2008年01月31日(木曜日)

 (22:25)読売、朝日、日経の3紙が始めた統合サイトであるあらたにすが今日午前7時からオープンしたと言うことで渡ってみましたが、まあこんあところですかね。要するに3紙の各サイトへのポータルになっている。そして加えて、一面、社会面、社説などの読み比べ便利サイトという印象。

 当面私はリンク・サイトの日本の新聞列の頭に置いて、使い勝手を見てみようと思います。確かに読み比べには便利ですが、新聞独特の記事の大きさ、見出しの大きさなどはネットでは相変わらず見れない。

 あとちらっと思ったのは新聞案内人です。皆さん立派な方ですが、どちらかというと落としを召された方が多い。これから新聞を大勢の、特に若い人に読んでもらうのなら、もうちょっと若い人を入れた方が良かったのではないか、なんてことを考えました。

 それにしても、今日の日経夕刊の生活面はメッチャ面白い。分かるでしょうか。

  1. 宅飲み
  2. ミーフェチ世代
  3. 一人カラオケ
  4. まったり消費
 若い人に関した記事です。書き出しが「車に乗らない、先輩と酒を飲まない、カラオケで暴れない」。マイペースで楽しむ、という。確かに今の若い人達は、総じてですが以前の人達ほど車に乗らない、買いたがらない。

 スキー場も困っていますね。それにしても、「一人カラオケ」とは。一回も一人で行ったことはないな。誰かがいないと。しかし一部の若い人達は、グループで行ってもカラオケの中で一人一人部屋に入って一人でうたうケースもあるのだという。

 うーんそのうち、「まったり商品」がヒットするかもしれない。


2008年01月31日(木曜日)

 (04:25)「(利下げ幅は)少なくとも0.5%」「いや0.25%」「いや、今回は利下げは見送り」........様々な観測が飛び交ったFOMCですが、米金融当局が選んだ道は「0.5%の利下げでFF金利誘導目標を3.0%にする」でした。声明文は以下の通り。

Release Date: January 30, 2008

For immediate release

The Federal Open Market Committee decided today to lower its target for the federal funds rate 50 basis points to 3 percent.

Financial markets remain under considerable stress, and credit has tightened further for some businesses and households. Moreover, recent information indicates a deepening of the housing contraction as well as some softening in labor markets.

The Committee expects inflation to moderate in coming quarters, but it will be necessary to continue to monitor inflation developments carefully.

Today’s policy action, combined with those taken earlier, should help to promote moderate growth over time and to mitigate the risks to economic activity. However, downside risks to growth remain. The Committee will continue to assess the effects of financial and other developments on economic prospects and will act in a timely manner as needed to address those risks.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; Timothy F. Geithner, Vice Chairman; Donald L. Kohn; Randall S. Kroszner; Frederic S. Mishkin; Sandra Pianalto; Charles I. Plosser; Gary H. Stern; and Kevin M. Warsh. Voting against was Richard W. Fisher, who preferred no change in the target for the federal funds rate at this meeting.

In a related action, the Board of Governors unanimously approved a 50-basis-point decrease in the discount rate to 3-1/2 percent. In taking this action, the Board approved the requests submitted by the Boards of Directors of the Federal Reserve Banks of Boston, New York, Philadelphia, Cleveland, Atlanta, Chicago, St. Louis, Kansas City, and San Francisco.

 ポイントは、「However, downside risks to growth remain. The Committee will continue to assess the effects of financial and other developments on economic prospects and will act in a timely manner as needed to address those risks.」でしょうか。つまり、前回と合わせて1.25%の利下げでも景気へのダウンサイド・リスクは残っている。よってFOMCは利下げの金融市場と経済の動向を精査し、リスクに適切に対処する形で行動する、と指摘している点。つまり、今後も金融市場の状況や景気次第で「利下げを継続する」と言っている。

 ただし今回も反対者が出た。今回はリチャード・フィシャー理事。ダラス連銀の総裁です。今回の声明を先週の声明と比べると、現状認識の部分でFOMCが判断を厳しくしていることが分かる。前回の関連パラグラフは

The Committee took this action in view of a weakening of the economic outlook and increasing downside risks to growth. While strains in short-term funding markets have eased somewhat, broader financial market conditions have continued to deteriorate and credit has tightened further for some businesses and households. Moreover, incoming information indicates a deepening of the housing contraction as well as some softening in labor markets.
 となっていた。文章を短くした分、FOMCが抱いた懸念が伝わってくる。


2008年01月30日(水曜日)

 (17:49)「公聴会や参考人質疑を含む徹底した審議をする」などを内容とする両院議長の斡旋案を与野党が飲んだのは、日本の国会にとって一つの前進でしょう。国会は審議、議決が仕事だからそれをするというのが本来の仕事で、そこに戻った。「政局」を睨んで対立ばかり繰り返していたら、自民、民主両党とも国民から見放されていたに違いない。

 ポイントは、「年度内に一定の結論を得るものとする」という点でしょう。河野、江田両議長は「これは参議院でも年度内に議決をすることか」と聞かれて、「そういうことだ」と答えている。

 ということは、与党が一番恐れていた「期限切れ→暫定税率廃止」という流れがなくなったと言うことだ。議決さえしてくれれば、60日ルールがなくなるわけで、自民党は参議院否決を受けて衆議院で再議決することが出来る。(もっとも野党は「一定の結論」を「議決」とは明言していない)

 反対だから体を張っても抵抗するというのは55年体制下の与野党の関係で、見苦しい。今の議席を選挙の結果と受け取って、その痛みを抱えながら議論をし、議論を尽くしたら議決に加わるというのが私は政党の筋だと思う。

 そういう意味では、野党が一つねじれ国会の課題を乗り越えた感じがする。議長斡旋までこなければ事態が動かなかったのはまだ問題多しということでしょうが。次の総選挙でどちらが政権をとっても、日本の政治は「ねじれ」的事態が続く。その中でどうした良いのかの知恵を積み重ねて欲しいと思う。

 しかし注文があるのは、「国会審議を通し、税法について各党間で合意が得られたものは立法府で修正する」としている部分について、是非創造的な対応をして欲しいということだ。私のアイデアは、揮発油税などの暫定税率は廃止し、これとは別に環境税を設ける」というものだが、是非そうした今まで議論に上がってきていなかった側面からも議論して欲しいと思う。

 政党離れに関しては、大阪の府知事選挙を見ても明らかだ。民主党の推した候補の惨敗は、候補者自身の問題があったにせよ、参議院で大勝した民主だが決して積極的な支持を国民から得ていないことを示した。自民、公明は党本部は橋下候補を推していない。推さなかったから彼は大勝したとも取れる。

 「徹底した審議」がどのようなものになるか見詰めたい。


2008年01月30日(水曜日)

 (13:56)グリーンスパンの「私の履歴書」は、彼と私たちにとっての昔話が終わってやっと面白くなったと思ったら、もうすぐ終わりなんでしょうね。ちらちら読んではいたのですが、バスタブの中でアイデアが浮かぶ、「irrational exuberance」もそうだった.....とか。「根拠なき熱狂」と訳しましたかね、この訳語は。これまでは知っていることも多かった。

 今日の「米国の行方」は、彼の今のアメリカに対する見立てです。「格差の解消には教育が大事」などはFRB議長に就いていた頃から彼が言っていたことで目新しさはないのですが、今のワシントンにおけるアメリカの政治に対するグリーンスパンの見方は面白かった。

 今回の話しは2006年末のフォード大統領の葬式のシーンから始まるのですが、「米国の政治は様変わりしてしまった」という下りは、ワシントンの政治は「危機に対する対応力」では日本の遙かに上を行く、と見ていた私のような人間にはちょっと意表を突かれた感じ。

 「最近は共和、民主両党が角を突き合わせるだけで、互いのつきあいは減っている。だから何事も前に進まない」なんてところは、共和を自民に置き換えるだけでどこかの国の事かと思ってしまうが、アメリカもそうなんですな。常に見ているわけではないので知りませんでした。

 「富の分配の平衡化」(ある程度のですが)をグリーンスパンは求めているのだが、ではどうすれば良いのかという点に関しては、教育を挙げているだけで、ちょっと弱いのではないか、と想いながら文章を読みました。「本当にそうかな。もう一つ必要な物があるのでは」と思う。

 むろん、教育は長期的にはベストな解決策ですが、教育内容を誰もが同じように消化し、それを生かせるわけではない。どうしても政治的再分配のシステムが必要になる。どういう方法で、どの程度というのは常に大きな問題です。政治は常にその選択肢の戦いだとも言える。

 民主党が勝ったらこの分配の程度はかなり変わると思う。しかし、本当にオバマで、またクリントンで勝てるのかという疑問は残る。フロリダもマケインが勝ったらしいから、これで共和党はマケインが一歩抜け出た形。2月5日を過ぎれば、これからのアメリカの向かう政治や社会の形も少し見えてくる。


2008年01月29日(火曜日)

 (23:56)突然人気スポーツになったハンドボールですが、少なくとも女子の戦い(韓国戦)を見る限り、力の差があったように見えました。明日の男子の戦いはどうなのか。まあ「アジアの笛」でオリンピック出場が決まるよりも公正な笛の下で決まった方が良い。

 府知事選後初めて大阪に来ていますが、あの大差で選ばれたにもかかわらず、橋下新知事に対する見方は、「これからが大変だ」ということで一致している。「府債発行ゼロ」の公約をまずどうやって貫徹するのかが焦点。

 府債発行をしないということは、府の財布に新しいお金が入ってこないことを意味します。お金が入ってこないと言うことは、従来やっていた支出の一部が出来ない事態が予想されるし、「大阪を元気に」という彼の主張の為の事業費も捻出できない可能性が高い。

 一気に府の財政を引き締めた場合、府の職員の給与の大幅カット、時には人員削減などの影響が出る。その中には警察官も含まれる、ということになる。これは相当喧々囂々の議論になります。せっかく38才の若さで知事になったのだから、出足から躓いて欲しくはないのですが、出足から試練が続くことは明らかです。

