嗚呼、すばらしきかなニューヨーク<渡航前編>


小松:「よー、中西、今度の夏休み、海外に行こーぜ」
中西:「そーだな、どこ行く」

 96年6月、採×活×の準備で忙しい俺は、次の夏期休暇を
 楽しみにするしかない毎日を過ごしていた。
 海外といってもいろんな海外があるし、費用のことも考えなくては
 いけないし、そもそも、海外に行ったことがない俺だったが、
 ときどき、何の考えもなくぼやいてしまう悪い癖からか、とにかく
 どこかに行くことが、その時の精神状況から唯一救ってくれそうな
 気がしていた。
 さて、で、どこにいくかを決めないことには始まらない。

中西:インドがいい。あそこで悟りたい。

 そう、中西の意見を聞いたとき、目の前が真っ暗になった。
 なぜなら、約1ヶ月前、インドをはじめ、中近東、東南アジア方面で
 赤×をはじめとする伝××で業務上、非常に痛い思いをしていたからだ。
 「避けたい。できるものなら・・・。場合によっては洒落にならん。」そう私は
 つぶやいた。

小松:「お、俺は、英語圏がいいな」

 当時、スピリッツの、「ギャラリーフェイク」を愛読していた俺は、
 メトロポリタン美術館、のあるニューヨークが思い浮かんだ。

小松:「ニューヨークとかさ・・・。」

 中西もギャラリーフェイクを知っており、話はスムーズに進み、ニューヨークに行く、
 ということで、合意が得られた。しかし・・・。

 夏休みなんていう、誰もが旅行に行きたい時期は、そう簡単に予約も取れない。
 しかもすでに旅行計画の1ヶ月前になっていたのだった。

中西:「よー、小松、全然取れねーよ。」

 正直、今年は無理か、と諦めかけるときもあったが、なんとか予約も出来、
 あとは、当日を待つだけになった。
続く・・・。

96年8月 小松 一郎
 
 
 


嗚呼、すばらしきかなニューヨークへ