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アンにも苦労をした過去があったのです;
アンは1992年の5月に我が家の一員になりました。
生まれは1991年11月ですから、生後6ヶ月
というかなり成長してからの新天地でした。
アンの名前は血統書にあった
Angoraの頭をそのままとりました。
赤毛のアンという女の子もいるから
いいでないの.......。
事件はアンが我が家に来て3週間ほどたった
ある日曜日の午後に起きました。
家から1km足らずの「八幡通り」という比較的大きな通りの歩道を散歩中に、ふざけた数人の小学生達に突然脅かされてアンが猛烈な勢いで逃げ出したのです。一瞬の出来事でした。歩道から建物の間を曲がりくねった道が交叉しており、あっという間にアンの姿は見えなくなってしまいました。はじめは直ぐに戻ってくると甘く考えていたのが、一向に帰って来ません。狼狽える(うろたえる)とはこういうことをいうのか、どうして良いのか分かりません。電話で動員した家族も一緒になって、いなくなった近辺を大声をあげて必死にアン-アンと名前を呼んで廻ったのですが全く反応がありません。東京の商業地兼住宅街というのは、こんなに複雑に道路が入り組んでいるのかをあらためて思い知らされました。(今は、代官山アドレスという名で、近代的な街に生まれ変わっていますが、当時は、古い同潤会アパート群の近辺で、人間でも迷いそうな混み入った地域でした。)少し冷静になって、とにかく出来ることを全部やってみようと、尋ね犬の貼り紙を何枚も作って電信柱に貼ったり、幾つもの警察の駐在所やら獣医さんにも何か届け出があれば連絡してもらうようにお願いをして廻ったりして、気がつくと夜も更けていました。明日はまず保健所に行こうか・・・。大都会では野犬として捕まって殺されることはなくても、誰かが連れていってしまう可能性が多いといった話を思い起こす。これもアンの運命かもしれないよと家族同士でかばいながら、その夜は眠れぬ
床に就きました。
翌日は朝から雨でした。父親が出勤した後、8時頃のこと。玄関の付近での物音で家人が扉を開けたところ、雨でずぶぬれになったアンが帰ってきたのです!首輪が外れていたのは、繋がれていたのを振りほどいて来たのかも知れません。話では犬が何日もかかって遠くから帰って来たということは聞いていたけれど、アンが自分で帰ってくるなんて予想も、期待もしていませんでした。家から1kmといっても、この日に限ってほとんど初めての散歩コース。しかも、いわば都会のジャングルのなか、間には自動車が夜中でも頻繁に通る幹線道路もあり、家にきて1ヶ月足らずのアンが自分で戻ってくるなんて考えられない・・・。雨に濡れた身体を洗い、食事を与えた後、安心して眠りに就いたアンの横顔を見ているとき、アンのそして犬の不思議な能力に畏敬の念を持ったものです。
アンはその後2ー3年の間は、あの八幡通りの一角には、紐で引っ張ろうが何をしても、ガンとして行くことを拒否をしたのです。
***そして今、アンは娘のアールのことをあの世からやさしく見守ってくれる***
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