2010年04月30日(金曜日)

 (13:35)今夜の番組のお知らせです。BS7で午後10時24分からの「世の中進歩堂」は、『学生サークルで驚きの発明品が!?ロボット技術研究会に注目!』を放送します。

 学術的な研究だけではなく、自由にロボットなどを開発している学生サークルを紹介する回です。そのサークルとはどこかというと「東京工業大学ロボット技術研究会」。このサークルでは、学生さんが自由に様々なロボットや装置を開発中。その一つであるAir−Hair(エアヘアー)は、美容師が髪を切る感覚を再現した装置。

 専用のハサミを動かすと、髪を切る感触がフィードバックされるます。私もやってみましたが、不思議な感覚。少し精緻に作れば、実際の訓練に使えそうです。

 さらに、風と音を使って、髪を切られる感覚を再現した装置も開発した。さらに、映像で描かれた絵本に触れられるフシギデスクや、学生さんが一から全て手作りで作り上げたというオーディオサウンドメーターなど、学生さんならではの自由な発想とこだわりで、ユニークな装置が続々と開発されている。ニッポンの将来を背負う、若き技術者たちの研究を紹します。

 ところで、先日のワシントン・ポストのloopy その後の記事です。


2010年04月29日(木曜日)

 (13:35)新しいエッセイがアップされました。改めてクライメートゲート事件を取り上げています。このサイトにありますので、ご一読下さい。

 前回からこの問題を取り上げていますが、日本ではあまり取り上げられず曖昧になってしまっている。しかし今考えておくべき事は数多くあると考えています。


2010年04月29日(木曜日)

 (04:35)多分マーケットは、「for an extended period」の単語があったことに安心したんですよ。FOMC声明の発表までは前日引値から顔を出したり、また顔を水面下に下げていたニューヨークの株価(ダウ平均)は、この声明発表後に上げて、かなり大幅な上げに転じた。

 この「for an extended period」はいつかはなくなる。そしてその時がアメリカの金融当局が金利の出口戦略を始めるとき。それは何時か。ウォール・ストリート・ジャーナルには、以下の文章がある。

If the economy continues to gain speed, the Fed will have to calibrate when to raise rates and sell the assets to prevent an outbreak of inflation. Futures markets still see a good chance of a rate increase to 0.5% in November, although the probability has fallen recently amid continued debt woes in Europe.
 つまり、今の先物相場を参考にすれば11月には0.5%の上げがありそう、ということだが、それに影響を与えているのが「最近になってその可能性はヨーロッパでの債務問題の発生で小さくなっている」と書いてある。確かにヨーロッパがもたついている間にアメリカがあまり先行して利上げすると、ドルがユーロに対して上げてしまうなど問題が多い。

 まあ、アメリカ経済としてはこのFOMCが指摘するような強い側面はあるので、いつかは上げねばならないでしょう。しかしそれはまだ間近ではないということだ。声明の全文は以下の通り。

Release Date: April 28, 2010

For immediate release

Information received since the Federal Open Market Committee met in March suggests that economic activity has continued to strengthen and that the labor market is beginning to improve. Growth in household spending has picked up recently but remains constrained by high unemployment, modest income growth, lower housing wealth, and tight credit. Business spending on equipment and software has risen significantly; however, investment in nonresidential structures is declining and employers remain reluctant to add to payrolls. Housing starts have edged up but remain at a depressed level. While bank lending continues to contract, financial market conditions remain supportive of economic growth. Although the pace of economic recovery is likely to be moderate for a time, the Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability.

With substantial resource slack continuing to restrain cost pressures and longer-term inflation expectations stable, inflation is likely to be subdued for some time.

The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period. The Committee will continue to monitor the economic outlook and financial developments and will employ its policy tools as necessary to promote economic recovery and price stability.

In light of improved functioning of financial markets, the Federal Reserve has closed all but one of the special liquidity facilities that it created to support markets during the crisis. The only remaining such program, the Term Asset-Backed Securities Loan Facility, is scheduled to close on June 30 for loans backed by new-issue commercial mortgage-backed securities; it closed on March 31 for loans backed by all other types of collateral.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; James Bullard; Elizabeth A. Duke; Donald L. Kohn; Sandra Pianalto; Eric S. Rosengren; Daniel K. Tarullo; and Kevin M. Warsh. Voting against the policy action was Thomas M. Hoenig, who believed that continuing to express the expectation of exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period was no longer warranted because it could lead to a build-up of future imbalances and increase risks to longer run macroeconomic and financial stability, while limiting the Committee’s flexibility to begin raising rates modestly.


2010年04月28日(水曜日)

 (17:35)ツイッターは強力ですな。日本時間の午後5時前から、バンコク在住の方々から同地での街の異常が刻々と伝えれている。

 「銃声が聞こえる」
 「高速道路の上から撃っている」
 「使っているのはゴム弾」

 などなど。デモ、スト、さらには破壊行為に出ているタクシン派と政府軍との衝突の様子。特徴は、現場にいる人からのツイートだから断片的だが、緊迫感は手に取るように伝わってくるという点。バンコクにいてツイッターをしている全ての人が特派員の様相。

 どうせ日本のメディアは何も伝えていないだろうと思って(実際そうでした)CNNにチャンネルを合わせたら、下の速報エリアで続々とタイに関する報道が始まっていて、それとツイッターで伝わってくる報告を合わせてみていると、今現地で何が起きているのかかなり判かる。

 もうこれは凄まじいメディアですね。使う人がもっと増えれば、もっとパワフルなメディアになる。たまたま今日、自分の過去の全ツイートをまとめたycastercom ツイッターログを作りました。サイトで要請があってつくったもの。始めてから42日がたったと判る。

 常時入り口をこのページの上にも設置しておきました。「ツイッターID=ycastercom」の右側です。


2010年04月27日(火曜日)

 (23:35)はっきり言って、去年の政権交代は日本の多くの国民にとって、「新しい政治がもしかしたら始まるかもしれない」という期待が持てた出来事でした。自民党の戦後政治が政策の迷走や度重なる首相交代を背景に「自民党にはノー」という判断に落ち着き、「今度はこちらにやらせてみよう」という空気を作ったからです。民主党も、「私たちに一回やらせてみてください」と言った。

 しかし、民主党の小沢幹事長が検察審査会から「起訴相当」の議決(全員一致)を受けても「私は潔白。辞任しない」という開き直りに立ち至るに至って、完全に行き詰まったと言える。今に至ってまだ党と政府の体制変更を拒めば、民主党への国民の期待は地に落ちる可能性が高い。

 既に支持率調査がそれを物語っている。FNN22%、時事23%などなどマスコミ各社の支持率調査で鳩山政権への支持率は急速に失われていることは明確だ。このままだと確実に政権が絶壁に立つ10%台に落ちるだろう。

 政権を取るに当たってのマニフェストに掲げられた政策が、「もっぱら選挙目当て」であることは、事前に分かっていた。それでも国民が「もうここしかない」と選んだ民主党であり、その民主党が作っている鳩山内閣だが、何よりも国民が怒っているのは「誰一人として責任を取らない」という体質だろう。

 秘書が起訴されて有罪になっても、首相自らが責任を取らず、一端は約束していた「母親からもらったお金を何に使ったのか」の説明も拒否している。そして党の最高責任者である小沢幹事長は、検察審査会に「(説明は)不合理で、信用できない」と言われても「辞任しない」の一点張り。これでは政治にとって一番重要な「信頼」は崩れる。そして事実崩れている。

 普天間や高速道路の問題などに示される政策の迷走も著しい。「いろいろ約束して政権を取ってみたものの」という状況だ。その後の政策の進め方も、全くのリーダーシップ不足。民主党政権の政策は迷走も良いところだ。

 まず試すべき脱出劇は、「鳩山ー小沢体制」への決別だろう。私にはまだポスト「鳩山ー小沢体制」の民主党がどのような政策、政治姿勢を示すのかに興味がある。民主党にはこの二人しかいないわけではない。しかしそれも早くやらなければ民主党全体への失望に変わる。

 もうこうなったら「衆参同一選挙」で、新しい枠組みを求めるという考え方も当然出てくる。民主党にとっても、政策遂行の不可能性が高まれば局面打開の必要が出てくるし、今のままでは何も前に進まない。

 しかし「また選挙」ということになると、ハタと立ち止まらざるを得ない。国民としても行き詰まる。「いったいどこに投票するの」と。むろん、今度選挙があったらここと決めている人はいるのだろう。しかし、私を含めて「では誰に、どの党に」と考えざるを得ない人が多いのではないか。

 そういう意味で、日本にとっては今は明らかに「政治的危機」の時だ。どう考えてもギリシャを笑えない。
 


2010年04月26日(月曜日)

