大学選手権・決勝
関東学院大学 vs 早稲田大学
2002年1月12日(土)

国立競技場


■結果

関東学院大学
21
13

3
16
早稲田大学
8

13

■試合
関東学院の、早稲田に対するトラウマが猛烈に残っていることが証明された。4、5年前の国立での準決勝。関東がダブルスコアぐらいでリードして折り返したけれど、後半、あっというまに早稲田に追いつかれ、逆転された経験・・・。あれが、まだ尾を引いているということだ。「早稲田にはリードしていても気が許せない」「なにをされるか分からない」「後半の逆転劇が怖い」・・・そんな気持ちが、PG狙いでの引き離し作戦を選択させたのだろうし、後半に追いつかれた後の慌てぶりにでていた。関東の平常心は、この日かなり狂っていたといっていい。そんな、おどおどした試合展開ぶりだったけれど、それでも何とか逃げ切れるという試合展開。そして、勝利。これでトラウマは消えただろうか。
正直いって、レベルの高い試合ではなかった。両チームともにミスが目立った。ターンオーバやラインアウトのノットストレート、オフサイド、パスミスの連続は、引き締まった試合とはほど遠い。とくに、関東は本来のパワーを発揮することなく終わった。不完全燃焼のまま早稲田に勝ったことは、いいことだったのかな? 見ている方としては、素直によーやったね、といえないところがあるよ。むしろ、早稲田のスペースをつくらせない鉄壁のDF。それも、出足鋭く俊敏に動き回る姿が目立った試合で、内容で言えば早稲田の勝ち。関東は内容で負けて勝負にはかろうじて勝った、ってな印象だね。
そう。この試合は、一貫して早稲田ペースだった。シーズン中のことを考えると、ここまで早稲田が力をつけてくるとは想像できなかった。後半、早稲田が13-13と追いついたときは、ひょっとしたら、これは早稲田の勝ちかな? と思ったぐらいだもの。そう。かつての後半逆転劇の再現は十分にある得る、と思わせるものがあった。
関東は、やたらキックをつかっていた。なんで? というようなシーンでまで蹴っていた。そのことごとくが、効果がない。タッチを割らずに相手ボールになるか、グラバーキックでもマイボールにできない。なんか、苦し紛れに蹴っているみたい。こうして相手ボールにしてしまい、早稲田にらくらくと抜かれるシーンがどれほどあったことか。辛うじてDFが止めてはいたけれど、ギリギリで、ありゃあトライ奪われてもしょうがねーな、と思える場面がたびたびあった。早稲田お得意の飛ばしバス、そのエリアを幅広く使うラグビーに対する対抗策も、あまりできていなかったよね。ああ、早稲田あまってる、抜けた! って思えるシーンがたくさんあった。かろうじて止めるか、早稲田がミスしてくれた。早稲田のツメがちゃんとしていれば、トライシーンになったに違いない。このあたりは、早稲田が関東を警戒しすぎだったかも知れない。警戒しないでがむしゃらに走っているか、アンカーへのパスが成功していれば、早稲田のリードは堅かったはず。その意味では、互いに警戒しすぎで思う存分できなかった、ってことにもなるのかな。
早稲田は、すでに書いたけれどDFの素早さでは申し分なし。どういうわけか関東の玉だしが遅いのと、ラインへの展開が遅々としているのを後目に、さっさとディフェンスラインを敷いてしまう。関東は、スペースのないオープンにボールを展開して、早稲田のプレーヤーが何人も待ち受けているところにアンカーが突進する。これではDFラインを切り裂くことも、ハンドオフで蹴散らすこともできない。で、こういう展開が何度もつづいたというのに、切換ができないんだよ。これまでの関東と、違う。いつもなら攻撃パターンを変えて、前半のロスを後半で挽回するという展開ができた。けれど、今日の関東は、そんなこともできない。
関東は、並の戦いでは勝てないと踏んだのだろう。序盤からPGを着実に狙って点差をつける作戦にでた。これは、正解だろう。がむしゃらにトライを狙うのは、愚挙だから。けれど、後半になって自信満々のゲーム展開ができなかったせいで、点差は、さほど開かなかった。これまでの試合なら、後半は突き放していたのにね。おまけに、コンバージョンやPGを失敗するという、それもひどいけり方で、っていうシーンが後半につづいた。私は、後半、早稲田が追いついて13-13になった時点で、これは早稲田の勝ちかもな、って思ったぐらいだ。それだけ関東は腰が引けていたし、逆転されるかも・・・というトラウマに憑かれていた。しかし、PGで放し、さらにトライで突き放してなんとか軌道修正した。といっても、関東2つめのトライもやっとのこらさでゲットしたもので、計画通り「やった」ってな感じではなかった。早稲田のミスに救われた、ってな方が正解だろう。
早稲田、よくやった。あのラインオフサイド(に違いないと思う)ギリギリの素早いディフェンスこそが、早稲田の真骨頂だったのね。
早稲田独走、っていうシーンもあったけれど、関東のディフェンスに止められてしまう。13番に走らせてのサインプレーもたびたび見られたけど、トライにまでは結びつかない。いまひとつだったのにね。
といわけで、関東の優勝は素直に喜べないというのが実状なのだが。ま、めまぐるしく展開する動き、そして僅差のスコアはスリリングで、なかなか面白かったことは事実だった。

■出来事
2時ちっょと前に入場。B自由席が意外と入っているのにビックリしてしまった。両側、前後がすべて早稲田ファン。左側のオヤジは校歌は歌う、ゲップはするでうっとーしくてしょうがなかった。
関東優勝で、NHKなんとか杯、NGなんとか杯、ブリティッシュ・エアウェイズ杯なんていうのがもらえるのね。
関東は試合後ウィニングランを半周。てづくり(?)の王冠をかぶったやつがいたりして、なにんともひょうきん。

■客の入り
準決勝に比べて、総数は少ないんじゃないのかな。北側の、関東サイドと決められたC自由席は半分ぐらいの入りだった。一方、早稲田サイドと決められた南側のC自由席はよく入っていた。ま、OBの数の違いっていうことだろう。しかし、関東のPGのときに「はずせー!」というコールが起こったり、関東有利の笛にはブーイングしたり、あんまり誉められた群衆となっていなかったね。秩父宮でみるときは、こんなに感情を露わにしない客層だと思っていたけれど。まわりがみな同窓という環境だと、ハメが外れるのかな? 私が座ったB自由席は、南の早稲田サイドよりのせいか、まわりは早稲田ファンばっかり。なんか、妙な感覚だった。入りは、B自由席も準決勝のときよりも入っていたぞ。S、A、Bという中央に近い席はよく埋まっていた、ということだ。

■天気
快晴。ぽかぽかと暖かく、ラグビー見るには最高の天気。

[2002.01.12]

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