 今CNNのラリーキング・ライブを見ているのですが、大まじめで「Do you believe in UFOs ?」とやっている。私は見ていないし、存在を信じない方ですが、アメリカでは議会でもUFOの存在を信じる一群の人々がいて、真剣に議論をしている。日本で一時UFOを巡るテレビ番組が多かった時期がありましたが、今はそうではない。一回火がつくと盛り上がりそうですが。

 ところで、国会はどうなっているのやら。「つなぎ」の法案とは考えたものです。しかし政治が本当に取り組まなければならない問題で争っている感じはしない。大阪の府知事選挙で示されたのは、実は「既成政党離れ」だと思っています。


2008年01月28日(月曜日)

 (23:56)それにしても、考えたらアメリカの消費者には実は酷な話ですな。なぜって、消費が盛んなときには、「アメリカの消費者は借金までして消費している」と悪口を言われ、でも逆に彼等が消費をしなくなると「世界経済が危ない。戻し税の小切手を使って欲しい」となる。

 どちらが持続性があり、自然であるかです。そりゃ決まっている。アメリカは明らかに過剰消費の国です。つまり、蓄え以上に使ってきた。各所で貯まった「借金」は膨大なものになっている。借りたものは返さないといけない、という原則に則るなら、アメリカの消費者がもし「健全な姿になろうとしている」としたら、「いやそれはまずいから、またお金を使って下さい」とは本当は言えない。

 しかし、言わないと、そして実際にアメリカの消費者がお金を使わないと世界経済は回らないようなところがあると考えられている。今日の世界的な株安も、そこに原因がある。「急に健全化されても」と。

 しかしこれはどう考えても、健全化すべき事柄は大きく深い。ということは、結構時間がかかるということです。アメリカは国レベルでも、そして個人レベルでも結構借金に漬かっている人が多い。もっとも、日本を含めて先進国全体で言えることですが。

 そういう意味では、高い資源価格の販売によって着実にキャッシュを貯め込んでいるSWFは強い。ダボス会議で「警戒感」をもたれたとしても、実際にアメリカやヨーロッパなどの金融機関を救済できる資本を持っているのはSWFです。バンカメは60億ドルを増資によってまかなう方法を選んだが、果たして十分な調達が出来るのかどうか。

 今週はイベントが多い。先週の後半の株価の戻りで一安心と思ったのもつかの間、週明け28日の市場は大荒れ。まあ暫く続きます。


2008年01月27日(日曜日)

 (11:56)いい映画です。本当にいい映画です。壇れいも良い。いいんですが、しかし今ひとつメッセージに新しさ、強さがないような気がするんですよ。

 吉永小百合さんの演技力も素晴らしい。しかし、彼女の演技の最高峰はどうしても「夢千代日記」だと思っていて、その印象が強すぎるんです。シンの強い、美しい、時に悲しい女性を演じたのは、今回が最初じゃないという印象が残った。

 母べえの話です。たまたま空き時間があって見たのです。中味はあまり書きませんが、「いい映画だ」と思いながらも、もう一つ乗れなかった。エンディングの時間がスッポンと飛ぶのも気になったな。劇場の入りもあまり良くなく(見たのが新宿だったせいもあるが)、ちょっと残念でした。

 最近で面白かったのは、東京タワーです。実に久しぶりに150メートルの地点と一番上の250メートル部分に行ったのです。250メートル部分は以前はなかった。2011年にこの有名な塔は、テレビ塔としての一番重要な役割を終える。墨田区に新しい塔が出来て、それが主要な電波放出塔になるからです。

 で、最近新聞記事などでも東京タワーの話題が多い。「Always三丁目の夕日」の残像もあったのでしょう。久しぶりに、と思って行ったのです。東京の景観も上から見るとなかなかです。高いビルが出来てそこからでも東京は鳥観出来る。

 しかし、東京タワーは胴回りが細い。30歩くらい歩くと東京の街を全方位に向かって全貌出来る。意外だったのは、汐留めのビル群が予想以上に厚かったこと。そして、新橋が完全にビル群の谷間に存在していることが分かったこと。あれでは海風が遮られて、新橋が暑いわけだ。

 面白かったのは、150メートルのところに「Look Down」という床が透明なガラスになっている部分が三つあること。私は覗いただけですが、あれは怖い。上に立つことはやめました。あの上で飛んだり跳ねたりしていたのは子供だけです。大人は皆怖がっていた。

 確かあの塔は50周年。放送塔としての役割を終えると、収入が減る。観光名所として生き延びるしかない。まあでも何年ぶりかで行くのは楽しい、と思いました。


2008年01月25日(金曜日)

 (11:56)なかなか素早い。日本の政治と同じくワシントンはしばしば 「partisan city」(党派の街、政局の街)と呼ばれるが、危機に対応するときの動きは速い。

 アメリカの新聞を今ネットで見ていてら、ホワイトハウスと議会が総額1500億ドルの景気刺激策で合意したと伝えている。読むと、「a rare display of compromise and speed in a city known recently for partisan gridlock」と書いてあるから、アメリカでも珍しいのでしょう。

 野党の民主党のペロシ下院議長はこのことに関して、「I can't say that I'm totally pleased with the package, but I do know that it will help stimulate the economy」と述べている。「完全に満足できるものではないが、景気の刺激に役立つから」という理由付け。この柔軟性が日本の政治にも欲しい。日本の政治は政局に絡みすぎる。

 柱は個人に対する戻し税。最初の案からはちょっと変わっている。中身は

The centerpiece of the package is $100 billion in tax credits for an estimated 117 million families this spring. Most individuals who pay income taxes would get $600; working couples would receive $1,200. Workers who make at least $3,000 but don't pay income taxes would get checks of $300 to $600. People in both groups would get $300 credits for each of their children
 となっていて、所得税を支払っている夫婦では以前は1600ドルとなっていたのが、今回は1200ドルと引き下げられているのが目に付く。その代わりに、民主党が主張していた所得税を支払っていない人たちで3000ドルの所得がある人々にも300〜600ドルの小切手が送られる。この分が1000億ドル。残りは企業関係。

 問題は、このうちいくらが使われるかです。つまり消費に回るか。貯蓄に回ったのでは、景気刺激にならない。しかしいくら消費好きのアメリカ人でも、今の状態では貯蓄比率を高める可能性もあると考える。あとは問題の根幹である住宅市場に関わる問題、つまり債券買い取り機構の創設の話、弱体化した金融機関の資本増強の話などが進むかどうかでしょう。

 それにしても、ソクジェンの7600億円損失には驚きました。女王様の銀行であるベアリングを潰したのはニック・リーソンと言う円債トレーダーの空けた穴1100億円だったと思ったので、7600億円は凄まじい。今朝のFTなどはこの問題で埋まっていますが、そりゃそうだ。

 日本の株価は22日に700円を上回る下げを記録、その他の世界の市場も大荒れになったのですが、どうやらその下げはソクジェンの損切りに関係していたようだとの見方がある。だとすると、世界中の投資家を不安にさせたあの一日の正体が見えたと言うことになる。


2008年01月25日(金曜日)

 (00:56)来週も引き下げが予想されるアメリカの短期金利誘導目標。今は3.5%ですが、大方の予想では0.5%引き下げられて3.0%になると見られている。しかし今読んだウォール・ストリート・ジャーナルには再度0.75%の引き下げで2.75%になるとの見方も出ていた。

 ここで重要なのは、「どこまで下げるのか、下げられるのか」という問題です。そもそも最近のFF金利の誘導目標の推移を見ると、もっとも低かったのが2003年6月25日のFOMCから翌年2004年の6月末のFOMCまで続いた1.0%。「デフレ対応」というのが理由だった。

 それが2004年6月30日の1.25%への0.25%引き上げから毎回0.25%引き上げられて、2006年の6月29日に5.25%に達した。最近では一番高いところです。それが再び引き下げられ始めたのが昨年の夏。アメリカ経済がサブプライム問題で急速に悪化し始めた頃です。

 8月に二回の予定外の緊急声明を出して、9月18日の4.75%への0.5%引き下げが開始の合図。その後は10月末に4.5%に下げ、12月にもう0.25%下げて4.25%となり、そして今週(予定外のFOMC開催)の0.75%引き下げの3.5%となっている。

 昨年9月からの引き下げ前の水準が5.25%だったことを考えれば、この間の4ヶ月の利下げのペースはアメリカの歴史に残るような急激な下げです。80年代の初め以降ではないかな。しかし当時はアメリカの金利水準そのものが高かった。ハイパーインフレのあとで。

 しかし短期金市場はまだ下げを見ている。危機対応の際にはアメリカはしばしば実質金利をゼロにしてきた。それらを勘案すると、2.25%程度まで下げられてもおかしくない、という意見が載っている。そうかもしれない。しかし金利面からだけで、今のおかしくなったアメリカ経済、それに住宅市場を助けられるとは限らない。重要なのはブッシュ政権がどういう政策をとるかです。

 24日の日経夕刊には、米議会を中心にいろいろな動きが出ていることを伝えていた。公的資金を投入して住宅ローン債権を買い取る政府系機関の設置案(ドッド上院銀行委員長案)、道路や住宅などインフラ整備に財政出動を求める案(リード上院院内総務)など。公的資金は共和党が渋るかもしれないし、モラル・ハザードの問題があるから一筋縄ではいかないが、落ち着き先は案外そんなところかもしれない。

 24日の早朝に起きた書いて以降、ニューヨークを含めて世界の株価は急激に反発。水準が低くなれば、材料は残っていても市場は自律反発する。問題はその持続性です。市場はまた「今の水準は」と見直す時がくる。それまでに対策がある程度整っていないといけない。

 あと記事で興味深かったのは、ビル・ゲーツのダボス会議での発言。あちこち見て、「今のままではダメだ」と思ったのでしょう。彼は最近南アフリカのスラム街なども見たという。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、以下のように報じられている。

"We have to find a way to make the aspects of capitalism that serve wealthier people serve poorer people as well," Mr. Gates will tell world leaders at the forum, according to a copy of the speech seen by The Wall Street Journal.

