地雷・小火器問題

 

Jyoddy

 Willams とJCBLの会談 11・19‘1999 (JVCにて)

ノーベル平和賞受賞のJyoddyAARの長さんのアテンドでJVCオフィスでの会議に参加、当日は体調わるく、講演も途中で切り上げたとのこと。(新旭町で地雷破壊を見学、そのあと小渕総理と面談)

しかし、話始めると次第に気合が入ってきて、忌憚無い意見交換ができて有意義な会合となった。以下

Jyoddy

 

((

Joddy))ICBLのチャレンジは次の6ヶ月どうするかである。1992年に始めて以来、誰も考えられなかった成功を獲得した。136ヶ国がオタワ条約に加盟し、そして現在89カ国が批准している。ICBLの次のチャレンジはいうまでもなく、この136と89という数字を増やすことであり、そのために各国政府に圧力をつけつづけよう。現在でも、すでに地雷除去と被害者支援に資金が集まらなくなってきている。

ICBLの課題は、(1)すでにある程度の成功を納めた成熟したキャンペーン(

mature campaign)がどのように緊張感をもって、圧力をかけ続けられるか(2)各国が保有している地雷廃棄(stockpile destruction:オタワ条約では4年以内)にかかっている。

((質問1))旭町での旭化成の破壊のように、民間企業が破壊するのは問題がある。自衛隊にやらせるべきだ。

((

Jyoddy))そんなことはない。多くの国で廃棄は民間企業でやっている。軍ではむしろ、大量廃棄などは技術なく、できない。スウェーデン・オーストリアでも民間企業が請け負っている。

問題はウクライナなど、廃棄しようにも資金に乏しい国の問題だ。ウクライナには約1010万個の地雷が備蓄されているが、現在、カナダ政府とウクライナ政府との交渉がもたれ、ウクライナがそれを第三世界に売らない代わりに、カナダ政府が廃棄費用を負担するという交渉がもたれている。その場合、カナダの民間企業が破壊を担当することになる。現在問題となっているのは、金に困った国が、廃棄すべき地雷をニーズのある発展途上国に売却することである。このやり方で、そうした廃棄地雷が発展途上国へ流出するのを食い止めることができる。

新旭町でも民間企業がやっているが、ドームの中で破壊し、テストも実施し、環境にもいいと判断する。何よりもよかったのは、軍と市民の対話が生まれ、公開での破壊という透明性(

transparency)があることだ。また小さな町が、グローバルな問題に取り組んでいることも重要だ。

透明性に関しては、小渕総理にも評価を伝えた。破壊が1月から本格化すると、小渕総理も見学に行くそうだ。

 日本が地雷を除去しようにも資金がない国に援助しているのはすばらしいこと。日本の

NGOも資金をそのような形で日本政府から貧しい国へ援助させることを推進すべきだ。

((質問2))ICBLがそもそも

(ほかの形態でなく)キャンペーン(政治)という形で、地雷問題に取り組んだのはどうしてか。

((Jyoddy))

 1991年に地雷廃絶のキャンペーン、すなわち政治運動を盛り上げて地雷除去をしようとしたとき、2つのNGOしか関心を持たなかった。それはアメリカのベトナム退役軍人会であり、彼らは91年に地雷被害者への義足支援プロジェクトを開始していた。もう一つはドイツの医学界のエリートであった。

誤解ないように言いたいが、私は地雷だけをこれまでやってきたわけではない。地雷の前には10年間アメリカの対中米政策を変えさせようとキャンペーンを行ってきた。

その意味で、地雷は一つの方法・手段

(method)にすぎなかった。私が求めたものは、政治に変化をもたらそうとしたのだ

 また地雷の問題だけを考えているわけではない。解決すべき問題は、地雷以外にもたくさんある。小火器、少年兵、ジェンダー問題、環境など、市民社会が取り組む課題は多い。

((質問3))とは言いながら、

ICBLはクラスター爆弾の問題に取り組んでいないではないか!?

