1997年1月9日
23時30分
日本海重油流出事
重油回収作業支援ボランティアの呼びかけ
NVNAD 日本災害救援ボランティアネットワーク
〒663 西宮市津門宝津町11−22
Tel(0798)36−9540
Fax(0798)36−4392
7日9時半頃、福井県三国町に漂着した流出重油の回収作業につき、人海戦術
による手作業での回収が必要であり、地元住民の力だけでは到底及ばないことか
ら、ボランティアの呼びかけを行うことと致しました。
9日13時20分、現地ボランティア本部を三国海岸に設置された三国町現地
対策本部テント内に置き、全国からのボランティアの受付と作業割り振りを始めま
した。
ボランティアに関する情報の問い合わせは、現在NVNAD西宮事務局で行っ
ていますが、11日中に独自のボランティア本部事務所を開設し、連絡電話の設置
を予定しており、ボランティアの宿泊所の確保、斡旋も行います。
<交通>
北陸本線 芦原温泉駅−バスで三国海岸下車
例えば、朝7:42大阪発雷鳥11号に乗ると、10:30分には作業可能
日没までに終了せざるを得ないので、大阪からの日帰りは可能
<服装など>
できれば上下ゴム状のものを。また、着替え・防寒を十分に
ゴム手袋、ひしゃく、バケツ等をご用意下さい。
また、後方支援も呼びかけています。ゴム長、ゴム手袋、ヒシャク、バケツ、
事務所用品(コピー、FAX、コンピュータ、用紙、文房具など)の提供、炊き出
しなど
物資の送付先:福井県坂井郡三国町安島
三国町災害対策本部現地事務所横ボランティア本部
【これまでの経過】
* 8日早朝「神戸元気村」山田和尚代表他1名が現地に入り、除去作業を行う。
* 同日午後、山田代表より元気村事務局(神戸市)を通じてNVNAD事務局
(西宮市)に連絡があり、ボランティアによる支援体制を取る準備に入る。
* 9日10時、NVNAD伊永勉理事長が現地に入り、山田代表と協議。
* 同日13時、三国町災害対策本部と協議、ボランティア本部開設を決定する。
【連絡先】
日本災害救援ボランティアネットワーク 0798−36−9541
現地ボランティア本部 030−030−7629
030−340−8391
インターネット http://www1.meshnet.or.jp/~response/oil.htm
現地本部 伊永 勉 山田和尚
西宮事務局 広瀬満和
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970110-No.3
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同様にzoo vetさんから病理解剖の結果が届きました。
1.病理解剖番号_2655A
ウトウ♀ 体重640g
剖検日_1997年1月10日
剖件執刀_梶ヶ谷博(野生動物救護獣医師協会)
依頼者_増田獣医師(鳥取県動物臨床医学研究所)
鳥取県米子市の海岸にて1月8日重油にまみれて死体で収容、即日搬送。
剖検所見概要
外貌では外傷は認められなかったが、頭頚部から胸腹部にかけての羽毛が深
部に至るまで軽度に重油と砂を浸透させていた。しかしながら、全体的にはご
く軽度の重油による羽毛汚染の程度であった。胸筋は乾燥していおり、損傷は
無いものの萎縮激しく、削痩著明であった。
最も著名な変化は消化管内に認められた。すなわち、黒色粘ちょう性の重油
が口腔から食道 (I:ぢ胃・直腸に至るまで認められ、特に胃から直腸にかけては重
油で充満していた。胃腸粘膜には肉眼上著変が見られなかった。
内臓には、全体の貧血とうっ血性変化、ならびに肝臓の萎縮が見られた。気
管および消化管は全体的に外観上の形状の変化を示さず、一見すると病的変化
が無いように見えた。甲状腺や上皮小体、副腎、腎臓にもとくに異常は見られ
なかった。卵巣は2cm長で1mm大の白色卵胞を多数有しており正常に見受
けられた。
心臓はやや萎縮しており、暗赤色をてしていたが、壊死性変化や炎症などは
見られなかった。心嚢液貯留も見られなかった。心臓血は極度に暗黒赤色で凝
血を形成していた。
気管内には著変は見られなかったが、両肺ともうっ血性で、強い肺水腫が見
られた。
以上の所見から推測するに、多量の油摂取により急性胃腸炎を発現させ、電
解質異常から脱水を見、つづいて心不全とうっ血性肺水腫が起こった可能性が
ある。
なお、WRVに依頼された日本海のタンカー事故に関連する鳥類の死体につい
ては、下記に送付されたい。自動的に処理されます。
408 山梨県北巨摩郡小淵沢町10221
富士バイオメッディクス小淵沢総合研究所(担当:楯 美樹)
TEL:0551−36−2455 FAX:0551−36−3895
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今日の動きについては、つぎのメールでお知らせします。