Mr. Gates isn't abandoning his belief in capitalism as the best economic system. But in an interview with the Journal last week at his Microsoft office in Redmond, Wash., Mr. Gates said that he has grown impatient with the shortcomings of capitalism. He said he has seen those failings first-hand on trips for Microsoft to places like the South African slum of Soweto, and discussed them with dozens of experts on disease and poverty. He has voraciously read about those failings in books that propose new approaches to narrowing the gap between rich and poor.

 見出しは「kinder capitalism」であり、ビル・ゲーツの言葉としては「creative capitalism」という単語も登場する。ジョージ・ソロスといい一種のアメリカの成功者が到達する境地のような印象も受けるが、それが重要であることは確かで、しかし問題なのは「いかに達成するのか」でしょう。

 ダボス会議はまだ進行中。福田さんはどんなスピーチをするのか。サミットが今年日本であるからダボスまで出かけた、というのが見え見えなのが寂しい。


2008年01月24日(木曜日)

 (04:56)「いきのいい、しかも異才の新人が出てきたな」という感じです。つけられた呼称は、「文筆歌手」。どちらを先にするのか、つまり「歌手」と「文筆業」の優先順序は彼女自身が決めるのでしょうが。

 スタジオでご一緒したこともあって、川上未映子の「乳と卵」を読んだのです。まず驚くのは文章。大阪弁丸出しで、しかもそのリズム感を微妙に残しながら、「、」でつないでいって、めったに「。」に到達しない。

 文章からも感じるイキイキとした感受性や、あらゆることに対する疑問を、そのまま抱えて、しかし決して悩むだけではなく、表現者としてパワフルに生きているという印象が伝わってくる方です。隣に座っていると、不思議なパワーが彼女にはある。

 正直言って、芥川賞の選考委員はしばし考えたでしょうね。私の想像では。しかし彼女の持つ不思議なパワー、文章に表れた魅力溢れる表現に魅了されたのではないか。読むとちょっと今自分がどこにいるのか不思議な気持ちになるときもあるが、しかし非常に新鮮な印象が残る。

 「文筆歌手」の俗称が表しているように、彼女は歌手でもある。既にCDなどを発売していて、その歌っている姿は何回も見ていますが、今までは特にヒットがあったというわけではない。しかし彼女はここでも「一生懸命表現している」という印象。期待したい新人です。

 ニューヨークの株の下げが止まらない。先日書いたように、利下げは「追い込まれて」という印象で、この文書を書いている時点の23日の同市場のダウ平均は100ドル弱下げている。今の市場は乱高下しますから、あと1時間ちょっとで市場はどう動くか分からない。高く終わるかもしれない。しかし、依然として基調は弱い。

 リセッション懸念が強いからです。安値で昨年からの高値から30%も下げた日本の株に比べて、ニューヨークの株の下げはまだ20%に届いていない。住宅不況の影響は様々な指標に広がっている。

 今後の市場の展開次第ですが、来週29〜30日の予定されたFOMCでは、恐らくまた利下げをするのでしょう。0.5%下げればアメリカのFF金利誘導目標を3.0%になる。しかし利下げしたからといって、すぐに景気が回復するかどうかは不明。何よりも当局の政策に対する「信頼感」が欠如しているし、「問題の本質」に触れていない。

 「問題の本質」とは、信用のリンクがあちこちで切れていると言うことです。それを回復するには、銀行や証券会社など関連金融機関に対する公的資金の投入と、極端に値下がりしたサブプライム関連証券の買い上げ、などが考えられる。

 アメリカでもその議論の一部は出てきているが、モラル・ハザードの議論は必ず出てくる。日本は銀行に対して公的資金を入れて、やっと信用のリンクに対する疑心暗鬼がほどけた経緯がある。

 むろん相場はいつかかならず下げ止まる。地球が明日にでも終わりにならなければです。しかし、放置は極めて危険です。あと、市場がグローバルに瞬時に関連し合って動いているのに、当局の動きは各国が個別的で、連携を感じさせるものが少ない。昨日の場合は、ECBも利下げの議論に与しなかったことが市場では嫌気された。

 つまり「催促相場」なのです。それに乗るかどうかは判断ですが、催促の圧力に負けてやったのでは、今回のFRBの0.75%緊急利下げのように市場から足下を見られてしまう。この連続はどこかで断つ必要がある。


2008年01月23日(水曜日)

 (00:56)うーん、はっきり言ってちょっと遅い。追い込まれちゃダメなんですよ。私は先週の金曜日に、ブッシュが景気刺激策の概要を発表するのと同時に利下げすべきだと思ったし、その旨ラジオで言ったんですけどね。

 寄り付きでダウは一時460ドルも下げた。その後は戻しているが、プラスにはなれない。日本が90年代にデフレで悩んでいたときにアメリカは「思い切ったことをしなければ」とずっと言っていたが、やはりいざ自分の番だとやっぱり従来の思考の範囲から出ることが出来ずに、結局小出しの政策になってしまう

 まあでも、ブッシュの景気刺激策の「概要発表」よりは、一つ具体的に打ち出しているという点では、前進です。不安心理が不安を呼ぶ今の現状では、「力強い声明」のようなものが必要だと思ったのですが、それがなかったのがちょっと残念ですな。

 サブプライム関連債券の値下がり、金融機関の健全性に対する不安、アメリカ経済のリセッション懸念など、多くの病根に対して、本質的な対処がまだ何一つ手が打たれていないのが不安材料です。

 今週セリング・クライマックスが来ているのかどうか。その兆候もあるが、市場安定化に向けてG7が緊急声明を出すとか、協調行動を起こすとか、何かしないとまだ不安心理は残るのでしょう。FOMCの緊急0.75%利下げの声明文は以下の通りです。

Release Date: January 22, 2008

For immediate release

The Federal Open Market Committee has decided to lower its target for the federal funds rate 75 basis points to 3-1/2 percent.

The Committee took this action in view of a weakening of the economic outlook and increasing downside risks to growth. While strains in short-term funding markets have eased somewhat, broader financial market conditions have continued to deteriorate and credit has tightened further for some businesses and households. Moreover, incoming information indicates a deepening of the housing contraction as well as some softening in labor markets.

The Committee expects inflation to moderate in coming quarters, but it will be necessary to continue to monitor inflation developments carefully.

Appreciable downside risks to growth remain. The Committee will continue to assess the effects of financial and other developments on economic prospects and will act in a timely manner as needed to address those risks.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; Timothy F. Geithner, Vice Chairman; Charles L. Evans; Thomas M. Hoenig; Donald L. Kohn; Randall S. Kroszner; Eric S. Rosengren; and Kevin M. Warsh. Voting against was William Poole, who did not believe that current conditions justified policy action before the regularly scheduled meeting next week. Absent and not voting was Frederic S. Mishkin.

In a related action, the Board of Governors approved a 75-basis-point decrease in the discount rate to 4 percent. In taking this action, the Board approved the requests submitted by the Boards of Directors of the Federal Reserve Banks of Chicago and Minneapolis.


2008年01月22日(火曜日)

 (09:56)先日KOHJINSHA(工人舎)という会社の小さいPCの話を書きましたが、なんと「もう使っている」という人からメールを頂きました。それも以前私が一緒に働いたことがある人です。

 こういうメールは嬉しいですね。メールは長いので、一部を割愛させていただいています。ドバイに持って行かれたと。そりゃ、うけますよ。近く雑誌の特集でも取り上げる予定です。日本のB5のPCを飛行機の中で使っていても、じっとこちらを見ている海外の人達がいっぱいいるくらいですから。

 伊藤さん

 何気に、伊藤さんの日記は毎日拝見してますし、 ラウンドアップもポッドキャストで聞いてます。

 さて、メールしたのはほかでもなく(?) 僕が、工人舎ユーザーだからです。 http://www.kohjinsha.com/support/sa/sa1f00ea/feature.html 持っているのはこのPCですが、 1年くらい前に買いました。

 工人舎さんは、知る人ぞ知るみたいなメーカーのようで、 このPCが発売された直後は、 秋葉原で行列ができたようなことも聞きました。ほんとうに小さくて持ち運びには便利です。 ネット、メール、スカイプが主の僕には 出張用のサブPCとして大活躍してます。

 去年の3月にこれを持ってドバイへ行ったのですが、 日本人を含めて、各国のプレスの人から、 「これはどこのPC?」「うらやましい」「買おうかな」と、 見た目の印象はかなりよかったようです。 値段も安いですしね。

 悪い点は、キーボードの反応がいまいちで、 少し強めに押さないとタイプミスしやすいので、 ライターさんなんかには不向きかもしれません。 もちろんこのシリーズだけの問題の可能性もあります。

 参考になればよいのですが...。 伊藤さんの話やコラムの影響で、 インドに行ってみたいこのごろです。

 それはそうと、株の世界的な下げが厳しい。モノライン(債券保証会社)の経営状態に対する不安、それにバンチャイの損失に対する懸念がその背景。見ていて思うのは、「信用のリンク」の「輪」に亀裂が入ったときには、思わぬところに問題が生じて、それが予想の範囲を出た形で投資家の市場に対する信頼を揺るがすと言うことです。

 一端揺らいだ信頼は、しばしば市場を超えた存在の容喙によってより効果的に戻る。なぜなら市場そのものが「水準感」を失うから、誰か水準を示してくれる存在が必要だからです。

 そのことを一番感じたのは、1995年4月19日、東京市場で円が史上最高値となる79円75銭を付けたときでした。今の株安は、多分サブプライム問題の発生国であるアメリカの当局、具体的には政権かFRBの措置によって落ち着きに向かう可能性が強い。

 今はそれが見えないからみんな不安です。こうした状態はいましばらく続くでしょう。


2008年01月21日(月曜日)

