2010年01月31日(日曜日)

 (09:40)実際に日常業務に使われているアイミーブに初めて乗りました。右の写真がそうです。滋賀県が2台購入したうちの一台。お台場でまだ発売前に番組用に乗りましたが、そのときは私が運転して乗り心地を調べただけ。しかし今回は後ろの座席に乗った。

大津の駅で迎えてきてくれた秋山さんと  ちょっと狭いが、まあ軽だからあんなものでしょう。役所が買うときには補助金が使えないそうで、2台買うのはちょっと高かったとか。しかし役所からこうした新しい製品を使っていくのは良いことだと思います。私は知らなかったのですが、冬はフル充電での走行距離が公表走行距離よりもかなり短いそうで、使用は市内中心だそうです。そした帰ってきたら役所ですぐに充電という日々だとか。

 電気自動車が自由に走り回るのには、まだ社会的インフラが整っていないということでしょう。今年は日産のリーフなど各種の電気自動車が登場する。言ってみれば電気自動車元年です。最初に電気スタンドを作るのは、ちょっと広めの駐車場を持つ郊外型のコンビニやスーパーですかね。だってその間は車の所有者はやることがないから、店内で買い物でもするしかない。デパートの地下駐車場も洗車などやっていないで、電気スタンドを設けた方がいいように思う。

 車つながりで言うと、トヨタだけだと思っていたらホンダもリコールですか。日本車に多すぎる。品質でダントツ一位だった日本の製品全体への不信感に繋がらなければ良いのですが。不思議なことに、日本国内で売られている車は両社とも一台もない。

 海外での人材育成、見る目の育成に失敗しているということでしょう。「日本国内基準」を厳格に海外に適用できないと、製品に不具合が起きる。たぶん教育はしているのでしょう。しかし現地の人々が本当にやる気になっているのかどうかが問題。いつまでたっても現地会社のトップが日本人では、最後の所は現地の人もやる気が出ない、ということはないか。

 もう一つ車つながりでは、京都でドアを開けたままでお客待ちしているタクシーを京都で発見しました。札幌や旭川で見られる「ドアを開けての客待ち」。私が目撃したのは一台でしたが、北海道的現象だと思っていたのでびっくり。

 冬ですから、運転手さんも冷えるだろうし、乗客も乗ったときにシートが冷たい。賛成できないのです。お客さんが欲しいのでしょう。しかし、こんな状態が生まれること自体が良くないと思う。

 ところで、今日の「世の中進歩堂」は、日本が世界に誇る世界一深く潜れる有人潜水調査船「しんかい6500」です。テーマは『世界で最も深く潜る船で未知なる微生物を発見!深海で生き抜くための特殊な能力とは?』というもの。

 「しんかい6500」は、深海で未知なる生物を発見し、その生物の能力を我々の生活に役立てようとする研究の最大のツールになっている。海洋研究開発機構の海洋・極限環境生物圏領域の大田ゆかり博士は、「しんかい6500」が採取した泥の中にいた微生物から、我々の美容や健康に関わる物質を作り出すのにとても役立つ“酵素”を発見した。

 海の約95%を占め、そのほとんどが解明されていないといわれている深海の世界。そこからは、これからもどんどん新しい酵素が必ず見つかると大田博士は語る。番組では「しんかい6500」と深海の微生物が持つ可能性を紹介する。


2010年01月30日(土曜日)

 (09:40)ははは、やっと見ることが出来ました。この映画です。なんだか時間をうまく作れなくて今まで観れなかったのです。やっと見れて良かった。

 最初は眼鏡を外したり掛けたりしながら見ました。何が違うのか、と。だって、入るのに高い値段を取られましたから。何が違うのかを先ずは検証しないと(というより好奇心ですが)。

 思った通り3D画面は、特殊眼鏡を掛けないとだぶって見える。映像が。掛けると3Dの目の前にいろいろなものが接近してくる「居る」感覚となる。テーマパークでお馴染みの。サイトも「観るのではない、そこに居るのだ」となっている。