 (13:35)新番組や本の紹介などなど。新番組はドイツのルフトハンザ航空提供による「ヨーロッパを中心に広がる グローバルビジネス・チャンス」です。URLはここになりますが、先ほどからPodcastでは『「NIKKEI特集 ルフトハンザ ドイツ航空presents 伊藤洋一のReal Europe」』(ちょっと長い?)として、また文章としては日本経済新聞電子版で特集が公開されました。

 ヨーロッパは駐在したことはないものの、出張、取材で頻繁に訪れており、今回ルフトハンザ航空さんの提供と言うこともあってヨーロッパに縁深い人たちと幅広く話が出来、それが番組として完成したのは嬉しい限りです。初回のベンツ支社長の後も、環境問題で有名な末吉竹二郎さん、ヨーロッパで活躍する女性指揮者・西本智実さん、それにちょい悪オヤジのジローラモさん(ちょっと時の人?)など多彩な方々が登場します。

 ジローさんとの対談の翌日ですか、彼の奥さんが中目黒でやっているイタリア・レストランにも行きました。道路沿いにあって、形式張らずになかなか味も良かった。機会があったらまた行きたい。店の名前はCOCCINELLA (コチネッラ)です。

 次は本です。まず新潮社の「ツキの波」は、麻雀が好きだし、ずっとマーケットにも付き合ってきた人間としては頷けることが多くて面白かった。阿佐田哲也(「朝だ、徹夜だ」から来ていると言われる)が残した名言を手がかりに、いかに勝負と、そして人生と向き合うかを分析している。

 次に日経新聞出版社の「溜池通信―いかにもこれが経済」。ネット上などなどで私とも深いつながりのある溜池通信主宰のkanbeiが書き綴った不規則発言の中から、編集者が苦労してまとめたものを本にしている。

 ははは、「編集者」と書いたのは、彼が私の本の担当でもあったからです。「ITとカースト インド成長の秘密と苦悩」です。その時から、「kanbeiはちっとも本をかかん」と彼は怒っていた。

 あとツイッターとかiphone の本を読みましたが、題名は忘れました。しかしちょっと「最近は読書不足、映画視聴不足」と反省気味。なんでやろ。


2010年04月25日(日曜日)

 (08:35)希少なものを二つ紹介しましょう。一つは景色、そしてもう一つはお店です。

 最初の写真をご覧下さい。24日土曜日の午前7時過ぎの富士山麓で撮ったものです。桜です。標高が高く、この辺の桜は我々が普通に見るどの桜とも違う。「富士桜」という種類です。

4月24日に降った春の雪の冠雪した富士桜。実に綺麗な光景でした  特徴はあとで説明しますが、その富士桜が満開だというのに、なんと冠雪しているのです。地面を見ていただくと植物の上にも道路にも雪が降っていたことが分かる。あとでメンバーに聞いたら「朝天気予報を見たら、この辺は1−2度だった」と。雪が降ってもおかしくない。まして早い朝ですから。

 8時集合のゴルフだったのですが、渋滞が嫌で少し家を早く出た。ゴルフ場に近づいたら見事な風景が。時間に余裕があったので、何カ所かで止まってデジカメを働かせたのです。何枚も撮ったのですが、地面に雪が積もっているこの写真が「冠雪した桜」が一番わかりやすい。

 実に綺麗でした。実は「富士桜」が普通の桜と何が違うかというと、桜の花びらが皆下を向いているのです。本当に全部が下を向いている。きっと進化の法則の中で、この地域では花びらを下に向けるのが良いという判断を遺伝子がしたのでしょう。昆虫対策、受粉対策とか。

 よって「富士桜」の花は、上がへたで下が白い花びらになっている。そのへたの上に雪が積もっているので、よりいっそう花全体が白く見える。そして木全体も白くなって綺麗なのです。4月24日という関東では極めて遅い時期での桜の冠雪。それにしばし見とれ、その組み合わせの妙に心を奪われました。

 ちょうどお昼時の昼間には、非常に短い時間ですが、大粒、小粒の雪まで降りました。我々がクラブハウスにいる短い時間。その写真もあるのですが、HPのために縮小すると雪が見づらくなるので、それは掲載しません。

 次にお店です。何の店かというと、「キノコの火鍋」の店。金曜日の夕方、富士通総研経済研究所の柯 隆(かりゅう)さんを招いての伊藤 洋一のRoundup World Nowの収録後に、「新しい良い店が出来たので、これは伊藤さんに紹介したい」と言われて柯さんに連れて行かれた。

ケイタイで撮った雲南のキノコの数々。白く面積を取っているのが山伏茸。鳩山さんがこれを好きという話しも  店の名前を御膳房と言います。店のHPは美しい音楽とともにここにありますが、お店は出来たばかりで天井は高く気分が良い。床には雲南地方のそれでしょう。蝶々が標本のように設置されている。

 柯さんの友人二人を加えて総勢5人の我々食べたのは、「雲南キノコ地鶏火鍋」というやつで、それは店HPの「最新情報」に掲載されている。

 キノコのオンパレードです。ポルチーニ、山伏茸、柳松茸、アガリクス茸、エリンギ、朱鷺色平茸、タモギ茸、柿の木茸と入っている。これを第一段階に、第二段階ではカボチャ、さつまいも、トウガン、豆苗や、お好みによっては牛や豚の肉を入れる、という展開。最後はベトナムのフォーに似たお米の麺(米線)で〆。今はそのお米は新潟のそれを使っていると。

 この店の料理でまず驚き、そして美味しいと思うのは、スープです。薬膳のスープは飲むだけで体調が良くなりそう。キノコだけで鍋を終えれば、美容にも良いことは明らかで、お腹にも優しい。ちょっと我慢して、肉を入れないのが健康の秘密なのかな、と思ったりしました。

 HPを見ていただければ良いのですが、場所は銀座二丁目、中央通りのティファニーの反対側にある(つまりアップルサイドです)トレシャスビルの11階。「店の名前は聞いたことがある」と思われる方がいると思いますが、系列の店は六本木にあり、北京ダックの店もある。

 「雲南キノコ火鍋」は健康によく、おいしい。普通の火鍋の強烈な刺激もないし、女性には最適ではないでしょうか。


2010年04月23日(金曜日)

 (13:35)今夜の番組のお知らせです。BS7(BSジャパン)の午後10時24分からの「世の中進歩堂」ですが、いよいよ「クラウド・コンピューティング」を取り上げます。

 インターネットの世界に大革命を起こすものとして最近では新聞各紙に取り上げられ、コンピューター各社のトップが「今後のビジネスの鍵」と述べている「クラウド・コンピューティング」ですが、実際に知っている人は実に少ない。

 私は昨年来の講演ではしばしばネットをONにして実演しながらクラウドを話題の中心に据えますが、「クラウドを知っている」という方でもグーグル・ドキュメント止まり。「新聞で読んだことがある人」というとまずまずの方が手を挙げるのですが、「実際にやったことがある人」というと本当に少ない。

 今回はそういう現状を踏まえて、日本オリジナルの「クラウド・コンピューティング」の旗手とも言えるリコーさんの「quanp」を中心に据えて、開発の発想、開発の手順、製品とその特徴等々、一般の方がクラウドをどう使い、何が便利かを中心に据えてお伝えします。

 クラウドはご存じの通りたくさんの巨大なコンピューターが雲のように集まったデータセンターをインターネット上で利用することで、自分のパソコンだけではできない様々な機能を使うことができるという新しい利用形態。データからソフトウエアの利用まで。今回紹介する“クオンプ”では、100ギガもの大容量のデータも簡単にやり取りが可能となる。

 メールシステムでは各社の容量規制で高精度(といっても普通のデジカメ写真ですが)の写真を送れなかった経験のある方は多いのでは。quanp はそうした壁を容易に乗り越えると同時に、例えば開発チームの共通ツールとしても使える。むろん家族の写真の統一管理などにも非常に有用。家族の一人が遠方にいてもokです。

 今回の番組には、“クオンプ”プロジェクトチームの開発チーム長であるリコーの生方さんにスタジオにおいでいただき、海外進出も始まった(アメリカ)、日本発の最新のクラウド・テクノロジーの現場、そしてその可能性に迫ります。


2010年04月22日(木曜日)

 (22:35)週末の一連の国際会議を前にして、ちょっと面白い記事が。FTで、タイトルは「Brazil and India add to pressure on China」。つまり、人民元を巡って、BRICsの中からも切り上げ支持論が出てきている。記事の最初の3パラは以下の通り。

China is facing growing pressure from other developing countries to begin appreciating its currency, providing unexpected allies for the US in the diplomatic tussle over Beijing’s exchange rate policy.

