マスターズとドラマ

マスターズ(ゴルフ)を4日間とも見た。実は、今までは決勝ラウンドの2日間と言う事が多かったのだが、夜にCSで再放送していたので見る事が出来た。

さて今回は、事前の「タイガー・ウッズの2連覇なるか」という期待とは裏腹に、ベテラン勢が頑張った。優勝したマーク・オメーラは言うに及ばず、最終ホールで優勝を失ったフレッド・カプルス、5年前の癌から復帰したポール・エイジンガー、そして58歳のジャック・ニクラウスもあと少しで優勝できるかも、と言う所までスコアを伸ばした(無論若手のデビッド・デュバル、ジム・フューリック、フィル・ミケルソンも忘れてはいない)。

まずマーク・オメーラだが、最終2ホールを連続バーディで逆転、という華々しい勝ちかただった。が、しかし彼のそれまでのプレイは地味という方が正しいだろう。飛距離のでない彼は、4日間の間3パットを一度もしないという好調なパットを生かして少しずつスコアを伸ばしたのだ。

次にフレッド・カプルス。3日目までの結果で彼のマスターズ2勝目を予想した人も多かったのではないだろうか(事実私もそうだった)。初日から好調なプレイで、トップを走り続け、3日目の13番、最終日の15番のイーグルは両方とも「グレート!!」と言うほかのないショットだった。

最後にジャック・ニクラウスだが、ショットはほぼ完璧でパットがもう少し入っていたら本当に優勝争いした事だろう。彼の6位タイという成績は年齢に関係なく称賛に値する。

さてこのようにすばらしい内容の4日間だったのだが、東京のスタジオのアナウンサーが何を間違ったか、「すばらしいドラマを見せてもらいました」と言った。残念ながらこれは、「すばらしいドラマ」ではない。「すばらしいゴルフ」だったのだ(どうも日本にはこの事を勘違いしている人が多いようだ)。よく感動的な場面なんかで「ドラマ」と言う言葉が使われたりするが、これ(スポーツ)は決して「ドラマ」ではない、スポーツなのだ。後で考えると「ドラマ」のように思えるけれども、その場でプレイをしている選手や観戦者にとっては「スポーツ」以外の何者でもないのだ。観戦者は、スポーツの「ドラマ」を楽しむのではなく、「スポーツ」そのものを楽しむと言う事を忘れてはいけないと思う。またそれを伝える側(つまりマスコミ)は早くその事に気付くべきだろう。