2009年08月31日(月曜日)

 (06:10)ははは、夜9時半には強制消灯、というのもおつなものですね。あと残るのは、蝋燭の火とヘットライトの明かりだけ。そんななかで、少しPCで文章を書いていますが(一種の体験学習 ?)、絶対日本では経験できない。朝になっても電気は回復していないが、それには分けがある。それはあとで。

 昨日の夕方から「鶴のヒマラヤ越え」で有名なポプジカに滞在しています。今朝これから出かけるので本当に短い間ですが、鶴がブータンヒマラヤを越えて一冬を過ごす場所に滞在できている、というのがちょっとエキサイティング。その場所はここから直ぐです。そこは湿地帯になっている。現地の人もその地帯には近づかないというので、当然我々も遠くから臨むだけですが。

ブータンの子供達は実に人なつこい。しかもインドの子供達のように物欲しそうではない。非常に好感が持てる  ポプジカはブータンのGNHの考え方の原点になった場所だそうです。もともと農家が点在しているやや広めの谷間で、主な栽培物は一面の蕎麦畑からの蕎麦(赤蕎麦、綺麗なピンク色をしているらしい)ですが、鶴の越冬地、生息地としては昔から有名。鶴たちは中国の一部とシベリアの一部からブータンヒマラヤを越えて10月頃来るらしい。ブータン政府はそれを知っているので、最初から電線を引き、この地域に電気を通すことを躊躇したというのです。鶴が引っかかる。

 面白いのは、ポプジカの人々ももともとは農家なので、それほど夜に電気が必要となるような生活をしていないし、「電線を張って鶴の生態の邪魔をしたくない」という意見だったという。農民達は、「いまのままでいい」と。その「今のままで良い」というのが、GNHの考え方のベースになった稲村さんの説明。

 これまでに、「ブータンが電気をインドに輸出しながら国内では電気不足」と書いてきましたが、実はポプジカのような地域もあるし、そもそもブータンには送電線を作れないような場所も多い。で、「それだったら輸出できるだけ輸出して外貨を稼ぎ、上がった外貨で他のことをした方が良い」という考え方だと分かった。これだったら理解できる。ヨーロッパでは豊富な水力発電能力でスイスが電力輸出で外貨を獲得しているのですが、「ブータンもそうなる」とジュルミさん。

 というわけで、ここには今でも外部からの電線による電気が引かれていない。我々が泊まっているホテルは昼間の太陽光発電で蓄電し、それを夜2時間か3時間給電して、あとは午後9時半からは供給停止となった。電気はその後消えたままです。朝になっても。そういう決まりだから仕方がない。その間の明かりは蝋燭と時々使うヘッドライトだけ。あとは朝を待つのみ。

 この文章は電気がある中で書き始めたが、その後電気が消えてしまってちょっとバッテリーで書いて、31日の朝に追加して書いて、同じく電池を持つ衛星アンテナ経由で送っている。

プナカにある実に綺麗なゾン。ゾン(dzong と綴ります)とは城と寺が合体したような施設で、今では各地の役所も置かれている。これが実に綺麗である。  30日の行程は首都のティンプーを出てチュラ峠(3050メートル、そこの寺院で集合写真)を超えて冬の離宮と言われるプラカへ。そこに写真に掲載した城(ゾン)があったのですが、これがまた綺麗な城だった。ゾンはもともと城と寺の複合体で、今では役所でもある。そこを経由してポプジカに移動した。どえらい道ですよ。完全に絶壁を走行するつづら折りの狭い一本道。前に座ると実にスリリング。心臓の弱い人は座らない方が良い。(笑)

 今日で二日間ブータンのゾンなど宗教施設を見ながら考えたのは、今でも豊かでない、昔はもっと貧しかっただろう、そして人口が希薄だったブータンでよくこれだけ城塞だ、寺だと施設が作られたものだ、どうしてだろう、というものです。だってブータンは今でも60万ちょっとの国ですよ。こうした施設が出来た数百年前は、せいぜい十数万の人口でしょう。

 今我々が見る歴史の遺産はどれも立派です。むろん19世紀以降に改築はしているし、増築もしている。しかしエジプトのピラミッドほどでなくても、歴史的遺産を作るには人と金がいる。今でもブータンは道路工事にはインド人を雇っている。それほど人が少ないのです。

 しかしプナカのゾンもそうですが、今まで見てきた施設は実に立派なのです。

チュラ峠の3000メートルを超える場所にある戦勝記念碑の前の寺の階段で全員写真だとしたら、と不思議に思う。「少ない人口の国が、よくこれだけの施設を作れたものだ」と。そこには常軌を超えた宗教的熱意、時には実際の生活との一種の倒錯があったはずです。

 つまり何らかの形で、信心の明かしを示さなければ状況にブータンの人々が置かれた可能性がある。そうでないと、あの多くはとんでもない場所(山の急斜面に実に多くの寺などが建っている)にまで資材を運び、時間をかけて屋敷を造り、そこに寺を維持できるわけがない。仏の教えに背くことは出来ないと、非日常的な宗教的熱意の中で施設を作らざるを得ない状況に置かれていたのだろうと。ブータンの国民にはそういう時期があったはずだと思うわけです。

 タイムマシンに乗って見に行くことは出来ない。だから想像ですが、そんなことを考えながら回っていました。施設を非常に丁寧に説明してもらいましたが、私にはそういう事も興味があった。端的に言えば、ブータンにはその経済力から見てアンバランスに宗教施設が多すぎる。しかしそういう素地があったからこそ、GNHという考え方がこの国から提唱されているのかも知れない、と。

 移動は酷い山道の連続ですから怖いが、この国を見て回るのは「人間は何のために生きるのか」ということを考える上では非常に興味がある。まだ道半ばのブータンですが。

 ああ思い出しました。ブータンは九州ほどの面積だと以前書きましたが、その大きさの中で「(交通整理の為の)道路信号が一基もない」らしい。実際我々も目にしていない。こんなのは世界に例がないと私は思う。


2009年08月30日(日曜日)

 (20:10)インマルサット(衛星)を通じて今日本の新聞サイトに接続しました。凄まじい民主党の勝利ですね。ま、それはさておき、ちょっと日本からは遠いブータンからの報告を。
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 「微笑みの国」と呼ばれるタイから入ったので非常に目立つのですが、ブータンは「微笑まない国」と呼ぶことも出来ると思う。一番顕著だったのはバンコクから乗ったブータン航空の女性搭乗員。

パロのゾンの近くにある綺麗な木の橋。両サイドの白に囲まれて、実に綺麗である  属人的な面もあると思うが、とにかく我々を担当してくれた女性二人はまず微笑まない。こちらが微笑みながら話しかけても通常においては微笑まないし、むしろこちらが微笑みながら話しかけると、顔と身を固くして厳しい顔でサーブしているという印象がした。これは私だけでなく、並びの席にいた女性の風戸さんもそう言っていた。

 なぜブータンは「微笑まない国」なのか。今のブータンにおけるキャビン・アテンダントのスタンディングは、「お手伝いさんがいるような家、つまり上流のお嬢さんがなる職業」ということなのだそうですが、「そもそもサービスという概念がない」のがブータンだそうで、そう言えばお店に行ってもあまり「売ろう」という気概が伝わってこない。「買いたいんなら売ってやる」という姿勢だし、「それで良い」と思っているというのです。

昨日お見せできなかったブータンの空港。直ぐ左に山が迫っているのが分かる。世界でも難しい空港の一つかも。しかし見ていても発着する飛行機は希だ  とすると分かる。そもそもこちらが搭乗しても、位の高いブータンの家庭から就職しているブータンの搭乗員は、「微笑みかけてブータン航空の印象を良くしよう」という意識が最初からないのだ。これは、最近一段と磨きがかかってきたのですが、日本を代表する二つの航空会社の女性搭乗員の微笑み合戦とは全く反対の位置にある。ブータンに来る直前に山口空港から飛行機(ANAでした)で羽田まで移動しましたが、日本の彼女らは目があっただけで必ず微笑む。

 面白いことを言っていたのは、現地添乗員のジュルミさん(日本に留学経験あり)の奥さんである青木さんの証言。彼女はブータン人との結婚について父親の許しを得るために3年間も遠距離恋愛を続けた上でジュルミさんと結婚し、今はブータンで9年目に入ったという人。その彼女が、最初知らない男性にでも日本人的に目が会ったときなどに微笑んでいたら、ジュルミさんから「”知らない人になんか微笑むな”」と注意された、というのです。

 つまり、ブータンではそもそも「知らない人に微笑む」という習慣がない。逆に女性がある相手に微笑んだりすると、それは「私は気がありますよ」というサインになる危険性がある、というのです。青木さんが私たちのグループに加わって話をしてくれている時にしばらく見比べていたのですが、青木さんはブータンの女性の100倍くらい笑顔が多い。その横で私たちにサーブしてくれるブータンの女性は全くと言って良いほど微笑まない。非常に対照的でした。

亡くなった三代国王の記念堂の周囲を法要の意識をもって回り続けるブータンの人々。私も二周した。ブータンにはお墓がない。火葬してそのほぼ全ては大地に戻す  そこまで聞くと「こちらが微笑みながら話しかけると、顔と身を固くして厳しい顔でサーブしている」という前述の文章がおわかり頂けると思うし、私もそれで納得がいった。ところ変われば基本的な対人スタンスも変わると言うことです。

 しかしだからといってブータンの人々が微笑まないか、笑わないかというとそれは違う。仲間内では凄く笑うし、親しくなれば別です。私と辻さん、風戸さんで行ったお店で凄く会話しながらやり取りしていて話していたら、すっごく親しくなってブータン人4人、日本人3人、その店に来たインド人(モンゴル系、日本に5年の留学経験ありで、ブータンで英語の家庭教師中)など総勢10人くらいで話したときにはお店がうるさいくらいになった。笑いの渦になったわけです。

 だから、多分ブータンの人々も家では笑っている。あと男性は、女性よりも知らない人にでも笑みに応じてくれるように思う。ただしこれにも確信がないのは、例えば工事現場などで働いている人も見ていて目があって笑いかけると、向こうからちゃんと笑みが返ってくるのです。しかしその人の顔を見ると、どう見てもインド人なのです。ブータン・ネーティブには見えない。まだ聞いていませんが、多分ブータンには多くのインド人が出稼ぎに来ている。

土曜日の夜の夕食前の御一行様スナップ。私が写真を撮っているのと、あとお一方が欠席。この日は秋のブータンの特産品として松茸が出た。蒸しての松茸で美味しかった。安価に潤沢に手に入るらしい  あと面白かったこと。ブータンでは義務教育制度はなく、しかし初等、中等教育にかかる費用は国がもってくれるというのです。つまり、学校に行ける子(田舎などに住んでいると物理的に学校に行けない子もいると思う)が行けば、それはただといういうのです。加えてブータンは「医療はただ」ということですが、私が疑問に思ったのは「そのお金は誰が出しているのか」という点です。

 どうもそれは、日本もむろんそれに入るのですが、諸外国からの援助からだだというのです。外務省のページを見てもブータンの年間予算は分かりませんが、輸出品は対インドのリンゴなど果実、それに水力発電による電力というのですからたかが知れている。私が見た限りでは、教育や医療をタダに出来るほど豊かな国には見えない。としたら、「それってどういうこと」ということになる。

 まあでもそう言うことがありながらも、この国は国民が自国に対してプライドが高い国だし、変に自己主張するのでもないし、微笑みがちょっと足りなくても「良い国だな」と思う。大体山道ばかりでスピードが出せない。恐らく経済も国民の暮らし方も、そうなんですよ。それを受け入れているし、愉しんでいる。

 だからといってやたらに静かな国かというと違いますよ。夕べは土曜日の夜だったので、泊まったティンプーのホテル(市の中心)の近くは夜遅くまで結構な喧噪があった。若者の声、ディスコ的な音楽の音、そして夜になると活動し始める犬(インドと同じで昼は全く泣きもせず寝そべっている)の吠える声。

 総体から見ると、なかなか良い国、面白い国だと思って移動しているのです。


2009年08月30日(日曜日)

 (06:15)日本は今日は選挙ですか。期日前投票をすませてきた私としては「全体の結果待ち」という状況なのですが、タイ経由でブータンに来ている身として日本の総選挙について一つ報告することがあるとすると、それは今回の選挙が海外でも非常に関心が高い、とうことです。そしてもっと正確に言うならば圧倒的優位が伝えられている民主党(DPJ=Democratic Party of Japan)とその政策、さらには党首である鳩山代表に対する関心が高いということです。

 ここ数日私が見た新聞、タイの新聞であれ、ブータンの新聞であれ、そして欧米の有力紙であれ、何らかの形で日本の総選挙の記事を掲げて、その上で「Japan Opposition Set for victory」と一面トップの見出しを掲げている。「Set for Victory」を赤くしたのは、「THE NATION」というタイの有力紙がそのように見出しを印刷しているからです。紙面中央に掲げられた写真は、鳩山代表のそれです。

 大部分の海外紙の記事のポイントは、「戦後50年、ほぼ絶えることなく続いてきた日本の保守の政治が、DPJの地滑り(landslide)的な大勝利によって終わるかも知れない」という点です。各紙とも日本の新聞の世論調査などを引用して、480議席のうち300議席程度はDPJが取りそうだ、という内容。

 各紙の関心はそこでは止まっていない。では日本の新しい政権がどういう政策を取るのか、対米関係をどう変えるのか、自分の国・地域との関係をどう変えてくるのか、日本と中国との関係は・・・・・・と広がる。そりゃあそうでしょう、そうは言っても、日本はもうすぐ追い抜かれるにしても世界第二位の経済大国であるわけだから、各国にとって何らかの影響はある。

