早稲田大学
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37
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14
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−
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14
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31
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ニュージーランド学生選抜
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23
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−
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17
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■試合
なかなか興味深い試合だった。
前半30分ぐらいまでは、とても緊張感にあふれる内容で、見応えがあった。開始早々、早稲田がいきなりトライ。NZUのギャップを巧みについた、スリリングな攻撃だった。最初からスピーディにアタックし、ポイントをつくってはオープンに展開し、NZUを慌てさせただけある。日本代表Aも開始早々NZU陣内に攻め込んだけれどトライには結びつかなかった。この違いは、スピード、パスミス、ディフェンス力だな。すべてに早稲田が日本代表Aを上回っていた。・・・もっとも、早稲田のトライは、スローフォワード気味だったけどね。
NZUは、この早稲田のトライで構えて(ひるんで)しまったようだ。「手強いかな?」って感じ。でも、こういう気持ちを相手に抱かせたことが、結果的に早稲田の勝利に結びついたと思いたい。
で。それからが難儀だった。早稲田攻めるもNZUにギャップがない。ずらり左右均等に並んだ15人が、壁に見えた。そこにクラッシュしていく早稲田。ちと、バカのひとつ覚えに見えてきた。攻めても攻めても、ギャップが見つからない、ギャップがつくれないんだもの。あれだけ攻撃していてトライがとれないと、ずいぶん疲れるだろうなあ。ここで思ったのは、裏へ蹴り込め、だった。けど、22mラインの中へ蹴り込むことをしない早稲田。これじゃ膠着状態がつづいたままだぞ。結果的に、前半は2トライずつ。早稲田は多かったチャンスの中からなんとかギャップを見つけだしてのトライ。なかなか素晴らしかった。一方のNZUは、トライするときは力強い、というより大ざっぱ。個人技で走り込んでくる。やっぱ、早稲田のタックルが素晴らしかったといっても、相手1人に3人4人がぶら下がっていれば、DFの穴ができるのは仕方がない。
というわけで、前半30分ぐらいまでは早稲田の攻めにキレがあり、多くのトライには結びつかなかったけれど攻守で圧倒。ミスが少ないのが幸いして、日本代表Aのような、まぬけな抜かれ方はしなかった。立派だ。
ところが、前半30分過ぎから攻撃力が減退してくる。後半になると顕著で、走らない。攻撃もしない。一度、NZUのゴールライン間際でPGもらって、そのまま突進したんだけど歯が立たず。次に同じ状況になったら、さっさとPG狙いへと変更した。まあ、間違いじゃない。けど、見ていてつまらない、おっとりラグビーになっちゃった。
NZUも大幅にトーンダウン。なんと5人もメンバーを変えてきたのだけれど、どーも元気がもどる気配もない。どうやら、かなり疲れているようだ。なんでかっていうと、走らない。ラックができてブレークすると、ケガでごろごろ転がっているのはNZUってことが多くなってきたのだ。うーむ。いくらでかいといっても、年齢は22、3の青年たち。がつがつ当たられて、ばしばし走らされてかなり堪えててきている様子だ。レフェリングにもいちいち注文をつけて、ラックを組もうともしない。ラックでの露骨なスタンピングがあったり、小突き合いがおこったりと、なにやら気が立っているご様子。思うように動けない、小さな日本人を蹴散らせないいらいらが募ってきていたと見た。
というところで、早稲田が相手ラインの裏に蹴り込んでのトライを見せた。NZUのDFはがたがた。そうだよ。こういうプレーが見たかったんだ。まあ、もっとも、NZUの元気が減退してきたから効果があったのであって、当初からやっても効果がなかった、という見方もできなくはない。まあ、なんともいいようがないけどね。しかし、このトライでNZUの足が完全に止まった。やる気が失せたと見た。で、早稲田連続トライして2トライ2ゴール+6点=20点差になっちゃった。おお、これは早稲田、まだまだトライがとれるかな、調子にのって・・・。
ところが、この調子に乗った攻撃が裏目に出た。攻めることばかりに頭がいって、DFがスキだらけになってしまった。こういうスキを、やる気のなくなったNZUが攻めてくるんだから、その執念は凄い。どたどたと個人技で抜き、つないでトライ。ついさっきまで足を引きずっていた選手まで走り出す現金さだ。うーむるNZUおそるべし。あっという間の2トライで、点差はPGの6点だけになってしまった。時間はあと5分ぐらい。守りきれるか早稲田!
で、なんと早稲田はペナルティをもらう。ゴールまで40mぐらい。が、PGを外す。すぐに30mぐらいの所でまたまたNZUがペナルティ。が、またまたPGを外す。ばかかあ。ロスタイムに入って、ゴール前10mぐらいでまたNZUのペナルティで早稲田がPGを蹴った。これが入ってノーサイドだろう。と思ったら、なんとこのキックをチャージされてやがんの。だめだあ、こりゃ。
ま、なんとか時間に助けられて逃げ切ったけど、後半2トライとられて3PGを外したのは、とても恥ずかしいと思う。
NZUは、日本代表Aとの試合のときより、オフサイドは少なかった。それでも、がんがんペナルティをとられていたけどね。御領園さんのレフェリングは、なんとなくアバウト。一貫していなかったように思う。早稲田前半の2つのトライはどちらもスローフォワード気味。スローイングでのノットストレートも見逃していた。むしろ、タッチジャッジがいい仕事をしていたように思う。早稲田チャンスでタッチを割っていたのをしっかり指摘していたからね。ま、全体に早稲田に甘いように思えた。
ラックでのNZUの暴力的なプレーは、興味深かった。あのぐらいは国際標準なのかもしれないね。まあ、それでも早稲田はNZUに互して戦ったんだから、立派だったけど。
■出来事
オーロラビジョンにトライのリプレーがでるのはよかった。なるほど、と見てしまう。
NZUが試合前にハカをやった。それを見つめる早稲田。ハカが進むにつれて、じわじわと前に歩んでいって、ハーフウェイラインぐらいまで迫った。睨み合いのつもり? でも、破棄が感じられてよかったね。
■客の入り
青山ゲートから入ったけれど、江戸川でくれたパンフレットがもらえなかった。各競技場先着5000人に配布とHPにあったから、5000人以上は入っていたのだろう。1万人はいなかったように思うけどね。バックスタンドよりメインの方が入っているのが面白かった。
■天気
快晴。ちょっと風が吹いていた。
[2003.04.28]