳ではなく、さまざまなトラブルが起き始める。あっちこっちの時代に飛び交う原作をかなり、時間軸に沿って分かりやすいようにまとめたシナリオだが、やはり、矛盾はつきもので、ツッコミどころも多いが、本格SFとしてではなく、ラブストーリーとしての映画化ということなのだろう。(スコープ・110分・09年10月24日)

9月11日(金)アメリカ映画「エスター」Orphan

 3人目の子供を死産で失ってしまったケイトとジョンのコールマン夫妻は、その悲しみを忘れるために、孤児院から9歳の女の子エスターを養子にする。ところが、彼女は、普通の子供ではなかった。次々と起こる怪事件。そして、エスターの本性に気付いたケイトは、子供たちを守るために立ち上がるが、…。ケイトの辛い過去やエスターの素性など、細かい伏線が張り巡らされ、ただのホラーとは違う怖さに満ち満ちたスリラーだ。エスター役の子役の眼が恐い!(ヴィスタ・123分・09年10月10日)

9月10日(木)日本映画「僕の初恋をキミに捧ぐ」I give my first love to you

 8歳の少年・逞(タクマ)は、医師が両親に宣告したことから20歳まで生きられないことを知る。医師の娘・繭(マユ)は、少年に恋をする。そして、将来の結婚を約束する。自分がいなくなった後のことを考えて、繭を遠ざけようとする逞。しかし、繭は、逞への愛を貫こうとする。少女コミックの映画化で、正にベタな悲恋ものだが、最近は、こんなベタなラブストーリーがウケるんだろう。井上真央が制服で出てくるとどうしても「花男」を思い出してしまう。(ヴィスタ・122分・09年10月24日)

9月9日(水)アメリカ映画「PUSH 光と闇の能力者」PUSH

 10年前、“ディビジョン”に父親を殺されたニックのもとに、13歳の少女キャシーが現れる。彼女は、未来予知ができる“ウォッチャー”で、あるトランクとそれを持つ女を探してほしいと依頼する。女は、“ディビジョン”から逃亡してきた“プッシャー”で、彼女を救わなければ、大変なことになるという。監督がウォン・カーウァイのファンだということで全編を香港でロケしたハリウッドアクション。CGだらけのアメコ映画ではなく、生身のアクションを重視しているのが特徴。ローバジェットのインディーズではなく、巨額の製作費をかけた大作だ。(スコープ・111分・09年11月7日)

9月8日(火)日本映画「ヴィヨンの妻〜桜桃とタンポポ〜」Villon's Wife 

 祝!モントリオール世界映画祭・監督賞! 小説家の大谷は、文才はあるが、飲んだくれで、借金は作るし、女性関係もかなりいい加減だ。だから、子供を医者に診せるお金にも困っているが、妻の佐知は、大谷のことを愛していた。彼女は、夫の借金を返すために、椿屋という小さな飲み屋で働くこともいとわない。太宰治は、暗いばっかりか、と思っていたが、こんなユーモア溢れる話もあったのか!? 結構、弱気な太宰を飄々と演じる浅野忠信と、そんな太宰を大きく受け入れる妻をおおらかに演じる松たか子がうまくコラボされている。(ヴィスタ・114分・09年10月10日)

9月7日(月)韓国映画「母なる証明」Mother

 とある田舎の町で、一人の女子高生が殺害される。犯人として逮捕されたのは、“子供の心を持ったまま純粋無垢に育った”青年トジュンだった。状況証拠しかないが、警察は、早く事件を解決しようと、トジュンを追求する。息子がそんなことをするはずがないと固く信じる母は、たった一人で真犯人を追って動き始める。“韓国の母”と言われるキム・ヘジャの迫力ある演技、“純粋無垢”なウォンビンの自然なセリフが絶妙に噛み合っている。細部までこだわったポン・ジュノ監督の演出が見事だ。暗い内容の作品だが、一級レベルのサスペンスだ。(スコープ・129分・09年10月31日)

9月4日(金)第4回福岡アジア美術トリエンナーレ2009の開会式&レセプションに出席。中国の富裕層によるアジア美術バブル、そして、その後の世界不況など、アジア美術界は混乱し、そんな中での作家選定は大変だったようだ。なかなかユニークな作品が展示されている。

9月3日(木)日本映画「クヒオ大佐」Kuhio Taisa

 アメリカ軍のパイロットと称するクヒオ大佐は、次から次へと女を騙していく結婚詐欺師。弁当仕出しの店をやっているしのぶは、彼のことが大好きで、配達の車でクヒオを送り迎え。そんな彼女をほったらかして、クヒオは、博物館の学芸員・春に近付く。また、第3のターゲットとして、銀座のNo1ホステス、未知子にもアプローチする。このところ新作が目白押しの堺雅人が“つけ鼻”をして、ニセ外国人を飄々と演じている。狡猾な男なのだが、どこか抜けていて、何か憎めないキャラだ。(ヴィスタ・113分・09年10月10日)

9月2日(水)アメリカ映画「あなたは私の婿になる」The Proposal

 ニューヨークの出版者の編集長であるマーガレットは、バリバリのキャリアウーマン。ところが、そんな彼女が就労ビザが切れるということで国外退去を命じられてしまう。困った彼女が取った奇策は、12歳も年下のアシスタント、アンドリューとの結婚!果たして、この偽装結婚はうまくいくのか?「正義のゆくえ」と違って、こちらの“就労ビザ”問題は、やや軽め。「ヒズ・ガール・フライデー」のようなスクリューボール・コメディを狙ったのだろう。ウィットに富んだセリフが連発だ。45歳(役では40歳の設定)のサンドラ・ブロックだが、本当に身体を張った(!)演技で頑張っている。アンドリュー役のライアン・レイノルズは、去年スカーレット・ヨハンソンと結婚したラッキーガイ。(スコープ・108分・09年10月16日)

9月1日(火)日本映画「カイジ 人生逆転ゲーム」Kaiji

 いい加減な生活をおくっているフリーターのカイジは、ある日、保証人になっていた友人の代わりに法外な借金の返済を迫られる。当然、支払うことの出来ないカイジは、“一夜にして借金を帳消しにできるゲーム”に参加するために、巨大な船に乗り込む。そこで繰り広げられる“限定ジャンケン”とは、シンプルなカードゲームだが、そこには、驚愕の結末が待っていた。そしてさらに、カイジの前に、さまざまなゲームが展開される。「ヤングマガジン」に掲載の人気コミックの映画化で、カードゲーム自体が地味なものが多いので、その見せ方に苦労が見られるが、やはり長い。「デス・ノート」とは違ったキャラを出そうとしている藤原竜也の熱演は買う。(スコープ・130分・09年10月10日)

8月31日(月)日本映画「引き出しの中のラブレター」Listen to My heart

 真生(まい)がパーソナリティーをやっているラジオ番組に函館の高校生から手紙が送られてくる。“じいちゃんとお父さんの関係がぎくしゃくして困っています。”というものだった。思わず、自分と亡くなった父親との関係と重ねてしまった真生は、リスナーから“おじいちゃんを笑わせる”方法を募集するが、…。エッセイ集「届かなかったラヴレター」からいくつかのエピソードをピックアップしているので、最初は、それぞれの話に接点がなくバラバラだが、次第に絡み合っていく。最近、母親役や年輩の役が多かった常盤貴子が久しぶりに若々しい役で泣かせてくれる。(ヴィスタ・119分・09年10月10日)

8月28日(金)アメリカ映画「正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官」Crossing Over

 I.C.E.とは、移民・関税執行局。9.11の影響で新設された国土安全保障省の傘下にある。そんなI.C.E.でベテラン捜査官として働くマックスは、良心が強いためか、移民の人々に同情的だ。不法滞在で逮捕された母親の頼みで、息子をメキシコに送り届けたりしてしまう。ある日、同僚の捜査官の妹が殺され、調査を始めるが、…。アメリカは移民の国だ。不法移民のメキシコ人女性ミレヤ、労働許可がなければ、女優になれないオーストラリア人クレア、市民権獲得を間近に控えた韓国人青年ヨンなどさまざまな移民の問題が交錯する。それにしても、バングラデシュ出身の女子高生タズリマが逮捕されるのはビックリだ。ハリソン・フォードが深刻なテーマに挑んだ問題作。(スコープ・113分・09年10月10日)

8月27日(木)日本映画 Livespire「愛と青春の宝塚 恋よりも生命よりも」

 2008年、新宿コマ劇場の最後を飾った元宝塚トップスターによるミュージカルをソニーのLivespireでデジタル上映。宝塚のきらびやかさがイヤで、トップスター、リュータンに靴を投げ付けるタッチー。だが、帰る家のない彼女は誘われるままに、入団する。娘役のベニには、欲がなく、何故かトップになるのを急ぐトモになじられてばかり。それでも、彼女たちは、少しずつ成長していく。しかし、そこに戦争という非常事態が彼女たちの運命を変えていく。大石静の脚本は、宝塚と戦争を巧みに絡ませて、ベタではあるが分かりやすいものになっている。(HD・166分・東京09年7月4日、福岡10月3日)

8月25日(火)アメリカ映画「私の中のあなた」My Sister's Keeper

 11歳の少女アナは、突然、両親を告訴する。彼女は、白血病の姉ケイトを救うため、その臓器を提供するドナーとして生まれてきたのだ。そして、“もうこれ以上、姉のために手術を受けるのはイヤだ”というのだ。その理由が全く分からずに、困惑する両親。しかし、アナの決意は固く、弁護士を雇った裁判が始まる。とにかく、長女であるケイトを死なせたくないというあまりにも強い思いに、感情を昂らせるキャメロン・ディアスの涙が心を打つ。(スコープ・110分・09年10月9日)

8月24日(月)日本映画「のんちゃんのり弁」福岡キャンペーン この作品の緒方明監督は、なんとわれらが福岡オフィス・ヌーヴェルヴァーグの出身。久しぶりに会った。福岡大学1年の時にオフィスにやってきて、いろいろと自主上映の手伝いをやり、その後、石井聰亙監督の「狂い咲きサンダーロード」のロケで助監督をやった。それが、映画界への第一歩だった。懐かしい! だから、新作もぜひ宜しく!

8月21日(金)日本映画「湾岸ミッドナイト」Wangan Midnight the Movie

 一日中、車のことばかり考えているような高校生アキオは、ある日、スクラップ置き場で、フェアレディ S30Zを見つけ、修理を始める。だが、その車は、“悪魔のZ”と呼ばれるいわく付きの車だった。“悪魔のZ”によって前の持ち主である兄を失ってしまったエリコは、Zの復活を阻止しようとするが、…。プレステなどのゲームやアニメなどでブレイクした人気コミックの実写化。中村優一、加藤和樹など若手人気俳優のたどたどしい演技はまだまだだが、ゲーム好きのティーンエイジャーには分かりやすい話かも?(スコープだが、ヴィスタの上下をカットした疑似スコープで、アナモフィックレンズを使った撮影ではない・100分・東京09年9月12日、福岡10月24日)

8月20日(木)日本映画「20世紀少年<最終章>ぼくらの旗」Twentieth Century Boys : Part 3

 2017年、世界は、“ともだち”に支配されていた。ウィルスの蔓延のため、東京は巨大な壁で分断され、“ともだち”は、「8月20日、人類は滅亡する」と宣言していた。“ゲンジ一派”のヨシツネらの元を離れたカンナは、“氷の女王一派”を組織し、武装蜂起を計画していた。カンナを止めようとするユキジの前に、オッチョが現れる。そして、番組の終わってしまったラジオから、聞き覚えのある歌が流れてくる。ラスト12分がカットされた試写会バージョンだったので、早く結末が知りたい!伏線から推察すれば、“ともだち”の正体は、○○○○だと思うのだが、果たして、当たっているのか!?(スコープ・公開バージョン155分・09年8月29日)

8月19日(水)アメリカ映画「ファッションが教えてくれること」The September Issue

 「プラダを着た悪魔」のモデルとなったヴォーグの編集長アナ・ウィンターは、正に“ファッション界のカリスマ”だ。提案される服や写真の採用をその場で即決していく。それにいくらスタッフが異論を唱えても、有無を言わせない。そんな冷酷なアナとスタッフたちのやりとりは熾烈な闘いだ。一年の中でも一番忙しい秋の特大号である9月号を完成させるまでの5ヶ月間をカメラが追った迫真のドキュメンタリー。(ヴィスタ・90分・09年11月7日)

8月19日(水)日本映画「BALLAD 名もなき恋のうた」BALLAD

 真一は、女友だちがいじめられているのを救う勇気がない小学生。お姫様の夢を見た日、真一は、大きなクヌギの木の下で、古い箱の中に入った手紙を見つける。すると、天正2年の戦国時代にタイムスリップ。そこは、春日という名前の小国で、真一は、又兵衛という侍の世話になることになる。彼は、廉姫に好意を持っていたが、それは、身分違いの恋だった。名作と評判の「クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」の実写化作品だが、確かに、レベルの高い悲恋物語に泣かされる。また、たぶん原作には無かっただろう、ワンセグケータイや官ビールのギャグが冴えている。(スコープ・132分・09年9月4日)

8月18日(火)イギリス映画「パイレーツ・ロック」The Boat That Rocked

 1966年、イギリスの国営放送BBCラジオでは一日に45分しかポップ・ミュージックを放送していなかった。それなら、イギリスの法律の適用されない公海上の船から24時間ロックを流そうという海賊放送局が誕生した。高校を退学になったカールは、母親の指示で、この海賊ラジオ局の船の乗りこむ。ところがそこは、クレージーな8人のDJと乗組員たちの自由天国だった。しかし、政府の役人たちは、海賊局を取り締まるための法案を次々と成立させていく。ロッカーたちと政府の戦いだ!フィリップ・シーモア・ホフマンやリス・エヴァンスなど、DJの配役が豪華!さらに、60年代ロックが全編を彩り、古き良き時代を甦らせてくれる。(スコープ・135分・09年10月24日)

8月17日(月)日本映画「TAJOMARU」TAJOMARU

 芥川龍之介の「薮の中」の映画化だが、世界の名作「羅生門」とは相当に違うオリジナルのストーリー。畠山の家督を継ぐはずの兄は、弟・直光の言葉が信じられずに阿古姫を奪ってしまう。兄に裏切られ、最愛の阿古姫と追われる身となる直光。そんな中、山の中で、盗賊・多襄丸に出会う。直光は、果敢に戦いを挑むが一撃され、気を失ってしまう。気付いた時は、縄で縛られていて、…。小栗旬の直光から多襄丸への変化が意表を突いていて面白い。中野裕之監督ということで、バリバリのCGを予想していたが、殺陣などはかなり本格的。時代劇ブームは、CGでなく、リアルものが主流なのか?(ヴィスタ・131分・09年9月12日)

8月10日(月)日本映画「のんちゃんのり弁」Nonchan Noriben

 ぐうたらダメ亭主に愛想をつかせた31歳主婦の小巻は、愛娘のんちゃんを連れて、実家の京島に帰ってくる。だが、娘を幼稚園に通わせるのにも、お金がいる。面接を受けて仕事を探すが、ずっと主婦をやってきた小巻は、ことごとく門前払い。そんな彼女の前にダメ亭主が現れ、のんちゃんの周りをうろつくようになる。いったい、自分には何ができるのか?何がやりたいのか?迷った小巻は、お弁当つくりを始める。緒方明の三作目は、コミックの映画化という意表をついた題材。離婚したいがなかなか別れられないダメ亭主との微妙な関係が現代社会を投影している。(ヴィスタ・107分・09年9月26日)

8月7日(金)日本映画「ホッタラケの島〜遥と魔法の鏡〜」Oblivion Island : Haruka and the Magic Mirror

 幼い頃に母を亡くした女子高生・遥は、ある日、子供の頃行ったことのある神社で、おもちゃの飛行機を運んでいる“きつね”を目撃し、追っていく。そして、ひょんなことから、不思議な世界に迷いこんでしまう。そこは、人間たちが“ほったらかした=ホッタラケにした”もので出来た島だった。遥は、そこで昔大切にしていた“羊のぬいぐるみ”を見つける。そしてもうひとつ、お母さんからもらった“手鏡”のことを思い出す。果たして、彼女は、無事、手鏡を見つけることができるのか?セル・アニメの手法を使った日本独特のCGアニメで、全体的に温かい空気に包まれた癒しの作品。確かに、子供の頃、大切にしていたのに、どこかにいってしまったものがある。(ヴィスタ・99分・09年8月22日)

8月6日(木)日本映画「新感線☆RX 五右衛門ロック」Goemon Rock

 2008年夏、劇団☆新感線の新作として東京・大阪で上演し、驚異的な大ヒットを記録した話題の演劇をデジタルシネマとして再現。釜茹の刑に処される石川五右衛門。ところが、真砂のお竜たちの仕掛けで五右衛門は生きていた。南蛮人たちに乗せられた五右衛門たちは、南の島に眠る“月生石”を求めて、南の島タタラ島へ。ところが、その島では、王クガイとバラバ国のカルマ王子の争いが起こっていた。五右衛門に扮するのは、モチロン古田新太だが、松雪泰子、江口洋介、森山未来など客演陣が豪華。それも皆んなが歌って踊る!3時間全く退屈しないのは、さすがだ。(HD・189分・東京09年5月、福岡9月5日)

8月6日(木)アメリカ映画「男と女の不都合な真実」The Ugry Truth

 地方テレビ局のやり手美人プロデューサーのアビーには、なかなか理想の相手に出会えないという悩みがあった。そんな彼女の前に現れたのは、下品でHな本音トークが人気の恋愛カウンセラーのマイク。彼の恋愛指南で、隣に引っ越してきたイケメン外科医のコリンにアタックするアビー。たちまちセクシーで男好みの女性に変身し、恋愛もうまくいき始めるが、…。よくあるパターンのラブコメだが、二人の間で飛び交わる男女のセリフが相当生々しく、どぎつい。ティーンエイジャーの恋愛ごっこものとは違う“大人のセクシーラブコメ”なのだ。(ヴィスタ・95分・09年9月18日)

8月5日(水)日本映画「カムイ外伝」Kamui Gaiden

 白戸三平のカルト的漫画の初の実写版。抜忍としてかつての仲間に追われるカムイは、藩主の大切な馬の足を切った漁師・半兵衛を助けたことから、奇ヶ島に住むことになる。ところが、半兵衛の妻は、抜忍の“くの一”スガルだった。カムイを追忍だと疑うスガル。やっとカムイが島の人々にも受入れられてきた頃、思わぬ事態が巻き起こっていく。主演女優のケガで撮影が中断され、完成までに1年近くもかかってしまったいわく付きの作品だが、期待していたCGアクションがそれほどカッコよくない。「GOEMON」と違って、リアルに“泥臭く”というのが崔洋一監督の狙いなのかもしれないが、それでいいんだろうか?(ヴィスタ・120分・09年9月19日)

8月5日(水)アメリカ映画「アドレナリン:ハイ・ボルテージ」Crank : High Voltage

 「トランスポーター」シリーズのジェイソン・ステイサムのもう一つの人気キャラが、“やりすぎ男”チェリオス。ヘリコプターから落下して死んでしまった(かに見えた)チェリオスは、直後に心臓を取り出され、バッテリー式心臓を移植されてしまう。その人工心臓は、充電をしないと止まってしまう。彼は、さまざまな方法で充電しながら、盗まれた心臓を追う。1作目よりさらに下品で、セックスシーンもハード。ここまでやれば、R18は当然。レイトショーのみの公開。(ヴィスタ・96分・09年9月26日)

8月3日(月)韓国映画「グッド・バッド・ウィアード」いい奴、悪い奴、変な奴/The Good, The Bad, The Wired

 “いい奴”トウォンは、金のためならなんでもOKの賞金稼ぎ。“悪い奴”チャンイは、冷酷無比な盗賊団のリーダー。そして、“変な奴”テグは、特攻隊のような列車強盗。1930年代の満州を舞台に、テグが列車で手に入れた1枚の宝の地図を巡って、3人の男たちの壮絶なバトルが繰り返される。だが、正体不明の地図を狙っていたのは、3人だけではなかった。日本軍、さらに馬賊も加わって、戦いは混迷を増していく。シネマスコープの画面狭しと銃弾が飛び交い、激しいアクションが続く。去年、プサン映画祭で見たが、あまりにゴチャゴチャしているので、再見。人間関係が整理されると、物語も分かりやすい。(スコープ・129分・09年8月29日)

8月1日(金)アメリカ映画「ドゥームズデイ」Doomsday

 2008年、スコットランドで死のウィルスが広まり、イギリス政府は、その地域を高い塀で被って隔離する。2035年、再びロンドンでウィルスが広まり始める。隔離地帯“ホットゾーン”に生存者がいることを知った政府は、スペシャル・チームをホットゾーンに送り込む。「ゾンビ」のように始まったホラーは、途中から「マッドマックス」になり、「ベン・ハー」のような中世騎士ものに変化し、最後は「バイオハザード」のようなヒロインもので終わるといういろいろなジャンルのテンコ盛りアクション。主演は「アンダーワールド:ビギンズ」のイメージをスケールアップさせたローナ・ミトラ。きっとこれから彼女主演のアクションものが多数出てくることだろう。(スコープ・110分・09年9月19日)

7月30日(木)日本映画「里山」Satoyama

 滋賀県北部の山には、クヌギやコナラなど2万本を越える雑木林がある。そこで、シイタケを栽培する人々。雑木を伐採し、均等な長さに切り、シイタケの菌を埋め込んでいく。そして、その木々を適度な日陰のある林に並べていく。それは、淡々とした作業だが、自然の力を受けた山の仕事だ。山の人々は伐採の時、必ず切り株を残す。そうすれば、そこから“ひこばえ”という若い芽が生えてきて、15年ほどで再び大きな木になるからだ。2008年7月に放送された「ハイビジョン 里山 いのち萌ゆる森」を劇場用に編集したもの。大きなスクリーンで見たい。(プロジェクター上映・91分・09年8月22日)

7月29日(水)アメリカ映画「マーシャル博士の恐竜ランド」Land of the Lost

 タイムトラベルの研究をしているマーシャル博士の元を訪ねてきたケンブリッジ大学のホリーは、荒野で土産物屋を営む怪しい男ウィルと共に洞窟へ。そして、とんでもない世界にタイムワープしてしまう。そこは、巨大な恐竜が闊歩するだけでなく、得体の知れない生物がウジャウジャいる“不思議ランド”だった。1970年代に人気だった子供向け怪物アドベンチャードラマの映画版。アメリカでは絶頂的人気のウィル・フェレル主演なので大ヒット!暑い夏は、こんなドタバタコメディーで軽く笑うのもいいかも?(ヴィスタ・101分・09年9月18日)

7月27日(月)イタリア映画「ポー川のひかり」Cento Chiodi

 ボローニャ大学の図書館で、貴重なキリスト教関係の古書が釘刺しにされるという事件が起きる。容疑者とされたのは、若い哲学教授だった。彼は、ポー川をさかのぼり、岸辺の廃虚に住み始める。すると、村の老人たちは、彼のことを“キリストさん”と呼んで、協力し始める。「木靴の樹」の名匠エルマンノ・オルミ監督の新作は、現代社会に絶望した教授を素朴な村人たちが癒していくという寓話的なほんわかした作品。今後はドキュメンタリーしか撮らないと公言しているそうなので、劇映画としては最後の作品になるかも?(ヴィスタ・94分・東京09年8月1日、福岡10月3日)

7月24日(金)アメリカ映画「ワイルド・スピードMAX」Fast & Furious

 「ワイルド・スピード」シリーズに、オリジナルのメンバーが帰って来た!ドミニカ共和国で、タンクローリーを襲撃したドミニクだったが、捜査の手が迫ってくるのを察し、レディの前から姿を消す。ところが、ドミニクの元に、思わぬ訃報が届く。復讐の怒りに燃え、ロスに戻ってくるドミニクの前に、今はFBIで働くブライアンが現れる。“事件はFBIにまかせろ”というブライアンの言葉に、すんなり頷くドミニカではなかった。「3」のラストに、ヴィン・ディーゼルが出た時から期待さていたことだが、やはりオリジナルのメンバーが再集結すると、スケールアップした凄い迫力のカー・アクションものが生まれた。(スコープ・107分・09年10月9日)

7月24日(金)アメリカ映画「あの日、欲望の大地で」The Burning Plain

 ポートランドの高級レストランのマネージャー、シルビアは、仕事をてきぱきこなすキャリアウーマンのようだが、男性関係はかなりイージーだ。そんな彼女の前に、娘という少女マリアが現れる。突然の出会いに戸惑うシルビアに、かつてのニューメキシコでの若き日の秘密が甦ってくる。「バベル」の脚本家ギジェルモ・アリアガの長篇デビュー作ということで、製作にも名を連ねているシャーリーズ・セロンとキム・ベイシンガーという豪華キャストだが、物語自体がかなり古臭い。昔のハリウッド映画のようだ。(スコープ・106分・09年9月26日)

7月22日(水)日本映画「キラー・ヴァージンロード」Killer Virgin Road

 イケメンとの結婚式を明日に控えたひろ子は、アパートの大家さんを誤って殺してしまう。困ったひろ子は、死体をスーツケースに入れて、富士の樹海へ。ところが、その樹海で、“死にたい女”福子と出会ったことで、とんでもない逃避行が始まる。俳優・岸谷五朗の初監督作品だが、ドタバタの小劇場芝居向きの台本で、ノリきれないギャグも多い。(ヴィスタ・97分・09年9月12日)

7月21日(火)アメリカ映画「3時10分、決断のとき」3:10 to Yuma

 南北戦争で足を負傷し、アリゾナで小さな牧場を営むダン・エヴァンスは、干ばつと借金に苦しんでいた。そんな時、強盗団のボス、ベン・ウェイドを列車まで護送する仕事を引き受ける。しかし、強盗団の手下たちは、ボスを奪還しようと、しつこく襲って来る。ダンには、この仕事を引き受けた本当に理由があった。そして、それを聞いたベンはある決断をする。1957年の「決断の3時10分」のリメイクで、男と男の感動の友情物語だが、ちょっと古臭い。ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベイルという2大スターの競演で、2007年アメリカでは、大ヒットになり、その後の西部劇ブームのきっかけとなった作品だが、果たして、日本では? さらに、西部劇の流行も、今年のブラピ映画の中止など、終わった感がある。(スコープ・122分・09年9月5日)

7月17日(金)イギリス映画「宇宙(そら)へ。」Rocket Men

 50年前の7月20日、あのアポロ11号のニール・アームストロング船長が月に降り立った。“ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては大きな飛躍だ。”という有名なメッセージを50周年の今年はいろいろなニュースで聞いた。しかし、アポロ計画やスペースシャトル計画は、すべて順調に進んだ訳ではなかった。その間には、チャレンジャー号やコロンビア号などの事故があり、尊い犠牲があった。こういった事故のシーンを見ていると、命がけの飛行の崇高さに心を打たれる。(ヴィスタ・98分・09年8月21日)

7月16日(木)アメリカ映画「サブウェイ123・激突」The Taking of Pelham 1 2 3

 ニューヨーク、ペラム駅1時23分発の地下鉄“ペラム123号”がハイジャックされる。運行指令室にかかってきた無線で、犯人たちは、1000万ドルの身代金を要求してくる。制限時間は、59分。交渉役に指名されたガーバーと、ライダーたち犯人側の駆け引きが始まる。そして、事件が意外な方向へ。サスペンスの名作として有名な1974年の「サブウェイ・パニック」のリメイクだが、当時とは比べ物にならないぐらいのハイテク器機の進歩で、スピーディな展開の現代版に甦った。トラボルタの悪役ぶりがいい。(スコープ・105分・09年9月4日)

7月16日(木)アメリカ映画「ディズニーネイチャー/フラミンゴに隠された地球の秘密」The Crimson Wing : Mystery of the Framingos

ディズニーが今年から5年間8月に公開する自然シリーズ第1弾。タンザニアの北にあるナトロン湖は、炭酸ナトリウムの強い毒性を持つため、生物が住めない湖だ。ところが、毎年雨期になると、100万羽以上のフラミンゴがやってくる。雨期が終わると、湖の中央に塩の島が現れる。そして、その島で、役150万羽のフラミンゴが生まれ、育てられるのだ。55℃近くまで上がる気温、塩分濃度の高い水による足への付着、魔女のように襲ってくるアフリカハゲコウの脅威。そんな苛酷な状況を乗り越えて、フラミンゴたちは、生きていく。以前のディズニーのドキュメンタリーには、血が出るような狩りのシーンはなかったものだが、自然の厳しさをリアルに表すためには、必要なのだろう。(ヴィスタ・79分・09年8月28日)

7月15日(水)日本・韓国合作「ノーボーイズ・ノークライ」The Boat

 小さなボートで、プサンから山口の“ボギョンおじさん”まで密輸品を運ぶヒョング。夜の岸辺を彼を“ヨボセヨ”と迎えるのは、無口な亨だった。ある日、“荷物”としてヒョングが日本に運んだものは、保険会社の重役の娘・チスだった。“父を探してくれたら、5000万ずつあげる”と言うチスに協力することを決めた二人は、それぞれに問題を抱えながらも、次第にお互い気持ちを理解するようになる。猛勉強したという妻夫木聡のハングルはなかなかだし、「チェイサー」で一躍トップスターになったハ・ジョンウのおとぼけぶりも面白いが、全体的に古臭い感じだ。出番は少ないがパンク娘チスを演じているのは、昨年の福岡アジア映画祭グランプリの「美しすぎて...」(DVDタイトル「ビューティフル」)のチャ・スヨン。(ヴィスタ・114分・09年8月22日)

7月14日(火)日本映画「しんぼる」Simbol

 松本人志期待の第2作。水玉のパジャマを着た男(松本)は、白い壁の部屋に閉じ込めらている。一体、そこはどこなのか?そして、その壁に現れるものの正体は?ここで行われるパフォーマンスは、与えられた道具を使った“即興コント”だ。そして、唐突に入ってくるメキシコの覆面プロレスラーの話とはどう繋がっていくのか?細かい内容については、伏せるよう監督からの指示があるので、これ以上は書けない。相当にユニークな作品であることは間違いない!(ヴィスタ・93分・09年9月12日)

7月12日(日)第23回福岡アジア映画祭2009無事終了。福岡グランプリ2009は、韓国映画「甘いウソ」になりました。初めての福岡、初めての映画祭参加で、まさかグランプリを受賞するとは夢にも思っていなかったようで、チョン・ジョンファ監督は、大感激でした。

7月10日(金)第23回福岡アジア映画祭2009・後半のスタート。ゲストは、イ・ギョンミ監督(韓国)、チョン・ジョンファ監督(韓国)、キム・ドンホ釜山国際映画祭ディレクター(韓国)、セバスティアン・プロー(九州日仏学館)。一般参加のパーティーもあります。

7月9日(木)アメリカ・イタリア合作「セントアンナの奇跡」Miracle at St. Anna

 1944年、第2次世界大戦下のトスカーナ。アメリカが最前線に送り込む黒人だけの部隊“バッファロー・ソルジャー”は、ナチス・ドイツと戦っていた。偵察隊として川を渡ることに成功するが、爆撃に倒れた少年を救ったことから、部隊とはぐれてしまう。少年を治療するために、村に入っていく4人。少年には不思議な力があり、兵士たちも次第にうちとけていく。黒人兵の命を紙クズのように扱うアメリカ軍。彼らをまったく差別しないイタリアの村人たち。ここに、これまで語られなかった衝撃の事実が描かれる。(スコープ・163分・09年7月25日)

7月8日(木)第50回目の福岡巴里祭が西鉄グランドホテルにて開催された。

7月8日(水)フランス映画「ゴー・ファースト 潜入捜査官」Go Fast

 スペインのマラガからパリまで、密輸されたドラッグを運ぶドライバー、通称“ゴー・ファースト”。麻薬取締局の厳しい訓練を経たマレクは、スペインの麻薬組織に“ゴー・ファースト”として雇われる。しかし、一緒に走る男たちの中に、同僚の仇リュシアンがいた。果たして、マレクは最後まで任務を遂行できるのか?BMWやアウディなどの高級車によるカー・アクションの迫力抜群だ。(スコープ・89分・09年8月29日)