 そういう海外の関心を意識してか、民主党の鳩山代表はニューヨーク時間の木曜日のニューヨーク・タイムズに「A New Path for Japan」(日本の新しい道)と題する文章を寄せている。原文を読んで頂ければ良いのですが、今までの日本の外交姿勢の変更を理念的に示唆している。具体的にどう変えるのかには踏み込んでいるようには思えない。

 思えないのに、アメリカからは「失望した」といって一部の意見も出ているようです。まあそれはそんなものでしょう。同盟国の新しいトップが出てきてそれが完全に意に添うなどということは、逆に良くない。

 まあでも、結果はどう出るか知りません。直ぐに分かるかどうかも分からない。ケイタイ電話は通じるものの、データ関連は全く駄目な(ドコモのケースです)ブータンですから、いかように日本での開票結果が分かるか不明なのです。今はブータンの首都ティンプーのホテルに居ますから無線LANが繋がっていますが、これから地方に移動したらいよいよ「衛星通信をトライ」ということになる。以前写真でお見せしたものです。これがうまく行くかどうかは不明です。

 まあでも、日本のはるか南から出来る範囲で自分の国の選挙結果もなるべく見ようと思っています。金曜日のスタンバイでも言ったのですが、実は「選挙後の両党の動き」こそ重要だと思っているのです。民主党も公約のいくつかは賢くも路線変更すべきだし、自民党はピンチの時ほど次に何をするのか、出来るのかを国民に示さなければならない。


2009年08月29日(土曜日)

 (23:10)やっぱり現地に飛ぶと今までほとんど知らなかった、または知られてブータンの民俗衣装の空港職員達と いなかった面白い現実が明らかになる。例えば

  1. ブータンでは離婚率が高い。何%というパーセンテージが明らかになるほど各種統計は揃っていないが、この点はしっかりとブータン在住の二人の人から確認。日本に留学したことのある現地の人は、「ブータンの人は日本ほど大がかりで結婚式はしない。だから何かあると簡単に別れる」と説明。「子供はどうするの」と聞いたら、「どちらでも」と。「家族」の概念が日本人とは相当違うという印象がある

  2. これに関連して言うと、ブータンでは普通の男性でも3人まで妻を娶ることが出来る。しかし少数民族の中には、女性が何人もの男性、もっと具体的には一人の夫の兄弟などと婚姻関係を結ぶこともある。男性の役割は、「家を守る人」「家畜を守る人」「外と商売する人」などの役割があって、様々なケースがあるが全体的にブータンは女系社会である

  3. ブータンの平均寿命は女性が70才、男性が65才くらいでだいぶ延びてきている。大体一軒の家には三世代が同居し、子供は普通は2人か3人なので、だいたい6人とか8人家族である。所得は大学を出て直ぐに役所に入る層で月給2万5000円くらい。しかし家賃が高い首都のティンプーでこれで生活するのは難しい

  4. お金持ちも貧しい人もいるが、総じて言うならばインドや中国のようにブータンには激しい所得格差はない。それ故のGNH(国民総幸福度)の高さであり、ブータン政府はそうした格差が小さい状態を持続させてブータンを国民の幸福度において世界のトップの国にしておきたいようだ
 などでしょうか。まだ空路到着してパロの街を少し移動して昔は見張り台だった国立博物館とその下にある城(ゾン)を見て、その後1時間の山道運転を経て首都のティンプーに到着しただけですが。しかし現地のツアーガイドの方や、日本から添乗してくれている稲村さんと話をしたり、ティンプーの街に出て土産物店で英語や日本語が喋れる人を見付けて話しているといろいろなことが分かってくる。

ブータンの基本的な建物の文様。白と茶色の組合せ、そのグラデーションが非常に鮮やかである  実はブータンは「人口が一体何人いるのか正確には把握していない」というのが実体らしい。国連に加盟する1971年に「加盟するには人口が多い方が良い」ということで、目の子で多めに発表したものの、それが信頼できる証拠はどこにもないし、現在でも正確な人口は分からないという。ネパールからの難民などもいるので。

 話を聞いていると、ブータンはその昔、周辺のチベットやネパールとかなり熾烈な対立があったようで、今でもゾンなどにはその跡が残っている。捕虜にした敵兵の拷問部屋なども。まあでもそれは昔のことで、今は一万人にも満たない陸軍はあるものの、全般的にはブータンは平和です。ネパールやチベットのことを思えば。犯罪はあるが、「街を歩いても大丈夫」とのことで、確かに人々の目もきつくないし、どちらかというと穏和。

谷間の国ブータン。国内唯一の飛行場があるパロがもっとも幅広な谷の間の空間で、飛行場はこの後ろ側にあるが、山が迫ってきて恐ろしいという人が多い「谷間に平地を見付けては人間が住んでいる」という印象が強い国です。九州ほどの面積がありますが、そこに推定65万人。その理由は、川が流れる谷間にラッキーなことに少しでも平地が出来るとそこに人が住み着いた国であるから、人口が増えようがない。

 写真(三番目)もアップしておきましたが、ここが一番横広の谷でパロという町に発展し、であるが故に国内で唯一の実用飛行場が出来ている、というのですから。これからまだいろいろな都市や名勝地に行きますが、一つ言えるのか今日もそうだったし今後ともそうでしょうが、バスでの移動は「一歩間違えば谷底」という山道を出しても時速40キロの低速でのそれになるということです。まあ運転手さんは慣れているのでしょうが、一番前に座っていると時々、「あらら」と思うことがある。しかも、かなりの道がセンターラインもない狭い道で、左手を見ると(私が左に座っていたので)深い谷底が望めるという状況。ブータンの首都ティンプーの街並み。人口65万のブータンにあって、10万人が住むとされる。しかしブータンの人口統計はほとんど整備されていないという

 それにしても、この国の民が今まで培ってきた色彩感覚はなかなか良いと思いました。白い壁の上に茶をベースとしたくっきり浮かび上がる色の数々とはえる建物。民家まで実に調和が取れているのです。男性用は「ゴ」、女性用は「キラ」と呼ばれる民俗衣装も浮いていない感じで良い。

 ブータンは1989年より日常着として公の場での民族衣装の着用を国民に義務付けている。今日は土曜日だったので、比較的日本でも見かけるような普段着姿の若いひともいたが、月曜日になれば公的機関(ゾンや役所など)、寺院、学校、公式集会、公式行事などでは民俗衣装の行列が見られるはずだ。

 ああそれから、パロには西岡京治さん(1992年3月21日没)の活躍の跡をいくつも見ることが出来ました。彼は日本の海外技術協力事業団の農業専門家、植物学者で、長年ブータンで農業指導に当たり、ブータン農業の父といわれた人物。いろいろなところで日本人が活躍したことを確認できるのは嬉しいことです。

 あと写真を一杯アップしたいのですが、このページなどにもいろいろあるようなので、そちらも参考にして下さい。


2009年08月28日(金曜日)

 (23:10)随分と非効率な飛び方をするものですが、一端ブータンより遙かに南のバンコクに移動してきていて、明日の早朝でのブータン行きの便に会わせて市内のホテルに投宿しています。空港を離れて一晩を過ごすわけですから、明らかに入国手続きが必要で、さらに空港から離れて市の中心部にあるホテルまで一時間もバスに乗っての到着。

 バンコクは久しぶりです。もう何時だったか思い出せないほど。確か最初は20数年前だと思う。何回が来ているのですが、確実に最後に来てから10年はたつ。プーケットに遊びに来た折りにも乗り換えの為にバンコクには1日ほどいたことがあるし、ビジネスでも来ている。

 久しぶりに見るバンコクは随分と変わった印象。市内は高層ビルがにょきにょきと立って、相変わらず空気は悪いのですが、以前見た「バイクの波」は既にない。今あるのは車の波で、日本車が山のように走っている。

 日本車なんだが何か違うと思ってみると、実にカラフルなのです。真っ赤な車、オレンジの車などなど。それもタクシーが非常に派手で、思い思いの色をしている。空港からの道で一番目立つのは、道路の脇を建設中のモノレールの線路が走っていることです。「今年の秋完成」の予定だったそうですが、「どうやら来年の春になりそう」という。相変わらず地下鉄はないそうで、新交通手段としてはこのモノレールが切り札のようだ。当方が市内を移動した夕方は、金曜日と言うこともあって大渋滞。

 タイと言えば、あの空港占拠事件が私には記憶に新しい。去年の事でした。民主化市民連合(PAD、反タクシン派)による首相府占拠事件が起き、当時のサマック首相が9月9日に首相職を失職。これを受けてソムチャイ副首相兼教育相が後継者として首班指名を受けて9月25日に新政権が発足したが、PADによる反政府デモが激化し、バンコク国際空港(我々が降り立った。綺麗で立派でした)等が占拠される事態となったというもの。

 観光立国なのに空港が占拠されたので帰るに帰れない観光客が続出。入国も出来なくなり、「タイの観光客が減った」というところまで理解していた。今回空港からホテルまでのバスのガイドをしてくれ、その後も市内を案内してくれたナンさんによると、一時タイへの観光客は80%も減少したらしい。それが徐々に戻ってきているという状況。ナンさんは、「空港を占拠したのは、ほとんどが田舎の人」と。

 近代化もしたのですが、ホテルを出て市内を歩くと「バンコクの臭い」がする。延々と続く屋台やモノ売りの店は以前通りです。懐かしい甘酸っぱい臭い。あの占拠事件やその後の世界経済の混乱でタイも経済的には今は苦しいはずですが、その辺は街を久しぶりに歩いただけでは分からない。しばらくいれば話も聞けるのでしょうが。

 パーティは大阪から来たグループも会わせて総勢16人。実に多彩です。これだけいると、集団移動でもいろいろある。今日はバンコクの空港で荷物をピックアップして集合と言うことになった時に一人行方不明(ちょっと大袈裟ですが)になって、ちょっと全員立ち往生ということも。ま、直ぐにジョインとなりましたが。

 「あ、タイのここは変わっていないな」というところは、レストランなどでの挨拶ですね。こちらが英語で言っても、日本語で言っても、タイのサイドの人の挨拶は決まって「コップンカー」です。特に女性は。あの空港占拠事件でタイの印象は変わったが、これだけは変わらない。

 ははは、明日は午前2時半起きで朝5時40分バンコク発ブータン行きの飛行機に、というスケジュール。ブータンはどんな国なんでしょうね。


2009年08月27日(木曜日)

 (23:10)やはり日本を離れる前は原稿の前倒し提出や番組の事前収録がある。まあ日頃やっていることをちょっと日時、時間を前倒しにしてやるだけですが。それでも重なるとちょっと大変。

 その中で今日一番面白かったのは、Roundup World Nowでの柯隆さん(富士通総研経済研究所)との対談でした。定期的にやっていて、頻繁に中国に行っている方(南京出身です)なので、「今の中国、その事情」をお聞きすると頭がすっきりする。

 この番組はラジオNIKKEIでは金曜日の22:45〜23:15の間ですが、ポッドキャストではそれ以降何時でもダウンロードして聞くことが出来ます。今回も面白かった。新疆ウイグル自治区での騒動後の中国の政治情勢、世界の市場を敏感にさせている中国経済(市場)の現状と今後の見通し、それに中国という国の少し先を見た場合の今後の展開などなど。

 放送は明日の夜ですから、今は中味を明らかに出来ませんが、うーん一つだけ。中国の景気回復は「V」ではなく「W」ですと。え、今「W」のどの辺 ?

