2007年10月31日(水曜日)

 (20:55)キリンビールが31日にビール類の出荷価格を18年ぶりに3〜5%引き上げると発表。「18年ぶり」というのがミソですね。デフレの時代があたかも終わったかのように。値上げ実施は来年2月からだそうですが、その大きな背景の一つは穀物相場の上昇。大麦、トウモロコシ、それに小麦などなど。あとはアルミとか、段ボールとか、燃料。身の回り品が上がり始めている。

 それに関連して、今日のFTにはオーストラリアの早魃の話が出ていて、見出しは「Bad harvest casts a long shadow」となっている。さらに副見出しには「farmers have been driven to suicide」と。つまり農民が自殺に追い込まれるほど困窮しているということ。

FTの記事にはオーストラリアの地図があって、降雨量の分布が示されている。それを見ると今年のオーストラリアがいかに異常気象なのかが分かる。降雨量平年以下がほぼオーストラリアの面積の9割を覆っている。雨が平年以上降っているのは北、東、西の海岸の一部地域だけ。中部から南部にかけては非常に雨が少ないのが一目瞭然である。

 オーストラリアの平年の小麦収穫量は2500万トン。それが今年はつい最近収穫見通しが再三引き下げられて1200万トンとなった。これは去年の980万トンに比べてはいいが、それでも昨年に続く不作ということだ。

 困窮してきているのは農民のようだ。二年続いての不作は応えるでしょう。収穫は年にあっても2回で、大部分は一回でしょうから、不作と言うことはその年の収入がないに等しい。この記事を読むと、去年の不作があって今年は「平年並み」との当初の見通しがあったが故に、どうやらオーストラリアの農家のかなりの部分は、その時には「納得できる高さ」と思った先物価格で、今年の収穫分を先売りしていたようなのです。先物市場で。

 しかし収穫量が著しく減った。とどうなるかというと、先売りした分量を確保できない。その分は、契約に基づいて市場で買って売り渡さなければならない。収穫がないだけでなく、足りない分は当時からは予想も出来ない高い価格で買って売り渡しをしなくてはならない。これは当然ながら農業経営者には凄まじい負担です。

 「農民の自殺」と聞いて、去年行ったインドの農村を思い出しました。土地の気候に合っていないのにバイオ種子を借金で買って作付けをしたものの、思うように収穫を上げられずに借金苦に追い込まれて、そして担保の土地を取り上げられ、そして追い込まれていたインドの農民。

 農産物価格の上昇は本来は世界の農家にとって朗報なはずなのに、雨量不足などで収穫が上がらなければ、逆に負荷になることは明らかです。インドもオーストラリアもそう。私が見た限りでは、今年の6月に取材したアイオワ州(アメリカ)の農家はトウモロコシなどの収穫は順調で値段も上がり、加えて土地価格も上昇していた。アメリカは知りうる限り、農家が価格上昇を享受している唯一の国です。

 世界を巡る農業情勢が徐々に厳しくなっていく中で、食糧自給率が39%の日本の農地が、休耕や後継者不足で放棄され、荒れていっているのはどうかなと思いますね。私は日本も株式会社の農業参入などを含めて、徐々に農業の生産体制を整えていかねばならないと思う。


2007年10月30日(火曜日)

 (23:55)赤福に続いて御福餅も。伊勢のおみやげ業界は大変なことになっていますが、赤福ファンだった私としても大阪や名古屋の店を探してもお餅系のお土産がなくなったのは残念ですな。赤福はホームページをお詫び一色にしている。

 伊勢に最後に行ったのは今年の8月の中旬でした。その時は赤福の本店に行って、凄く混んでいるときでしたが、赤福の上に氷を乗せた他では食べられない限定品を頂いたのです。夏だけの、本店だけの商品だったんでしょうね。

 それが美味しかったのは良かったのですが、伊勢のタクシーの運転手さんなどと話していると、どちらかと言うと赤福という会社に対する批判が多かったことが妙に耳に残った。「とにかく凄いですから....」と妬み節が。

 伊勢には「おかげ村」という商店の集合体がある。いろいろなレストランや食品やお土産品を売っていて、なかには劇場もあった。「おかげ」は昔の「おかげ参り」から来ているのでしょう。結構規模が大きくて、赤福の本店から歩いて直ぐだったと思った。

 その村も、「すべて赤福が作った」と運転手さん。加えて「赤福さんは何でも持っていますから」と。赤福の勢いが地元の一部の人達にはしゃくに障っている様子がよく分かる会話だったのです。「今の社長は」とか、「先代は」という話しがぞろぞろ出てくる。

 その時思ったのは、例えば東京などの人間には人気があるが、「地元では恨まれているのかな」という事。伊勢の人全員に聞いたわけではないので分からないが、まああれだけ成功すれば恨まれもするのはある程度自然でしょう。

 伊勢、具体的にはおかげ村などの街作りに貢献したという面はあるにしても、一部の人には癪に障る面もあったに違いない。しかし、存在が大きいと言うことは、赤福は伊勢における雇用の結構な部分を担っている、ということも確かなのです。

 なぜああいうことが起きたのか。私は明らかに「作り過ぎ」だと思うのです。余るほど、売れ残るほど作るべきではなかった。作り過ぎたからムキあんとかムキ餅だとかという問題が起きる。例えば「一日一万個しか作りません」「売り切れたら終わりです」という一部の蕎麦屋が取っている方式を採用すれば、問題は起きないような気がする。

 「もったいない」という気持ちは分かる。しかし、消費者を欺く表示の書き換えなどは許せない、と思う。健康被害が出ていないからいいというものじゃない。やはり商品は表示通りでないと。それからあまり地元で恨まれるのも良くないと思う。

 こうした問題を乗り越え、赤福の製造に関わる考え方も変えて上で、関西のお店にまた赤福が登場することを私としては願っているのですが....。


2007年10月29日(月曜日)

 (13:21)今年のMLBが終わってしまいました。インディアンスにちょっと押し込まれたことはあったが、やはりレッドソックスが強かったと言うことです。ロッキーズにはスウィープですからね。

 はやり第一が投手力でしょう。ベケットのワールドシリーズの第一戦の初回が全てを物語る。全てストレートで三者三振に打ち取った。15球だったかな。ガッツが前面に出る素晴らしい投手です。ワールドシリーズの方向性は彼が作り出したといって良い。ベケットは今年20勝投手になったし、何よりも負け数が少ない。

 加えてシリングと松坂です。ベケットよりは安定感に欠けたが、何よりも二人とも「ここ一番」というところでは踏ん張った。「踏ん張った」という表現が当たっていると思う。松坂も最低限の15勝を挙げたし、ポストシーズンでも2勝を挙げた。

 そして何よりも最後の二試合でHRを2本打たれ、5失点となったものの、岡島の存在は大きかった。先発→岡島→パペルボンという123のリレーが面白いように決まった。ガニエが入ってやや乱れたときがあったが、シーズンを通せば岡島は安定していた。彼は最初と最後の登板にHRを打たれるという珍しい中継ぎとなった。岡島は試合を面白くしたが、チームを負けには導かなかった。まあ、フランコナの使いすぎですよ。岡島が最後へとへとになったのは。パペルボンのあの気合いの入った顔も印象的だ。

 打線も凄かった。ユーキリス、オルティーズ、ラミレス、ローレル、ドリューまでは、どこからHRが出てもおかしくなかったし、ペドロイアは体が小さいのにめいっぱい振って、特にポストシーズンでは非常に重要なHRを含む長打を打った。ルーゴは荒い守備もあったが、顔と目がいつも何かやりそうだった。つまりチームとしてのバンラスと力強さが良かった。

 ヤンキースは、バランスが悪い上に、ここぞという時の「力強さ」に欠けた。松井稼頭央のいたロッキーズは、終盤のあの勢いを8日空いたことで削がれたことがいたかった。荒いプレーも、監督の作戦ミスもいっぱいあった2007年だったが、今の状況ではピッチャーがしっかりしているという意味では、レッドソックスの強さが光るここ数年になるかもしれない。

 出張先の広島に行く新幹線の中でずっとチェックしていたので、PCとケイタイの両方の電池が少なくなってしまいました。


2007年10月29日(月曜日)

 (12:54)ありゃ、てな感じですな。昨日までチューリヒに行っていた小林君によると、気温が非常に低いそうで摂氏2度から7度で推移したと言う。昼間の温度でしょうから、今年の欧州は寒いと言うことになる。

 気になるのは、今週から11月に入るのですが、あと2週間ほどで欧州、特にドイツへの出張・取材が決まっていて、あまり寒いのは嫌だなと思っているからです。何よりも持って行かねばならないものが増えるじゃないですか。小林君は現地でコートを買ったとメールに書いてあった。寒さそのものは特に嫌ではなく強い方だと思うのですが、持ち物が増えるのが嫌なのです。

 ところで、日曜日には面白いテレビ番組の収録に参加しました。爆笑問題が司会をする「エンタな解体新書」という名前の番組です。11月3日に日テレ系で午後放送されるそうですが、文化の日に相応しく、日本社会で見られるリストラ、定年、派閥などなどの現象を、遠方の国々、民族の間でも見付けてその差異や類似点を見いだそうという番組。