なお、過去のメールが必要な方はお知らせ下さい。
今回のメールは、OBICに参加を申し出られた方だけでなく、油汚染に関心がありそうな方々にも送っています。長いメールですので、もし今後のメールが不要の方は、お知らせ下さい。OBICへの入退会はまったく自由です。
OBIC-10
油汚染海鳥被害委員会(Oiled Bird Information Committe)の皆様
1月10日の動き
OBICの組織の体制強化のための再編成をはかるべく、環境庁、日本野鳥の会、現在のOBIC(日本ウミスズメ類研究会、PSG日本海鳥保護委員会)とで話し合いを行いました。
組織に加わる団体は、現在調整中です。
新事務局は(財)日本野鳥の会が引き受けることとなりました。
近いうちに、新体制についてお知らせします。
以下は、新事務局の要請に基づき、現在のOBICが提出するものです。
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(財)日本野鳥の会 OBIC事務(準備)局 様
海外の事故事例
Exxon Valdez 1989年3月24日 260000バレルの流出 10〜30万羽の死亡
Apex Houston 1986年1月28〜2月1日の間 616バレルの流出 推定約1万羽の死亡
その他の例については文献取り寄せ中です。
以下の文書は、日本ウミスズメ類研究会の幹事会で了解を得たものではないため、公式な文書ではありませんが、どうぞご了承下さい。
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海鳥被害調査についての重要性とお願い
1997年(平成9年)1月10日
日本ウミスズメ類研究会
(代表・青山莞爾)
Pacific Seabird Group日本海鳥保護委員会
(代表・小野宏治、John Fries)
油流出事故は、漁業資源のみならず、海洋環境に多大な影響を与えます。漁業への被害は、経済活動と密接に連携しているために最も注目される部分です。つぎに、海岸の景観については、各自治体により、重油の回収を含む措置がとられることと思います。
これらの問題に比べ、海鳥への被害は、ニュース素材のひとつとして扱われる程度で、実際にその被害規模などを推定した例は、日本ではほとんどありません。
海鳥は、プランクトンから魚にいたるまで幅広い栄養段階の食物を摂取し、採餌場所も沿岸から沖合いまでと、海洋生態系の中では主要な位置を占めています。したがって、被害の規模や海洋生態系への影響、そして、その後の環境回復のための賠償問題を検討する上で、非常に重要な存在です。
我々が海鳥のためにまずしなければならないことは救急の医療体制ですが、つぎにしなければならないことは今回の事故の正確な記録を残すことです。鳥の種類、数、場所、状態などを正確かつ確実に記録することが、事故の規模を推定するためにきわめて重要です。事故に遭った海鳥の中には世界的に絶滅に瀕している海鳥も含まれており、今後の環境再生に向けて、我々は努力しなければなりません。
現在、おもに漁業関係者の手により海岸での重油の回収作業が行われていますが、そうした際、重油の付着した海鳥の死体は、そのまま焼却処分される可能性が高いと思われます。そのため、事故の規模が過小評価される可能性が生じています。
関係各機関は、死体の収集につとめるとともに、地元の鳥関係者を通じて詳細な記録を残すことができるよう、回収作業に従事している人々に連絡徹底のほど、お願いいたします。
平成7年12月15日、油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画が閣議決定されました。このなかで「環境庁及び水産庁は、海上保安庁その他の関係行政機関、関係地方公共団体等からの情報に基づき、当該油汚染事件が野生生物及び漁業資源に及ぼす影響の評価を行い、これを、野生生物の保護、漁場等の保全等の対策の決定に反映させるとともに、その他の対策の実施に資するよう、速やかに海上保安庁その他の関係行政機関等に提供する。」(第4節 油汚染事件の評価)と明記されており、正確な影響評価のために、関係各機関が尽力されるよう、お願いいたします。
油にまみれた死体の識別は難しく、とくに危急種に指定され世界的にもっとも絶滅の恐れのあるカンムリウミスズメと、ウミスズメの識別、また、国内絶滅危惧種に指定されているウミガラスとハシブトウミガラスの識別など、専門家の手により詳しく調べる必要のある種も含まれます。
したがって、とりわけ識別が必要なウミスズメ類に関しては、死体の保存と集積を関係各機関にお願いいたします。これらの死体の受け入れ体制については、関係機関と協議の上、あらためてお知らせいたします。
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OBIC-11
