「綺麗な、赤い水たまりができっちゃった」

不気味な一言。独り言。
僕が、死んでも君は、何も思わないんだろう?
僕が死んだ事なんか、ほっといて、どこかへ行くんだろう?
あーあ、死んじゃったのね。としか思わないんだろう?
だったら、いっそ、死んで、身を滅ぼして。
空気に散ろう。

もっと、強く強く、握りしめた。
赤い水は、勢いを増す。
痛みなんか、感じない。
君の想いの方が、とても、痛かった。
死んでしまうかと思ったくらい。

刃が骨に、当たった。先を拒む。
刃は、赤い水で真っ赤に染め上げ、右手は、赤い手袋をしているみたいだった。

もっと、強く、握った。
けど、先へ進まない。

「もう、僕の想いは限界なのかな?」

握るのを止めた。表情は、あの不審な言葉を放った時から、同じ。
何かを失った、言い表せれない表情。焦点の合ってない目。

右手を開いた。けど、刃は、人差し指・中指・薬指に食い込んでいる。
異様な光景だった。

この暗闇の中、君の事を思い出した。
僕に微笑んでいる、君。
キミ
きみ…

ああ、好きだ。キミに会いたい。
どんなに、憎んでも、君が愛おしい。
どうしてだろう?さっきまで、あんなにも
死にたい
と思っていたのに。
何がそうさせた?

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