 話しがあったときから「それは面白い」と思ったのと、かねて懇意のミスター林の紹介だったこともあって出るつもりでいたのですが、もう一つ思いついたのは「これは、ニューデリーで2年前に作ったインド服のどちらかを着るチャンスではないか」ということ。番組の取材対象の一つには、インドに極めて近いネパールも入っていると聞きましたし。

 2005年だったかな、チャタルジーさんの行き付けのテーラーで採寸して作ったのです。しかし日本ではなかなか着る機会がない。今までギャオの番組や日経CNBCの番組で合計3回くらい着たかな。ははは、ちょっと奇妙かもしれませんが、作ったものが役立った満足感はある。

 いつ深刻な事件が出てくるかもしれないニュース番組にはなかなか使えない代物ですから。私のインド服は断じて借りものではありませんから、良かったらご覧になってください。いえ、番組も面白かったですよ。子供が7人もいる弁護士も来ていたし、中原先生も。あとタレントの矢口さんも。あっちゃんの紹介によるその後の打ち上げの鍋処(「うみの」と言いました)もなかなかの場所でした。


2007年10月28日(日曜日)

 (09:54)なぜ昨日だけだあんな雨・風だったのだろう....と。というのは、昨日の昼に新井薬師さんで法事だったのです。大叔母の7回忌の。90才を過ぎてなくなった方の7回忌ですから出席者は20人弱でしたが、それでもお年を召した方が足場の悪い中を運んでくれて...と申し訳なく思っているのです。

 20号でしたっけ。突然発生したような。普通、台風情報というのは数日前からあるものですが、昨日はその日の朝になって「台風が....」と報じられたと思う。かする程度かなと思ったら、印象としては半直撃に近かった。ちょっと早めにお開きにしたのは良かった。お集まりいただいた方々には、ご足労様でした。

 あれだけ激しい風雨では外に出られないので、夜は録画しておいたNHKの「ポアンカレ予想」とその難問を解いた数学者がいなくなったというドキュメンタリー、それにモンゴルの子供達のBSの番組を見ましたが、前者は難しかったな。

 まあ私は人間ドラマに興味があったので、世界の数学者がこの100年はまり込んだホールの深さに興味を持ちました。数学者には、我々には見えない世界が見えている、ということになる。多分もう一度見て、かついろいろ周辺情報を集めないとあの番組は分からない。残念ながら。能力の範疇を超えている。

 モンゴルは9月に行ったばかりなので、親近感があった。そうそう、ああいう子供達が一杯いるのだろうな、と。もっと悲惨な子供達もいますよ。市場経済が始まった最初の数年はきつかった、という大人の話も面白かった。つい最近行ったウランバートルですから、「あれ、この景色はあの道から撮ったのでは」というシーンも。

 川の畔にできたウランバートルの大きな道は、確か一本だったと思った。だから、数日間モンゴルに居てあちこち移動した我々は、ウランバートルの主要道路はすべて通っている筈です。モンゴルは、あと5年後に行くと、凄く変わっていると思う。


2007年10月27日(土曜日)

 (09:54)昨日まで出来なかったことが出来るようになる、というのはなかなか楽しいものです。

 一週間ほど前ですかね、「どんなもんじゃろ。そろそろ一段落では」と思って、銀座のアップル・ショップでタッチを買ったのです。在庫ありでした。新宿のアップル本社でいじっていたので、「様子は知っている...」「直ぐ使える」という自信を持って。

 むろん、音楽入れなどはコンピューターに入っているitunes の音楽を同期させれば良いだけなので、簡単です。だから、直ぐに使えるようになった。しかし私のitunes に入っているデータ(音楽など)はかなり前にCDなどから入れたもの。よってアルバムアート(例の写真や絵です)情報が入っていないものが多い。

 とどうなるかというと、タッチのウリの一つであるアルバムアートをチェーンのような回して見せる機能を示そうとしても、同じ音符のマーク画面がいくつも出てくるだけでちっとも迫力がない。やっぱり、一枚一枚のアルバムが違うこと表示できないと。で再びitunes のアルバムアート情報を最新にする手順を踏まなければならないことに気がついた。

 itunes の表示を変えてアルバムアートが出るようにしたら、ほぼ全部のアートが取得できていないことに改めて気がついた。随分前に好きなCDから itunes のミュージックリストを作ったんだな、というわけです。

 先ず試したのは右クリック。「アルバムアートの取得」だったかな。いくつか取得できた。むろん、ログインした後です。どうなっているか知りませんが、多分アップルのサイトが契約しているアルバムは直ぐに入手可能です。なかにはちょっと時間がたって拾ってきたものもある。

 しかし、「取得できませんでした」というメッセージのアートもいっぱいある。実はそこで数日止まっていたのです。「どうやってアートを取得するか」で。今週木曜日かな、オフィスで佐々木君とその話をしたら、「ネットからのコピーという方法もあるのでは」ということになった。例えばアマゾンなどです。音楽会社に縛られずに、自主制作のようなアルバム以外はほぼすべてアートを伴ってアルバムやミュージックがアップされている。

 ちょっと疑心暗鬼だったのですが、金曜日の夜にそれをやったら、ちゃんとitunes にはコピーセクターがあって、そこにアートを入れてやるとそれをitunes は拾ってくれる。でも結構時間がかかりました。窓を二つ開けてやったのですが、キーワードを入れて検索しますから、なかなか時間がかかる。

 全部入れ終えて思ったのは、やはりアマゾンからコピーしたアートは荒いということです。アップルのサイトから取ったアートは綺麗です。サイズから言っても、アマゾンのそれは本来は小さい表示しか前提にしていない。まあだから、機械があれば新しいアルバムに徐々に切り替えていって、アートも切り替えていくんでしょうね。それの方が綺麗ですから。

 しかし、数日間「どうするんだろう」と思っていたことが出来たことはナイス......です。ちょっと前進したような。


2007年10月25日(木曜日)

 (22:54)ウォーレン・バフェットは今大連にいるようだ。2003年に資産の大部分を中国株、特にペトロチャイナに投じると発表して注目を集めたアメリカの大投資家だ。今彼は「この間にペトロチャイナは7倍に上がったが既に売った」と言った上で、「ここ2年間だけで6倍に上がった中国の株にはご注意を....」と中国内外の投資家達に警告している。

 中国株の最近の上げに警告を発しているのは彼ばかりでない。香港の伝説的な投資家リカシンやグリーンスパンもそうである。別に彼等でなくても、今の中国の株式市場の異常さは見ていて分かる。何よりも株に対する中国の一般投資家の熱意が尋常ではない。NHKの最近の番組が、それを丁寧に追っていた。

 その中国の経済は、率を見る限り引き続き高速であるが故の軋み音を立てながら成長している。7−9月も輸出と固定投資を中心に11.5%だ。しかしその高い成長率が、中国当局の目標とする3%の二倍以上の物価上昇率(6.2%)が生じさせていて、またまた中国金融当局が利上げに動くとの見方が強い。

 株高と利上げは歴史を見ると、いつかはっきりと離反する。同じような状況はインドにもある。インドの準備銀行も利上げを実行中だ。G7声明が世界経済の成長にとってクリティカルだと言っている途上国の経済にも成長の結果としてのインフレが忍び寄りつつある。一方で、先進国経済はサブプライム・ローンから派生した金融商品と、それを抱えた金融機関に対する不信感で、金融市場の一部に機能不全が見え、欧米経済に鈍化の兆しが見える。

 周知の通り、世界には次々にお金持ち国が生まれている。ロシアであり、中国であり、インドである。従来組としては産油国。加えて日本を含めた先進国の資金が「より高い利回り」を求めて動き回っている。しかし投資資金が潤沢であるが故に、世界の金融市場は不安定感を増しているようにも見える。お金自信がお互いに疑心暗鬼になっているから、落ち着きようがない。

 こうした市場にはいろいろな対処の仕方があるだろう。リスクを承知で投資を続けるというのもあれば、投資を選別的にする方法もある。プルーデントな収益率に満足するという方法もある。敢えて高利回りを狙わない、というスタンスだ。

 しかし、最近はアイカーンも言っていると伝え聞いたスタンスがある。それは、「Cash is King」(現金こそ王様)と、極めて慎重にリスクに対して身構えるスタンスだ。最近ではポッドキャストでも講演でも、筆者はそのスタンスの有効性に触れるようにしている。

 最近のG7声明を見るまでもなく、今の世界経済にはセンターがどこにあるのか徐々に不明になってきたという不透明感もある。パワーシフトが起きるときにはいつも、金融市場でも大きな変化が起きる。それは基軸通貨の変調だったりする。

 興味深い変化が次々に起きる世界の金融市場。規模が大きくなったが故に、「激変」や「危機」は今後も続くと予想できる。


2007年10月24日(水曜日)

