balloon 救急病院

信じられない救急窓口

救急窓口に行ったら、どんな症状なのか簡単にチェックを受けました。そして、なぜここに来たのか説明しなさいと言われました。今まであったことを総て話しました。信じられない言葉が返ってきました。

「そんなことで救急に来たのか?」

素人が見ても脱水症状に陥り、苦しさのための泣きわめいている子供を目の前にして、医者からそんな言葉を聞くとは思ってもいませんでした。どうしても救急治療が必要だとしつこく訴えて、ようやく、受付をしなさいと言われました。その医者は、首を横に振りながら、あきれた表情を浮かべています。こんなやつが、ドクターしかも救急患者を担当しているかと思うとぞっとします。これもアメリカの一面なのだと思いました。

すぐ見てもらえるかと思ったら大間違いでした。待合室には、3人の大人が待っていました。それも、楽しそうにTVを見ている人ばかりです。「こいつらが何で救急治療の必要があるのだ?」という人ばかりです。その人たちの冷たい視線を気にもせず、子供は叫び続けててます。

救急診療

途中で、「あと30分ほどで小児科があくから、そちらで見てもらったら?救急は高いよ。」と言われましたが、小児科の方には、この子の姉が見てもらうようになっているはずだということを告げたら驚いていました。 小児科に電話で確認してもらったところ、予約の電話ははいっているが、込んでいるので、11時頃の診察予定だということでした。 金のことはいいから、1分でも早く見てもらいたいと言って、救急で見てもらうことになり、またしばらく待ちました。

やっと私たちが呼ばれました。看護婦がやってきて、身長、体重、体温なんかを悠長に計っています。こっちが焦っているのをもてあそんでいるかのようです。しばらくして、ドクターがやってきました。ちょっとした診察のあと、すぐ入院が必要だと言われました。 とにかく脱水症状が激しいということです。

さあ、周囲があわただしくなりました。一体、何人の人がやってきたでしょう。泣き叫ぶ子供の手足を押さえつけ、いろいろと管をつけました。汚物のつかない尿を検査する必要があるということで、尿道にも管を通されました。当然暴れます。そこを通りかかる病院関係者のほとんどが、目を覆ってしまうほどの一騒動がありました。TVで見る救急医療の現場そのものです。

点滴もされましたが、暴れて針が何度もとれました。腕は針のあとで変色しています。最後は、腕に添え木をして、腕が曲がらないようにするしかありませんでした。私は、もう娘の頭を抱きしめて、いままで放っておいて悪かったと、泣きながら言い続けるしかなすすべがありませんでした。

点滴をしてもらったのがよかったのでしょう。娘はしばらくぶりに眠りにつきました。脱水症状で苦しかったのだとわかりました。2時間ほどしたら、ベッドを変わろうと言われました。 今までいたところは、救急患者たちが運ばれてくる簡易ベッドでした。眠っている子供を起こさないようにそおっと抱きかかえ、エレベータをあがってある病室につきました。

ICU

案内されたところは個室でした。子供を寝かせたら、その部屋についてくれる看護婦がやってきました。 血圧、脈拍などをはかったり、耳の中を見たり、一通りのことをしました。 そして、しばらくしてこう言いました。「あなたのもう一人のお子さんと同じ部屋になれたらいいのにね。」はじめは、何を言っているのか理解できませんでした。

しばらくして、ホームドクターがやってきました。一通りの診察をし、私と話をして、改めて入院が必要だということを告げられました。そして、上の娘が同じ階の別の部屋に入院していることを教えられました。さっきの看護婦さんの言った言葉の意味がようやく理解できました。 下の娘がこういう状況に陥ったことで、1日遅れで同じ症状を発症した上の子は、診察後、すぐに入院の手続きをされたとのことでした。

さらにしばらくして、下の子は、上の子と同じ病室に移動できることになりました。 そのとき、今までいた部屋の出入り口に書いてある文字にふと目をやって驚きました。 Isolated Care Unit と書いてありました。

( つづく・・・ )