 今週同じように勉強になったのは、これは来週の火曜日の放送なのですが、長浜バイオ大学で見た太陽光を使わない野菜作りかな。今は野菜が高い。天候不順ですから。しかし太陽光を使わない野菜作りがかなりの規模で出来るようになると、価格も安定してくる可能性がある。

 この大学は日本で唯一のバイオ系大学で、長浜市などが中心となって民間もむろん加わりいろいろな研究をしている。理科系の大学に実際に入ったことなどあまりないので、興味深かった。番組でも原稿でも、同じ事の繰り返しはつまらない。やはり自分が勉強にならないと。今週はこの二つの番組が良かった。

 収録が終わったあとは、もっぱらリコーのquanpに取り組みました。だって、USBメモリーを気にしながら持ち歩く生活から脱却しようと思っているのです。

 いろいろ覚えました。プレースがPCで言うところのフォルダに相当すること、プレースの中のファイルの一括削除の方法、プレース上のファイルのソフトウエアを指定しての開き方などなど。まあ一応使えるようになったら少しUSBメモリーには休んで頂いて、どんな問題があるかを検証します。

 このソフトが面白いのは、ソフトウエアの起動が正に「クラウド」のような表示になっていること。まさにクラウド時代を象徴するソフトですと自己主張しているような印象です。

 あそうそう、柯隆さんから一冊本を頂きました。まだ頂いただけで読んでありませんが、「華人経済師がみた中国の実力」というのです。「経済師」とは中国語で「エコノミスト」の訳だそうです。ははは、面白い。

 本の表紙にはチャイナ服を着ているOLのような女性がケイタイ電話をかけている。今の中国を象徴するような図式です。


2009年08月26日(水曜日)

 (23:10)新幹線や飛行機など移動の途中で2冊ほど本を読みました。一冊は「腹八分の資本主義」(新潮新書)、もう一冊は「クラウド・コンピューティング」(朝日新書)です。

 「腹八分.....」とは魅力的なタイトルじゃないですか。それだけで読む気になるのですが、中味も面白い。行き詰まった市場主義の「次の時代」をどうすべきを模索する必要性に迫られている今にあっては、いろいろなとっかかりが欲しいのですが、その面ではこの本は具体例の例示が多いのですが、非常に参考になる。

 「クラウド・コンピューティング」は、実に久しぶりに読んだコンピューター関連の本ですが、見逃していた新しいサービスを見付けるのに役立ったし、「クラウド」と呼ばれるサービスの本質とか勢いを考える上でも参考になりました。

 この本にも書いてありますが、「クラウド」はそれほど新しいものではない。私のような人間は、外部のサーバーにかなり多くの情報を今でも預けていて、手元のコンピューターにある情報の量より雲(クラウド)の向こうに置いている情報の方が多い。

 しかし最近思うのは、皆さんもそうなんでしょうが、USBメモリーを常に気にしながら持ち運ぶのは時代遅れのものだという気もしているわけです。そこで例えばリコーがやっている「quanp」というサービスの存在をこの本で知って、その可能性を調べる上でもちょっと遊んでいたりしますが、それもこの本のおかげです。あといろいろなサービスが紹介されているのが良い。

 あとこの本を読む中で始めたのは、送信メールを全てgmailにBCCで送って、どこからでも送信メールを確認できるようにしました。なぜなら、「あれ、このメールには返信したっけ」という記憶を探す必要がないし、送ったことは覚えていても詳細にどう送ったか確認できるようにです。たまたまこの本を読む中で思いついたと言うことなのですが。

 まあでも、データを全部雲に預けてしまうのは、ネットが繋がらなくなったときにどうするのか、と言った問題、それにデータを預けた先が本当に信頼できるのか、という問題など、いろいろある。最後は信頼の問題です。

 いつも思うが、全体的な動きをフォローしていなかった分野の本を読むことは、頭を整理する上で役立つ。どの部分の知識が欠落しているかが分かるからで、この本もクラウドがコンピューターの世界の寵児になりつつある時代には、頭をまとめる上で参考になったと思う。


2009年08月25日(火曜日)

 (19:10)「お疲れ」「お疲れ様」に関しては多くのメールを頂きました。果敢にも次のような案が出てきていました。

"Thank you for your good work."

"Noce work (job) " (普通の表現)

"It's been a long day"(夕刻で相手が疲れた様子なら)

"Good job, Get some sleep" (仲の良い相手にくだけた言い方、You look tired は あえて言わない)

"Thank God It's Friday" (週末の午後)

"Thank you for your collaboration. See you."

"It's been a hard day's night."

 などなど。しかし私の結論は一部の人がその意見でしたが、「翻訳は不可能」というものです。日本の濃い人間関係などを背景とし、働くことを美徳としながら、しかしそれをあまり善であると前には出さないといった複雑な文化が背景にある。

 しかし広まっては欲しくないのです。今のように燎原の火の如く広まると、つまり朝でも何時でもどこでも使われるような使われ方が広まると、例えば近い将来に小学校一年生が学校でお互いに挨拶するときに「お疲れ」とか「お疲れ様」と言ったりしたらどうしようもなくなる、と思うからです。

 時期を問わない奇妙な挨拶は、例えば水商売では夕方でも夜でも「おはようございます」だったりした。しかしそれが急速に「お疲れ」「お疲れ様」に代替されてきている。みんなが協力してで良く働いたあとは「お疲れ」でもいいと思いますよ。

 しかし挨拶代わりの「お疲れ」は、日本人が疲れを確認し合っているようでいけない習慣だと思う。


2009年08月24日(月曜日)

 (11:10)さて、今日は質問です。日本人が最近非常に頻繁に使うようになった挨拶用語「お疲れ」「お疲れ様」は英訳したらどうなるのでしょうか。

 いえね、私も考えたが良いアイデアが沸かなかったのです。実はこの言葉を私は嫌いです。一緒に仕事とかスポーツして疲れた時には、以前も「今日はお疲れ様でした」は普通でした。しかしそれが短縮されて一人歩きしている。

 最近は、朝一番に会ったときにも、あまり知らない人同士が会ったときにも、「お疲れ」が公認挨拶用語になっている。以前は朝一番に「お疲れ」と言われると、「疲れてないよ」と言い返していた。最近は人間がまるくなった。「ほい」くらいで返す。

 しかしこれだけ広まるには理由があるのでしょう。だから、英語にしようと思った。

 「Are you tired ? I am.....」
 「Tired ? are't you」
  ...........

 が、とんと良いアイデアが浮かばない。どなたか、アイデアは ?


2009年08月23日(日曜日)

 (17:10)今日の午後8時30分からの「世の中進歩堂」でまず「これは面白い」と思ったのは、『コントローラーが無いテレビゲーム』です。なんとコントローラーを使わずにテレビゲームが楽しめる。そのまんま。ちょっと夢のようなゲーム。

 コントローラー無しでどのようにキャラクターを動かすのかというと、システム付いているカメラがプレイヤーの動きを認識し、それによってプレイヤーの動作通りにキャラクターが動くのです。リアルタイムで。

 さらに、この技術を応用して開発中のキャラクター“マイロ”は、プレイヤーが誰であるか認識し、一歩進んだ形で相手に合わせた会話ができるというから驚き。今までにない、全く新しいゲームの楽しみ方を紹介します。

 メインネタは、『掃除・洗濯はおまかせ!最新ロボットが家事をお手伝い』という生活に将来役立つであろうもの。情報通信技術(IT)とロボット技術(RT)を融合した新しい技術(IT+RT=IRT)を研究している東京大学IRT研究機構が、少子高齢化社会に役立つロボット技術を開発中。その一つが、“アシスタントロボット”。掃除・洗濯から、食器の片付けまでしてくれるという、お手伝いさん顔負けのロボットです。

 面白いと思ったのは、年寄りがより便利で安全な暮らしができるようにと研究中の安全性を高めた電動車イス“パーソナル・モビリティ・ロボット”。さらに人の行動を見守り、薬を2度飲もうとしたら注意してくれるロボット“mamoruくん”や、物を置いた場所を記憶し、その場所まで連れて行ってくれるロボット・システムも。

 着々と進む高齢化社会。しかしこれらの発明、実用化でお年寄りの暮らしは大きく改善するかも知れない、というわけです。お楽しみに。


2009年08月22日(土曜日)

 (22:10)面白い映画を見ました。The Other Finalというのです。訳せば「もう一つの決勝戦」。2002年6月30日のワールドカップ優勝決定戦(ドイツ対ブラジル、横浜スタジアム)が行われた同じ日の6時間前に、ブータンで行われた同国(FIFA202位)対モントセラト(FIFA203位、カリブ海の小さな島)のFIFAランキングでのビリ決定戦とそれにいたるまでの人間ドラマ。

 ひょんな事からDVDを頂いたものです。一週間くら前だったと思う。都内某所でひょんなことから以前ある通信会社(確かJストリームだったと思う)のセミナーで講師として同席したロボットの阿部社長とばったり。久しぶりと言うことで、総勢4人で軽くワインを飲んだのです。その時に「8月末にブータンに行く」と言ったら、「じゃ、是非これをご覧あれ」ということで、DVDを送っていただいた。

 ははは、FIFAランキングに202位とか203位なんてのがあることも知らなかったし、この大会が予選落ちしたオランダのある若者の発想で実現したことも知らなかったし、モントセラトという国(ではなくイギリスの海外領土でした)も知らなかった。

 しかし映画は実に面白い出来具合に、そしてコンテンツも興味深い取り合わせになっているし、モントセラトについてもそうですが、ブータンという国を考える上でも非常に良くできている映画です。人々の顔、喜びの表情、小さく国の苦悩とその哲学。地味だがいい映画だったな。こういうのを「良い映画」と言うんでしょうね。

 アーセナル入団を夢見るドジル(ドルジ?)の独白、コーチが突然辞任したモントセラトチームの内情、両国が参加を決めた経緯、最後の最後まで審判がおらずに決まらなかったこと、カリブ海からブータンまでのモントセラトチームの移動の大変さとインドのカルカッタでのウイルス感染騒ぎ。挙げていけば数限りなく面白いシーンで出来ていた話でした。

 結果は高地ということもあって、ブータンの勝利。4−0ですが、明らかにそれ以上の結果を生んだ試合で、見た人に不思議な満足感を残す。私はそう思いました。ブータンの人々の表情、哲学、着ているもの、などなど実に強く印象に残りました。

 実際に行くのだから色々な方が紹介してくれた情報も軽く見るだけにしようと思っていたのですが、この映画は良かった。作り方もうまかったですよ。軽妙で、画面の切り替えが見ている人間を飽きさせずに、最後まで面白く見させてくれる。DVDとして売っていたり、レンタルしているのではないでしょうか

 ところで、今度は毎日新聞が「衆院選:民主320議席超す勢い 本社世論調査」と報じる中で、期日前投票なるものに行ってきました。最初近くのセシオン杉並の3階に行こうと思ったのですが、行ったら「今日はなし、明日朝8時半から」となっていたので、土曜日もやっている杉並区役所へ。

 人が小さいが列を作っていましたね。関心が高いし、期日前投票をする人が多いことが分かる。今回はどうでしょう、投票総数の10%くらいに行くのでは。選管から送られてきた「お知らせ」を持っていったので、最初に簡単な請求書に氏名、住所、期日前に投票をする理由などを簡単に書くだけで、いつもの投票手順のままです。

 これで朝日、日経、読売が300をキーとなる数字で予測記事を書き、今日は毎日が320を分岐点にした。ははは、どうなることやら。海外の新聞にも、日本の総選挙に関する記事が増えてきた。

 そうそう、金曜日はWATAMIの渡邊会長に一時間インタビューしました。そのうちここのメニューに加わると思いますが、面白かった。結構きつい質問をぶつけましたから、お楽しみに。


2009年08月21日(金曜日)

 (06:10)ラジオ番組の為に早起きしていますが、読売新聞のサイトを見たら午前3時03分アップで「民主300議席超す勢い…衆院選情勢調査」という記事がある。明らかにアップを遅らせた独自ダネです。自社の世論調査記事ですから当然ですが。

 木曜日の朝日新聞の朝刊一面トップは「民主、300議席をうかがう勢い」だった。朝日で「うかがう勢い」だったのが、読売では「300議席超す勢い」となっている。情勢は進んでいる。民主大勝の方向に。記事はこうです。

 読売新聞社は30日投票の第45回衆院選を前に18日から20日までの3日間、全国の有権者約11万人を対象に世論調査を行い、全国総支局などの取材を加味して、序盤の情勢を探った。

 民主党は小選挙区選、比例選ともに自民党を圧倒しており、単独で過半数を確保し、300議席を超す勢いだ。(中略)投票態度を明らかにしていない人が、小選挙区選、比例選ともに2割前後。ote>

 朝日では投票態度を明らかにしていない人は「小選挙区で4割、比例区で3割」となっていたから、二つの調査の間では着実に読売新聞の方が「態度表明済み」の人が多いと言うことになっていて、調査結果でも信頼性が高いということになる。なにせ「調査対象」が11万人ですからね。朝日の調査対象の人数は書いてなかった。

 300ね。確か前回の郵政選挙で自民党が取った議席は303だったかな。今回は民主党がそれに近づく、または上回るということになる。絶対安定多数。参議院(民主は単独で過半数を取っていない)があるから連立の必要性は残るが、今の民主党の議席は100ちょっとですから、圧倒的な勝利です。社民などの存在感も薄くなる。仮に300議席になったとして、そこから現職、前職を引いても140人近い初年兵衆議院議員が生まれることになる。郵政選挙の比ではない。さあ彼等をどうする。

 むろん、朝日、読売の記事が断っている通り、「現時点の調査であり、情勢は変わりうる」ということです。しかし、「自民党を一回はパニッシュしたい」という東京都議選で示された有権者の今の雰囲気を考えれば、十分可能性がある。加えてこれは私の印象ですが、「あんなに漢字も読めない人に総理大臣をしていて欲しくない」という雰囲気もあるのかも知れない。つまり麻生ファクターです。

 この大勝は、「マニフェストを実行できなければ責任を取る」と党首が繰り返し訴えている民主党にとってこそリスクでしょう。国民は「あれだけ勝たせたのに実行できないのか」ということになる。私はずっと「次の次の選挙こそ民主党にとって試練」という意見でしたが、次の次にこそ民主党が試されることになる。

 自民、民主以外の政党の議席があまり変わらないとするならば、民主が300を取ると仮定すると、必然的に自民党の議席は100ちょっとということになる。ということは、今の自民党の衆議院議員300人超のうち、200人弱は落ちると言うことになる。凄まじい結果です。自民党はあまりにもの敗北に、民主党に移っても力を持てないから移籍議員はいなくなって、逆に「次はファイト」と団結するかも知れない。それにしても、誰を頭に据えるのか。桝添さん ?

 いずれにしても、「民主300議席、自民議席三分の一に激減」となれば、それは「政治のダイナミズム」と言えなくもない。日本人がオバマ当選の時に羨ましがった「アメリカ政治のダイナミズム」が、日本でも実現することになる。問題は、それをどう生かすかです。

 (以上の文章を書いたあと日経新聞の紙を見たら、読売新聞と同じような世論調査結果が出ていますね。「民主 圧勝の勢い 300議席超が当選圏」と。今まで自民党を支持していた勢力に危機感が強まるのか、諦めが強まるのか。まさか選挙期間中に麻生降ろしが起きるとも思えませんが.....)


