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コラム「合流式下水道をご存知ですか?」

 みなさんは下水道に合流式、分流式という二つの種類があることをご存知ですか。合流式は汚水と雨水の管が同じなので大雨が降ると一定量以上の下水が吐口 (はきぐち)から河川に流れ出してしまいますが、分流式は汚水と雨水の管が違うため河川に汚水が流れ出すことはありません。

 合流式の方が歴史が古く、早い時期から下水道整備が進められた京都市中心部はほぼ合流式なのに対して、あとから整備された周辺部には新しい分流式が採用されています。つまり、中心部では今も古い合流式がそのまま残されているのです。

 私たちがこの仕組みを知るきっかけになったのは2017年のことでした。北山大橋付近の賀茂川が例年と比べてずいぶん汚かったので、どこかから汚水が流れ込んでいるのかも知れないと思って調べてみたのでした。

 調査地点の上流に吐口(はきぐち)らしき排水口があるので、それが原因ではないかとにらんで、京都市下水道局に電話して聞いてみました。すると、その吐口(はきぐち)は一時間に4〜5mmの雨が降ると(汚水の混ざった)雨水を放流するとのことでした。

 仮に放流を行っても総雨量が多ければ大水になって汚れは十分に薄められる、というというのが合流式下水道の考え方です。しかしもし放流が行われ、しかも大水には至らなかったとすれば、汚濁の原因になってしまうのではないだろうか。そう考え、気象庁の降水量データを調べてみることにしました。

 すると、一時間あたり4mmを超え総雨量が10.5mm以下の雨が、調査前の一ヶ月間に7回も頻発していたことが分かりました。例年にはない集中のしかたです。やはり、この年の汚濁は合流式下水道が原因だったのではないかと私たちは考えています。

 下水道の普及率が上がるにつれて家庭排水への関心は薄れ、米のとぎ汁や油汚れなどをそのまま流すご家庭が多いように思います。けれど、やっぱり排水には気をつけないといけないということを思い出させてくれる出来事でした。



合流式下水道のつくり


分流式下水道のつくり


【合流式】晴天時の流れ方

【合流式】降雨時の流れ方