転職



といっても、そうそううまくいくものではない。当然のことながら同じ業界での転職をくり返す人が多いわけですが、ながれはプロダクションから代理店へ、が多いみたいです。プロダクションというのは数人の規模からせいぜい100人くらいの制作会社ですから、たいしたものはつくっていない(なんていっちゃ失礼だ)。媒体ももっていないのでそこからの収入がなく、ひたすら制作物を徹夜してつくってなんぼ、の世界です。こういうプロダクションにもピンからキリまでありますが、ピンは1割にも満たないんじゃないでしょうか。えー、どういうことかというと、新聞や雑誌、ポスターの広告なんていう、一般ピープルが見て「あ、知ってる」といってもらえる広告を手がけたりしている人は、“くりえーたー”と名乗る生物の1割くらい(これは想像ね)じゃなかろうか、といっているのです。あとのひとはじゃあ何をしているかって? そーさね。カタログとかパンフレットとかつくっているとか。商品名や価格といった情報をたんにデータとして入力している人や、スペックを書き写しているような人もコピーライターと名乗っているはずですからね。
で、そこそこできる人は、小さなプロダクションから中堅どころへ、そして、CMなんかもつくっている規模の代理店に行って、名前を売りたいと思っているんでしょうね。転職を繰り返し成功するまでに何年かかるか? しかし、栄光(なにがなんだか)を手にする人は、ほんの少数に限られているわけです。そうした人が、組織の中でも偉くなっていくし、定年まで勤め上げることができる。
おそらく。プロダクションという世界で定年で辞めたなんていう人を探すのは、サハラ砂漠でなくした針を探すより難しいんじゃないでしょうか。5年も勤めていれば、長い方だったりするんですから。いやいや。長く勤めようにも会社がなくなっちゃうなんてのもしょっちゅうだしね。

同業種転職の次に多いみたいに思えるのが、“くりえーたー”から“くらいあんと”への転身です。「やっぱ、金だしている方が偉い。いじめられた分仕返ししてやる!」なーんて思っているかどうか知りませんが、企業の広告課などに就職しちゃう人って、結構います。自分では制作にタッチしないで、ディレクションする側に回るわけですね。「なんかいいアイディアはないのかね。これ? つまんないね」といって、ラフスケッチを一度でいいから破ってみたいとおもっている“くりえーたー”は多いはずです。ま、それはさておき。こういう転職は願っても叶うわけではありません(でしょう、きっと)。それなりのビジネス適応能力(この中には毎日スーツを着ることや、スニーカーで会社に行かないこと、髪を短くして髭を剃る、といったことも含まれています)があると認められた証拠です。ま、もともと“くりえーたー”に向いていなかった、ともいえるかも知れない。
いずれにしても、ランクアップしなければ転職の意味はないし、そういう転職ができる人は、なかなかいないということです。





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