Speaking ahead of a meeting of finance ministers and central bank heads from the Group of 20 countries which starts on Thursday in Washington, Indian and -Brazilian central bank presidents have made the most forceful statements yet by their countries about case for a stronger Chinese currency.

While most of the public pressure on China has come from the US, the comments underline that a number of developing economies feel that China’s dollar peg has imposed costs on their economies.

 今週に入っての円相場の相対的強地合(対ドル、対ユーロなど)の一因は、根強い人民元の切り上げ観測です。そしてその一番の発言者(求めての)はアメリカだった。議会も、そのプレッシャーを受けている政府も、中国に「実質的切り上げ」(バンドの拡大を含む)を要求してきた。

 このFTの記事が注目されるのは、ワシントンでのG20を前にしてインド、ブラジルという中国と共にBRICsを形成する二大成長国が、ワシントンと足並みを揃えて中国に「人民元の切り上げ」を求めたことにある。この記事によれば、「the most forceful statements yet by their countries about case for a stronger Chinese currency」と。

 中国の人民元低水準維持政策で、多くの国の産業が危機に立っていることはよく知られている。アメリカが問題にするのは「米中貿易収支不均衡」ですが、インドネシアなど多くのアジアの国では「国内産業との競争における中国の優位」が問題となっている。

 記事の中でもインドの中銀総裁は、「過小評価された人民元は、インドを含む多くの国にとって数多くの問題を引き起こしている」と述べている。BRICsの中からもこうした声が出てきたことで、「中国の人民元が問題」という意見は強まるだろう。インド中銀の総裁は、「中国が人民元を切り上げれば、インドの輸出産業にプラス」と述べている。

 「人民元の切り上げは自国産業にとって有利」という以上に、「人民元相場が世界経済の歪みを生んでいる」という認識も強まりつつある。ブラジルは、「世界経済の均衡のために、人民元の切り上げが絶対に必要」と断言しているし、インドの中銀総裁は、「一部の国が為替相場を意図的に低く固定してしまったら、為替相場を自由にしている他の国が調整負担を背負わなければならなくなる」と述べている。

 実際の所、インドの通貨ルピーは最近非常に強基調で推移しており、国内には「資本規制」の声も出ている。中国の人民元不調整がインド・ルピーの上昇圧力になっていることは確かだ。インドの焦りが見える。この記事によれば、シンガポールなどからも人民元の切り上げを求める声も出ているという。人民元を巡る中国包囲網は、着実に狭まりつつあると思う。そして、それは円相場動向にも影響を与えるだろう。ただし少し長い目で見ると、円と人民元は別々のコースを歩むことになると考える。

 あと今日の新聞で面白かったのは、ウォール・ストリート・ジャーナルの「Too many car makers, not cars, in China」かな。中国は鉄鋼の時もそうだったが、何かを目指すと国中が一斉に走り出す。直近の調査月に乗用車が170万台以上売れた中国だから、自動車メーカーも”雨後の筍”でいいかもしれないが、今はちょっと多すぎる。

 中国の自動車メーカーで私が注目するのは電気自動車のメーカー(例えばBYD)ですが、電気自動車メーカーと言えばアメリカのテスラがロードスターの日本での受注を開始したようだ。ゼロスタートから時速100キロまでが3.6秒と。

 これは私が慶応大学の川崎キャンパス(?)で乗ったC水教授の電気自動車「エリーカ」より速い。多分メチャメチャ、スポーツカーらしい車に仕上がっている筈だ。電気自動車は数多く乗っていますが、共通なのは「凄まじいレスポンス力」です。テスラのロードスターにも一回乗ってみたい。


2010年04月21日(水曜日)

 (23:35)「man@bow 経済について楽しく学べる」というサイトに掲載しているエッセイの最新号がリリースされました。今回から「バブル」を取り上げています。

 ここでの文章にも書きましたが、私は以前から「バブル」という言葉が大嫌いだし、今でもそうです。今回も嫌々使った。タイトルには短い、そして象徴的な単語が必要だったからそうしたに過ぎない。

 「バブル」という言葉には、人類の知恵をあざ笑うような響き、自嘲的な趣がある。ここでは「人類はなぜそんな過ちを犯すのか」ということに対してあまり反省がないし、繰り返し起こる現象に対して人間が無力であるかのように聞こえるのがまた悲しくもある。

 誰かが会話の中でその単語を使うことによって、他の人達の繊細な会話が一言でオーバーライドされてしまうのも嫌なのです。数多くの文章を書いてきましたが、その言葉を使ったことは本当に少なかった。日本で盛んに「バブル」という言葉が使われた90年代でも、私はそれを使わなかったのです。その言葉を使うことによって起こる“思考停止”、そしてその追認が嫌いだった。

 同じように一般に使われながら、筆者がこれまで文章でも講演でも一度も使ったことがない言葉は、「100年に一度(の不況)」です。この言葉は本当に多用される。経済の会合などに行くと誰もがこの言葉を一回は使う。多くの人が言うが、しかし「誰もこの言葉が誰から出たのか、誰が言ったのか」を検証しないで使っているの。

 私の理解では、この言葉を最初に使ったとされるのはアラン・グリーンスパン(前FRB議長)です。しかし彼は正確には、「a once or twice a century event」と使っている。2008年8月4日のフィナンシャル・タイムズに寄稿・掲載されたものです。それを日本では「a once a century event」として使っている。これはおかしいとずっと思っているのです。

 「a once or twice a century event」はあくまで「一世紀に一度、ないし二度の出来事」なのです。ここでも思考停止が見える。この言葉を「100年に“一度”」にちぢめてしまってはいけないだろう。

 だから私は「100年に一度の不況」と前後の人が使うごとに、「それは違う」とずっと思っていたのです。まあ「100年に一度」という人があまりにも多くてその都度訂正するのも面倒なので、そのたびに指摘するのはやめていますが。

 最近私が書いたエッセイでは、「温暖化防止取り組み“純化”の契機に クライメートゲートが示唆したこと」への反響が大きい。いくつかの新聞社からも問い合わせを受けた。

 ”クライメートゲート”という言葉は刺激的ですが、その言葉以上にもっと考えなければならないのは、地球温暖化思想を常に問い直す気持ちが今までやや失われ、所与のものとする風潮が高まるの中で、それに関わる運動が、社会の中でシステム化され、予算化され、そして組織として出来上がってきてしまったということでしょう。

 それは逆に運動に胡散臭さをもたらしている面がある。それはやはり行き過ぎだろう、と思うのです。


2010年04月20日(火曜日)

 (23:35)ははは、月曜日は放送終わりに随園別館に行ったのですが、この店は皆さんよくご存じでしょう。「安くて美味しい」という理想的な店で、私の中華リストにも入っている。久しぶりに「羊肉のしゃぶしゃぶ」「炒め野菜の卵掛け薄焼き巻き」(と言えば作ってくれる)「水餃子」などを。

 それに続いて「安くて旨い店シリーズ」として、火曜日は神戸のお店として「台湾家庭料理 蓬莱亭」(HPはございません)にまでやって来ましたので、この店を紹介しましょう。私もついに二回目を経験しましたので。

神戸・蓬莱亭の入り口のカンバン  総勢7人で。はっきり言って小さな店です。15人も入れば一杯になる。店を切り盛りする女性の方が基本的にはお一人。込んでくるとてんてこ舞いになる。加えて多分味には好き嫌いがある。しかし私も、昨日集った7人も、「うまい、うまい」と。

 店売り物の鶏中心の寄せ鍋→最後は麺で〆前回行ったことを覚えてくれていて(2年くらい前かな)、「あのとき、やめたいと言ったでしょ。まだやってるんですよ。だって私の歳じゃどこも雇ってくれない....」とか言いながら、女将が一人でテキパキと手配。ご先祖は台湾から来た方と聞きました。

 鍋は写真の通りですが、入っている肉は鶏です。昨日は羊だったのでちょうど良い。椎茸、海老、人参などなど。これが実にうまい。私としては「もうちょっと野菜を」という面はあるのですが、これがこの店の流儀ですから。

 この鍋に加えてチョリソ、マコモタケなどなど。マコモタケはこの店では漢字では「交白筍」と表記されていた。なぜ「交」かというと、皮むきが交互になるからだそうです。

 交白筍と表記されていたマコモタケ「マコモタケ」の食感はタケノコに似ています。だから「交白筍」と書かれる。しかしこの植物は稲科だそうです。切ってみるとはっきり分かると。