7月7日(火)アメリカ映画「ハリー・ポッターと謎のプリンス」Harry Potter and the Half-Blood Prince

 闇の帝王ヴォルデモートの脅威は、人間界にまで広がり始める。ダンブルドア校長は、ハリーと共に、ヴォルデモートの過去を探る。そして、かつて彼を教えたことがあある魔法薬学のスラグホーンをホグワーツに復学させる。スラグホーンに近付いたハリーは、若き日のヴォルデモート=トム・リドルが闇の帝王に変貌した経緯を探っていく。いよいよ、ヴォルデモートとの死闘が幕を開ける第6章。ラブロマンスのエピソードもいろいろと加味されているが、暗いイメージは否めない。最終章は、10月と11月。(スコープ・154分・09年7月15日)

7月6日(月)日本映画「サマーウォーズ」Summer Wars

 大好評を博したアニメ「時をかける少女」の細田守監督の新作。パソコンの中に現実と同じような仮想都市OZが作られ、さまざまなことがコントロールされている近未来。高校2年生の健二は、憧れの先輩・夏希に頼まれ、長野の先輩の実家へ。ところが、そこは室町時代から続いているというお城のような大邸宅。そして、90歳になるおばあちゃんの誕生日を祝って、親戚一同が集まってくる。さらに、OZに現れた謎のアバター“ラブマシーン”が世界を大混乱に陥れる。仮想都市よりもぶっ飛んだ現実の世界に笑ってはいけないのかもしれないが、笑わされる。(ヴィスタ・110分・09年8月1日)

7月3日(金)いよいよ第23回福岡アジア映画祭のスタート。前半のゲストは、御法川修監督(日本)、馬場真右ェ門(日本)、井手口直樹プロデューサー(日本)、金知映(キム・ジヨン)監督(韓国)、蜷川澄村プロデューサー(日本)、早川由美子監督(日本)、田代陽子監督(日本)。ゲスト作品については、上映後ティーチ・イン(質疑応答)を行います。

6月25日(金)日本映画「アマルフィ 女神の報酬」Amalfi

 ローマの日本大使館に赴任してきた黒田を待っていたのは、日本人少女の失踪事件。しかし、少女の母にかかってきた電話に出たことから、彼は、少女の父として、犯人と交渉をしていくことになる。身代金取引が違法とされるイタリアで、取引は難航する。果たして、これは単なる営利誘拐なのか、それとも、テロと何か関わりあいがあるのか?事件は以外な方向へ転がっていく。フジテレビ50周年記念ということで巨費をかけてオール・イタリアロケで作った贅沢な作品。アマルフィとは、地中海に面したイタリア南部の海岸。(スコープ・125分・09年7月18日)

6月25日(木)アメリカ映画「キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語」Cadillac Records

 約50年前に生まれ、世界的ムーブメントを巻き起こしたシカゴ・ブルースの誕生秘話。1947年、ポーランド系移民レナード・チェスは、チェス・レコードを設立する。彼が、最初に選んだのが、ギタリストのマディ・ウォーターズだった。宣伝のために、地方のラジオ局を回る2人。そして、またたく間に曲はヒットチャートを急上昇していく。まだ黒人差別が強かった時代に、黒人音楽としてスタートしたブルースは、世界中に広がっていく。製作総指揮も務めるビヨンセが、伝説のシンガー、エタ・ジェイムズを好演。この演技がきっかけになり、今年1月のオバマ大統領祝賀パーティーで、ビヨンセは、エタ・ジェイムズの名曲「At Last」を熱唱し、涙を流した。(スコープ・108分・09年8月22日)

6月19日(金)アメリカ映画「モンスターVSエイリアン」Monsters VS Aliens

 結婚式直前、教会の庭で空から落ちてきた隕石にあたってしまった花嫁スーザンは、突如15mの身体に巨大化してしまう。パニックに陥った会場から軍隊によって連れ去られてしまったスーザンは、同じように捕獲されたモンスターたちと一緒にされる。そして、地球侵略を企むギャラクサーが放ったエイリアン・ロボットと戦うことになる。果たして、彼女たちは、地球を救うことができるのか!?外見はグロテスクかもしれないが、心はやさしい、ちょっと変わったモンスターたちがそれぞれの得意ワザを駆使しながら、エイリアンと果敢に戦うという設定がヒューマニズムたっぷりだ。随所に3Dを意識したシーンが多いので、3Dで見ると迫力も倍増するかも!?(スコープ・94分・09年7月11日)

6月19日(金)イラン・フランス合作「子供の情景」Buddha Collapsed Out of Shame

 アフガニスタンのバーミアン。6歳の少女バクタイは、隣の家の少年アッバスが本を読んで勉強するのを聞いて、自分も学校に行きたいと思います。しかし、学校に行くには、“鉛筆とノート”が必要だ。なんとか、“鉛筆とノート”を手に入れるために、バクタイは、玉子を市場に持っていって、売ろうとする。いろいろとあった後、やっと“ノート”を手に入れるバクタイ。だが、彼女の学校への道のりは、まだまだ長かった!アフガニスタンでは、女の子が学校に行って勉強するということが普通ではなく、こんなにも大変なことなんだ!そんな不条理な世界を、10代のハナ・マフマルバフが鋭く訴える。シンプルなストーリーだが、訴えてくるものは大きく、重たい。少年たちが無邪気にタリバンごっこをやったり、バーミヤン遺跡を紙飛行機が爆撃するシーンには背筋が冷たくなった。(ヴィスタ・81分・東京09年4月18日、福岡8月15日)

6月12日(金)日本映画「ちゃんと伝える」

 雑誌の編集をやっている史郎は、毎日、仕事の途中、病院に通っている。突然倒れた父親の見舞いだ。ところが、自分自身がガンに冒されていたことが分かる。それも、父親より重いという。“まさか、自分のほうが父親より早く死ぬなんて!”愕然とする史郎だったが、両親に病気のことは伝えられない。“ちゃんと伝える”ということの意味が心に突き刺さる。EXILE映画シリーズ第1弾で、「山形スクリーム」にも重要な役で出ていたEXILEのAKIRA初主演作。(ヴィスタ・108分・09年8月22日)

6月10日(水)アメリカ映画「扉をたたく人」The Visitor

 5年前、妻に先立たれた大学教授のウォルターは、すべてにやる気を無くしていた。学会に出るために、久しぶりにマンハッタンの別宅のアパートを訪れると、そこには、若い移民のカップルが住んでいた。シリア出身のクレタは、ジャンベというアフリカン・ドラムの奏者で、そのリズムが、ウォルターの沈んだ心に“音楽”のパワーを感じ始めさせる。ところが、クレタが不法滞在の罪で拘束されてしまう。毎日のように拘置所を面会に行くウォルター。そして、ミシガンに住むクレタの母モーナも息子の安否を心配してニューヨークにやってくるが、…。9.11の後、アメリカは移民政策を厳しくし、難民申請をし、アメリカの学校を卒業したクレタのような青年でさえ、不法移民となってしまうのだ。堅物の教授が次第に移民の人々と心を通わせていく様が静かに感動を呼ぶ。(ヴィスタ・104分・東京09年6月27日、福岡7月 日)

6月5日(金)日本映画「真夏の夜の夢」A Midsummer's Okinawan Dream

 不倫の恋に疲れて、故郷の世嘉冨島に帰ってくるゆり子。キジムンと呼ばれる精霊たちが守ってきた島だったが、最近は、島を出て行く家が多く、キジムンのことも忘れられようとしていた。しかし、ゆり子が子供の頃、出会った精霊マジルーは、ちゃんと島にいて、島の人たちを守っていた。息子の結婚式に村長は、何か重大発表を行うと企んでいるし、ゆり子の不倫の相手、そしてさらに、その妻までやって来て、島はてんてこまい。そんな中、マジルーは、ある思いを実行しようとする。シェークスピア原作をかなり大胆にアレンジした沖縄版「真夏の夜の夢」。マジルーを演技しているのか、演技していないのか分からない、中性的な蔵下穂波の存在が印象に残る。(ヴィスタ・105分・09年8月15日)

6月3日(水)日本映画「山形スクリーム」Yamagata Scream

 歴史研究会の合宿で、山形県の御釈ヶ部(おしゃかべ)村を訪れた都立紅女子高校・美香代、宙子、圭、胸恵の4人と顧問の勝先生。ちょうど、その頃、落ち武者の宿る祠を壊すイベントが行われ、本当に落ち武者たちが甦ってしまう。次々に襲われ、ゾンビとなっていく村びとたち。平家の侍頭・葛貫忠経(つづらぬきただつね)の怨念とは何なのか?竹中直人監督作品ということで、個性派俳優がこぞって出演していて、ギャグてんこ盛りムービーになったが、それにしても、自分が何役もやっていて、出過ぎ!(ヴィスタ・115分・09年8月1日)

6月2日(火)日本映画「築城せよ!」

 過疎の町・猿投(さなげ)の公園では、遺跡の発掘と城の復元作業が進めれていた。しかし、町長は、そこにペットボトル再生工場を誘致しようとして、町民と対立していた。そんなある夜、突如3人の戦国武将の霊が現れ、そこにいた3人に乗り移ってしまう。乗り移られた3人の目的は、400年前に成し遂げられなかった城を完成させること。殿の号令の下、町民たちの城作りが始まる。しかも、材料は、何故か段ボール!果たして、段ボールの城は、完成するのか!?シンプルなアイデアをしっかり真面目に映像化したことで、なかなか骨太の痛快コメディに出来上がっている。愛知工業大学が製作というのもユニークで面白い。(ヴィスタ・120分・東京09年6月20日、福岡7月18日)

5月28日(木)アメリカ映画「HACHI 約束の犬」Hachiko: A Dog's Story

 大ヒットした「ハチ公物語」をアメリカでリメイク。舞台は、東海岸の郊外。日本から送られてきた子犬が、運ばれている途中、落ちてしまい、オリから出てしまう。偶然、列車から降りて来たウィルソン教授が見つけ、仕方なく家へ。飼い主が見つからず、飼うことになり、毎日、駅まで教授の送り迎えをすることに。日本では、皆んなが知っているストーリーなので、途中から自然に涙が出てくる。秋田犬というのは、人間に媚びない犬なんだ。(ヴィスタ・93分・09年8月8日)

5月25日(月)アメリカ映画「ターミネーター4」Terminator Salvation

 舞台は、「審判の日」から14年後の2018年、核戦争で荒廃した世界は、<スカイネット>に支配されていた。そんな中、ジョン・コナーらの抵抗軍は、<スカイネット>の機械を制御できる秘密のシグナルを手に入れ、総攻撃の準備をしていた。ところが、将来ジョンの父親となるカイル・リースたちは、飛行型ターミネーターに捕らえられ、<スカイネット>の中枢部に連れていかれる。ジョンたちの前に現れたマーカス・ライトという男は、カイルを救うために、中枢部に侵入しようと進言するが、…。これまでの3作のように時代があちこちいかなくて、同じ世界での闘いなので、かなり分かりやすい。新3部作ということなので、「ダークナイト」の時よりさらに痩せていたクリスチャン・ベイルが3作とも主演ということなんだろう。(スコープ・114分・09年6月13日)

5月19日(火)日本映画「蟹工船」

 不況の中、大ブームになっている小林多喜二原作を松田龍平、高良健吾など若手俳優を動員してリメイク。カムチャッカ沖で蟹を捕り、船内でボイルし、缶詰に加工する蟹工船・博光丸。船の中では出稼ぎ労働者たちが、長時間、劣悪な環境で仕事を強いられていた。絶望的な状況にただ従うしかない労働者たち。だが、新庄は、そんな彼らに“自分たちが変わらなければ、何も変わらない”と決起を促すのだった。暗く、落ち込んでしまいそうな内容を明るく描くために、ファッショナブルな服装やナンセンスギャグが使われているんだろうが、果たして、それで良かったのか?とにかく、原作とは相当違うし、1953年の作品とも全く違う。これで、現代の若者たちが理解できるのだろうか?(ヴィスタ・109分・09年7月4日)

5月18日(月)日本映画「ハゲタカ」

 2007年にNHKで放送され、大反響を呼んだ土曜ドラマの映画化。海外に住む鷲津の元へ、かつての盟友・芝野が訪ねて来る。中国系巨大ファンドの買収危機にある「アカマ自動車」を救って欲しい、との依頼だ。「アカマ」を狙っているのは、“赤いハゲタカ”こと劉一華だった。ドラマのレギュラー陣が総動員で、玉山鉄二がクールに演じる劉と闘う。玉山の中国語もうまいが、大森南朋のアラビア語にはびっくりだ。ライブドアや村上ファンド事件のおかげで、M&AやTOB、ホワイトナイトなどの株式用語も普通に通用するようになった。(スコープ・134分・09年6月6日)

5月16日(土)第23回福岡アジア映画祭2009プレイベント オーストリア・ドイツ合作「ボリウッド・リミックス」

 アカデミー賞「スラムドッグ$ミリオネア」を見ている観客も多く、たくさんの方がインド映画に興味を持ってくれたようです。さあ、あとは、7月3日からの本番だ!

5月15日(金)アメリカ映画「スター・トレック」Star Trek

 22歳の青年カークは、バーで喧嘩をして警察のやっかいになったりする問題児。だが、そんな彼の父を知るスターフリート(惑星連邦艦隊)のパイクに誘われ、隊員に志願する。3年後、訓練を終えたカークは、親友の計らいで、USSエンタープライズに乗り込む。そして、サブ・リーダーのスポックとぶつかる。これまで描かれることのなかったカークとスポックの若かりし頃の誕生秘話。もちろん、元祖スポックことレナード・ニモイも特別出演。(スコープ・126分・09年5月29日)

5月11日(月)アメリカ映画「アルマズ・プロジェクト」Almaz Black Box

 1998年、ロシアの極秘宇宙ステーション「アルマズ号」がレーダーから消え、地球の大気圏に突入し、爆発した。当時、ロシア政府は、この事故を隠ぺいした。ところが、ウクライナの過激派グループによってブラックボックスが発見され、この事故の映像が明らかになっていく。それは、軍事的に利用していたロシア側と、それを破壊するために乗り込んだアメリカ側の宇宙での闘いだった。実際の映像のように作ってあるが、俳優による予想再現フィルム。「ブレア・ウィッチ」の手法は、あざとさを強調させる。(ヴィスタ・89分・09年6月6日)

5月8日(金)フランス映画「サガン 一悲しみよ こんにちは一」Sagan

 18歳の夏に書いた小説「悲しみよ こんにちは」がベストセラーになり、一躍、人気作家となったフランソワーズ・サガン。派手な男遊び、お金を湯水のように使ったセレブたちとのパーティー三昧、さらに、スポーツカーでの事故、そして、ドラッグ。まさに、波乱万丈の人生。そっくりな女優が演じるサガンの数奇な人生だが、駆け足で綴っていて、ダイジェスト版といった感じだ。(ヴィスタ・122分・09年6月6日)

5月7日(木)フランス映画「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」I Come with the Rain

 ある猟奇的殺人事件をきっかけに刑事を辞め、探偵をやっているクラインに失踪したあ息子シタオを探してほしいという依頼が来る。手がかりを求めてフィリピンにやってきたクラインは、シタオを追って香港へ。人の痛みを身替わりになって直してくれるというシタオの周りには、ケガをした多くの人々がやってくる。そして、香港マフィアのボス、ス・ドンポが溺愛するリリも偶然、シタオのところへ。「青いパパイヤの香り」のトラン・アン・ユン監督の新作だが、ロスのサイコ・ホラーに始まって、香港に行ったと思ったら刑事アクションになり、途中からキリストがらみにジャンルが変化していき、一体、何の話なのか統一性に欠ける。傷だらけの木村拓哉は儲け役だが、イ・ビョンホンのヤクザは、いつもと変わらない。(スコープ・114分・09年6月6日)

4月30日(木)アメリカ・ドイツ合作「愛を読むひと」The Reader

 1958年ドイツ、学校帰りに気分が悪く倒れそうになっていたマイケルを助けてくれたのは、ハンナだった。3ヶ月後、病気が治ったマイケルは、お礼の花を持ってハンナを訪ね、恋に落ちてしまう。15歳のマイケルと21歳年上のハンナ。しかし、その恋は長くは続かなかった。そして、8年後、大学の法学専攻に進んだマイケルを予期せぬ出会いが待っていた。3つの時代を交錯させながら、二人の数奇な人生を描き出していく。秘密を明かすことを頑として拒んだハンナの気持ちが痛い。(ヴィスタ・124分・09年6月19日)

4月28日(火)TNC文化大学で「フランス映画の魅力」と題した講演。

4月24日(金)日本映画「MW-ムウ-」MW

 16年前、沖之真船島で島民全員が虐殺されるという恐ろしい事件が起こる。だが、ふたりの少年が奇跡的に逃げ延びることに成功していた。やがて、1人・賀来裕太郎は神父になるが、もう1人・結城美智雄は、事件の復讐に燃えて、闇に潜んでいた。そして、用意周到な計画に基づいた復讐が始まる。タイの軍隊を動員した冒頭のバンコクでのカー・チェイスシーンが度胆を抜く。冷静沈着に殺人を冒していく結城をシャープに演じるために、7キロ減量して挑んだという玉木宏のクールな悪役ぶりが見事だ。(スコープ・130分・09年7月4日)

4月22日(水)日本映画「真夏のオリオン」Last Operations Under the Orion

 アメリカから送られてきた1枚の楽譜。その楽譜は、いずみの祖母が書いたものだった。なぜ、その楽譜がアメリカにあったのか?1945年8月14日、日本海軍は沖縄の南方の海で、米海軍の燃料補給タンカーを攻撃するために、最後の潜水艦隊を派遣する。そして、最後に残ったイ-77は、アメリカ海軍の駆逐艦パーシバルとの熾烈な戦いが待っていた。常に冷静さを失わず、人命を尊重するイ-77の倉本艦長を玉木宏が好演。(スコープ・119分・09年6月13日)

4月17日(金)日本映画「Rookies -卒業-」Rookies

 最初テレビで放映された時は、プロ野球の中継で飛び飛びの放送でなかなか続けて見ることができなかった「Rookies」だが、去年暮れの一挙放映で、まとめて見ることが出来た。だから、キャラなどは、よく憶えている。そんなニコガクの野球部員たちも3年生になり、最後の“甲子園”を目指す。テレビでは、野球部の連中に“夢”を持つすばらしさを教えようとする川藤先生の奮闘ぶりが中心だったが、映画版では、生徒ひとり1人のエピソードが丁寧に描かれていく。へたな変化球を使わず、思いっきりストレートなスポ根ものに徹して正解だ。(ヴィスタ・139分・09年5月30日)

4月14日(火)日本映画「余命1ヶ月の花嫁」

 まるで友達同士のように付き合い始め、幸せな生活をおくっていた千恵と太郎。ところがある日、千恵が乳ガンに冒されていたことが分ってしまい、千恵は姿を消してしまう。そして、再会。しかし、千恵の余命は、あと1ヶ月しか残っていなかった。2007年にテレビで放送され、大反響を巻き起こしたドキュメンタリーの映画化。実際に瑛太が撮ったというビデオのシーンが後から見ると、なんとも言えない哀しさを痛感させられる。“明日があるということは奇跡です。”(ヴィスタ・129分・09年5月9日)

4月10日(金)今週から、西南学院大学の社会科学総合講座での講議が始まる。

4月9日(木)アメリカ映画「ザ・スピリット」The Spirit

 「シン・シティ」のフランク・ミラーが描くゴシック・アクション。沼地で取引が行われているという情報を受けたスピリットは、現場で犯罪者オクトパスと死闘を繰り広げるが瀕死の重傷を負わされる。一方、宝石泥棒のサンド・サレフが、オクトパスの部下シルケンが引き上げようとしていた2つの箱の1つを奪い去る。その中には、オクトパスの狙っていた“あるもの”が入っていた。サンドを探すオクトパス。そして、スピリットもまた、かつての恋人サンドを探していた。赤いネクタイだけが鮮やかなカラーで、ダークな映像を際立たせる。最近、この手のダークなアメコミの映画化が大流行りだ。(スコープ・103分・09年6月6日)

4月7日(火)アメリカ映画「セブンティーン・アゲイン」17 Again

 出世に見放され、妻とは離婚の調停中という37歳のマイク・オドネルはサイテーの生活をおくっていた。子供たちからも負け犬呼ばわりされる彼は、家を追い出されてしまう。ところが、大雨に見舞われた夜、不思議な現象が起こって、肉体が17歳に戻ってしまう。果たして、マイクは、栄光の17歳をやり直し、将来を成功に導くことができるのか?「ハイスクール・ミュージカル」で日本でもファン急増のザック・エフロンが主演する大人のファンタジー。(スコープ・102分・09年5月16日)

4月3日(金)日本映画「ガマの油」

 役所広司初監督作品は、ちょっと変わった家族の物語。パソコンで株を売買するデイトレーダーの矢沢は、やさしい奥さん・輝美と真面目な息子・拓也と幸せな生活をおくっていた。ところが、ある“悲しい出来事”が起こってしまう。そして、拓也の携帯にかかってきた電話に出て、拓也のふりをしてしまう。拓也の恋人・光に真実を話さなければ、と決意した矢沢は、拓也の親友サブローと共に車を走らせる。“ガマの油売り”や“仏壇の掃除”などは、役所の幼い頃の思い出からきているそうだ。癒しの空気に満ちた“家族の物語”。(ヴィスタ・131分・09年6月6日)

4月3日(金)アメリカ映画「デュプリシティ〜スパイはスパイに嘘をつく〜」Duplicity

 B&Rとエクイクロムは、業界のトップを争うライバル企業。ところが、B&Rが近々“驚異の新製品”を発表するという情報をエクイクロムが掴む。それは、B&Rにスパイとして潜入していた元CIAのクレアが伝えてきたものだった。そして、エクイクロムは、元MI6のレイを雇い、新製品の詳細を探りはじめるが、…。ドバイ、ニューヨーク、バハマ、ローマと世界を目まぐるしく駆け巡るスパイ合戦は、ちょっと目を離すと、誰がどっち側か分からなくなるぐらい複雑に絡み合っている。(スコープ・125分・09年5月1日)

4月1日(水)アメリカ映画「パニッシャー:ウォー・ゾーン」Punisher : War Zone

 悪人たちを片っ端から射殺していく処刑人パニッシャー。だが、ビりー・ルソッティの組織であるアジトを襲った時に、誤ってFBIの囮捜査官を殺してしまう。苦悩するフランク。だが、“ジグソウ”と名前を変えたビリーの逆襲が始まる。アメコミの映画化で、これまでにも2回映像化されているが、今回の大量殺りくぶりはかなりのもの。いいたい、何人殺したのか!?とても、女性監督の作品とは思えないエグさだ。(スコープ・103分・東京09年4月18日、福岡5月23日)

3月30日(月)日本映画「60歳のラブレター」Love Letters at Sixty

 定年を間近に控え、仕事ばかりで家庭を顧みなかったエリート会社員橘孝平は、妻と離婚する。しかし、彼の人生はそれで良かったのか?そして、5年前に妻に先立たれ、娘と二人暮らしの医師・静夫は、医療小説の監修を依頼してきた翻訳家の麗子と出会う。いつも口げんかの絶えない魚屋の正彦と光江だが、意外な出来事が二人を襲う。長年連れ添った二人が、なかなか口に出して言えないことが、“手紙”として、効果をあげる。感謝のことばを一枚のハガキに書くという応募企画の中から3通のラブレターが映像化された。(ヴィスタ・128分・09年5月16日)

3月30日(月)日本映画「嵐になるまで待って」

 人気絶頂の演劇集団キャラメルボックスの舞台を完全収録したデジタルシネマLiveSpire。ユーリは声優のオーディションを受けて、合格する。ところが、収録の日、主役俳優の高杉と、音楽を担当する作曲家の波多野が激しく言い争いをする。そして、その時、ユーリは、他の人には聞こえない波多野の“もう一つの声”を聞いてしまう。手話を巧みに使ったアイデアが秀逸だ。舞台の緊張感を壊さないように、カメラはフィックスで極力動かないというのがいい。(ヴィスタ・124分・東京09年2月21日、福岡4月18日)

3月27日(金)日本映画「鈍獣」Donju

 宮藤官九郎のカルト的伝説の舞台を異色のキャストで映画化。相撲一色の田舎町ときわに、失踪した作家・凸(デコ)やんを探しにやってくる週刊誌の編集者・静。凸やんは、確かに数カ月前に、この故郷の町にやってきていた。しかし、ホストクラブに集まってくる凸やんの同級生たちの証言は、相当ヘンだ。“もう、おしまい?”と店に入ってくる浅野忠信のキョーレツなキャラがいつまでも残る!(ヴィスタ・106分・09年5月 日)

3月27日(金)香港映画祭から帰ってきました。香港では、チョン・ウソン、キム・ジウン監督、オ・ジュンワンプロデューサー、アン・ホイ監督など多くの映画人と会ってきました。詳細は、アジア映画通信で。

3月21日〜26日 第33回香港国際映画祭に出席。

3月17日(火)アメリカ映画「バンコック・デンジャラス」Bnagkok Dangerous

 非情なまでのルールで仕事をやり続けていたプロの殺し屋ジョー。だが、引退を決意し、最後の仕事を受けて、バンコックに飛ぶ。そこで、現地の使い走りとして、スリの青年コンを雇う。依頼主との連絡係で、仕事が終われば、消してしまうというのがいつものやり方だ。ところが、最初の殺しをやり終えた後、予期せぬ傷を負ってしまい、薬局へ。そしてそこで、口の不自由な女性フォンと出会う。この出会いが、ジョーの心を静かに変化させていく。オキサイドとダニーのパン兄弟による「レイン」(Bangkok Dangerous)のセルフリメイクだが、ハリウッド映画なので、製作費も大きく、大型のアクション映画になっている。オリジナルは主人公が聾唖者だったが、今作はフォンという女性が口が不自由だという設定になっている。(ヴィスタ・100分・09年5月9日)

3月12日(木)香港映画「新宿インシデント」新宿事件/Shinjuku Incident

 ジャッキー・チェンがこれまでとは違うキャラに挑んだクライム・アクション。連絡が取れなくなった恋人を探すため、日本に密航してきた鉄頭は、仲間のいる新宿へ。ここで生きていくしかないと心に決めた彼は、偽テレカ売りなどさまざまな犯罪に手を染めていく。親友・阿傑の仕返しをしにいったバーで、ヤクザの組長・江口の命を救った鉄頭は、次第に黒社会の大物にのし上がっていく。ジャッキー映画には、残酷な殺害シーンなどは御法度だったのだが、この作品にはブラッディなシーンが相当ある。もう一つの世界ということなんだろうが、果たして、受け入れられるのか?去年の香港映画祭で、この作品の神戸ロケの話を聞かせてくれた台湾のカオ・チエが、かなり強面のヤクザのボスを力演していた。(スコープ・119分・09年5月1日)

3月11日(水)アメリカ映画「ベッドタイム・ストーリー」Bedtime Stories

 ホテルの修理係をやっているスキーターは、姉が就活旅行に行っている間、甥のパトリックと姪のボビーを預かることになる。そして、寝る前になって、ベッドタイム・ストーリーが聞きたいという2人の前で、自分を主人公にしたデタラメな話を聞かせる。ところが、翌日、子供たちに話したことが現実になってしまう。子供向けのファミリーピクチャーかと思っていたが、アダム・サンドラー演じる中年男の再生サクセス物語でびっくり!ディズニーは、いいシナリオを選ぶ。(スコープ・100分・09年3月20日)

3月10日(火)アメリカ映画「ザ・クリーナー 消された殺人」Cleaner

 元警官のトムは、事故や自殺などの現場を清掃する会社のオーナー。ある日、殺人現場の清掃依頼が届く。留守中の家で、飛び散った血をきれいに掃除するトム。だが、返し忘れた家の鍵を返しに行くと、そこには家の主人の妻がいて、何事もなかったように応対される。しかし、それは巧妙に仕掛けられた罠だった。世の中には、いろいろな職業があるというのは、「おくりびと」を見た時も思ったが、“クリーナー”というのも大変な職業だ。主人公が言うように、物理的な清掃をするだけではなく、悲しみや怒りを消すという大切な仕事なのだ。(スコープ・90分・東京09年2月7日、福岡4月)

3月9日(月)日本映画「ひぐらしの鳴くころに 誓」

 予想以上の大ヒットになった「ひぐらしの鳴くころに」の“解決編”だが、前作の続きではなく、全く別なパラレルワールドでの物語が展開される。女子高生・竜宮レナは、両親の離婚によって、父親と共に人里離れた雛見沢村に引っ越してきた。しかし、離婚の原因が自分にあると思い込んでいるレナは、父親の新しい恋人のことが許せなかった。そして、…。次々と起こる猟奇殺人。こんなブラッディな内容がティーンエイジャーに好まれているのか!?(ヴィスタ・134分・09年4月8日)

3月9日(月)アメリカ映画「ウォッチメン」Watchmen

 胸にスマイルバッチを付けた“コメディアン”と呼ばれる男が何者かに殺害される。彼は、ウォッチメンと呼ばれるスーパーヒーローの1人だった。これは、“ヒーロー狩り”なのか?イギリスのカルト的なグラフィック・ノベルの映画化だが、監督が「300」のザック・スナイダーだけに、結構、肉体派俳優のバトルが激しい。ヴトナム戦争にアメリカが勝ち、ニクソンが失脚せずに大統領を続けているという設定が奇妙な雰囲気を増長しているが、後半は、アメコミ風にまとまっていく。(スコープ・163分・09年3月28日)

3月5日(木)日本映画「クローズZERO II」Claws ZERO II

 壮絶な闘いの結果、鈴蘭高校の“てっぺん”に登りつめた滝谷源治だったが、鳳仙学園との休戦協定のことを知らずに、やってきた学生を殴ってしまう。そしてついに、全面戦争がぼっ発する。鳳仙のボス・鳴海大我を演じる金子ノブアキは、ロックグループのドラマーだそうだが、なかなか面白いキャラだ。1作目には、めちゃくちゃなアナーキーさとエネルギーがあった。だから、誰が誰だか分からなくても、その強烈なエネルギーに圧倒された。だが、続編は、うまくスマートにまとまっていて、普通の学園ケンカ映画になってしまった。(スコープ・133分・09年4月11日)

3月3日(火)日本映画「ゼラチンシルバーLOVE」Gelatin Silver Love

 運河の向かいの女をビデオに録画する男。それは、毎日24時間ずっと続けられる。本を読む女。外出する女。ゆで卵を食べる女。何のために録画しているのか、知らされていない男は、機械的に2時間テープを入れ替えていたが、次第に女に惹かれていく。40年間、一級の写真家として活躍する操上和美が満を辞して撮った映画は、70年代の自主映画のように“アート”している。半熟卵は、12分30秒なんだ。(ヴィスタ・87分・09年4月4日)

2月27日(金)日本映画「ジェネラル・ルージュの凱旋」The Triumphant General Rouge

 「チーム・バチスタ」シリーズ第2弾。「バチスタ」事件を解決した、東城大学付属病院の田口は、倫理委員会の委員長をさせられていた。そんな彼女のもとに、“救命救急の速水センター長は医療メーカーと癒着している”という告発状が送られてくる。果たして、“ジェネラル・ルージュ(血まみれ将軍)”と呼ばれる切れ物医師・速水は、シロなのか、クロなのか?もちろん、厚生労働省の白鳥も事件に関わってくる。今回は、事件そのものの解決というよりも、医師不足やドクターヘリ、病院経営などといった現代医療が抱えるさまざまな問題がクロースアップされる。病院の実態をひとり一人が知り、周囲の人たちのことを考えた行動が求められている。(ヴィスタ・122分・09年3月7日)

