balloon エピローグ

アメリカの医療費

1ヶ月ほどしたら、Carle から請求書が送られてきました。保険会社へ送るはずになっているのに・・・と思いましたが、アメリカ人らしいなぁと思いつつ、私宛に来たのですから、封を開けて中を見ました。

請求金額は、トータルで1万ドルを越えていました。つまり、当時のレートで140万円位でした。目が点になりました。明細には、事細かな内訳が何ページにも渡って記されていました。アメリカ人は、こういうことだけは細かいから困ったものです。

保険

後日、保険会社に連絡をして、その請求書を送ることで対処してくれることになりました。一人200万円まで保証される契約でしたので、今回の入院費用はすべて保険でまかなうことができました。今までも、ちょくちょく風邪で通院しては、医療費がかかっていましたが、多くともせいぜい数10ドルでしたから、保険を使わずにきていたのですが、最後の最後にでかいのをやってくれました。まあ、今までの総額をすべて保険でまかなったとしても、結果的には200万を越えなかったと思いますが、毎回保険で対処してきて、今回がもっとひどい病気だったらと思うと、ぞっとします。

カルテのコピー

帰国するとき、病院に行って、カルテのコピーをくれるように頼みました。日本へ戻ったときに、必要になるからです。電話して予約をしないと、希望の日にはもらえません。電話では、1ページあたり数ドルの手数料を取ると言っていました。ちょくちょく風邪などで通院していましたから、いったいいくらになるのかその額が心配でした。ホームドクター制をとっている(と言っても義務ではないと思いますが)アメリカでは、ドクターを換える=かかりつけのクリニックを変更することに対して、そうやって費用をふっかけるようです。

カルテのコピーを受け取ったのは、帰国の2日前でした。受け取るときに、なぜそのコピーが必要なのかシートに記入しまたところ、コピー手数料が無料になりました。海外へ引っ越す場合は無料なのだと説明してくれました。ドクターを変更するときは、けっこうな金を取るのもアメリカらしいですが、海外へ引っ越すときには無料にするというのも、アメリカらしいと思いました。

幼稚園

退院は、金曜日でした。土日を経てすっかり元気になった上の子は、当然のごとく、幼稚園へ行きたいと言い出しました。当時、通っていた幼稚園はもちろんのこと、他の幼稚園でもバクテリアによる病気がはやっていました。感染経路は、単純明快です。トイレに行っても手を洗わない人が多いアメリカでは、その手で握手し、食事をとるわけですし、特に幼稚園では、トイレに行ったその靴で歩く床に直に座って学習活動をするのですから、どこかにひどい例があるならば、その人が発病しなくとも、誰かが発病し、そして、その周囲に瞬く間に伝染するのです。それらの対策として、幼稚園や小学校などで積極的にやっていることと言えば、とにかく「手を洗うこと」だけなのです。そんなこと、私たち日本人にとっては、言われるまでもない当然のことなのですが、これもお国柄なのでしよう。

そんな折りでの入院でしたので、当然、幼稚園へ再び通うのために条件が出されました。園長先生の質問は、もし入院の原因がバクテリアによるものなら、完全に直ってからでないと通園許可しないが、ウィルスによるものなら、もう通院してもいいということでした。もちろん、今回の入院は、ウィルスによるものでしたので、元気に通園を再開しました。

帰国後−ロタウィルス再び

帰国してもうすぐ1年という春先に、娘たちがまた激しい吐き気と下痢に襲われました。私たちもなれたもので、きっと去年と同じものだろうとすぐに気づきました。医者に見せたところ、やはり「ロタウィルスによるものですね」と言われました。考えてみれば、渡米前にも同じことが何度かありましたが、すべて「風邪ですね」で済まされてきたと思います。ここにきて、再びその名前を、しかも、日本でははじめて聞くことになりました。日本の医者にもまともな人がいるんだなと感心し、これまで小児科医をたびたび変更してきた私たちは、今後、その医者にかかることに決めました。

娘が通っていた幼稚園には、「ロタウィルス」という名前を出して幼稚園を休むと伝えたのですが、日本の場合、普通の医者ですらそういう状況ですから、当然、幼稚園の先生がそのウィルスの名前なんか知るはずもありません。何かものすごい菌による重い病気にかかったと勘違いしたようです。明日から通園を再開しますと連絡したときも、他の子に伝染しないかということを心配されました。つまり、暗にまだ幼稚園に来ないでほしいということを言われたのです。もちろん、日本ではあまり聞かない、つまり、普通の医者すらその名前を知らない状況ですから、幼稚園の先生には詳しく事情を説明し、かかりつけの医者から通園許可証をもらって、はれて通園再会となりました。

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