自治体の安全と危機管理
1.自治体のための危機管理

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神奈川県消防学校での講演

危機管理―組織的対応のありかた―

                    1999年3月4日

                  東海大学教授 首藤信彦

はじめに:この講演では前半が現代社会を取り巻く危機環境とその変容について、そして後半が危機管理の具体的な施策について話します。

第一部:現代社会の危機環境

危機管理とは何か

類似概念:リスクマネジメント、

        セキュリティマネジメント

        クライシス・マネジメント

危機は危険と機会(誰にとって、何が危機か)

価値観と哲学

危機管理と管理危機

危機のサイクルと危機管理のサイクル

危機化する現代社会

パラダイムとしての危機

グローバル化=含む日本

世界標準化の暴力:迫られる国内対応

時空と時限:24時間対応の必要性(東半球マネジャー)

インパクトの巨大さ:地球の隅々にまで報道される情報

全面化危機・津波的危機・ブーメラン的危機

アメリカ化する危機社会

毒物混入事件、保険犯罪、麻薬、銃器

複合化:政治・テロリズム・犯罪・教育・社会変動

   接点の多様化:危機要素の膠着性・接合の意外性

包括化・統合的危機

危機感の切実感(ポリカーボネイト食器、電磁波、アンテナ、環境ホルモン、ダイオキシン、O−157、テポドン)

原発の巨大リスク

2000年問題

   コンピューター(2000年、99年、うるう年、

   ネットワークのリスク)

   世紀末、ノストラダムス、ジュビリー...

通貨危機の教訓(攻撃側の専門化・高度化・巨大化と守る側の旧態依然)

基本的社会システムの崩壊

    (学級崩壊、社内崩壊、ズボラ化)

    目標を欠いた社会・組織

社会関係(市場が認めかつ社会が認めるか)

政治関係(政治の時代。マーケティングの5P)

中核業務としての危機管理

競争環境における危機管理

災害:地震・火山・サイクロン・水害・冷夏・寒波

国家を越える権威:地球温暖化・環境・難民・民主主義・人権

9.国際テロリズムの浸透  

10.戦争と制裁

日米安保新ガイドラインの意味するもの、半島、インドネシア

11.自治体の平和創造能力

12.近未来巨大リスク

  

第二部 危機管理をどのように進めるか

1。危機管理とは何か

(1)危機管理と管理危機

   −危機管理は90%が事前対応→それが無ければ危機管理

   −危機実在説の信奉

   −危機のサイクルと危機管理のサイクル

   −アーリーウオーニング(早期警報)

   −アーリーアクション(初期行動)

   −危機管理とは責任者が責任をとること

 (2)冷戦後世界への対応はできているか????

  −すべてが変化・変容する時代、何が変わっているかチェック

   している?いらなくなったユーゴは日本にとって路傍の石

   それとも他山の石?

 (3)危機管理に求められるもの

   −組織と責任   セキュリティ・ディレクター

   −情報      情報の集中管理、データベース化

   −第一報 誰がどう受けるか、誰に報告するか

   −全包括主義(ホーリズム)

   −パラレル思考 (ペルーで頭がいっぱいは最低の思考)

   −カルチャーとしての危機管理

(4)通常の情報伝達/意思決定システムと緊急時の情報伝達/

   意思決定システム

   −交流と直流の関係:スイッチを切り替える

   −日本的意思伝達システムのどこが悪いか

 (5)何の情報を集めるか

−リモートセンシング vs Ground Truth

   −対応の情報としてGTが重要→どうすれば情報が集まるか

   −情報の取捨選択とそのための権威

   −草の根情報ネットワーク、情報を持っている者を探し出す 

   (社内データベース)

(6)総務部の限界

 (7)人材:豊富な知識と経験、柔軟な発想、広いつきあい、

    会社から一定の距離をおける人物、女性、高齢者、外国人、

    障害者、逆に、警察的発想(犯人中心主義・権威中心主義)

    や企業中心主義の発想はダメ

(8)官僚には出来ない危機管理

   予算、縦割り、評価、前例、法律

   「この桜吹雪がみえねいかい~~」

(9)法学部から心理・社会学部出身者へ

(10)日本的経営システムは危機管理における自殺システム

(11)政府を無警戒で信用すれば、ペルー大使館で長い休暇

 

2。多国籍企業に学ぶ

(1)企業の責任・企業のミッション(何のために企業はあるか)

(2)拘束下での努力・緊急時転用設計

(3)市民・環境を味方につける

(4)セキュリティ・ディレクター

(5)急激な変化への対応:犬は何時噛むか

(6)危機戦略・危機マーケティング

(7)セルフディフェンス

 

 

3。危機管理とリスク・コミュニケーション

 (1)リスクコミュニケーション

   「正しい知識・情報」と「必要な対応」

   原子力広報、エイズ広報 vs 自動車免許更新講習ビデオ

 (2)日本的経営におけるコミュニケーション・リスク

 (3)求められる事前コミュニケーション:情報公開、社会教育

 (4)有効なコミュニケーションとしてのパソコンネットワーク

 (5)両刃の剣としてのインターネット RAN, E-coli

 (5)カウンターメディア

   かいわれ大根・所沢野菜騒動:

    一度悪者になったら、イメージは回復しない

4.オープンシステムにおける危機管理

   ペルー大使公邸事件が教えるもの

5.危機社会における消防の役割

6.社会のために働き傷つく者をどう評価する

7.コミュニティ・ボランティア・パートナーシップ

 

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