油汚染海鳥被害委員会(Oiled Bird Information Committe)の皆様
日本ウミスズメ類研究会、野鳥の会小樽・札幌支部各会員の渡邉智子さん
(wakito@taurus.bekkoame.or.jp)に、
北海道小樽市で観察される海鳥の種類と時期、数についてまとめてもらいました。
種によってはあまり南下しないものもありますが、
今回の事故に遭う可能性のある種として、参考にして下さい。
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1回の探鳥での
確認数
アビ科
アビ 11月下旬・3月上旬より4月上旬まで 1〜2羽程度
オオハム 11月下旬〜4月中旬まで 5羽〜10羽程度
シロエリオオハム 11月下旬〜4月中旬まで 稀に1羽
ハシジロアビ 11月下旬〜4月中旬まで 稀に1羽
カイツブリ科
ハジロカイツブリ 9月下旬〜4月中旬まで 8羽程度
ミミカイツブリ 9月下旬〜4月中旬まで 5羽程度
アカエリカイツブリ 9月下旬〜4月中旬まで 5羽程度
カンムリカイツブリ 11月下旬・4月〜5月上旬 2羽程度
ミズナギドリ科
ハイイロ又はハシボソミズナギドリ 6月上旬〜7月上旬 万の単位
ウミツバメ科
ハイイロウミツバメ 95年12月9日・96年12月10日 1〜5程度・極めて稀
ウ科
ウミウ 1年中 多い
ヒメウ 12月上旬〜4月上旬 多い
ガンカモ科
コクガン 96年11月23日 極めて稀・2羽
ハクチョウsp 95年10月? 極めて稀・2羽
オシドリ 96年11月17日 稀・1羽 積丹ではそ
の時期良く観察出来るとか
マガモ 1年中 越冬時期は200
〜300程度集まる
コガモ 11月上旬〜4月上旬 5〜10程度
スズガモ 11月上旬〜4月上旬 5〜30程度・2
月中旬には50羽程度になる
ホオジロガモ 11月下旬〜4月中旬 20羽程度・ピ
ーク時2月中旬300羽以上に
シノリガモ 11月上旬〜5月上旬 20羽程度・ピーク
時2月中旬には100羽以上に
コオリガモ 12月上旬〜4月上旬 20羽程度・3月
中旬のピークには50羽以上
クロガモ 11月上旬〜5月下旬 ピーク時1月〜
3月500羽以上
ビロードキンクロ 11月上旬〜5月下旬 ピーク時1月〜
3月50羽以上
ミコアイサ 96年3月28日 極めて稀 ♂・
♀の2羽
ウミアイサ 12月上旬〜4月いっぱい 20羽程度・ピーク
時3月中旬〜下旬に100以上
カモメ科
オオセグロカモメ 1年中 大変多数
セグロカモメ 11月下旬〜4月上旬 1〜3羽程
ウミネコ 1年中 大変多数・但
し厳冬期は稀になる
ワシカモメ 10月中旬〜5月中旬 20羽程度
シロカモメ 10月中旬〜5月中旬 30羽程度
カモメ 11月下旬〜1月中旬・2月末 20羽程度
ユリカモメ 3月上旬〜10月いっぱい 100羽程度
ミツユビカモメ 11月下旬〜2月上旬まで ピーク時12月中は1
00羽程・厳冬期は稀に若鳥
ウミスズメ科
ウミガラス 12月上旬〜4月上旬 20羽程・ピーク時1月下
旬〜2月下旬には80羽以上
ハシブトウミガラス 12月上旬〜4月上旬 10羽程・ピーク時1月下
旬〜2月下旬には20羽以上
ケイマフリ 12月上旬〜4月上旬 5羽程
ウミバト 12月中旬〜1月上旬・6月末 稀に1羽
マダラウミスズメ 12月上旬〜4月上旬 1〜2羽
ウミスズメ 12月上旬〜4月上旬 12月中旬に200程それから
一度減り1月中旬〜100程
エトロフウミスズメ 2月? 1〜2羽極めて稀
コウミスズメ 2月? 1〜2羽極めて稀
ウトウ 11月上旬〜1月上旬・2月下旬〜7月いっぱい 2〜10程・
ピーク2月下旬に万の単位
セキレイ科
ハクセキレイ 1年中 2〜3羽程度
ホオジロ科
ハギマシコ 12月上旬〜4月中旬 2〜20羽程度 厳冬
期は減る
ワシ・タカ科
オオワシ 11月下旬〜4月中旬 1〜2羽
オジロワシ 11月下旬〜4月中旬 1〜5羽程
ハヤブサ科
ハヤブサ 1年中 1〜2羽程
シギ・チドリ類も一応書き出しますと 4月上旬〜5月中旬・8月上旬〜9月上旬まで
コチドリ・シロチドリ・メダイチドリ・ダイゼン・タゲリ・キョウジョシギ・トウ
ネン・ハマシギ・オバシギ
ミユビシギ・ヘラシギ・キアシシギ・イソシギ・ソリハシシギ・オオソリハシシギ
・オグロシギ・ホウロクシギ
チュシャクシギ
アカエリヒレアシシギ
ミヤコドリ
アジサシ
も観察出来ます。
野鳥の会小樽・札幌支部会員 渡邉智子
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Compiled by Koji Ono kojiono@gol.com
Revised: 15 Jan. 1997
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