 ストーリーはそれほど奇抜ではない。中国が神経質になるほどの事ではないと思うのです。過去に何回も取り上げられたテーマ。アメリカの西部映画にはこの手のストーリー展開はいっぱいあったような記憶が。入植者が何かいいもの(金などの鉱物)を求めて先住民の村や居住地を蹂躙する、という。しかしその中に先住民に味方する人が出てくる、というスタイルの。

 地球ではない異星での話しということで、異形の動物、異形の植物、そして人間に似てはいるがブルーというか、グリーンの肌をしたナヴィという巨大異星人が登場する。このお顔がちょっと「馴染めない」という人は多いかも。私もそうです。

 映像の迫力は圧倒的です。確かに面白い。迫力もある。しかし高所恐怖症の人はあまり観ない方が良いかも。とにかくどえらい高所を平気で歩くのです。そして飛び降り、そして異形の鳥(恐竜)に乗って飛ぶ。アメリカではこの映画を観て鬱病になる人が多いという報道も頷ける。

 私は眼鏡をそもそも掛けていますから、その上にまた眼鏡をかけるのは鬱陶しい。そう思いました。しかし掛けないといけない。ということは、この手の3D映画の上映が広まると、度付きのサングラスではないが、「3D用のマイ眼鏡」が直ぐに登場してくる予感がする。私は出たら買おうかな。便利ですから。

 この映画は世界で最初の本格的3D映画ということで、興行成績も良い。タイタニックを上回ったという。しかし何もこのテーマでなくても、という気がする。スターウォーズのような映画でも面白かったし、スポーツをテーマにしても良かったと思う。

 3Dはテレビ(ハード)でも大きな話題だ。「3D用マイ眼鏡」が普及するのが第一歩だとすると、次ぎは3Dテレビ。多分テレビは、特殊眼鏡を掛けないで観られる方式が一般化すると思う。もう研究もだいぶ進んでいるらしい。問題はコンテンツ。

 映画館になぜ皆が駆けつけるかに関しては、DVDにして今は3Dは無理なので、映画館でしか見れないという理由もあるらしい。「一回は見たい」という人が多いので、興行成績は伸びるでしょう。しかし、DVDなどの関連の売り上げを全部含めると、アバターが果たして「大成功」となるかは分からない。


2010年01月28日(木曜日)

 (13:40)日本時間の午前11時11分に始まったオバマ大統領の一般教書演説は、1時間9分かかって終わり、彼が壇上を降りたのは午後零時20分でした。そして、そのうち実に50分以上をアメリカが直面する経済問題、特に「職」「いかに職を創造するか」に費やされた。

 外交問題、アフガニスタンやイラクの問題に費やされたのは、20分弱。特徴的だったのは、大統領から見て右側(民主党議員達)のstanding ovation の数が圧倒的に多いのに対して、大統領から見て左側(共和党議員達)はしばしば呆然と座ったままで、また民主党議員達のstanding ovation を見送っていただけの場面が多かったこと。

 要するに、議論の分かれる問題を取り上げていたのです、オバマは。金融制度改革、医療保険の問題。そして最後には、「政治家たるもの」と言った訓話じみた話を議員達の前で展開した。賛否両論が出てくる演説でした。ただし相変わらず文章や、そのレトリックは非常にうまい。

 演説の全文はまだホワイトハウスのサイトには載っていないので、まだ無料のニューヨーク・タイムズのサイトにリンクを張っておきますが、これは「prepared text」です。つまり、実際に大統領が冗談を言いながら展開した議場での演説ではなく、ホワイトハウスがプレスにリリースした予定稿。

 その予定稿を読み返す出もなく、私が耳で聞いていてこれはポイントだったと思った部分は、いかにアメリカを立ち直らせるか、というところです。彼は以下のようなポイントを挙げていた。

  1. 金融改革=マサチューセッツの上院補選で負けた直後に出した金融改革を、アメリカの再生計画(やるべき事)の真っ先に挙げていた。彼が使っていた言葉は、「serious financial reform」だったと思う。ということは、ウォール街とぶつかってもこれをやると言うことで、確か「何度でもやる、徹底してやる」と言っていたと思う