2月26日(木)アメリカ映画「ザ・バンク 堕ちた巨像」The International

 世界各地から巨額の資金が集まる国際メガバンク、IBBC。2年前から違法行為の捜査にあたっていたインターポールのサリンジャーだったが、内部告発をしようとした銀行幹部との接触に失敗してしまう。マンハッタン支局を捜査中だったニューヨーク検事局のエレノアも急きょ、ベルリンにやってくる。だが、相手は相当にしたたかだ。次々と消されていく証人に翻弄されながらも、彼らは追跡する。世界恐慌と言われる中で、ベルリン、ミラノ、ニューヨーク、さらにイスタンブールと、まさに世界中にロケしたスケールの巨大な金融クライム・アクションだ。(スコープ・117分・09年4月4日)

2月25日(水)アメリカ映画「レイチェルの結婚」Rachel Getting Married

 姉レイチェルの結婚を2日後に控え、麻薬治療施設から退院してくるキム。友人たちの手を借りて家で結婚式を行うレイチェルは準備に大忙しだ。だが、9ヶ月ぶりに家に帰ってきたキムは、自分のことを過剰に気づかう父や姉のことが面白くない。そして、そんな彼女の思いが次第に、家族を崩壊させようとする。ジョナサン・デミ監督は、ドキュメンタリーのようにカメラを縦横無尽に動かし、家族の姿をリアルに捉えた。アン・ハサウェイがこれまでとは全く違ったキャラで、まるでマリファナのように絶えずタバコを離さず、常にイライラして、周囲に当り散らすキムを熱演。アカデミー賞は逃したが、演技力はついてきた。(ヴィスタ・112分・09年5月 日)

2月24日(火)日本映画「レイン・フォール 雨の牙」Rain Fall

 元アメリカ海軍秘密工作員の日系アメリカ人ジョン・レイン。東京での彼の仕事は、要人の暗殺だった。ところが、要人が持っていたメモリースティックが消えたことから、彼は、CIAやヤクザから追われることになる。ジョンは、スティックを持っていると思われる要人の娘を訪ね、共に逃亡を始める。オーストラリア人の監督やスタッフが東京で撮った日本映画だが、CIAアジア支局長にゲイリー・オールドマンを迎え、セリフの半分ぐらいは英語。都会の隅々に張り巡らされた監視カメラの映像を駆使するなど、スタシリッシュな映像は鋭いが、主人公二人の会話のシーンなどのテンポがのろいのが残念だ。(スコープ・111分・09年4月25日)

2月23日(月)日本映画「GOEMON」GOEMON

 天下の大泥棒、石川五右衛門は、ある豪商の倉庫から南蛮渡来の箱を盗み出す。ところが、その箱には、織田信長暗殺の真相が隠されていた。石田三成は、霧隠才蔵を使って、箱を狙う。さらに、徳川家康も服部半蔵を走らせる。まるで、RPGのようなメタリックな映像の中で、安土桃山時代の大名たちの権力争いが“派手に”に展開される。「CASSHERN」では、CGばかり目立っていて、ストーリーが分かりにくかった紀里谷和明監督だったが、2作目では、かなり肩の力が抜けて、物語もスマートになった。(スコープ・128分・09年5月1日)

2月23日(月)日本・香港・韓国・シンガポール合作「昂ースバルー」昂

 双児の弟を脳腫瘍で失った宮本すばるは、ある日、場末の劇場“パレ・ガルニエ”に入り込んでしまう。そして、そこで“ダンス”の世界に入っていく。黒木メイサのバレエが本格派でビックリ!ビッグコミックスピリッツに連載された原作のバレエ漫画は、日本だけでなく、韓国や台湾、香港などでも大人気で、この作品の最初の企画は香港だった。だから、監督は香港のリー・チーガイだし、Araや周潔、さらに、東方神起など、スタッフ・キャストはアジア各地から集まっている。こてこての少女コミックだが、アジア各地でもヒットするに違いない。(ヴィスタ・105分・09年3月20日)

2月18日(水)アメリカ映画「ストリート・ファイター/ザ・レジェンド・オブ・チュンリー」Street Fighter: The Legend of Chun-li

 春麗(チュンリー)は、幼い頃、目の前で父親を拉致されてしまう。10年後、成長したチュンリーは、指令に従い、タイで、謎の男・元(ゲン)を探す。彼は、チュンリーの父をさらった秘密結社<シャドルー>と闘っていた。元と出会ったチュンリーは、ファイターへの修行が始める。ここに、ファイター・チュンリーの起源が明らかになっていく。新体操をやっていたというクリスティン・クルックのアクションのキレがいい。(スコープ・96分・09年2月28日)

2月16日(月)イギリス映画「スラムドッグ$ミリオネア」Slumdog Millionaire

 祝!アカデミー賞。インドでも大人気のテレビ番組「クイズ$ミリオネア」に出場し、あと1問で2000万ルピーを獲得するまで正解し続けたスラム出身の18才の少年ジャマールは、警察に逮捕されてしまう。インチキをやっただろう、というのが逮捕の理由だ。だが、その正解の裏には、彼の波瀾に満ちた人生があった。スラムに暮らす子供たちの姿は、何度見ても悲惨だ。だが、そこには、インドならではの“パワー”も存在している。実際、ムンバイのスラムで撮影し、地元の人々を多くキャスティングしているところに、インドのたくましい空気が感じられる。(スコープ・120分・09年4月18日)

2月13日(金)日本映画「ホノカア ボーイ」Honokaa Boy

 月の虹を探して、ハワイ島の小さな町ホノカアにやってきたレオと彼女。半年後、彼女と別れたレオは、再びホノカアを訪れる。そして、ひょんなことから、町の映画館の映写技師をやりながら、ホノカアに住むことになる。インスタントラーメンばかりでまともな食事を取っていないレオに、日系のおばあちゃん・ピーは、毎日ヘルシーな料理を作ってくれるようになる。お伽話のようなストーリーだが、原作者自身の体験なのだそうだ。全編ハワイ・ロケで、ほんわかで、癒しの空気たっぷりの作品だ。(ヴィスタ・111分・09年3月14日)

2月12日(木)日本映画「ヤッターマン」Yatterman

 カルト的人気アニメの実写版。1つ目のドクロストーンを手に入れた海江田博士は、それを娘の翔子に預け、2つ目を探しにナルウェーの森に向ったまま行方不明になる。ドクロベエの指令でドロンボー一味が翔子を襲うが、ヤッターマンに変身したガンちゃんと愛ちゃんに助けられる。翔子に頼まれて、3人は、博士を探しにオジプトに向うが、…。アニメの雰囲気をいかにスムースに伝えるかというのが難関なのだが、「スピードレーサー」同様、その違和感が強い。また、ナンセンスギャグで最近の子供も笑わせるのは難しい。まあ、櫻井 翔(名字と名前の間は、半角空けるそうだ)ファンは、見に来るだろう。(スコープ・111分・09年3月7日)

2月12日(木)アメリカ映画「ミルク」Milk

 祝!アカデミー賞。1970年代、同性愛者だということを公表して、アメリカで初の公職に就いたハーヴィー・ミルク。彼の運動は、同性愛者の人権解放というだけではなく、社会におけるさまざまな“弱者の声”を代弁しようとするものだった。1984年製作の「ハーヴェイ・ミルク」はドキュメンタリーだったが、今作では、ハーヴィーの人間的な性格や苦悩にまで踏み込んだ劇映画になっている。ハーヴィーに成り切ったショーン・ペンの苦悩の演技は神がかっている。サンフランシスコに行った時、カストロ劇場を訪れたことが懐かしく思い出される。(ヴィスタ・128分・09年4月 日)

2月10日(火)アメリカ映画「バーン・アフター・リーディング」Burn After Reading

 ワシントンD.C.のスポーツジムの更衣室で1枚のCD-ROMが見つかる。それがCIAの機密情報だと知った従業員のチャドは、同僚のリンダと、一獲千金のプランを実行しようとするが、事態はとんでもない方向に転がり始める。ジョージ・クルーニー、ジョン・マルコヴィッチ、ブラピなど豪華キャストがコーエン兄弟の世界で、やりたい放題のドタバタ・コメディ。ブラピもたまには、おバカをやってみたいんだろう。(ヴィスタ・96分・09年4月24日)

2月9日(月)アメリカ映画「アンダーワールド ビギンズ」Underworld: Rise of the Rycans

 闇の世界では、ヴァンパイア族が荒野を支配しながらも、狼男族を恐れていた。そこへ、従来の狼男族とは違い、人間から狼、狼から人間へと自由に変身することができる新たな種族ライカンのルシアンが生まれる。長老ビクターは、ルシアンの存在に脅威を感じながらも、ライカンを奴隷として利用する。ところが、ビクターの娘ソーニャが、ルシアンと禁断の恋に落ちてしまう。シリーズ3作目にして、明らかになるヴァンパイ族とライカン族の因縁、そして、セリーン誕生の秘密。これで、やっとすっきり出来た!それにしても、ローナ・ミトラ、ケイト・ベッキンセールにそっくり!(スコープ・92分・09年3月14日)

2月9日(月)チェコ・スロヴァキア合作「英国王 給仕人に乾杯!」Obsluhoval jsem anglickeho krale

 1930年代、<黄金のプラハ・ホテル>で見習い給仕をしているヤン・ジーチェには、ホテル王になる夢があった。支配人に“何も見るな、何も聞くな、そして、すべてを見ろ、すべてを聞け”と言われ、給仕として成長していくヤン。そして、富豪の別荘<チホタ荘>、さらにプラハ最高の<ホテル・パリ>と、次々と職場が変わるごとに、ヤンの人生も劇的に変わっていく。そして、1938年、ヒトラーがチェコに進出してくる。そんな激動の時代に生きたヤンの人生もまた、波乱万丈だ。(ヴィスタ・120分・東京08年12月20日、福岡09年4月4日)

2月6日(金)アメリカ映画「イエスマン “Yes”は人生のパスワード」Yes Man

 銀行の貸し付け係カールの日常は、毎日同じで代わりばえのしないもの。さらに、ものぐさな彼は、友人からの誘いに家を出るのもおっくうな“引きこもり”状態。そんな彼の人生を変えてしまったのは、“Yes”という言葉。そう!もう彼は、何と言われても、“Yes!”と積極的に答えることに決めたのだ。それから、カールの人生が劇的に変わっていく!原作はベストセラーだそうだが、確かに何事にも“Yes!”とポジティブに生きて行くというのは大切なことだ、と実感した。(スコープ・104分・09年3月20日)

2月5日(木)中国・台湾・韓国・日本・アメリカ合作「レッドクリフ Part II ー未来への最終決戦ー」赤壁:決戦天下/Red Cliff Part II

 待ってました!待望の完結編。曹操軍では、慣れない土地での生活で疫病が蔓延していた。だが、その疫病をも卑怯な作戦に使う曹操。自分たちの身を案じた劉備軍は、撤退を決めてしまう。しかし、“約束は違えられない”と残る孔明。残された周瑜たちの前に、80万の曹操が襲ってくる。ところが、孔明が予測したように、“風”が味方してくれる。圧倒的に不利な周瑜たちが巧みな兵法で、巨大な敵を欺いていくさまがうれしい。主役降板などさまざまな困難の中で、この壮大な巨編を完成させることが出来たというのも、ジョン・ウー監督の戦いの奇跡と言えるだろう。(スコープ・144分・09年4月10日)

2月4日(水)アメリカ映画「マダガスカル2」Madagascar 2

 あの4頭が、マダガスカル島からニューヨークに帰ろうと乗ったおんぼろ飛行機が不時着。なんと、そこは、ライオンのアレックスの故郷アフリカだった。感動の両親との再会。しかし、ボスの座を狙うマクンガに騙されたアレックスは、追放され、父親のズーバはボスの座を降りてしまう。それから、4頭それぞれの試練が待っていた。随所に細かいギャグを入れながらも、結構まじめな内容のストーリー展開だ。(ヴィスタ・89分・09年3月14日)

2月3日(火)アメリカ映画「フロスト×ニクソン」Frost/Nixon

 1977年、オーストラリアのテレビ番組の司会者デビッド・フロストは、“アメリカの歴史上、自ら辞任した初の大統領”リチャード・ニクソンのインタビュー番組を企画し、承諾を得る。それは、政界に帰り咲きたいと画策するニクソンと、この番組にジャーナリスト生命を賭けたフロストの熾烈な戦いだった。もともと舞台劇の映画化だが、この伝説のインタビュー番組の裏で繰り広げられていたことが、映画ならではのフラッシュバックでインサートされ、まるでサスペンス映画のようなエンターテインメント作品に仕上がっている。(スコープ・122分・09年3月28日)

1月30日(金)日本映画「鴨川ホルモー」Kamogawa Horumo

 「鹿男あをによし」の万城目学原作の青春“お祭りコメディー”。二浪してようやく京大に入った安倍は、同級生の高村と葵祭のバイトの帰り、「京大青竜会」というサークルに勧誘される。ところが、そのサークルは、ただの仲良しクラブではなかった!果たして、京都で千年続いているという“ホルモー”という祭(バトル)とは、いったい何なのか?そのシュールな実態が次第に明らかになっていく。最初は、主人公たちと同様、そのあまりにもアホな展開についていくのが大変だが、途中からは、“まあ、こんな大学生活も面白いかも!?”みたいな気持ちになってくる。(ヴィスタ・113分・09年4月18日)

1月30日(金)ドイツ・オーストリア合作「ラ・ボエーム」Le Boheme

 19世紀半ば、パリの屋根裏部屋に暮らす自由気侭な“ボヘミアンたち”。生活は貧しく、蒔を買うお金さえないが、夢に生きる自由人たちだ。クリスマス・イブの夜、詩人ロドルフォは、階下に住むミミと出会う。すぐに恋に落ちる2人だったが、幸せは長くは続かなかった。全編、本物のオペラで、まるで舞台を見ているような臨場感に包まれる。特に、ミミを演じたアンナ・ネトレポコの声が凄い!プッチーニ生誕150周年を記念しての公開。たまには、オペラの世界も面白い。(スコープ・114分・東京09年2月14日、福岡2月28日)

1月29日(木)日本映画「愛のむきだし」Love Exposure

 キリスト教の神父である父は、ある出来事をきっかけに息子のユウに“懺悔”を強要するようになる。ユウは、その“懺悔”のために、毎日、“罪”に励む。そして、その罪は、女性のスカートの下を狙う“盗撮”にエスカレートする。次第に盗撮のカリスマになっていくユウは、ある日、運命の女・ヨーコに出会う。しかし、謎の女・小池が彼らを狙っていた。宗教、盗撮、カルト教団などテンコ盛りの展開だが、なんと実話をもとにしているそうだ。それにしても、満島ひかりにここまでさせていいのか? 一気に237分を見たが、劇場公開の折りは、途中に休憩が入るそうだ。(ヴィスタ・237分・東京09年1月31日、福岡3月7日)

1月28日(水)日本映画「罪とか罰とか」Crime or Punishment !?

 売れないグラビアアイドルのアヤメが、ひょんなことから警察署の一日署長をやることに。ところが、そこにはかつての元カレが刑事をやっていた。そして彼には他人に言えない秘密があった。さらに、変てこな3人組のコンビニ強盗事件が絡んできて、てんやわんやの大騒動になっていく。最初、ドタバタコメディについていけない成海璃子だが、次第にその世界に慣れていったようだ。ただ、監督が舞台出身のケラリーノ・サンドロヴィッチだけに、演劇的ギャグで、時々、テンポが中断されるのが難だ。水着姿を披露している安藤サクラは、奥田瑛二の娘だ。(ヴィスタ・110分・09年2月28日)

1月27日(火)アメリカ映画「ワルキューレ」Valkyrie

 1944年7月、シュタウヘンベルク大佐は、ラステンブルグの総統大本営“狼の巣”に向う。そして、“ワルキューレ作戦”が始まる。それは、独裁者ヒトラーの暗殺だけではなく、ナチス政権の転覆までを計画した作戦だった。40回以上も計画された“ヒトラーの暗殺”。それは、ドイツ国内でもヒトラーに反対する勢力が多くいたという証明だ。最初、ドイツ語を喋っていたトム・クルーズが、途中から英語になっていくというのが不思議な感じだ。(ヴィスタ・120分・09年3月20日)

1月27日(火)中国・韓国合作「三国志」三国志之見龍卸甲/Three Kingdoms : Resurrection of The Dragon

 2年前のプサン映画祭で派手にプロモーションを行った大作がついに公開!屬の劉備に仕える趙雲は、曹操軍との戦いで武勲を打ち立て、“五虎大将軍”の一人に出世していく。「レッドクリフ」では、フー・ジュンが力強く演じている趙雲だが、アンディ・ラウが演じると、スマートでかっこよくなる。原作にない平安と曹嬰という2人のキャラクターの存在が壮絶なバトルの中に、ドラマを生み出す。(スコープ・102分・東京09年2月14日、福岡2月21日)

1月26日(月)日本映画「フィッシュストーリー」Fish Story

 2012年、彗星の衝突で地球が滅亡するまで、5時間。静まり返る町の中で、唯一営業しているレコード店で、「Fish Story」を聞き続ける店長。1975年に録音されたそのレコードには、伝説のエピソードがあった。そして、1982年、その録音テープに隠された謎が気の弱い大学生の運命を変える。さらに、2009年、修学旅行のフェリーに取り残された女子高生は、“正義の味方”と出会う。一見、何の関係もない4つの時代の出来事が、次第に絡みあっていく。「アヒルと鴨のコインロッカー」チームが贈る伊坂幸太郎ワールド第2弾は、スケールも大きく、さらに荒唐無稽な世界だ。(ヴィスタ・112分・09年3月20日)

1月24日(土)クラシックシネクラブでドイツ映画「カリガリ博士」Das Cabinet des Dr. Caligari

 雪が降りしきる中、たくさんの方々に見に来ていだだき、大変ありがとうございました。

1月22日(木)アメリカ映画「ダウト〜あるカトリック学校で〜」Doubt

 1964年、ニューヨーク、ブロンクスのカトリック学校。若い新人教師シスター・ジェイムスからフリン神父とある黒人の生徒についての目撃を聞いた厳格な校長シスター・アロイシスは、神父が、その生徒と“不適切な関係”にあるのではないか、という“疑惑”を抱く。そして、その“疑惑”は一挙に広がっていく。舞台の映画化なので、膨大なセリフの応酬による緊張感がただものではない。1960年代という時代のなせる事件だ。(ヴィスタ・105分・09年3月7日)

1月16日(金)ノルウェー映画「ホルテンさんのはじめての冒険」O'Horten

 オスロとベルゲンを結ぶ“ベルゲン急行”は世界中に知られるクラシックな鉄道だそうだ。そんな列車を真面目に40年運転してきたホルテンさんも、明日で定年。ところが、同僚たちが催してくれた送別パーティーの途中から彼の日常が少しづつ変わっていく。そして、これまでとは違った経験が次々と待ち受けていた。どこかとぼけた感じのホルテンさんが見い出していく第2の人生。その転機になるのは、いかにも北欧らしい“おおらかなエピソード”の数々。でも、すべて映画のために作り出したものではなく、実際にあったエピソードも多いそうだ。(ヴィスタ・90分・09年3月 日)

1月15日(木)アメリカ映画「7つの贈り物」Seven Pounds

 ベン・トーマスは、ある計画を実行していた。それは、選びだした7人に“贈り物”をするということだった。彼は、リストアップした候補者に近づき、彼らが本当に“贈り物”に相応しい人物であるのかをチェックする。そして、次々に、“贈り物”をしていく。ベンは、何のためにこのようなことをやっているのか?その理由は次第に明らかになっていく。理屈では分からない話ではないが、実際にこんなことが許されるのか?議論を巻き起こすことは承知の上での、映画化だろうが、なんとも、ビミョーな後味の作品だ。(スコープ・123分・09年3月21日)

1月14日(水)日本映画「20世紀少年<第2章>最後の希望」20th Century Boys : Chapter 2

 2015年、高校生になったカンナは、学校で習う“血の大晦日”事件のデタラメさに憤慨する。15年前の“血の大晦日”事件は、テロリスト・ケンジとその仲間が行ったもので、それを阻止した“ともだち”は、救世主として崇められていたのだ。問題児扱いされたカンナは、「ともだちランド」での研修を命じられる。研修というのは、教団に楯突く人々への洗脳のことだ。一方、散り散りになっていた秘密基地のメンバーたちは、それぞれ密かに戦いを続けていた。「しんよげんの書」の出現で、いよいよ佳境に入るストーリー。いったい、“ともだち”の正体は誰なのか? 最終章の公開は、8月29日だ!(ヴィスタ・140分・09年1月31日)


1月10日(土)香港映画
「エグザイル/絆」放・逐/Exiled

 幼馴染みだった5人の男たち。そんな5人が、中国への返還を間近に控えたマカオに帰って来る。さまざまなしがらみに縛られ、敵味方の関係に悩む5人。しかし、彼らの絆は固い。友情のために、不利な闘いを始める男たちの姿は、神々しい。そして、ジョニー・トー監督の銃撃戦は、CGに頼った薄っぺらいハリウッド映画と違い、重厚で、まさに“男たちの闘い”と言える。(スコープ・109分・東京08年12月6日、福岡09年2月7日)

1月9日(金)アメリカ映画「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」Revolutionary Road

 1950年代、コネチカット州の新興住宅地“レボリューショナリー・ロード”に立つ家に住むフランクとエイプリルの夫婦は、二人の子供にも恵まれ、幸せな生活をおくっているように見えた。だが、二人には、どうしようもない葛藤があった。平凡なサラリーマン生活が空しいフランク。女優への夢を諦め、家事と子育てに明け暮れるエイプリル。そんな彼らは、第2の人生を生きるために、“大いなる決断”をする。だが、その決断には、さまざまな壁が立ち塞がっていく。高度経済成長の中、“マイホーム主義”に幸福を見い出すアメリカで、“人生の意味”が議論されていく。リチャード・イエーツの原作は、今から見れば、古臭いものだが、“人生の意味”というテーマは不変のものなのかもしれない。(スコープ・119分・09年1月24日)

1月9日(金)日本映画「旅立ち〜足寄より」Departure : From Ashoro

 松山千春が23歳の時に書いた自伝「足寄より」の映画化。昭和50年に開かれた“全国フォーク音楽祭・北海道大会”に、赤いニッカポッカとサングラスで現れたのが、19歳の松山千春だった。審査員からの質問に生意気な態度で答えたことで、落選してしまうが、そんな千春に、STVラジオのディレクター・竹田は、“いつかチャンスが来るから。”と声をかける。松山千春の誕生秘話は、劇画のようなサクセスストーリーだが、その裏にはさまざまなドラマがあったのだ。分っていても号泣させられる感動秘話だ。(ヴィスタ・112分・09年2月14日)

1月8日(木)アメリカ映画「ディファイアンス」Defiance

 1941年、ドイツから遠く離れた東ヨーロッパにもナチス・ドイツの侵略が始まった。両親を殺されたビエルスキ兄弟は、ベラルーシの森に逃げ込む。そして、次第に人数が増えていく。数十人に膨れ上がったグループに、リーダーのトゥヴィアは、共同体(コニュニティ)の必要性を感じ、森の中に家や炊事場などを作る。やがて、彼らは、“ビエルスキ・パルチザン”と名乗り、ドイツ軍に抵抗(ディファイアンス)を始めるのだった。このユダヤ人によるユダヤ人の救済については、1993年に彼らについての本が出版されるまで、あまり知られてはいなかった。これは、歴史上、最大のユダヤ人抵抗の真実の物語だ。(ヴィスタ・136分・09年2月14日)

1月6日(火)韓国映画「素晴らしい一日」My Dear Enemy

 結婚も出来ず、お金も無くなってしまったアラフォーのヘスは、1年前に貸した350万ウォンのお金を取りかえすために、競馬場にいる元彼ビョンウンのもとを訪れる。そして、彼と共に、彼に関係する女性たちのもとを訪ね、お金を集めていく。その一日は、ヘスにとって、自分の生き方を考えるのに貴重な一日になっていく。「チャーミング・ガール」のイ・ヨンギ監督の4作目は、「アドリブ・ナイト」と同じ平安寿子の小説の映画化。「追撃者」で冷酷な猟奇殺人犯を演じたハ・ジョンウが人生を飄々と生きる男を好演。演技派チョン・ドヨンも彼のペースに載せられていく。(スコープ・123分)

2009年1月1日(木)あけましておめでとうございます 今年もどうぞ宜しくお願い致します。

12月16日(火)アメリカ映画「ベンジャミン・バトン/数奇な人生」The Curous case of Benjamin Button

 1918年、顔中しわだらけの80歳の老人のような風貌で生まれたベンジャミン。父親に棄てられた彼は、老人介護のケアハウスで暮らすことに。ところが、年を経るに連れて、若返っていく。理屈では考えられないことだが、ベンジャミンの身体の中の時計は、逆回転しているのだ。「グレート・ギャツビー」のF・スコット・フィッツジェラルドの短編小説が原作だが、かなり近代の歴史的出来事などを加えて、大河ドラマ仕立てにしている。後半、めきめきと若返っていくブラピは、どこまでが本物で、どこからが特殊メークなんだろうか? それにしても、変わった物語だ。(スコープ・167分・09年2月7日)

12月12日(金)西南学院大学の公開講座「戦争と映画」で、“オリバー・ストーンとベトナム3部作”について講演。

12月10日(水)アメリカ映画「チェンジリング」Changeling

 電話会社に勤めるクリスティン・コリンズは、ロスの郊外に9歳の息子ウォルターと二人で暮らしていた。ところが、ある日、ウォルターがこつ然と姿を消してしまう。必死になって探すクリスティン。そして、5か月後、警察が連れてきた少年は、ウォルターではなかった。ところが、ミスを認めたくない警察は、その子供を引き取るよう要求する。いったい、その少年は誰なのか?そして、本物の息子はどこにいるのか?クリスティンの長い闘いが始まる。とても信じられない話だが、実話だ。1928年という時代が起こした事件とも言える。クリント・イーストウッドの骨太な演出で、また一つ“アメリカの汚点”が露見された。(スコープ・142分・09年2月20日)

12月5日(金)日本映画「大阪ハムレット」Osaka Hamlet

 突然、父親が亡くなり、3人の息子と毋の母子家庭になった久保家。ところが、父親の弟という叔父さんがやってきて、なぜか同居を始める。いったい、この叔父さんは何者なのか?長男は老けて見られるのをいいことに、女子大生とつきあい始める。小学生の三男は、“女の子になりたい”と言って、クラスメートにからかわれてしまう。そして、次男の行雄は、担任の教師から“久保くんはハムレットやなぁ”と言われたことから、必死で「ハムレット」を読み始める。「漫画アクション」に連載の人気コミックの映画化。どこかおかしくて、変わった家族だが、そこには、普遍の人間らしさが満ちている。大阪弁には、深刻さを吹き飛ばすパワーを持っている。(ヴィスタ・107分・09年1月17日)

12月4日(木)日本映画「トミカヒーロー レスキューフォース マッハトレインをレスキューせよ!」

 世界を一周する超特急マッハトレインがドクトル・マドゥと名乗る男に乗っ取られる。このまま暴走を続ければ、終着駅に激突して、大惨事を起こしてしまう。世界消防庁は、レスキューフォースに緊急出動を要請する。テレビ東京系で放送中の人気シリーズの映画化。こういうロボットものを見たのは久しぶりだが、若い俳優たちが恥ずかしがらずに演技しているのもなかなかいいかも。これを見たら、ロボット売れるね。(ヴィスタ・短編「トミカヒーローグランプリ!」と合わせて75分・08年12月20日)

12月4日(木)パラマウント映画2009ー2011新作ラインナップ発表会

12月3日(水)アメリカ映画「エレジー」Elegy

 デヴィッドは、「アメリカの快楽主義の原点」などというテーマの本を書いている大学の老教授。自由きままな恋愛を謳歌している彼が、教室で出会った美女コンスエラに一目惚れ。そして、彼女も自分の生きてきた世界の人たちと全く違ったインテリの香りがぷんぷんする老人に惹かれていく。30歳も年の離れた恋愛が始まる。フィリップ・ロスの短編小説「ダイイング・アニマル」が原作だけに、大時代的なラブ・ストーリーだ。老教授を演じるベン・キングズレーの鍛えられた肉体と、シャレた服の着こなしが見事だ。(ヴィスタ・112分・09年1月24日)

12月1日(月)日本映画「ぼくのおばあちゃん」My Graandma

 菅井きん世界最高齢主演女優で話題のホームドラマ。住宅メーカーの営業マンとして活躍する智宏だが、忙しさにかまけて息子や妻のことをかまう時間がなかった。そんな時、担当した茂田夫妻が夫の父を新居に同居させるかどうかでケンカになったことで、忘れていた自分自身の故郷での思い出が甦ってくる。愛媛県大洲市で撮影された少年時代のシーンが懐かしい古き良き日本を思い出させてくれる。原作が佐賀出身のなかむらみつるだから、佐賀でロケしても良かったかも。(ヴィスタ・123分・東京08年12月6日、福岡09年1月3日)

11月28日(金)アメリカ映画「ワンダーラスト」Filth and Wisdom

 ロンドンの小さなアパートに同居する3人。ウクライナ移民のAKは、ミュージシャンとしての成功を目標にしているが、SMの調教師が裏の仕事だ。長年ロイヤル・バレエ団で踊ることを夢見ているホリーは、家賃を払うために、ストリップクラブのボールダンサーを始める。アフリカに行って貧しい子供たちを救うことを考えているジュリエットは、アルバイトしている薬局のカウンターで、募金活動をする毎日だ。さまざまな困難を抱えながらも、夢を追い続ける3人。マドンナの監督デビュー作は、“堕落と知恵=原題”について追求した、極めて真面目な青春映画だ。(ヴィスタ・84分・09年1月17日)

11月28日(金)日本映画「感染列島」Pandemic

 鳥インフルエンザの発生が報道される県の市立病院。救命救急医・松岡のもとにひとりの救急患者が運ばれてくる。高熱、痙攣、吐血などの症状がひどく、新型インフルエンザの疑いが強い。感染の拡大を防ぐために、WHOからメディカルオフィサーの小林栄子が派遣されてくる。病院全体を隔離し、新規患者受け入れを拒否するよう要請する栄子。だが、ウィルスの猛威は留まることなく、急速に全国に広がっていく。家に帰ったら、ニュースで鳥インフルエンザの発生が報じられていた。5年前のSARSの時のパニックも思い出される。本当に怖いテーマだ。(ヴィスタ・138分・09年1月17日)

11月27日(木)スペイン映画「アラトリステ」Alatriste

 アラトリステは、13歳の頃から剣の腕だけで生きてきた伝説の剣士。1623年、フランドルの戦いからマドリードに戻ってきたアラトリステに、“イギリスから来る異端者ふたりを殺せ”という奇妙な依頼が舞い込む。そこには、スペイン国王をも巻き込む宮廷の陰謀が隠されていた。スペインの国民的ベストセラー小説を、40億円という同国史上最高の製作費で描く歴史スペクタクル巨遍。17世紀スペインを舞台に、実在の人物たちの間に、架空の主人公アラトリステがユニークに絡んでゆく。全編スペイン語のセリフに果敢に挑戦したヴィゴ・モーテンセンの剣さばきが見事。(ヴィスタ・145分・東京08年12月13日、福岡09年1月17日)

11月26日(水)日本映画「プライド」Pride

 有名オペラ歌手に娘で、お金持ちの家に育ち、外国への留学も決まっている麻見史緒。飲んだくれの毋を抱えながら、やっと二流音楽大学に通いながら、歌手への夢を目指す緑川萌。1枚のチケットをきっかけに出会った二人は、ライバルとして熾烈なバトルをスタートする。一条ゆかりの人気コミックが原作だけに、最初から最後までドロドロの少女漫画の世界が繰り広げられる。ステファニーの演技は大根だが、歌はうまい。対して、ヒール役を楽しそうに演じている満島ひかりの歌もなかなかいい。(ヴィスタ・125分・09年1月日)

