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 美都の起業経営奮闘記〜新米ビジネスウーマンの挑戦 Vol.21 2003/10/25

       http://www2.gol.com/users/misana/mito.htm   by 佐成美都

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《今日の格言》
 
       「人は生まれてきた以上、幸せになる義務がある」

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  これは美都の親友の言葉です。
  解説は本文の一番最後で。
  
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今日のメニュー 

 (1)美都の独り言
 (2)なぜ肩書きがついたか
 (3)名選手名監督にあらず
 (4)ハッピー循環

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《美都の独り言》

先週の「働き者」にはスッゴーイ反響があったの。
マジでビックリ!

でもとにかく美都がポイントを伝え切れなかったことがよくわかったので、
ちょっと弁解っぽくなるかもですが、
今日はもう少し、読者の声に答えるカタチで説明させてください。

後半にはMBAで学んだコンセプトも少し紹介します。
簡単だけど「図」も作ってアップロードしたので、
文章読みたくない人も、せめてそれだけは見てね。
(寝る間を惜しんでせっせと作ったんだからさぁ。。。笑)

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《なぜ肩書きがついたか》

先週号を読んでない方は、まずはバックナンバーをどうぞ。
 ⇒「働き者」 http://www2.gol.com/users/misana/mito031018.htm

でね、一番多かった声は、
「もっと良いところを見てあげてー!」

見てるって!!!!!!!!(笑)
と美都は叫びたい。
じゃ、何で愚痴こぼしてたか?

以下のケーキ屋さんの例を読んでみてくれいっ!

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あるところに、オーナーが一代で築いた人気のケーキ屋さんがありました。
ここにはたくさんの若者が「のれん分け」を目指して修行にやってきます。

オーナーは昔から、教える順番を決めていました。
(1)チョコチップクッキー
(2)ショートケーキ
(3)モンブラン
(4)5段重ねウェディングケーキ

この店ではチョコチップクッキーが満足に焼けない人には
お給料は出ません。
モンブランを立派に作れるようになると、
「パティシエ」の称号が与えられ、
お給料もグーンとアップ。
さらに他の見習い君たちにクッキーとショートケーキを
教える立場になります。

さらに、
オーナーご自慢のウェディングケーキまで作れるようになると、
オーナーは「のれん分け」をしようと考えていました。

さて、たくさんの見習いがショートケーキまでは作れるようになるのに、
なかなかモンブランを作れる人が現れませんでした。
のれん分けどころではない、とオーナーは諦めの日々・・・

ところが!
ある日現れたんです!
新入社員のA子ちゃんは、なんと先輩たちをさしおいて、
モンブランが作れるようになったのです!!

オーナーはこの店を始めて以来初めて、「パティシエ」の称号を
このA子ちゃんに与えたのでした。

そして当然期待は高まります!
この子が、「のれん分け」第一号になるかもっ!!
きゃー!(笑)

し、しかし・・・
モンブランは立派に作れるものの、
ウェディングケーキまではどうしてもマスターできないのでした・・・

あぁあ、残念・・・
「のれん分け」には、まだA子ちゃんも遠いーなぁ・・・

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はい。というわけでこのオーナーの嘆きが美都の愚痴であり、
A子ちゃんが先週の「肩書き社員」なの。

つまり、彼女の頑張ってるところはすっごい評価してるし、
他の社員とは明らかに違う土俵で働いていることをちゃんと知ってる。
でもそうなると、今度はもっと先を!って期待するわけよ。
それって上からの期待だけじゃなく、
本人だって、このケーキ屋の話でいけば
当然「のれん分け」を目指して頑張ってるんだから。

でも、いくら他の見習い君たちの中では抜きん出ていても、
じゃー独立できるか、っていうと
そこまではまだムリ。

ね?
そういう話あるでしょ?

