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熊木杏里「今は昔」ジャケット写真&歌詞

熊木杏里「無から出た錆」ジャケット写真特集:熊木杏里

2003年春に1stアルバムを出したきり、CDの発売が止まっていた熊木杏里さん。レコード会社を変わって、2ndアルバム『無から出た錆』2/23発売。素直に「うれしいです」もうダメだと思っていただけに。

記念して特集を組みます。彼女に興味を持っていただけたらうれしいです。追ってニューアルバム(写真右)のレビューもします。カドが取れて、綺麗なメロディーと透明な声が印象的ないいアルバムに仕上がっていますよ。

1st Sigle「窓絵」 2002年2月21日発売 \1,143(税込\1,200) VAP VPCC-82159
熊木杏里「窓絵」ジャケット写真

1曲目「窓絵」。サビの「ねぇ ぼくは空に近いから」の素晴らしいメロディで引き込まれる。闘病生活の歌だろうか?本当の窓なのに、内側の決まった位置から見るだけだから窓絵なんだろうね。「ねぇ ぼくが空に登るまで」なんて言われたら、胸がキュンとなってしまう。

2曲目「りっしんべん」。ABABCC'とサビを後に固めたふしぎな構成。「喉を通るりんごの声」なんて長野県出身らしい可愛い歌詞。もの悲しい「ひとりぼっちで泣いて 泣いている」のフレーズが心を打つ。

3曲目「時計」。十八の誕生日にもらった時計で「二人を刻む 時間が生まれた」けれど、時計は命をなくしてしまう。「ここに愛はあったのかな?」さらっと歌うフレーズが素敵。

2nd Sigle「咲かずとて」 2002年8月21日発売 \1,143(税込\1,200) VAP VPCC-82167
熊木杏里「咲かずとて」ジャケット写真

1曲目「咲かずとて」。いきなり「あなたを愛せない わたしはどこにも行けない」のサビから始まる曲。「あなた」となんか価値観が違うんだろうね。上手く通わない心と、「どこにも行けない」けれど現実と戦おうとしている心理が微妙な印象を受ける。

2曲目「二色の奏で」。「人が死んだ 殺された」世の中で不幸な人がたくさんいるというのに、「遊びにふける午後」を「ここは別世界ではないのに」と嘆く重い曲。「手元の現実が鳴る〜」のサビが強烈。

3曲目「まよい星」。タイトル通りどうしていいか悩んでいる心理を歌った曲。さらっと流してるけど、あえてさらっと流すことに意味がありそう。

3rd Sigle「今は昔」 2003年2月21日発売 \1,143(税込\1,200) VAP VPCC-82170
熊木杏里「今は昔」ジャケット写真

1曲目「今は昔」。サビの「止めて 時を止めて〜」のフレーズが美しい曲。昔つきあっていた「あなた」を懐かしむ曲だが、その裏にある大人になった自分を嘆く微妙な心理が印象的。「理屈の数はあなたよりも増えたわ やっと同じ歳になったのね」なんて言う美しいフレーズが、実は言い訳の多くなってきたおじさんにはちょっと耳が痛い。

2曲目「冬の道」。昔「君と寄り添って歩いた」冬の道を(たぶん目にして)、「みぞれ混じりの雪が今年も ひとり 心 降り積もる」と歌う。しっとりとしたメロディが哀愁を誘う曲。

3曲目「ちょうちょ」。一転して「誰もくれなかったものをくれた」あなたを得て「だから もう何も怖くない」と歌う曲。ただ、完全に飛んだ歌詞を淡々と歌うと、その裏にある何かがみえてしまう。「時間の感覚が同じだといいわ そしたら いつまでも歳はとらないね」のメロディがとっても綺麗。

1st Album「殺風景」 2003年3月26日発売 \2,857(税込\3,000) VAP VPCC-81447
熊木杏里「殺風景」ジャケット写真

何ともグロテスクなアルバムタイトルが、彼女の一般受けを拒否するかのような強烈な印象を受ける。彼女なりの現実の社会との不調和感を軸に、素晴らしく出来の良い5曲のシングル曲をはさんで構成されるコンセプトアルバム。難を挙げるなら、一部に印象の薄いアルバム曲があったのと、13曲目の「心の友 〜WiLSON〜」がちょっとお遊び気分のライブ録音で、悪い曲ではないのだがちょっと浮いていたこと。それでも1st Albumとしては秀逸な出来。

印象的なアルバム曲

1曲目「夢見の森」。「今はまだ届かない夢を見る」の言葉に象徴される歌。「猩猩(しょうじょう・酒飲みの意?)たちがうつつの笛を吹いている」の表現に攻撃性を感じる。

3曲目「やすり」。「この身がもっと自由だったら〜」のフレーズが切ない響き。君を追いかけられない自分を嘆く歌。

6曲目「ル・ラララ」。「ラララ ラララ Yeah Yeah ルルル Non Non」とサビのメロディがとても美しい曲。夢の中だけの哀しい愛を明るく綴っている。

時流に流されず、素直に自分を表現することを公言するだけでなく実際に行えている熊木杏里さん。これってなかなか難しいことだし、次のアルバムでもそうであってほしいと希望を持っています。尊敬する人に井上陽水を挙げているくらいですから、基調は70年代のフォークソングなのですが、その枠には収まらない彼女の才能と個性があります。メロディの美しさは聴けばすぐわかります。でも、歌詞がちょっと難しいところが軽く聴きたい向きには難ありでしょう。歌詞カード見ながら聴くのを推奨します。 (Feb.22.2005)

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