 その栽培の時の写真を見せてもらいましたが、綺麗な水の中でしか生育しないと。さっき紹介したマコモタケは日本の栽培地のものですが、この店は台湾から入れている。面白い食べ物で、特に味があるわけではない。しかし食感がいいし、他のもの、例えば豚肉などと合わせて炒めても良い味になるのです。

 店内には神戸の地震の時にひびが二本走っている。両隣が倒れたそうですが、この店はひびくらいで済んだ。住所は「神戸市中央区北長狭通一丁目10−2 蓬莱亭ビル3F」。電話は、「078-331-3993」。お近くの方はどうぞ一回はトライを。お酒次第ですが、それ抜きでは一人4000円でござんした。


2010年04月19日(月曜日)

 (23:35)さすがにハードな一日でした。昼からテレビの収録が3本、それが終わったら日経CNBCさんに。まあでもそれぞれ一つ一つ頭を使いながらやりますから、ある意味勉強になる。スタッフの皆さんもお疲れ様。

 それにしても考えてみたらさすがにもう東京では終わりだから言うのですが、今年は本当によく桜を見た。何故かわからなが、今年はしばしばデジカメラまで持ち歩いて写真まで撮りながら。昨日も所用があって出かけた清水谷公園の前で八重桜の7分咲をぱちり。

清水谷公園前通りの八重桜  まあ簡単にアップできる場所が増えたからでしょうね。写真を撮ろうと思うのは。それをプログやツイッター(私のID=ycastercom)に。桜でなくても、考えたらラテアートなどいろいろなものを被写体にしている。写真はカメラだけでなく、ケイタイでも撮れる。何かについて書くときも、やっぱり写真があった方が良い。うーん、今年一番の桜はやはり六義園のしだれだったかな。風が強い日でしたが、一本柳でそれはそれは綺麗だった。また来年が楽しみ。

 今ちらっとウォール・ストリート・ジャーナルのHPを見たら、ニューヨークの株価の動きは不安定だ。しかし一方的な動きにはなっていない。為替も落ち着きを取り戻したようです。今朝金融市場に関する比較的長い文章を書きましたが、日経CNBCの番組をやりながら、「ああ、今キーになる単語は始まりだ」と。

 突然思いつくんですよ。ギリシャ、ゴールドマン、そして政府国債(government bonds)と「G」始まり。それが重力(gravity)のように市場に重しになっている、と放送で言いました。世界経済そのものは回復への基調に乗りつつあるのに。

今年一番だった六義園のしだれ。一本木で大きくて綺麗でした  それにしても、と思う。「市場は波だな」と。案外今日のニューヨーク市場は上げて終わるかもしれない。大きいが、短い波ならです。またその波が幾重にも重なっているのが市場を読みにくくする。短期チャート、長期チャートの組み合わせの話しです。

 見渡すと、同紙の一面には「Woes Mount for Japan's Hatoyama 」という記事が。勝手に思い入れていた案について徳之島に当然ながら「ノー」と言われ、本当にどん詰まってきた。支持率では時事通信で23%、朝日新聞で25%ですか。そりゃ厳しい。といって、他の政党に「これはいい」というのは現れない。

 今見たら、日経の電子版では「鳩山首相を米紙酷評 あなたの受け止めは(クイックVote) 」という特集を組んでいる。「increasingly loopy」という単語を私が最初に見つけたのは、木曜日のテレビ番組に出かける前です。だから、朝の4時過ぎ。「これは酷い」と思って、あえて番組の中でも紹介しました。やはり大きくなった。このサイトでも書きましたが、これには本当に腹が立ちました。そんな単語を使われる人に。

 時間は着実に進むのに収拾策は見えない。普天間問題です。仮にあとを誰かがやるにしても、その着地は非常に難しい。と思ってイギリスの総選挙情勢を見たら、「中盤戦に差し掛かった英総選挙は、第2野党・自由民主党の支持率が急増し、情勢が混沌(こんとん)としてきた。与党・労働党と最大野党・保守党の2大政党対決から3党による激戦へと構図が変わり、過半数を制する政党の出ない公算が一層大きくなった。」と。

 「混沌」の背景はだいぶ違うが、先の見通せない時代は同じ。


2010年04月18日(日曜日)

 (10:35)金曜日に近くの本屋にあったので買ってあった村上春樹の「1Q84」の第三巻を土曜日の昼から読み始めて、その後は寝たり所用を済ませながら時間を見つけては読み進み、今朝方ですかね、「ああしんど」と思いながら読み終えました。何せメインな地理的な舞台はあっちの世界かこっちの世界か知りませんが、一応私が住む「杉並区高円寺」なので。その高円寺から昨夜も見たが、私には月は二つには見えなかった。ははは。

 読み終えて最初に思ったのは、「まだ続くんだろうな、これは」というものです。だってまだリトル・ピープルについても、ふかえりの今後についても、「小さいもの」の今後についても、それを欲しがる教団の動きも何も説明・展開されていない。赤プリのあのシーンで終わりでは中途半端です。だし同じ孤独な境遇の育ちであろうと、なぜ青豆と天吾がここまで惹かれたのかがまだ私には不明だ。とすると次が出て、「また買わなきゃいかんのか」と思う。

 1,2巻もそうでしたが、読み始めたら止められないという点においては、優れて魅力的であり、刺激的であり、思索と想像力をかき立てられ、時に奇想天外であり、セクシャリティーは十分あり、舞台装置も複雑でよく考えられており、そして作者の知識の幅広さと深さがよく分かる、そしてそれがうまく喧伝されていて、多分海外でも評価される作品です。すばらしい。そこはまさに村上春樹ワールド

 しかし、この第三巻においても「(小説の中に)ここまで連れ込まれて(受け身で申し訳ないが)、最後は何が残るのだろう」という一抹の疑念、しかしある意味での楽しみ、そして改めて言えば多少の不安が残る。多分この小説を最後(第四巻、or 第10巻)まで読んでも、現実の問題は何も解決しない。なにせこの小説は、携帯電話もインターネットも普及する前の1984年の小説なのだから。現代的な展開はない。読みながら、常に私の頭には「For what ?」という言葉が浮かんできていた。

   しかし、この小説が抱えているテーマであるパラレル・ワールドの感覚は、確かに我々の中にある。というか、私の中にある。今のこの自分の存在も、必ずしも必然ではなく、「もしかしたら違ったかもしれない」とか、別の視点でみれば全く違って見えるかもしれないとも思う。そういう意味では非常に面白いテーマだし、すべての人が抱えている問題であるような気もする。

 私がこの小説で一番気になっているのは、実は青豆や天吾の人生ではなく、「リトル・ピープル」です。彼らは何者か? この小説が、ジョージ・オーウェルの例の1984年を発想の原点の一つにしていることは村上自身がインタビューで認めている。そこで活躍したのはビッグ・ブラザーだそれに対してのリトル・ピープル。それが物語の大きなキーなのです。しかしそれが何を意味するのかは必ずしも分からない。読んだ人によって違う。時間の経過の中で理解が変質してくる可能性もある。

 1,2巻を読んだときのネットに残っている自分の読後感を振り返ってみたら、

 1984年ですから四半世紀前の話であり、ケイタイ電話も登場しない一昔前の話に思えなくもない。当然ですが、過激派とか宗教団体などが頻繁 に登場するのも、今の我々には「やや通り過ぎた時代の物語」の感じがする時代背景です。むろん、小説のテーマは今日的ですが。

 あと思ったのは、登場してくる人物がいずれも尋常ではない過去を持つ尋常ではない人で、むろんその種の人種の登場は必要なのだが少し多すぎるのではないか、という点。「ノルウェーの森」の時の方が自分を投影できる人間がもっと多かったような気がした。かなり忘れていますが、緑ちゃんは好きだったな。無論これは、今回の小説の登場人物には自分を投影できない、と言っているのではなく。

 と書いていた。月が二つに見えない人間としては、またはその発想がない人間としては悔しい気持ちもする。1,2巻を読み終えたときにも、「それにしても青豆と天吾はなぜ短時間にあれほどお互いが思う仲になったのか。小さかったからだろうか、それとも同種の人間だったからか....なんてまだいろいろ考えてます。」と書いている。

 そうなんです、私には青豆と天吾がついに一緒になれた今でも、「どうしてだろう」と。そして、リトル・ピープルは一体誰だろう、と思う。


2010年04月16日(金曜日)

 (20:35)今週は長めの原稿を三本書いたのですが、そのうちの一本が公開されました。いわゆるクライメートゲート騒動を扱っています。

 温暖化防止取り組み“純化”の契機に

 まだクライメートゲート事件の真相は分からない点が多い。しかしその意味合い、インパクトは徐々に明らかになってきているように思います。


2010年04月15日(木曜日)