 (09:56)一冊面白い本を読みました。日下公人さんの最新刊かな。題名は「あと3年で、世界は江戸になる!」と。

 日下さんとは対談してこの本を作った経緯もありますから存じ上げているのですが、何よりも題名にびっくりしますね。

 しかし読んでみると、日下さんの日頃の言説を集大成した印象。確かに江戸時代を日本人自身が誤解している面がある。人口は3000万ちょっとでずっと動かず、変化も成長もなかった時代というのが明治維新からの日本人の代表的な江戸時代観。

 しかしいつの時代もそうだが、新しい時代というのはその直前の時代を「否定」することから「新しさ」を作ろうとする。着実に遺産を引きずっているのですが。そういう意味では、明治時代以降に固まった江戸時代観はやや眉唾で見る必要があって、見直しがあってしかるべきだと考えているのです。

 日経新聞や日経CNBCで盛んに日経ヴェリタスの宣伝が始まっている。このサイトを見て気がつくのは日経金融新聞というのは1987年のスタートからほぼ20年で幕を閉じると言うことです。わたしはずっとこの間自宅でこの新聞を取り続けた奇特な人間ですが、最後は噂では3万部くらいしか出ていなかったらしい。

 私がずっとこの高い新聞を取り続けたのは、自分の知らないことをこの新聞でチェックしていたからです。金融市場がらみの。新聞社には、多くの部門を担当する多くの記者の方がいて、頭を捻りながら記事を書いている。多くの目がある、というのが重要です。一年ちょっとですが日経金融にはエッセイも書いていたし、まあ愛着もあった。

 しかしなぜ打ち切りになったかと考えてみると、この新聞を取っていた金融機関の数の減少とか、特に土曜日の同紙はニューヨークの引値も入らない中途半端な存在だったとか、記事が少なく数字が多かったとかいろいろ原因はあるのでしょうが、要するにネットに代替されたという面が強いと思う。

 日経ヴェリタスは、ニューヨークの週末の引けを入れるために日曜発行だという。試作版をちょっと見せてもらったことがあるのですが、今までの日本の新聞にはないタブロイド判だったような気がした。週1の新聞ですからちょっと分厚くなるかも知れませんね。

 日経CNBCはこの日経ヴェリタスとコラボして「First Class」という番組を3月17日から放送する予定という。今の予定では、3月24日の同番組には私も出て、その後も一定間隔で出演する予定です。名前は凄い。どんな番組になるのか。

 通信手段の変化に伴ってメディアも変わる。メディアミックスは必然的な方向でしょう。多様性を失ってはいけないが、メディアごとの垣根は着実に低くなる。テレビのデジタル化は一つの大きな革命でしょう。東京の場合「5がテレビ朝日、7がテレビ東京」という時代は直ぐそこだし、BSやCSを含めて今後は一線に並ぶ。視聴者の選局も、アナログ時代の「なんとなく」から合目的的になるのでしょう。

 今私はポッドキャストを大きなもので毎週二本(日経ビズポッドキャストラジオNIKKEIのラウンドアップ)をやっていますが、これほど多くの人に聞いてもらえるとは予想外です。これはもっぱら、アップルのipod とソニーなど日本各社の再生端末のおかげです。これからも色々な端末が増えるでしょう。


2008年01月20日(日曜日)

 (20:56)ははは、長らく私のPCが通信でお世話になったエアエッジとは今日でお別れです。W05Kを試してみたら、とりあえずかなり良いことが分かった。ということは、W03Hともお別れ。

 私にとってのモバイル用の通信料金が、来月からかなり大きく下がるはずです。W03Hは今までは従量制だったから、新幹線の中などで長く使うと、それだけ料金がかさんでいた。ところがこれからは2年間の縛りはあるものの、定額で月6000円未満ですから、今までのW03Hの平均月使用料の半分から三分の一になる。

鍋大会の最後の全員写真  エアエッジとの付き合いは長い。知らないうちに2台も持っていたことに最近気がついた。これも定額だが、ちょっと高かった。それを2台とも終わりにしましたから、これも大きい。解約はウィルコムの店しかできないので、小田急ハルクの上のビッグカメラから新宿のセンタービルの2階に行ったのですが、かなり人が多かった。

 改めて比べてみて、当時は有利だったウィルコムの料金制度が、かなり劣化していることが分かった。ケイタイ電話各社が持っている回線がかなり良くなったせいで、何よりも通信スピードが違う。W05Kはincoming は3.1くらいある。outgoing が1.いくつか。しかしエアエッジはどちらも1の半分くらい。

 ま、各社とも徐々に進化するのでしょう。2年間のうちには新幹線の中でも無線LANが通るかも知れない。暫くW05Kで使って、また次の機種が出たら考えます。

 通信端末切り替えで新宿の西口をうろうろする前は、同じく新宿西口(といってもかなり遠い)の東京ガスのショールームにいました。この時から続いていて、今回第12回となった「全日本鍋物コンテスト」のため。

 12年続いたというのは、凄いことです。その間ずっと幹事というか事務局をしてくれた辻さんはじめ、ゆうりちゃん、それに会長の市岡さん、今泉さんなど草創のメンバーには頭が下がる思い。そういう私も最初からずっと参加、その間ほぼずっと今の伊藤、内藤、松崎、木村で毎年この時期の参加を楽しみにやってきました。鍋探検で中国に何回も行ったこと、去年はモンゴルに行ったことも良い思い出かな。

 「12回もやったらもうええやろ」ということで、今回が一応の区切りということで、8組も集まった。まあね、順位を決めるのですが、あまり興味はない。一年に一回の顔合わせ、お遊びとして重要だった。

 次の大会は未定ですが、せっかくタグを組んできたのだから、我がグループは「毎年この時期に鍋を食べる」ということを決めました。まあ、なんだかんだいって年に何回も会っているんですがね。珍しい鍋がいいな。

 うーん、今年の特徴は「さっぱり系」かな。毎年少しずつ味付けに変化があるんですよ。今年は我々の「春の梅」鍋もそうでしたが、さらっと。時代の風 ?


2008年01月19日(土曜日)

 (23:56)寒いこともあって家にいたのですが、それも良くないな、と、夕方から外に出ることにして新宿に。デパートと家電量販店を定点観測。デパートには余り変化はありませんでしたが、家電量販店では面白いものを二つ見つけました。

 一つはW05Kというauの通信端末。今は私は出張用のモバイルの為の通信端末にはW03Hを使っているのですが、これは定額ではない。新幹線の中などで使うので、結構料金が高くなる。しかしW05Kは定額設定が出来るので、ちょっと調べて良さそうだったらこれに変えようかな、と。エアエッジなどよりもよほど良さそう。

   もう一つの発見は、全く新しいPCメーカーの発見。PCコーナーを見回っていて、「え、これ何?」って感じでした。B5タイプよりまだ小さいのはあるとして、「KOHJINSHA」という表記にびっくりした。

 小さい。またケイタイのように背中の部分をくるっと回せるタイプもある。もう9時近くで店を出なければならなかったので詳しくは見てないのですが、正直言って私はこのKOHJINSHAという名前は今回初めて見たと思う。

 家に帰って工人舎のサイトを見たら、2005年からPCを作っているようだ。なぜ目にとまらなかったんだろう。ちょっと時間のあるときに使ってみようかな、なんて思ってます。

 ネットを見ていたら、工人舎の創立者は元ソーテック創立者であり、ソーテックの起業時の志に立ち返ってこの工人舎と作ったのだという。新しい企業が出てくるというのは良いことです。両方、またはどちらかをもう使っている方でコメントのある方はメール下さい。

 ところで、家に帰ってみたBSドキュメンタリーは良かったな。ライプチヒで起きたデモに関する第一回は見ていたのですが、第二回の「ベルリンで何が起こったのか」は見ていなかった。偶然やっていて、じっと見てしまいました。

 1989年の11月9日になぜああいうことが起きたのか。突然起きたのではないことがこのドキュメンタリーで良く分かった。勘違いと思い違いと偶然と。しかし歴史の確かな流れの中での出来事だと分かる。次にドイツに行くときには、またドイツを見る目が違ってくるでしょう。面白かった。


2008年01月19日(土曜日)

 (12:56)今度は新風舎ですか。今月は自分が知っている出版社が二つも行き詰まった。草思社と今回の新風舎。新風舎は青山の伊藤忠ビルの前に社屋(の一部)があって、いつも前を通っていましたし、かつては知り合いもいた。

 新風舎の場合は、本離れだけが原因ではない。この会社は自費出版大手と紹介されることが多いことでも分かるとおり、普通の出版もしていたが、自費出版で名前を売った。しかしその自費出版で顧客とのトラブルがいろいろと報じられたのは一昨年、昨年だったと思った。それで「受注が急減した」(新聞報道)という。今でも1000人以上の自費出版契約顧客がいると伝えられる。

日本力の文庫本  活字離れというか、雑誌、本、新聞離れについては、最近の調査でもいろいろと出てきている。しかし、ipodなど過去にはなかった新しいメディアも登場している。読み手、聞き手が分散するのはある意味では当然です。

 まあそういう中でも出版される本もあるというわけで、土曜日の午前10時過ぎに講談社から送られてきたのが写真の本です。装丁は全く知りませんでした。私が以前聞いたときには「20日発売」と言っていましたが、既に「この本を友人に贈りたい」という方からメールを頂き、「出版社のサイトには23日と書いてありますよ」、と。じゃ、23日に全国の主要書店に並ぶと思います。

 この本をハードカバーで出したときも悲観論の蔓延状態だった。今回は世界経済への悲観論を含めて日本でも悲観論が強い。前回のハードカバーの時は日経平均が確か11000円くらいだったと思った。それが2005年の春の発売直後(ハハハ)から上昇して18000円台まで行った。

 今回は先週の引値を見ると14000円を割ったところ。日本ばかりでなく、世界中の株式市場が悲観論の極にある。今回も「出版は良いタイミングだった」ということになって欲しいと思っているのです。株の上げばかりがよいというわけではないが、あまり水準を下方に修正すると、年金など社会の前提を大きく揺るがす。社会福祉の為に良くない。