2009年08月21日(金曜日)

 (00:10)さもありなん、というニュースがありました。それは、「通販売上高、10年連続で最高に=ネット通販が好調」というもの。それによると、日本通信販売協会(JADMA)が20日に発表した2008年度の国内通信販売売上高(推計)は、前年度比で6.7%増の4兆1400億円で、10年連続で過去最高を更新したという。

 中でもインターネット通販などが好調で、景気低迷のなかでも伸び率は08年度の5.4%から拡大した、と。これについて同協会は、「各社がフリーペーパーなどを活用して利用者との接触機会を増やしたことも売上高を増やす要因となったのではないか」と解説しているという。

 この”解説”は全く意味不明で良く分からない。分からないが、実は筆者は昨日ブータン行き用のヘッドライトやトレッキングシューズを買う過程で、「もうこれは確実にネットの時代になりつつある」と実感したのです。そう判断するに至った経緯は以下の通りです。

  1. まずヘッドライトを買おうと思いました。トレッキングシューズより珍しいから。しかし、こんな普段使わないものはどこで売っているか知らない。加えて来週必要で調達に時間をかけていられないので、売っている店舗を探そうとした。そこで買えれば直ぐに手に入る

  2. で、ネットで調べたのです。グーグルで検索をかけて。どこで売っているかと。そしたら出てくるサイトは店舗のサイトではなく、ネット通販のサイトばかり。少なくとも最初の方はずっと。実際に売っている店舗を探すのはかなり煩雑だと判った

  3. 「でも直ぐに必要だし」と思って、しかたないので思いつくまま「東急ハンズにはあるだろう」と思って、ネットを諦め、オフィスを出て銀座のハンズにわざわざ身を運んだのです。地下鉄に乗って。そしたらわざわざ行ったのに、「うちは丁度売り切れました」と。「じゃ、何時入るの」と聞いたら、「判りません」と

  4. 話にならないので、「じゃこの近くで確実に売っているところを教えて」と言ったら、「松坂屋さんの地下二階にはアウトサイド専門店があります」と。思い出して、「じゃ、そこではトレッキングシューズを売っている」と聞いたら、「多分」という答え

  5. しかしそこでまた考えた。あの暑い最中に有楽町駅の近くから銀座の中央通りの7丁目に近い松坂屋まで歩いたら何が起きるのか、と。与謝野さん状態になりかねない。で私は一回諦めてオフィスに戻り、夕方になって改めて松坂屋の地下2階でヘッドライトやトレッキングシューズを買ったのです。えらい手間だった。良かった良かった
 しかし私は考えたわけです。もし私に時間があったらどうしただろうか、と。受け取る時間です。検索で出てきたネット通販サイトで買っている可能性が高い、と。なぜなら、瞬時に製品が表示されるし、品数も多いからです。ヘッドライドなんかわざわざ手にとって比べることもない。予想が付く。だから、時間があったらネットで買っていたと思う。数分で製品を比べてみて、そして買えば良い。

 実際に本はそうです。夜一杯やりながら本の話になって、その本が面白そうだったら、寝る前にネットを繋げば何の躊躇もなく買う。ネットでの購買は並ぶ必要もないし数秒で終わる。対して、私の昨日のヘッドライトとトレッキングシューズ探し・購入は、実際に足を運んだが故に、合計3時間くらいかかっている。これは酷い。

 多分、どの店舗のどの階のどの角や売り場に何が売っているか知っていたら、購買所用時間が少なかったと思う。しかしどこに売っているか分からないものを店舗を探しながら買うというのはどえらく大変です。もう拷問に近い。だったら、ネットで検索をかけて一発で出てくるネット通販サイトの方が良い。

 つまり、昨日の自分がそうだったのですが、人々の購買行動において、今は圧倒的に重要になっているのは「ネットの検索パワー」なのです。それを経由して、直ちにネット通販サイトが出てくる。これはパワーです。私の友達で一生懸命グーグルに対抗する検索サイトを作ろうとしているインド人がいますが、昨日初めてあまり知らないものを買う努力を払わざるを得ない状況に立たされて分かった。「Searching is Power」だと。

 実際の店舗を見るのは愉しい。しかし、いざ何かを買おうと思うと、力になってくれるのは検索サイトです。だから購買ルートとしてのネットの重みは、もっともっと増す。


2009年08月20日(木曜日)

 (23:10)決まった時には夏も過ぎた随分先のことだと思っていたのに、ブータン行きはもう来週に迫ってきました。決まったのはいつだったかな。春の早い時期だったような。で、今日から「ちょっと準備」と思って動き始めたら、初めて「どえらいところに行くのだ」ということが判ってきました。

ブータンでネットをするための必要装置。右のアンテナで空の衛星と通信する。これがえらく速い  まずブータンでもネットをする環境を作るためには、左の写真のようなインマルサットBGANの一式の通信装置を持って行かねばならないことが判明した。あえてしなくてもいいんです。ネットなんて。しかし、「こうしなければ出来ない」というなら、あえてそれに挑戦してみるのも面白いじゃないですか。衛星とつなぐなんて私は初めてだし、先進国行きでは味わえない。新聞記者の方々が途上国で使っているのに私に使えないはずがない。

 今日の午後に旅行社に行って、プロの方に使い方を教わったら結構簡単だった。行く前に復習しますが、アンテナをONにし、衛星に向けて通信ゲージを50前後にもっていき、そしてPCを立ち上げてLANケーブルを両方に繋ぎ、PCにアンテナを認識させ、有線LANと無線LANの複合のような形でネットに繋げ、そしていつも通りブラウザーを起こして通信する。PCサイドにはしっかりとソフトを埋め込みました。

 写真右にある板のように見えるものがアンテナで、これが結構重い。これがアジアの上空に三つ上がっている衛星と電波をやりとりする。大きなW05Kというわけです。同じKDDIですから。衛星は南に上がっているらしい。日本とブータンでは角度が違う。愉しみながらやってみます。

 これだけではない。まだまだとんでもないものが必要です。例えばヘッドライト。停電が多いので、突然電気が消えてもヘッドライドで部屋を照らしながら生活する、ということです。ははは、笑えるでしょう。インドでも停電はあるが、ホテルだと直ぐに回復する。自家発電があって。ブータンはそれがないということです。同国の輸出品のところを見ると、「農産物、電力」とあるのに。電力はインドに売っている輸出品 ?

 ホテルには多分何もないので、洗面道具を初め何もかも持って行く。寒いのでフリースが必要だし、トレッキングシューズも必要、水筒も、と延々と続く。ははは、どうなることやら。

 ところで、今日興味深いと思った記事は以下のものです。『中国、「農村年金」20年までに全国で 消費の底上げ狙う』という見出し。確か日経だったと思った。文章は以下の通りです。

 【北京=高橋哲史】19日付の中国各紙によると、中国政府は農村部の住民を対象とする新しい年金制度を2020年までに全国に普及させる目標を決めた。新制度は政府が基礎年金部分を全額負担する内容。09年中に、まず全国の県か、その下の地方政府の10%で試験的に始める。農村部で根強い「将来への不安」を和らげ、個人消費を底上げする狙いがある。

 18〜19日に新制度の推進会議を北京で開き、決定した。会議に出席した温家宝首相は「新制度によって農民は老後を心配しなくて済むようになり、将来への不安を徐々に解消できる。これは国際金融危機への対応、国内消費の拡大にとても重要な意義がある」と述べ、新制度の導入が消費刺激策の一環であるとの認識を強調した。(以下省略)

 この記事には書いてないが、中国の貯蓄率はいろいろな統計があるが、少なくとも30%、数え方では50%とされる。なぜそんなに貯蓄率が高いのかは記事に書いてある。将来が不安だからです。

 だから、中国経済を少しでも内需主導の方向にするためには、「将来不安の解消による国民の貯蓄率の引き下げ」が必要。ちょっと先過ぎる印象もするのですが、「農村の年金」は正しい方向への第一歩なんです。

 今の中国の体制はおかしい。しかし見ていると、少なくとも中国のトップは自国経済の為には当面何をすれば良いのかが分かっていると思う。いつかは体制も変えねばならないのですが。


2009年08月19日(水曜日)

 (23:10)今日の大阪からの帰りの新幹線の無線LANは全然使えなかったですね。繋がるのは時々。だからコンピューター・サイドの設定が悪いわけではない。多くの時間帯において、「接続限定」か「利用不可」のメッセージ。

 良く知りませんが、利用者が一定数を超えるとこういう事になるのか。いずれにせよ、「利用できる」と宣伝しているのなら、万全の環境で使わせて欲しいと思います。いつもは問題なく繋がるのですが。もしかしたら mopera サイドの問題かも知れない。

 ところで、NHKラジオさんからの依頼で、この番組の為に1時間弱の収録をしました。「”ノーベル賞学者・クルーグマンとの対話から見えてきたもの”」という題名で。

 リーマン・ショックを受けて私がアメリカに取材に行ったのは、去年の10月11日(土曜日)でした。土日は現地のムード、不況の影が色濃くなったニューヨーク、特にマンハッタンの街の様子などを収録。街頭インタビューなども。識者へのインタビューが始まったのは13日の月曜日からで、確かその日にクルーグマンのノーベル経済学賞単独受賞発表があった。

 事前にクルーグマンとは14日にプリンストンで1時間弱インタビューする約束があったのですが、受賞によって超多忙になり「キャンセルの可能性も」という状況。ディレクターなどといろいろな可能性を話したのです。しかし連絡したら「予定通りでお願いします」ということで、14日にプリンストンまで、2時間くらいですかね、車で移動して。

 非常に面白いインタビューで、その様子は昨年の「地球特派員」でも放送された。しかし放送されない部分で、面白い部分があるのです。その点については、今回のラジオの収録でも考えたら言わなかった。で、ちょっとその部分を紹介しましょう。興味のある人には面白いかも知れない。

 インタビューの最後の最後にあらかじめ残しておいた質問です。「次のFRB議長になるつもりはあるのか」と。以下がインタビューの起こしから拾ったその時の会話です。

ITOH: Do you have any plan to be a next Federal (?) Chairman?

KRUGMAN: No.

ITOH: No?

KRUGMAN: I-- I mean, I th-- I think I would de-- I could do that job maybe better. But it still requires a lot of diplomacy (LAUGHTER) and--

ITOH: You hate that? (LAUGHTER) You don't like that?

KRUGMAN: No, it's-- I'm just not good at it. You have to know who you are. And-- and I think-- I think I'm probably better-- yelling at people from the side. (LAUGHTER)

 ははは「do that job maybe better. But....」の部分が面白いでしょう。自信家なんですよ。しかしやらない理由に挙げているのが「diplomacy」。彼はあとで、「自分のイスラエルに住む友人が政府の要職に付いたが、2日で辞任した。彼にもdiplomacyがないからで、自分も同じ事はしたくない」と。

 「外交」はバーナンキもあまりうまいとは言えない、という気がする。うまかったのは、グリーンスパンです。明らかに。クルーグマンは目の前に置くと気さくな人です。しかし舌鋒と筆鋒は鋭い。しばしば人を刺す。まあバーナンキは再任されるのでしょうが、されなくても「クルーグマンFRB議長」というのはなさそうです。


2009年08月18日(火曜日)

 (23:10)今回の選挙日(8月30日)には日本にいないので、期日前投票を実際するにはどうしたら良いのだろう、と思ってちょっと調べました。「杉並区 期日前投票」と検索したら一発で出た。

 まず「期日前投票」とはこう定義されている。「選挙の期日に、投票所に行き投票できない方で、一定の事由に該当すると見込まれる方が、選挙期日の公示(または告示)の翌日から選挙期日の前日までの間に、期日前投票所において、投票用紙を直接、投票箱に投函できる制度です」と。なるほど。もう19日から投票できるのだ、と判る。ということは、期日前投票所はずっと投票日の前日までやっている。コストがかかる。

 次に「何か必要なのかな」と思って見ると、「杉並区の選挙人名簿に載っている方であれば、どちらの期日前投票所(下記表参照)でも請求書(宣誓書)を記載し、投票できます。」とある。つまり毎回選挙の時に送ってこられる「用紙」がなくても、請求書(宣誓書)を書けばいいのだと判る。ただしそれがどんなものであるのかは判らなかった。印鑑がいるのかなど、不明なこともある。投票所は家に近いところにする予定。

 選挙日が決まるとっくの前に、8月末から9月初めにはブータン旅行と決まっていた。よくまあそこに選挙の投票日を落としてくれたものです。おかげで選挙特番に出る約束もも反故にせざるを得なくなってしまった。こちらとしても残念です。

 「ブータンに行く」というと、「ロケか」と聞かれるのですが、全くそうではない。一昨年のモンゴルと同じです。アジアのあまりメジャーでない国を見ようという一連の流れの一環。ブータンは何と言ってもGNH(国民一人一人が自分は幸せだと思う度合い)が世界で一番高い。まあ先入観なく行って見てこようと思っています。ケイタイ電話も怪しい、頻繁に停電がある、など面白そうな国です。

 それにしても、今回の選挙は今ひとつ迫力に欠ける。日本の戦後の政治体制が大きな変化に見舞われる可能性があるのに。政権を競う両方の党首の不人気とか、両方の政党が選挙民に優しく見える政策しか掲げていないこと、同じ台詞の繰り返しになっていること、などちょっと「突っ込み不足」の印象が強い。

 今のままの公約状態で政権をとったらな、どちらの政党も選挙後の政局運営、国民から寄せられた期待の実現状況で相当困難に直面する可能性が高い。まあ実は今回の選挙は、一連の政治劇の終わりではなく、始まりなんでしょう。


2009年08月17日(月曜日)

 (07:10)日本水陸観光株式会社の水陸両方の観光バス土曜日の目玉が諏訪湖の上の花火大会だとしたら、日曜日の諏訪のつかみは「水陸両用のバス」でした。写真は右で、リンク先は「諏訪湖探検ダッグツアー」です。  どこで出会ったかというと、諏訪湖岸を上諏訪から川岸に向かっ左にある北澤美術館新館(ガラスの里)で。総勢5人でおちゃっこしようと行ったのです。そしたら、メチャ変なバスが向こうから来た。ナンバープレートがビックリするほど高いところにある。「あれは何だ」と思いながら、「ガラスの里」に行った。

 1時間半くらいおちゃっこして出てきたら、目の前に写真のバスが止まっている。で写真に撮ったというわけ。「これは何?」と運転手さんらしき人に聞いたら、「我が社が3台持っている水陸両用バスの一台です」と。乗ってみれば面白かったんですが、ちょっと時間がなかった。この次。下を見たらちゃんとスクリューが付いていた。

 先日テレビで「翼を折りたためる飛行機兼自動車」というのをやったのですが、それは小型飛行機免許と自動車運転免許の両方が必要でしたが、この水陸両用もそうなんでしょうか。「翼を折りたためる飛行機兼自動車」は確か2000万円くらいでした。このバスは ?