((

Jyoddy))クラスター爆弾に関しては、いろいろ意見あるが、私はICBLはクラスター爆弾に直接取り組むべきでないと強く主張している。ICBLの成功は、それが地雷に集中したからこそ達成できた。ICBLというNGOが成功したからこそ、次の可能性がでてきたのだ。その意味で、ICBL可能性のシンボル(Symbol of Possibility

になったのである。

クラスター爆弾に関しては、現在

HumanRightsWatchが活発に活動しており、彼らもまたICBLがこれにかかわることに反対している。

 

CCW(特定通常兵器削減条約)は2001年に見直しを行うことになっており、来月ジュネーブで準備会が開かれる。ICBLもそこに人を派遣する。対戦車兵器、クラスター爆弾や音響兵器などに働きかけるとしても、それは個々のNGOがすることで、ICBL自体ではない。

 しかしながら、政府側は、クラスター爆弾に関しても規制が加わるかもしれないと戦々恐々で、自己規制を始める。クラスター爆弾はコソヴォでNATOが使用したが、イギリスでもアメリカでも市民の評判が悪く、ホワイトハウスからも使用するなとの指令がでた。

このように、NGOがキャンペーンを張るかもしれない...から政府も先回りして自己規制する...これこそICBLの成功の成果だ!

 地雷廃絶に、アメリカは何もしていない。アメリカだけでなく、インド.パキスタン・中国・ロシア・イスラエル、こういった国がサインしていないのが問題だ。

ペンタゴン(アメリカ国防省)としては、地雷問題というより、兵器や軍事的なことが市民に影響されることを何よりも嫌うのだ。あの兵器はいいとか悪いとかを市民が規定し、影響を与えることを何よりも恐れる。現在、軍はきわめて保守的になりつつあり、またクリントン大統領は誤った情報を受けている。アメリカ議会はCTBT(核兵器実験禁止条約)を拒否し、現在アメリカは右派と孤立主義へ傾斜を強めている。

 余談だが、先日パーティでクリントンに会った。彼は社交的な人なので、パーティに来た人の環の中心で、おおはしゃぎで、参加者の求めに応じてパーティのプログラムにサインをしていた。そこで私はクリントン大統領に近づき、「大統領、私はプログラムなどにサインはいらない、地雷廃絶のオタワ条約にサインください」と言った。クリントンは地雷廃絶に賛同していたが、軍部に拒否されたりして、個人的に複雑な思いなのだろうが...彼は不快感をあらわにして、「オタワ・プロセス自体、アメリカに恥をかかせた」「オタワ条約は朝鮮半島の問題を無視しているし、対戦車地雷も廃止しようとしているので駄目だ」などと言ったが、それは誤りだ、オタワ条約では対戦車地雷までは禁止していない。彼は誤った情報を信じている。

((質問4))子供に地雷の問題を伝えようとポスター展などをやっている。子供へのメッセージはないか。

((

Jyoddy))ここへくる前に高校生に話した。アメリカで、Peace JammingというNGOがある。これは二人の狂気のアメリカ人が、ダライラマやツツ司教など世界の11人のノーベル平和賞受賞者を集めて、支援させようというもので、私もその中に入っている。また私は、ボランティアでこのNGOを支援している。22の高校から4人ずつ選ばれ、総勢300人が週末をノーベル平和賞受賞者と一緒に生活し、過ごそうというものだ。

 私の若者へのメッセージは、あきらめず、行動を作っていけば、世界は変えられるというものだ。けして地雷だけの問題ではない。

 私のメッセージは、個人の行動が世界を変えられるということだ。そして一人一人が次第に協力して行けば大きな成果が生まれる。一本の指は弱いが、五本の指(すなわち手)は強いのだ。

((質問6))成熟したキャンペーンは新しい刺激をつくりださないと、反応を呼び覚まさせないのではないか、そのようなものは何か。また日本のNGOには何を期待するか。

((

Jyoddy))地雷廃絶キャンペーンのチャレンジは、政府にプレッシャーを与えつづけるというものだ。前述のように、日本は他国の地雷備蓄廃棄を手伝ってほしい.日本は資金の無い国の地雷除去にお金を出すというリーダーシップを示した。資金に乏しい国の地雷廃棄への支援に関してもリーダーシップを発揮してほしい。

 もう一点は、日本国内のアメリカ軍基地内の地雷廃絶である。日本の基地で地雷が廃絶されれば、アメリカが地雷廃絶条約にサインできない根拠が薄れ、政府へのプレッシャーとなる。どうようにNATO域内のアメリカ軍基地で地雷が廃絶されれば、アメリカ政府への強いプレッシャーとなる。この面でも積極的に活動してほしい。(文責 首藤)