 (21:54)大阪から朝早く帰ってきて、昼からは幕張メッセに。ロボットを見た後は、次世代の車を見ようと言う訳です。まあ見るだけではなく、ポッドキャストの番組を二本作りますが。

気になった車 ミツオカの蛇(おろち)  詳しくは番組を聞いて頂ければ良いのですが、前回行ったのは2年前ですかね。その時と展示のスタイルは同じだった。しかしポイントの置き方は相当違ってきている。当時から環境、省エネなどが中心でしたが、今回はもう一つ軽量化が一つのポイントになっていた。

 うーん個人的に言うと、つい写真を撮った光岡自動車なんかが好きなんですよ。ちっちゃくてもちゃんと頑張っているじゃないですか。今回は三種類の自動車を出品していました。兜とか蛇(おろち)とか。漢字の名前の出品が多かったのも特徴かな。マツダの大気も良かった。各社の担当者にいろいろ話しも聞いていますから、その点については番組で。

 それにしても、各メーカーは未来の車を想像させる「コンセプト車」をショーに備えて作るのは結構大変でしょうな。コストがかかりそうで。しかし競争社が作っている限りは作らないといけない。アイデアがない会社のように見られますから。まあ、作る過程でアイデアがわいてくると言うこともあるのでしょう。

寂しい自給メシ   今日はもう一つ写真を。食卓の上に朝、昼、夜の食事が。もちろんいろいろな組み合わせがあるのですが、仮に日本が海外から食料を輸入できずに自給率39%の範囲内で朝、昼、夜の食事を作ったら、もしかしたらこうなるかもしれないという例示。

 番組で私も初めて見たのですが、くらくらしましたよ。もちろん必ずこうなるということではなくて、自給できるものを中心に考えるとこうした食事かもという一例ですが、あまりにも寂しい。寂しいがこれが現実です。

 まあ考えてみれば、日本は石油の輸入も消費量の95%以上に達しているのだから、「石油が入らなくなった日本」を想像すれば、それはそれは大変になる。しかしいつも思うのですが、売る方も売らないと収入にならない。

 だから「石油武器論」は実際には長く使われた事実はない。それはある意味で食料でも同じです。だから直ぐに輸入依存度が高いことを懸念する必要はない。国際的な関係を良好に保っていればあまり問題はない。

 しかし私が心配するのは、「じゃ、自給率がゼロでも良いのか」というとそう言うことはないし、世界各国を見ると総じて自給率を上げている。少し時間をかけても、日本も自給率を上げた方が良いとは思う。まあバランスの問題です。

 私が番組で提唱したのは、徹底した「攻めの農業」です。都市近郊農業にしても、輸出にしても、日本の農産物は外に出して恥ずかしくないものが多いのに、あまりにもシャイです。まあ上海や北京に日本の農産物はかなり出て行っているようですが。


2007年10月23日(火曜日)

 (13:54)世界の市場が再び不安定になっている。具体的には円高、株安。8月中旬以来でしょうか。先週末はちょうど10月19日。20年前に世界が驚愕し、再発を恐れたたブラック・マンデーの日でした。

 1987年10月19日、そして日本時間の10月20日のことは非常に良く覚えていますが、その後も規模は違うが何回も「世界的な金融市場の危機」は繰り替えてしている。不思議と「7」が付く年が多いという説もあるが、それも理由のあることでしょう。私の見立ては、「こうした危機は繰り返す」です。

 そう言えば、なぜ繰り返すのかを含めて、今の世界の市場をどう見たらよいのか、という点に関してはちょうどその10月19日に録音をしたポッドキャストが様々な問題を取り扱っています。昨日の午前11時がリリースでした。ご興味のある方はお聞きください。

 それにしても今この文章を新幹線の中で書いていますが、「咳」をしている人が多い。今綺麗なアテンダントの女性まで、大きな「咳」をして通り過ぎていきました。彼女らが風邪を引いたのでは我々も心配。

 市場の乱調で懐も寒くなったのに加えて、気候の変動で風邪まで引いてしまったのでは救われない。どちらかでも回避して欲しいのですが。


2007年10月22日(月曜日)

 (13:54)ははは、見ていて不満は残りましたよ。少し回が進むと、「あれっ」というくらい簡単にヒットを打たれて失点する。それは直っていないし、何よりも見ていて不安だ。監督もそうだったのでしょう。5回が終わったらさっさと引っ込めた。正解だと思う。またワールドシリーズで真価を問われる。

 ただし何よりも今日の松坂は四球がなかったのが良い。いつも四球で崩れる。それがなかった。それに何よりも一生懸命投げていた。テレビの解説者とアナウンサーがバリテックの配球指示に疑問を呈していたが、確かにそういう面もある。しかし松坂も同意して投げているのだから。何よりも勝ち投手になれたことが大きい。

 それよりも、松坂を継いだ岡島の踏ん張りと、監督の信頼には驚愕した。6、7と2回無失点で投げたから当然降板かと思ったが、8回に突入。まあしかしサイズモアのあのプッシュバンドはうまかった。あそこで交代したのは当然か。ボストンにはコングラメールを打っておきました。

 確かにボストンは強い。あれではヤンキースが例えインディアンズを破って出ていても負けただろう。何しろ先発に柱がある。それを支える2本の支柱もある。打撃も爆発力がある。ラミレス、オルティースはダメだったが、ユーキリス、ローウェル、ドリューと迫力があるし、あのペドロイアのスイングを見たら、敵のピッチャーはビビルだろう。彼は今日は5打点。

 うーん、ロッキーズ対レッドソックス。あまり組み合わせとしてない。両方に日本人選手がいて、楽しみだ。


2007年10月21日(日曜日)

 (21:54)今間違いなく世界で一番緊張している人間の一人は、ボストン・レッドソックスの松坂なんでしょうな。アメリカはまだ21日の朝で、松坂が起きたのかどうか知りませんが、夜(ボストン時間の午後8時、日本時間の22日午前9時)には決戦が始まり、松坂はそこでの先発が決まっている。対戦相手のピッチャーはウエストブルック。

 インディアンスとレッドソックスの対戦成績は20日にボストンがシリングで勝ったので今3勝3敗。明日の一戦でワールドシリーズ進出か否かが決まる。ボストンの先発は、繰り返しますが松坂です。試合直前によほどのことがない限り。監督が公言している。つまり、ボストンがワールド・シリーズ進出できるかどうかは、松坂の出来に大きく依存しているということになる。ボストン・ファンの夢が松坂の肩に乗っかっている、というわけです。

 ポスト・シーズンの二つの試合を戦って、松坂の成績は良くない。ある回に突然崩れる、予想外のバッターに、例えばロフトンのようなバッターに突然ホームランを打たれる、など。20日のシリングも立ち上がりは良くなかったが、なんとか集中力を切らさずに相手を2点に抑えた。ベケットが良くて、シリングも頑張っているとなれば、松坂にかかるファンの期待は大きい。

 後半戦の松坂は、どこかおかしい。バリテックの配球に納得できないのか、何か気が乗っている印象がしない。しかし21日はちょっと違う。松坂がWBCの時のような集中力を発揮できるのか、その間に活発化してきた打線が早い段階で点数が取れるかどうか、そこが問題でしょう。

 確率的にはボストンが、そして松坂が優位だ。レギュラーシーズンの成績を見ると、ウエストブルックは確か9勝。対して松坂は15勝。そのウエストブルックはプストシーズンの2戦とも良い。一方松坂は2戦とも悪い。こういうときは、そろそろそのピッチャーの本来の力が出るとしたら、松坂優位と考えるのが自然だ。

 打線は確か20日の試合では3、4、5があまり当たっていなかった。ということは、明日の試合に逆芽が出る可能性が大きい。20日の試合はドリューの2打席5打点だけでボストンは勝ったようなものだ。ま、試合はどうころぶか分からないと思いますが。第7戦で不甲斐ない投球をすると、松坂のオフシーズンは厳しいものになる。

 ロッキーズのワールド・シリーズ進出は決まっているので、ボストンが出ればかつてのチームメート同士の松坂対松井の闘いが見られることになる。二人の対立では私は松井を応援し、ロッキーズ対レッドソックスでも私はロッキーズを応援したいと思っています。対戦相手がインディアンズになっても、同じようにロッキーズを応援します。

 これといった理由はないが、なにせロッキーズは「初」がいくつもあるチームなので。


2007年10月20日(土曜日)

 (19:54)妹尾先生の研究室からお知らせを頂いていたし、興味もあったので秋葉原駅近くのテクノパークに行ってアキバロボット運動会の会場を回り、なんだかんだ3時間近くロボット君達と過ごしました。といっても彼等のパフォーマンスを堪能しただけですが、見ていていろいろなことが分かった。

アイボ達の4対4の試合風景  今思い出したら、ロボット達のサッカーの試合を3試合も見ちゃいました。2試合は2足歩行ロボットの試合。プログラムした2足歩行ロボットのサッカーはまだ動きが鈍くて試合にならないそうで、私が見たのはロボット一台に一人のコントローラーが付く方式のサッカー試合。3対3で、こちらはロボットをコントロールする人の技量も大いに関係する。見ていて思ったのは<

