ワープロがストーリーを書かせた



僕は、東芝のRupo50Fというワープロを最初に個人で買いました。まだ、液晶画面が2行しか表示されないものです。この機種を買ったのは“F”が末尾にあるように、フロッピーディスクが使えたからです。それ以前の機種は、カセットテープだった。ほとんど遊びでしたが。その後継機種は70Fといって、これは会社の同僚が買って、会社に置いていたので、それを会社では使っていた。まだ、会社がコピーライターにワープロを与える前のことだ。しばらくして、僕は90Fという機種を買った。これは、液晶が20行。なかなかの機種だった。しかし、まだアウトラインフォントではないし、印字速度も気が遠くなるくらい遅かった。で、そのあとですね、会社がコピーライターにワープロを与えたのは。Rupo95HDという機種だった。これは、アウトラインフォントが可能だった。そして、僕はこの機種でストーリーの大半を叩き上げた。
それにしても、ワープロがなかったら小説もどきなんて書かなかった。ワープロの、もったいつけずになにげで思いついた部分を適当に書いて、気がついたときに適当にふくらまして、コピーをプロックでがばっとして、前後を入れ替えたり、登場人物の名前を置換機能で一気に行なったり。そういう機能があったから、長い文章でも書けたんだと思う。僕には原稿用紙をちまちまと埋めていくということはできない。とくに、小説もどきを書こうとか、文章で身を立てたい! とか、書かなくてはいられない! といった必然性やモチベーションとかないし。いい加減な奴なんです。
そうそう。「震える血脈」は、生涯で2度目の懸賞応募だったのだ。1度目はね・・・