 (05:35)この半日ほどで一番嬉しいニュースと、一番腹が立ったニュースを。

 嬉しいニュースと言えば、ベトナムの新幹線(ハノイーホーチミン間)が日本の方式を採用することが閣議決定されたこと。議会でも多分承認されるでしょう。もともとベトナムは親日的な国ですが、新幹線の運用実績が評価されたとしたら嬉しいことです。運用開始となったら、是非行ってみたい。

ベトナム新幹線、日本式を閣議決定 20年に一部運行開始目指す

 【ハノイ=岩本陽一】ベトナム政府が最重要の国家プロジェクトである南北高速鉄道の最終計画を閣議決定したことが14日、明らかになった。計画は日本の新幹線方式を採用する方針を明記し、2012年に着工、20年に一部の運行開始を目指すとしている。総事業費は558億5300万ドル(約5兆2000億円)。5月の国会で正式承認される見通しだ。資金面など日本政府の支援策が固まれば、JRグループも含めた日本企業にとって大きな商機となる。

 最終計画によると、正式名称は「ハノイ―ホーチミン高速鉄道」となった。計画の内容は国会での審議を経て一部修正の可能性は残るが、政策決定の司令塔であるズン首相が承認しており、大枠は変わらない見通しだ。

 プロジェクトは国営ベトナム鉄道が手掛ける。全長は1570キロメートルで、ハノイとホーチミンにターミナル駅を新設する。途中の停車駅は25で、中部の中核都市ダナンなど5カ所に貨物専用の操車場を置く。営業運転の速度は時速300キロメートル。設計上の最高速度は350キロメートルを想定する。ハノイ〜ホーチミン間は現在、在来線で約30時間かかるが、全線が開通すれば6時間以下に短縮される。

 一方腹が立つニュースは、ワシントン・ポストに掲載されている。記事そのものよりも、こんなことを書かれる日本の首相に対して腹が立つ。記事はこれですが、鳩山首相の部分を掲載すると以下のようになります。
By far the biggest loser of the extravaganza was the hapless and (in the opinion of some Obama administration officials) increasingly loopy Japanese Prime Minister Yukio Hatoyama. He reportedly requested but got no bilat. The only consolation prize was that he got an "unofficial" meeting during Monday night's working dinner. Maybe somewhere between the main course and dessert?

A rich man's son, Hatoyama has impressed Obama administration officials with his unreliability on a major issue dividing Japan and the United States: the future of a Marine Corps air station in Okinawa. Hatoyama promised Obama twice that he'd solve the issue. According to a long-standing agreement with Japan, the Futenma air base is supposed to be moved to an isolated part of Okinawa. (It now sits in the middle of a city of more than 80,000.)

But Hatoyama's party, the Democratic Party of Japan, said it wanted to reexamine the agreement and to propose a different plan. It is supposed to do that by May. So far, nothing has come in over the transom. Uh, Yukio, you're supposed to be an ally, remember? Saved you countless billions with that expensive U.S. nuclear umbrella? Still buy Toyotas and such?

 「loopy」とは酷い単語ですね。「頭が変な、正体のない」という意味です。ちなみに「勝者」をワシントン・ポストは胡錦濤・中国主席とし、サミットで鳩山首相をそれなりきに処遇したのは彼だけだったとしている。


2010年04月14日(水曜日)

 (19:35)大阪から帰ってきて、東京駅からそのまま茅場町に。先輩が、「着替えが出来る眼鏡があるんだよ。見に行かない」と誘ってくれたので、「それは面白い」ということで見に出かけました。証券会館の隣のビルの3階。

チェンジ可能なアーム  興味深い眼鏡を作っているのはARM DECO be++という会社。まだ試験的に作っていて、特許も申請中と言うことですが、なかなか面白くて私もいくつか作ってみることにしました。

 何を”着替える”かというと、アーム。普通アームはしっかりと取り付けられて消費者が弄れないようになっている。しかしこの会社の社長の加古さんとプロデュース部長の中村さんは、「眼鏡を頻繁に変えるテリー伊藤さんのような眼鏡の使い方は面白いな」「じゃ、アームが取り替えできるようにしよう」と考えて、デザインを考えて製品化したという。

 「アームを代えられる眼鏡」という発想を古い眼鏡屋さんに言ったら、「笑われた」ということですが、そこは素人の強み。その仕組みを作り上げてしまった。私も脱着・取り付けをしてみましたが、簡単に、かつしっかりと取り付けが可能。

 来週当たりには出来上がる予定で、ちょっと楽しみです。


2010年04月14日(水曜日)

 (05:35)どこか気分が乗らなかったのですかね。夜を徹してヤンキースタジアムでの開幕試合でのエンジェルス松井の戦いを見ていたのですが、彼の成績は5−0。仲が良かったジーターがHRを含む二打点と活躍したのに、全く見せ場を作れずにセカンドゴロなど内野ゴロ2、スイングアウト、内野フライなど全く精彩を欠いた。

 最後は結構盛り上がった。アブレイユの満塁HRが9回ワンアウトから出て5−7まで行ったが、ハンター、松井の3、4番が凡退で The end。松井は最後の打者。リベラが出てきていたので、もうちょっと見たかったのに最初の球に手を出してセカンドフライ。最後の打者になってしまった。がつかり。

大阪造幣局の遅咲きの桜。今日が初日  ファンとしては、おん出たヤンキースへの同スタジアムでの最初の戦いで、一本打って欲しかった。ニューヨークのファンももっと接近した、緊迫感のある試合、そして松井のある程度の活躍を期待していたのでしょうが、見せ場は優勝リング授与式でのかつてのチームメートとのリユニオン、そして最初の打席での観客のスタンディング・オベーションでの暖かい出迎えくらい。まあ、シーズンは始まったばかりですが。

 松井を迎えるニューヨークは、結構熱かった。ニューヨーク・タイムズには以下のような記事がありました。

 Hideki Matsui of the Los Angeles Angels will be treated like a Yankee on Tuesday. The Yankees intend to include Matsui, the most valuable player of the World Series, when they pass out their championship rings before Tuesday’s game against the Angels. “I hope everybody stands up and gives him a standing ovation,” Jorge Posada said. ... Dave Robertson was surprised when he was told Sunday that he would have been entrusted with preserving C. C. Sabathia’s no-hitter in the ninth inning had Sabathia retired Kelly Shoppach. “Sometimes, it’s better just not to know,” Robertson said.
 松井が抜けてヤンキースへの関心は劇的に下がりましたが、メンバーを見ると2番にDHでジョンソンというのが入っている。あとは知っている連中。その彼に最初にHRを打たれての劣勢の展開。エンジェルスは投手陣の立て直しが急務です。

 松井にとっては、打てなかった以上に残念だったのはレフトの守備につけなかったことでしょう。「4番、レフト松井」、HR一本を含む打点3くらいで、ヤンキースタジアム復帰第一戦を飾りたかっただろうに。キャッシュマンにも「ほれ」と見せたかったはずだ。繰り返すが、最後のリベラ対松井の対決はもっと見たかったな。見せ場も何もなかった。

 むろん、ファンとしての私も松井の活躍を期待していました。まあこれから、これから。このヤンキースタジアムでの連戦の残り試合で、松井には存在感のある活躍を期待しております。


2010年04月13日(火曜日)

 (13:30)この手に一回も持ったことのない本を読み終えてしまいました。本当に触っていないのです。実際の本の表紙も見ていなければ、伝統的な方法でページをめくったこともない。「これでいいのだろうか」と思いながら読了しました。

 クリックはしましたし、カーソルを下にも下げました。しかし、ハードには本当に触ってないし、実物を見てもいないのです。読んだのは、この本、「生命保険のカラクリ」です。多分ツイッターで、「今ならこの本はダウンロードただです」というノティスを見て、「そんじゃ」とダウンロードした。

 タイトルを見て、「もしかしたら出口さんがらみ」と思ったら、その通りでした。彼の部下の方が書いている。まずまず面白い本でした。出口さんも同じような本を書いている。

 それにしても、一銭も出さずに本を読んだのは、送付されてくる本以外では初めてです。この本は明らかにライフネットの広報を兼ねていますからそう言うのもありかと思いますが、それにしても世の中changing だと思いました。

 それに関連するのですが、今日のサンケイのサイトには、『米新聞・放送幹部の約半数、「10年以内に破綻も」と判断』という記事がある。本文は以下の通りです。

 米国の新聞社、放送局の経営幹部を対象とした調査で、回答した353人のうち約半数が、新たな収入源が確保できない場合は10年以内に経営が立ちゆかなくなり、経営破綻(はたん)に追い込まれる可能性があると考えていることが米調査機関ピュー・リサーチ・センターの調査で12日、分かった。