  1. カニ歩きのように横に歩くのが非常に素早くなった。見ていて驚くほどです
  2. 倒れたときに自力で起きあがるのに要する時間が非常に短くなっている。素早いと感じた
  3. かつ倒れた後の起きあがり方も、前から起きあがる方法と、後ろから起きあがる方法が二つある
 といったところでしょうか。子供達が一杯周りを取り囲んで、楽しそうに見ていたのが印象的でした。ルールはロボット仕様ですよ。オフサイドはないし、ロボット自体がボールを抱えてゴールに入ったときでも、それはゴールと見なされる。

 もう一試合は、4足歩行のアイボの4対4の試合。こちらは自分の目でボールを認識し、自分と敵のゴールを見分けてアイボに埋め込まれたプログラムによって動く。こちらはコントローラーがいなし、アイボの目の視界が狭いのでボールが思わぬ所に行ってしまうと、ウロウロしてしまって試合が間延びすることもある。しかしその後のアイボ運動と合わせて結構面白かった。

 もう一つ収穫があったとしたら、癒し系のパロちゃんでしょうか。アイボがサッカーの試合をした5階の片隅に置かれていたのですが、ついしばらく遊んでしまいました。こんなのを車の中に入れておいたら面白いだろうな、と。

 動物が人間にとって癒しになることは良く知られていますが、病院などには犬、猫など動物は入れられない。そこでこのパロちゃんを病人の近くに置くと癒し効果があるというのです。なるほど、ロボットの用途も増えている。明日もやっていますから、ご興味のある方はどうぞ。


2007年10月19日(金曜日)

 (00:54)日経エコに連載しているエッセイの第7回が掲載されました。引き続き、自分の足で歩いた部分を書いています。その後論を展開する予定です。お楽しみに。

 http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/itou/08/index.shtml


2007年10月18日(木曜日)

 (16:54)実に久しぶりに名古屋で時間を過ごしています。毎週大阪への行き帰りで二回通過しているのですが、下車して、しかも時間をかけて街を歩けたのは実に久しぶり。ルーセント・タワーもミッドランド・タワー、スクエアもまだ見てありませんでしたから。

 ミッドランドはオフィスビルで、特にどうということはない。ちょっと興味が持てるのは隣のスクエアです。うーん、ミッドタウンのあの真ん中の背の低いビルにちょっと似ている。中廊下の渡し方なんかが。しかし大きさは六本木の方が大きい。名古屋のスクエアは、最上階がレストラン。ブランドショップは例の顔ぶれで、特に目新しいのはない印象。

 しかし駅前にああいうショップが出来たのは、他の小売店にとっては驚異でしょう。新しいせいかまだ”見学”という人が多かった。どのショップが成功するかはこれから明らかになるのでは。

 ルーセント・タワーも見ましたが、こちらは駅から離れている。しかし落ち着いた良いビルでした。ミッドタウンといいルーセントといい、それなりきにお店が入っている。スクエアのイタリアンはエノテカだったかな。地元の店も入っていました。入りたいと思ったのは東京にもある店ではなく、地元の店です。時間がなかったので、今後。

 ミッドランドの隣には、なんだか螺旋状のビルが出来るのだそうです。そういう学校があったと思ったのですが、「ハル」という名前の。このビルは奇抜なビルになると思える。それにしても、名古屋も大きく変わりつつある。


2007年10月17日(水曜日)

 (22:54)久しぶりに講演会だったのですが、もう一人の講演者はなんと大沢啓二・親分でした。場所は新橋近くのヤクルト・ホール。初めて行きましたが、実に古典的なホール。ちょっとびっくりですな。

 それはそうと講演ですが、順番は私が先で、その後休憩を挟んで大沢さんの話。「人生苦もあれば楽もある」というのが大沢さんの講演の題目で、私も次の予定まで少し聞かせてもらいました。私の講演も脱線しますが経済が中心で、まあまじめな講演です。ところが大沢さんの講演は行ったり来たりで実に面白い。

 悪口、批判、自由自在。聞いていて、「こういうのもいいな」と。話しが自由自在に発展する。それにしても、立教で杉浦や長島と一緒だったんですね。お年を召したせいか、実は私が講演に入る前にもう会場の控え室に見えられて、しばらくお話をしましたが、全くあの通りの方で、会話もうまい。

 もうお孫さんが芸能界デビューしていて相当なお年ですが、しゃきっとしている。講演会にはいつも着物で出かけられるそうで、それやこれやなかなか勉強になりました。


2007年10月16日(火曜日)

 (23:54)本当に最近「触ること」が多くなったな、と。アップルの「iPod touch」も発売になり、また駅での切符の購入その他諸々で画面にタッチして操作することが非常に多い。

 何なんでしょうね、何かタッチして買うと、押すとか、ひねることで機械を動かしてきた人間としては、どこか不確実なことをして「大丈夫かな」という感覚が残る。実際にその通りに機械が動いてくれるので、「自分は正確なことをした」という自信が後になって持てるのですが、それでも何か頼りない感じがする。ポイントではなく、エリアの作業。

 それにしても、アイポッド・タッチは珍しい商品です。キッドの中に「使用説明書」がない。多分私が購入したいろいろなマシンの中で、説明書が入っていなかったのはこれが初めてです。それは製造したサイドに、「この機械は、使ってもらえば自然と分かる」という自信があるからなのでしょう。実際の所、直ぐに使用できるようになる。

 素直な印象を言うと、もうちょっと軽くなって欲しい。ちょっと重い。しかしコンセプトは斬新です。正直なところ、日本のメーカーになぜ出来なかったのか、と真剣に思う。それは多分、アップルが家電ではない異領域から入ってきたからではないか、と。家電はずっと押す、そしてひねるで機械を動かしてきた。私の感覚と同じように、それが確実に機械を動かす操作をしているというイメージがあったからなのでしょう。

 家電を作ってこなかったアップルだからこそ、斬新なタッチという操作をメインに据えられたとも言える。単なる私の印象ですが。


2007年10月15日(月曜日)

 (23:54)週末のウォール・ストリート・ジャーナルで記事を見つけてからずっと私の興味はこのスキームに欧州の銀行が参加するのかどうかでした。まあ多分日本の銀行は参加しないだろう、と最初から思っていた。スキームの概要を報道しているヘラルド・トリビューンは以下のように述べている。

Three of the largest banks in the United States, working together at the behest of the Treasury Department, announced on Monday that they were creating a large fund to serve as a buyer of bonds and other debt at a time when many investors are avoiding them.

Citigroup, Bank of America and JPMorgan Chase will create a fund, called a conduit, that will be able to buy around $75 billion to $100 billion in highly rated bonds and other debt from structured investment vehicles, or SIVs. Those vehicles own mortgage-backed bonds and other securities and have had trouble obtaining financing since early August, when the credit markets froze up.

The effort is intended to help SIVs that need to sell securities do so in an orderly manner. Bank and government officials are concerned that if these vehicles are forced to dump billions of dollars worth of debt in the coming weeks, it could cause a repeat of the crisis that rattled markets in August and sent the cost of mortgages and other loans soaring.

 つまりシティ、バンカメ、それにJPモルガンだけということです。しかも問題なのは、始動は90日以内としているが、正確な規模などまだどうみても詳細は決まっていないように見えること。それでも月曜日の発表にこだわったという点だ。

 そこまで急がれると、「急ぐ理由があるのか」と思ってしまうが、どうも今回問題になった各種金融商品(ABCP、CDOなどなど)をコアとする各種証券のバリュエーションは多くの場合怪しい状況が続いているようであり、更に言えばLBOなどにも大きな問題があると見られている。

 LTCMの時のように奉加帳を回している印象が強いが、今回の危機の特徴は欧州に大きく火の粉が散ったこと。そこで私は欧州の銀行がこの基金に参加するのか興味があったというわけです。

 どうも見ていると、ニューヨークの株価もシティの決算が悪かったことなどもあって、週明けは軟調。銀行さえ動かざるを得ない、という点から言うと、むしろ市場の懸念は強まると考えられる。


2007年10月14日(日曜日)

 (23:54)あるデパートを見て回っていて、「ああ、小売店をこの視点で分類するのも面白いかな.....」と思ったことがあります。それは、

 その店に来ているお客さん自身が、他のお客さんにとってファッションや嗜好で参考になる人達になっているのかどうか
 ということです。どういう事かというと、例えばある新宿の東口から少し歩いたところにあるデパートに行くと、お客さん自身が非常にファッショナブルで、「ああ、ああいう着こなしもあるかな」「あれはちょっとやり過ぎでは」といろいろ参考になる。

 しかしその一方で、店頭に並べられている商品にはそこそこ興味が持てるが、「この人は一体どういうセンスをしているのだろうか」とか、「これは参考になる」という着こなしの客が殆ど見られないデパートというのも都内にはいろいろある。

 もちろんそういうデパートや小売店があっておかしくないのですが、その店に行く魅力が半減すると思うのです。「お店とは何か」「どう分類すべきか」を考えていたらそういう考え方もあるのでは、と気がついた。