 ところで昨日気になったニュースは「米小売り、二極化鮮明に 高級百貨店など低迷、安売り店は客数増」でしょうか。本文は以下の通りです。

 【ニューヨーク=杉本晶子】消費不振が続く米国で、高級衣料・雑貨などを主に扱う百貨店や専門店の業績低迷に拍車がかかる一方、ウォルマート・ストアーズが客数を伸ばすなどディスカウント店が比較的底堅い業績を示し、小売店の二極化が鮮明になっている。失業率の高止まりや所得減が消費者心理を冷やし、価格の安さが購買を左右する流れが加速している。

 若年層に支持されてきたカジュアル衣料専門店アバークロンビー・アンド・フィッチは、5〜7月期に既存店売上高が3四半期連続で2ケタ超の前年割れと苦戦した。原則として値下げしない戦略が裏目に出た。マイケル・ジェフリーズ最高経営責任者(CEO)は「米国では割安さがモノを購入する尺度となる流れが続き、当社のような高級ブランドには明らかに逆風」と分析。秋から「大幅に単価を引き下げる」戦略を示した。

 問題はここに出てくる「カジュアル衣料専門店アバークロンビー・アンド・フィッチ」です。今銀座の7丁目ですかねあそこは、中央通りの電通通り側に大きな店を作っているのですが、肝心のアメリカの店がちょっと不調になってきた。

 もう一つ私が心配なのは、アバクロの作りです。日本人にはちょっと荒い。例えば背中のマークはえらくでかく、着るとちょっと痛いほど。アメリカ人はあれを気にしないんでしょうが、私は気になる。あとは袖の長さでしょうかね。小売りを取り巻く状況は常に変わりつつある。


2009年08月16日(日曜日)

 (11:10)今日は面白いものからお見せしましょう。15日夜の第61回諏訪湖祭湖上花火大会の翌朝午前8時くらいに、湖岸のマンションの6階から見た打ち上げ花火大会の仕掛けの部分です。

華麗な花火の翌日に見た仕掛けの数々  真ん中の木の生えているところは「初島」と言って、人口の島ですがずっと以前から諏訪湖の諏訪市側にある島です。左右に伸びている翼はこの花火大会の為に作られた水上やぐらで、普段はない。実はこの写真には写り切れていないのですが、さらに左右に二つずつの小さいやぐらがあって、大会会場そのものが非常に横に広く広がっている、湖岸から幅広に見られるようになっているのです。

 諏訪湖の花火大会は、実は年に大きなものだけで2回あります。一つはずっと以前から8月15日に雨天決行で行われている全国的にも有名なお盆の花火大会。もう一つは、私が子供の頃にはなかった9月の新作花火大会。去年はこの新作花火大会を私は見た。

 今年は8月15日がたまたま土曜日に当たったので、親戚に誘ってもらったので見に来たもの。しかし翌朝に花火大会の花火打ち上げあとをじっくり見たのは初めてだった。実はカメラでこの写真を撮る前に、16倍の双眼鏡で見た。そしたら、綺麗に打ち上げに使われた筒が何百、何千となく並んでいるのが見えたのです。これは写真に、と思ってズームで撮ったもの。

プログラム36番 水上スターマイン 本来な空に打ち上げるスターマインを水上でやる。下半分は湖上に映るという仕掛け  もっともデジカメのズームでは限界があるのは承知ですが、島の上に銀色の輝いている筒が見える方もいるかも知れない。そうなんです、島全体が花火の打ち上げに使われた。銀色に輝く筒をよく見ると、少し傾いている、湖の中心に向かっているのが判る。写真の右側が湖岸で、70万人の人が見つめている。

 風の加減があるのですが、花火を少し湖岸、観客席から遠ざける打ち上げ方をしているのが良く分かる構図です。銀色の輝いている筒以外にもいろいろな筒があって、それぞれはコンピューターで操作もされ、かつ職人の手でも操作されているのでしょう。実に見事なハーモニーを演じるのです。

 今回思ったのは、「花火はやはり光と音の共演」である、ということ。よくビルの中から音が遠い状態で花火を見るケースもある。しかしあれはダメです。あの腹に響くような音こそ、花火の華やかな色と共に醍醐味なのだと。だから花火を遠くで見るのも、一興ではあるが、迫力に欠ける。だいたい音が遅れる。

 もっとも、諏訪湖の花火の音はこれまた一段と良いと言われている。なぜなら、諏訪は盆地ですから花火の音をよく聞いていると周囲の山々にこだましているのが判る。実に興味深い響き方をするのです。東京湾の大華火大会を屋形船の上から見たことがありますが、共鳴はなかった。

毎年大会の最後を飾るナイアガラ瀑布の花火。これはごく一部で、右側に延々と続き、長く滝のように落ちて光輝く  全国的には今年は花火大会の厄年らしい。中止に追い込まれたり、そうでなくても規模縮小になったり。しかし諏訪の花火は今年も例年通りの規模で行われたそうで、途中雨が少し降りましたが、それでも凄まじい人が押しかけた。去年見た新作大会の出品が今年は本大会に出ていたりして、面白かった。

 花火も徐々に手が込んできている。フェースマークが出たり、ハートマークが出たり。スターマインでもいろいろなバージョンがあって、実に楽しめる。しかし、何と言っても花火大会の華は最後に待っている。この二つの、つまり36番と37番。この二つは前の花火の煙がある程度はけてから実施します。

 36番が真ん中の写真の「大水上スターマイン」( Kiss of Fire )。スターマインは普通空高く打ち上げて花開く。それもいっぱいありました。しかし36番の「水上スターマイン」は、水面すれすれで爆発させる。空中に飛び出す花火は半分です。しかし、それが湖上に映し出されることによって一つの大輪の花火になる、という仕掛け。今年も綺麗でした。

 そしてトリを努めるのは「ナイアガラ瀑布」(水の精・光の精)です。これはそうですね横300メートルくらいの仕掛け花火で、横に仕掛けを作るのです。そしてそれが最高潮に達したときにはナイアガラの大きな滝が花火で完成するように見せるモノ。これが毎年綺麗なのです。内側に弧を描いている湖岸での花火大会なので、これが余計に綺麗に見える。

 花火で重要なのは、煙の動きです。本当は観客席から打ち上げ現場に向かって風が吹くような状態が一番良い。しかも適度のスピードで煙がどくような形で。昨日はいっとき理想的な煙の動きでしたが、ナイアガラの時は打ち上げ現場から観客席に向かって風が動いた。それだけちょっと残念。しかしこれは自然との対話ですから、毎年うまくいくとは限らない。

 まあでも綺麗でした。8月15日の花火をあれだけじっくり見たのは、どうでしょう20年ぶりくらいかな。パーティーもご馳走も良かった。ありがとうございました。


2009年08月14日(金曜日)

 (22:10)ゴジラは大爆発ですな。西海岸のセーフコなので日本の午前の遅い時間に始まった試合で、ラジオの収録に行く前と収録を終えてからも見ていて、ゴジラの三安打3打点、うち一ホームランまで見ていましたが、所用で目を離していたら、午後の早い時間にこの会の会員のM君から興奮気味にメール。

 「見ました! 2ホームラン.....」と。また打ったのかともう一度テレビを見たら、イチローのミットをかすめて松井がまたホームランを打ったVTRが。2ランだったので、5打数4安打2ホームラン5打点の活躍となった。あまり記憶にない一夜の大大活躍。松井に関するニューヨーク・タイムズの記事の部分を拾うと

Matsui is actually not especially hot; he was 6 for 25 on the home stand the Yankees just finished. But he looked unstoppable Thursday, ably filling the cleanup role in place of Alex Rodriguez, who was hit by a pitch in the elbow Wednesday and had the day off.

Benched for nine games in June when the Yankees played in National League ballparks, Matsui, the designated hitter, has hit .310 with nine home runs in his last 36 games.

“I think it’s helping, the fact that Joe has sort of protected my knees,” Matsui said through an interpreter. “I don’t know if it’s directly paying off in that way, as far as specifics, but I’m sure it’s helping.”

 となっていて、まあ膝がまだ問題なのだが、交流戦の間は休みが多くて助かったのか。これだけ活躍しても、来季はヤンキースに残留できるかどうかの不安があって、今見たNHKのニュースでのインタビューでも松井の顔は「曇りなく嬉しい」というものではなかった。マリナーズは移籍先候補の一つで、そうするとマリナーズに日本人選手が多くなりすぎる気もするが、この日の松井の活躍はワカマツ監督の脳裏に強く刻まれた可能性がある。

 むろんヤンキース残留の可能性もあるが、膝が治らないと(まだ悪いらしい)DHだけで出続けることは難しい。まあ可能性として、ポスト・シーズンが非常に悪いアレックスが今年も非常にまた悪く、一方で松井が活躍すれば松井にもチャンスありという状況か。ゴジラファンとしてはこのままの調子で27本くらいは本塁打を打って欲しいと。昨日の2本目は19号。

 今週これも嬉しかったのは、ベトナムの新鉄道システムにほぼ日本の新幹線方式が決まりそうだという日本経済新聞の記事ですかね。ベトナムは本当に南北に長い国で、北に行くと国道一号線にそって線路が走っている。ベトナム政府の人達との昨年6月のインタビューで、「日本の新幹線を南北に導入したら、経済発展に加速がつきますよ」と提案していた経緯もあった。

 その時はベトナム政府の人達は「発展段階が.....」といった返答でしたが、運用実績からいっても新幹線でしょう。ははは、出来たらしばらくして行ってみたい。その時のベトナムは大いに変わっているでしょう。私が2008年に行ったときに比べて。


2009年08月13日(木曜日)

 (04:33)久しぶりに読んでいて気分が明るくなるFOMC声明です。赤くしておきましたが、明るい、上向きを感じさせる単語が第一パラグラフには一杯登場し、そして第三パラグラフには懸念された性急な出口戦略追求の痕跡はなく、9月までとしていた長期国債買い切りを10月末まで延長するという方針が示され、ただしそのペースを緩める、タイミングを見ながら実施するという方向が示された。これはやや意外。

 これは予想された通りだが、現在事実上ゼロとなっているフェデラルファンド金利の水準は当面維持の方向となり、また住宅ローン担保証券などの購入規模は維持された。米国国債の買い切り規模3000億ドルも動かされず。

 このFOMC声明の意味合いは、この文章を書いている時点でのニューヨーク株式市場がダウで165ドル以上も上昇していることで、またドル・円が96円台に移行し、ユーロ・円が136円台の後半に移行していることでも示されている。「FOMC懸念」を手がかりに調整をしていた世界の市場は、安堵感で戻している。

 重要なのは、この方針決定にFOMCの委員全員が賛成している点。成長の兆しは確かなものになってきつつあるが、超緩和状態の金融政策は当面は「現状維持」ということだ。FOMCは依然として超緩和政策故にアメリカ経済がインフレになる危険性を見ていない。

Release Date: August 12, 2009

For immediate release

Information received since the Federal Open Market Committee met in June suggests that economic activity is leveling out. Conditions in financial markets have improved further in recent weeks. Household spending has continued to show signs of stabilizing but remains constrained by ongoing job losses, sluggish income growth, lower housing wealth, and tight credit. Businesses are still cutting back on fixed investment and staffing but are making progress in bringing inventory stocks into better alignment with sales. Although economic activity is likely to remain weak for a time, the Committee continues to anticipate that policy actions to stabilize financial markets and institutions, fiscal and monetary stimulus, and market forces will contribute to a gradual resumption of sustainable economic growth in a context of price stability.

The prices of energy and other commodities have risen of late. However, substantial resource slack is likely to dampen cost pressures, and the Committee expects that inflation will remain subdued for some time.

In these circumstances, the Federal Reserve will employ all available tools to promote economic recovery and to preserve price stability. The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period. As previously announced, to provide support to mortgage lending and housing markets and to improve overall conditions in private credit markets, the Federal Reserve will purchase a total of up to $1.25 trillion of agency mortgage-backed securities and up to $200 billion of agency debt by the end of the year. In addition, the Federal Reserve is in the process of buying $300 billion of Treasury securities. To promote a smooth transition in markets as these purchases of Treasury securities are completed, the Committee has decided to gradually slow the pace of these transactions and anticipates that the full amount will be purchased by the end of October. The Committee will continue to evaluate the timing and overall amounts of its purchases of securities in light of the evolving economic outlook and conditions in financial markets. The Federal Reserve is monitoring the size and composition of its balance sheet and will make adjustments to its credit and liquidity programs as warranted.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Charles L. Evans; Donald L. Kohn; Jeffrey M. Lacker; Dennis P. Lockhart; Daniel K. Tarullo; Kevin M. Warsh; and Janet L. Yellen.