 今朝の新聞では、日経の『「ニッポン」失望のワケ』と東京新聞の「中国成長で古紙争奪戦」を面白く読みました。『「ニッポン」失望のワケ』は実は土曜日に毎週私が書いている東京新聞コラム(本音のコラム)に今週分として書いたことと同趣旨。私のコラムは600字弱ですから、日経の記事ほど長く書けませんが、短い中にも同じ事を主張した。

 つまり、「資本を持って行こうとすると何か言われる」「政治も何を目指しているのか不明」と。環境問題への対処なども、技術を持っているのにそれを総合的に使う術を知らない....など。問題は実際に多いのです。しかし私は、前回もそうでしたが日本がもっている力は相当大きいし、それは世界でいろいろな分野で評価されていると思うのです。そういう気持ちを本に込めた。

 「中国成長で古紙争奪戦」は、「古紙偽装」「エコ偽装」という一風変わった減少が「なぜ起きたのか」について突っ込んだレポートをしている。そこで見えてきたのは中国の急成長による「古紙争奪」→「古紙価格急騰」だというのです。

 この問題は書くと長くなるのですが今回はやめますが、一つ言えることは「人々の美意識は大きく変わった」ということです。つまり「古紙再生」と書いた方が人々が安心して買うという状況。偽装はいかんが、この美意識の広がりは大切にしたい。


2008年01月18日(金曜日)

 (23:56)この酷く寒い中、夕方から長野市に。昨年からたまに出ている「知るしん」という番組の為。生であるため、「電車が遅れたらどうするんだろう」とか想いながら、その一方で「雪には強く作ってあるはずの新幹線だから大丈夫か」と。実際問題なく着きました。

 地域ネタなんですが、結構グローバルなんですな。面白い。オーストラリア人が大挙して白馬に来ているらしい。今後更に長野県内の観光地を活性化するには、と言った話題。昨年面白かったのは、伸びる企業を探せ、といったテーマの時。ある意味で、「伸びる企業」は日本中の地域が探している。結構普遍的なテーマです。

 地域復興も結構個別的、経路依存的なんですよ。「これ」といった共通の秘訣は余り無い。それぞれの地方が知恵を絞り、それに政府の支援や地域の人達の支援があって初めて出来る物だと思ってます。帰りは夜10時近い電車。マイナス3度で、雪が降っていました。

 昨年末から今年初めに実施したこの番組の調査結果がまとまったということで見せてもらったら、面白い数字が出てきた。一番嬉しかったことは、アンケートに応じてくれた実に81%の人が「毎週必ず聞いている」と答え、13%の人が「ほぼ毎週聞いている」としていてくれたこと。加えて毎週聞く上にアーカイブもチェックするという方も4%にいらっして、実に98%の方が毎週に近い頻度でアクセスしていてくれていることが分かったこと。放送をしている人間としては嬉しい。

 一番驚いたのは、番組をお聞きになっている実に95%の方が男性だったこと。まあ小難しい経済や政治の話しですから、ちょっと性別が偏ったのですかな。しかし「もうちょっと女性に聞いて欲しい」と思いました。

 経済や投資に関するコンテンツも多いことから、比較的所得の高い方が多いようです。これは予想外でした。年代別で見ると、40代、30代の順で、50代、20代が同じ割合。若い人達の要望になるべく沿った、しかし独自性を残した番組を今後作っていこうと思いました。

 講談社の間渕さんからメールで、「日本力」の文庫本の見本が出来上がった、と。19日には送られてくるそうなので、楽しみです。講談社の今月分の文庫としては最も多い15000冊刷ったそうで、まえがきも書き直しましたから、まだハードカバーを手に取られておられない方は、お読み頂けると幸いです。


2008年01月18日(金曜日)

 (14:10)今朝のスポーツ新聞を見たら1月2日の特番で出ていた野球選手が「戻る」と言っていたのは、アメリカではなく神戸のようでした。トレーニングを開始と出ていた。私の勘違いでした。

 それから、新しいエッセイがアップされました。回を重ねてこの回になりました。考えるといろいろ書きたいことがある。


2008年01月17日(木曜日)

 (11:10)今朝の新聞には、「オヤ」と思う記事がいくつか。日経の小さい記事で、「まい泉 サントリーが買収」と。以前風呂屋だった本社社屋で創業家がずっと頑張るとばかり思っていたら、2月中に創業家が持ち株の95%をサントリーに売却するとある。「サントリーのまい泉」ね。

 以前オフィスが青山にあったころは、表参道から少し青山三丁目に入ったまい泉の本店にはよく行きました。トンカツを食べに行ったと言うよりも、「そば」を食べに行った。同社の長野県の肉処理工場の近くに蕎麦がとれるところがあって、それからトンカツ屋なのに蕎麦を出すようになったと店の方に聞いた。

 まい泉のトンカツはあまり好きじゃなかったな。柔らかすぎる。どうしてあんなに柔らかさを均一に出来るのだろう、と思っていて、今でも放送局などで出されるまい泉のトンカツはあまり食べる気がしない。トンカツに限らず肉はもっと歯ごたえがあった方が良い。

 サントリーが買収したあとは本店のメニューはどうなるのだろう。創業家の小出千代子さんという方が会長になり、サントリーは社長を出すという。春くらいにまたあの風呂屋改造の面白い作りの本店に蕎麦を食べに行ってみたい。

 蕎麦で思い出したが、まい泉の近くにはガレットを食べさせてくれる「ル・プルターニュ」という店があったような気がした。そば粉のクレープです。この店で私は初めて植物としての蕎麦が出来るのが日本だけじゃなくて、フランスにもロシアにも、それこそ世界中どこにも出来ることを知った。

 それまで無知だったんですね。ただ何となく「蕎麦は日本のもの」と思っていた。食べ方は独特かもしれないが、地味が良くない場所で蕎麦は世界中どこでも出来る。世界中で蕎麦を使った料理はいっぱいあるのだとこの店で悟った。

 東京新聞には、「どこかで見たな」と思えるインドの女性の写真が。ははは、この映画で見た女優さんでした。役の上ではアシマ名前の役だったと思った。本名を知らなかったのですが、「タブー」というらしい。

 サイトのキャストのところに説明があって、確かにインドの女優さんの中ではちょっとあまり色気がないという意味で異色かな、と。ハリウッドにちなんでインドの映画界をボリウッドと言うのですが、この記事によると「インドではもっとも多様な役をこなす女優」だと書いてある。

 映画は凄く推薦するという感じではない。しかし、私のようにニューヨークに住んだことがあって、この国際都市にインド人がタクシーの運転手などで大勢さん住んでいることをよく知っている人間には面白かった。決してなくせない出自と、自分たちと違う文化を持つ人々との交流の楽しさと限界。まあしっとりした映画です。

 次はスイーニー・トッドが見たいな。多分暗い映画で、カリビアンのようにはいかないでしょうが。


2008年01月16日(水曜日)

 (23:10)六本木で食事を終えて結構良く行く静かな店に向かって歩き、店にあと少しの所まで来たら、目の前に運転手付きの黒のボックスタイプの車が止まり、中から二人の男女が降りてきた。見たら男性は1月2日に「プロフェッショナル 仕事の流儀」(でしたっけ)の主人公でした。女性は多分奥様。

 向かったのがたまたま同じ店だった。こっちはカウンターに座り、彼等はちょっと離れた場所に。当然話しかけるというようなことはしなかったですよ。せっかくのオフの東京の夜を楽しんでいるのでしょうから。店のご主人と話しをしていたら、「最近は毎日いらっしゃるんですよ、気に入ってもらって....」と。

 私は1月2日の放送を見ていてどうしても聞きたかったことがあったのでその話をしたら、「じゃ、私が聞いてきますよ....」と。何を聞きたかったかというと、あの放送ではその野球選手は毎日昼はカレーライス。7年間ずっと変わらない習慣、というように受け取れる内容だった。「本当かな...」と思っていたのです。

 ご主人が注文の品を届けに行ったときに私の代わりに聞いてきてくれて、「そう受け取られたかもしれませんが、シーズン中のホームゲームの時は....」という限定条件付きだそうです。つまり162試合でしたっけ、その半分のホームでの試合で毎日昼にカレーライスを食べている、とのこと。つまり年間80回以上です。

 まあそれでも多い。ホームに長いときは一週間以上いることもあるのでしょうから、そうするとその間はずっとカレーということになる。良く飽きないものですな。その野球選手は明日アメリカに戻るとのこと。そろそろ2008年も自主トレから合同トレーニング、そしてオープン戦と本番に向かって走ることになる。

 それはそうと、FTに面白い記事が。確かメキシコの市民がトルティージャの原料であるトウモロコシ価格の高騰に対して抗議行動を去年起こしたと思ったのですが、今度はインドネシアで数千人が大豆価格の上昇に対して抗議活動を活発化させているようです。

 それに慌てたインドネシア政府が、国内での大豆供給の促進を促す措置を発表するに至った。大豆相場は、エタノールに転換されるトウモロコシへの作付け変更の進展、アルゼンチンやブラジルでの不作、それに中国での需要拡大もあって、ブッシェル当たり13ドル以上と、昨年の約2倍になっている。

 既に国連は、世界的な穀物価格の上昇が世界各地で社会不安を引き起こす危険性を警告していた。インドネシアでの最近の騒動は、昨年のメキシコでのトウモロコシ価格高騰に抗議する動きに続くもの。穀物価格の上昇は一種の消費税のような物ですから、所得の低い階層から打撃になる。

 昔はよく「食料援助」なんてのが行われていた。食料が余剰な、そして安価な存在だったから頻繁に出来たとも言える。今のように高くなってきたり、各国とも国内需要を満たすのに精一杯になったら援助は削減される。とすると、援助で食べてきたような国は直ちに窮地に陥る。

 メキシコ、インドネシアとくると、次ぎにこういう騒動が起きるのが何処の国か大体予想できるような気もする。人口が多くて、比較的貧しい国ということになるでしょう。


2008年01月16日(水曜日)

 (05:33) 「リスク・アバース」(risk averse)