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というわけで、
肩書き社員の頑張りは充分に認めていて、
だからこそ「肩書き」社員になったんだ、とご理解くださいませ。

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《名選手名監督にあらず》

さて、ではもう一歩進めましょう。

他にも読者さんの声として、
「時間を区切って休んだ方が効率が良い」
「どうして上の人は仕事の質じゃなく量(時間の長さ)をみるのか」
という意見が・・・
しかしそれ、全然違うって。美都の言いたいことと。

美都の主張は、
「上に立つ人の言動」は下につくスタッフに多大な影響があるから
「お手本」となるための細心の注意が必要、ってことね。
「労働者の権利」を最大限に追求しよう!って姿勢は、
少なくとも店長級の人には望ましくない、ということです。
たとえ、部下が権利を行使することを快く認めるとしても、だよ。

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「休んだ方が効率があがる」について。

よくわかります。
そういう人もいます。
でも美都のように、一度休むと集中力が途切れて、
休憩後に元の集中力まで戻すのに時間がかかるから、
一気にやってしまった方が効率が良い人もいる。

というわけで、「個人差」があるわけだから、
仕事に戻ろうとする人をわざわざ呼び止めるのはおかしい、とも言える。

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「質じゃなく量なのか」について

そんなわけない。
ま、古い人はそう思う人もいるかもだけど・・・
そうじゃない。
質のおかげで、事実、彼女は肩書き社員になったんだし。

でもね、
ここでまた「上に立つ人の言動」に戻るけど、
人を指揮・監督する立場になると、
純粋に仕事の「質」だけでは勝負できなくなるのよ。
よく「名選手、名監督にあらず」って言うでしょ。
あなたがどんなに仕事ができる人でも、
それだけでたくさんのスタッフを抱えて責任のある立場になれるかと言ったら
そうじゃないのよ。

例えばね。
上の人は下の人のお手本になるべきだと思うけど、
それって必ずしも仕事の内容だけじゃないのよ。
というか、下の人って、どこを見てるかわからないじゃない?
例えば夜型のマネージャーが、いつも朝は遅く来ていたとするでしょ。
本人は夜働くつもりだからいいかもしれないけど、
(=本人の仕事の質はキープされる)
他の社員は、上の人が朝遅いから「じゃー自分も」って朝はのんびりして、
でも夕方は普通に帰っていたら、
彼らの仕事の質まで、結局上司の行動によって妨げられてるかもしれない。
これ、あくまでも一例だけどね。

つまり、人の上に立つようになったら、
なかなか「個人差」を主張して「マイペース」ではやっていけない、ってこと。
マイペースで「質」を最大に訴えながら勝負できるのは
「名選手」の時代であって、
人をコーチする立場になったら、
それ以上の“何か”が求められる、ってことです。

自分の「質」をキープするだけじゃなく、
他の人の「質」までにも影響を与えるためには、
自分はどう行動したらいいのか。
自分の好みや習慣のワクを超えたところで、
あらゆる「個人差」を持つスタッフの手本として
行動しなければならない、ってこと。

これは直属のスタッフが増えれば増えるほど当てはまるし、
また、スタッフの目に見えるところで働いている人ほど、そうだよね。
(個室に隠れて働いてたら、机に足を乗っけて仕事もOK・・・でしょ?)

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というわけで、ここまでをまとめると
(a)彼女は仕事の「質」を認められて肩書き社員になった
(b)働き方・休み方には個人差がある
(c)人の上に立つ人は、「質」だけでは勝負できない
という感じかな。

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《ハッピー循環》

さらにこの「働き者」について、
何通かいただいた共通のご意見が、
「社員に社員以上のコミットメントを求めるのは無茶だ」というもの。

そう思う?

美都は「一社員」として働いた経験だってあるから、
そうおっしゃるお気持ちは痛いほどわかるんだけど、
そう言われるとどうしても語りたくなってしまうのが美都なんだよなぁー

というわけで今日は最後に、
久々に思いっきり語らせてもらうぞ!

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まず、美都は子供の頃から、
会社の経営で、そして何より社員をどう頑張らせるかで
苦労し続けている親を目の前で見ながら育ちました。

美都ママの口癖は
「全く、みんな自分のことしか考えてない!誰も会社のことなんて考えてない!」
ってこと。

そりゃそうだよなー
だって会社は私の人生に責任持ってくんないじゃん。
自分の人生が、一番大事だもん・・・

ねぇ?