  2. 次は、アメリカン・イノベーションです。キーワードはクリーン。つまり、太陽光発電などを含めて、またクリーン・コールなどを含めて、アメリカの技術革新力を集中してこの分野で職を作り出す、と約束。ここの所だったか、新幹線を持つ日本に言及することなく、世界の他の国の例を挙げながら高速鉄道網に関して「進める」と述べていた

  3. 次が、「輸出の振興」。どえらいことを言っていたような。「アメリカの輸出を今後5年で2倍にして、それによって200万の職を生み出す」と。そして、これは主に中国などを念頭に置いているのでしょうが、「貿易ルールは守らせる」と

  4. 最後が、「技術、教育、医療などに対する投資」。これとの関連で、上院での勢力図の変化によって危ぶまれている医療保険制度改革について、「今までで一番成功に近づいている」「ひるむことなくやる」と約束
 これから出なければいけないんで、詳しくはまたあとで読もうと思いますが、あと中小企業融資制度、インフラの再構築などなど。共和党議員の意見も聞きたい印象。まあ「Now, the true engine of job creation in this country will always be America's businesses. 」ということでは、アメリカの議員達、大統領の意見は一致していた。その合意さえない日本よりは、アメリカは動きが速いかもしれない。

 なお、その後発表されたホワイトハウスのサイトは、http://www.whitehouse.gov/the-press-office/remarks-president-state-union-addressです。


2010年01月28日(木曜日)

 (10:50)オバマの一般教書演説の前に、知り合いから紹介された超おもしろサイトを紹介します。堪能ください。


2010年01月28日(木曜日)

 (04:22)今回のFOMC(またはその声明)の最大の特徴は、現行政策への反対者一名が現れたと言うことでしょう。誰かというと、Thomas M. Hoenig理事。彼の考え方は、「who believed that economic and financial conditions had changed sufficiently that the expectation of exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period was no longer warranted.」というもの。

 つまり、今回も多数意見で継続が決まった「exceptionally low levels of the federal funds rate 」、つまり「the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent 」(0〜0.25%とうFF金利の目標レンジ)の「an extended priod」での維持は、「was no longer warranted.(もはや正当化されない)」と。

 これはむろん、米政策金利が直ぐに引き上げられることを意味する物ではない。しかし、前回2009年12月のFOMC(15〜16日)まで、それこそ「for an extended priod」続いていた。それが今後の景況次第で変更される可能性を示唆する。今の雇用情勢などを見れば直ぐに変更があると考えるのは不自然だが、今回の声明はその可能性をかいま見せた、ということでしょう。

 下の声明を読むと、FOMCのアメリカの景気に対する見方は明らかに前回よりは改善(upbeat)している。つまり良くなっている。

Release Date: January 27, 2010

For immediate release

Information received since the Federal Open Market Committee met in December suggests that economic activity has continued to strengthen and that the deterioration in the labor market is abating. Household spending is expanding at a moderate rate but remains constrained by a weak labor market, modest income growth, lower housing wealth, and tight credit. Business spending on equipment and software appears to be picking up, but investment in structures is still contracting and employers remain reluctant to add to payrolls. Firms have brought inventory stocks into better alignment with sales. While bank lending continues to contract, financial market conditions remain supportive of economic growth. Although the pace of economic recovery is likely to be moderate for a time, the Committee anticipates a gradual return to higher levels of resource utilization in a context of price stability.

With substantial resource slack continuing to restrain cost pressures and with longer-term inflation expectations stable, inflation is likely to be subdued for some time.