 今の世界の金融市場で起きていることを一言で表現するならば、この言葉でしょうか。一番安全だと考えられている米国国債を初めとする各国の国債が買われ、株が売られる。一方、商品相場は世界経済の鈍化予想を受けて今までの高騰を改めて見直している、という状況。

 注目されていたシティグループが発表した昨年第四・四半期の決算は、181億ドルの評価損を含む総額222億ドル(約2兆3800億円)の追加損失という結果となった。これにより同社の当期赤字の額は98億3300万ドル(約1兆500億円)に達した。

 同社は昨年第三・四半期(7〜9月期)決算で既に約67億ドルの損失を計上し、同年11月にアラブ首長国連邦(UAE)の政府系ファンド(SWF)から75億ドルの出資受け入れを公表したばかりだが、今回はシンガポールやクウェートの両政府系ファンド、それに現在も大株主のサウジアラビアの王子らから計125億ドルを受け入れる。さらに一般株主からも計20億ドルの出資を募る計画だ。つまり総合計は145億ドルに達する。まさにアメリカで最も名前の売れた金融機関が「よれよれ」という状況。

 同じ日に米証券大手のメリルも資本注入を発表し、ここには日本の資本も入ることになった。注入するのはみずほコーポレート銀行で、12億ドル(約1300億円)。その他メリルは、クウェート投資庁や韓国投資公社といった政府系ファンドからも資本を受ける。合計額は66億ドルとされる。

 メリルは昨年第三・四半期決算でサブプライム問題に関して約84億ドルの損失を計上したばかり。昨年12月にはシンガポールの政府系ファンドなどから最大62億ドルの出資受け入れを表明したが、その後も関連の証券化商品などの価値が下落したことにより、17日発表予定の07年10〜12月期決算でも150億ドル規模の追加損失を計上する見通し。

 つまり二つの米大手金融企業が、増資とパッケージでなければ決算を発表できないほど経営基盤を危うくしているということ。その結果、例えばシティやメリルの外国人持ち株比率がコンバージョンのあとどの程度になるのか。それは当然かなり高くなるでしょう。これは何回も書きますが、SWFにもっとも批判的だったアメリカが、その資金で金融機関を助けてもらっているという状況。日本の金融機関はバブル崩壊後に政府のお金で助けてもらったが、アメリカの金融機関には世界中の余剰資金が入っている。しかし、それだけで済むかどうかの問題になりつつある。

 私がこの文章を書いている最中に終わったニューヨークの株価は、日本時間午前6時現在の暫定の引けでは

ダウ  12501.11  -277.04  -2.17%
Nasdaq 2417.59   -60.71  -2.45%
S&P 500 1380.95  -35.30   -2.49%

 となっていて、軒並み2%を上回る大幅な下げだ。シティの決算と同じく注目されていた米12月の小売売上高が0.4%の減少になったことも株価を押し下げている。予想は0.1%のマイナスで、11月分の増加幅も1.2%のアップから1.0%の増加に下方修正された。この結果アメリカの金融市場ではリセッション(2・四半期連続のマイナス成長)懸念が強まった。2007年一年間を通じた米小売売上高は4.2%の増加。これは2002年以来の低い伸びだった。消費の国アメリカの肝心の消費が危なくなってきている。

 価格が上がったのは政府債だ。利回りで見ると、2年債は2.553%であまり変わっていないが、10年債は 3.727%、30年債は4.310%。いずれも大幅な低下である。つまり価格の上昇。

  下がったのは株ばかりではない。1月2日にバレル100ドルをつけて以降の原油相場は下げ基調を強めているが、15日はNYMEXのWTI2月渡しはバレル2.30ドル下げて、91.90ドルとなった。期近としては12月20日以来の安値。原油相場は100ドル示現以降の9立会日の7立会日で下落し、ブレント物は90ドル割れの寸前まで来ている。原油もさすがにリセッション懸念には勝てない。

 原油と同様に注目されている金は乱高下。ニューヨークでは高値を更新する場面もあったが、その後は利食いの動きが活発となって、2月物は902.60ドルの引け。原油は経済活動の鈍化を予測し、金は株に代わる代替投資の対象になっているものの、これだけ急激に上がると利食いが出やすいのと、原油が下がる中で金ばかりを買っていられるのかという高値恐怖も出てきている。ドル・円相場はニューヨークではドル安値(円高値)が106円の60銭前後。

 ブッシュ大統領は今中東を訪問中だが、今後の課題は「物色できる銘柄も出てきた」というニューヨーク株にいつ押し目買いが入るか、政府がリセッション懸念に対して何をするのか、そしてFRBがどう動くかでしょう。アメリカ人にとって株は年金の原資そのものであり、大幅な下げは老後の生活に直接響くという状況がある。

 今後は緊急対策を巡る当局の動きに注目が集まるでしょうが、その前にシティ以外の金融機関の決算が当面が関心の的となる。それにしても、昨年秋までは偉容を誇っていたアメリカの金融機関の凋落ぶりは、今の金融市場が本源的に抱えているリスクの大きさ、それの対応を誤ったときの存在感の喪失の素早さを雄弁に物語っていると言える。


2008年01月14日(月曜日)

 (11:33)この週末にしっかりと覚えた単語は「パンデミック(pandemic)」でしょうか。NHKが二日にわたって一つはドラマで、一つはドキュメンタリー仕立てで、鳥インフルエンザが「人ー人」で強い感染力を持ったときの恐怖を取り上げていた。

 東海地方を襲う地震と同じで「いつかは必ず来る」と言われているが、鳥インフルエンザから派生する、強い感染力を持つ「人ー人」型発生の方がはるかに可能性が差し迫っていると二つの番組を見ながら思いました。人類の誰もが免疫を持っていない、という恐ろしさ。

 気になったのは致死率の高さでしょうか。インドネシアなどで起こった「人ー人」型の鳥インフルエンザは7人中6人といった高率だったらしい。それとはまた別の種類のウィルスが世界を襲うことになるのでしょうが、極めて高いと予想される。国立感染症研究所の見通しは、「日本では64万人が死亡する」ということらしい。ドラマではもっと多い死傷者を見込んでいた。

 今まで私が知っていた「エピデミック(epidemic)」という似た単語は感染症が一部地域で、あるいは散発的に流行することを指すという。対して世界的な流行病に対する医学用語であり、感染症が世界的に流行することを「パンデミック(pandemic)」という。その翻訳は、感染爆発、あるいは汎発流行

 人類が過去に経験したパンデミックとしては、14世紀にヨーロッパで流行した黒死病(ペスト)、19世紀から20世紀にかけて地域を変えながら7回の大流行を起こしたコレラ、1918年から19年にかけて全世界で最高5000万人が死亡したという説もあるスペインかぜ(インフルエンザ)などがあるというから、強烈である。

 番組で一番驚いたのは、アメリカが「命の順番」まで決めている、という内容。新型インフルエンザが発生してから作るワクチンを誰から打つかという話し。政府案では65才以上の老人が優先順位として高かった。感染しやすいからです。

 子供達は老人達よりも劣位に置かれていたというのです。しかし議論が起こった。「これから生きる子供達を優先すべきではないのか」というのです。そしてその国民的な議論が通って、優先順位は変更されたというのです。

 そこまで明け透けに議論が出来る、ということが素晴らしいと思いました。また半年で3億人の国民全員に新しいワクチンを供給できる体制を考えているのも、素晴らしい。まあ冗談じゃなく、直ぐそこなんでしょうね。日本も少し考えないと。その気になるだけで、日本も出来ると思うのですが。


2008年01月11日(金曜日)

 (04:33)まあそうでしょうね、この時期にバーナンキがスピーチをするとしたら、以下の文章は入れざるを得ないでしょう。そしてその結果として、ニューヨークの株は「大幅利下げ期待」から急落を免れ、外国為替市場ではドルが各国通貨に対して下落する、という展開。

 バーナンキの発言は、FRBのHPのこのサイトにあります。最後のところが非常に明確に、「場合によっては、さらなる大幅な利下げをする」という表現になっている。

 Monetary policy has responded proactively to evolving conditions. As you know, the Committee cut its target for the federal funds rate by 50 basis points at its September meeting and by 25 basis points each at the October and December meetings. In total, therefore, we have brought the funds rate down by a percentage point from its level just before financial strains emerged. The Federal Reserve took these actions to help offset the restraint imposed by the tightening of credit conditions and the weakening of the housing market. However, in light of recent changes in the outlook for and the risks to growth, additional policy easing may well be necessary. The Committee will, of course, be carefully evaluating incoming information bearing on the economic outlook. Based on that evaluation, and consistent with our dual mandate, we stand ready to take substantive additional action as needed to support growth and to provide adequate insurance against downside risks.
 このバーナンキ発言の直前にあったのが、ゴールドマン・ザックスの「米経済は今年リセッション入りする」との予測です。同社は9日に顧客向けリポートで、米実質GDP(国内総生産)について4―6月期と7―9月期がそれぞれ年率で1%のマイナス成長となり、通年でも0.8%の伸びにとどまると見込んでいる、とした。

 2・四半期連続のマイナス成長は、まさにリセッションです。しかしそういう予測が出てきたが故に、FRBは今月29〜30日の次回FOMCで大幅な利下げを余儀なくされる可能性が高まると筆者は見ていた。

 そしてその悲観的な予測に基づくFRBの果敢な(ものになるかもしれない)行動によって、逆の可能性として、米経済が2・四半期連続のマイナス成長を免れるかもしれない、という力学の中にある。経済は複雑系です。「大幅」の中味については、先日アメリカの不動産産業は「0.75%の利下げ」を要求していた。「1%」までは視界に入っている、と考えるのが妥当か。

 むろん、今のアメリカの着面している問題は利下げだけでは解消しない、ということを承知の上で書いているのですが。次はブッシュ政権が何を打ち出すか、です。


2008年01月10日(木曜日)

 (15:33)今週大阪から帰ってきた時に少しうろうろして思ったのですが、東京駅の八重洲口も変わりました。あと3〜5年で「八重洲」のイメージも大きく変わるのではないか、と思いました。

