広告屋の末路



で、さて。ある人曰く。「クリエーターの末路って、悲惨だからな」・・・。いや、その通り。かつてのデザイナーが営業マンになって会社に残っていられるのって、まだいい方だったりする。頭のいい人は、広告屋なんかさっさと見切りをつけて、メーカーの宣伝部や広告課にデューダ(旧いな、この表現)しちゃったりしている。広告屋からクライアントへの転身ですね。いままでクライアント(お得意)から好き放題いわれてりしていた人は、今度は昔年の恨みをしがない広告屋に当たり散らしている、なーんて話もうわさ話に聞きます。「おらもそんなふーになりてーだよ」なんていったって、バブル崩壊後の転職は針の穴をラクダが通るのよりも難しく、さらに、高齢者であったりすると門前払いということになります。
こういうのの実証は、日曜日と月曜日の朝日新聞の人材募集ページを見るとよく分かります。年齢の限度は、約35歳ですね。こういう高齢者(広告屋は30過ぎたらジジイです。アイディアは枯渇し、発想は堅牢になり、記憶はとぎれとぎれになっていく。それでも、まあ、自分じゃ若いつもりしているし、そーゆー格好もしたりしているけれど、ハタから見りゃただのオヤジです。自覚がないだけっていうこと、かな。え? 僕ですか? そりゃああなた、まだまだ才能に溢れ奇想天外の発想をもち、記憶力は抜群。まだまだ青年の頭脳と志をもっておりますですよ。あったりまえじゃん。僕以外の人の話ですよ、ぜんーんぶ。)にとって、再就職の道は閉ざされている。
さて、こういう人種である“くりえーたー”の老後(っていっても、この老後というのは35歳あたりからはじまるのですが)は、営業への転身(ただしデザイナー有利)、転職(転職先極めて少ない)、独立ホームレスなどがあげられます。(1996.5.30)






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