11月25日(火)イギリス・アメリカ合作「007/慰めの報酬」Quantum of Solace

 愛するヴェスパーを失って、怒りと悲しみにくれるボンド。彼女を操っていたミスター・ホワイトの尋問から、彼らの背後に巨大な組織が見えてくる。ハイチに飛んだボンドは、両親の復讐に燃える美女カミーユを助ける。そして、彼女を通じて、組織のボス、ドミニク・グリーンに接近する。グリーンは、慈善団体グリーン・プラネットのCEOという隠れみのを使いながら、世界征服を企んでいた。前作「カジノ・ロワイヤル」のエンディングから1時間後から始まるシリーズ初の続編。目まぐるしくスピーディーにストーリーもアクションも展開され、104分はあっという間だ。(スコープ・104分・09年1月24日)

11月21日(金)フランス映画「きつねと私の12か月」Le Renard et L'Enfant

 10歳の少女リラは、学校からの帰り道、山の中できつねに出会う。そして、そのきつねと再会するために、毎日、山に通う。警戒心の強いきつねだが、次第にリラの姿に慣れてくる。リラは、きつねにテトゥという名前をつけて、一緒に遊ぶようになるが、…。「皇帝ペンギン」のリュック・ジャケ監督が初めて挑んだ長篇フィクション。野生のきつねを6か月にわたって撮影し、その中から物語に合うシーンを編集しているので、まるでドキュメンタリーのようだが、結末がちょっと短絡過ぎ。“おとぎ話”と言われれば、そうなんだが、…。(スコープ・96分・09年1月10日)

11月20日(木)スペイン・フランス・アメリカ合作「チェ 28歳の革命」Che Part I

 1955年、アルゼンチン青年エルネスト・ゲバラは、故国キューバの革命を決意するフィデル・カストロと出会う。そして翌年、たった82人の革命軍を率いて、キューバに上陸する。軍医として参加したゲバラは、仲間から“チェ”という愛称で呼ばれるようになり、次第に革命の中心的な存在になっていく。奇跡のキューバ革命の裏では、こんなことが起こっていたのか!自らプロデューサーになあり、25キロもの減量を実現し、ゲバラになりきったベニチオ・デル・トロ、一世一代の演技が神々しい!(スコープ・132分・09年1月10日)

11月20日(木)アメリカ映画「アンダーカヴァー」We Own the Night

 ニューヨークのナイトクラブでマネージャーとして信頼されているボビー。しかし、ニューヨーク市警の警官である兄ジョセフが狙っているのは、ボビーの店を拠点にしているロシアンマフィアだった。マフィアのメンバーを逮捕した兄が銃撃され、瀕死の重傷を負ってしまう。捜査への協力を断ったことを後悔するボビー。そんな彼に、“潜入捜査”が持ちかけられる。1988年というドラッグの時代を舞台に、警察とマフィアの壮絶な闘いがリアルに描き出されていく。「裏切り者」でジェームズ・グレイ監督に惚れ込んだホアキン・フェニックスが自らプロデューサー&主演を買って出たコンビ第2作。(ヴィスタ・117分・東京08年12月27日、福岡09年1月10日)

11月19日(水)アメリカ映画「ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー」Hellboy II : The Golden Army

 BPRD(超常現象捜査防衛局)のエージェントとして魔物退治に活躍するヘルボーイたちだったが、次第にその存在を民間人にも知られるようになってしまい、悪者だと誤解されてしまう。その頃、魔界の王子ヌアダが王宮に帰ってくる。彼は、地上の支配者となった人間を壊滅させるために、3つに分割された王冠を集め、伝説の軍団“ゴールデン・アーミー”を復活させようとしていた。前作から4年、アカデミー賞も取り、今やベテラン監督となったギレルモ・デル・トロ監督が、そのオタクぶりを自由奔放に発揮させながら、スケールを倍増させて撮ったシリーズ第2作。まだまだ、アメコミの映画化は続くぞ!(スコープ・119分・09年1月9日)


11月19日(水)イギリス映画
「ミーアキャット」The Meerkats

 体長わずか30cmのミーアキャットは、猫科の動物ではなく、マングースの仲間だ。5〜40頭ぐらいの群れで生活していて、年長の者が幼い子供たちにエサの取り方などを教えていく。こんな「教育」を行うほ乳類は、人間とミーアキャットだけだそうだ。アフリカ・カラハリ砂漠の美しい大地で、7ヶ月にわたって撮影されたフィルムから、一つの家族の物語が形成されていく。だから、ドキュメンタリーなのだが、感動のストーリーが展開される。この作品が遺作になってしまったポール・ニューマンの分かりやすいナレーションが印象的だ。(スコープ・85分・09年1月10日)

11月18日(火)日本映画「誰も守ってくれない」Nobody to watch over me

 平凡な4人家族の長男が殺人容疑で逮捕される。すぐにマスコミが家を取り囲み、家族に罵声が浴びせられる。東豊島署の刑事・勝浦と三島は、容疑者家族の保護を命じられる。しかし、突然、殺人犯の妹になってしまった15歳の沙織には、自分の置かれた立場を理解することができずに、パニックに陥ってしまう。そんな沙織を守るために、勝浦は、逃避行を始める。これまであまり描かれることのなかった“容疑者家族の保護”。インターネット社会の陰湿な犯罪にも踏み込み、ドキュメンタリー・タッチの映像が背筋をゾクゾクさせる。(ヴィスタ・118分・08年1月24日)

11月17日(月)日本映画「赤い糸」

 伝説のケータイ小説と言われる作品の映画化。同じスタッフ、キャストで違った角度から見たテレビドラマも12月6日からスタートする。中学2年生の芽衣は、学園祭の出し物の占いで、同級生の敦史に生年月日を聞かれる。敦史は、1992年2月29日というのを聞いて驚く。自分と同じだったからだ。そして、8歳の頃の思い出が甦る。二人の関係とは!?まるで韓国ドラマのような“偶然”満載のセチュエーション・ドラマ。続編もあるのか?(ヴィスタ・106分・08年12月20日)

11月16日(日)あすみんで、第2回ボランティア見本市・あすみん祭り。朝からたくさんの人たちが展示ブースを訪れてくれました。

11月13日(木)アメリカ・日本・フランス合作「ブロークン・イングリッシュ」Broken English

 ニューヨークのホテルでVIPの対応係として働くノラは、30代、独身女性。周囲はどんどん結婚し、母親からも将来を心配される日々だが、なかなか男運が悪くて仕方がない。そんな時、フランス人男性ジュリアンと出会う。情熱的なアプローチをしてくるジュリアンのことがまんざらでもないノラだったが、失敗を恐れて、どうしても距離を置いてしまうのだった。ジョン・カサベテスの娘ゾエ待望の監督デビュー作は、等身大のリアルな描写で綴る自伝的ストーリー。アメリカでも、フランス男はもてるんだ!(ヴィスタ・98分・08年12月13日)

11月11日(火)日本映画「Kー20/怪人二十面相・伝」K-20

 1949年、19世紀から続く華族制度によって、《帝都》はひとにぎりの金持ちに支配されていた。そんな富裕層の持つ高価な美術品や骨董品を盗んでまわる怪人二十面相が世間を騒がせていた。サーカスの曲芸師として人気の平吉のもとへ、雑誌社からの依頼があり、探偵・明智子五郎と羽柴財閥令嬢・葉子の婚約式に忍び込む。ところが、平吉は怪人二十面相と間違われて逮捕されてしまう。果たして、怪人二十面相の狙いは何なのか?VFXバリバリの合成で、「ALWAYS 三丁目の夕日」シリーズっぽい昭和レトロな架空都市《帝都》が表現され、そこで懐かしい活劇が展開される。雰囲気は、「バットマン」か「スパイダーマン」の日本版といったところか。北九州や九州大学などでロケをしている!(ヴィスタ・137分・08年12月20日)

11月5日(水)九州大学芸術工学大学院で、“プサン国際映画祭は何故成功したのか?”についての講演。

11月1日(土)日本映画「花の夢/ある中国残留婦人」

 福岡YWCAとの共催で、3回上映。遠くからもたくさんの方に実に来ていただいて、大変ありがとうございました。感動で号泣されていた方も多く、残留婦人の方々のことを知り、考える良いきっかけになったと思います。どうもありがとうございました。(福岡YWCA会館3階)

10月30日(木)アメリカ映画「マンマ・ミーア!」MAMMA MIA!

 結婚式を明日に控えた20歳のソフィの夢は、“ヴァージン・ロードをパパと歩くこと”。しかし、彼女は、父親のことを全く知らない。そこで、こっそり母親の日記を読んで、父親候補の3人に招待状を出してしまう。そんなこととは知らない3人が島にやってくると、ドナは、大仰天!果たして、父親は誰なのか? そして、結婚式はうまくいくのか? 1999年に始まったブロードウェイの大ヒット・ミュージカルの映画化で、美しいエーゲ海を背景に、大規模に繰り広げられるダンスが映画ならではの良さを見せてくれる。全編、ABBAのナンバーで、ほとんどの曲を知っていたのはビックリ! (スコープ・108分・08年1月30日)

10月27日(月)日本映画「252 生存者あり」

 震度5強の地震が東京を襲い、水温の上昇で発生した高潮が都心に押し寄せる。巨大な台風が上陸する。新橋駅の崩落で地下に閉じ込められた元ハイパーレスキューの祐司は、母親とはぐれてしまった娘のしおりを見つけるが、地上への道は塞がれてしまっていた。その後、やはり取り残された青年・重村、大阪から来た藤井、そして、韓国人女性スミンを助ける。そして、地上に救出を求めて、2回、5回、2回という“生存者あり”の信号を送り始める。だが、東京湾には、巨大な台風が迫っていた。突然襲ってくる自然災害の中で、出来ることとは何なのか? そして、生き残るためには、何が必要なのか? 深く考えさせられる内容だ。(ヴィスタ・128分・08年12月6日)

10月24日(金)日本映画「天国はまだ遠く」

 田舎の駅に降りた千鶴は、タクシーに乗り、“人のいないところへ”と告げる。止まったところは、山奥の“民宿たむら”だった。そこには、宿の主人・田村だけがいて、ほかに客はいなかった。そして、大量の睡眠薬を飲む千鶴。しかし、彼女は、魚の焼ける匂いで目覚める。そして、新しい人生が静かに始まるのだった。最近、引っ張りだこの加藤ローサが京都の美しい風景と素朴な自然食で癒されていく。田村を飄々と演じるチュートリアルの徳井義実もなかなかいい。(ヴィスタ・117分・東京08年11月8日、福岡12月 日)

10月23日(木)アメリカ映画「ワールド・オブ・ライズ」Body of Lies

 イラクで爆弾テロ組織のリーダー、アル・サリームの情報を調べていたCIAの工作員フェリスは、組織の激しい反撃に合い、瀕死の状態で救出される。しかし、そんなフェリスに、上司ホフマンは、ヨルダン行きを命令する。ヨルダン情報局のハニ・サラームの協力を得て、アル・サリームを捕まえるのが彼の使命だ。だが、アメリカの自宅にいながら携帯電話で指示を送るホフマンのやり方に不満を募らせるフェリス。そして、事件は予想外な方向にころがり始める。ディカプリオは最近、痛いアクションものが多い!好きなのか?(スコープ・128分・08年12月6日)

10月22日(水)グランドハイアット福岡で、ジョン・ウー監督と、リン・チーリンの記者会見。もちろん、「レッドクリフ part I」のプロモーション。東京、大阪、名古屋と全国を回って、福岡が最後ということで、終始なごやかな会見でした。

10月21日、東京国際映画祭から帰ってきました。六本木のグリーンカーペットを歩くトニー・レオンや金城武などをしっかり見てきました。

10月17日〜21日、第21回東京国際映画祭に出席。詳細は、アジア映画通信で、御覧下さい。

10月16日(木)日本映画「私は貝になりたい」

 高知の小さな漁港で親子3人で理髪店を営む清水豊松も元に届く“赤紙”。軍隊での苛酷な訓練、そして戦場での忘れられない出来事。終戦後、帰郷した豊松の元に突然やってきたMPによって、逮捕されてしまう。容疑は、従軍中の捕虜の殺人。そして、裁判は思わぬ極刑という結果に終わる。B・C戦犯として、“巣鴨プリズン”に拘置される豊松。果たして、彼の未来は? 昭和33年にテレビ放映され、翌年には映画にもなった橋本忍脚本の反戦ドラマ。前の作品は主人公の一人称ドラマだったが、今回は妻や周囲の人物も描き込んでいく。(スコープ・139分・08年11月22日)

10月9日(木)イギリス・フランス合作「ブロークン」The Broken

 X線技師をしているジーナは、父親の誕生日を恋人や家族と祝っていたが、突然、目の前で大きな鏡が割れ落ちてしまう。“鏡が割れると7年間不幸が続く”という迷信を口にして、笑い飛ばす5人だったが、翌日から予想外の事件が起こり始める。病院からの帰り道、車を運転する自分そっくりの女性を目撃したジーナは、彼女の後を追う。そして、交通事故を起こしたジーナは、病院のベッドで目を覚ますが、その前の記憶がない。カウンセラーとの対話で次第に記憶を取り戻してくるジーナだったが、それは思いもよらない驚愕の真実だった。観客にも、なかなか状況が掴めないというストーリーの進め方、そして、思わせぶりなサスペンスシーンの連続は、無気味な空気に満ちていて、ユニークなホラーだ。(スコープ・88分・08年11月 日)

10月8日(水)アメリカ映画「ボーダータウン/報道されない殺人者」Bordertown

 アメリカとメキシコの国境近くの街ファレスには、マキーラと呼ばれる350もの工場があり、多くの女性労働者たちが低賃金で働かされている。そしてそこで働く女性たちが次々と惨殺されている。しかし、それらの事実は、自由貿易協定のさまたげになるということで、政府や警察なども知らないフリをしている。シカゴから取材にやって来て、そんな実態を初めて知った新聞記者ローレンは、奇跡的に生き延びた女性エバを保護し、犯人を探し出す。だが、犯罪の奥は深く、さまざまな妨害が待ち構えていた。これは事実に基づいたストーリーで、その苦境を世界に訴えるために、ジェニファー・ロペスは主演だけでなく、プロデューサーとしても参加して、この状況に立ち向かっている。こんな悲惨な事態は、絶対にほってはおけない!(ヴィスタ・112分・08年11月22日)

10月7日(火)プサン映画祭から帰ってきました。向こうでは、毎晩パーティーがあり、アン・ソンギ、カン・スヨン、ソル・ギョング、チョン・ウソン、カン・ウソク監督、イ・ミョンセ監督、そして、今「海雲台」を撮影中のユン・ジェギュン監督などと夜遅くまで飲みました。詳しくは、「アジア映画通信」第107号を御覧下さい。http://www2.g0l.com/users/faff/asia.html

10月2日〜7日、第13回プサン国際映画祭に出席します。報告は、「アジア映画通信」第107号に掲載します。

9月25日(木)日本映画「ホームレス中学生」

 父親の「解散!」の一言で、家を失ってしまった中学生・ひろしは、兄や姉に負担をかけまいと飛び出していく。しかし、行く宛もなく、行き着いたところは、公園の“まきふん”滑り台。お金もなく、水道水で空腹を紛らわす日々が続く。そして、ついに落ちていた段ボールをちぎって食べるまでになる。というところまでは、いろいろなメディアで知っていたが、その後のストーリーが大切だ。そこには、“なぜ、生きていかなければならないか?”という根本的なテーマがあった。“何がやりたいのか分からない”とか、“生きていく意味が分からない”という若者たちの“迷い”は深い!(ヴィスタ・116分・08年10月25日)

9月24日(水)日本映画「イキガミ」Ikigami

 国家繁栄維持法によって、18歳から24歳までの若者のうち、1000人に1人が自動的に殺されていく世界。厚生保険省の藤本の仕事は、死んでいく若者たちに死亡予告証“イキガミ”を配達することだった。彼は上司の指示どおり、ミュージシャンの青年ツバサ、国会議員の息子ナオキ、そして、目の不自由な妹を持つサトシに“イキガミ”を配達する。そして、3人の残された24時間と対峙することで、次第に自分の中に“ある葛藤”が目覚めていくことに気付いてゆく。“死ぬ”ということは、どういうことなのか?そして、“生きる”ということは?SFだが、身につまされる内容だ。(ヴィスタ・133分・08年9月27日)

9月19日(金)日本映画「イエスタデイズ」Yesterdays

 死に直面した父が、家を出て行った息子に託したのは、1冊のスケッチブック。聡史は、この手がかりで、父が32年前に別れた初恋の人を探すことになる。そして、かつて一緒に暮らしていたという古いアパートのドアを開けると、そこには、32年前の父と彼女がいた。スケッチブックに導かれるように、過去にタイムスリップする聡史は、次第に事情を理解していく。過去の世界を覗き見るというのは時々ある話だが、出会ってしまうとなあると「バック・トウ・ザ・フューチャー」だ。しかも、そのやり方がタイムマシンでなく、スケッチブックというのがレトロだ。(ヴィスタ・119分・08年11月1日)

9月18日(木)アメリカ映画「ハロウィン」Halloween

 あのカルト・スプラッタ・ホラーが帰ってきた!学校や家庭でいじめられていた少年マイケルは、ついにキレて家族を惨殺し、入院。17年後、脱走した彼は、故郷の町ハドンフィールドに舞い戻ってくる。そして、次々と残忍な殺人を冒していく。ほとんど第1作と同じストーリーだが、1979年版では数分で描かれていた10歳のマイケル少年がなぜ、殺人鬼になっていったのかという生い立ちが詳細に描かれる。また、今は亡きドナルド・プレザンスに替わって、ルーミス医師を演じるのが、マルコム・マクダウェルというのを始め、通好みの面白いキャステング。とにかく、全編、ロブ・ゾンビ監督テイストにグレードアップされた「ハロウィン」だ。(スコープ・109分・08年10月25日)

9月17日(水)アメリカ映画「あぁ、結婚生活」Married Life

 会社社長のハリーは、郊外の高級住宅に長年連れ添った妻のパットと二人で平穏な生活をおくっていた。しかし、若く美しいプラチナブロンドのケイと出会い、彼女との理想的な生活を夢見るようになる。そして、その秘密を親友に打ち明けると、彼もまた、ケイに一目惚れしてしまい、…。1940年代という古い時代に、いかにも50年代ハリウッドメロドラマのままのラブ・ゲームが展開されていく。クリス・クーパー、ピアース・ブロスナンなどクセ者役者たちの騙し合いの演技が、表と裏という独特の世界を生み出している。(ヴィスタ・90分・08年10月 日)

9月17日(水)アメリカ映画「ブロードウェイ♪ブロードウェイ」Every Little Step

 1985年から15年にもわたってロングラン公演された伝説のミュージカル「コーラスライン」。そして16年後、再演のためのオーディションが始まる。応募者3000人の中から選ばれるのは、19人。熾烈な闘いは、8か月もの間、続く。そして、最後の瞬間、選ばれた者たちと、選ばれなかった者たちの運命が分かれていく。オーディションをテーマにしたフィクションはこれまでにもあったが、ドキュメンタリーは、本物の緊張感に満ちていて、見ている側にもビンビン伝わってくる。さらに、原案となったマイケル・ベネットによるダンサーたちへのインテビューというのが貴重品だ。(ヴィスタ・93分・08年10月25日)

9月16日(火)日本映画「ICHI」ICHI

 三味線を弾きながらあてのない旅をする、はなれ瞽女(ごぜ)の市(いち)は、人とは関わりたくないと思っている。ある日、ゴロツキに絡まれていた市を助けようと十馬という侍が現れるが、ゴロツキたちを始末したのは市のほうだった。目は見えない市だったが、仕込み杖の腕は見事なものだった。小太郎という少年が二人を寂れた宿場に案内するが、そこには町を仕切る白河組と彼らを食い物にしている万鬼率いる野盗集団の熾烈な戦いがあった。綾瀬はるかが、女“座頭市”にチャレンジしていて、おもしろい発想だ。だが、彼女の危な気な殺陣に、CGによるカバーでもスピーディーなテンポが出てこない。黒澤時代劇のようなワクワク感が出てこない。(ヴィスタ・120分・08年10月25日)

9月9日(火)アメリカ・中国・日本・台湾・韓国合作「レッドクリフ Part I」赤壁/Red Cliff

 三国志の中でも有名な“赤壁の戦い”を壮大なスケールで描き出した超大作。西暦208年、都に凱旋した曹操は、皇帝に詰め寄り、劉備討伐の大義名分を受け、荊州へ進軍する。劉備の元には、軍師・諸葛孔明がいたが、民を守ろうとした劉備軍は敗退。最後の手段として、これまで敵であった孫権との同盟を結ぶために、孔明は、呉に向う。だが、5万の同盟軍は、どのようにして、80万の兵士を迎え討つのか? 壮絶な戦いが幕を開ける。ジョン・ウー監督お馴染みの白いハトが飛ぶ。そして、いよいよ“赤壁の戦い”というところで前編終了。後編の公開はいつだ?早くしてくれ!(スコープ・145分・08年11月1日)

9月5日(金)イギリス映画「ジョージアの日記 ゆーうつでキラキラな毎日」Angus, Thogs and Perfect Snogging

 イギリス南部の田舎町ブライトンに住む少女ジョージアの悩みは、ボーイフレンドがいないということ。そのため、仲良し4人組でさまざまなプランを練る毎日。そんな時、イケメンの2人が転校してくる。それから、彼女たちのアタックが始まるが、…。それなりにオシャレで奇抜なファッションや、アンガス(猫)を使った作戦など、いかにもティーンエイジャーが考えそうなエピソードのオンパレードに爆笑の連続。イギリスの高校生も面白い!(スコープ・100分・08年11月22日)

9月4日(木)アメリカ映画「トロピック・サンダー/史上最低の作戦」Tropic Thunder

 かなり落ち目のアクション・スター、下ネタ連発の下品コメディアン、役にのめり込んで黒人に整形した性格俳優が起死回生を計って、撮影を始めた大作戦争映画が、製作費をオーバーして、中止の危機に。なんとか、製作を続行したい監督は、彼らをヘリに乗せ、新たなるロケ地へ。だが、そこは本当の戦場だった。とにかく名作映画のパロディやナンセンス・ギャグの応酬だが、それに大金をかけた大掛かりなアクションがかぶさるから、凄い。また、T.M.やJ.V.のカメオ出演は分かるが、T.C.とM.M.は出ずっぱりで、これはカメオ出演じゃない!でも、これだけの顔ぶれが揃っていると分かれば、アメリカでの大ヒットも納得。(スコープ・107分・08年11月22日)

9月4日(木)アメリカ映画「宮廷画家ゴヤは見た」Goya's Ghosts

 18世紀末のスペイン。宮廷画家に任命されたゴヤは、王家の肖像画などを書く裏では、貧しい人々や権力批判の版画などを書いていた。そして、彼が肖像画を書いていたロレンソ神父が、教会の権力を強めるために、異端審問を強化する。そして、ゴヤがかつて書いた少女イネスが、その審問所に捕らえられてしまう。友人であるイネスの父親から娘の救出の計らいを頼まれたゴヤは、ロレンソ神父の力を借りようとするが、…。激動の時代のスペインを舞台に、愛と権力、そして欲望が二人の運命を絡ませていく。巨匠ミロス・フォアマンらしい愛憎大河ドラマだ。(ヴィスタ・114分・08年10月11日)

9月3日(水)日本映画「フレフレ少女」Fure Fure Girl

 高校2年の百山桃子は、野球部のエースに一目惚れ。何とか、彼に近づきたいと、いろいろとアプローチするが、うまくいかない。そんな彼女の耳に、応援団の絶叫が聞こえ、なんと、桃子は応援団に入部。しかも、部員集めの熱意を買われ、団長に指名されてしまう。なかなかきちんと思うように応援できない5人だったが、伝説のOBまで現れて、次第に変わっていく。ガッキー扮する桃子が恋愛小説の内容を100%信じて突っ走っていくというのが、イマ時の高校生なんだろう。漫画が原作かと思っていたが、オリジナルで、映画をコミック化するそうだ。(ヴィスタ・114分・08年10月11日)

9月3日(水)アメリカ映画「私がクマにキレた理由」The Nanny Diaries

 大学を優秀な成績で卒業したアニーだったが、きちんとした目標が見つからず、ひょんなことからマンハッタンのセレブの家で、5歳の息子の“ナニー(子守り)”をする羽目になる。だが、一見楽そうに見えたナニーの仕事は相当に大変で、アニーは、24時間振り回されることになる。原作「ティファニーで子育てを」は、実際に8年間のナニー経験を綴ったものだけに、強烈なエピソードの数々もリアルだ。すべてニューヨークでロケされていて、それもまたリアル。(ヴィスタ・106分・08年10月11日)

9月2日(火)日本映画「容疑者Xの献身」Yougisha X no Kenshin

 2007年10〜12月に大ヒットしたテレビ「ガリレオ」の映画版。弁当屋をやっている花岡靖子は、アパートを訪ねて来た元の夫を殺害してしまう。物音で気付いた隣りに住む高校の数学教師・石神は、靖子たちのアリバイを工作する。石神は、湯川の大学時代の同期で、天才的な数学の才能の持ち主だった。17年ぶりに石神と再会する湯川。そこから、二人の天才の対決が始まる。テレビは、短編が原作で派手なエンターテインメント志向だったが、映画版は、人間ドラマで、悩む湯川を充分に見せてくれる。タイトルの“献身”の持つ意味が重たい。(スコープ・128分・08年10月4日)

9月1日(月)日本映画「釣りバカ日誌19 ようこそ!鈴木建設御一行様」Tsuribaka Nisshi 19

 今回は、鈴木建設初の社員旅行で大分ロケ。幹事を務める総務部の波子の兄に、釣り船の手配を頼み、思いっきり、釣り三昧のハマちゃんだったが、波子には、病気の毋がいて、悩んでいるところだった。そしてそんな波子に密かに好意を抱いているのが、ハマちゃんの部下の大輔だった。果たして、ハマちゃんはうまく愛のキューピッドになれるのか?(当然、なれるのだが、…)相変わらず、ノー天気なハマちゃんだが、今回は危機もある!細かいギャグの中には、カードキーや格差社会などの問題もしっかり挿入されている。(スコープ・110分・08年10月25日)

9月1日(月)フランス映画「ベティの小さな秘密」Je m'appelle Elisabeth

 ベティはフランスの郊外に住む10歳の女の子。新学期が始まるというのに、仲良しの姉は中学校の寄宿舎に行ってしまい、一人ぼっち。おまけに、両親は喧嘩ばかりで離婚の危機。そんな不安がいっぱいのある日、ベティは、隣りの精神病院から抜け出してきた青年イヴォンと出会い、納屋にかくまう。かつてゴダール夫人だったアンヌ・ヴィアゼムスキーの書いた原作は、友人から聞いた実話から書かれた小説。10歳の多感な少女の“小さな冒険”の1ページ。(ヴィスタ・90分・08年10月 日)

8月29日(金)アメリカ映画「P.S.アイラヴユー」P.S. I Love You

 家のことや将来の夢などで毎日のようにケンカばかりしていた妻ホリーと夫のジェリーだが、その愛は深かった。ところが、ジェリーは病いで先立ってしまう。落ち込んでしまうホりー。ところが、ある日、死んだはずの夫からのメッセージが届く。そしてそれから届き始めた手紙によって、ホリーは、元気を取り戻していく。2004年に出版され世界中で500万部というベストセラーになったセシリア・アハーンの原作は、ちょっと出来過ぎの感があるが、映像化されると、それなりに感動できる。(ヴィスタ・126分・08年10月18日)

8月27日(水)香港映画「インビジブル・ターゲット」男兒本色/Invisible Target

 現金輸送車襲撃事件の巻き添えで、婚約者を失い、自暴自棄になっいるチャン刑事。半年後、同じ犯人たちに遭遇するフォン警部補。そして、悪事を許せない正義感の固まりのワイ巡査。ひょんなことから出会った3人が、凶悪犯たちと戦うことになる。なかなか新しいスターが出て来ない香港映画界。次世代を背負うのは誰だ?精悍になったニコラス・ツェー、「無間道/インファナル・アフェア」からブレイク気味のショーン・ユー、そして、ジャッキー・チェンの息子ジェイシー・チャン。特に、ジェイシーは苛酷なアクションを頑張っている。(スコープ・129分・東京08年8月30日、福岡10月4日)

8月25日(月)アメリカ映画「僕らのミライへ逆回転」Be Kind Rewind

 発電所に忍び込んだジェリーは、身体全身に磁気を帯びてしまい、友人が働くレンタルビデオ店のビデオを全部消してしまう。困った二人は、「ゴーストバスターズ」を借りにきた常連客をごまかすために、自分たちで、新しい「ゴーストバスターズ」を撮ってしまう。それが、思いもかけずウケたため、二人は続々と名作をリメイクしていく。お金をかけずに、でも、その作品の特色は、ちゃんと出したいという頭の良さに拍手!爆笑のリメイク群をサイトでゆっくり見てみたい!それにしても、ミシェル・ゴンドリー監督、相当俳優たちから好かれているようで、共演陣が凄い!(スコープ・101分・08年10月 日)

8月20日(水)アメリカ映画「ゲット・スマート」Get Smart

 1960年代を代表するおとぼけスパイ・コメディテレビシリーズ「それ行けスマート」の映画版。「バットマン ビギンズ」の成功に影響されて、これまで語られなかったスパイ、スマートの誕生秘話が明かされる。諜報機関コントロールの本部が襲われ、すべてのエージェントの身元が暴かれてしまう。そこで、まだ正体がバレていない分析官のマックスが、急きょエージェントに抜擢されるのだ。だが、マックスは、とんでもないスパイで、失態の連続だ。マックスのおとぼけ度は、テレビと同じだが、アクションシーンはかなり本格的にお金をかけて撮っている。単なるコメディだけじゃあ、大作にならないんだろう。(ヴィスタ・110分・08年10月11日)

8月12日(火)アメリカ映画「American Teen / アメリカン・ティーン」American Teen

 アメリカ中西部の典型的な地方都市ワルシャワ。その町にたった1つしかない高校に通う3年生たちの1年をカメラが追う。だが、並のドキュメンタリーとは大きく違って、まるでシナリオのある劇映画のように、ドラマティックに話が進んでいく。映画の世界という夢のためにカリフォルニア行きを希望しているハンナ。奨学金がなかなかもらうことが出来ずに、父親からのプレッシャーでスランプに陥るバスケット部のコーリン。彼女を作りたくて、何人もアプローチするがうまくいかないオタクのジェイク。女王様として君臨するメーガン。イケメン・スポーツ選手のミッチ。この5人の姿は、アメリカのティーンの典型というだけでなく、世界共通のものだ。監督は、この町に引っ越してきて、10か月の間、彼らのすべてを記録したそうだが、よくこんな中身の濃い作品に仕上がったものだ。(ヴィスタ・101分・08年10月11日)

8月11日(月)日本映画「大決戦!超ウルトラ8兄弟」Ultraman Super Battle

 今回の主人公は、ウルトラマンティガの長野博ふんするダイゴ。だが、彼は、ウルトラマンであることを忘れてしまっていた。そして、かつてテレビの「ウルトラマン」をわくわくしながら一緒に見ていたアスカと我夢も現実の生活に追われていた。そんな時、横浜の町に現れる怪獣。そして、ウルトラマンメビウス。ダイゴは、次第に、忘れていた子供の頃の夢を思い出していく。パラレルワールドという発想こそ、今風だが、我々には、昭和のウルトラマン4人とそれぞれのパートナーの姿が懐かしい。そして、そんな昔の映像に感動だ。(ヴィスタ・98分・08年9月13日)

8月8日(金)アメリカ・ヴェトナム合作「地球でいちばん幸せな場所」Owl and the Sparrow

 すだれ工場で働く10歳の少女トゥイは、叔父さんに怒られて、ボートに乗って、都会であるホーチミンに家出。道ばたで絵ハガキを売るが、うまくいかず、次はバラの花売りに。キャビンアテンダントのランと知り合ったトゥイは、彼女の悩みを聞く。また、動物園の飼育係・ハイが恋人にふられた話も聞く。幼い少女は、不幸な二人が恋人同士になれば、と思いながら人形で遊ぶのだった。ヴェトナム出身の監督が、ホーチミンに暮らす少女とその周囲の人々を等身大のストーリーで描き出す。監督自身による手持ちカメラのぶれる映像、同時録音がドキュメンタリーのようにリアルだ。(ヴィスタ・98分・08年9月20日)