2009年08月12日(水曜日)

 (23:33)日本全体で一体何基あるのか知りませんが、CEFの南あわじウインドファームの一風景「ああ、日本の風力発電用の風車はこういうところに立っているものもあり、その内部はこうなっているのか」と非常に勉強になった一日でした。

 見たのはCEF(クリーン・エナジー・ファクトリー)南あわじウインドファーム。全部で15基の風車が回っていて(一部は調整中)、それぞれが急峻な山道の先に立っている。数百メートルの間隔で。風車の中も見ました。風車はドイツで何回も見ていますが、今までは遠くから眺めたことしかなかった。そういう意味では興味深い一日でした。

 案内してくれたのは、旧知の、今はCEFで仕事をしている金子さん。昔々の金融での付き合いがひょんな形で蘇って、「一度(風車を)見せてよ」という私の要望が入れてもらったもの。朝10時に新神戸駅で待ち合わせて、そのままレンタカーで神戸淡路鳴門自動車道を南下。暫くトンネルを走ったあと、綺麗な大橋を通って淡路島に。

 予定より順調で、食事を済ませてサイトに着いたのは12時半ごろでした。はっきり言って山の中腹。ゴルフ場造成が始まったものの、その後計画断念となった場所を地元の要請もあり同社が買い取ってウインドファームにして15基のウインドミルを建設したという場所。

風車の内部。下から真上を撮ったもの。まっすぐハシゴが上に伸びている  しかし現場を見ながら、よくこんなところまでピーシーズ(組み立てる前の分断した塔とかブレード=羽根)を運んだな、と。でかいですよ。一つの羽根が50メートル近くある。塔は90メートル近い。ピースにするにしても、新幹線の車両を移動させるようなものですからね。最新の注意が必要だし、一般道をやっと運んだとしても、あの細い山道をよく壊さずに運んだものだと。海外の技術者は驚くらしい。ゆるりゆるりと運搬し、足場を作って特殊なクレーンでつり上げて、ブレードが一番上になったときには高さ132メートルに達するウインドミルを建設する。

 中がどうなっているのかが二つの写真です。ハシゴが見えるのが風車の床から真上を写したところ。90メートル近くあるトップまではこの一直線のハシゴで注意深く上がるのだそうです。「上がりますか」と言われたのですが、「うーん、今日は遠慮します....」と。素人で上がる人は途中で気持ち悪くなるケースもあるとか。何せ柔構造になっていて、風で揺れるように出来ているそうですから。ちょっと覚悟が必要。

 右の写真が風車の高床に据えられている機器です。オフィスからの監視も可能だし、同社の他の拠点、例えば北海道からも運用状況の監視が可能のような形になっているという。風車はいつも同じ方向を向いているかというと違うらしい。昔はそうで、間違った方向に向けるともうダメだったそうだが、今はコンピューターで方向制御をしているらしい。常にうまく風を受けるように。

高床の上に置かれた風車、電力生産制御の機器  左の写真の女性達は、このサイトを訪れる人が増えていることに鑑み、風車、風力発電を一般の人に理解してもらおうと同社の現地オフィスが短期間契約で呼んでいるアーチストの女性達だそうで、あの暑い中「風の踊り」を披露してくれました。ご苦労様。しかし見ながら日本の風力発電、風車に関するいろいろな問題点を考えました。

  1. 同社の風車は全部ドイツから買って持ってきている。日本のメーカーは作っているのに輸出専用で国内では売らない。日本の設置台数がメーカーの商売のレベルに達していないのが原因だそうだが、これでいいのか

  2. 自然エネルギーの中で太陽光だけが注目を浴びて、アメリカ、ドイツでは注目度が高い風車が日本では継子扱いになっている理由と、それは妥当か

  3. 消却までの長い期間と、採算点を通過するまでにかかる長い時間をどうするのか。また環境保護の面でまだ解決する問題があると見られること
サイトで風の踊りを見せてくれたアーチスト達と  などでしょうか。あと風力発電会社と電力会社との関係もある。アメリカは既に世界最大の風力発電国になった。中国も追っているし、ドイツも前を行っている。日本は....ということです。まあこれを入り口に太陽光も含めて、自然エネルギー、さらにその中でも風車が持つ将来性を考えたいと思っています。同社のオフィスにはGEから転職してきたドイツ人も働いていました。

 それはそうと、考えてみたら私は淡路島に足を踏み入れたのは今回が最初でした。北淡(ほくだん)なんて名前は地震の時に覚えましたが、島の北部は通過しただけですが、それでもこの目で見ることができて良かったと。うーん、思っていたより山の多い島でした。あと、タマネギが特産物というのは初めて知りました。

 帰りは南あわじから近い徳島の空港から帰ってきましたが、そこには懐かしい人が。以前東京で勉強会をしていた内藤さん。「今日徳島に行きますよ」と電話したら、空港の近くに住んでおられるので、わざわざ空港に来て下さった。

 うーん、変わっておられませんでしたし、お元気そうでした。ちょうど徳島の阿波踊りが今日からということで、なにやら華やいだ雰囲気。音楽も聞こえたし。その中で三人で30分ほど話をしました。内藤さんはまた海外にお遊びの予定があるそうで、羨ましい。知り合いの名前もバシバシ出て面白かった。

 内藤さん、また行きます。よろしゅう。


2009年08月12日(水曜日)

 (08:33)結果論ですが、空に足を変えたのは正解で、飛行機はほぼ時間通り飛び、東京と大阪間の移動は問題なくいきました。新幹線は終日乱れていたようですね。もっとも私が乗った11時の便以前の便は少し遅れたようですが。

 便は問題なかったのですが、品川からの京急線が大いに乱れていて、駅と駅の間で止まったりして、あるときは「もう間に合わないのでは」という事態に。昨日は、あらゆる場面を想定してもっと早く動いていればと思う一日。

 もっとも10分前に羽田について、何とか滑り込みセーフ。「もう搭乗できないかもしれません」とか航空会社の人に脅かされながら。私と同じような人は多かったようで、離陸時間までの数分間にまだ駆け込んできた乗客が何人か。今回判ったのは、

  1. 普段はチケットキャンセルの手数料をかなり取るJRも、さすがに新幹線が止まっているとか、時間が大きく乱れていると言うときには払い戻しには全額気持ちよく応じてくれる
  2. キャビンアテンダントの人が、「急に混みまして」と言っていたが、飛行機は大阪・東京間では新幹線の唯一の代替交通手段。運休、乱れの時は客が殺到するので、予約は早めの方が良い(満席でした)
  3. 大きな地震の時には空港などに到達するにも時間がかかる。十分な時間を読み込まないと危ない
 などでしょうか。「アンカー」の番組で当然地震を取り上げたので調べてもらったのですが、マグニチュードは「1」上昇すると、つまり例えば「5」から「6」になると、エネルギーが32倍になるそうで、「2」上がるときは「32×32」で1000倍ほど上がるという。

 ということは、想定される東南海巨大地震が「8」だと想定すると、今回の地震「6弱」がかなり上がると言うことで、空恐ろしいことです。今回の場合は台風と重なったこともあったが、地震のエネルギーは巨大。新幹線は「地震のあとの徒歩による線路チェック」に時間がかかった。被害がなくても、復旧には時間がかかるということです。

 今朝の新聞では、「GM 新車25種投入」とか「サッポロが明治・ポッカと提携」などが面白い。ボルトの価格を384万円(4万ドル)と公表していることが目新しいかな。しかしこれはほとんど収益には貢献しないでしょうな。「売れる車がない」状況を脱しようとしているのでしょうが、前途は多難と見ます。

 後者は、サッポロが動いたとなると「アサヒは何をするのか」に注目が集まりそうです。


2009年08月11日(火曜日)

 (08:33)あらら、両方が一緒に来てしまいましたね。台風と地震。しかもその影響を受けている地域が重なっている。週末は諏訪にいましたが、諏訪でも土砂崩れ、河川決壊、道路の冠水、乗用車の冠水などいろいろあったようです。私の処は強い雨が降っただけですが。

 それにしても、都会のビルの地下の駐車場に車を入れておいたら、水で埋まってしまったとなったらショックですね。都内にはそういう事態になりやすいところはいろいろある。数日前にタクシーの運転手さんに聞いたところによると、赤坂見附の新橋寄りの「溜池」は読んで字のごとく低い。昔は本当に「ため池」があった。ですから、直ぐに冠水するらしい。

 夜中、大雨が降った後で仲間の運転手さんが知らずに溜池を通りかかったら、突然水に突っ込み、車が水に埋まってしまった。なんとか逃げたらしいのですが、回収した車は二度と使えないほど臭くて、結局廃車にしたという。廃車費用は誰が持ったのか知りませんが。

 今日は大阪に行く日なので、新幹線が止まった7時台の段階で、空の便に交通手段を変えました。ダイヤは乱れるでしょうから。


2009年08月09日(日曜日)

 (10:33)日頃家ではとっていない「日経サイエンス」が送られてきたので、「どうしてだろう」と思って封筒を開けてみたら手紙が入っていました。私の最初の本である「スピードの経済 世界経済にビッグバン」を担当してくれた日経出版の田口さんからでした。

 日経サイエンス担当になったということで、どうやら日経サイエンスは別会社扱いになっているようで、肩書きは「代表取締役」とあって、「ほう、田口さんも社長さんですか」と。「伊藤さんは世の中進歩堂という科学番組もしておられるので.....」と。有り難うございます。

 正直言って科学大好き人間で、先週はMRJを見ましたし、来週は淡路島で風車を見る予定ですし、科学には人をワクワクさせるものがあるといつも思っているのです。今月号の記事で面白そうなのは、「サイレント異変 小さなDNA変化が病気をもたらす」「一万年前に来た猫」「迫り来るリン資源の危機」「超高速レーストラックメモリー」などでしょうか。

 そう言えば今日は日曜日で「世の中進歩堂」の日ですが、今日は「人口知能ゴーグル」や「歩行を助ける最新ロボット」が登場します。お楽しみに。


2009年08月08日(土曜日)

 (06:33)昨日とっても残念だったのは、「女36歳からでもキャリアは作れる」(光文社)の出版記念パーティーに長く出席できなかったことかな。

 午後6時30分からでしたが、「Roundup World Now」の収録が午後6時過ぎまであって、局を出たら凄まじい雨と雷。パーティーを印象付けるように。タクシーの運転手さんに「プレスセンターの入り口に横付けして」と頼まなければならないほど。あの雨で、凄い渋滞だった。

 入り口に着いても、プレスセンターの屋根に入るまでのたった6メートルくらいでびっしょり。まあでも、定刻よりちょっと早めに、私より前に会場に入った人は誰も濡れていなかった。既に会場にはびっしりの人。

 7時半に恵比寿で会合があったので、ほんとに短い間しかいられなかったのです。30分ぼど。ずっと挨拶が続いていて、私の挨拶の順番が回ってきたのがもう6時50分ほどでしたかね。まあでもその間、旧知の小島明さんなんかと久しぶりにお会いできたし、「全日本鍋物研究会」のメンバーともお顔を会わせることが出来て良かった。

 「残念」というのは、スピーチを終えて直ぐに会場を出なければならなかったこと。久しぶりの方、新しい方も多かったのに。まあでも作者の辻さんのパワーと、発起人の人達の熱意が感じられるパーティーでした。うーん、私ももっと言いたいことがあったのですが、もう4人目でしたから短めにしました。

 私はもうこのブログで紹介し、ラジオ、ポッドキャストでもこの本を紹介していますが、多くの方からメールを頂いていて、女性からのメールを読むと、男とはまた違った視点でこの本を読んでおられる。「なるほど」と思うことしきり。akkoさんなど、メールを下さった方々には感謝。

 ところで、出版記念パーティーのことを書いたので、最近読んだ本を何冊か紹介します。

「オジサンにも言わせろNPO」
「ラバウル温泉遊撃隊」
『北朝鮮「虚構の経済」』
「娯楽都市 江戸の誘惑」

 最初の本は玉村ぶし炸裂という感じの本です。あちこちをめった切り。大学を出てずっと自由に生きてきた、しかし文章を書くことにおいてはプロを自称する玉村さんの哲学が感じられる。何カ所か「そうだそうだ」と思いながら、別の箇所では大笑いしながら読みました。

 「ラバウル温泉遊撃隊」は、日本で唯一(?)の温泉ライターの山崎まゆみさんの「世界の温泉を巡る旅」の東南アジア版。旧日本軍が見つけ、入っていた幻の温泉を探しての旅を本にしたもの。その割りには文章が多い。力が入っていることが分かる。

 「虚構の経済」は家にあってちょっと時間が立ってしまった本ですが、「北朝鮮経済はとっくに破綻しているが、それが体制の転換に繋がる要因にはならない」という論旨で、それが悲しい本です。では中で抑圧と貧困に耐えながら生きている人々はどうなるのか。

 「娯楽都市 江戸の誘惑」は、江戸の娯楽が何層にも重なって出来ていたことを明かした本。吉原だけではなく、江戸には多くの遊興の場所があったし、寺社の境内も様々な娯楽に使われていたという安藤さんのかねてからの主張を本に纏めたもの。今の東京にもその名残がある場所があまた。江戸の昔からの浅草の重さが分かる。