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小火器問題と開発                     Dec.14,1999              東海大学教授、インターバンド代表

               首藤信彦(すとうのぶひこ)

1 小火器問題(Small Arms and Light Weapon

火器以外   刀剣・槍:machete sward      

火器

爆発物:手榴弾、地雷(UXO)   C4、プラスチック爆弾

手製銃

拳銃     レボルバー、オートマチック   マシンピストル、サブマシンガン

ライフル(カービン) 狩猟用銃, assault rifleAK47,M16,FN-FAL

マシンガン  軽機関銃

グルネードランチャー、対車両ロケット

地対空ミサイル(スティンガー)

2 小火器の特徴(ライフルの場合)

1 安価 生産価格

       流通価格

       中古・廃棄品価格

       正規放出

2 量産品、低技術、ライセンス生産

      冷熱プレス加工、フィールドストリップ

(3) 軽量  3.5kg前後

4 耐久性(長寿命)、操作の容易さ

5 弾丸の共通性(7.62, 5,56)

6 軍装品、警察、在郷自衛組織 −(7  ゲリラ、犯罪組織

8 生活手段、家庭防衛手段、

9 文化、スポーツ、趣味、先進国

3 小火器の拡散

1 戦争、冷戦構造下の代理戦争、内戦・地域紛争

2 共産勢力を封じ込めるための安価な現地武器生産、

3 武器輸出入・取引

(4) 公式・非公式配布

5 コアからの流出(アフガニスタン、ニカラグア、コソボ)

6 国家崩壊(アルバニア)、Rogue Nations

7 難民とともに移動、玉突き移動

8 紛争停止後のリサイクル

9 市民社会の武装化

10 東欧武器輸出国の破綻、NATO参加後の廃棄、技術変革期

4 小火器のもたらすもの

1 治安悪化

2 内戦、地域紛争、虐殺、難民の再生産、紛争の悪循環、少年兵

3 キャパシティビルディング(司法、治安、生活)の阻害

4 平和再建の阻害

5 開発阻害

6 平和文化阻害

7 ミクロ軍縮

 

5 小火器を使う側の問題

1 正規軍兵士、警察、ゲリラ、民兵、パラミリタリ、犯罪集団、市民

2 DDR( Disarmament, DemobilizationReintegration )

3 武装解除

4 動員解除

5 社会復帰と再統合

6 Reconciliation/Impunity

 

6 小火器回収プログラム                      

1 バイバック(buy-back) :Guns to money → 価格設定、資金、安全

2 Guns to tools : Mozambique

3 Guns to job

4 Guns to goods ( seeds, bicycle)

5 Guns to assets ( houseinfrastructure)

6 Guns to future ( scholarshipjob opportunity)  

7 研究、啓蒙、実施、資金、人材、情報何一つ十分なものはない。

冗談としてのアルバニア銃回収

 

7 Guns to Hoes in Mozambique

1 グラサ・マシェル夫人とNGOs

2 銃から鍬(国連精神、聖書のアナロジー)プロジェクト

3 アエロ国連特別代表との協議、シサノ大統領との交渉

4 何が難しいか:銃の重さ(軍備、兵器、現状の勢力関係(対RENAMO

将来の脅威・軍事行動)

5 CCM( Christian Council in Mozambique ) の登場

6 部分的成功、唯一の成功事例?

 

8 何がむつかしいか

1 小火器の絶対量の多さ

2 無管理(製造者、製造国、流通、使用者)

  (3)必要資源不足(ヒトモノカネ情報・研究・意思)

3 軍備、治安維持など国家機能との抵触

4 武器回収はそれ自体、軍事活動

5 技術的困難(破壊、保管、輸送)

6 勢力関係への影響

7 文化・社会との抵触

8 捨てることの心理的バリアー

9 有効な交換物・サービス

10 人はいつ、なぜ武器を捨てるか

 

9 DDR・ミクロ軍縮としての小火器の回収・廃絶

1 国際社会の意思

2 分析・研究

3 必要資源

4 弾薬問題

5 WTO(観光)、ISO(平和創造企業)

6 キャンペーン

 

 

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1.JCBL/ICBL

会合

(ノーベル平和賞ジョディ・ウイリアムさんを迎えて)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2.外務省での小火器問題会合における講演レジメ