 まず大丸がイメチェンした。「Why Tokyo ?」という一見意味不明の、しかし言いたいことはなんとなく分かるキャッチがいっぱいあって、「大丸はトウキョウのデパート」と宣伝した上で、一階を以前の女性用小物フロア(まあ化粧品や飾り物などですかね)から、スイーツに変えた。

 これが当たっている。何時行っても人でごった返している。その中でも人が多いのが「ねんりん家」かな。阿佐ヶ谷の店なので、以前から知ってはいたのですが、大丸でどのような味になったのか知りたかった。しかしいつも人が一杯並んでいたので、今までは通過。

 しかし今週私が大阪から帰ってきたときは少なかった。で初めて買ってみたのです。ちょっと卵の味が勝っている印象がしたのですが、今までのバウムクーヘンとは明らかに味が違って味わえる。「人気があるのが分かる」と思いました。あと人が集まっていたのは「Keith Manhattan」でしょうか。ここは売っている製品が多い。アップルパイは美味しかったが、その他はどうでしょうか。

 大丸を挟むように、北側にグラントウキョウのノースタワーと、南にサウスタワーがある。両方ともオフィスビルで、最上階に誰でも入れるレストランがある、といった丸ビル的存在ではない。それぞれ企業専用のレストランなどが入っている。私はサウスタワーの一番上に行ってみましたが、銀座方面が見えて景色は良い。

 東京駅サイドではなくて、道の反対側は依然として「八重洲」です。ちっとも変わっていない。しかしここもかなり変わってくるでしょう。そういう話しも聞いている。ただし丸の内口のサイドが庶民性がないのがウリだったわけだから、八重洲はそれを失って欲しくないな、と思っているのです。八重洲はある程度「猥雑さ」が残った方が魅力があると思う。


2008年01月09日(水曜日)

 (19:15)ははは、ヒラリー・クリントンが走り切りましたね。大阪で開票率20%のところまで見ていたらヒラリーが依然として勝っていましたから、新幹線の中で「そのままいくかな」と思っていたら、差は縮まったものの、夜の段階で依然としてヒラリー39%、オバマ37%でヒラリーの勝利。直前の世論調査ではヒラリーはオバマに10%以上支持率で負けていましたから、大逆転と言える。

 問題はなぜそういうことが起こったかです。理由が一番重要です。ウォール・ストリート・ジャーナルには次のように書いている。

 A big factor for Sen. Clinton was her recovery among female voters. In Iowa, Sen. Clinton got less support from women than Sen. Obama did. But in New Hampshire, she captured about half of women voters, giving her a roughly 10-percentage-point lead among women over her rival, according to early exit polls. About two in three Clinton voters were women.
 つまり、女性が原動力だったというのです。ヒラリーは女性票の半分をゲットし、ヒラリーに投票した3人のうち2人は女性だったと。「女性に嫌われているヒラリー」との評判を見事にひっくり返した形。ではなぜ女性は急遽クリントンに票を投じたのか。ニューヨーク・タイムズには以下の文章があった。
 Several New Hampshire women, some of them undecided until Tuesday, said that a galvanizing moment for them had been Mrs. Clinton’s unusual display of emotion on Monday as she described the pressures of the race and her goals for the nation ー a moment Mrs. Clinton herself acknowledged as a breakthrough.
 つまり投票の直前の月曜日に、「レースは辛いか」と女性に聞かれたときに見せた「unusual display of emotion」、つまり目に見えた涙と動揺の様子だと書いてある。あれでニューハンプシャー州の女性達は、「今回はヒラリーに入れよう」と考えたのだと。

 それは大きいでしょう。しかし、このままオバマが勝ってしまったら、かつてなかったアメリカで最初の女性大統領候補が早々に消えてしまうことにニューハンプシャーの女性達が「それはちょっと」と思った可能性もある、と筆者は思っているのです。どこの国でも投票者はしばしばバランス感覚を働かす。

 共和党ではマケインが大逆転。金なし、人気なし、イラク戦争支持が弱材料と言われたが、一貫した姿勢が評価されたとも言われた。しかし、私はここでも投票をする人たちのバランス感覚が働いたと思う。共和党は大混戦です。

 徐々に明らかになってきたのは、次の大統領を決めるのに大きな役割を果たすのは若者達だろうということ。それはニューハンプシャー州の勝利の後にヒラリーが自分の後ろに立たせた人々の顔ぶれを見ても分かる。アイオワで負けたときにはアメリカではちょっと知られた政治の世界の人々を後ろに立たせたが、今回は若者中心だった。投票率が高かったのは、閉息感にウンザリした若者達だった。

 しかし正直私の政治的感覚から言って、ヒラリーにしろオバマにしろこのまま支持を広げられるかどうかについてはあまり自信がない。なぜなら、二人とも「アメリカ史初」ですから。共和党も誰が出てくるかまだ分からない。レースの図式が絞られるのはまだちょっと時間が立ってからでしょう。


2008年01月09日(水曜日)

 (10:15)アメリカの市況記事を読もうと思ったら、見出しが「Markets Tumble Into Correction」と。アメリカでは普通、「(株式市場の)調整局面入り」を「高値から10%以上下がった場合」を指します。ということは、昨日のニューヨークの株価が急落して、高値から10%以上下がり、同株価が「調整局面入り」したことを意味する。

 一見実に不思議なことに、サブプライム問題発生の母国でありながら、アメリカの株式市場は昨年7%程度上昇していた。日本株はは余波を被る立場にいただけなのに、昨年は11%も下落した。しかし昨年末に加えて今年最初の5営業日でニューヨークの株価は5%以上下落して、ついに昨年10月初めにつけた14164.53(ダウ工業株)から11%下落した。問題はこれからです。

 火曜日のニューヨークの株価は、実は日本が夜中に入る頃は安定していた。前日引値を若干上回るところで。しかし引け際に急落した。引値は238.42ドル安の12589.07ドル。何が引け際に懸念されたのかというと、不動産市場と米経済の柱である消費の先行きに対する懸念。この二つは密接に関連している。前者に明るさが見えないと、本当の意味の消費の回復はない、という繋がり。

 株価が経済の先行きを予測する先行指標だとすれば、ニューヨーク株価の調整局面入りは、アメリカ経済がリセッションかそれに近い状態に落ち込むことを意味すると考えられる。「カレンダーはめくったのに、古い問題はついてきた」と記事の中に書いてあったが、実際にアメリカが今直面している問題は、去年からの古い問題です。

 そのアメリカで行われている次期大統領を巡る戦いは、アイオワに続いてニューハンプシャーでも過去にない盛り上がりを示しているようです。現役の大統領、副大統領が誰も出ないという現状の中で、また現状のブッシュ政権への不満の高まりの中で、同州では党員でなくても投票できる予備選のため、さらに投票率が上がっている。投票者数については、ニューヨーク・タイムズには「absolutejy huge」という表現がある。投票用紙がなくなった投票所もあったらしい。

 私が今見ている米東部時間19時53分(日本時間9日午前9時53分)の結果(開票率9%)を見ると、得票率では不振を伝えられていたヒラリー・クリントンが37%でトップ。CNNのアナウンサーは「意外だ」と。対するオバマは36%。対する共和党はマケインが37%、ロムニーが28%。

 「昨日のヒラリーの涙は、彼女の本心であった可能性が強く、それが彼女への投票を増やしたのでは」とCNNの解説者。うーん、だとすればアメリカの大統領も変なところで決まる、政策よりはということです。もっとも開票率は低い。彼女が最終的に大きくオバマに負けたら、レースからの離脱を考えなければならないかもしれない。僅差ならスーパーチューズデーへのなだれ込みです。彼女が勝ったら、直前の世論調査(オバマ大幅リード)はいったい何だったのか、ということになる。

 選挙戦の展開次第では、ブルームバーグ・ニューヨーク市長の独立候補としての参戦も予想される。まだ次のアメリカ大統領選挙が誰と誰の戦いになるかがはっきりするには、ちょっと時間がかかる。


2008年01月07日(月曜日)

 (10:54)東京新聞を読んでいたら、突然紙面に「KT」の文字が。「KY」は良く聞くようになったのですが、「KT」はあまり聞いたことがない。しかし、ひょっとして「KY」の反対、と思ったらそうでした。

 「KY」はご存じの通り「空気を読まない、読めない」の略だとされているが、考えてみれば「空気を読む、読める」の方にも当てはまると主張できないことはない。だから対象語が出て初めて意味が確定すると思っていたのです。

 その意味で、新聞の見出しに「KT」が載ったことは意味がある。「KT」は「空気を掴む、掴める」の略だと書いてある。なるほど。まあそれだけのことですが、実は「空気」とは実に曖昧なもの。

 そう言えば、「KY」表現が出てくる前に男性月刊誌ゲイナーに『「空気」だけでは乗り切れないことがある』という文章を書いたことを思い出した。KYにしろKTにしろ、あまり好きな言葉ではない。しかしプリベイルする可能性が高い。

 HUTという単語も今朝ちょっと勉強して覚えました。households using television の略で、日経産業新聞の記事から。日本語では「総世帯視聴率」と訳される。07年は平均43.1%で、06年より0.8%ポイント下落したという。

 若い人がテレビをあまり見なくなった、というのは4年ほど前に大妻女子大学で2年間ほど教えたときに色々話をしていて気付いていました。ケイタイがあるし、ネットもある。興味が持てる番組が少ないし、ドラマも面白くない、と彼女らは言っていた。

 07年はフジテレビが4年連続3冠王になったらしい。三冠王というのは、ゴールデン(午後7時から10時)、プライム(午後7時から11時)、全日での視聴率トップ。しかしその中味はあり喜べないようだ。各13.8、13.8、8.7だが、前年に比べると0.4、0.7、0.6のパーセンテージポイントの下げとなったという。ということは、他局にはもっと落ちているところがあると言うことだ。