 午後7時半からの会合は、ゴジラの会のそれ。サイトもない新しい店で。「HummingBird Hills」という恵比寿南1丁目16番地の店で、言ってみれば「アメリカン」

 エビの焼き方など、ニューヨークのちょっとダウンタウンの店にありそうな。ミッドタウンのチャウダー屋にはないマンハッタン・クラムチャウダーもあったし、ちょっと料理が荒々しいことを含めてエンジョイできました。

 あとで検証できる松井に関する色々な予測を立てたのも良かった。


2009年08月07日(金曜日)

 (11:33)あらら、やっとヤンキースはレッドソックスに勝てそうですね。まだ試合途中ですが。松井もダブルプレー崩れで1打点、レフトへの二塁打で2打点で3打点。まずまずの活躍です。

 とにかく今年は昨日まで一回もヤンキースにボストンに勝っていない。8連敗。にもかかわらず地区でボストンに2.5差をつけて首位に立っている。ということは、ヤンキースが他のチームに対していかに勝っているのか、ということ。

 トロントが落ち、レイズもちょっと下にいるので、アメリカンの東地区はこの2チームの争いなんでしょう。でももめそうですな。今日もペドロイアに対する危険球で危うくもめそうになった。いろいろありそうです。

 中継を聞いていると面白い。解説者とアナウンサーが全く別のベクトルで話すので、話がかみ合わないこと著しい。笑ってしまうほどです。アナウンサーの常識的なトークをあざ笑うかのような解説者の一言一言。日本のアナウンサーはもっと各分野で勉強して欲しいモノだと。

 いろいろあると言えば、警視庁がノリピーに逮捕状を請求したという速報にはびっくりしました。昨日もそうですが、「ノリピーはどこに」的な報道一色だったので、彼女は被害者的な位置づけだったのですが、この逮捕状請求で状況は変わった。10才の子供さんが可哀想。その手の噂はあったようですが。


2009年08月06日(木曜日)

 (17:33)午後から4時間以上続くインドに関するセミナーに。各講師が20分ほど喋るという面白い形式のセミナーで、私も最初に喋りましたが、あとは他の講師の方々、それにチェアの発言を聞いていました。こういうセミナーは自分のその問題に関する知識のブラッシュアップ、それに欠落部分の補完のために非常に有用です。

 大きなテーマは、今回シン首相率いるコングレス派が率いる連立与党がなぜ大勝したのか、その上で今後の日印関係の行方を予測するというもの。大学の先生、国際協力に関する機関の方のニューデリーとムンバイを結ぶコリダーに関するプロジェクトの行方の話、インドサイドからは「日本企業の対インド投資の成功条件、失敗例」など。

 私も最後まで聞き続けられた訳ではないのですが、「うーん、なるほど」というポイントがいくつかあった。私はシン首相の「faster and more inclusive」という経済運営の基本理念を引用しての政策の特徴と、それがインドにもたらした影響について、村上春樹の「1Q84」に出てくる言葉も引用したりして講演した。

 もっとも最初から判っていましたが、20分というのは喋り始めるともうすぐ時間が来てしまう。まとまった納得してもらう話が出来るのには無理な時間でした。

 今日私が気になったニュースは

 米政府は5日、電気自動車や次世代電池などの開発・製造を促進するため、総額24億ドル(約2300億円)を関連業界に助成すると発表した。遅れている電気自動車など環境対応車の技術開発を進め、競争力を高めるのが狙い。米政府は数万人の新たな雇用を創出すると試算している。

 オバマ政権は環境分野を将来の有望分野と位置付け、重点投資する姿勢。オバマ大統領は同日発表した声明で「原油への依存を減らし、雇用を回復して米国の製造業が世界最強の一角と言いたいなら、先進的で燃費の良い未来の乗用車を生産しなければならない」と強調した。

 経営破綻した米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)などビッグスリー(米大手3社)には計約4億ドルを助成する。

 アメリカはいいところに目を付けてきますね。今週は日産が発表した電気自動車などは、要するに「電池が命」の移動手段です。これがうまく手にはいるのか、かつどのような値段で、どのような性能で、などが一番重要。リチウムイオン電池は言ってみればまだ開発途上のものだし、もしかしたらそれを上回る電池の開発も出来るかも知れない。

 アポロ計画もそうですが、アメリカはターゲットを決めると非常に強い力を発揮する。何せ世界から頭脳は集まっていますから。それを開発し、それを民生化するまでのパワーはある。問題は民生化したあとのプロダクション品質の維持です。トップを走る日本もリチウムイオン電池の品質向上、廉価化は今後の産業政策のカナメ。

 しっかり取り組んで欲しい。それから、昨日のMRJに関する一連の取材に戻りますが、ロケットがどう制御されて空に上がっていくのかが判ったことは収穫でした。エンジンそのものが微妙に噴射角度を変えて姿勢制御するそうです。むろん、ブーストの時は補助エンジンで姿勢を制御します。それが面白かった。あと「やはりここか」と思ったのは、技術者の熱意と意地ですかね。「日本でもやるんだ」という。それが心地よかった。

 それにしても、選挙を控えたテレビは出ていても、見ていても面白くない。「バランス」とやらで、逆に政治問題を扱えなくなっている。新聞もラジオも独自の視点で政治を取り扱っているのに、テレビは自粛。これが選挙まで続く。米大統領選出プロセスでテレビが果たしている役割の大きさを考えれば、日本のテレビの選挙期間中の存在感は希薄です。


2009年08月05日(水曜日)

 (17:33)ハードディスクを含めてかなりの部品を東芝など日本のメーカーが造っていてもipod を日本製という人はいない。どう考えてみても、アップル製であり、アメリカ製品です。同じように、ボーイング787の主翼を含む35%(バリューベース)を日本のメーカーが造りつつあると言っても、やはりボーイングはアメリカの飛行機なのです。やはり全体を構想し、その名前が機体に付くメーカーが一番偉い。

かなりかっこいい日本製中型ジェット機  その意味で三菱重工業が推進しているリージョナル・ジェットMRJは以前から注目していたのです。それが出来て初めて日本に航空機メーカーが誕生することになる、と。5日にようやく取材する機会を得られました。MRJのサイトはここにありますが、やはり実際に薄いことがウリの椅子に座り、機内の大きさを実寸大で確認し、その天井に淡く富士山が遠近法で浮き上がり、車内の光が和室の雰囲気であることを確認するのは別格でした。ライトボタンなどはポップ調で良かった。

 戦後の日本は船でも、自動車でも新幹線でも、実にうまく動くものは造ってきた。しかし空を飛ぶ飛行機とロケットだけは様々な制約からこれまで大きく成功したとはまだ言えない状況。YS11も成功とは言えない。

 そういう意味では、カナダやブラジル、ロシアや中国のメーカーに互して、日本のメーカーが売れる100人乗り以下のリージョナル・ジェット市場(例えば成田ー香港など)で羽ばたけるかは、大きな関心対象でした。

 聞いてびっくり。いかように数えるかにもよるが、MRJの部品の数は100万と聞いた。現在主流の内燃機関の自動車の部品の数は3万と言われる。MRJクラスの飛行機でも、そういく意味では非常にすそ野の広い産業です。それが、1000機、2000機と売れていったときの波及効果は凄まじい。

背もたれの薄さが特徴のMRJ  三菱重工さんにはいろいろ見せて頂きましたし、解説もして頂きました。MRJの開発状況、受注状況、そしてターゲット。それにボーイング用に造っている機体の一部も。おまけにH-UAなどの製造現場も。日本でもちゃんと航空・宇宙産業が育っていることを確認できたことは良かったし、嬉しかったですね。

 それにしても、名古屋の飛島村というところにも移動したのですが、ここは凄い。見渡す限りの工場地帯、コンビナート。サイトで解説を読みましたが、村役場のすごさは地の運転手さんが言っていた。飛島を移動していると、日本の産業力の凄まじさと、将来の「産業遺産」を思ってしまう。

 なお今回のロケの果実は来週火曜日の関西テレビ・アンカーで放送されます。残念ながら東京など非関西圏の方は見ること不可です。改めて思うが、現場はいい。


2009年08月05日(水曜日)

 (06:33)クリントン訪朝をホワイトハウスは「purely humanitarian」といい、「the former U.S. president didn't carry a message from President Barack Obama concerning North Korea's nuclear program or other strategic issues」と言っているのに、北朝鮮は国家主席でもある金正日総書記まで出席してクリントンの為の晩餐会を開催、オバマ氏からのメッセージをクリントン経由で受け取ったと言う。

 このちぐはぐさが今回のクリントン訪朝の持つ両国にとっての意味合いを明確にしていると思う。アメリカ国籍の女性ジャーナリスト二人の特赦による解放は、クリントン訪朝が決まった段階でほぼ合意していたのでしょう。クリントンがそれも判然としないうちに平壌に行くとは思えない。北朝鮮の国連代表を使ったニューヨーク・チャンネルで合意は出来ていた。

 問題は、「その他」です。昨日も書いたのですが、アメリカに取ってみれば絶好の情報収集機会になる。金正日はどんな顔(体調、ガンの進行具合)をしているのか、どのくらい痩せたのか、回りの人間達は依然金正日を敬っているか、それとも「次」に目が向いているのか、後継問題の進展具合はどうか(正雲の話は今回は出ていないが、どうだろう。クリントンは会いたいに違いない)、そして街の様子からある程度判る北朝鮮の現状(経済、社会、国民の覇気・弱気)など。

 とにかく判らない国ですから、大統領までやって、今はヒラリー・クリントン国務長官の亭主という立場のクリントン(とその随行員2人ほど)の目と感触は、「新たな情報」をもたらすに違いない。まずこれが第一だと思います。

 核などを巡る戦略的な問題に関しては今後の交渉が大事になるのでしょうが、「糸口」くらい見付けられたらと思っているのも確かでしょう。クリントンは政権の末期に平壌訪問を考えた時期があるし、北朝鮮もそれを望んだ。

 しかし実らなかった。大統領だった当時の思いはあるはずだ。しかし、「対立」を前面に押し出し、北朝鮮を「かまってもらいたい子供」(ヒラリー)と呼んでいる以上、オバマ政権としては表面的には日韓への体面もあるし「交渉の事実」を前に出すわけにはいかない。まあでもいろいろ話し合っている可能性が高い。

 北朝鮮もほとほと困っているのでしょうね。今まで頼ってきた中国を怒らせてしまっている。輸出はほとんど出来ない。輸入も中国の思惑一つで絞られる。高官の預金口座も凍結されている。まさに「北朝鮮に友人はいない」(ヒラリー)という状況。クリントン訪朝で「なんとか突破口を」と願ったのは北朝鮮です。

 クリントンは5日に米国籍の女性ジャーナリスト二人を連れて平壌を離れるのでしょう。その前に誰と会って、何を話し合うのか。クリントンにとっては、目的を達した、辞めてから最初の意義ある外国訪問となった。


2009年08月04日(火曜日)

 (14:33)日食観測で硫黄島の近くまで船で行っていた私の尾道の友人である石井さんがお帰りになって、このようなページを作成。ははは、つい二週間くいらい前の話ですから、まだ生々しい。ご覧下さい。

 日食はお楽しみ頂くとして、「とうとう来たか」という話は、ドバイの土地価格です。AP通信を引用して共同が報じている。それにによると、ドバイの今年4〜6月期の住宅価格は、前年同期比48%の急落となったという。比較対象になったのは6月末時点の価格で、これは最高値を付けた昨年第3四半期の約半分。一年で半分というのは凄まじい。まあそれだけ上がっていましたから。

 これは国際的な不動産コンサルタント企業コリアーズ・インターナショナルが3日発表したもの。ドバイは中東の金融、投資、物流の中心として急成長を続けてきたが、金融危 機で深刻な打撃を受け、それが今回数字として明らかになったもの。世界の株価は相当戻ってきましたが、ドバイの土地価格急落はこれからか。

 クリントン元大統領の突然の訪朝は、「拘束されているジャーナリスト二人の釈放」という直近の目標のためですが、アメリカは今の北朝鮮がどうなっているかを、元大統領の目で見る絶好のチャンスととらえるでしょうね。

 北朝鮮の指導者達がどのような顔色で仕事をしているのか、指導者の世代交代がどういう意味を持つのか、今後この行き詰まった国がどういう方向に出てくるのか。金正日に会えたら、どのような顔色をしているのか、健康状態はどうなのか、後継はどの程度具体化しているのか、などなど。私もそうした点が興味深い。


2009年08月04日(火曜日)

 (07:33)アメリカの7月の自動車販売台数統計は、いくつかのサプライズと珍しい単語を含んでいました。まず販売統計ではフォードの販売台数が2007年11月以来2年弱ぶりに前年同月を僅かながら(2.3%)上回ったこと、全体の販売台数の年率ベースが1100万台と1000万台の大台を回復したこと、など。昨年12月を最後に下回っていた。この結果、フォードの株価は週明けのニューヨーク株式市場で7%も上昇した。全体も3日のダウ工業株平均は114ドル95セント上げた。

 しかし増加したのはフォードと現代(韓国、11.9%増)だけ。GMは19%も7月の販売台数が前年同月に比べて依然として減少しており、「売れる車がない」状況が続いている。日産自動車は25%減、ホンダは17.4%減、クライスラーは9.4%減。トヨタは11.4%減。

 少し興味深いのは、GMの7月の販売台数(乗用車・ライトトラック)は18万8156台(昨年7月は23万3340台)だが、これはトヨタの17万4872台や、フォードの16万5279台(同16万1530台)に急追されていること。つまり、GMがアメリカ最大の自動車メーカーではなくなる日が近い、かもしれないということ。

 フォードや現代の自動車販売は昨年同月を上回り、他の多くの自動車メーカーの自動車販売が6月より大きく伸びた(例えばトヨタの販売台数は対6月比では28%も増加)のは、「Cash for Clunkers」と一般的には呼ばれる法律の施行を背景としているらしい。

 この単語は私も初めて見たので調べてのですが、「clunker」を辞書で引くと『使いものにならない乗り物[機械,人],(特に)ぽんこつ自動車』という説明があった。つまり、「Cash for Clunkers」というのは「ぽんこつ自動車の変わりにキャッシュをもらおう」ということらしい。

 ただしこの表現、つまり「Cash for Clunkers」というのは俗の呼び方であって、正式には7月1日から施行された米政府の新車販売促進制度としての「The CAR Allowance Rebate System (CARS)」を指すらしい。サイトとしては、

 直接関連サイト
 政府サイトの説明

 などがあるが、結局「古くて燃費の悪い車を売却して、その補助金付きでより良い燃費の車に買い換えてもらう」ことを狙いとした法律で、本音のところでは「自動車業界救済策」。7月1日から施行されて、議会から認められていた原資は最初10億ドルだったが、どうやらあっという間に使い切りそうになって、その後議会では20億ドルへの原資増額が検討されている。政府の説明にはこう書いてある。

What is the Car Allowance Rebate System?