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じゃーここで、ちょっと会社側の視線で考えてみよう。
簡単に分けて、社長、課長、平社員、がいたとするでしょ。
社長がすべき一番大事なことと、
課長がすべき一番大事なことは何かな?

美都が組織を語るときにいつも強調するのはここ。
社長は、会社がどこに向かうのか、会社の目標(ビジョン)を決める。
課長は、そのビジョンを社員がきちんと理解し、
みんなが一丸となってその目標に向かっていけるように指揮・監督する。

ここで船を思い浮かべてみると、
社長は、船首に立って、船の行き先をみんなに告げる。
課長は、船の漕ぎ手たちに指示を出しながら、
確実に船がその行き先に向かうように監視を続ける。

この構図は、見えた?

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いかに早く、確実に、定められたゴールを達成するか、を考えたとき、
やっぱりメンバー全員が一糸乱れず、
一生懸命に頑張った方が成果は早い、って簡単に想像つくよね?

はぁ、僕は疲れたから休むよ・・・って勝手に突然一人抜けたら、
他の漕ぎ手にも必要以上に負担がかかっちゃうじゃない!
統制とるのも大変だろうし・・・

というわけで、
早く岸にたどりつけてみんなで美味しいビールが飲めるように、
一丸となって頑張ろうね!って
どれだけ漕ぎ手たちに納得させられるか、そこが大事でしょ。

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まぁ例え話はこれくらいにしておくけれど、
これは現実の会社組織にも大いに当てはまることで、
事実、例えば持ち株制度を作って社員に株を買わせて、
少しでも会社と一心同体感を持ってくれるように、ってしてる会社は多いし、
かなり前に米国で流行り始めたストックオプションもそういうこと。

最近の新しい成功例としては、
高卒くらいの社員にも、会社の財務諸表を読めるように訓練させて、
常に情報を開示して、会社の業績と賃金を連動させるようにしたら、
経営者が気絶するくらい業績がアップしてしまった会社とか。(笑)

いや、冗談じゃなくて。
あるんだって、そういう話が。
で、米国ではそうやって会社のファイナンシャル部分に
もうちょっと社員を参加させよう、って感じの本がバンバン出てる。

まぁ当たり前のことなんだけどね。
自分の給料がもろに会社の業績と比例してるってわかったら、
やっぱ頑張るじゃん、フツーは。

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先週の「働き者」を読んで、
そんなに会社のためにやったって報われないから
自分の人生のために頑張った方がいい、って思った人は、
報われない会社にいるんだろうなーと思う。
それは、かなりの部分で会社の責任だけどね。

ここで、MBAの授業でも習う、
超単純な、でも極めて理想的な「好循環」の輪を紹介すると、

(1)ハッピーな社員
     ↓
(2)もっと頑張る社員=イイ商品、サービス
                ↓
          (3)ハッピーな客
                ↓
          (4)もっと買う=もっと会社が儲かる
                       ↓
                 (5)ハッピーな会社
                       ↓
                 (6)もっと社員に還元
                       ↓
                    ハッピーな社員

てなわけで、また(1)に戻って好循環になる。
ね?これわかりやすいでしょ。

★もうちょっと詳しく図にしたものをアップロードしておきました。
 参考までに「好循環」と「悪循環」を比べてみてください。
  こちら ⇒ http://www2.gol.com/users/misana/spc.htm

まぁたとえ儲かっても社員に還元しない会社が多いのか、
それともイイ商品を作ってもライバルが多すぎて勝ち残れないのか、
この好循環が起こらない理由はいろいろあるだろうけど、
理想論を語ってる美都が言いたいことはさ、
こうやって利益・ハピネス(幸福)ってもんは回りまわって
必ず自分のところに返ってくるから、
だからみんなで、一緒に力を合わせて頑張ろうぜぃ!って
どれだけ自分の社員に信じさせることができるか、
そこが上に立つ者の力量が試されるところだ、ってこと。

それは、
すごいカリスマ性で社員を引っ張る名物社長なのかもしれないし、
100年先まで残るような輝かしいビジョンを掲げた
ビジョナリーカンパニーのビジョンなのかもしれないし、
あるいは、
お給料は常に会社の利益が%でシェアされるシステムなのかもしれない。

でもようするに、何でもいいけど、
一人より二人、二人より三人、
百人より千人、一万より十万人を“その気”にさせて、(言葉は悪いけど)
同じ方向に向かって一緒に船を漕がせた方が、
早く着くに決まってんじゃん!