 仮に「店舗とは店の提供しているもの、それを買いに来るお客と、そして両者が持つ雰囲気の複雑なマリアージュだ」という考え方に立てば、客層を変えるためには店舗を変えただけではダメだ、と言うことになる。なぜなら、それだけではお客にとって別の意味での情報源となる客の新種がなかなか訪れないからです。

 とすると、もしかしたらこういうことが可能かも知れない。それは、店のイメージを変えるためには例えば小売店でも「さくら」を放って、店の中を回らせるという手法です。やはりその店できっちり売っているようなものをしっかり身につけて、かっこうよく歩いて買い物をしていてくれるような人がいて初めて、その店の商品やサービスが映える。つまり、具体的な事例が目の前に転がっていなければ、訴求力が低下する。

 多くの店舗で見られる今の手法は、まずは店員がその店員周りの商品を使いこなしてみせる、という手法です。本当に買っているのかどうか知らないが、最近ではこの手の店が増えている。この考え方に立てば、少なくともファッションを扱っているフロアの店員が制服というのはどうだろうか、ということになる。

 まあホテルでも何でもそういうことは言えるんでしょうな。店の雰囲気や格を決めるのは、結局は伝統でも商品でもなく、実はそこに来るお客だという視点。だとしたら、客を取り合うデパート間の争いは、これからますます激しくなると予想できる。


2007年10月12日(金曜日)

 (23:54)黒川さんがお亡くなりになったのにはびっくりしましたし、赤福の表示日時偽装にはファンであるだけにがっかりしましたが、今後の世界にとって影響力があるという点では、ゴア前副大統領とIPCCのノーベル平和賞受賞でしょうか。

 聞いたとき、「ああ、そうだな」という思いがしました。今年はNHKの仕事もあって環境とエネルギー絡みの仕事が多いし、実際の処今年の夏を振り返るだけでも「環境」は非常に大きな問題。政治家のノーベル平和賞受賞は、普通は「終わった人」に与えられる。しかしゴアの場合は必ずしもそうは言えない。ウォール・ストリート・ジャーナルは以下のように報じている。

WASHINGTON -- Former Vice President Al Gore won a share of the Nobel Peace Prize for his work publicizing global warming, an honor that is sure to raise speculation anew about his presidential ambitions and makes it more difficult for other politicians to avoid the global-warming issue.

In a press conference Friday afternoon, Mr. Gore spoke of the prize and said now is the time to "elevate global consciousness" about the challenges of global warming. He made no mention of his political plans and didn't take questions from reporters.

 ヒラリー・クリントン圧倒的優位の中でゴアが再び出るかのどうかは私は怪しいと思っているのですが、仮にノーベル平和賞を環境問題で受賞した人が出るとなると、なにせアメリカの大統領ですから、世界は大きく変わることになる。そういう意味では注目だし、同紙が指摘しているとおり、ゴア以外の人が大統領になるにせよ「環境」が非常に大きな政策課題になってくることは間違いない。ブッシュの8年とは大きく変わってくると言うことです。

 ところで、金曜日はたまたま日本では来年1月に封切りになる映画「アース」の試写会に行きました。試写会はめったに行かないのですが、封切りが先のものは時間があれば見るようにしているのです。

 うーん、ちょっとデジャブでしたが、とにかく綺麗でした。なぜデジャブかというと、「ディープ・ブルー」やNHKでも放映された「プラネット・アース」の画面を思い出すからです。特にプラネット・アースをまじまじと見た人には、「このシーンは見たことがある」と思うでしょう。例えば、ライオンが象を襲うシーンとか。しかし、映画のスクリーンで見ると確かに迫力はある。

 冒頭の説明によると世界に先駆けて封切りがされたフランスでは、「皇帝ペンギン」以上の初日売り上げを記録したそうで、ま世界的にはヒットになるのでしょう。来年もまた「環境」がテーマになります。


2007年10月11日(木曜日)

 (16:54)日本とアメリカのポスト・シーズン真っ盛りですが、出来る限り試合を見ていて非常に強く感じたことがある。それは、

 大きな試合になればなるほど、小さな事がきちんと出来る、状況の変化に迅速・的確に対応でき、かつ相手の意表をつく作戦をとれるチームが強い
 という原則です。なぜか。以下は私の仮説ですがこうです。
  1. 大試合になればなるほど、一つ一つのプレーが持つ意味が大きくなる。日本もアメリカもレギュラーシーズンの試合数は150前後(日本は144、アメリカは162でしたっけ)もある。一試合の重みは小さい。力さえあればいつか勝てるようになる

  2. しかし三試合(日本)や5試合(日米)で勝者、敗者が決まる短期決戦になると、一試合が持つ重みが非常に高い。よって、一人の選手の一つのプレーが持つ重みが格段に上がる。バントや盗塁、送球などあらゆる一つ一つの動作が局面を大きく変える

  3. それがたった一つ出来なかっただけで試合の流れが相手に行ってしまうと、その流れを短期シリーズの間に引き戻すのは非常に難しくなる。その間に流れが敵に回ってしまうし、味方の志気は落ちてチームは戦意喪失となる
 からだと思う。昨日のロッテとソフトバンクの試合は見ていないが、これでソフトバンクは4年(でしたっけ)連続クライマックス敗退だ。そこには何か原因があるはずだ。短期戦を勝ち抜けない。それはやはり松中や小久保依存が、小さい一つ一つのプレーを疎かにすることに繋がっていると思う。

 ヤンキースの今年の4戦では、目を覆うようなプレーが目立った。カノーの酷い守備、ジーターの送球ミス。去年はアレックスの送球ミスとエラー。チームを引っ張る選手がきちんとしたプレーが出来ない代償は大きい。だからヤンキースも3年連続地区シリーズ敗退だ。対戦相手は、選手一人一人を見比べれば「負けないだろう」と思われていたのに、負けた。

 結局、何時出るか分からないホームラン頼みだけのチームでは、短期決戦は戦えないということだ。時には意表をつくプレーが、そして完遂して当然のプレーをきちんと出来るチームが強いということになる。

 むろん圧倒的な力で勝ち抜くと言うことは可能だろう。しかし優勝決定戦に出てくるチームはどのチームにせよ強い。それは松井秀喜が言っている通りだ。とすると、来年のヤンキースは首脳陣がチーム構成員にそういう野球を出来るように指導できる人、人たちでなければならない、ということだ。

 このコーナーだったかに私が次のヤンキース監督には、日本の野球を経験した人が良いと書いたのはそういう意図だった。うーん、ヒルマン・ヤンキース監督。ちょっと良いアイデアかも。ま、私はそういう問題意識を持って残る日米のポスト・シーズンを見たいと思う。

 「小事が大事」というのは、個人でも企業でも何でもそうなんでしょうな。それは分かっているのですが......


2007年10月11日(木曜日)

 (14:54)新幹線の行き帰りに読もうと思って二冊買ったうち一冊の「リンク格差社会」を読みました。アマゾンと紀伊国屋の戦いにおいて何故アマゾンが勝利しているのかなど、非常に具体的な例が入っていて面白い本です。言っていることが特に目新しいというわけではないが。

 この本を読むまでもなく、人間の世はすべてある意味で「リンク」の連鎖の中にある。親と子、地域社会、学校での関係、職場での関係、友人関係、趣味の輪など。無数の輻輳化した「リンク」の中で動く。リンクの多い人の方が情報量が多く、いろいろなことでチャンスが多い。自民党で次期総理を狙う人が幹事長のポストをしばしば占めたのは、それが自民党という組織の網の目、言ってみればリンクの要のポストだからだ。情報と資金がそこに集まる。

 ネットが始まる前から、政治をする人も、経営をする人も、ヤクザをする人も、およそ組織を運営する人は網の目、リンクの中心地帯にいなければ実力を発揮できなかった。そういう意味では人間社会は、それをコネと呼ぼうが、学閥と呼ぼうが、同好の志と呼ぼうが、何らかの形で「リンク」しているし、その使い方が事をなせるかどうかで非常に重要だった。

 ポイントは、ネット社会がその人間社会の「リンクの形」をどう変えたのか、という点である。この本は、ネットの中での人間のリンク状態の変化を追っていて面白い。指摘の通り、「もともと知とはネットワーク化された情報」のベースの上に出来ているから、情報を瞬時にしてつなげるインターネットは、今までにない形であちこちで新たな知(プラスもマイナスもあるが)を生む。そして利用者にしてみるとその知が即時であり、刺激的であり、有用であり、そして時に趣味合致的であるほど魅力的なのだ。

 情報が今までになく激しく交差するネットの世界で知が素早く生まれ、そして変化する、そしてそれが世の中のトレンドや全般的なオピニオンを変えていく時代にあっては、一般的にネット利用度が格差を生むというのは当たっているし、それを「リンク格差社会」と呼ぶことは間違ってはいないと思う。所得や情報ネットワークの幅の格差に繋がるからだ。