 米メディアはインターネットの伸長を受け広告収入が激減、破綻が相次いでおり、厳しい経営状況に苦しむ経営陣の苦境を映し出した形だ。

 同センターによると、調査は昨年12月から今年1月に実施。将来展望の質問について、17%が新たな収入源や提携先が見つけられない場合、10年以内に経営が成り立たなくなると回答。24%が3〜5年でその可能性があるとし、6%は1〜2年、1%は1年以内に破綻の恐れがあるとした。10年以上、経営が続くとしたのは46%だった。

 断っておきますが、私は信頼できるメディアは必要だという意見です。それを担保するには、取材とか、情報の摺り合わせとか、意見を戦わすクロスファイアー機能が必要です。いろいろ問題はあるが、現在のマスコミの中には信頼できる情報源を持つところがある。

 しかし情報の伝達手段は著しく変わってきている。本をタダで読みながら、「これで良いのか」と自問しました。


2010年04月12日(月曜日)

 (23:30)先週後半ですが、普段はお会いしないような二人の方とインタビューする機会がありました。4月後半からリリース(日経の電子版やポッドキャスト)の「ヨーロッパの魅力を探る」一連のインタビュー・シリーズのため。

 木曜日にお会いしたのは、パンツェッタ・ジローラモさん。ご存じの通りLEONの表紙を「もう8年間も」(ジローさん)飾ってきた人物。「ちょい悪」が有名になったが、これは彼自身に使われた言葉ではなく、ちょっとダサイ人をファッション的にバージョンアップする作業中に生まれた言葉だという。

 徐々に格好良くなってきて、「ちょい悪になった」.....と誰かがその人に対して言った。それが面白い表現だということになって、使われ始めたと。しかし今では彼を象徴するような言葉として使われる。言葉は一回生まれると元の場所を離れる。今の不況について言われる「100年に一回」もそうです。今では誰が言ったのか、実は間違った表現だと言うことは皆忘れている。

 それはそうと、元々はお父さんが建設会社をやっていた関係で、建設を学びに日本に来たそうですが、今ではモデルから始まって非常に多方面な活躍をしている。奥様は中目黒でレストラン経営なども手がける。面白かったのは、変わった時計をしていて、「遊び時計ですか」と聞いたら、「今はイタリアでも高い腕時計をしているのはダサイと思われている」「この程度の時計がいいのです」と。

 「この程度」と言っても、30〜40万と言っていましたが、手巻きの本当の高い時計ではない、という意味でしょう。「何十個も持っていて、TPOで使い分けています」と。なかなか良い考え方だと思います。とにかく話していて趣味が広い。ワインにも詳しいし、楽しい人でした。「イタリア以外どこが好き」と言ったら、「ポルトガル」と。

 彼がヨーロッパから日本に来たとすれば、日本から欧州に行ったのは西本智実さんでした。「シャイな人」と聞いていたのでちょっと心配していたのですが、実際にお会いしてみると慎重だが、はっきりと自分の意見を言う人でした。「なぜ音楽を」と聞いたら、「母の胎教の成功例」と。お母様も音楽家で、考えてみれば「母の思い通りに....」と。

 それにしても、子供心に「コンダクターの指揮棒の先に力を感じた」というのですから、最初から音楽の世界に住むことを運命づけられていたような方なのでしょう。しかし、最初から音楽家としてやっていけるとも思っていなかったと。「あちこちから声がかかって徐々に...」という。素敵な方でした。

 今月の21日から日経電子版とポッドキャスで一連のシリーズが始まります。お楽しみに。


2010年04月11日(日曜日)

 (23:30)パソコンがそのままラジオ受信機となる「IP(Internet Protocol)サイマルラジオ」の実用化試験配信が始まったのが3月の中旬。ほぼ一ヶ月たちましたが、確実に言えることは「ラジオ放送を聞く機会が大幅に増加した」ということです。

 なぜそうなるのか考えてみると、答えは簡単でした。ラジオの受信機が身近にあるケースよりは、PCが自分の周りにあるケースの方が圧倒的に多いのです。ラジオ受信システムは、ソニーやアップルなどなどのケイタイ音楽機器などにも入っている。しかし、それを敢えて取り出し、スイッチをONにするには手間がいるし、そこまでの気分になかなかならない。

 対してPCは、このサイトを書いているときにもONです。そしてPCは大体において携行している。新幹線の中でも、出張先でも、講演先でも。PC対応したことにより、私にとってのラジオ聴取のチャンスが大幅に増えたのです。加えて、文章を書くなど仕事をしている中でのラジオというのは、相性が良い。無線LANが繋がった新幹線の中でもラジオが聴けるのは便利。

 それにしても思うのは、ラジオ、テレビのPCを通じての視聴の著しい増加は、「聴取率調査」とか「視聴率調査」の持つ意味合いが、本当は非常に低くなっているのではないかということを改めて思い起こさせる。今日も松井のサヨナラヒットはテレビでもやっていたようですが、出かけていたので家に帰ってからMLBのHPで見た。MLBのHPは実に豊富に動画が入っている。

 MLBのHPに相当するのが日本プロ野球機構オフィシャルサイトだとすると、その明らかな差には愕然とする。カレントな情報の量が全く違う。IT音痴の固まりのようなサイトだ。日本のメディアの野球中継サイトも古色蒼然としている。

 つまり、日本では遅れているが、ネットとラジオ、テレビはすこぶる融合してきたし、今後もこの傾向は続くと言うことだ。にもかかわらず、特定の固定数を相手にした聴取率調査や視聴率調査ではその番組の本当の力は分からないということだ。しかしそれですべての番組の価値が計られているような所がある。これはどう考えてもおかしい。

 このまま行けば、いわゆるラジオ受信機、テレビ受像器でラジオ、テレビを見ている人はますます少なくなる。とすると公式調査では、ますますテレビ、ラジオは視聴されいないという結論になる。それは業界としても首を絞める所業に等しい。


2010年04月10日(土曜日)

 (23:30)はっきり覚えていませんが、1996年にこのサイトなどHPを作った時にはもう使っていたナナオのディスプレーが時々落ちたりする現象が出てきたので、「これはもう限界」と思って、新しいものに買い換えました。今度買ったのは三菱の3万円ちょっとのやつ。

 ナナオのそれはほんのちょっと縦より横が長いタイプで、例えば動画を写すときなどサイズが合わないので上と下に黒い大きな空き部分が出来た。しかし今回買ったのは横長なので、動画を展開するときにはそのまま全画面になる。これは迫力です。随分時代が変わったのだな、と思います。

 コンピューターにディスプレーを認識させるためのCDも入っていたのですが、接続したら全く問題ないのでとりあえずそのまま使っています。まあちょっと様子を見てですが、説明書を見てもCDを入れろとも書いてないので大丈夫でしょう。

 実は、ナナオのマシンの不調は以前からでしたから、家電量販店に行ったときには今までも見ていました。「7」が出たときには、タッチパネルがウリだったので、家電量販店の店員は「これはタッチパネルに対応しています」というような売り方をしていた。

 今度買うに当たって、ツイッター(私のID=ycastercom)でご意見募集をしたら、「タッチ式は腕が疲れるのであまり有用ではない」とのご意見もあった。「それもそうだ」と思いながらヨドバシに行ったら、「7」が出た頃にはあったタッチ式のパネルはもう置いてなかった。多分人気が出なかったのでしょう。

 まあでもIT機器で10年以上も使った物はない。そういう意味では、当時のナナオのディスプレーは優秀だったと言うことでしょう。


2010年04月09日(金曜日)

 (16:30)今夜の「世の中進歩堂」は、『防犯システム最前線を目撃!最先端セキュリティ技術が結集した一大イベントに潜入!』を放送します。今夜BS7夜10時24分から。

 「安心、安全」が時代のキーワードとして叫ばれるこのごろですが、実はこれに関するイベントが毎年開催されているんです。今年で18回目を数える“セキュリティショー”がそれ。

 海外からも含めて、およそ179社の企業が、最先端の技術を駆使したセキュリティシステムを展示していて、最新のセンサー技術で家への侵入者を検知するホームセキュリティや、体の一部で、個人を特定する最新技術“生体認証”など、家や街で安全を守る最新テクノロジーが続々登場します。

 また、自然災害から我々の生活を守る防災設備も紹介。セキュリティの分野で進む世の中の進歩をでお送りします。

 もう一つ、私のエッセイがリリースされました。「重要な選択肢としての不動産」です。投資に興味のある方はどうぞ。


2010年04月08日(木曜日)