The Committee will maintain the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and continues to anticipate that economic conditions, including low rates of resource utilization, subdued inflation trends, and stable inflation expectations, are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period. To provide support to mortgage lending and housing markets and to improve overall conditions in private credit markets, the Federal Reserve is in the process of purchasing $1.25 trillion of agency mortgage-backed securities and about $175 billion of agency debt. In order to promote a smooth transition in markets, the Committee is gradually slowing the pace of these purchases, and it anticipates that these transactions will be executed by the end of the first quarter. The Committee will continue to evaluate its purchases of securities in light of the evolving economic outlook and conditions in financial markets.

In light of improved functioning of financial markets, the Federal Reserve will be closing the Asset-Backed Commercial Paper Money Market Mutual Fund Liquidity Facility, the Commercial Paper Funding Facility, the Primary Dealer Credit Facility, and the Term Securities Lending Facility on February 1, as previously announced. In addition, the temporary liquidity swap arrangements between the Federal Reserve and other central banks will expire on February 1. The Federal Reserve is in the process of winding down its Term Auction Facility: $50 billion in 28-day credit will be offered on February 8 and $25 billion in 28-day credit wil be offered at the final auction on March 8. The anticipated expiration dates for the Term Asset-Backed Securities Loan Facility remain set at June 30 for loans backed by new-issue commercial mortgage-backed securities and March 31 for loans backed by all other types of collateral. The Federal Reserve is prepared to modify these plans if necessary to support financial stability and economic growth.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; James Bullard; Elizabeth A. Duke; Donald L. Kohn; Sandra Pianalto; Eric S. Rosengren; Daniel K. Tarullo; and Kevin M. Warsh. Voting against the policy action was Thomas M. Hoenig, who believed that economic and financial conditions had changed sufficiently that the expectation of exceptionally low levels of the federal funds rate for an extended period was no longer warranted.


2010年01月27日(水曜日)

 (01:22)有楽町西武の今年末での閉鎖発表は、やはり東京のど真ん中での出来事なので、ショッキングではあります。ケイタイに速報で入ってきたが、その価値はあると思いました。

 すぐ思ったのは、「次に何が入るのか」です。もともとは朝日新聞があったような気がした。銀座は最近は非常に外国人が多い。一気に外国人向けの店を作るのか、またはアミューズメント系か。衣料や装飾などはもう一杯でしょう。あの辺は。

 あそこに西武ができたときから、「何をウリにするのだろう」と思っていました。中に入ってみると、女性中心。メンズもありましたが、高いモノと安いモノの中間といった位置づけ。新聞報道に「高級品が売れない」と書いてあったが、私の感覚では西武は「20代、30代のOLが買えるちょっと上質なもの」を売っている店という印象。

 もともとポジショニングがはっきりしないのに、近くに若者に人気のあるマルイが出てきたし、歩ける範囲にはショップが山ほどある。競争環境は大きく変化した。私個人としては、最近は上の映画館に行くことが多かった。一つ言えるのは、あの場所は「家賃は高かっただろう」ということです。次の店は相当安く入れるでしょう。

 それにしても、26日の東京の株は中国に怯えた動き。どうやらウォール・ストリート・ジャーナルの以下の記事などが震源らしい。

BEIJINGーSeveral Chinese banks have ordered some branches to suspend new lending for the rest of this month, people familiar with the situation said on Tuesday, as concerns rippled around markets in the region that China may take more aggressive action to rein in bank credit that is fuelling the country's rapid growth.

The moves by some banks to temporarily choke off credit come amid reports of a fresh deluge of new lending in the first several weeks of this year after a year of blow-out lending in 2009.

It's uncertain how severe the new-lending suspension actually is. Chinese banks traditionally rush out loans at the start of the year, and some economists said that this year the government may simply be trying to smooth the flow.

China Banking Regulatory Commission Chairman Liu Mingkang said last week the regulator expects new yuan lending to be around 7.5 trillion yuan this year. That's down from 9.59 trillion yuan in 2009 but still more than double the 2008 level.

