天使は少年の運ばれた部屋へと走り出した。少年の事しか頭に考えず、ただひたすら走った。
しかし、遅かった。
少年は息を引き取った。部屋に入る天使。皆には見えてないらしく、誰も天使を見る者はいない。
そこにペタリと、座り込んでしまった。
「嫌だ…嫌―っ!」
誰にも聞こえない声。
叫ぶ。
今まで答えてくれていた少年はもういない。
誰がこんな事を決めたのか。こんな事を。
…やっぱり使うしかないんだ。
震える足を、ゆっくりと力を入れ、横になっている少年の目の前へと立った。
天使は一つしかない羽を背中から取った。
そして、それを
少年の胸元へとそっと置いた。
天使の意識はそこから途絶えた。
ただ、微かに聞こえた医者の声は
「おい!脈が戻ったぞ!」
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