 (22:30)今朝ちょっと思ったのですが、先のG8後の記者会見で岡田外相に対する質問が一つもなかったと(他の国の国務長官などには頻繁の質問があった)か、日米は大事な同盟国の筈がオバマ大統領と鳩山首相の公式会談がセットされない(今回の訪米時)とか、日本の政治も「ガラパゴス現象」を呈し始めているのかも知れないと思いました。

 ガラパゴス化が言われるのは、代表的には日本のケイタイです。海外のそれと全く別世界で独自に進化したとされ、それが世界の生物の進化の過程から離れて進化したガラパゴス諸島の生物のように言われる。つまり、ケイタイの場合は日本は「ガラパゴス的進化」を遂げたと呼ばれる。実際に日本のケイタイは世界の携帯市場の中でも高性能・多機能で異彩を放つ。つまり進化した部分がある。

 しかし日本の政治を考えたときには、同じ「ガラパゴス化」でも必ずしも「進化」とは言えないな、と思っているのです。なぜなら核廃絶など、唯一の被爆国の日本が本来なら非常に活躍できそうな話題が世界の中心テーマになろうとしているその時に、あまりにも世界から相手にされないというか、何もリーダーシップが取れていないという現象が起きているからです。つまり、それは「退化」のように見える

 普天間の問題があって一番肝心な同盟国であるアメリカとうまくいっていない、ということが大きいのは確かです。だからトゲは抜かねばならない。それにもたついている。しかしそれがないとしても、世界の外交の舞台で日本の存在感が非常に落ちてきていることは確かでしょう。

 日本はサミット発足の時(70年代でしたかね)から、その経済力を買われて仲間に入ってきた。アジアで唯一。日本はその時からずっと世界のGDPで見ると規模でアメリカに次ぐ第二位だ。だからこその存在感だった。考えてみれば、その経済力で今年は中国に抜かれる。だから、国際的存在感が低下してもおかしくない状況はある。

 しかしそれ以上に、世界各地を旅する人達が一様に指摘するのは、「日本は元気がない」「日本の存在感が低下している」という言葉だ。昨夜も世界を旅するテレビマンからそれを聞かされた。私はそれほど心配いらないという考え方の人間だったが、最近の一連の動きを見ていると、「日本の政治のガラパゴス的退化」を思い、懸念せざるを得ない。

 GNHを目指すブータンのような国ならいざ知らず、世界と貿易し、世界の最新技術を得ながら、そして輸出しながら生きていかねばならない日本にとってはやはりゆゆしきことだと思う。日本は輸出を続けなければ、原油も輸入できない。日本の現政権の外交基本方針も明確には掴みきれない。というかあるのかないのかも怪しい。

 鳩山首相は「人の命」を第一のように言うが、中国で処刑される日本人がこのところだけで4人に達しようとする中で、何か具体的にしようという姿勢が見えないし、「核廃絶」で何か世界をリードしようという動きもない。国内政局に振り回されているだけだ。与党も野党も世界の動きに関係なく、内部事情からの迷走を続けている。

 このままでは、「G8有用論、無用論」とは別に「日本はG8のメンバーで有る続けることに意味があるのか」という疑問に行き着く危険性がある。日本の国内政治と国内経済の立て直しが急がれるもう一つの理由だ。


2010年04月07日(水曜日)

 (13:30)最近ふっと気がつくと、今までお目にかかったことがなかったような新しい野菜が次々と出てきている。長浜のバイオ大学の研究室で初めて食べたアイスプラントはテレビ朝日の朝の番組に登場するまでになった。私はそこでもアイスプラントを食べました。おいしい。

 アイスプラントに加えて最近その普及ぶりがすさまじいのは、プチベールである。昨夜も大阪のお店で食事をいただいていたら、「ああれだ」という野菜が出てきた。直ぐに名前を思い出せなかったのですが、その特徴から見て直ぐに分かった。それがプチベールでした。添え物として出てきた。

大阪の帝国ホテルそばの大川端から桜ノ宮の方向を望む。もう今日が満開の最後くらいですかね。水面に浮かぶ船が情緒がある。  私が最初にプチベールを食べたのは、西麻布のkitchen5でだったと思う。この店は毎日違った料理をたくさん並べているが、確か去年の秋に見慣れない野菜があって聞いたら、それがプチベールだった。油で炒めた美味しい野菜だと思ったものだ。

 ネットで調べると、1990年頃に掛け合わせで出来た野菜で、結球しない芽キャベツと解説がある。結球しないという表現の通り、葉っぱには癖があるが球は作っていない。

 味がにがりがあって、かみ応えもあるしとっても美味しいのです。ツイッター(私のID=ycastercom)で情報を交換していると、生産者の方が「採れたては美味しい」と。まあそうなんでしょうが、私はまだその畑に行ったことがない。

 しかし伸びる野菜だと思います。何せ用途が広い。キッチンは地中海料理の店ですが、私が昨日食事をした大阪の「傘や」さんは、和食の店です。両方で使われていると言うことは用途が広いと言うことでしょう。

 昨日食べながら思ったのは、「プチベールは天ぷらにして食べたら美味しいかもしれない」ということです。苦み、えぐみがあって、春野菜の特徴がある。最近の春野菜はハウス生産で苦みが消えてきているという話も聞く。やはり春野菜は苦くなくっちゃ。

 春の天ぷら屋さんでは、天ぷらでしか使われない「ぎんぽう」などの珍しい魚が出たりして好きですが、どこかの店で「プチベールの天ぷら」をやってくれると春に天ぷら屋さんに行く楽しみが増えるのですが。


2010年04月07日(水曜日)

 (09:30)トヨタは難しい選択を迫られました。米運輸省が求めている通りに制裁金を支払えば、今回の問題でのトヨタのハンドリングに法令違反などの瑕疵があったことを認めることになって、今後の集団訴訟などで不利になる。しかし、異議を唱えれば落ち着き始めたバッシングの動きがまたまた強まりかねない。

 まあ時間はありますからいろいろな角度から検討するのでしょうが、今までアメリカでの訴訟対応では比較的うまくやってきたトヨタにとっても正念場でしょう。過去におけるトヨタとの癒着、近い関係を指摘されている米運輸省は、どう考えても同社に対しては議会の手前もあって厳しく当たらざるを得ない。制裁金の最高額という意味はそれでしょう。対応は難しいのですが、「こっちが正しい」と思ったらそう主張するしかないでしょう。

 トヨタと言えば最近気になったのは、韓国でも比較的少数の車ですが、リコールを発表していて、生産体制としてもまだまだ問題が尾を引いていることが明らかなこと。このリコールの嵐から早く脱しないと、消費者の信頼感は戻らないでしょう。

 それに関連して最近気がついたのは、一部の東京のタクシー会社の間に現代(ヒュンダイ)の車を使うところが増えていること。それがスペースが広くて実に乗りやすいのです。ソナタかな。知らないで乗って「これは乗りやすい」と思って運転手さんに聞いたら、そうだった。先月と今月続けてヒュンダイ車を使ったタクシーに乗りました。

 今まではハイブリッドもそうですが、日本車は明らかに品質やテクノロジーで韓国や中国の車、さらにはアメリカなどの車に勝っていた。しかし、韓国のメーカーも近くアメリカ市場のハイブリッドを投入するようだし、技術レベルは接近しているとも思える。中国は電気自動車に熱心です。

 そこで私が最近車について思うのは、技術革新を願って言うのですが、「単なる箱じゃないか」ということです。いろいろな機会に自分で車を運転するのですが、運転に集中しなきゃいけないから当たり前の面があるのですが、車の中では音楽、ラジオを聞くくらいしかやることがない。私にとって車の中は完全に「情報断絶」の状態です。

 いつも「これじゃ売れないだろう。特に若者には」と思っているのです。ネットも車の中では使えない。一番思うのは、例えば前の車のブレーキランプが切れているとするじゃないですか。非常に危ない。それを教えてやりたいのだが、それができない。今の車では。

 これはおかしいと思うわけです。今自分が通過している道路添いにはどういう店があって、何を売っているのか。ナビにも少しありますが、あれじゃ役立たない。

 例えばナビでもなんでも、車のデジタル機器に「これこれを売っている一番近い店」のような入力をするとそこに連れて行ってくれるようなサービスもいいな。メールの読み上げはもうしてくれるシステムがあるらしいのですが、私は使ったことがないので、それも欲しい。

 いずれにせよ、日本のメーカーを中心に車を大きく改革して欲しいのです。はっきり言って、今一番生活する上で退屈なのは「車を運転している時」です。


2010年04月06日(火曜日)