 しかしこれだけでは、中国の意図は分からない。今から今月末までの話ですから。結論から言うと、「中国は成長を止めるような金融引き締めはしない」ということです。成長こそ今の胡錦濤政権の基盤ですから。それよりも、SPの日本国債見通しの'Negative'への引き下げが気になる。理由は「the government isn't fixing the nation's bloated finances as fast as expected.」。

 まあそうなんですが、これは世界中の政府の現状でもある。格付け機関がまたまた出しゃばってきている。オバマもこの胸くそ悪い組織こそ、規制の対象にすべきなのに。


2010年01月26日(火曜日)

 (08:22)久しぶりにポール・クルーグマンのOp-Ed Columnistぶりを見ようとニューヨーク・タイムズを見たら、彼が「The Bernanke Conundrum 」(バーナンキという難問)という文章を書いていて、これがいかにもクルーグマンらしいので笑ってしまいました。グリーンスパンを思い出す「conundrum」という単語も笑える。

 バーナンキ議長のFRB議長としての任期は今月末で切れる。民主党候補がオバマ政権の経済政策失敗(または無成果)を問われる形でマサチューセッツ州上院補選で敗れたこともあって、アメリカの政界では「スケープゴート探し」が始まっていて、ちょうど改選期に当たっているバーナンキへの批判が噴出。

2008年末のノーベル賞受賞直後にクルーグマンのオフィスで。外交と政治が嫌い、というか自分には合わないと彼は言っていた  政権は「バーナンキ続投」を相当前に打ち出しているのですが、議会では反対論がここに来てにわかに出てきている。それも政権の選択を支えなければならない民主党から。ボクサー上院議員は22日に議長再任に反対する考えを明らかにしたし、同じく民主党のファインゴールド上院議員も反対の意向を表明した。

 二人の意見は概ね、「バーナンキ議長が採った金融緩和政策が危機を引き起こした」というもので、「次期FRB議長は過去の失政とは一線を画した人物でなければならない」としている。ではクルーグマンはどう言っているのか。実に彼らしい論理展開をみせてくれている。

 「Full disclosure:」(全公開)と称して、「 before going to the Fed he headed Princeton’s economics department, and hired me for my current position there」(FRBに行く前にバーナンキがプリンストンの経済学部のトップであり、今のポジションにクルーグマンを採用したのはバーナンキである)と述べながらも、「Yet his critics have a strong case.」(バーナンキ批判を展開する人々には、聞くに値する十分な言い分がある)と述べる。例えばとして、クルーグマンはこう書く。

Unfortunately, that’s not the whole story. Before the crisis struck, Mr. Bernanke was very much a conventional, mainstream Fed official, sharing fully in the institution’s complacency. Worse, after the acute phase of the crisis ended he slipped right back into that mainstream. Once again, the Fed is dangerously complacent ? and once again, Mr. Bernanke seems to share that complacency.
   「And from the spring of 2008 to the spring of 2009 his academic expertise and his policy role meshed perfectly, as he used aggressive, unorthodox tactics to head off a second Great Depression.」(2008年の春から2009年の春までは、二回目の大恐慌を避けるために積極的で、非伝統的な金融手段を発動、バーナンキの専門知識と政策立案における役割は完璧に噛み合った)のに、クルーグマンはその前とその後が良くないと言うのです。バーナンキは大恐慌の研究者として知られる。

 彼はこの後の文章の中でバーナンキの罪として、「サブプライムに関する警告を無視した」「政策目標がインフレ抑制に置かれすぎていて、失業率が下がらない原因を作った」などを挙げる。

 しかしここからが面白いのですが、クルーグマンはそれでも「 In the end, I favor his reappointment」とバーナンキ再選を支持。なぜか ? これだけ文句を言っておいて。

 彼は言う。「only because rejecting him could make the Fed’s policies worse, not better. 」(バーナンキの再選を拒否すれば、FRBの政策は良くなるどころかもっと悪くなるからだ)と。ここが笑えるのです。彼はこうも言う。

Given that, why not reject Mr. Bernanke? There are other people with the intellectual heft and policy savvy to take on his role: among the possible choices would be my Princeton colleague Alan Blinder, a former Fed vice chairman, and Janet Yellen, the president of the San Francisco Fed.