The CAR Allowance Rebate System (CARS) is a $1 billion government program that helps consumers buy or lease a more environmentally-friendly vehicle from a participating dealer when they trade in a less fuel-efficient car or truck. The program is designed to energize the economy; boost auto sales and put safer, cleaner and more fuel-efficient vehicles on the nation's roadways.

Consumers will be able to take advantage of this program and receive a $3,500 or $4,500 discount from the car dealer when they trade in their old vehicle and purchase or lease a new one. Consumers you do not need to register anywhere or at anytime for this program. However, to find out eligibility requirements click here.

 つまり「Cash for Clunkers」とあるが、別にキャッシュをもらえるわけではない。古い燃費の悪い車をディーラーに持っていって新車(a more environmentally-friendly vehicle)を買ったりリースしたりすると、3500ドルから4500ドル分値引きしてもらえる、という制度。まあ日本で言えばエコカー減税のような、それより条件が緩いような。

 日本でも今の制度で爆発的に売れているハイブリッド車(プリウス、インサイト、HS250など)も、引き渡しが来年3月末以降だと適用除外になるのでは、といった懸念があるなかで、「需要の先食い」が言われていますが、アメリカでも同じ事。

 しかし米自動車業界アナリストの中には、「アメリカの自動車産業の最悪期は脱した」と断言し、付け加えて「この危機からの勝者はフォードということになりつつある」と指摘している人がいる。うーん、まあ今の数字ではそうでしょうが、これはちょっと検討と時間が必要。いずれにせよ、アメリカが中国に奪われていた「世界で一番車が売れる市場」の地位を取り戻すかも知れない。株式市場的には嬉しいでしょう。

 ところで、「いつもYcaster、ビジネストレンド、Round Up World Now!、スタンバイ、ビジネスVOICE講座と、伊藤さんの日記および番組を拝読・拝聴しております」というリーフ製造予定会社の方からメールを頂きました。思った通り「残り1年最後までてんやわんやの状況」だそうです。

 これも思った通り、「Cセグメントサイズ(欧州基準で全長4400mm程度)初の量販電気自動車」というところが頭の使い場所となっているようです。これはなかなか難しい。より走行可能距離を伸ばさないと、いわゆる「普通車としての性能」を求められたときにリーフは苦しくなる。

 車体イメージは昨日ゴーンさんが発表した通りか、ほんのちょっとの変更の予定とか。楽しみ。昨日「発表会に行きたかった」と書いたら、「なんで我が社の広報は呼ばなかったのですかね....」とも。今度はよろしゅう。


2009年08月03日(月曜日)

 (09:33)今朝の新聞に載っている日産自動車の「リーフ」の発表会には行って、次々に質問したかったな。それにしても、発表会が日曜日なのはなぜ? 月曜日の新聞には紙面が空いているから。

 ハイブリッドブームで影が薄かった日産の久々の攻勢カードが「リーフ」です。ここに一連の写真がある。ほう、小泉元首相も。ハイブリッドがない日産には、久々の檜舞台。

 私の関心は一点です。それは、リチウムイオン電池の安全性をいかに確保したのか。ケイタイでも、PCでも、携帯音楽再生機器でも、リチウムイオン電池は様々な問題を起こしている。時には爆発。しかし、電気自動車というのは要するに「リチウムイオン電池」の固まり、ですからね。

 何層にも合わせると熱を持ちやすいし、爆発の可能性もある。ある自動車メーカーなどは、「リチウムイオン電池を大量に、かつ安全に運ぶにはコンクリートで外側を固めるしかない」と言っているところもある。それを日産がどう乗り越えたのか。

 三菱自動車のアイミーブが大きさから「軽」であるのに、「リーフ」は大きさから普通車です。5人乗りだという。それだけ駆動力が必要だし、多くのリチウムイオン電池を並べなくてはいけない。それをどう乗り越えていくのかが注目なのです。

 三菱も富士重工(スバル プラグイン ステラ)も今年電気自動車をそろりと出した。最初は官公庁向けに。それは、やはり量産技術の問題もあったが、安全性の問題があったと思う。これは私の推測ですが。しかし、「リーフ」は最初から大規模販売を狙っている。

 日産の今の市場の劣勢からして、この時期に発表するしかなかった、ということもあると思う。「リーフ」が成功したら、日産はエコカー市場で一気に大きなパワーになりうる。しかし、何か事故があったら、会社の命運が左右される。発売は来年末だとされる。

 これはトヨタのプリウス完成過程を描いた「ハイブリッド」を読んだ印象からすると、つまり新車というのはギリギリまで「これで売れる」という完成車の段階には近づかないものだということからすると、日産の「リーフ」開発現場ではてんやわんやになっている可能性がある。

 どう仕上げてくるんでしょうかね。今のところリチウムイオン電池の「カセット方式による切り替え」は考えていないようだ。まあ社会インフラも整っていませんし。とすると「フル充電で160キロ」というのは普通車には苦しくないのか。アイミーブだと、どう考えても「タウンカー」ですから、「そんなもんだろう」と納得できるが、普通車で一回充電での走行距離160キロだったら、足りない。私の場合一気に諏訪(約200キロ)にも行けない。

 多分開発現場は「問題の山」と格闘していますよ。日産がそれをどう乗り越えてくるのか。来年はGMもボルトを出す。電気自動車が安全性と利便性でハイブリッド(内燃機関と電池の。技術的には安定してきた)を凌駕できるのか。来年は自動車業界の地図が大きく動くかも知れない。

 ところで、鳩山次期首相候補が唱える「友愛」は英語で言えばどういうのだろう、と思っていたのですが、昨日ニューヨーク・タイムズに鳩山ファミリーの系譜に触れた記事があって、その中に見つけました。記事にはこう書いてある。

  Following his grandfather's example, Mr. Hatoyama, whose views on social issues such as women's status and foreigners' rights are markedly liberal, has chosen as his guiding principle the word "yuai" -- which translates to friendship and love.
 「friendship and love」ね。これは中東やイスラエル、アフガニスタンやスーダンなどに行ったときには、よくよく説明しないとなかなか理解されないでしょう。そこが問題です。私は鳩山哲学の「友愛」は「博愛」に近いと考えているのですが、まあいずれにしても国際政治の中ではなかなか登場を阻止されるケースが多いだろう、と想像される。

 仮に彼が首相になったときには、秋の国連総会でこの単語を使うんでしょうね。世界の反応が楽しみです。ファンも出来るでしょうが、鼻でせせら笑う輩もいそうだ。


2009年08月02日(日曜日)

 (18:33)今晩の世の中進歩堂は、こんな感じです。まあ今回のテーマは「飛ぶ」ですかね。面白かったのは、「宇宙から飛ばす紙ヒコーキ」かな。空気がなくてどう飛ぶかって。ははは、面白いのはその発想です。

 しかし番組のメインネタは、「大空を自由に飛ぶ最新飛行ロボット」です。自由というか、自ら判断を下しながら自動で空を飛ぶロボット。この研究は東京大学の鈴木研究室で行われているもので、一見ラジコン模型の飛行機のように見えるが、人の手により空へと投げ出されたら、あとはすべて自動で飛行する点が違う。

 飛行中は空中から撮影した映像を自動で送ることもでき、任務を終えたら、自動でパラシュートを開き着陸する。人間が立ち入れない危険地帯などでの活躍が期待されている。結構面白いでしょう。使いようによっては軍事にも有用。

 さらに同研究室では、飛行機が安全に飛行できるためのシステムの開発や、宇宙から紙ヒコーキを飛ばそうという壮大な計画も進められている。航空宇宙工学最先端の研究現場を紹介する。ご笑覧あれ。

 ところで、この週末は結構テレビ番組を見たのですが(ゴルフ中心に)、その中ではNHKオンデマンドの中の「ドラマチックバス」というシリーズが非常に面白発想だと思いました。要するに都市紹介番組なんですが、そこの「男と女」を絡ませてドラマチックにしている。

 私は今までに二本見ました。ベネチア編とマドリード編。ベネチア編は、バスと言っても水上バスです。何番線に乗るとここにいく、といった具体なのですが、その番組の作り方が非常にうまい。うまい旅番組だと思いました。


2009年08月01日(土曜日)

 (20:33)我が家に残っていたたった一冊のノートを巡って、今面白い調査をしています。先祖が残した本を読みながら、かつ先祖の足跡を辿る道。ははは、一方では総選挙控えの日本の現在を考えながら。パラレル・ワールドにいるみたいな印象。

 実は一冊のノートが出てきたのです。諏訪の実家から。ノートのタイトルは「染色日誌」となっている。書き出しは昭和10年1月1日。私の祖父の弟の一人が書いたもの。「染色」となっているのは、この私にとっての先祖の一人が染色を仕事にしたことがあったからです。

 ところが、ノートをめくっていくと「南方懐古写眞帳」という写真集になる。日誌は左開き、写眞帳は右開き。私は最初この写眞帳も同じ祖父の弟が纏めたものだと思って、その方の息子さんに「お父さんの日記と撮られた写真です」とノートを最近お渡しした。

 しかしその息子さん(親戚なのでそれほどよそよそしくないのですが)からこの週末に手紙を頂いて、「どうも日誌と写眞帳の書き手は違う」「写眞帳は洋一君のお父さんではないか」と。祖父の弟は南方戦線に行っていない。私のオヤジは行っている。

 まあ結局こういうことだろうと。つまり祖父の弟は昭和10年の1月1日から3ヶ月くらい日誌を書いた。しかし何らかの理由でやめてそのノートを諏訪の家に置いておいた。それから10数年を経て出生から帰った私の父親が、もののない時代とて、家にあったこのノートを見つけて「叔父さんが書きかけのノートの後半を使おうと写眞帳を作った」。

 その写眞帳には、結構興味深い写真もあるのです。で今後はその写眞帳は私が預かって、どういう経緯でこの二人の人間の手になるノートが出来上がったかを調べることになった。ちょっと面白いですよ。私より上の世代の祖先達が一体何をしていたのか。

 祖父が残した本は、明治の30年くらいから大正、昭和初期までに出版された本が多い。大学の先生が書いた本が多いのですが、それを一冊ずつ目を通しながらデータを作っているのです。読めない本もある。先週ちょっと目を止めて読み込んでしまった本には、「アイヌの研究」(八洲書房 金田一京助著)なんてのがある。

 これが結構面白い。日本民族当方開拓の歴史(逢坂の関、不破・鈴鹿の関、白川の関などはヤマト民族がアイヌと戦ったときの戦線であり、彼等がいたからこそ東国武士の興隆があったと説く。この古い本にはこう書いてあります。

「アイヌ人は建国以来の東境の隣人、もと、地広く土肥え、人澤に、衆多く、我々の祖先に取り少しの油断もならない不断の脅威であった」

「悠々たる紀元2600年、観じ来たれば一面は即ち大和民族東方開拓の歴史に他ならないのであって、逢坂の関や、不破・鈴鹿の関は、最初の隘勇線だったのかも知れないのである。進んで、白河の関・菊多・勿来(なこそ)の関の名も、一度は又その為の名だったのである。営々2600年、我々の祖先が、その為に武備を整えて緊張したのである。甲冑の発達、日本刀の発達、東国武士の興隆、従って武士道の起こり、等々みなそこに淵源したのであるから、今日の日本を造った絶好の稽古場、演習相手がアイヌの人々だったのである」

 古い文章を読むと、調べなければいけないものが多い。「隘勇制度」とは何か。これは「清朝統治時代から日本統治時代までの台湾に存在した台湾原住民の襲撃に備えるために設けられた一連の防衛組織」だと辞書には書いてある。

 「”隘勇線”とは、原住民との軋轢を防ぐための境界線。隘勇線には鉄条網が張り巡らされ、電流が流され、無断立ち入りを禁止した。これより奥は「蕃地」とされ、理蕃政策の対象となった」とある。昭和の初めに金田一京助さんが唱えた説です。彼のご子息はまた有名な人が多い。

 ネットを調べたらこんなページもありました。今朝の新聞もそうですが、アイヌに関する記事が多い。私は古い本を読み始めたばかりでアイヌに関しては一般的知識以上のものはないのですが、まあこういうものを通じて勉強できたら、と思っているのです。



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