 (11:30)日本のプロ野球に続いてMLBもいよいよ開幕ですか。新幹線に乗ってコンピューターをonにしてMLBのページを開いたらちょうどロサンゼルス・エンジェルスとミネソタ・ツインズの試合が始まって少したったところ。ちょうと1回の裏で、見たら1アウト1、2塁のチャンスで松井の初打席。

 しかし直ぐに2ストライクと追い込まれて、一球見た後にショートフライ。次のモラレス、リベラがヒットを続けて2点は入ったが、まあ松井の第一打席は凡打という結果。しかしこの後に何が起きるのかは分からない。ずっとゲームデーを付けておく予定です。

 この試合はDHなので松井の守備は見られない。最近のインタビューでも彼は、「守って、打って、そして走って野球選手」と。イチローについてコメントした中で、「出来れば膝を貸して欲しい」と言っていたのが印象的です。まあ、今年の松井は暖かく見守りたい。

(追記)=日本時間の午後2時過ぎに試合は終わり、松井はその後ライト前タイムリー、右中間のセンター寄りへの大ソロ・ホームランの2打点の活躍。チームも本拠地初戦を確か6−3で勝った。勝利打点は松井。松井はインタビューで「期待に応えられて良かった。今日みたいな日がもっとあれば良い。日々精一杯プレーして勝ちたい」と述べた。ちょっと彼らしい「紋切り型」ですがね。


2010年04月04日(日曜日)

 (23:10)与謝野さんや平沼さんを中心に園田さんも含めて新党ですか。しかしどう見ても若さに欠けるし、「我々は小さい党でも良い」(園田さん)では日本の政治状況を変えるには力不足という印象がする。正式発足は「今週中」(与謝野さん)ということですが、「(与謝野さん、平沼さんの)共同体表(の予定)」というのも理念や権力の、今からの離散傾向、遠心力傾向を感じさせる。

 何よりも、自民党と何が違い、何をするのか、理念をどこに置くのかがはっきりしない。「自民党を出た仲間だから新党を」というのでは、国民にとって魅力に欠ける。世論もそう見ているようで、この週末に出てきた共同通信の世論調査では、新党について「期待する」は27.1%にとどまった。対して65.9%が「期待しない」となっている。日本の政治を動かすには、新党にはプラスαが必要です。魅力ある人材、そこそこの大所帯など。

 一方、民主党鳩山政権に対する支持率は下げ続けている。共同通信の世論調査では、支持率は33.0%。前回より3.3ポイント減少しているので、このままのペースでは30%切れも十分視野に入る。最近の特徴は、鳩山首相に対する不支持の増加の中でも比較的高い水準を保っていた民主党に対する支持が落ちてきたこと。

 これは「何が起きても誰も責任を取らない体質」が背景でしょう。秘書が何人逮捕されても、誰も責任を取らない。二重投票した若林参議院議員の辞職は当然ですが、民主党にも潔さが必要だと思う。もっとも、代表、幹事長がスネに傷を持つ身ではなかなかそうはいかないのでしょう。そこが問題です。

 対する自民党も全く斬新さがない。だからこその離党者続出ですが、執行部には何か手を打つという気概がない。あれでは敵失をプラスには変えられないでしょう。みんなの党、自民分派グループの新党など一応の新党ブームも出てきているが、決定力がない。

 困るのは国民です。次の参議院選挙では、「どこに投票したらよいのか」と迷う人が多く出るでしょう。今から予想できる。その間には、普天間基地移設問題の決定期限とされる5月末など重要予定があり、その決着を見て決める人が多いのでしょうが、それにしても「どこを選んだら」という雰囲気は残るに違いない。

 困ったものです。


2010年04月02日(金曜日)

 (11:10)これまで毎週日曜日の午後8時半からやっていたBSジャパンの「世の中進歩堂」は、4月第一週の今日から夜10時24分にお引っ越しします。これを見終えてワールドビジネス・サテライトの小谷さんへ、というわけ。

 4月第一週の今日は『暮らしの不便を一挙解決!主婦のアイデア発明が大ヒット商品を生む!』です。日常生活に目を向け、主婦ならではの発想で、発明品を生み出す婦人発明家協会の皆さんが登場します。

 洗濯ものをしわなく洗い上げる洗濯ネットや、効果抜群のマッサージ手袋など目からウロコのアイデアで画期的な発明品を次々に生み出しているのです。番組では、「そんな主婦のアイデア発明を一挙公開!」ということで、さらに年商1億円を稼ぎ出す発明品も登場します。「成功の秘訣に迫る!」というわけです。お楽しみに。

 ところで、私が今週初めに書いたエッセイがリリースされました。途上国に必要な社会的インフラ整備、環境保護、人口抑制の点でメリットというものです。このエッセイは、2週で一本なので今回が68回というのはほぼ3年。しかし続けることに意味があるのではなく、新しい発想が出来ればと思っています。

 新聞記事では、朝日の昨日の夕刊にあったロンドン支局の橋本聡記者が書いた「温暖化データ、ごまかしない」という記事でしょうか。日本ではあまり騒がれていませんが、欧米のニュース媒体ではいわゆる「クライメートゲート事件」として取り上げられている問題がある。

 これは、気候変動研究で国際的に知られている英国のイーストアングリア大学のコンピューターから盗まれた電子メールに、同大学の教授が地球温暖化を誇張した表現があると思われている問題だが、事実関係を調べていた英下院の科学技術委員会は3月31日、「温暖化データのごまかしはなかった」とする調査結果を公表した。

 まあ論争は続くんでしょうね。地球は人類が誕生し、近代的生活をする前から温かくなったり冷えたりをしてきたわけで、地球の形状は著しく変わってきている。365日にしたら、人類そのものが生まれたのが晦日もだいぶたってからです。そういう意味では、地球自身に温暖化したり、冷却化したりする力がある。生きている惑星ですから。

 それを人間の活動がどのくらい変化させているかは、「likely」とか「very likely」でしか表現できない。断定は無理です。よく出てくる氷河の崩れも、あれは別に温暖化しなくても起きる。なぜなら、氷河はあくまで「河」で流れているからです。

 論争は続くのでしょう。しかし私は、地球を綺麗にすることには絶対的に賛成だし、中国から日本に降り注ぐ煤塵や黄砂はなくさなければならないと思っています。


2010年04月01日(木曜日)

 (18:10)朝から何かと「環境」に関わる事項が多い一日でした。毎週木曜日の朝のテレビ朝日のやじうまプラスが終わった後は、しばらく休憩して日経本社20階に。ポッドキャスの5回特別番組「伊藤 洋一のReal Europe」の収録のため。

 今回のゲストはTBSの朝の番組に毎週出ておられる末吉竹二郎さん。初めてお会いする方でしたが、一緒の時期(末竹さんの方が早いのですが)にニューヨークにいたこともあり、また共通の友人もいて、短時間で話を深めることが出来ました。話は面白かった。収録は50分ほどやりましたが、番組としては30分ほどにまとまる予定です。リリースされるときには、またご紹介します。

 夜の会合に出かけようと思ったら、NHKの知り合いから以下のメール。私としても何本もこなした「地球特派員」のNHKサイドの責任者だった方からで、「さて、本日、4月1日、つい先ほど!! NHKの環境情報ポータルサイト、NHKエコチャンネルがオープンしました。」という連絡。

 日本語版 http://www.nhk.or.jp/eco-channel/

 英語版  http://www.nhk.or.jp/eco-channel/en/  がサイトだそうです。公開に関わる口上は以下の通りの。

 NHKでは、2010年4月1日より、NHKのホームページ上に、環境動画のポータルサイト「NHKエコチャンネル」をオープンします。このサイトは、NHKの環境・自然番組やニュースの中から、おすすめの動画をインターネットで無料で配信し、最新の環境情報とともにお伝えするものです。

 地球温暖化や生物多様性の危機が大きな問題となっている今、NHKでは、公共放送の使命として地球環境問題に取り組んでいます。このエコチャンネルを通じて、一人でも多くの方々に関心をもってもらい、低炭素で持続可能な“グリーンな未来”を築いていく大きな力になればと願っています。

 エコチャンネルでは、視聴者のみなさまに最新の放送予定をお伝えすることに加え、こどもたちが家族といっしょにエコについて楽しみながら学んでいけるようなゲーム感覚の特集なども企画しています。

 また、国連やBBC、世界のNGOなどとのリンクもはり、世界中の“環境まもりびと”とつながることができるサイトをめざしています。ぜひ、サイトにアクセスしてみてください!

 ということでした。ああ、環境と言えば、今月の月刊ビジネス情報誌の環境関連記事も2本読みました。これは、最近のメールゲートなどを取り上げIPCC(気候変動に関する政府間パネル )のあり方に強い疑念を呈したもの。これも別角度から環境を考える良い機会だった。


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