 「テレビの広告市場は2兆円程度で成長が止まったまま」とは日経産業。しかしちょっと疑問があるのは、筆者などはBS1やCSをよく見る。広い範疇ではこれらもテレビだと思うが、在京民放キー局の視聴率調査には、これらのマージナルなテレビ局は入っていない可能性があるのではないか、という点。まあそれでも、視聴番組の多様化は進み、民放各社は新しい収益源の模索を余儀なくされるでしょう。

 昨年末から「なぜそうなのか」と疑問に思っていた言葉に、寿司屋のガリがあります。あれはなぜ「ガリ」と言うのか。最近時間を見つけて辞書を調べてやっと分かりました。それは、「(がりがりとかじるところから)生薑(しょうが)をすし屋でいう」(国語大辞典(新装版)小学館 1988」。

 「これには色々説があるはずだ」という私の友人もいる。しかし、調べた限りではこれが一番説得力がある。


2008年01月06日(日曜日)

 (23:54)放送局からドーンと資料をもらって、それを読んでいる最中です。この番組がプレゼントとともにアンケートを実施して、その結果が出たため。

 日頃放送(ラジオとポッドキャスト)を送っている側からは分からないことがかなり分かってきて面白い。まだまとめてはいませんが、しゃべり方が早いという方もいれば、テンポが良いという人もいる。もうちょっと若者に向けたメッセージをという方もいれば、今のままの比重で良いという人もいる。

 時間の長さについても、ちょうど良いと言う人もいれば、ちょっと短いので長くしてと言う人もいる。対照的に並べただけで、数の多さ、少なさはあります。やれることはやり、検討できることは検討して、よりよい番組にしていきたいと思っています。

 それにしても、大勢の方からアンケートを頂きました。非常に長い文章で印象を書いて下さった方もいる。そう言う方には時間を使っていただいて恐縮です。

 参考にさせていただきますし、ちょっとまとまったらここでも紹介できればと思います。


2008年01月04日(金曜日)

 (23:54)街に出ましたが、まだまだフル操業には程遠いという印象。店も飲食系は6割方は閉まっていて、やっている店を探すのが大変だった。ま、土日に人が戻って、フル稼働は来週の月曜日からでしょう。

 株式市場も参加者が少なかったのか、買い手が引っ込んで一時は大発会だというのに日経平均で750円くらい下がっていた。その間はドルは値を保っていたのですが、12月の米雇用統計を受けて急落。日経平均の引値は616円37銭安だった。大発会にしてはちょっと記憶にない大きな下げ。

 米雇用統計では、まあ正直ちょっと少なかったですね。非農業部門就業者数の伸びです。予想が+7万人でしたから、それが+1万8000人というのは。この結果ドル安が進み、ドル・円はまだニューヨークの株式市場が始まる前の段階で107円の90銭を付けている。

 アメリカは人口の増加などを含めて、毎月「10万〜15万の雇用増加」が望ましいとされる。しかし、昨年12月の伸びはそれを大きく下回った。これは2003年9月以降の雇用拡大局面では最も低い伸び。

 家計調査をベースにした失業率(軍人を除く)も5.0%で、前月より0.3%も上昇した。これは2年1ヶ月ぶりの高水準。サブプライムローン問題を発端とする金融不安や住宅産業の不振が鮮明になり、これが雇用の減速をもたらしているという図式。

 ニューヨークの株は寄り付きでは118ドル安と出た。knee-jerk reaction (脚気反応、当初反応)としては当然でしょう。問題はその後ですね。

 米大統領選挙指名争いでのアイオワ党員集会での結果は、アメリカの大統領選挙を一層分からなくするものでした。民主党ではヒラリーがピンチに立った形(3位は驚き)で、次のニューハンプシャーが焦点になった。ここでもヒラリーが勝てなかったら、情勢は大きくオバマ優位に動く。エドワーズの奮闘も目立った。

 共和党はハッカビーは共和党員ながら反ウォール・ストリート、反CEOで珍しい。この選挙結果に対するウォール・ストリート・ジャーナルの論評は

Huckabee and Obama's victories are dramatic evidence of voters' hunger for change. Romney placed second among Republicans as evangelical Christians turned out to back Huckabee. Clinton and Edwards fought for Democratic runner-up. Biden and Dodd exited the race.
 というもので、確かにブッシュ(4年)、クリントン(8年)、ブッシュ(8年)の20年のあと、再びクリントンというのはちょっと変化観が少ない。ブッシュ、クリントンという名前以外が欲しいとの願望がアメリカ国民の間にあるのかも知れない。


2008年01月03日(木曜日)

 (23:54)ある程度予想されたことですが、世界のマーケットは「明けまして大波乱」といったところでしょうか。年末まで「世界ではドルを調達できない銀行がいっぱいある」という半分真実の見方(ドル不足感)の中で何とか値を保っていた同通貨は、年明けと同時に急落。円は一時108円台。

 ニューヨークの株は年末年始(31日、2日)と大幅に下落して、正確には覚えていませんがダウで二日合計300ドル弱の下げ。一方、原油価格はWTIでバレル100ドルに一時タッチ。木曜日の寄り付きのニューヨークの寄り付きはやや高ですが、これも終値は予想できない。日本勢が戻ってくればドルはやや反発するのでしょう。安いドルを買いたい人、安い外貨を買いたい人は一杯いる。問題はその後です。

 今日で三が日も終わりですが、この三日間で強く感じたことは、「日本の中に強烈に入ってきた”外”」ということです。何かというと、身の回りに「外国の人」が実に増えた印象が強い。沖縄で沖縄美ら海水族館を歩いていたら、聞こえてくる会話の半分くらいは中国語でした。彼等はしばしば団体で来ている。当然ですが、英語も数多く聞かれた。

 2日に戻ってきて銀座で天ぷらを食べていたら、隣に座ったのが香港からの4人の家族連れ。ご主人と思われる方が、「煙草を吸っていいですか」とわざわざ聞いてきた。礼儀は日本人より良い。当然「ノー」と言いましたが、暫く会話していて面白かった。

 海外の日本人気は相当高まっている。この調子だとちょっと円高になったくらいでは、今年日本を訪れる外国人の数は去年より相当多くなりそう。物事にはモメンタムがあって、冬至の時点が一番寒いのではなく、あとの方にずれるのと同じです。

 その一方で、相変わらず海外渡航者は多いのですが、国全体を見れば日本人は内向きになっているように思う。若い人はなかなか海外に行きたがらないし、環境問題を見ても一体海外の諸国がどう動いているかについて日本人はあまり気にしていないようにも見える。新聞記事は多いのですが、ではそれに従って国内の政治が動いているかと言えばそうではない。

 元旦の「地球特派員」は私にメールをくれた方の中では評価は高かったようです。非常にまとまっていて分かりやすかった、という意見が多かったように思う。ああいう筋のある番組で取材が出来たのは、私としても勉強になって良かった。一人で行っても会えない人に会えるのが良い。

 ただし取材していると、色々なことが頭に浮かぶ。それを番組はすべて入れるわけにはいかない。そういう意味では「ドイツがなぜ政治的にも再生可能エネルギーで世界の先頭を走れるのか」の問題は収録の時には話に出たのに、流れの中にはうまく入れなくて放映されたVTRの中には入っていなかった。これは残念だったと思います。

 あと、欧州が多くの問題でデファクト・スタンダードになっているというところも入れて欲しかったな。ま今年はこの手の番組や記事が多くなると思っています。あの番組で拾われなかった部分については、あちこちで書いていきたい。

 そう言えば、まだ新年の挨拶をしていなかったような。元旦の午前0時は沖縄本島の最南端に近い平和祈念堂で迎えました。実に多くの人が集まって松明を持っての年越し。今までの年越しとは全く違っていたので、ある意味で新鮮でした。沖縄の人達が先の戦争を後生に語り継ごうと努力していることが良く分かりました。良い経験でした。


2008年01月02日(水曜日)

 (23:54)ハハハ、「英語で喋らナイト」を見終わったところですが、この番組は面白い。話題の取り上げ方がいいし、映像の作り方や話題の持って行き方がうまい。今日のJカルチャーの話も面白かった。秀逸な番組ですな。

元旦に沖縄で見付けた寒緋桜  一方で、元旦の日経のような暗い話ばかりを集めた記事を見ると、「またか」とも思える。かなり前にこの新聞は同じような記事を元旦に流したことを思い出した。まあ日本人は総じて悲観への共感度が高いですから。その割には、実際には楽観的に生きている。

 去年の交通事故死が6000人を大きく下回ったというのは、飲酒を含めてあれだけ騒いだ価値があったというものです。はっきり覚えていませんが、57年ぶりの低い死亡者数だとか。取り締まりも厳しくなったのですが、道路を走っていて思うのはいろいろな形で事故を少なくする努力が行われている。

 道路を茶色くしたり、がたがたを付けたり。センターラインに居眠り防止用の振動板を実に広範な道路に貼り付けているのも良い。こうした小さな努力の結実が死亡者数の減少でしょう。

 まあでも色々な問題が実際にあります。京都議定書の実施期間が始まっているのですが、国全体でCO2をどう削減するかという議論も始まっていない。このままでは「日本は場所を提供しただけ」ということに終わりそうな気がする。技術はあるのだから、それを使う政治的意志を持たないと。

 貧困の広がりも問題です。貧困は人の心に打撃を与える。ワーキング・プアなどは本当に減らさねばならないと思う。世界的な傾向だとはいえ、どう取り組むかのアイデアは持ちたいものです。

 ところで今日は面白い写真を。元旦にこの目で見た桜です。沖縄の本部(もとぶ)で。半島の真ん中へんに桜の公園があるのです。その途中の道に見つけた桜の木の並木に一本だけ綺麗に咲いた木がありました。

 実は31日の琉球新報に「もう桜が....」という記事を見つけたのです。「うーん、元旦に桜を見るのも一興か」と沖縄に滞在していたので行ってみたもの。一本だけでしたが、1月の第二週の週末にはもっと多くの木に桜の花が付くそうです。



ALL RIGHTS ARE RESERVED.Copyright(c)1996〜2016 伊藤 洋一