8月7日(木)アメリカ映画「スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ」Star Wars : The Clone Wars

 これまで語られなかったクローン戦争のエピソードをアニメで描いた新シリーズ。ドロイド軍と闘う銀河共和国のジェダイ騎士オビ・ワンとアナキン・スカイウォーカーのもとへ、マスター・ヨーダから重大な使命が伝えられる。誘拐されたジャバ・ザ・ハットの息子を救出すること。アナキンは、ヨーダが遣わした弟子アソーカを伴って、僧院のある星に向う。激しい戦闘シーンなど実写の合成とほとんど変わらないイメージだし、全編アニメのほうが違和感がなく、すんなり見れるし、眼も疲れない。(スコープ・98分・08年8月23日)

8月7日(木)日本映画「アキレスと亀」Achilles and the tortoise

 裕福な家庭に生まれ、絵を書くことだけで、誰からも文句を言われることなく育った真知寿(まちす)は、青年になっても、画家になることしか考えていない。だが、現実は厳しく、彼の絵は売れず、美術学校に通っても、その才能は開花しない。でも、そんな彼のことを理解できる女性・幸子と結婚し、子供も生まれる。しかし、中年になっても、真知寿は相変わらず、さまざまな“芸術”にチャレンジしては失敗する。それでも、幸子は、彼の“夢”を理解し、協力する。子供の頃に、“絵の才能がある”と言われたのが、“間違い”の始まりなのかもしれない。だが、彼にしてみれば、自由気侭な人生だったのではなかろうか?そんな風に生きてきた北野武の自伝的物語と言えるだろう。(ヴィスタ・119分・08年9月20日)

8月6日(水)日本映画「20世紀少年」20th Century Boys

 1997年、ロック歌手になる夢を諦め、実家の酒屋をコンビニにして、平凡な生活をおくっているケンヂ。ところが、近くの一家4人がこつ然と姿をくらましてから、周囲に様々な事件が起こり始める。そしてそれは、ある印をモチーフにした“ともだあち”と呼ばれるカルト教団が関係していた。その印とは、ケンヂたちが小学生の時に作ったものと同じで、その事件は、ケンヂたちが書いた“よげんの書”のとおりに起こっていく。果たして、“ともだち”は世界を滅ぼそうとしているのか?ケンヂは、小学校時代の同級生を集める。壮大なストーリーの第1章だが、物語はかなり真髄まで迫っていく。第2章は、来年1月31日まで待て!(ヴィスタ・140分・08年8月30日)

8月1日(金)アメリカ映画「イントゥ・ザ・ワイルド」Into the Wild

 1990年夏、アトランタの大学を優秀な成績で卒業した青年クリストファー・マッカンドレスは、新車を買ってやるという両親の卒業祝いをそっけなく断る。そして、貯金を慈善団体に寄付し、妹や両親に何も言わずに、旅に出る。彼は、金や権力に支配されている物質社会に嫌気がさして、すべてを捨てた“自由でスピリチュアルな旅”に出たのだ。そして、彼はさまざまな人々と出会い、アラスカの大地を目指す。原作「荒野へ」は実話だ。その原作に心を大きく揺れ動かされたショーン・ペンが10年近くかかって映画化権を獲った意欲作。クリスが見た(であろう)アメリカの大地の壮大な映像美が見事だ。(スコープ・148分・08年9月6日)

7月30日(水)アメリカ映画「ダークナイト」The Dark Night

 ゴッサムシティに突然現れたジョーカーは、銀行を襲い、大金を奪っていく。そして、マフィアのボスたちと取引きを行う。だが、目的は金ではなかった。ジョーカーの犯罪には目的がない。だから、バットマンにも、予測がつかない、最悪な敵なのだ。前作に続いて、悩み、冷酷なジョーカーによって追い詰められるバットマン。しかし、彼はもう引き返すことはできない。IMAXを活用した冒頭のシーンや香港のビルの場面など、細かい部分まで鮮明に映し出されていく驚くべき映像。この夏、最高のエンターテインメントだ!(スコープ・152分・08年8月9日)

7月30日(水)アメリカ映画「ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝」The Mummy : Tomb of the Dragon Emperor

 シリーズ第3弾は、北京オリンピックを控えた中国が舞台。ロンドンに住むリックとエヴリンのオコーネル夫妻は、“シャングリラの眼”と呼ばれるブルーダイヤを中国に返すために、上海へ。ところが、そこで、大学に行っているはずの息子アレックスと出会う。彼は、中国で遺跡発掘をやっていて、皇帝のミイラを発見したところだった。2000年の時を越えて甦る皇帝役は、ジェット・リー。ほかにも、ミシェル・ヨーやアンソニー・ウォンなど、香港映画お馴染みのキャストが参加。リンを演じている香港のイザベラ・リョンがこれからハリウッドで活躍しそうだ。(スコープ・119分・08年8月16日)

7月29日(火)日本映画「シャカリキ!」Shakariki!

 自転車ロードレースと言えば、“ツール・ド・フランス”だが、そんな自転車レースが日本でも注目されているのか!?自転車バカと言われる高校生テルは、廃部の危機にある自転車部にスカウトされる。だが、ロードレーサーは、普通の自転車とは全く違うシロモノ。また、レースは、チームのものであり、エースを頂点としたチームワークが必要だ。単独で走ることしか知らなかったテルは、次第に、本当のロードレースの意味を理解していく。かなり長いストーリーの人気コミックが原作なので、多少乱暴な展開もあるし、若手俳優たちの芝居も“ちょっと”なところがあるが、後半、レースをリアルに見せてくれる構成は正解だ。(ヴィスタ・106分・08年9月6日)

7月28日(月)アメリカ映画「アイアンマン」Iron Man

 巨大軍事企業のCEO、トニー・スタークは、“兵器が世界の平和を安定させている”というタカ派の考えの持ち主。ところが、アフガニスタンでテロ組織に拉致され、捕らえられてしまう。そこで、最新兵器を作るよう強制されたトニーは、自分の肉体に装着できる戦闘用パワードスーツを開発し、敵地を脱出。無事生還したトニーは、これまでの考えを改め、パワードスーツのアップグレードに集中する。これこそ、マーベルの主流!普通の人間が、パワードスーツで変身し、悪者と闘う。コンピューターで瞬時にアップグレードされていくシーンがスマート。大ヒットになったので、もちろんパート2も期待したいが、「ハルク」などと連係する「アベンジャーズ」には、もっと期待が大きくなった。(スコープ・125分・08年9月27日)

7月22日(火)アメリカ映画「ハンコック」Hancock

 力が有り過ぎて、人助けをしても、周囲のものを破壊してしまい、町の“嫌われ者”になってしまっているハンコック。そんな彼が、偶然助けた宣伝マン・レイの説得を受け、生まれ変わることを決意する。だが、これまでの損害のため、ハンコックは有罪判決を受けて、刑務所に。果たして、彼はスーパーヒーローになれるのか!?アメコミのヒーローと違って、パワーはあるが、孤独で人間的な悩みに苦しむハンコックというキャラが、ウィル・スミスにうってつけ。というよりも、彼のために考えられたキャラ。後半の予想外の展開が、ハリウッドの派手さを証明する。ハンコックは、ウルヴァリンとは違うキャラだろう。(スコープ・92分・08年8月30日)

7月22日(火)日本映画「トウキョウソナタ」Tokyo Sonata

 突然会社をリストラされる父親。だが、妻や子供たちにクビになったことを言い出せずに、毎日スーツ姿で家を出る。しかし、ハローワークで斡旋してくれる仕事は、プライドが許さない。長男はバイトばかりで、あまり家にいない。小学6年の次男・健二は父親に内緒でピアノを習っている。普通の4人家族のような一家だが、彼らには、それぞれの秘密があり、いつの間にか溝が深くなっていた。小さな嘘が次第に大きく深刻なあ問題に広がっていく。その問題は、もう解決できないのか?これまで、ホラー専門のように言われてきた黒沢清監督が、家族の再生に挑んだ意欲作。日本には、こんなに失業者が多いのか!?(ヴィスタ・109分・08年9月27日)

7月18日(金)アメリカ映画「コレラの時代の愛」Love in the Time of Cholera

 ガルシア=マルケスの代表作、初の映画化。ある屋敷に郵便を配達した青年フロレンティーノは、そこで出会ったフェルミーナに何通ものラブレターを送り、恋に落ちる。しかし、身分違いの恋に激怒した彼女の父は、フェルミーナを遠くの親戚に預けて、遠ざけてしまう。それでも、秘密の恋文は続く。だが、やっと町に帰って来たフェルミーナは、医師フベニルと結婚してしまう。しかしそれでも、フロレンティーノは、待つことにする。本当に、51年9か月と4日も待つことができるのか?コレラが蔓延していたという時代の究極のロマンチシズム。実際に舞台となったコロンビアのカルタヘナでのロケがその独特の空気を漂わせている。(スコープ・137分・東京08年8月9日、福岡8月23日)

7月17日(木)アメリカ映画「ウォンテッド」Wanted

 ひどい上司に虐められ、どうしようもないサラリーマン生活にウンザリしていたウェスリーは、ある日、ドラッグストアで銃撃戦に巻き込まれ、謎の美女フォックスに助けられる。彼女は、暗殺組織フラタニティのメンバーで、同じメンバーであったウェスリーの父親の仇討ちをするため、組織への加入を勧める。彼にとっては信じられない出来事だったが、今の生活から抜け出すために、決断を下すのだった。グラフィック・ノベルが原作なので、ほかのスーパーヒーローものと似通った設定ではあるが、監督が、あのカルト映画「ナイト・ウォッチ」のロシア人監督なので、テイストは、かなりダーク。そして、最初から意表を突く展開がスピーディ。さらに、銃弾が障害物を避けて、曲線を描くというアイデアは秀逸だ。(スコープ・110分・08年9月20日)

7月17日(木)日本映画「パコと魔法の絵本」Paco and the Magical Book

 発作で倒れて、一風変わった病院に入ってきた富豪社長の大貫は、ワガママなくそじじいで皆んなの嫌われ者。ところが、ある日、パコという少女が彼の前に現れる。自分が座りたかったベンチに座っていたというだけで、パコを突き飛ばす大貫。だが、翌日になるとパコはまたケロっとした顔でベンチに座っている。実はパコは交通事故の影響で記憶が一日しか持たず、翌日になるとすべて忘れてしまうのだ。それを知った大貫の気持ちが次第に変わっていく。カルト的な人気の舞台が原作なので、舞台的なセリフのやりとりがちょっと退屈だが、後半はCGと実写を駆使した映像がテンコ盛り。まるで、「影武者」のような役所広司や、誰だか分からない妻夫木聡などの特殊メークや、劇中劇の動物たちの派手さは、“大人の学芸会”のノリだ。(ヴィスタ・105分・08年9月13日)

7月16日(水)日本映画「デトロイト・メタル・シティ」Detroit Metal City

 ミュージシャンになる夢を持って、大分から上京してきた根岸くんだったが、大学卒業後に彼が入った音楽の道は、なぜか、デスメタルバンドのボーカル、クラウザーII世。何とか自分のやりたいポップスに戻りたい根岸くんだったが、彼の思惑とは裏腹にDMC(デトロイト・メタル・シティ)の人気は急上昇していくのだった。人気コミックの映画化なので、展開に多少の無理もあるが、その破天荒さが面白い。松山ケンイチも、ちゃんと自分で歌っている。ジーン・シモンズが懐かしい。(ヴィスタ・104分・08年8月23日)

7月15日(火)日本映画「ひゃくはち」

 毎年、注目の選手が出てくる夏の甲子園。しかし、実際に甲子園のベンチに入られるのは、1校20名だけ。この作品の主人公、雅人とノブは、そんな甲子園の名門・京浜高校・野球部の補欠部員。彼らは、いくら寮長に立候補したりして、監督にアッピールしても、補欠には変わらない。でも、試合には出られなくとも、何とかベンチには入りたい。そんな切ない想いで、高校野球に青春を賭けている若者たちがいる。いや、そんな青年たちのほうが多いんだ。華やかな甲子園の裏で起こっている、ごく普通の高校生たちの、彼らなりの一生懸命な頑張りに感動!(ヴィスタ・126分・08年8月16日)

7月14日(月)日本映画「同窓会」

 高校時代から好きだった雪と結婚した克之。しかし、10年が経ち、かつての熱い想いもさめ、あっさり離婚。それを聞いたかつての同級生・文太、大激怒。当時、雪に惚れていた文太は、“相手がかっつ(克之)だから諦めた”という過去があったのだ。映画の仕事で地元・長崎に帰ってきたかっつを、同級生たちが待ち構えていた。「花より男子」などのヒット脚本で有名なサタケミキオの初監督作品だが、主演の宅間孝行も同一人物。監督・脚本・主演という訳だ。かなり舞台的なシナリオだが、結構、泣ける。(ヴィスタ・105分・08年8月16日)

7月13日(日)第22回福岡アジア映画祭2008、無事終了。たくさんの皆さんに見に来ていただいて、大変ありがとうございました。福岡グランプリ2008は、韓国映画「美しすぎて...」になりました。監督第1作での受賞に大喜びのチョン・ジェホン監督は、早速、原作のキム・ギドク監督に報告し、喜びのメールを受信していました。

7月11日(金)第22回福岡アジア映画祭2008・後半スタート。ゲストは、高群書(ガオ・チュンシュ)監督(中国)、チョン・ジェホン監督(韓国)、イ・ハン監督(韓国)、シン・ドンイクプロデューサー(韓国)、キム・サンオプロデューサー(韓国)、ジョウニ・ホッカネン監督(フィンランド)、マテュー・バルディオ九州日仏学館々長(フランス)を迎えて、韓国・中国・香港の最新劇映画の上映とティーチ・インを行います。一般参加可のパーティーもありますよ!

7月10日(木)アメリカ映画「俺たちダンクシューター」

(ヴィスタ・90分・08年9月6日)

7月4日(金)いよいよ第22回福岡アジア映画祭2008のスタート。前半のゲストは、アニタ・チャン監督、パク・チュンボム監督、脚本のユ・ボラ、金徳哲(キム・ドッチョル)監督、東志津監督をゲストに迎えての3日間です。

7月3日(木)日本映画「崖の上のポニョ」Ponyo on the Cliff by the Sea

 5歳の少年・宗介は、ある日、海からやってきたさかなの子を拾ってくる。ポニョという名前をつけて、幼稚園にまで持っていく宗介。しかし、海の住人である父親に連れ戻されてしまうポニョ。人間になりたいというポニョの願いは叶えられるのか?海を汚してしまった人間への不信感がベースになっていて、いかにも宮崎駿らしいストーリー。珍しい深海魚の数々の登場もユニーク。見終わった後、“ポーニョ ポーニョ ポニョ さかなの子”という主題歌が耳に残る。(ヴィスタ・101分・08年7月19日)

6月19日(木)アメリカ映画「テネイシャスD〜運命のピックをさがせ!〜」Tenacious D in the Pick of Destiney

 ジャック・ブラックが実際にやっているロック・バンドを題材にした下品コメディ。厳格な父親の元で育ったJB青年は、ある日、ロックミュージシャンを目指してハリウッドへ。そして、海岸で天才的ギター・テクニックの持ち主KGと出会う。しかし、なかなか成功の目が出ない二人は、“運命のピック”の存在を知り、ロックンロール博物館へ。しかし、彼らの前には、さまざまな邪魔が待っていた。ドタバタ・コメディなんだが、VFXなどにお金も係っているし、ベン・スティラーやティム・ロビンスなどの大物スターが脇役を買って出ているというのは、このバンドの人気がいかに高いかということなのだろう。(ヴィスタ・93分・08年8月 日)

6月16日(月)アメリカ映画「セックス・アンド・ザ・シティ」Sex and the City

 大ブームを巻き起こしたテレビシリーズ待望の映画化。ハッピーエンドに終わったテレビのラストから4年後、書いた本がベストセラーになり絶好調のキャリー。ミスター・ビックとの仲も順調で、新居の購入をきっかけに、なんと“結婚”することになる。その知らせを聞いたシャーロットは大喜び。ロスに住むミランダは、花嫁付き添い人(Made of Honor)となり、盛大な結婚式の準備に余念がない。一方、ミランダは夫の浮気に激怒して、家を出てしまう。果たして、キャリーの結婚式は、うまくいくのか?舞台となるニューヨークのトレンドを始め、最新ファッション、マンション、インテリアなど細かいところまで気を使った、まさに“セレブ映画”で、また、影響される女性が続出しそうだ。(ヴィスタ・144分・08年8月23日)

6月16日(月)日本映画「おくりびと」

 祝!モントリオール世界映画祭グランプリ! かつて台湾のドキュメンタリーで、遺体に化粧をする「化粧師」という作品を見たことがあるが、日本では、そのような職業を“納棺師”ということを初めて知った。東京でチェロ奏者をしていた大悟は、楽団の解散で、故郷・山形に帰ってくる。そして、求人広告を見て、NKエージェントに採用。ところが、仕事は、遺体をきれいにして棺に納める納棺師だった。想像をはるかに越える仕事に戸惑う大悟だったが、次第に納棺師という職業を理解し始める。“死”というテーマは重たい。だが、死んでゆく人たちを“どう、おくるのか?”“どう、おくられたいのか?”考えさせられる内容だ。(ヴィスタ・130分・08年9月13日)

6月12日(木)アメリカ映画「カンフー・パンダ」Kung Fu Panda

 平和の谷に危機が訪れる。20年間投獄されていた極悪ウォリアーのタイ・ランが脱獄し、龍の巻物を奪いにくるのだ。ウーグウェイ導師は、急きょ武術大会を開く。だが、最後に“龍の戦士”に選ばれたのは、ぶよぶよお腹のパンダ、ポーだった。何かの間違いだと訴えるシーフー老師とマスター・ファイブだったが、導師は「信じよ」と答える。果たして、ポーは、“龍の戦士”なのか?タイ・ランの襲撃は防げるのか?動物たちの動きはコミカルだが、カンフーの技は、かなりきちんとしたもので、本格的カンフーアクションになっている。それに、ただのアクションものにない、カンフーの精神を芯に据えているというのがアジア的でユニークだ。(スコープ・92分・08年7月26日)

6月12日(木)日本映画「花より男子ファイナル」

 テレビでの2度のシリーズを受けての映画版。“このオレ様と結婚しろ!”といったリターンズの4年後。結納の席で、道明寺家に代々伝わる高価なティアラ“ビーナスの微笑”を贈られるつくし。だが、その夜、そのティアラは黒装束の男に奪い去られてしまう。ティアラが無ければ結婚できない!司とつくしは、ティアラを奪い返すために、ラスベガスに向う。映画版なので、舞台は世界へ。そして、セットも超豪華。もちろん、ほかのF4のメンバーも。おいしいところで登場してくる。まあ、テレビ・シリーズにはまっていた人には、なんとも贅沢で豪華な完結編だ。(ヴィスタ・131分・08年6月28日)

6月10日(火)福岡・マレーシア友好協会で、マレーシア映画について講演。

6月10日(火)アメリカ映画「ドラゴン・キングダム」The Forbidden Kingdom / 功夫之王

 ジャッキー・チェンとジェット・リー夢の競演!ボストンに住むカンフーオタクの青年ジェイソンは、ひょんなことから古代の中国にタイムスリップしてしまう。危ういところを酔っぱらいのルー・ヤンに助けられたジェイソンは、“如意棒”を持って、石に封じ込められている孫悟空を解放する旅に出る。途中、サイレント・モンクに“如意棒”を奪われようとするが、…。果たして、現代からやってきたひ弱な青年は、二人のカンフー・マスターに鍛えられ、ジェイド将軍と戦うことができるのか?ハリウッド映画なので、白人青年が主人公だが、J&Jの二人を始め、脇を固める中国人俳優たち(特に女優たち)のアクションは本格的で、見ごたえ充分だ。(スコープ・105分・08年7月26日)

5月30日(金)アメリカ映画「近距離恋愛」Made of Honor

 トムとハンナは、大学時代からの大親友。一緒に食事をし、悩みを語り合うのが日常になっていた。ところが、スコットランドに出張に行ったハンナが帰って突然、婚約の報告。トムに、花嫁付き添い人(Made of Honor)をやってほしいと頼まれてしまう。ハンナの出張中に彼女への愛に気付いたトムだが、ちょっと遅すぎた。だが、彼女の結婚準備を進めながらも自分の気持ちを打ち明けようとする。“すれ違い”の恋というのは、ラブコメの王道。久しぶりのハーレクイン的王道ラブストーリー。(スコープ・101分・08年7月12日)

5月29日(木)カナダ映画「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」Away From Her

 結婚から44年、幸せな生活をおくっていた夫婦に突然訪れる危機。それは、妻フィオーナのアルツハイマー型認知症の発症だった。ある夕方、フィオーナは、ひとりでスキーに行ったまま、帰り道が分からなくなってしまう。そして、彼女は自ら、老人介護施設への入所を決意する。これまで44年間ずっと一緒だった妻との別れを受け入れがたい夫グラントは躊躇する。しかし、フィオーナの決意は堅い。そして、入所した妻の症状は次第に重たくなっていく。辛い話だ。それに、記憶の再現としてインサートされる過去の出来事に後悔しても、それを今さら変えることは出来ない。身につまされる話だ。(ヴィスタ・110分・東京08年5月31日、福岡7月)

5月28日(水)アメリカ映画「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」Indiana Jones and the Kingdom of The Crystal Skull

 第3作から19年後の1957年、ネバダの砂漠から物語は再開される。KGBから死にものぐるいで逃げのびたインディだったが、政府からの圧力で大学を解雇されてしまう。町を出ようとしたインディを追ってきたのは、大学をドロップアウトした大学生マット。彼は、インディのかつての考古学仲間であるオックスリー教授が誘拐され、救うために“クリスタル・スカル”が必要だという。さあ、それからインディの大冒険が幕を開ける。街中でのカー・チェイスに始まったアクションは、ペルーのジャングルに舞台を移し、スケールを増していく。テーマソングがかかってハリソン・フォードが例の出で立ちで現れてくると、ワクワクしてしまう。そして、シリアスなアクションの真只中にインサートされるギャグがいいセンスだ。「アー・ユー・ア・ティーチャー?」「パートタイム!」(スコープ・122分・08年6月21日)

5月26日(月)イギリス・フランス合作「リボルバー」Revolver

 カジノの傷害事件で投獄されていたギャンブラーのジェイクが出所。獄中で詐欺のテクニックを学んだ彼は、自分を罠にはめたマカに勝負を挑み、見事大金をせしめることに成功する。だが、怒り狂ったマカは、プロの殺し屋にジェイクの殺害を命令する。「スナッチ」のガイ・リッチー監督らしく、物語は目まぐるしくモザイクのように展開し、ついていくのが大変!そして、最後は…。かなりマニア好みのアクションだ。(スコープ・115分・東京08年6月7日、福岡7月)

5月24日(土)アメリカ映画「黄色いリボン」She Wore a Yellow Ribbon

ジョン・フォード、ジョン・ウエインコンビ騎兵隊3部作の2本目。お馴染みの主題歌のもとで繰り広げられる騎兵隊とインディアンの戦い。でも、結構、コミカルなギャグが多かった。

5月23日(金)アメリカ映画「ナルニア国物語・第2章・カスピアン王子の角笛」The Chronicles of Narnia : Prince Caspian

 前作から1300年が経ち、ナルニア国は、巨大な戦力を持った人間の王国テルマールによって滅ぼされてしまっていた。しかし、先王の弟で摂政を務めるミラースは、息子が誕生した夜、カスピアン王子の暗殺を命令する。森に逃げる王子。そして、追っ手に取り囲まれてしまった王子は、角笛を吹く。すると、…。前作から相当時間が経っているが、ナルニアの動物たちが現れてくると、ナルニアの世界にすっと入っていける。そして、4兄妹も状況を理解しているので、説明不要な上に、かなり逞しくなっていて頼もしい。特に、次男エドマンドは、成長した。(スコープ・145分・08年5月21日)

5月22日(木)アメリカ映画「スピード・レーサー」Speed Racer

 日本のアニメをハリウッドで実写化。スピード・レーサーは、今や、事故で亡くなった兄を追い越すほどの天才的才能で次々にカーレースに優勝していく。そんなスピードの力を利用しようと、巨大企業ローヤルトンがスカウトにやってくる。破格の好待遇にスピードの心は揺れるが、家族と共にやっていくことを決断する。すると途端に、ローヤルトンのいやがらせや妨害が始まる。それでも、スピードは正々堂々と闘いに挑んでゆく。CG満載のレースのシーンは、まるでテレビゲームのようだ。ギャングに買収されているレーサーを演じるRainだが、カン・フーアクションもあって、なかなか熱演。(因に、現在同じくウォシャウスキー兄弟と組んで、「ニンジャ・アサシン」を撮影中。)それにしても、全編に当時の「マッハGO!GO!GO!」の曲がかかるというのは、監督たち、相当にアニメが気に入っていたようだ。まあ、私もずっと見てましたけどね。(スコープ・135分・08年7月5日)

5月21日(水)日本・台湾合作「闘茶」Tea Fight

 妻の死は、先祖が受けた「黒金茶の呪い」のせいだと信じる男・八木は、老舗の茶屋を閉めてしまう。そんな父親に立ち直ってほしい娘の美希子は、呪いを解く方法を見つける。それは、八木家に伝わる「雌黒金茶」を持って、「雄黒金茶」と“闘茶”し、勝つことだった。早速、美希子は、台湾に飛ぶ。日本から戸田若菜、台湾側からヴィック・チョウやニン・チャンと人気スターを集めて、“お茶”という地味な作品に若い華客を集めようというなかなかの力技だ。監督が「エドワード・ヤンの恋愛時代」で主演をやっていたワン・イェミンなので、エドワード・ヤン作品でお馴染みの金士傑(チン・シーチェ)がお茶の先生を好演している。(ヴィスタ・102分・東京08年7月19日、福岡8月 日)

5月19日(月)イギリス・カナダ・アメリカ合作「あの日の指輪を待つきみへ」Closing The Ring

 長年連れ添った夫の死を淡々と受け止める毋エセルのことが理解できない娘のマリー。そんなエセルのもとに、アイルランドのベルファストから電話がかかってくる。それは、彼女の名前が刻まれた金の指輪が見つかったというのだ。なぜ、行ったこともないアイルランドに彼女の指輪が埋もれていたのか?エセルは、50年間、封印してきた過去と向き合い始める。実際に発見された指輪のニュースを聞いて、インスパイアされた大河ドラマ的なラブ・ストーリー。運命のいたずらに翻弄されたのは、エセルと3人の男たちだけではなく、娘マリーの気持ちも揺れ動かす。巨匠リチャード・アッテンボロー監督だけに、安心して見ていられる大人のロマンだ。(ヴィスタ・118分・08年8月 日)

5月17日(土)第22回福岡アジア映画祭2008・プレイベント上映会 フランス・韓国「キム・ギドク:激情の美のシネアスト」Kim Ki-duk : Cineaste of the Wild Beauty

 キム・ギドク監督の映画に関する姿勢がしっかりまとめられている。それにしても、よく喋っている。(ヴィスタ・61分)

5月16日(金)アメリカ映画「アクロス・ザ・ユニバース」Across The Universe

リバプールの造船所で働く青年ジュードは、父親を探すために、アメリカへ。そして、親友となった大学生マックスと共にニューヨークへ。そこには、ベトナム戦争の反対運動や黒人解放運動、ドラッグやロックなど60年代のカウンター・カルチャーの渦が待ち受けていた。全編ビートルズのナンバーが物語を綴っていく。1曲使うだけでも何千万円という使用料なのに、33曲も使ったら、いったいいくらかかるんだ!?(ヴィスタ・131分・08年8月日)

5月13日(火)オーストラリア映画「ブルー・ブルー・ブルー」Newcastle

 毎日、サーフィンに明け暮れる17歳の青年ジェシーの夢は、兄が果たせなかった大会で優勝すること。しかし、予選で仲間のアンディに負けてしまう。落ち込むジェシーだったが、週末、親には内緒で、仲間たちとサーフ・トリップに出る。オーストラリア・ニューカッスルの海は、どこまでもブルーで、最高の波がジェシーたちを待っている。夏にぴったりのサーフィン映画だ。(ヴィスタ・107分・08年6月7日)

5月10日(土)5月の福岡アジア映画祭ボランティアミーティング。7月のプログラムもほぼ決まり、本格的な宣伝活動スタート!そして、来週は、プレイベントだ。

5月9日(金)日本映画「山のあなた 徳市の恋」

 温泉場に向う2人の按摩、徳市と福市。宿屋・鯨屋に呼ばれた徳市は、東京から来た美千穂に出会い、ほのかな恋心を抱く。しかし、彼女は何かにおびえているようで、徳市は気が気でない。伊豆の温泉で出会った二人の淡い恋。清水宏監督の「按摩と女」をセリフもシーンも全く同じようにカヴァーしていて、色だけが鮮やか。美千穂を演じるマイコの朴訥なしゃべり方が昔の松竹映画を彷佛とさせてくれる。草ナギクンの目の演技もユニークだが、加瀬亮のヘンなしゃべり方も面白い。(ヴィスタ・94分・08年5月24日)

5月8日(木)アメリカ映画「フールズ・ゴールド/カリブ海に沈んだ恋の宝石」Fool's Gold

 18世紀、海に沈んだまま、未だに見つからないスペイン王から王妃への贈り物。この財宝探しに没頭したトレジャーハンターのフィンは、愛する妻テスから愛想をつかされ、離婚が迫る。ある日、その宝と繋がる皿のかけらを発見するが、宝を狙っているのはフィンばかりではなかった。マシュー・マコノヒー、ケイト・ハドソンという恋愛ドラマ・カップルを起用した海洋アドヴェンチャー。海中、海上、そして空中でのアクションは、なかなか本格的だ。(スコープ・112分・08年5月31日)

5月2日(金)日本映画「ザ・マジックアワー」The Magic Hour

 三谷幸喜監督第4作は、ハリウッドスタイルのノスタルジーなセットで繰り広げられるスクリューボール・コメディ。ギャングのボスの愛人に手を出してしまった手下の備後は、口から出まかせで、伝説の殺し屋・デラ冨樫を知っていると言ってしまう。期限の5日が過ぎ、どうしてもデラを探しだせない備後は、撮影所に行き、誰も知らない俳優・村田を雇ってくる。映画の撮影だということにして、村田にデラを演じさせようというのだ。果たして、村田は、ボスを騙しとおせるのか?ちょっとはじけ過ぎの感もあるが、佐藤浩市がとんでもないおとぼけキャラを演じたり、妻夫木聡が髪を七三に撫で付けた頼り無い男を演じたり、ふだんとは違ったイメージで楽しんでいる。ただ、登場(したい)人物が多すぎたのか、ちょっと長過ぎ。(スコープ・136分・08年6月7日)

4月25日(金)アメリカ映画「ラスベガスをぶっつぶせ」21

 数学の天才的能力を使ってラスベガスのカジノで大儲けしたMIT(マサチューセッツ工科大学)の学生の実話をもとに映画化したもの。使用されたカードを記憶して、これから配られるカードを推測し、計算するカウンティングという戦術をトレーニングして、仲間と共に、カジノに乗り込むベン。彼の最初の目的は、医学部に進むための学費を稼ぐことだった。しかし、ラスベガスでの派手な暮らしは、次第にベンの心を変化させていく。カウンティングという技術は、違法ではないが、チームを組んでやるというのが、犯罪なのだろう。だが、カードをすべて憶えるということがまず、並の人間には無理だ。(スコープ・122分・08年5月31日)

4月24日(木)日本映画「クライマーズ・ハイ」Climber's High

 1985年8月12日、日航ジャンボ機事故。その時、地元・群馬県の地方新聞社の中で何が起こったのか?突然、この事件の全権デスクを任されたのは、遊軍記者の悠木だった。場所が特定できないまま、事故現場に向う2人の記者。そして彼らからの電話を待つデスク。それから、悠木の苦悩と闘いの日々が始まった。事故の生々しい映像はないが、それでも、あの事故の凄まじさは今でも憶えている。そしてそんな事故報道の裏には、さまざまなメディアの闘いがあったのだ。悲惨な題材でシリアスで重い展開だが、新聞社の編集と販売の戦いは、大時代的なものでほほえましかった。(ヴィスタ・145分・08年7月5日)