But ー and here comes my defense of a Bernanke reappointmentー any good alternative for the position would face a bruising fight in the Senate. And choosing a bad alternative would have truly dire consequences for the economy.

Furthermore, policy decisions at the Fed are made by committee vote. And while Mr. Bernanke seems insufficiently concerned about unemployment and too concerned about inflation, many of his colleagues are worse. Replacing him with someone less established, with less ability to sway the internal discussion, could end up strengthening the hands of the inflation hawks and doing even more damage to job creation.

That’s not a ringing endorsement, but it’s the best I can do.

 つまり、バーナンキの代わり、例えばブラインダー(クルーグマンのプリンストンの同僚で元FRB副議長)やイエーレン(元理事でサンフランシスコ連銀総裁)などの選定したとしても、議会での議論は紛糾するし、もし悪しき後継者に決まったらアメリカ経済にとって打撃だし、今の連邦公開市場委員会(FOMC)では確かにバーナンキは失業に対する懸念が足りず、インフレへの懸念の方が強いが、彼の同僚はもっと失業への懸念が低くて適任ではない、と手厳しい。

 「ringing endorsement」とは面白い表現ですね。「ringing」を調べたら「力強く明確な」とあった。つまり、「not a ringing endorsement」とは、「手放しでバーナンキ再選を推奨できない」という意味でしょう。しかし、「it’s the best I can do.」(再任支持は私が出来る最良のこと)と。

 ブラインダーとかイエーレンとか言っていないで、「あんたはどう」と聞きたくなるが、また彼はこういうんでしょうな。「自分には外交と政治が合わない」と。それにしても、自分を引っ張ってくれたバーナンキ、自分の同僚であるブラインダーに対してもクルーグマンは辛辣。それが面白い。


2010年01月25日(月曜日)

 (23:22)「ヨーロッパでも200万台リコールか」と。日本の製造業の代表とも言えるトヨタ自動車は、どうしちゃったんでしょうね。アメリカでも230万台ですから、合計430万台。これは誰が考えても、リコールの台数としては尋常ではない。

 もう5年ほど前です。トヨタが絶好調だったころ、以前から知り合いのトヨタの幹部の方と食事をしていたら、「悩みが三つある」と言っていた。確か株価が上がらない、F1で勝てない、そして人材がついて行かないと。毎年生産台数を伸ばしていたころです。世界的な業容拡大に人材がついて行かない、と。

 今回の一連のリコール騒ぎで一つ不思議なのは、「(リコール対象車は)日本では一台も出ていない」ということです。これは日本で生産され、日本で売られている車にはリコールに相当するような懸念はない、というトヨタの判断の現れ。どうやら日本と海外では違う部品が使われているらしい。

 各地にあるトヨタの工場で、どのような部品の選定が行われているかは知らない。しかし、何故か海外でリコールが出ると言うことは、海外での部品選定が甘いと言うことでしょう。人材の問題はなかったのか。

 「アクセル」というのは、実は車に乗る人が一番密度高く接する車のパーツです。一番枢要なところ。そこでの欠陥というのは、車作りのメーカーとしてはある意味非常に致命的なものだと思う。なぜそんなことになったのか。社内では当然「何故」が問われていると思うが、拡大と繁栄の中で油断や奢りはなかったかは検証する必要がありそうだ。

 海外から見れば、ソニーとかトヨタが日本の代表的な製造業の会社。両者とも最近は株価が上がっていたが、今後には懸念がある。ソニーは、次世代の飛躍を予感させるような新商品に欠ける。今儲かっているのは、テレビでもプレステでもなく、デジカメなどです。これはちょっと寂しい。

 結局モノ作りの企業は、「魅力的な商品があるかどうか」が勝負ですから、商品に魅力がなくなったら、そして品質に信頼が置けなくなったら終わり。両者ともまだ魅力のある製品が多い。しかし、期待が大きいだけに今後の課題は大きいと思う。