 ただし、ネットの社会における情報でも明らかに credibility の問題は存在する。人々が何かを買うときに見る目を持たないときについ「ブランド」を頼るように、情報の出所について人々はそれなりきの「信頼感のランク」を持っているはずである。いまだにニュースが何かないかを最初に見るときには新聞社のサイトかそのリンク先を見るケースが多いのがその良い例だ。

 wikipedia の信頼性が常に問題になるのは、ある時はそこには信頼感のおける人が書き込み、次の瞬間にはそうでもないかもしれない人が書き込んでいるのかもしれない、ということかもしれない。その辺は使う人の裁量、判断力に任されている。これまでは新聞社や出版社の編集者がエージェントでやっていた。

 ネット、そしてそれが本来的な機能として持つリンク(知であれ、人間の引きつけであれ)の役割は今後いっそう明確になるだろう。そういう意味では、ネットとリンクは知の体系においての役割は一段と高まるはずだ。しかし最後のそれを使いこなせるかどうかは、一人一人の個人や組織の情報消化力、情報リンク力に依拠すると考えられる。


2007年10月10日(水曜日)

 (08:54)ダウ工業株30種平均とSP500が新値を取り、Nasdaqが7年ぶりの高値を付けたので何があったのかとニューヨークの市況記事を見たら、一部には「9月18日のFOMCの議事録で、次の利下げが予想された」と書いてあるので、本当だろうかと思ってみてみたら、直接的にはそんなことは書いてない。まあ書いているのは、「0.5%の利下げは全員一致で、それがthe most prudent course of action」だったと言っているだけ。

 私の英語力の問題かもしれないが、市場が勝手にそこまで読んだとしたらちょっと問題だと。ただし昨日の段階でインドとブラジルが新値を取り、香港が大幅高になり、まだ調べてないがロシアもそうだったのかもしれないという中では、「(株価を)上げる理由」が欲しかったんでしょうね。

 FOMCの9月18日の議事録は、あの危機の中でFRBが何を考えたのかを知る上では非常に役立つ。危機の中でも、FRBが比較的落ち着いていたことが文章から伺える。そうした中でも0.5%の利下げをしたのは、「prudent」な措置だったとしているのが興味深い。

 一つ言えるのは、「市場の混乱」を市場が思った以上にFRBが政策決定の大きな要因として考えていたこと。「市場の混乱→アメリカ経済全体への打撃の波及」を恐れて行動したということ。まあマーケットしては、「あ、混乱すればFRBは助けてくれるのか」と考えたのでしょう。

 しかしでは10月30〜31日に開かれる次のFOMCで新たな利下げがあるかどうかは不明。なぜなら9月の0.50%の利上げは先行的に、pre-emptively に行った可能性があり、「インフレにまだリスクあり」という認識のFRBが「新たな利下げは価値があるかどうか」の問題で直ちに「価値あり」と判断するかどうかは分からないと思うからだ。ニューヨークの株価が新値を取ってきているときにさらに利下げということになれば、それこそ「moral hazard」かもしれない。

 とすると、ニューヨークの株価がこのまま上を狙えるかは、今威勢の良い海外市場がどのような展開をするかにかかっていると言える。議事録の中で筆者が注目したのは以下の部分です。

In the Committee's discussion of policy for the intermeeting period, all members favored an easing of the stance of monetary policy. Members emphasized that because of the recent sharp change in credit market conditions, the incoming data in many cases were of limited value in assessing the likely evolution of economic activity and prices, on which the Committee's policy decision must be based. Members judged that a lowering of the target funds rate was appropriate to help offset the effects of tighter financial conditions on the economic outlook. Without such policy action, members saw a risk that tightening credit conditions and an intensifying housing correction would lead to significant broader weakness in output and employment. Similarly, the impaired functioning of financial markets might persist for some time or possibly worsen, with negative implications for economic activity. In order to help forestall some of the adverse effects on the economy that might otherwise arise, all members agreed that a rate cut of 50 basis points at this meeting was the most prudent course of action. Such a measure should not interfere with an adjustment to more realistic pricing of risk or with the gains and losses that implied for participants in financial markets. With economic growth likely to run below its potential for a while and with incoming inflation data to the favorable side, the easing of policy seemed unlikely to affect adversely the outlook for inflation.

The Committee agreed that the statement to be released after the meeting should indicate that the outlook for economic growth had shifted appreciably since the Committee's last regular meeting but that the 50 basis point easing in policy should help to promote moderate growth over time. They also agreed that the inflation situation seemed to have improved slightly and judged that it was no longer appropriate to indicate that a sustained moderation in inflation pressures had yet to be shown. Nonetheless, all agreed that some inflation risks remained and that the statement should indicate that the Committee would continue to monitor inflation developments carefully. Given the heightened uncertainty about the economic outlook, the Committee decided to refrain from providing an explicit assessment of the balance of risks, as such a characterization could give the mistaken impression that the Committee was more certain about the economic outlook than was in fact the case. Future actions would depend on how economic prospects were affected by evolving market developments and by other factors.

At the conclusion of the discussion, the Committee voted to authorize and direct the Federal Reserve Bank of New York, until it was instructed otherwise, to execute transactions in the System Account in accordance with the following domestic policy directive:

"The Federal Open Market Committee seeks monetary and financial conditions that will foster price stability and promote sustainable growth in output. To further its long-run objectives, the Committee in the immediate future seeks conditions in reserve markets consistent with reducing the federal funds rate to an average of around 4-3/4 percent."

The vote encompassed approval of the text below for inclusion in the statement to be released at 2:15 p.m.:

"Developments in financial markets since the Committee's last regular meeting have increased the uncertainty surrounding the economic outlook. The Committee will continue to assess the effects of these and other developments on economic prospects and will act as needed to foster price stability and sustainable economic growth."


2007年10月09日(火曜日)

 (13:54)今年のヤンキースを象徴するような試合でした。これで松井の、そしてヤンキースの2007年は終わり、もしかしたらトーリ監督のユニフォーム姿も終わるかもしれない。

 王建民は最初のサイズモアにまず右中間の一番深いところにHRを打たれた。一回表です。先頭打者HR。そりゃ、スタジアムのヤンキース・ファンのトーンは下がりますわね。もともとこの試合はムッシーナの先発予定だった。それを首脳陣が入れ替えた。

 どういう事情があったのか知らないが、少なくとも首脳陣の賭けた気持ちが王建民には伝わっていなかったのか、伝わりすぎたのか。彼は結局3アウトを取っただけで、2回の表に無死でランナーを3人を残して降りた。後に立ったムースの気持ちやいかに。本来先発予定だったのだから。彼が打たれたのならまだ反撃の仕様がある。

 その後も打線が沈黙する中で点差が広がり、最後に多少反撃したが出足の悪さが目立って結局何も起きないままに終わった。ファンとしてはくやしい。本当に。後味の悪い敗戦。松井も好不調の波が激しかった。4試合戦って、ヒットが出たのは1試合だけ。これでは主軸の責任を果たしたとは言えない。

 審判も酷かった。スリーアウトは余計に取られている。松井は打撃妨害にあっているし、無死満塁になった2回表の死球は明らかにバットに当たった球だった。ムッシーナがおかしいと抗議したミンケイビッチの好捕は明らかにアウトだった。

 しかし、じゃヤンキースが誤審がなかったら勝ったかというと怪しい。見ていて、ハラハラするほど弱いのだ。これで地区シリーズ3年連続敗退。この3年ヤンキースのポスト・シーズンはニューヨーク・タイムズの表現を借りれば「突然に(abruptly)」に終わる。ファンが「さあこれから」というときに終わっているのだ。

 私はずっと「ワイルドで出た方が良い」という意見だった。しかしそれでも駄目だった。それにしても、王建民の顔色は冴えなかった。おどおどしていた。打線も、「ここぞ」というところで打てない。アレックスのHRも試合が決まってからだ。松井も良いシーズンとは言えなかった。春先怪我して、あと7月が良かっただけ。

 去年も書いたが、トーリは変わった方が良い。大監督だが、背中が寂しそうだし、歩き方も年を取った印象がする。67才。50歳代がいいな。シリーズの打率は主要打者は軒並み2割台。誰か一人が大当たりしたという事実もない。インディアンズではロフトンはいつも何かしそうだった。そういうのがいないと駄目。ヤンキースの選手はシリーズを楽しんでいない。重い。負けることへの恐怖が選手を縛っている。

 ピッチャー陣も虫問題はあったが、チェンバレンが良くなかったし、エースの王建民で2敗したのだから、3敗したら終わりのベスト・オブ・ファイブではきつい。来年ワールド・チャンピオンになるためには、大改造が必要だが、さて誰が出来るのか。

 ま、もう一人の松井がいるし、ボストンの二人も残っている。日本と同様、アメリカのポスト・シーズンはまだ楽しめそう。しかしファンとしては、興味は半減した。松井も来年は本当の意味で試される年になるような気がする。ゾロメが過ぎて、来年は34になる。毎年言っているが、結婚でもしたらどうだろう。


2007年10月08日(月曜日)