4月24日(木)日本映画「僕の彼女はサイボーグ」Cyborg She

 大学生ジローの20歳の誕生日に突然現われた“彼女”は、次々ととんでもないことを起こして去っていった。そして、21歳の誕生日、再び、“彼女”がジローの前に姿を現す。いったい、“彼女”の正体は? 「猟奇的な彼女」のクァク・ジェヨン監督が日本で撮った日本映画なので、随所に韓国的ギャグが入るが、いつものようにちょっとしつこすぎの感も否めない。今、売れっ子の綾瀬はるかと小出恵介のコンビは、監督の無理な注文によく応えている。(スコープ・120分・08年5月31日)

4月22日(火)アメリカ映画「奇跡のシンフォニー」August Rush

 親に捨てられ、11年もの間、施設で育った少年エヴァンは、かすかに聞こえる音楽を頼りにニューヨークの街にやってくる。そして、楽器との出会いが少年の天才的才能の華を開かせていく。その頃、チェリストだったライラは病床の父親から衝撃の事実を打ち明けられる。さらに、バンドを脱退し、ビジネスの世界に入っていたルイスも、ライラのことが忘れれず、ニューヨークへ。運命の糸に引き寄せられるかのように3人は集まってくる。天才少年を主人公にした少女コミックのようなストーリーだが、「スパイダーウィックの謎」でも2役で頑張っていた天才子役フレディ・ハイモアを見ていると、本当に天才的に見えてきて、感情移入させられてしまう。(スコープ・114分・08年6月21日)

4月18日(金)フランス・ドイツ・ベルギー・イタリア・南ア合作「マンデラの名もなき看守」Goodbye Befana

 1968年、人種差別のアパルトヘイト政策が行われていた南アフリカ。国内一と言われるロベン島の刑務所に赴任してきたグレゴリーは、“コーサ語”が分かるという理由で、マンデラの担当に抜擢される。面会や手紙の検閲をやり、細かいことまで公安の少佐に報告するグレゴリー。だが、マンデラという人物に触れ、彼の信念を知ったグレゴリーは、次第に考えを変化させていく。27年もの長い間、投獄されていたマンデラ。その彼の近くに、このような看守の存在があったとは、…。警官に殴られる黒人毋子を見て、“ひどい!”と泣くグレゴリーに娘の言葉が、人間としての叫びだ。(スコープ・117分・東京08年5月17日、福岡7月19日)

4月18日(金)日本映画「隠し砦の三悪人 The Last Princess」

 山名の軍によって、秋月は落城する。城から逃げ出した金掘り師の武蔵(たけぞう)ときこりの新八は、河原で金を発見する。それは、秋月の隠し金だった。秋月の真壁六郎太に捕われた二人は、男の身なりをした雪姫と六郎太と4人で、金を早川領に運ぶことになる。だが、冷酷な大将・鷹山率いる山名の手勢が追ってくる。黒澤明監督の名作をCGをふんだんに使ってリメイクしたものだが、オリジナルとはかなり異なるテイストに仕上がっている。まず、主演が松本潤なので、主人公が六郎太ではなく、新たに作り出された武蔵になっている。彼と雪姫の関係も親密だ。まあ、オリジナルと比べて見るのではなく、別ものとして見たほうがいいだろう。(ヴィスタ・118分・08年5月10日)

4月16日(水)日本映画「築地魚河岸三代目」

 一流商社のエリートサラリーマン、赤木旬太郎は、恋人・明日香の実家である魚河岸の仲卸「魚辰」を手伝うことになる。だが、河岸のしきたりや経験のなさで悪戦苦闘の連続だ。しかし、そんな厳しい状況の中で、旬太郎は、築地独特の魅力を感じ、次第にのめり込んでいく。「ビッグコミック」に連載中の人気コミックの映画化だが、主人公が全く違う世界に入っていき、“自分らしい生き方”を見つけていくという浪花節的サクセス・ストーリーは、松竹にはピッタリ!今回は、“誕生編”なので、もちろんシリーズになるのは、当然!(ヴィスタ・116分・08年6月7日)

4月15日(火)日本映画「山桜」

 浦井家の長女・野江は、叔母の墓参りの帰り、山桜の木の下で一人の武士に出会う。その男は、かつて野江を妻に望んでいたが果たせなかった手塚弥一郎だった。野江は、最初の夫に先立たれ、再び磯村家に嫁いでいたが、辛い日々をおくっていた。東北は雨が続き、その年も飢饉で、農民たちの生活は困窮していた。しかし、藩の重臣・諏訪たちは、私腹を肥やすために、年貢を増やして、農民たちを苦しめていた。その窮状を見るに見かねた弥一郎は、決断する。そして、野江もまた、心を決める。藤沢周平の原作は短編で、そのイメージを損なわないように、東北の美しい風景の中で、ゆったりと丁寧に物語が進んでいく。(ヴィスタ・99分・東京08年5月31日、福岡6月7日)

4月15日(火)アメリカ映画「噂のアゲメンに恋をした」Good Luck Chuck

 歯科医のチャーリーは、“彼と寝ると次に必ず運命の男に出会い、結婚できる”という噂がインターネットでたちまち広がってしまう。最初はとまどうチャーリーだったが、次々と女性たちを幸せにしていく。しかし、そんな彼の前に、運命の女性キャムが現れる。果たして、チャーリーは、キャムの運命の男になれるのか?「Mr. ブルックス」には全く違うキャラで出ていたデイン・クックだが、今、売れっ子のコメディアンで波に乗っているようだ。ジェシカ・アルバがドジなペンギンの飼育員というのが面白い!(ヴィスタ・99分・08年5月17日)

4月14日(月)アメリカ映画「スパイダーウィックの謎」The Spiderwick Chronicles

 森の奥に廃虚のように放置されていた屋敷に引っ越してくる双子の兄弟と姉、毋の4人。ところが、兄弟の1人ジャレッドが屋根裏部屋で1冊の本を見つける。“決して読んではならない”という警告のメモを気にせず、封印を解くと屋敷全体が大きく揺れ、さまざまな出来事が始まる。それは、普段は人間の目には見えない“妖精”たちの仕業だった。そしてさらに、その本を狙った邪悪な妖精たちが屋敷を襲ってくる。いい妖精と悪い妖精がいるというアイデアや、“普段は見えない妖精が自分が見てもらいたい時には目える”とか、“妖精の世界では時の流れが違う”とか、なかなかユニークで、事前にそんな“妖精予備知識”を勉強しておくと、2倍楽しめるだろう。(スコープ・96分・08年4月26日)

4月14日(月)アメリカ映画「Mr. ブルックス 完璧なる殺人鬼」Mr. Brooks

 ケビン・コスナーが冷酷無比な連続殺人犯をクールに演じるクライムサスペンス。名士としても知られる大物実業家アール・ブルックスには、家族さえ知らない殺人鬼という裏の顔を持っていた。ところが、たった一つのミスからほころびが起き始める。クールにクールに殺人を冒していくケビン・コスナー。そして、彼の邪悪な面を演じるウィリアム・ハートの存在が無気味さを倍増させる。犯人を追う刑事がデミ・ムーアなど共演陣も豪華で、さすが大物ケビン・コスナーの面目躍如といったところか?(ヴィスタ・120分・08年5月 日)

4月12日(土)福岡アジア映画祭ボランティアミーティング4月。香港映画祭で見てきた作品などを上映するかどうか皆んなで検討する。さらに、日本語のタイトルについてもいろいろと意見を聞く。

4月10日(木)アメリカ映画「ランボー 最後の戦場」John Rambo

 20年の時を経て、ランボーが帰ってきた。タイ北部のジャングルでボートを操るランボーの元に、アメリカのキリスト教支援団がやってくる。迫害されているカレン族の村に医薬品を届けたいというのだ。内戦の厳しいミャンマーへ行くのを断るランボーだったが、サラの懸命な願いが彼を動かす。しかし、村に着いた彼らは、政府軍に拉致されてしまう。救出にために雇われた5人の傭兵たちと共に村に向うランボー。もう、後は戦うしかない!タイのエキストラを大量動員し、派手なアクションに、血のりがデジタル合成されて、リアルな殺りくシーンが繰り返される。このリアルさが、ランボーの行き着いたところなのだろう。(スコープ・90分・08年5月24日)

4月8日(火)韓国映画「恋の罠」淫乱書生/Forbidden Quest

 司憲府の官吏ユンソは、すり替えられた掛け軸の事件で踏み込んだ食器屋の奥で、“淫らな本”を目にする。事件を解決し、王妃チョンビンから好意を持たれるようになった彼は、彼女のことを夢見ながら淫らな筆を走らせる。そして、書き写された淫乱小説「黒谷秘事」はたちまち評判になっていく。淫らな本が素材だけに、お色気シーンもある程度はあるが、ラストは“愛”のテーマに収束していく。再現された李朝時代のセット、衣装などが見事に豪華で、この作品のレベルの高さを表している。(スコープ・139分・東京08年4月5日、福岡6月14日)

4月7日(月)アメリカ映画「さよなら。いつかわかること」Grace is Gone

 まだ母親が必要な12才と8才の娘たちと夫の元に、妻の戦死の知らせが来る。愛する人を失い、途方に暮れた父親は、悲報を子供たちに伝えられないまま、娘たちが希望する遊園地への旅に出かけ…。イラク戦争に対してメッセージ性の強い作品が論議を呼んでいる中、これは戦死したのが母親という異色作。戦場での悲惨なシーンはなく、残された家族の深い痛みが描かれていく。役のためにメタボ体型に変身したジョン・キューザックが、仕事中心で上の娘との会話も少ないという、ごく普通の父親を演じて何ともリアル。“なぜ、お母さんは自分たちを置いて戦場に行ったの?”という娘の純な質問が心に突き刺さる。(ヴィスタ・134分・東京08年4月26日、福岡5月31日)

4月4日(金)アメリカ映画「最高の人生の見つけ方」The Bucket List

 末期ガンで余命6ヶ月と宣告されたエドワードとカーターの二人は、死ぬ前にやっておきたいことを書き出した“棺おけリスト”を実行するために、病院を飛び出す。そして、エジプト、フランス、インドと世界中を駆け巡る。ジャック・ニコルスン、モーガン・フリーマンという名優による壮年版“自分探しの旅”は、人生最後の旅で、少しほろ苦い。(ヴィスタ・97分・08年5月10日)

3月28日(金)日本映画「少林少女」Shaolin Girl

 「少林サッカー」のチャウ・シンチーがプロデュースする日本版「少林サッカー」。中国で修行をしていた凛が日本に帰ってくると、祖父の道場は廃虚となっていた。何とか道場を復活させようとする凛は、ミンミンの誘いで、大学のラクロス部の助っ人になる。最初はほかのメンバーのことを考えることができずに浮いてしまう凛だったが、次第にチームワークも出来るようになってくる。ところが、そんな凛を黒い影が狙ってくる。スーパー・スポ根ものというよりは、精神論的な部分が多く、そこがこれまでの日本映画と違うところか?仲村トオルは、最近なぜか、こんな悪役が多い。(スコープ・107分・08年4月26日)

3月27日(木)日本映画「砂時計」Sands' Chronicle

 離婚で母親の故郷、島根にやってきた14歳の女子中学生・杏。近所に住む同い年の大悟や藤、藤の妹の椎香らと仲良くなり、田舎での生活にも慣れてきた頃、ある出来事が杏の気持ちを打ち砕く。そして、大好きな大悟との別れ。10年後、久しぶりに再会する二人。杏の心の中に、高校時代の思い出が甦ってくるのだった。600万部を越すベストセラーの原作コミックから、07年のテレビドラマを経ての映画化だが、原作がかなりボリュームのあるものなので、2時間にまとめるには、もう少し削き落とし、その分描き込む部分が必要だった。(ヴィスタ・121分・08年4月26日)

3月25日(火)無事、帰国。香港では、“アジア・フィルム・アワード”の授賞式&パーティーで、イ・チャンドン監督やソン・ガンホ、チョン・ドヨン、侯孝賢(ホウ・シャオシエン)監督、オ・ジュンワンプロデューサー、トニー・レオンなど多くの映画人に会いました。詳細は、アジア映画通信に掲載します。

3月17日〜25日、第32回香港国際映画祭に出席します。

3月14日(金)香港映画「ミラクル7号」CJ7/長江7號

 幼い頃に毋を亡くした小学生のディッキーは、父親ティーと二人でバラックのようなボロ家に暮らしている。“貧しくても一生懸命に勉強すれば尊敬される”がモットーの父親は、朝から晩までディッキーのために働きづめだ。そんなティーがある夜、ゴミ捨て場で緑の物体を見つけ、ディッキーにあげる。学校に緑の物体を持っていったディッキーは、それが新しいおもちゃ“ミラクル7号”だと、ウソをついてしまう。しかし、ミラクル7号は、ディッキーが期待しているようなスーパーおもちゃではなかった。まるで「ET」のようなストーリーだが、そこはチャウ・シンチーのしたたかさで、香港版に換骨奪胎したハートフルな展開を見せてくれる。(余談だが、直後に行った香港で、CJ7ぬいぐるみを探しまくった末、3種類ゲット!カワイイ!)(スコープ・88分・08年6月28日)

3月13日(木)福岡・フィリピン友好協会で、フィリピン映画について講演。

3月6日(木)アメリカ映画「大いなる陰謀」Lions for Lambs

 次期大統領候補と目されるアーヴィング上院議員のオフィスに招かれ、1時間ものインタヴューをするベテラン・ジャーナリストのジャニーン。議員の狙いは、アフガニスタンで展開される新しい作戦のリークと、好意的な報道だった。しかし、その作戦は、あまりにも危険で、実際、その頃、アフガニスタンでは、志願兵2人が敵に包囲されていた。同じ頃、2人の兵士がかつて学んでいたカリフォルニア大学のマレー教授の部屋に一人の学生が呼ばれていた。三つの場所で繰り広げられる三つの物語は、次第に絡み合っていく。トム・クルーズ、メリル・ストリープ、そして、ロバート・レッドフォードという大物の豪華共演。学生たちはなぜ、志願したのか?そして、彼らの命を何とも思っていない議員の思想とは?ロバート・レッドフォード監督らしい骨太のテーマだあ。(スコープ・92分・08年4月18日)

3月6日(木)日本映画「アフタースクール」After School 今にも生まれそうな大きなお腹をした妻を同級生の神野に宜しくと言って、会社に出ていった木村が失踪する。そして、横浜のホテルで女との密会を写真に撮られてしまう。木村の会社の上司は、アダルトショップをやっている怪しい探偵に木村の行方を探させる。探偵は、神野の学校へ行き、なぜか神野も探偵と共に木村を探すことに、…。GPSケータイ電話やパソコンなどの最新機器を駆使する探偵。でも、ホテルやビルの監視カメラのビデオは、あんなに簡単に手に入るのか?仕掛けたっぷりで、かなり練り込まれた内容でハイレベルな構成のシナリオだ。佐々木蔵之介の探偵、大泉洋の先生の凸凹コンビの掛け合いが絶妙で笑える。(ヴィスタ・102分・08年5月)

3月5日(水)日本映画「銀幕版 スシ王子! ニューヨークへ行く」

 スシ王子・米寿司(まいず つかさ)は、シャリの修行のためにニューヨークへ。やっと探しあてた「八十八」(やそはち)は、店を乗っ取ろうとするペペロンチーノ一味によって嫌がらせを受けて、客足が途絶え、数人の変わった常連客しかいなかった。そこで、シャリの修行を始めるつかさ。しかし、ペペロンチーノの裏には、ミスター・リンがいた。果たして、ミスター・リンとの寿司対決の勝敗は?!テレビ版を見ていないので、最初ついていくのが大変だが、ナンセンス・ギャグを散りばませたテレビのスペシャル版といったところか?でも、キャストが豪華なので、製作費は数億円!(ヴィスタ・114分・08年4月19日)

3月3日(月)アメリカ映画「ジェイン・オースティンの読書会」The Jane Austin Book Club

 アメリカでは、皆んなで集まって飲みながら同じ本についてディスカッションする“読書会”が流行っているそうだ。愛犬が死んで落ち込んでいるジョスリンを励まそうと、バーナデットは、オースティンの読書会を企画する。ジョスリンの高校時代からの友人シルヴィア、フランス語教師のプルーディーがメンバーに参加。さらに、シルヴィアの娘アレグラが加わり、最後は“オースティン初心者”のグリッグ。6人はそれぞれ長篇小説を担当し、月一の読書会が始まる。そして、小説さながらの人生の転機がそれぞれを待ち受けていた。オースティンは、「プライドと偏見」と「いつか晴れた日に」の映画ぐらいしか見ていないが、小説を読んでなくても、ついていける。結構マニアックなセリフも多い。(ヴィスタ・105分・東京08年4月12日、福岡5月24日)

2月28日(木)東京の東商ホール(東京商工会議所ビル)に於いて、東京商工会議所創立130周年記念イベントとして、日本ファッション協会主催の「シネマ夢倶楽部」の表彰式が行われ、私たちがやっている「福岡アジア映画祭」が「シネマ文化賞」を受賞しました。これまでの応援大変ありがとうございました。そして、これからも末長いご支援を宜しくお願い致します。

2月26日(火)アメリカ映画「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」There will be Blood

 ダニエル・デイ=ルイスが見事アカデミー主演男優賞に輝いた異色作。19世紀半ば、カリフォルニアの地は、“ブラック・ゴールドラッシュ”と呼ばれる石油採掘ブームに席巻された。ある青年からの情報で石油の存在を知ったダニエルは、西部の小さな町リトル・ボストンに行き、土地を買い占め、採掘を始める。しかし、地元のカリスマ牧師イーライは、土地を荒らし、荒稼ぎするダニエルと対立していく。石油によって巨万の富を得た主人公。だが、運命は彼にさまざまな試練を与える。デイ=ルイスの知性と狂気がすさまじい。セリフも音楽もなく、黙々と坑を掘る冒頭のシーンも凄い。(スコープ・158分・08年5月3日)

2月25日(月)アメリカ映画「ヒットマン」HITMAN

 闇の組織によって、冷酷無比なプロの殺し屋たちが養成されていた。“エージェント47”に与えられた次の標的は、ロシアの政治家ベリコフ。任務は完璧に遂行された。しかし、目撃者がいた。さらに、殺したはずのベリコフが生きていた。この“失敗”には、何か裏があると悟った47は、連絡員に“依頼主”を問いただすが、答えはない。さらに、インターポールの刑事が、47を追ってくる。クールな殺し屋をクールに演じるのは、「ダイ・ハード 4.0」のテロリスト役が印象的だったティモシー・オリファント。ミュージックビデオなどで活躍するフランス人監督によるスタイリッシュな映像がハリウッドとは違ったアクションを見せてくれる。(スコープ・93分・08年4月12日)

2月25日(月)アメリカ映画「NEXT -ネクスト-」NEXT

 ニコラス・ケイジ製作・主演のSFアクション。ラスベガスのクラブでマジックショーをやるクリスは、2分先に起きることが見えるという特殊な能力を持っていた。FBIは、彼のその力をテロリストたちの居場所を発見するために利用しようと接触してくる。テロなど他人事で、そんな煩わしいことに関わりたくないクリスだったが、テロリストたちもすでにクリスの存在を察知していて、攻撃してくる。果たして、クリスは、事件を解決できるのか?原作がフィリップ・K・ディックだけに、なかなか理知的なSFだ。(スコープ・95分・08年4月 日)

2月22日(金)フランス・ベルギー合作「地上5センチの恋心」Odette Toulemonde

 デパートの化粧品売り場で働くオデットの楽しみは、寝る前に大好きな作家バルタザール・バルザンの本を読むこと。普通のラブロマンス小説なのだが、夫に先立たれ、二人の子供と暮らす平凡な主婦にとって、彼の本は架空の“夢の世界”だった。ところが、サイン会で彼に渡したファンレターが思わぬ出来事を起こすのだった。ジョセフィン・ベイカーの曲を口ずさみながら踊り出すオデットの明るさは、いかにもフレンチ・テイスト。化粧品が踊ったり、オデットが宙に浮いたりしても、それは、映画的ご愛嬌。大人のファンタジーだ。(ヴィスタ・100分・08年4月 日)

2月20日(水)アメリカ映画「ジャンパー」Jumper

 15歳の時に、瞬間移動ができることをしったデヴィッドは、銀行の金庫に入り込み、大金を手に入れる。それからは、ニューヨークに出て、悠々自適の生活を満喫。ところが、彼のような特殊な能力を持った“ジャンパー”を謎の敵“パラディン”が狙ってくる。そしてそこには、何千年も続く運命的な戦いがあった。主人公がスーパーマンではなく、普通の人間で、ただ“ジャンプ(瞬間移動)”が出来るというアイデアが面白いし、最新のVFXで、移動の映像もなかなかリアルだ。わざわざそんな場所に行かなくてもいいだろう、という場所も多いが、それは製作者たちのお楽しみなのだろう。シリーズ化必至のスタイリッシュSFアクション。(スコープ・88分・08年3月7日)

2月20日(水)イギリス映画「つぐない」Atonement

 13歳の少女の“勘違い”が、主人公たちの運命を翻弄していく。1935年、イングランド政府官僚の屋敷。長女セシーリアは、身分違いである使用人の息子ロビーを愛していた。ところが、同じようにロビーに恋心を抱いていた妹プライオニーの“勘違い”によって、二人の愛は、引き裂かれてしまう。刑務所、そして戦場に送られるロビー。そんな彼のことをひたすら待つセシーリア。イアン・マキューアンの最高傑作と言われる「贖罪」を、アカデミー賞主演女優賞ノミネート「プライドと偏見」のキーラ・ナイトレイとジョー・ライト監督ほかのスタッフが再び結集して映像化したもので、その重厚な面持ちは、さすがイギリス正当派といった感じだ。リアルタイムであれば、相当に暗くて辛い話だが、こういった形でまとめれば、過去の悲恋として見ることができる。(ヴィスタ・123分・08年4月 日)

2月19日(金)日本映画「Sweet Rain 死神の精度」

 人が死ぬ7日前に現れて、その人の“死”を決定する死神。1985年、電器メーカーのクレーム処理係の一恵のもとに現れた死神・千葉だったが、“愛した人たちが次々と死んでいった”という一恵のつらい告白に心を痛める。そして、判定の日。さらに、時が過ぎて、2007年、兄貴分の仇を討とうとするヤクザのもとへ。そして最後は、2028年、70歳の美容師のところに現れる。3つの時代に現れる死神をユーモラスに演じているのは、金城武。常識ばなれした飄々とした死神が好きなものが“ミュージック”というのも面白いアイデアだ。深刻でなく、軽い気持ちで楽しめるファンタジーだ。(ヴィスタ・113分・08年3月22日)

2月18日(月)日本映画「あの空をおぼえてる」

 交通事故に遭う小学4年生の兄と幼稚園児の妹。兄の英治は、雲の上を飛ぶという臨死体験をして、病室に生還する。やがて、退院して家に帰るが、両親のショックは大きく、かつてのような温かい家族はそこにはなかった。特に、父親・雅仁の自責の念は大きく、まったく口をきいてくれない。それでも必死で家庭を明るくしようと努力する英治。“家族の再生”というのは、理屈では出来るように思えるが、現実はなかなか簡単にはいかない。そしてそれが“娘の死”という悲惨な出来事があれば、なおさらだ。“死”というものについて深く考えさせてくれた。(ヴィスタ・115分・08年4月26日)

2月18日(月)日本映画「ぼくたちと駐在さんの700日間戦争」

 1979年、田舎町でのんびりとした高校生活をおくっていた“ママチャリ”たち7人。ところが、転勤してきた国家権力である“駐在さん”が彼らの前に立ちはだかる。7人がやるイタズラに、大人気なくリベンジしてくるのだ。こうして、高校生たちと駐在さんのイタズラ戦争が始まった。人気ランキング1位のブログ小説の映画化だけに、昭和の時代の高校生が考えるイタズラがリアルで、そのしょうもないせこさが面白い。駐在さん役の佐々木蔵之介はハマリ役。ママチャリの市原隼人も脳天気に元気でいい。まだ、700日までいっていないので、続編もあり?!(ヴィスタ・110分・08年4月5日)

2月14日(木)アメリカ映画「燃えよ!ピンポン」Balls of Fury

 12歳の時、天才卓球少年として、ソウル・オリンピックに出場したランディだったが、父親が原因で無惨な敗退。19年後、場末のカジノで働く彼の元をFBI捜査官が訪れ、裏社会で行われる卓球世界大会に出場し、潜入捜査を依頼される。チャイナタウンの少林卓球名人の弟子となり、特訓するランディ。そしてついに、世界大会への招待がやってくる。タイトルからも分かるように、ブルース・リーのカンフーものの“卓球版”コメディ。奇妙な中国人ボスを演じるクリストファー・ウォーケンを始め、キャラの立ったキャストに大笑いだ。(ヴィスタ・90分・08年3月22日)

2月12日(火)アメリカ映画「ダージリン急行」The Darjeeling Limited

 ついにエイドリアン・ブロディまでもアンダーソン組に入ってしまった!長男フランシスの呼び掛けで、1年ぶりに再会した3兄弟は、インドを横断する列車の旅を始める。父の死をきっかけに絶好していた兄弟がもう一度結束を固めようというのだ。ところが、かなり個性の強い3人は、それぞれわがままで相当な問題児だった。「ザ・ロイヤル・テネンンバウムズ」のインテリ監督ウェス・アンダーソン作品だけに、登場人物たちの奇妙さは、相当なものだし、ストーリーは、予想外の展開の連続だ。さらに、インドならではのギャグは、インド映画祭に通っていた我々には、バカウケだ。(ヴィスタ・短編と合わせて104分・08年3月15日)

2月8日(金)中国映画「王妃の紋章」満城尽帯黄金甲/Curse of the Golden Flower

 唐王朝の時代、“菊の節句”である重陽節に王家の人々が一堂に集まってくる。しかし、王妃は、王の先妻の息子と不倫をしており、それを知った王の陰謀が進んでいた。さらに、王妃もまた、恐るべき陰謀を企んでいた。黄金色に彩られた絢爛豪華な王宮のセットの中で、ゴージャスな衣装に身を包んだスター俳優たちの演技が繰り広げられるが、少女コミックのようなストーリーがもったいない!それに、中国の王宮に、「ベルばら」のようなフランス宮廷衣装は、ないだろう。チョウ・ユンファ久しぶりのアジア映画なのに本当にもったいない!(スコープ・114分・08年4月12日)

2月7日(木)フランス・香港合作「マイ・ブルーベリー・ナイツ」My Blueberry Nights

 恋人に別な女性ができて失恋したエリザベスは、向いのカフェで、ジェレミーのブルーベリー・パイを食べることで慰められる。だが、まだ失恋の痛手がいえない彼女は、旅に出る。そして、メンフィス、ラスベガス、そしてニューヨークと、さまざまな愛の形に出会う。ウォン・カーウァイ監督らしいけだるい空気が充満したロードムービー。ハリウッド俳優をふんだんに使ったハリウッド版「恋する惑星」といったところか!?(スコープ・95分・08年3月22日)

2月7日(木)イギリス映画「ペネロピ」Penelope

 先祖が掛けられた呪いによって、豚の鼻と耳を持って生まれてきた少女ペネロピ。呪いを解く鍵は、彼女への永遠の愛。そこで、相手を求めての“見合い”を繰り返すが、すべての男たちは、彼女の顔を見た途端に逃げ出してしまう。しかし、スクープを狙う新聞記者から金をもらって、ペネロピの写真を撮るために、“見合い”にやってきたマックスとの出会いは、彼女の気持ちを動かしてゆく。王子様を待っているばかりでは呪いは解けないという現代版のリアルなファンタジー。なかなか奥の深い蘊蓄のあるストーリー展開だ。(スコープ・101分・東京08年3月1日、福岡3月22日)

2月5日(火)日本映画「ポストマン」Postman

 千葉県房総町の郵便局員・海江田は、今でもバタンコと呼ばれる赤い自転車で郵便を配達している。2年前に妻に先立たれ、中学3年の娘と小学3年の息子の3人暮らしだ。寮生活をしなければならない高校への進学を望む娘に、“家族は絶対ひとつ屋根の下で暮らすべきだ”と譲らない父だった。長嶋一茂が企画・製作総指揮、そして主演の頑固な郵便配達人物語。(ヴィスタ・111分・08年3月22日)

2月5日(火)アメリカ映画「アニー・リーボヴィッツ レンズの向こうの人生」Annie Leibovitz : Life Through A Lens

 ジョン・レノンの最後の写真やデミ・ムーアの妊婦写真などで有名な女流写真家のドキュメンタリー。20歳の時、ローリングストーン誌に売り込みにいった彼女の最初の大仕事がジョン・レノンの取材だった。そして、その写真がいきなり表紙を飾る。それからは波に乗り、次々と大物スターを撮る。それも彼女独自の方法がユニークだ。セレブたちの有名な写真の撮影現場というのは、相当に大掛かりだ。(ヴィスタ・83分・08年4月 日)

2月4日(月)アメリカ映画「バンテージ・ポイント」Vantage Point

 スペインでのサミットに出席したアメリカ大統領が狙撃される。さらに、会場では次々に事件が起きていく。犯人は誰なのか?中継をしていたテレビ局の女性プロデューサーに始まった事件の様子は、8人の異なる人々の視点から繰り返し描き出される。そして、驚愕の真相が次第に明らかになっていく。見事に書き込まれたシナリオで、息も付かせぬ90分だ。渋い俳優たちがそれぞれにいい味を出しているし、モロッコ系俳優やスペイン系俳優などテロリスト側のキャストもなかなかいい。(スコープ・90分・08年3月8日)

2月4日(月)日本映画「映画 クロサギ」

 クロサギが、今回ターゲットにしたシロサギ(サギ師)は、贈答サギでレイコの財産を奪った石垣という男。巧妙なワナを仕掛けるクロサギ。しかし、石垣は、かつて巨大なサギ事件に関与していたことが明らかになってくる。そして、その裏には、意外な人物が絡んでいた。TV版もずっと見ていたので、それなりに楽しんで見れたが、TVのスペシャル版といった感じだ。(ヴィスタ・126分・08年3月8日)

1月30日(水)日本映画「ガチ☆ボーイ」Wrestling with Memory

 大学3年生の五十嵐は、ある日、プロレス研究会に入部する。去年の学園祭でプロレスの試合を見て以来、仲間に入りたいと思っていたと言う。しかし、彼は、試合はガチンコでやっていると思っていた。そして、彼には、部員たちに隠している秘密があった。果たして、五十嵐は、ガチンコ・プロレスができるのか?人気舞台の映画化で、軽いノリで始まるが、後半は、シリアスでストレートに感動できる。世の中には、本当にさまざまな病気があるものだ。(ヴィスタ・121分・08年3月1日)

1月23日(水)カナダ・フランス合作「中国の植物学者の娘たち」植物園/Les Filles du Botaniste Chinois

 ロシア人の父と中国人の毋を地震で亡くしたリー・ミンは孤児院で育った。そして、実習生として、チェン教授のいる植物園を訪れる。そこには、10歳の時に毋を亡くしてから、ずっと厳格な父と暮らしてきた娘アンがいた。教授怒られるミンをやさしくなぐさめるアン。お互いに孤独な生活を余儀無くされてきた二人は、ひそやかな愛を育んでいく。同性愛が病気だとされる中国で、スキャンダル的なテーマだが、ロケされたヴェトナムの風景があまりにも美しく、絵ハガキを見ているようだ。(スコープ・98分・東京07年12月15日、福岡08年2月23日)

