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 -  箏に使用される材料

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 ENGLISH  

使用される材料

 

現代の箏曲(そうきょく)で使用する一般的な(こと)は、全長約182cm、幅約25cm重さは約5.5kgで、空洞のボディは共鳴胴の役割をしています。ボディのほぼ全体が桐で出来ており、細部には紅木、紫檀、花梨、鯨骨、象牙などが使われています。福島は会津地方の桐が最も箏に適していると言われており、木部の密度や水分の含有量などが音色に影響することは良く知られています。

しかし近年、需要の変化により国内の桐の生産が激減したため、中国や北米の桐材に頼るようになりました。会津桐の優れた音響性は、多孔質で密度が高く、硬度と粘性のバランスがとれた木部の特性によるものです。異なる産地による生育環境の違いは木部の質に様々な違いをもたらし、箏の音色や外観にも影響を与えます。

初夏に美しい花が咲く桐

 

 

箏の絃は13本あり、かつては絹糸を使用していました。しかし楽曲や演奏スタイルの変化に伴い音量や耐久性が求められるようになったため、充分な強度が期待できる化学繊維が主流となりました。原料のポリエステルは伸縮率が高く気温や湿度の影響を受けやすいため、箏の絃は常にテンションが変化する運命にあります。絹糸を使用していた時代に比べればかなり改善されているとはいえ、チューニングを維持することが難しい楽器といえます。雅楽(ががく)で用いる楽箏(がくそう)の絃は絹糸で、絹糸ならではの音色を現在も継承しています。絃のピッキングポジションにあたる箇所は箏爪(ことづめ)によって激しく摩耗するので、適当な時期に交換します。爪は象牙です。プラスティック 製の爪も生産されていますが、幼児用もしくは体験レッスンに使用する以外は注意が必要で、ポリエステル絃に対して硬度が適切でないため頻繁に絃が切れてしま います。ちなみに、楽箏は竹製の爪を使用します。

 

各絃の音高を調節するために箏柱(ことじ)と呼ばれる可動式のブリッジを使います。かつては多くが木製で部分的に鯨など動物の骨を利用したものもあり、サイズも小さめでした。現在はプラスティックが主流で、より良い音色を得るために大きさや重量、形状に様々な工夫が施されています。象牙柱も流通しており、素材にこだわりより美しい音色を追求する多くの演奏家たちを魅了してきました。音を伝える媒質の密度や硬度、演奏時における柱の物理的な安定性などにおいて象牙の優れた特性は演奏者にとって確かに有利であるといえます。実際には演奏会など特別な場合に使用されるわけですが、象牙柱が常に箏の最良の音色を実現するわけではないことは多くの演奏者も知っていることです。音は、振動を伝える物体と空気を経由して耳に届きます。つまり絃の振動を伝える物体と空気のコンディション、そして聞く人の耳によって音色は様々に変化するのです。最終的には演奏者が自分の耳で音をデザインしなければなりません。

 

生田流の箏爪

 

 

箏柱

 

象牙は絶滅が危ぶまれる野生動物から採取されるため、1975年 にワシントン条約(CITES)によって国際的な取引が規制され1980年に日本も締約国になりました。以降、日本は1999年と2008年の2回、伝統工芸品や楽器部品、印材として のみ一時的に象牙の輸入を許されました。輸出が許可されている象牙は、特定の地域において自然死または頭数調整により採取されたもののみです。しかし、象牙は高価で取引されるために密猟が後を絶たず、長年にわたり国際的な問題となっています。日本は中国と並んで象牙の輸入大国ですが、人工象牙の開発も行っており実用化も進んでいます。

 

 

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