 (22:34)別に「これ」といったことをしていたわけではないのですが、時間は着実に過ぎました。雨の月曜日も外出したのですが、連休中に驚いたことは三つ。

  1. チャリで中野に行ったら、丸井の本店がすっかり閉店していたこと
  2. 待ち合わせ時間があったのでパチンコ店に入ったら、例の貯玉箱が存在しない店があった
  3. PCのデュアルコアというハードディスク体系のマシンが、下位機種にまで広がってきていたこと
 丸井の中野店というのは本店ですからね。つまり発祥の地。それをなくしてしまった。まあ新宿を大改造し、有楽町にも店を作ったのですから、中野に店を置いておけないというのは分かる気もする。ロケーションも中野は電車一駅で新宿ですから、ちょっと要らない店舗になっていたのでしょうし、偶に行っても確かに客は入っていなかった。

 しかし近所に住んでいる人間としては、ちょっとした小物の衣料などを買いに行くには便利だったのです。特に中野の南口にはこれといった商店もなかったので。高円寺の古着、新宿のブランドに対して中野は確かに「これ」という特徴がなかった。しかし、デパートがなくなる中野には痛いのでは。丸井の跡地には何が入るのか。それとも再開発か。これもストロー現象 ?。

 パチンコ屋さんは入ってびっくり。客と客の間に確かに箱がない。普段は出している客の後ろにはいっぱい箱が置いてある。あれが歩きにくい。しかしその店には、「当店は貯玉箱は起きません」と告知している。

 じゃあどうやって玉がいっぱい出たときに表示するのか。台の下(?)の箱は今まで通り置いてあるのです。しかしその箱にもレバー(確か黄色だった)が付いている。そして上から落とした玉がいっぱいになったら、その黄色いレバーを左に動かすのです。そうすると玉が台座の中に落ちる。その時左側に表示が出て、「今何玉受け取りました」と出る。

 やめるときは特定のボタンを押すと、カードが出てくる。そのカードには「何玉分ですと」と記録される。それを賞品カウンターで交換という手順。ははは、私以外のほとんどすべての客が戸惑っていましたから、このシステムはまだ新しいようでした。

 パチンコ屋からあの重い箱をなくそうという動きは確か10年ほど前にもあった。新宿にそのシステムの店があったように思う。それは確か台の下の玉もなかったような気がする。しかしその店は直ぐに潰れた。出した人の実感がないから、ダメだったのでしょう。

 しかし今回のは、一応台の下にはちゃんと一回は玉が出るのが分かる。一応客は「ああ、当たりが来たな」と確認できる。店にとっての便利さは

  1. 人件費が大きく削減できる
  2. 列と列の間を少し狭められる
  3. 店全体の玉の数を減らせる
 などでしょうか。普通この種の店というのは、若い男女を大規模に抱えている。大部分は箱を動かすためと磨くためです。しかしその人数がいらなくなる。確かにその店の従業員の数は著しく少なかった。サービス産業の合理化の進展です。この手の店が増えるかどうかはまだ分からない。しかしこれから若者の数が減る日本においては賢明な方向なのかも知れない。

 デュアルコアのPCは、月曜日の夕方立ち寄った家電量販店で見つけました。冬モデルに結構搭載されていた。B5の小型PCにも結構搭載されていました。これでもか、と新しいモデルが出てくる。以前、日本のPCの価格は他の諸国に比べて異常に高いという統計があった。高機能化するからだそうで、どうなんでしょうか、高機能化した機能を全部使いこなす人は少ないでしょうに。


2007年10月05日(金曜日)

 (22:34)今日の日経が夕刊の一面トップで扱っている「政府系ファンド」とは、金融界で「Sovereign Wealth Fund」と呼ばれているものです。「国富ファンド」という直訳もあるが、最近日経は「政府系ファンド」の訳を使っている。

 モルガン・スタンレーが今年の5月にまとめた規模順位は以下のようになっている。

 アラブ首長国連邦(UAE アブダビ投資庁)   8750億ドル
 シンガポール(テマセク、政府投資公社)   4300億ドル
 ノルウェー(政府年金基金)         3000億ドル
 中国(外貨投資機構)            3000億ドル
 サウジアラビア(複数の公的ファンド)    3000億ドル
 ロシア(安定化ファンド)          1000億ドル

 しかし直近の報道では、中国の「政府系ファンド」は2000億ドルという説もある。

 世界の運用資金は、その大部分が株式や債券、それに大都市の不動産などに向かう。従来は民間ファンドが大部分だった。互いに運用競争をし、基本的には「いざというときには臆病な資金」としての性格が強い。

 しかし今月末に開かれるG7で取り上げられるSWFは、時に国の力に支援された大胆な動きをするかもしれない。介入の時のような、「一方向の意志」が出ればそうだ。時にはある国の企業など直ちに買い上げてしまうようなことをするかも知れない。される方にしてみれば、安全保障などの面で大きな課題だ。

 中国は以前、アメリカの石油会社ユノカルを買収しようとしたが、アメリカ政府の反対姿勢もあり諦めた。同じ事が日本の企業で起きようとしたら日本はどうするのか...という問題意識も持たないといけない。だから、なかなか今月のG7はサブプライムの問題もあり面白い。

 なぜこうしたファンドが大胆になりうるのか。「国の意志」に加えて、国が保有する外貨準備(foreign reserve)やオイルマネーなど、非常にパワフルで巨額な資金を背景としているからだ。かつ恐らく非常に少人数によって運用方針が決められる。

 国がらみのファンドは、従来は米財務省証券などを買っていた。これはアメリカにとってもメリットがあった。しかしより高い運用成績を求めて、運用先を多様化しつつある。外貨準備が国家の重要な資産の一つと考えられるようになってきたし、今の世界では米財務省証券以外に投資できるより高利回りの商品がいっぱいあるからだ。各国は「外貨準備を運用しなければ損」と考えるようになった。それでも、純粋投資ならまだ分かりやすい。しかし仮に政治的意図が入り始めたらややこしい。それがアメリカなどの懸念。日本も外貨準備は9000億ドルもあるが、どうなっているのでしょうね。

 はっきり言って、民間ファンドとは区別し、その行動は監視すべきだと筆者も思う。その境目は微妙になるのでしょうが、意志決定のはっきり見えない国も多い。それにしても、以前が外貨準備は「何ヶ月分の輸入を賄えれば....」という類のものだった。今は国家が運用に手こずるほど巨額になっている。金融市場の形も大きく変わってきたと言うことです。


2007年10月04日(木曜日)

 (22:34)まだ一日残っているのですが、10月に入ったと言うことでしょうかね。今週は結構あれこれ。

 関西テレビのレギュラーでは今週から私と国定さん(阪神ファンには有名な)で15分ちょっとかな、新コーナーが始まって、これが結構面白い。第一回は「値上げ」で、来週は「阪神効果(?)」。経済や街の視点からニュースを二人の個性で切り刻んでみようと言うコーナー。ほんなもん、ただ解説しているだけよりよほど参加した方が面白い。ニュース番組は参加しないと。

 10月早々にリンク先が結構変わった。サンケイ、毎日、ゆうちょ銀行など。まだ変わったところもいっぱいあると思う。私の場合、サイトを実質的に三つ持っているので、リンクの変更も三カ所にFTPしないといけない。見付けるごとにリンクを変えるのはちょっと面倒だ。

 水曜日に講談社の間渕さんと会って、日本力の文庫化について。本体は変えずに、前書きを書き換える方針を決めた。彼が「6000字」というので、「ちょっと多いな」と思ったのですが、水曜日の夜から書き始めたら乗ってしまって、木曜日の昼にはその分量に達してしまった。あとはリファインして彼に送ります。文庫がいつごろ出来るのかは知りません。今年は1月にインド本を出したので、「日本力」の文庫が出れば、まあ今年も2冊は出したと言うことになる。アイデアはあるし、オファーもあるのですがなかなか今年は新規本が進まない。去年書きすぎましたかね。

 そう言えば日経マネーさんから頼まれて、10月21日に東京の市ヶ谷・飯田橋の法政大学で45分間の基調講演をやることになりました。あまり私の場合は誰でも参加できる講演というのはやっていないので、いつも「講演するときは教えてください」と言われるので、ちょっと告知させて頂きます。

 サイトはhttp://moneykeittei.jp/だそうで、問い合わせは「03-3545-8295 moneykentei@info.email.ne.jp」のようです。日曜日だし、何人入れるか知りませんが、ご興味のある方はお問い合わせください。

 夕方日経エコさんからメールで、新規エッセイがアップされました、と。

 日経エコ第7回

 です。前回まで中国、モンゴルが主だったので、しばらくインドを取り上げようと思います。引き続き自分の目で見たこと、歩いて感じたことを中心に。

 年末にかけての海外取材の日程が決まって、11月下旬にドイツ、12月初めにアメリカとなりました。それぞれ一週間前後。アメリカは6月に行ったばかりですが、ドイツはちょっと久しぶり。確か2001年の年末にベルリン行って2002年の元旦に出るユーロ紙幣を取りに行ったのが最後。