1月23日(水)日本映画「チーム・バチスタの栄光」

 難易度の高いバチスタ手術を26例も成功させ、患者が殺到している東城大学付属病院のチーム・バチスタ。ところが、3例続けて、再鼓動が起こらず、術中死が発生してしまう。ただの偶然の事故なのか?それとも、誰かの殺人なのか?外科のことには全くの素人である心療内科医師の田口が内部調査を依頼される。チーム・バチスタの7人にインタビューをし、“問題なし”の報告書を提出する田口。ところが、そこに現れたのが、厚生労働省の役人・白鳥だ。彼の登場で、調査は振り出しに。田口を悪者にして、チーム・メンバーの本音を暴いていく白鳥。これは「トリック」の阿部・仲間コンビと似ている。だが、手術室の場面がリアルなだけに、おちゃらけだけで笑ってはいられない。役人というのは、本当に横暴なものだ。(ヴィスタ・118分・08年2月9日)

1月18日(金)アメリカ映画「ライラの冒険 黄金の羅針盤」The Golden Compass

 そこは、すべての人々が“ダイモン”と呼ばれる守護精霊の動物と共に生きるパラレル・ワールドだった。そして、パンタライモンをダイモンとする少女ライラが主人公。幼い頃に両親を亡くし、オックスフォード大の寮で育てられてきたライラだったが、ある日、金持ちのコールター夫人が現れ、引き取られる。リッチな生活が始まるが、次第に夫人の狙いが明らかになっていく。そして、ライラの冒険の旅が始まる。なかなか面白い設定のパラレル・ワールドで、だから“何でもあり”のCG合成の世界が目まぐるしく展開される。バトルのシーンなどかなりリアルなので、小さい子供は、どう思うのだろうか?(スコープ・112分・08年3月1日)

1月17日(木)アメリカ映画「魔法にかけられて」Enchanted

 アニメの世界のお姫様が、突如、現代のニューヨークに現れる。まったく未知の世界に戸惑うプリンセス・ジゼル。そんな彼女を偶然助けたのは、バツイチ弁護士のロバートと娘のモーガンだった。仕方なく、ロバートは、行く宛のないジゼルをアパートに泊めてやる。ところが、ジゼルは、普通の女性とは違っていて、次々とトラブルを起こしていく。そしてさらに、ジゼルを探して、アニメの世界からエドワード王子がやってきて、騒動は大きくなっていく。アニメの世界のキャラクターを現実の世界に登場させるという画期的なアイデアのファンタジーで、ディズニーならではの細かいパロディが次々と連打される。歌やBGMまでとことんこだわった作りがディズニー・ファンにはたまらない。(スコープ・108分・08年3月14日)

1月15日(火)日本映画「L change the WorLd」L change the WorLd

 デスノートに書いた自分の死まで残された23日間に、次々と未解決事件を解決するL。そんな彼の元に、ヘリコプターで運ばれてくる少年。彼は、タイで消滅した村の唯一の生き残りだった。そして、また一人、非業の死を遂げた父親から託された“もの”を持って、少女が訪ねてくる。さらに、少女が持ってきた“もの”を奪おうと、ある環境団体のメンバーがやってくる。これまで、モニターの前で事件を解決してきたLだが、今回は自ら動かなければならない羽目に陥っていく。「デスノート」からのスピンオフ作品だが、監督も替わって、全く別ジャンルになった。だが、中田監督作品だけに、貞子のような形相で復讐しようとする福田麻由子は、なかなかいい。(ヴィスタ・128分・08年2月9日)

1月11日(金)ハンガリー映画「君の涙 ドナウに流れ ハンガリー1956」Szabadsag szerelem / Children of Glory

 1956年、ソ連の衛星国として共産主義政権が独裁していたハンガリーで、自由を求めて市民たちがデモを始める。そこで、ハンガリーの水球チームのエース選手カラチは、デモの先頭に立つ女性闘士ヴィキに出会う。たちまち恋に落ちる二人だったが、苛酷な運命は彼らの人生を翻弄していく。“ハンガリー動乱”と、オリンピックの“メルボルンの流血戦”。この二つの事実を背景に、ハンガリーの自由への戦いと、これまで語られることのなかった歴史の暗部が明らかになっていく。激動の時代のヨーロッパで自由のために戦った人たちの勇気と行動力に経緯を表したい。(スコープ・120分・東京07年11月17日、福岡08年1月19日)

1月8日(火)イギリス映画「エリザベス:ゴールデン・エイジ」Elizabeth : The Golden Age

 「エリザベス」の続編。女王の座に就いたエリザベスだったが、ヨーロッパ全土をカトリックにしようとするスペインの圧力は日増しに強くなっていた。さらに、スコットランドから逃亡してきた従妹メアリーがイングランド女王を主張しているのも頭痛の種だった。その裏には、スペイン国王フェリペ2世の陰謀があったからだ。そして、女性として生きることを忘れたはずのエリザベスの前に現れる航海士ローリー。しかし、エリザベスは、ひとりの女性に戻ることは出来なかった。陰謀うずまく宮廷の時代に、絢爛豪華なコスチューム劇が繰り広げられる。また、スペインの無敵艦隊との戦いのシーンは、なかなかの迫力あるスペクタクルだ。(ヴィスタ・114分・08年2月16日)

1月1日(火)あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしく!

12月26日(火)アメリカ映画「スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師」Sweeney Todd The Demon Barber of Fleet Street

 15年もの間、無実の罪で投獄されていたベンジャミン・バーカーは、脱獄し、復讐のために、ロンドンにやってくる。そして、スウィーニー・トッドと偽名を名乗り、昔と同じ場所に理髪店を出す。自分を罪に陥れたターピン判事への復讐の機会を待つトッドだったが、自分の正体を見破って脅しをかけてきた理髪師を殺してしまう。そして、その死体は地下で処理され、ミセス・ラベットのパイとなって、評判を呼ぶ。ブラッディで、シニカルな内容が、ティム・バートン監督、ジョニー・デップコンビにぴったりだ。ブロードウェイ・ミュージカルの映画化だが、相当にダークなキワモノだ。大物を起用した配役は贅沢だし、オーディションで探したトビー役の少年の歌はすごい!(ヴィスタ・117分・08年1月19日)

12月25日(火)イタリア映画「マリア・カラス 最後の恋」Callas e Onassis

 20世紀を代表する歌姫(ディーヴァ)と言われるマリア・カラス。イタリア人実業家メネギーニに見い出された彼女は、またたく間に、オペラ歌手の頂点に立っていく。しかし、ギリシアの海運王オナシスとの出会いが、マリアの運命を変えていく。マリアとオナシス。お互いに不遇の子供時代をおくった二人は、惹かれあい、激しい恋に落ちる。だが、二人の人生は、平穏ではなかった。“自由奔放な愛に生きた”と思われているマリアとオナシスだが、その裏側には、こんな“愛のすれ違い”があったのだ。(ヴィスタ・117分・08年2月16日)

12月21日(金)アメリカ映画「団塊ボーイズ」Wild Hogs

 自己破産し、離婚したウディ。メタボリック症候群の歯科医ダグ。小説家を目指す下水配管工のボビー。恋人いない歴半世紀のパソコンおたくダドリー。“俺たちの人生、このままで終わっていいの!?”と奮起した4人の中年男たちが、憧れのハーレーにまたがって、大陸横断の冒険に出る。だが、中年男たちが、“ワイルドで行こう!”という訳にはいかない。行く手には、大小さまざまなトラブルが。そして、最大の敵は、ハイウェイのバーにたむろしていた不良バイカー集団デル・フエゴスだった。果たして、彼らは、“男”になれるのか?トラボルタを始めとする4人がそれぞれ性格俳優で、細かいギャグを連発しながら、辛らつな笑いを提供してくれる。そして、予期せぬ「イージー・ライダー」の登場も楽しい。(スコープ・99分・08年2月9日)

12月21日(金)韓国映画「ユゴ〜大統領有故〜」その時、その人々/The President's Last Bang

 1979年10月26日、独裁政権を支配する朴正煕(パク・チョンヒ)大統領が射殺される。撃ったのは、当時のKCIA長官キム・ジェギュ。果たして、この日、いったい何が起こったのか?イム・サンス監督は、膨大な資料を元に、事件を再現する。ドキュメンタリーではないが、かなり信ぴょう性の高い内容だと思う。2年前にプサン映画祭で見た時には、朴正煕の遺族に訴えられ、最後のニュース場面3分50秒が真っ黒な画面でカットされていた。今回、オリジナルバージョンを見ると、確かに、最後のニュース映像は強烈だ。去年、監督に会った時に、“あの3分50秒が大切なんだ!”と言っていた意味がよく分った。(ヴィスタ・104分・東京07年12月15日、福岡08年2月2日)

12月17日(月)アメリカ映画「ナショナル・トレジャー/リンカーン暗殺者の日記」National Treasure : Book of Secrets

 日記の破片に名前があったことから、リンカーン暗殺の首謀者にされてしまうベン・ゲイツの祖父トーマス・ゲイツ。再度、日記を調べると、暗号が見つかる。ゲイツ一族の汚名を晴らすための新たなる旅が始まった。次々と見つかる暗号の謎はかなり難解だが、速いテンポで物語が進んでいくので、あまり理屈にはこだわらずに見ていられる。冒険コミックをそのまま実写映画化した感じで、楽に見ることができる。(スコープ・124分・07年12月21日)

12月17日(月)日本映画「毋べえ」の記者会見に出席。

12月14日(金)アメリカ映画「ウォーター・ホース」The Water Horse : Legend of the Deep

 出征したまま帰らない父を待つ少年アンガスは、湖で青く光る卵を見つける。それから生まれたのは、伝説の生き物“ウォーター・ホース”だった。クルーソーと名付けられた生き物は、みるみるうちに大きくなっていった。巨大になったクルーソーは、湖に放される。村人の中には、クルーソーを目撃する人たちも出てきて、観光に利用しようとしていた。そんな時、平和な村に、兵士たちがやってくる。ネス湖の恐竜の写真はトリックだった。しかし、本当に“伝説の生き物”がいたとしたら、という発想の動物ファンタジー。美しい湖の風景と、ウォーター・ホースのCGが見事だ。(スコープ・112分・08年2月1日)

12月14日(金)日本映画「毋べえ」Kabei - Our Mother

 昭和15年、東京の下町に暮らす四人家族。その家では、毋のことを“毋(かあ)べえ”、父のことを“父(とう)べえ”、長女・初子のことを“初べえ”、次女・照子のことを“照べえ”と呼んでいた。ある日突然、父べえが治安維持法で逮捕されたことから、一家の平和な日々が崩れていく。確かに、生活のために、さまざまなことを妥協しなければならない世の中。それがもっと大変だった昭和15年という時代に、人間としての誇りを貫いた父べえと、そんな父べえを尊敬し、何があっても支え続ける毋べえ。そこには、人を信じることの大切さ、そして、自分の信念に正直に生きることの“強さ”があった。やさしく、そして強く生きることを改めて痛感させられた。(ヴィスタ・132分・08年1月26日)

12月13日(木)イギリス映画「28週後...」28 Weeks Later

 ウィルスによって壊滅状態になった「28日後...」のその後。アメリカ軍によって、蔓延していたウィルスは駆逐され、ロンドンは再構築を始める。そして、スペインに旅行中で難を逃れた姉弟が、帰国を許される。彼らを待っていたのは、地区の統括官を任されている父親のドンだった。しかし、母親の姿は無かった。母親の写真を探すために、立ち入り禁止区域の自宅に行った二人が見たものは…。そして、再び、魔のウィルスが蔓延を始める。「28日後...」の恐怖は、ウィルスに感染した者が20秒以内に豹変し、狂暴化するということだったが、その恐怖が復活した。(ヴィスタ・104分・08年1月19日)

12月13日(木)日本映画「リアル鬼ごっこ」

 次々と謎の死を遂げる人々。共通点は、すべて“佐藤”という名字だということ。そして、不良少年・佐藤翼は、敵対グループに捕らえられ、絶対絶命の危機の瞬間、別な空間に移動してしまう。そこは、パラレルワールドで、国王の命令で、“佐藤”という名前の人間が黒装束の鬼に追いかけられ、捕まれば死刑という“リアル鬼ごっこ”が行われていた。「親指さがし」の時もそう思ったが、山田悠介原作には、ついていけない部分が多い。しかし、海賊版撲滅キャンペーンの少女は、なかなかいい役だ。(ヴィスタ・98分・08年2月2日)

12月12日(水)日本映画「陰日向に咲く」

 パチンコにのめり込んで借金まみれのダメ男シンヤは、浅草で寿子と出会い、かつて彼女の母親の相方を探す手伝いをすることに。一方、崖っぷちアイドル、みゃーこを追いかけるのは、アキバ系オタクのゆうすけ。エリートサラリーマンのリュウタロウは、街で見かけたモーゼに憧れて、ホームレス生活を始める。どこか日の当たらない人たちの関係は、次第に絡み合っていく。劇団ひとりの小説を映画化したもので、ちょっと作り過ぎの感もあるが、なかなかうまい人間関係のもって行き方だ。人生、その時は分からず、後で後悔することも多いのだ。(ヴィスタ・129分・08年1月26日)

12月11日(火)日本映画「犬と私の10の約束」

 14歳の少女あかりは、迷い込んで来た小犬に“ソックス”という名前をつけ、飼うことにする。入院中の毋は、犬を飼う時は、犬との“10の約束”を守らなければならないと教えてくれる。それから、さまざまな出来事が起きる中、あかりの中で、ソックスの存在が変化し始める。タイトルを聞いただけで想像できる内容なのだが、それでも、動物ものは泣けて仕方がない。(ヴィスタ・117分・08年3月15日)

12月11日(火)日本映画「歓喜の歌」

 とある地方都市の文化会館。大晦日に2つのママさんコーラスの発表会がダブルブッキング。先に申し込んだのは、結成1年半の庶民派ガールズ。しかし、セレブ系のレディースは、記念すべき20周年コンサートで、市長の奥さんまで入っている。日頃からいい加減な仕事ぶりで、どうにかなるさ、とタカをくくていた主任の運命は?立川志の輔の落語をベースにしているだけに、細かい仕草やセリフがとても洗練されていて、思わず吹き出してしまう。そして、最後は、ほんわか泣かせてくれる。和製喜劇の基本だ。(ヴィスタ・112分・08年2月2日)

12月7日(金)アメリカ映画「アイ・アム・レジェンド」I Am Legend

 2012年、世界は、ウィルスによって壊滅した。残されたのは、ロバート・ネビルと愛犬サムだけ。彼らは、人っ子一人いないニューヨークの廃虚を車で突っ走る。だが、生存者がいない訳ではない。太陽が沈むと、凶暴なゾンビ“ダーク・シーカーズ”が襲ってくる。3年経っても誰も現れず、ワクチンも作れないネビルは、自暴自棄になり、ダーク・シーカーズたちの罠にはまってしまうが、…。これまでに2度映画化されている有名な原作だが、今回は、かなり“ウィル・スミス風アレンジ”がなされ、主人公の性格がかなり深く描き込まれている。(スコープ・100分・07年12月14日)

12月6日(木)アメリカ映画「フライボーイズ」Flyboys

 1916年、フランスに侵攻したドイツ軍とイギリス・フランスの連合軍が戦っていた頃、フランス軍のパイロットとして志願してきたアメリカ青年たちがいた。当時の飛行機は、2枚羽根の複葉機で、操縦席は何のカバーもなく、敵からの攻撃に無防備だった。そんな時代の英雄パイロットたちの壮絶な戦いの実話だ。「スパイダーマン」のハリー・オズボーン役で知られるジェームズ・フランコが、無鉄砲ながらも次第に一流のパイロットとして成長していく主人公を熱演している。もちろん、CGによるシーンも多いが、本物の飛行機を使っている部分もかなりあって、迫力充分。製作費70億円の超大作だ。(スコープ・138分・08年1月5日)

12月5日(水)アメリカ映画「アメリカン・ギャングスター」American Gangster

 1970年代初めのニューヨーク、ハーレムを牛耳るギャングのボスに15年間使えて来たフランクは、ボスの跡を継ぐべく、ヴェトナム戦争の軍用機を使った麻薬の密輸に乗り出す。彼は、純度100%のヘロインを“ブルー・マジック”というブランドで売り出し、瞬く間に巨万の富を得、ハーレムのボスにのし上がる。そんなフランクに目をつけたのが、汚職はびこる警察を飛び出し、特別麻薬取締局で捜査を担当していたリッチー刑事だった。アメリカン・ドリームの表と裏で、ぶつかる二人の男たち。そこには、彼らが信じて疑わなかった“彼らなりの信念”があった。実話なので、地味な話だが、彼らがいたから、今のアメリカがあると言ってもいいぐらいの重要な事件の一つだ。(ヴィスタ・157分・08年2月1日)

12月4日(火)日本映画「銀色のシーズン」Season of Snow

 スキー客で賑わう白馬で、“雪山のなんでも屋”を派手に宣伝する銀たち3人組。めちゃくちゃな彼らの行動に町の人々は大迷惑だ。町の復興を賭けたスノーウェディングの花嫁第1号の七海がやってくる。全くスキーのできない彼女にコーチを買って出る銀だったが、特訓はすんなりとはいかない。そして、彼らそれぞれの過去と彼女の秘密が絡み合ってくる。「海猿」シリーズの羽住監督らスタッフが、雪山を舞台に撮ったスポ根ラブ・コメ。去年は異常に雪が少なかったため、カナダまで行って雪のシーンを撮らなければならなかったそうだ。(スコープ・108分・08年1月12日)

11月30日(金)ドイツ・イギリス合作「アース」Earth

 「ディープ・ブルー」のスタッフが、今度は地球全体に関するドキュメンタリーを5年の歳月をかけて完成。北極のホッキョクグマの親子に始まった旅は、カナダのカリブーの群れを追い、シベリアのアムール豹、砂漠のアフリカ象、そして熱帯の海から南極に移動するザトウクジラの毋子まで、地球を半周する。そこには、懸命に生命を育む動物たちの姿が走馬灯のように映し出される。そして、このまま気温が上昇を続ければ、ホッキョクグマたちの姿は、2030年までに見れなくなってしまうと締めくくる。自然破壊は、私たちの想像を遥かに越えたスピードで進んでいる。(ヴィスタ・98分・08年1月12日)

11月28日(水)アメリカ映画「Mr. ビーン カンヌで大迷惑?!」Mr. Bean's Holiday

 97年から10年ぶりの続編。教会の宝くじに当たったビーンは、南フランス・カンヌの海岸にヴァカンス旅行へ。しかし、フランス語など全くダメなビーンのことだから、次々とトラブルに。彼のおかげで父親とはぐれてしまった少年とカンヌを目指すが、失敗の連続で、無一文に。でも、なんとかカンヌを目指す。もともとビーンは喋らないキャラなのだが、1作目の映画で喋り過ぎたという反省があって、今回はほとんど喋らない。それが、いい。コメディは、シンプルでいい。お約束でトラブルが続いていくが、サイレント映画へのオマージュもたくさんあって、楽しいコメディになった。(ヴィスタ・89分・08年1月19日)

11月27日(火)アメリカ映画「ジェシー・ジェームズの暗殺」The Assasination of Jesse James by the coward Robert Ford

 西部劇の無法者ジェシー・ジェームズ。だが、彼の真の姿を描いた映画はこれまでなかった。それを今回は、ロン・ハンセンが丹念に調べた小説を基に、“人間ジェシー・ジェームズ”を描き出していく。1881年、ジェシーの名前は、アメリカ全土に知れ渡り、多額の賞金がかけられていた。それでも次々と強盗を重ねるジェシー。しかし、彼が本当に用心しなければならなかったのは、信頼している仲間だった。ブラッド・ピット演じるジェシーは、メディアによって勝手に英雄化されていく自分自身との葛藤に苦悩していた。そして、彼を撃ったロバート・フォードは、ジェシーの崇拝者だった。伝説と真実は異なる。それをリアルに描いた大作だが、リアルにこだわっただけ、地味で暗い作品だ。(スコープ・160分・08年1月12日)

11月24日(土)アメリカ映画「市民ケーン」Citizen Kane

 20年以上ぶりにフィルムで見たが、物凄い量の細かい映像と伝説のグレッグ・トーランドのキャメラワークがすばらしい!

11月22日(木)アメリカ映画「ブラザーサンタ」Fred Claus

 “サンタ・クロースに、ダメな兄がいたら…”という設定のコメディ。兄のフレッドは、借金取り立てのトラブルで警察へ。保証人になる代わりに弟が出した条件は、北極に来て、サンタの仕事を手伝うこと。しぶしぶやって来たフレッドは、次々にトラブルを起こしていく。そして、そこへ能率向上委員がサンタの工場のチェックにやってくる。順調にいっていなければ、操業停止の危機だ。果たして、サンタと兄フレッドは、今年も子供たちにプレゼントを届けることができるのか?主演のビンス・ボーンは、アメリカでは超人気のコメディアンで、この作品も大ヒットになっているそうだが、日本ではどこまでいけるか!仲の悪い兄弟で、スタローンの兄とボールドウィンの弟が出てくるのがおかしい。(ヴィスタ・116分・07年12月1日)

11月20日(火)アメリカ映画「ベオウルフ-呪われし勇者-」Beowulf

 6世紀のデンマーク。国王フロースガールが祝宴をやっていた城に突然現れた怪物グレンデルは、人々を虐殺する。怪物を退治した者には、富と名声を約束するという王のお達しに多くの強者たちが集まるが、ことごとく倒されてしまう。そんなところに海の向こうからやってきたのが勇者ベオウルフだった。何とかグレンデルとの闘いを制し、怪物を追い払うベオウルフ。しかし、グレンデルの母親の怒りが、再び、王国を襲う。古典的な英雄詩が元になっているだけに、かなり大時代的な古臭さを感じるが、すべての場面を3Dデジタルで合成し、映像的な斬新さが、RPGのような疑似体験をさせてくれる。(スコープ・114分・07年12月1日)

11月20日(火)日本映画「北辰斜にさすところ」

 昭和11年、旧制七高に入学した主人公上田勝弥は、先輩・草野正吾から“天才的な馬鹿になれ、馬鹿の天才になれ!”と諭される。それは、勉学に遊びにとことんのめり込み、本当に豊かで思い出に残る学生生活だった。そんな旧制高校の同窓生たちが、七高野球部創立100年を記念して、熊本の人吉で記念試合をやるという案内が、上田のところにも来る。しかし、上田には、戦場での忘れられない辛い出来事があった…。戦争がなければ、死なないでいた同窓生たちもたくさんいただろう。上田が戦後60年、故郷に帰らなかった理由が辛い。今では老人たちの思い出話だ。だが、旧制高校の良き伝統は受け継がれなければならない、と痛感する。“北辰(ほくしん)斜(ななめ)にさすところ”とは、七高の寮歌で、映画を見れば、これを題名にしたことがよく分かる。(ヴィスタ・111分・東京07年12月22日、福岡08年1月19日)

11月19日(月)日本映画「人のセックスを笑うな」Don't laugh at my romance.

 美術学校に通う19歳の青年みるめは、偶然、年上の女性と再会する。そこから、39歳のリトグラフの非常勤講師ユリとみるめの恋はエスカレートしていく。周囲から見ると、不自然な関係なのかもしれない。しかし、好きあった二人に、年の差や体裁は関係ない。タイトルから、激しい“性描写”を想像するかもしれないが、そんなポルノチックな映画ではない。正当派のラブ・ロマンスで、英語のタイトルの“私のロマンスを笑うな”のほうが当たっている。(ヴィスタ・137分・08年1月19日)

11月19日(月)アメリカ映画「ディセンバー・ボーイズ」December Boys

 「ハリー・ポッター」のラドクリフ君が第4作と第5作の撮影の間に多くの脚本の中から自ら選んだ青年への成長物語。孤児院で育った4人の少年たちは、夏休みを小さな海辺の老夫婦の家で過ごすことになる。隣りには、養子を迎えようと考えている若い夫婦がいた。何とか気に入られようとする少年たち。今度こそ、幸せな家庭に入りたいと必死なのだ。ひと夏の体験は、少年たちを大人に成長させる。舞台となるオーストラリアの小さな入り江が美しい。(ヴィスタ・105分・07年12月1日)

11月16日(金)アメリカ映画「ダーウィン・アワード」The Darwin Award

 ダーウィン賞というのは、最も愚かな死に方をした人に贈られるという実在の賞。サンフランシスコ市警のプロファイラー、マイケルは、殺人事件の犯人を取り逃がしたことで辞職。ダーウィン賞の人々がいかに保険会社の多額の損失を与えているかということを証明するために、アメリカ横断の旅に出る。このとぼけたキャラのマイケルを演じるのは、シリアスな役の多いジョセフ・ファインズ。そして、彼と共に旅をする保険調査員がウィノナ・ライダー。さらに、ダーウィン賞の奇妙な人々も、ハリウッドの性格俳優が続々と出て来て、ビックリ!皆んなで楽しみながら作ったというのが、よく分かるユニーク作品だ。(ヴィスタ・95分・東京07年12月1日、福岡08年1月12日)

11月13日(火)日本映画「オレの心は負けてない」

 在日朝鮮人「慰安婦」にさせられた宋神道(ソン・シンド)さんと、彼女の裁判を支える会の運動をテーマにしたドキュメンタリー。辛い過去を語るおばあちゃん。でも、彼女は決して悲観的ではなく、常に明るく元気だ。そんな宋神道おばあちゃんの姿を見ると、こっちも頑張らなきゃ!と逆に励まされた気がする。頑張ろう!(ヴィスタ・95分・07年各地で自主上映)

11月12日(月)アメリカ映画「PEACE BED アメリカ VS ジョン・レノン」The U.S. VS. John Lennon

 ジョン・レノンは、常に平和を訴えていた。しかし、ベトナム戦争に喘ぐニクソン政権は、彼の影響力の大きさに脅威を感じ、FBIに監視させる。元FBI捜査官の証言は驚くべきものだ。さらに、72年の出された国外退去命令の裏には、上院議員や司法長官が深く関与していた。国家がここまで個人を陥れようとして、許されるのか?改めて、ジョン・レノンの歌の意味が理解できた。そして、我々もその意志を引き継がねばならない。(ヴィスタ・99分・07年12月8日)

11月9日(金)韓国映画「カンナさん大成功です!」美女はつらいの/200 Pounds Beauty

 鈴木由美子の原作コミックは、韓国でも30万部を越えるミリオンセラーということで、昨年12月に公開され、662万人の大ヒット。95Lの巨体で、人気歌手の舞台の裏で、吹き替え“ゴースト歌手”をしてるカンナ。しかし、想いを寄せるプロデューサー、サンジュンの本音を聞いてしまった彼女は、絶望し、自殺しようとするが、そこで思わぬ邪魔が入り、全身整形をすることに。48Lのスレンダーボディに生まれ変わったカンナは、ジェニーという偽名を使って、サンジュンの元へ。ちょっとアブナイギャグもあるが、あまり深刻に議論するのではなく、軽く笑えるラブコメというところだろう。(スコープ・116分・07年12月15日)

11月8日(木)日本映画「椿三十郎」Sanjuro

 黒澤明監督の名作を脚本はそのままでリメイク。大目付たちの汚職を暴こうとする9人の若侍たちの純粋さを感じた素浪人・三十郎は、彼らと共に行動を始める。しかし、大目付サイドにも、剣術に長けた室戸半部衛がいた。三十郎と若侍たちは、捕らえられていた城代家老の奥方と娘を救うが、家老の居場所は分からない。殺陣のシーンでは、鈍い音や疲労感が強調され、リアルさへのこだわりがよく伝わってくる。さらに、有名なラストシーンも、黒澤版とは違うオリジナリティーにチャレンジしている。(スコープ・119分・07年12月1日)

11月7日(水)日本映画「スマイル〜聖夜の奇跡〜」SMILE

 東京でタップダンサーへの夢を絶たれた修平は北海道に帰って来る。そして、結婚の許しを得に行った恋人・静華の家で、少年アイスホッケー・チームの監督に決まる。試合に勝つことが、条件なのだ。そこから、全くの素人である修平のちょっと変わったチャレンジが始まる。陣内孝則の監督第2作で、泣ける話ではあるが、“なぜ、陣内孝則がこの題材を映画化するのか?”という素朴な疑問は残る。(ヴィスタ・125分・07年12月15日)

11月6日(火)アメリカ映画「テラビシアにかける橋」Bridge to Terabithia

 貧しい家庭のため、クラスメートからいじめられるのを仕方ないことのように思っている小学5年のジェス。しかし、転校してきた少女レスリーとの出会いは、彼の気持ちを徐々に変化させていく。二人は、小川を渡った森に、“テラビシア”という架空の王国を作り、小さな冒険を始める。有名な原作だそうだが、単なるファンタジーだけではなく、いじめや貧困などの現実的な要素が適所に取り込まれていて、学校の教材としてもぴったりな内容だ。「リーピング」では、イナゴ少女だったアナソフィア・ロブが、何ごとにもアクティブに生きる少女を屈託なく好演。新作も続々待機中で、これからが楽しみだ。(ヴィスタ・95分・08年1月26日)

11月5日(月)アメリカ映画「再会の街で」Reign Over Me

 歯科医のアランは、ある日街で、大学時代のルームメイト、チャーリーと出会う。彼は、5年前の9月11日、妻と3人の娘を失った悲しみから、過去を忘れ去り、自由きままな世界に住んでいた。何とかチャーリーを社会復帰させようと努力するアラン。そして、その行動がアラン自身の問題をも巻き込んでいく。お互いに、“何か”を喪失している二人の友情の物語は、“何か”を無くしている現代人すべてに共通するテーマだ。スプリングスティーンやザ・フーなどの70年代、80年代のロックが効果的に使われている。(スコープ・124分・08年1月 日)

11月2日(金)オーストラリアの先住民・アボリジニの人々についてのドキュメンタリー映画「カニニ」Kanyini 上映を記念して、アクロス福岡で、ワークショップ“思いを映像に変える”。メラニー・ホーガン監督の思いが1本の映画を造った。最後には、アンクル・ボブがアボリジニの歌を披露し、娘が伝統的なダンスを踊ってくれて、有意義な時間を共有できた。

11月2日(金)フランス映画「ペルセポリス」Persepolis

 イランの少女マルジが9歳の時に、イスラム革命が起きる。しかし、大規模な粛清で反政府主義者の処刑が続き、弱体化したところに隣国イラクが攻撃を始める。そんな揺れ動く国家体制の中で、マルジの考えは、自由奔放。危険を感じた両親は、マルジをウィーンに留学させる。イラン出身のマルジャン・サトラピの自伝的グラフィック・ノベルを自らの手で映画化。モノクロのアニメだが、描かれる内容は、かなり深刻。だが、アニメにしたことによって、イランという特殊な国のテーマを、普遍的なものに変化させることに成功している。監督がパリを拠点に活躍していることからフランス語の映画になり、ドヌーブを始めとする豪華ボイス・キャストを実現することが出来た。(ヴィスタ・95分・08年1月12日)

11月1日(木)アメリカ映画「その名にちなんで」The Namesake

 インドで見合い結婚をしたアシマは、夫アショケと共にニューヨークへ。まもなく生まれてきた長男に、“ゴーゴリ”と名付けるアショケ。成長したゴーゴリは、自分の名前や両親、そして故郷であるインドにギャップを感じていく。これまでにもさまざまなカルチャー・ギャップをテーマにしてきたミーラー・ナーイル監督がピュリツァー賞作家のベストセラーを映画化したものだが、今回は、家族の中でも特に、父と息子の絆に重心が置かれている。(ヴィスタ・122分・07年12月22日)

10月30日(火)朝日カルチャーセンターで、“韓流ドラマ・映画/秋の最新情報”と題した特別講座。

10月29日(月)九州大学芸術工学大学院で、“プサン国際映画祭”についての講演。今年の映画祭に参加した学生10名の研究レポートの発表も聞く。

10月25日(木)日本映画「マリと子犬の物語」A tale of Mari and three puppies

 2004年10月23日、新潟県の山古志村を襲った大地震。押しつぶされた家の下敷きになったおじいさんと孫娘・彩の命を救ったのは、愛犬マリだった。しかし、救助に来た自衛隊のヘリには、ペットを乗せることはできなかった。ヘリを追い掛けて走るマリ。彩ちゃんの泣叫ぶ声が響きわたる。もう、これだけ書いているだけでも、その場面が脳裏をよぎって、目頭が熱くなる。動物ものは、すぐ感情移入してしまうのだ。(ヴィスタ・124分・07年12月8日)