ねぇ?

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というわけでここで例の肩書き社員にちょっとだけ戻っておくと、
美都からすると、
うちの会社はそういう社員の「社員以上のコミットメント」を
きちんと評価する会社なんだから、
彼女が本当にのし上がりたいなら、
もうちょっと違った働き方があるんじゃん?というのが一つ。

さらに、
「労働者の権利」を最大限に行使しようという貪欲な姿勢は、
ちょっとこの好循環に水を差すと感じる瞬間もある、
特に人の上に立つ立場のときはね。

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う〜ん。
まだまだ言いたいことはあるんだけど、
他にする仕事もあるからこれくらいにしておくよ・・・(笑)

最後に、今日出てきたコンセプトを説明している本を紹介しておきます。

社員満足⇒顧客満足⇒業績up⇒社員に還元⇒社員満足 というサイクルは
サービス・プロフィット・チェーンと呼ばれています。
●美都が読んだ本はこれ↓
 The Service Profit Chain:
 How Leading Companies Link Profit and Growth to Loyalty, Satisfation,
 and Value    by James L. Heskett
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0684832569/mitosanari-22

●日本語訳があるらしい↓
 カスタマー・ロイヤルティの経営―企業利益を高めるCS戦略
 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453214647X/mitosanari-22

先週も言ったけど、美都は日本語版は読んでいないので、
翻訳の出来については全く保証しませんのであしからず。

でもね、この本は“サービス業”向けみたいに宣伝されてたけど、
(実際美都も、「サービスマーケティング」の授業で読んだ)
上に書いたように、従業員の忠誠心とお客様の忠誠心とは
非常に密接な関係があって、
社内をハッピーにすることがすなわちお客様をハッピーにすることにつながる、
という発想は、
サービス業とかメーカーとか、
業種はほとんど関係ないと思うのね。

それに、繰り返しになるけど、一番大事なコンセプトは、
「幸せ(価値・利益)は還元・共有すると増大する」ってこと。

これは美都の人生哲学でもあるけど、
例えば恋愛で、自分が幸せになりたいなら、
愛する人を幸せにしてあげなきゃダメじゃん。
幸せになった愛する人が、もっと自分を幸せにしてくれると信じて。
(ま、実際はそううまくいかないぜーと言いたい人もいるだろうが・・・笑)

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美都の親友が言った言葉で美都も心から信じているのが、
今日の冒頭の格言です。

社会を構成する一人一人が幸せになることで、
社会全体も幸せになり、
それによってその社会の構成員ももっと幸せになれる。

こういう好循環を生み出す責任は、
全部が全部、政治家にあるわけじゃないでしょ。
たとえ1億2千万分の1であろうと、
50億分の1であろうと、
必ず自分自身にもいくらかの責任はあるんです。

だから幸せになりたかったら、
人のせいにする前にまず、自分ができることから。

そうやってみんなで束になって、
幸せになるために頑張ることだけが、
私たちの未来を変える力になる。

う〜ん。なんか違うメルマガになっちゃった。(笑)

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発行者       : 佐成美都 
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《編集後記》

♪いや実は、読者からのメールを読んでいてかなり衝撃を受けたんだ。
あぁ、こんなにも日本の会社はダメなのか・・・って。
正当に評価・報酬を与えない会社。
夢を抱かせない会社。
悲しいなぁ・・・・・

♪阪神、スゴイね。
うちの父親は阪神ファンなのですが、燃えてます。(笑)

♪10月もいよいよ最後の1週間。
燃えて頑張ろうぜいっ!