 その時の2002年の午前2時頃ベルリンのシティバンクの支店で取り出したユーロ紙幣はまだ持っています。随分価値が上がりました。100、50、20、10、5と。なくさずに。残念ながら、その上にある紙幣は持っていません。もうシュベリーンはいいな。小林君から写真も送ってもらったし。

 そうだ、久しぶりに歯医者にも2回行きました。特に悪いところはなく、時間のかかる掃除を。


2007年10 月03日(水曜日)

 (10:34)あらら、「日中国交正常化35年 新たな関係をどう築くか」の再放送時間が変更になりました。もっと早い時間になって、土曜日の昼になりました。午後の中途半端な時間より、多くの方に見ていただけるチャンスは多い。

 ●10月6日(土)

 第1部 12:10〜13:00
 第2部 13:10〜14:00

 ところで、昨日は反落しましたが依然として14000ドルを上回っているニューヨークの株価に関して、非常に興味深い、私の見立てと同じ意見の記事をフィナンシャル・タイムズに見付けました。私がよく受ける質問は、「アメリカ経済は下を向いているのに、なぜニューヨークのダウは上を向いているのか」というものです。

 私の答えは、ニューヨークのダウに入っているような大きな会社、国際的な事業をやっている会社は、アメリカ国内での操業結果よりも、海外での事業で稼いでいる企業であり、世界経済の5%成長に咬んでいるのなら、アメリカのリセッション入りが懸念される事態でも業績は世界経済の強さを反映して高く推移するから、株価が上値追いをしてもおかしくない、というものです。

 ニューヨークの株価を全体で見ても、今はウォルマートなど国内営業中心の銘柄は冴えない。海外での事業実績の高い会社ほど株価の伸びが高い。国際的事業をしている企業にとっては、ドル安は輸出増進になるし、海外で持っている非ドル資産は値上がりする。

 それから類推するならば、日本の企業であっても今の世界経済の成長に力強く参加している企業の株価は、時間はかかるかもしれないが上がってくると予測できる。ある意味では、日本経済の低迷をよそに。

Multinationals drive rally on weak dollar

Multinationals have emerged as the main drivers of the US stock market rally as investors move to capitalise on the weak dollar by buying into companies with large overseas earnings.

The strong performance of international companies such as Procter & Gamble, Coca-Cola and Intel over the past six weeks has pushed US stocks to new highs, helping the market shrug off the credit squeeze and the risk of a recession.

Joseph Quinlan, chief investment strategist at Bank of America, said: "2007 will go down as the year the rest of the world saved America. The belief that the dollar is going to weaken further is prompting investors to own international large-cap stocks."

The strong showing by multinationals comes as US and foreign fund managers switch from small capitalisation and US-centred companies.

The stock market strength contrasts with previous rallies following interest rate cuts, which tended to benefit companies with a domestic focus such as regional banks. This time, after the US Federal Reserve cut rates by 50 basis points on September 18, multinationals rallied while retailers such as Wal-Mart and Home Depot remained dogged by concerns over the health of US consumer spending.

The weakness in the dollar, which has hit a series of all-time lows, benefits multinational companies in two ways: it makes US-made products cheaper on international markets and increases the dollar value of their overseas earnings.


2007年10月02日(火曜日)

 (06:34)朝起きてニューヨークの市場をチェックしたらダウが史上最高値更新。夕べの段階でUBSがサブプライム・ローン問題に関連して巨額の償却と経営陣の刷新を発表したので、「週明けのニューヨークはどうかな」と思っていたら、加えてシティバンクも大幅な減益を発表したのに、「二社の決算発表(決算の明確化)でサブプライム・ローン問題も過去のもの」とばかりに株価は急騰した。

 ニューヨーク・ダウ工業株30種の引値は、まだ少し変更されるかも知れませんが、192ドルと200ドル近く上げて、引けは14087.55ドル。むろん、これまでの引けの史上最高値14000ドルを遙かに上回る。SP500も1547.04と1.33%も先週末より上がり、史上最高値に極めて近い値段だと思う。つまり市場全体が強いということ。NASDAQは1.46%、40ポイント近く上がって2740.99と6年半ぶりの高値。

 なぜそんなに強いのか。ウォール・ストリート・ジャーナルには以下のように書いてある。

as investors got more news about the extent of the credit crunch, and positioned themselves ahead of third-quarter profit reports
 つまり、過去に起きたことについては全容が明らかになり、今度は第三・四半期決算のもう先を見ているのだ、ということ。UBSとシティの二つの巨大金融機関が発表した決算見通しは、実に厳しい。シティが60%の減益予想。UBSは34億ドルもの償却の話。しかしシティについて言うと、直後にブレーキング・ニュースで「Saudi Prince Alwaleed, the largest individual shareholder in Citigroup, said he fully supports the bank’s management, including its CEO」とあって、サウジが現経営陣支持の意向を表明。株についてはこのコーナーで取り上げ続けていますので、ご覧下さい。

  日曜日の夜に放送されたNHKBSの討論番組「日中国交正常化35年 新たな関係をどう築くか」は、大勢の方から「見ました」と。「着ているものが派手だった」というご指摘も。いえね、女性がいないと分かっていて、討論参加者全員がダークスーツなのは良くないと思って、私だけちょっと茶色に色づけしてみたのです。

 私も何回も日中関係の番組を視聴者の立場で見ているのですが、どうも決まり切った議論が多かったように思う。NHKが私を呼んだのは、経済を含めて新しい視点をという狙いがあったのでしょう。NHKの方からも『これまでの「日中関係」を語る討論番組とは少し違う視点からの番組になった』とメールを頂きました。再放送の予定

 ●10月6日(土)
 第1部 15:10〜16:00
 第2部 16:10〜17:00

 講談社の「日本力」を担当された間渕さんから電話で、「文庫にしたいのですが」と。この本を出したのは2005年春だったような。東京の株価がまだ11000円くらいで、日本には悲観論が蔓延していたとき。6刷りか7刷りまで行きましたから、経済の本としてはまずまずの成績。

 文庫化の話を頂くのはこれが二回目です。「スピードの経済」も日本経済新聞社の出版局(当時)から去年くらいですかね、話があった。しかしITの世界は変化が激しいと言うこともあって、その時はお断りしたのです。あとで後悔しましたが。「日本力」は普遍的な要因を多く扱っているので、問題はないと。むろん、前書きなどは書き換えますが。

 昨日の午後6時半からはプレスセンタービルで中東調査会主催のイラク問題勉強会。大野さん、酒井さんという二人の大御所が出ることもあって、頭の整理のために行きました。Q&Aには出られなかったのですが、「悲観的だな、これからどうなるんだろう」という思いを強くした。まああの地域はずっとアングロ・サクソンに振り回されているということです。


2007年10月01日(月曜日)

 (11:34)井口っていうのはラッキーな選手ですね。ナリーグ東地区で14年ぶりにフィラデルフィア・フィリーズが優勝。ちゃんとそこにシーズン途中でシカゴ・ホワイトソックスから移籍していて(チーム事情ですが)、大リーグ移籍最初の年に取ったワールド・シリーズ・リングをまたもらえる可能性が出てきた。ついている男という印象がする。それに対して松井は....、松坂は.....。どうでしょう。

 まだ可能性のあるロッキーズの松井とあわせて、かなりの日本人選手が米大リーグのポスト・シーズンに出場する。楽しみですな。結局ヤンキースは最終戦の対ボルチモアに勝ち、ボストンはミネソタに負けたので、結局2ゲーム差でアリーグ東で2位。まあ一時14とか離されていた割には接近した。しかし、後半のヤンキースでも本当に強いという印象はしない。

 何よりもベンチが弱い。中継ぎは不安が一杯だし、何よりもリベラが安定感に欠ける。最近は彼が出てくると非常に不安。先発もクレメンスに不安があり、ペティットも最終戦はぼろぼろだった。ムースも.....、ワンちゃんも.....と考えればきりがない。井川も安定感に欠ける。

 ボストンは揃っているな。ベケットがいいし、松坂も好不調の波はあるが良い。岡島もいる。パペルボンも良い。まあしかし21世紀に入ってからのポスト・シーズンを見ると、ワイルドで入ったチームは異常に高い確率でワールド・シリーズに進出しているし、これも確率的に言えば高い率で優勝している。そういう意味では、私がかねて主張していた「ワイルド・カードでの進出」にヤンキースがはまったことは良いことだと思う。

 日本のシステムはちょっと違うのですが、ソフトバンクの過去を見るまでもなく、優勝(地区でもそうですが)してポストに入ると、一種の義務感が生じる。買って当たり前という。また優勝したのになぜまた戦わねばならないのかという疑念、虚無感も生じる。「また2位だったチームと戦うのか....」と。この心の重荷がワイルドのチームを楽にする。

 日本のプロ野球も面白い。特にセリーグは優勝チームもまだ決まらない。今年はポストが面白い。その割に中継が少なくて、「この試合は見たい」というゲームがなかなか見られない。スポーツは一番のコンテンツなのに。コンテンツを大事にしない局に未来はないと思うのだが。



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