10月24日(水)日本映画「ロボ☆ロック」ROBO☆ROCK

 便利屋のマサルは、ある日、ニラサワというオタクから奇妙な依頼を受ける。それは、ランドツェッペリンという巨大ロボットを起動させるために、マサルの声が欲しいという突飛なものだった。「ブレイブストーリー」など多くのデジタルアニメを製作しているGONZO初の実写映画。だが、ロボットは、「鉄人28号」や「アイアン・ジャイアント」などの昔からのレトロな味を持った造形で、いかにも“プロのオタク”といった凝った映像で表現される。大人の造った“贅沢なオモチャ”といった感じだ。(ヴィスタ・92分・07年12月1日)

10月23日(火)アメリカ映画「ウェイトレス〜おいしい人生のつくりかた」Waitress

 田舎の小さなダイナーで働く3人のウェイトレス。中でも、パイ造りの名人ジェンナは、パイはうまく造れるが、ダメ亭主のせいで、人生は失敗続き。そんなジェンナが予想外の妊娠をしてしまったことで、同僚たちと計画していた家出もダメに。果たして、ジェンナは、子供を生むことができるのか、それとも!?いかにもアメリカの田舎町を舞台に繰り広げられる往年のTVホームドラマ的コメディだが、彼女たちの悩みは深刻でリアルだ。この作品が遺作となってしまったエイドリアン・シェリー監督の実体験に基づいたシナリオが実によくできている。(ヴィスタ・108分・08年1月5日)

10月22日(月)デンマーク映画「アフター・ウェディング」Efter Brylluppet (After the Wedding)

 インドで孤児たちの支援活動を行っているデンマーク人ヤコブとところに、デンマーク人実業家から多額の寄付の申し出がある。だが、直接、出向いて行くというのが条件だ。いやいやながら、久しぶりに故郷に帰るヤコブ。果たして、実業家ヨルゲンの思惑とは、いったい何なのか?「象の背中」の役所広司は、息子に病気を知らせるが、ヨルゲンの場合は、…。人間、直面すると、どう対処していいのか、理屈では理解できない行動というのがあるのだろう。「しあわせな孤独」のスサンネ・ビア監督、ただものではない才能だ。同時期に公開される前作「ある愛の風景」も早く見たい!(ヴィスタ・119分・07年11月24日)

10月19日(金)日本映画「ALWAYS 続・三丁目の夕日」ALWAYS

 多くの映画賞を独占した前作から4ヶ月後の昭和34年。完成した東京タワーを望む夕日町三丁目では、相変わらずの温かい日々がおくられていた。川渕が再び、淳之介を引き取りにやってくるが、茶川は、拒否。だが、川渕は“淳之介が人並みの暮らしをしていないと分ったら、その時は、連れて帰ります”と言い残して帰ってしまう。作家として成功するためには、芥川賞しかない。茶川は一念発起して、新作に取りかかるが、…。今回、VFXで再現されたのは、かつての日本橋や羽田空港など。合成技術の進歩には目を見張るばかりだ。(スコープ・146分・07年11月3日)

10月16日(火)アメリカ映画「マリア」The Nativity Story

 これまであまり語られることのなかったキリストの毋マリアと夫ヨセフの秘話。ヨセフと結婚したマリアだったが、しきたりによって、一年間は子づくりは禁止。ところが、森の中で天使ガブリエルに出会い、“神の子”を身ごもる。マリアの言葉をすぐに信じられないヨセフだったが、夢の中に現れた天使の御告げを聞く。“救世主”を見つけだそうやっきになるヘロデ王の人口調査に追われるように、ナザレからベツレヘムまでの苛酷な旅が始まる。“神の子”のために懸命に生きるマリアを力強く演じているのは、「クジラの島の少女」でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされたケイシャ・キャッスル=ヒューズ。これまで、どちらかと言えば、弱々しいイメージだったマリアの人間性の強さが印象的だ。(スコープ・100分・07年12月1日)

10月11日(木)韓国映画「ノートに眠った願いごと」秋へ/Traces of Love

 去年のプサンで見ているが、今年のプサンで、ユ・ジテとキム・ジスに会ったので、もう一度、見る。一週間後に結婚を控えたヒョヌとミンジュは、一緒に家具を選びに行くことに。しかし、仕事が終わらないので、ヒョヌはミンジュに“デパートで待っていて”と伝える。ところが、ヒョヌがデパートに向った瞬間に、…。10年後、ヒョヌは、ミンジュの父から、彼女が残したノートを受取る。そして、そのノートに記されたとおりのコースを旅する。そして、一人の女性に出会う。韓国では、1995年のあのデパート崩落事故を強く記憶している人が多い。去年の第20回福岡アジア映画祭で上映した「愛を逃す」の主人公の両親も、あの事故で亡くなったという設定だった。それにしても、何度見ても悲しい話だ。(スコープ・108分・07年11月17日)

10月10日(水)今週から、九州大学での講議「映画を通してみるアジアと日本」が始まる。

10月9日(火)プサン国際映画祭から帰国。今年は、俳優の参加が多く、パク・チュンフン、ユ・ジテ、カン・スヨン、キム・ジス、ダニエル・ヘニー、パク・サンミョン、オ・グァンノク、イ・スヨン、ミョン・ゲナムなどに会えたし、監督やプロデューサーたちともいろいろ話すことが出来て、本当に有意義な映画祭だった。

10月4日より9日まで、第12回プサン国際映画祭に出席します。

10月2日(火)アメリカ映画「モーテル」Vacancy

 離婚を決めた男女の最後のドライブでも、二人は口論を続ける。しかし、車の故障で、仕方なく、寂れたモーテルに泊まることになる。かなり、異様な雰囲気のモーテルだ。部屋にあるTVは、どの局も映らない。散在するビデオテープを入れると、そこには、泣き叫ぶ男女の殺害シーンが。スナッフビデオだ。しかし、よく見ると、そのビデオが撮られたのは、そのモーテルのその部屋だった。最近は残酷描写やCG合成のホラー映画が流行なのだが、この作品は、そういった特殊撮影に頼らない正当派のスリラー。「サイコ」へのオマージュが著しいが、オチはない。(スコープ・85分・07年11月17日)

10月1日(月)アメリカ映画「バイオハザードIII」Resident Evil: Extinction

 前作から数年、T-ウィルスは、世界中に感染し、アンデッドによって地上は砂漠と変わり果てていた。クレア率いる新たな生存者グループと出会ったカルロスは、砂漠にあるモーテルに辿り着く。ところが、そこも安全な場所ではなかった。そして、生き延びたアリスの血液によって、スーパー・アンデッドを作り出そうと企むアンブレラ社のアイザックス博士は、監視衛星でアリスの居場所を突き止める。生存者グループを助けるために、アンデッドたちと死闘を繰り広げるアリス。そして、ついに、彼女の正体である“アリス計画”の実態が明らかになっていく。砂漠の中での撮影は大変だったそうだが、その分スケールの大きなアクション・シーンに仕上がっている。ファイナルと言っているが、まだまだ続きそうだ。(スコープ・94分・07年11月3日)

9月26日(水)アメリカ映画「ブレイブ ワン」The Brave One

 挙式を間近に控えたエリカとデイビッドだったが、ある日、犬の散歩に行った公園で3人組の暴漢に襲われる。意識不明のエリカが病院で目を覚ましたのは、3週間後だった。そして、知らされるデイビッドの死。警察の捜査は一向に進展しない。エリカは恐怖のあまり外出も出来ない。そんな彼女が手にしたのが拳銃だった。殺人は犯罪だ。しかし、きれいごとでは済まない事件もある。何もしていない人たちを突然襲って傷つける人間がいる。そんな事件が多すぎる。(スコープ・122分・07年10月27日)

9月26日(水)日本映画「象の背中」

 不動産会社の部長・藤山は、ある日、医者に肺がんと告知される。あと半年の命と宣告されるが、延命治療はしないと宣言する。残りの人生を有意義に“生きたい”と決めたのだ。彼は、その事実を息子にだけ告げ、これまでの人生の中で、別れを告げなければならない人々に会いに行く。そこには、藤山の大切な思い出があり、思わぬ和解があった。人間、いつかは死ぬ。その前に、しておかなければならないことがある、ということを痛感した。(ヴィスタ・124分・07年10月27日)

9月19日(水)日本映画「クローズZERO」Crows Zero

 ケンカ三昧の悪ガキたちのたまり場・鈴蘭男子校に、謎の転校生・滝谷源治がやってくる。学校の頂点(テッペン)を極めたい源治は、早速、最大勢力である芹沢軍団に戦いを挑む。そして、数でかなわないと知った源治は、新勢力GPSを旗揚げし、兵隊を集め始める。二つの勢力の“仁義なき戦い”の幕は切って落とされた!最近の少年コミックは、ケンカのシーンでも描写が劇画風だ。かつての「ビー・バップ・ハイスクール」とは、かなり違って、韓国のギャング映画のようだ。三池崇史監督だが、あまり汚くないのは、アイドル青少年たちが主人公だからだろう。(ヴィスタ・130分・07年10月27日)

9月18日(火)日本映画「未来予想図〜ア・イ・シ・テ・ルのサイン〜」

 大学のキャンパスで撮影していた自主映画をきっかけに恋人になったさやかと慶太。しかし、慶太があこがれるスペイン転勤の話を聞いたさやかは、慶太に別れを告げる。そして、5年後、憧れの雑誌編集に携わっていたさやかだったが、“大切な想いは、伝えなければ叶わない”という強い気持ちで、慶太にいるスペインへ。ドリカムのヒット曲から生まれたコテコテのラブ・ストーリー。曲が2曲も全編かかると、PVのノリだ。(ヴィスタ・115分・07年10月6日)

9月14日(金)アメリカ映画「インベージョン」The Invasion

 1956年「SF/ボディ・スナッチャー」の2度目のリメイク。宇宙から侵入してきたウィルスが次々と周囲の人間をゾンビのような人間に変えてしまう。息子の細胞がウィルスの阻止につながると知った精神科医キャロルは、息子を守るために、闘う。ニコール・キッドマンが強い母親を熱演。(ヴィスタ・99分・07年10月20日)

9月13日(木)アメリカ映画「グッド・シェパード」The Good Shepherd

 ジョン・フランケンハイマーが亡くなったため、出演を予定していたロバート・デ・ニーロ自ら製作・監督したCIA誕生秘話。1961年、カストロ政権の転覆を目論んだピッグス湾侵攻作戦が失敗する。原因は、CIA内部からの機密の漏えいだった。3日後、作戦の指揮をとったエドワードのところへ、1本のテープと写真が送られてくる。東西冷戦時代に創設されたCIAの誕生のいきさつ、そして情報戦の裏側が時間をかけて丁寧に描写されていく。「オーシャンズ」シリーズでは、“若造”のマット・デイモンだが、顔に表情を出さないプロのスパイを淡々と演じ、堂々の主役だ。果たして、彼は、良い羊飼い(グッド・シェパード)だったのだろうか?(スコープ・167分・07年10月20日)

9月11日(火)ドイツ映画「4分間のピアニスト」Vier Minuten

 ピアノ教師として刑務所を訪れたクリューガーは、机を鍵盤代わりに指を動かす少女ジェニーを見つける。彼女の類い稀なる才能に気付いたクリューガーは、特別レッスンを始める。しかし、殺人の罪で投獄され、生きる希望を失ってしまっていたジェニーは、すべての人間に牙をむき、看守を半殺しにしてしまう。それでも、何とかピアノを弾かせようとするクリューガー。そして、ジェニーの心も次第に開かれていく。実在のピアノ教師の写真にインスパイアされた物語だが、辛い過去を持った二人の女性の再生に心を揺さぶられる。オーディションで見い出されたジェニー役の新人ハンナー・ヘルツシェプルングの粗暴さがリアルだ。(ヴィスタ・115分・07年12月)

9月10日(月)イギリス映画「ヴィーナス」Venus

 ピーター・オトゥールが今年のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされたイギリス映画。かつてはプレイボーイではやした俳優モーリスも、70歳を過ぎ、身体も次第にいうことを聞かなくなっていた。そんなモーリスの唯一の親友イアンのところに、姪のジェシーがやってくる。下品で不作法な今どきのティーンエイジャーの行動で、最悪の事態に陥るイアンだったが、モーリスは、ジェシーの“生の煌めき”に惹かれる。そして彼のアプローチが始まる。年老いたからと言って諦めずに若い女性を追い掛けるピーター・オトゥール。この人だったら、あり、という感じで、陰湿でないところが、いいのか、な!?(ヴィスタ・95分・07年11月)

9月4日(火)アメリカ映画「キングダム/見えざる敵」The Kingdom

 実際にサウジで起きた爆弾テロをモデルに、その事件を4人のFBI捜査官が、犯人たちを追い詰めていくという娯楽アクションだ。だが、かなりシリアスで重厚な内容がぎっしり詰まった一級の社会派作品に仕上がっている。これまでのハリウッド映画のように主人公たちアメリカ人側からの視点ばかりでなく、サウジ警察やアラブの人々に関してもリアルに描き出している。また、ただ単にアラブのテロリストを極悪非道の犯人にするのではなく、彼らがなぜ、テロに走るのか、という疑問にも答えてくれる。そして、さらに、アメリカが湾岸、アフガニスタン、イラクなどで起こしている戦争の裏に隠されているものも垣間見せてくれる。そういった意味では、この作品は、大いに勉強になる。新たなる石油危機の中、アメリカが中東でやっていることは、日本にも飛び火してくる可能性大だ。だから、今こそ、中東のことを真剣に議論する時だ。(スコープ・110分・07年10月13日)

8月30日(木)日本映画「クローズド・ノート」Closed Note

 引っ越してきたアパートの部屋に残された1冊のノート。それは、その部屋の前の住人・伊吹先生の日記だった。その日記を読み進むうちに、大学生の香恵は、自分自身の恋を始めていく。残された日記の中の人物を自分と同化させていくという設定は、小説では割によくある。だが、それを実際に映像化するのは、大変なことだ。それをうまく、観客を騙しながら、展開していくスマートな演出だ。だが、もう少し短い時間にまとめてほしい。行定監督作品は、少々くどい。(スコープ・138分・07年9月29日)

8月28日(火)アメリカ映画「大統領暗殺」Death of the President

 ブッシュ大統領が暗殺される!というショッキングな内容のドラマ・ドキュメンタリー。ブッシュやチェイニーなど本物の姿がニュース映像で巧みに編集される。だから、どこからどこまでが真実で、どこが“演出されたドラマ”なのか区別がつかない。だが、なぜ、ブッシュが殺されなければならなかったのか、という動機は次第に明らかになっていく。これは、ブラック・ユーモアの域を越えた、新しいジャンルだと言えるだろう。(ヴィスタ・93分・07年10月6日)

8月27日(月)アメリカ映画「リトル・レッド レシピ泥棒は誰だ!?」Hoodwinked

 「赤ずきん」をベースにしたCGアニメだが、大幅にストーリーを改編し、かなり大人向き。おばあちゃんの家を訪れた赤ずきん少女レッドは、おばあちゃんに変装したオオカミに襲われる。が、その時、ぐるぐる巻きに縛られたおばあちゃんが飛び出してきて、さらに、オノを持ったきこりが飛び込んでくる。駆け付けた警察は、この事件が、森で起こっている“レシピ泥棒”と関係があると睨んで、関係者への事情聴取を始める。出だしこそ、「赤ずきん」だが、後は、犯人探しのサスペンス・アクション。さまざまな映画のパロディのオン・パレードで、マニアには楽しさ倍増かな!?(ヴィスタ・81分・07年10月6日)

8月24日(金)アメリカ映画「プラネット・テラー in グラインドハウス」Planet Terror

 「デス・プルーフ」と対のグラインドハウス映画。ゴーゴーダンサーに見切りをつけたチェリーがテキサスの故郷に帰って来て、2週間前に別れた恋人と再会。その頃、軍の研究所で、事件が起こり、恐怖の生物化学兵器の毒ガスがバラまかれてしまう。そして、町中が、この細菌に感染したゾンビのような人々でいっぱいになってしまう。果たして、生き残った人々に救いの道はあるのか?本当に久しぶりのゾンビ映画で、そのグロテスクさは徹底した気持ち悪さ。でも、切断した足にマシンガンをつけて、ぶっぱなす美女というのは、画になる!派手なアクションも本格的で、エンターテインメントに徹したロドリゲス演出に、理屈なんかいらない。(ヴィスタ・105分・07年9月22日)

8月23日(木)アメリカ映画「ヘアスプレー」Hairspray

 ダンスの得意な女子高生トレーシーの夢は、人気テレビ番組「コーニー・コリンズ・ショー」に出て踊ること。でも、彼女には、問題があった。それは、太っていること。でも、そんなことはお構い無しに、オーディションに参加してしまうトレーシー。しかし、すんなりと出演は出来ない。そして、さらなるトラブルが彼女の前に立ち塞がることになる。2年先までチケットが予約されているという大ヒット・ブロードウェイミュージカルの映画化だが、その元は、1987年のジョン・ウォーターズのカルトムービー。1960年代のファッションやダンスが、今見ると、なかなかポップだ。ジョン・トラボルタの特殊メイク“女装”は、そんなに気持ち悪くはない。妖艶な色気が売りだったミシェル・ファイファーの“クルエラ”ぶりも堂に入ったもの。(スコープ・117分・07年10月20日)

8月21日(火)日本映画「HERO」HERO

 久利生(くりゅう)検事が映画で帰ってきた。6年ぶりに東京に帰ってきた久利生は、ある過失致死刑事事件の裁判を任される。容疑者は犯行を全面的に認めていて、簡単に終わると思われた裁判だったが、そこに、大物弁護士・蒲生が現れたことから、事態は思わぬ方向に大きくなってゆく。そして、なんとか犯行を実証するために、証拠探しの日々が始まる。テレビシリーズから6年経っているが、去年スペシャルが放送され、30%を維持しているところから、大ヒットすることに自信を持った“テレビ的王道”の演出。さらに、韓流ブームにもあやかりたいので、プサンにロケし、イ・ビョンホンも特別出演。プサン映画祭での上映も決まりかな?因に、チョングッチャンとは、韓国の納豆のことで、劇中に出てくるのは、この納豆を入れて煮込んだ鍋。日本で流行るかな!?(スコープ・130分・07年9月8日)

8月21日(火)アメリカ・ノルウェー合作「酔いどれ詩人になるまえに」Factotum

 ショーン・ペンやU2のボノなど多くのアーティストたちからリスペクトされるカルト作家チャールズ・ブコウスキーが作家になる前の飲んだくれの日々を、マット・ディロンが“自然体”の演技で、好演。詩や小説を出版者に送り続けている自称詩人のチナスキーだが、仕事は何をやっても続かず、毎日、酒浸りの日々。バーで知り合ったジャンも同じようなアル中で、酒とセックスばかりのどうしようもない生活が続く。とにかく、だらだらと酒を飲み続け、やる気の全くない男の話で、よくこんなことをやりながら生きていけるものだ、と呆れるばかりだが、そんな生活だからこそ、傑作が生まれたんだろう。(ヴィスタ・94分・東京07年8月、福岡9月15日)

8月20日(月)日本映画「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」Sukiyaki Western Django

 壇ノ浦の戦いから数百年後のある山間の村、義経率いる源氏ギャングと清盛率いる平家ギャングが激しく対立していた。そこにやってくる凄腕のガンマン。たちまち、二つのギャング団の用心棒争奪戦が始まる。黒澤明監督「用心棒」、そして、イタリアの「荒野の用心棒」をベースにしたストーリーに、マカロニ・ウエスタンらしい何でもありのアクションがテンコ盛り。それぞれ、自分の世界に酔っている個性派俳優ばかりで、ノセながらの演出が、し易かったかも。それにしても、いつものことだが、三池崇史は、汚好き。1966年の「続・荒野の用心棒」の主題歌を演歌調に歌い上げる北島三郎は、さすが!(スコープ・120分・07年9月15日)

8月20日(月)日本映画「釣りバカ日誌18 ハマちゃんスーさん瀬戸の約束」

 1988年に始まったシリーズは、今年20年目で、2本のスペシャルを入れて通算20作目。社長の座を退いて、会長になったスーさんが失踪。鯉太郎への電話から、スーさんが岡山にいるという手がかりを得たハマちゃんは、急きょ岡山へ。そこで、瀬戸内のリゾート開発をめぐる反対運動に巻き込まれていく。これまでにもよくあったストーリー展開で新しさは、あまり感じられないが、「寅さん」もそうだったし、観客に安心して見続けてもらうためには、同じようなパターンもあり、なのかも!?(スコープ・114分・07年9月8日)

8月8日(水)アメリカ映画「シッコ」SiCKO

 世界の37位という健康保険制度に大問題を抱えるアメリカのすさまじい実態。2本の指を切断して病院に行っても、手術費用が高くて、1本しか付けてもらえなかったという男性。救急車で運んだ娘を病院が保険会社の系列じゃあないから系列の病院に行って、亡くしてしまった母親。アメリカの保険制度の裏には、巨大な営利企業が巣食っていて、それが政府にまで影響を及ぼしている。アメリカという国は、本当に大きく間違っている!マイケル・ムーアの新作で、お得意の突撃取材もいろいろ出てくるが、極めてうまくまとめていて、これまでの中では、一番分かりやすい。アメリカのような営利企業による医療制度改革を計画している日本政府を絶対に止めなければならない!(ヴィスタ・123分・07年8月25日)

8月6日(月)アメリカ映画「デス・プルーフ in グラインドハウス」Quentin Tarantino's Death Proof

1960年代から70年代にかけて、アメリカの大都市周辺にあった映画館グラインドハウスでは、刺激的なインディーズ映画の2、3本立てを上映していた。そんな雰囲気をもう一度と思うタランティーノとロドリゲス監督によって、再現されるグラインドハウス映画第一弾。ラジオ局の人気DJジュリアと親友の3人は、バーをハシゴしながら、飲み騒ぐ。そんな彼女たちを密かにつけまわしていたのが、スタントマン・マイクだった。言葉巧みに彼女たちに近付いていくマイク。そして、惨劇は起こる。さらに、2組目の女性たちもターゲットに、…。モデル出身でスタイル抜群のバッドガールズたち、そしてカルト作品「バニシング・ポイント」を崇拝するカート・ラッセルの怪演。タランティーノ監督、“何でもあり”のお約束で、やりたい放題のB級作品を作っちゃいました。ロドリゲス監督の第2弾は、9月22日公開。(スコープ・113分・07年9月1日)

7月31日(火)アメリカ映画「幸せのレシピ」No Reservations

 ニューヨークの人気フレンチ・レストランのシェフ、ケイトは、助手たちを怒鳴りまくる厨房のボス。時には、クレームをつける客と喧嘩もする。もう、ずいぶん恋もしていない。そんな彼女が、姉の娘ゾーイの面倒をみることになってしまう。さらに、出産間近のスー・シェフの代わりとして入ってきたニックという男のやり方が気に食わない。ことごとくぶつかり合う二人だったが、ケイトとの関係も手伝って、次第に変わっていく。2001年のドイツ映画「マーサの幸せレシピ」のハリウッド・リメイク。最近アクションが多かったキャサリン・ゼタ・ジョーンズ久しぶりのラブ・コメ。「リトル・ミス・サンシャイン」でアカデミー賞にノミネートされた子役アビゲイル・ブレスリンがうまい。(スコープ・104分・07年9月29日)

7月30日(月)日本・中国合作「夜の上海」the Longest Night in Shanghai

 音楽祭の仕事で、上海にやってきたカリスマヘアメイクアーティストの水島は、仕事の後、散歩しているうちに道に迷ってしまう。そして、偶然出会ったタクシードライバーのリンシーとの長い夜が始まる。見知らぬ都市で出会った言葉も通じない男女が次第に心を通わせていくという典型的なラブストーリーだが、ところどころに妙なギャグが入るのは、中国人監督の個性なのか? 竹中直人がなぜ、出てくるのか? せっかくユニークな設定なのに、竹中が出てくると、ほかの作品と同じになってしまう。(ヴィスタ・110分・07年9月22日)

7月27日(金)日本映画「Life 天国で君に逢えたら」Life

 8年間ワールドカップに出場し続けた世界的プロウィンドサーファー、飯島夏樹の半生。1991年、夏樹と寛子は、世界中を回りながら、レースに挑戦していた。しかし、なかなか勝つことができず、寝る場所にも苦労する貧乏生活だった。そして、このレースで勝てなければ、もう辞めようと決意したワールドカップ・オーストラリア大会で、見事優勝。やっと結婚式もあげ、4人の子供も生まれ、幸せな生活が始まる。しかし、数年後、夏樹は、スランプに陥り、さらに、ガンを告知される。残された数カ月で、何をできるのか?夏樹と寛子の葛藤が心に刺さる。実際に、死を前にして、笑って楽しく暮らしていたという飯島夏樹のドキュメンタリーを偶然、見ていたという大沢たかおの演技は、確かに明るい。涙が溢れてくるが、暗い話じゃない。(ヴィスタ・118分・07年8月25日)

7月24日(火)アメリカ映画「ファンタスティック・フォー:銀河の危機」Fantastic Four: Rise of the Silver Surfer

 銀河の彼方から、ひとつの星を破壊したエネルギーが、閃光となって、地球に現れる。それは、駿河湾を凍結させ、ロスを大停電に落としいれる。その実体は、銀のサーフボードに乗った“シルバーサーファー”。 彼の身体は、分子構造を変えて、超光速で物体をすり抜けられる驚異のエネルギー体だ。新たなる敵の出現に、F4たちの死闘が開始される。シリーズ第2作で、F4たちが町中の人気セレブになっているというところが、いかにもアメコミ的。シルバーサーファーは、なかなかユニークなキャラなので、スピンオフもありかも。(スコープ・92分・07年9月)

7月23日(月)日本映画「サッド ヴァケイション」Sad Vacation

 1996年のデビュー作「Helpless」の続編として脚本家されていたものに、7年前の「EUREKA ユリイカ」の梢のキャラクターを加えて、北九州サーガの3部目とした。密航の手伝いをする健次は、ある日、父親を亡くしてしまった中国人の少年アチュンを家に連れ帰る。その後、代行運転の仕事に移った健次が、ある日、送っていった先が、間宮運送だった。健次は、そこで、5歳の時に家を出ていった母に出会う。さらに、そこには、かつてのバスジャック事件の生き残りである梢も働いていた。奇妙な糸で繋がっていく人々。彼らの生きざまの行き着くところは、どこなのか?健次の物語は、まだまだ続きそうだ。久しぶりの、“ぼそぼそ”と囁くようなセリフのオンパレードで、特に浅野忠信のセリフは、しっかり聞いていないと、全く聞き取れない!青山監督のこだわりには逆らえない。(ヴィスタ・136分・07年9月15日)

7月18日(水)アメリカ映画「ストンプ・ザ・ヤード」Stomp the Yard

 今年はダンス映画ブームなのか?今作のダンスは、足を力強く打ち鳴らすストンプというステッピング。まるで、オーストラリアのアボリジニのダンスのようなグループ・ダンスだ。ロスのクラブでダンス・バトルに興じていた青年DJは、最愛の兄を失い、アトランタの叔父のところへ。叔父の仕事を手伝いながら、兄の夢だった大学に通い始める。そして、そこで出会ったエイプリルという女子大生に一目惚れし、再びダンスの世界へ。だが、そこは彼が得意だったピップホップではなく、ストンプというグループ・ダンスによるバトルだった。かなり力強いダンスで、見ている側にも力が入いる。(スコープ・114分・07年10月)

7月17日(火)日本映画「伝染歌」Densen-uta

 秋元康がケータイ(「着信アリ」)に続いて、都市伝説のアイテムにしたのは、カラオケ=歌。教室で突然自殺する女子高生。彼女は、何か“歌”を口ずさんでいた。この事件に、“伝染歌”の存在を知った風俗雑誌「月刊MASAKA」の編集をやっている陸たちは女子高生たちの取材を始める。はたして、その歌「僕の花」を歌った者は、本当に死ぬのか? 陸や太一たちは、女子高生たちと共に、その歌を歌う。テーマは、なかなか面白いし、松田龍平や伊勢谷友介などキャスティングも豪華なのだが、本格ホラーなのか、「TRICK」のようなライトコメディなのか、全体を貫くテーマが弱い。マーケティングしたウケる要素を詰め込み過ぎ。秋元康の思惑としては、AKB48の映画初主演ということで、大島優子と秋元才加を抜擢してもらって、大喜びというところか。(ヴィスタ・124分・東京07年8月18日、福岡8月25日)

7月12日(木)日本映画「ピアノの森」

 一色まことの人気コミックのアニメ映画化。ピアニストを目指す小学5年生の雨宮修平は、お祖母さんの病気で、田舎の学校に転校してくる。このエリート転校生の声をやっているのが、天才子役・神木龍之介。「遠くの空に消えた」と同じ設定だ。“またか”と思って見ていたら、自由奔放に生きる野生児・一ノ瀬海(かい)という同級生が出てくる。彼は、森の中にあるピアノが弾けるというのだ。放課後、森に入った二人は、ピアノを見つける。修平が弾いてみるが、音が出ない。ところが、海が弾くと、見事な音が奏でられたのだ。なぜ、海には音が出せるのか?一度もピアノを習ったことがない海の弾き方は、全くの我流だったが、なぜか不思議な力を持っていた。神木くんが主人公だとばかり思っていたが、こっちが主役。声は、上戸彩。長篇の導入部といった感じなので、続編ができそうだ。(ヴィスタ・100分・07年7月21日)

7月12日(木)アメリカ映画「トランスフォーマー」Transformers

 宇宙からやってきた謎の金属生命体。彼らは、パソコンなどのデータをハッキングし、あらゆるテクノロジー器機に姿を変えることができる。ジェット機の姿で、カタールの米軍基地を壊滅させた怪物生命体。そして、ある地方都市に住む16歳の少年サムの前に現れた車も、金属生命体なのか? 彼らの狙いは、人類を滅亡させることなのか? 瞬時に姿を変えるロボット(オートボット)というアイデアは、映画的には、すごく面白いが、それを実際に映像化するのには、想像を絶する技術が必要だ。そして、そのハイテク映像と、マイケル・ベイ監督お得意の派手なアクションがミックスされる。これは、ハリウッド超大作の王道。(スコープ・144分・07年8月4日)

7月8日(日)第21回福岡アジア映画祭2007、大成功のうちに終了!福岡グランプリ2007は、韓国映画「アイスケーキ」に決定!ヨ・イングァン監督は、賞状とトロフィーをもらって、大感激!でした。

7月6日(金)からは、第21回福岡アジア映画祭2007・後半のスタート。韓国の監督たちも来ますし、東京から福岡出身の女優・片山瞳さん、御法川修監督もゲスト参加予定です。

7月3日(火)アメリカ映画「オーシャンズ13」Oceans 13

 長老ルーベンが、巨大なホテル建設のパートナーとして組んでいたバンクから裏切られ、心筋梗塞で倒れてしまう。ダニーの呼び掛けで、ラスベガスのルーベンのところに集まった“オーシャンズ”のメンバーたち。彼らの“リベンジ”の相手は、もちろんバンク。彼がルーベンから奪い取った巨大ホテルにさまざまな罠を仕掛けるメンバー。彼らの狙いは、大金の強奪だけではない。仲間の借りを返すために、バンクのすべてを奪いに立ち上がったのだ。シリーズも3本目になってくると、かなり手慣れた演出で、遊びの部分が結構多い。日本映画全盛時代の東映オールスター時代劇のようなシリーズだ。大物アル・パチーノも、今人気ナンバーワンのジョージ・クルーニーたちと共演すれば、悪代官の役なんだ。(スコープ・122分・07年8月4日)

6月29日(金)いよいよ第21回福岡アジア映画祭2007のスタート。前半は、アート・ノムラ監督、クリストフ・ルッギ監督、阿曽多寿子監督、川口鉄也監督をゲストに迎えて、ドキュメンタリーやショート・フィルム中心の上映です。