私たちの調査では、除草作業や護岸工事によってメダカの生息場所が深刻な打撃を受けてしまったケースを何度か記録してきました。 07年に岩倉川で小さなワンドが重機で踏みつぶされてしまったケース(上写真)。同年東高瀬川で植物の群落が刈り取られてしまったケース。12年大谷川でマコモをはじめとした水辺の植物がほとんど取り除かれてしまったケース。12年以降西目川で護岸のコンクリート化がすすみ水辺の植物がなくなったケースなどです(下写真)。 ダメージが回復したものもありますが、回復したなかったものもあります。除草作業の場合、植物が成長し群落がもとに戻るとメダカの群れも回復していくようで、メダカの避難先を確保しておくなど工夫することで影響を最小限にすることができそうです。しかし、住処(すみか)であるワンドが踏みつぶされてしまったケースではメダカは戻りませんでした。このようなケースはあまり繰り返してほしくありません。 07年には、いてもたってもいられずに京都市の河川管理課に申し入れに行きました。作業をした人たちはもちろん河川管理課の人たちも、そこにメダカがいることなどまったく知らないはずだと思ったからです。果たしてどの程度受けとめていただけたのか分かりませんが、このような申し入れは情報を更新して地道に継続する必要がありそうです。 川には用水、排水、治水、景観などさまざまな用途・目的があって、それにそって河川管理のあり方が決まっています。ただ、それらは基本的に人間の都合によるもので、そこに棲む生き物たちの都合までは考慮されていません。私たちが野生メダカの声を代弁して届けることで、もしかしたら人間にも生き物たちにもよりよい河川管理のあり方が見つかるかもしれません。そうであればいいなと思います。
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