「さよなら」
その返事を、返す者は居なかった。
周りには誰も居ない。だた、生暖かい空気だけが体中にまとわりつく。
気持ち悪い。
「…誰も居ないじゃん」
今頃気付いたのか。それとも、ただの独り言か。
どっちにしても、不気味だった。
さっきの“さよなら”はどうゆう意味を持っていたのか。
本人も理解はしていないだろう。
「あなたの言葉を信じた僕が馬鹿だった」
それが、心の中にある本音。そう、僕が馬鹿だったよ。
最後まで、君を信じ、愛しく、君を求めたのに。
君は、最後まで僕を求めなかったね。
僕だけが一方的に、求めた。けど
迷惑だったか。
僕は、本当に馬鹿だよ。
僕、不要品だね。
右手に持っていたカッターの刃を、強く握りしめた。
刃は、皮を裂き、肉に着く。血管を切断し
真っ赤で、キレイな朱を流させる。
ドクドク と、心臓が早まるのが分かる。
けれど、こんだけじゃ死ねない。
死にたいのに、死ねない。
もっと、流さなきゃ。
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