 ところで、当方からquanp に関して当方から投げていた問題の一つに、「iPod nanoで撮影した動画が逆さまに表示される」問題があったのですが、リコーさんの方から以下のような回答が来ました。

 iPod nanoを右に倒して撮影した場合と、左に倒して撮影した場合の2つの動画で検証した結果、一方は正位置、他方は逆(天地)位置になりました。おそらく撮影する際の持ち方が原因だったと思われます。
 と。なるほどと頷きたいが、ナノの場合、撮影はとっさの判断で手で行いますから、右左と言われてもちょっとどうかな、と。なんとかどちらで撮影しても、動画がひっくり返らないようにして欲しいと。

 あと今日一つ嬉しかったのは、浜松にお伺いしたのですが、そこで「BSジャパンは静岡県では電波がしっかり入ってこないので、名古屋の方にアンテナを向けて、「世の中進歩堂」を一生懸命見ています」とある方から言われたこと。なんでも昔から静岡は「電波の谷間」的な問題があって、依然は日テレなども見れなかったらしい。

 金融機関の偉い方だったのですが、日曜日に放送の「シルクの話」をしばらく。つい昨日の放送の内容だったので、嬉しかったですね。BSの番組は静かに見られているのだと思う。


2010年01月24日(日曜日)

 (13:22)今日の「世の中進歩堂」は、『病気やケガをシルクが治す!?目からウロコのシルク研究に迫る!』 と題して、以外のものの以外な利用法を紹介します。

 それはシルク。シルクと言えば、衣料品を思い浮かべる人が多いと思うのですが、東京農工大学の朝倉研究室では、シルクを医療分野に役立てようという研究が行われている。そこで開発されているのは、なんとシルク製の人工血管。

 丈夫で人体に適合しやすいという、シルクの特性を生かせば、今までにない画期的な血管ができるのではと考えられている。さらには、シルクを使って人間の体の一部を再生するという壮大なプロジェクトも進行中。私たちの常識を覆す驚きの研究を紹介します。お楽しみに。


2010年01月23日(土曜日)

 (23:22)結局、小沢さんの事情聴取で何かが終わるというよりは、これからが次の段階での「捜査と分析の始まり」ということでしょう。というのは、小沢さんが、「石川、他の2人も含め3人の供述内容の話はなかった。一切。」と記者会見で述べているからだ。

 つまり、今回は検察が小沢さんに、「”小沢さんの説明”を聞いた」ということです。小沢さんの前で、「(逮捕された)秘書達はこう言っているが....」という問いかけはなかった。これから逮捕されて証言している秘書3人の供述内容、押収した物証(ゼネコン関係)と小沢さんの説明を比較・検討し、矛盾点がないかどうかを検証するということですから。捜査的にはまだまだ途中。

 事前に予想されていたことと違うことと言えば、市民団体から告発されているということで、小沢さんは被告発者という立場で、黙秘権の告知があり、2通の被疑者調書に署名したと言うことか。「容疑者としての聴取」ということだ。

 小沢さんが事情聴取後に文書を発表し、かつ記者会見をしたことは評価したい。最初記者会見は予定されていなかった。ただし望ましいのは、国民の代表である国会で説明すると言うことでしょうか。

 発表された文書を見ると、「秘書がやっていたので私は知らない」という事につき、事務所全体の動きについては「知らなかった」という形。秘書も結構代わっているようなので、本当にそうなのかという疑問は残る。

 民主党は清新な党のイメージもあって政権党になった。そういう意味では、幹事長が事情聴取を受けたということ自体が、大きな打撃です。幹事長続投と言うことは、その重荷を背負いながら政権運営を続けると言うだ。


2010年01月22日(金曜日)

 (13:22)朝見たらフィナンシャル・タイムズの社説は「Obama declares war on Wall Street」ですからね。宣戦布告。そりゃ戦争を売られたウォール・ストリートはビックリして下げますよ。

 ニューヨーク市場のダウが200ドル以上下げたのに呼応して、今日の東京市場は300円以上の日経平均での下げ。まだ引けではないので分かりませんが、ニューヨークが二日連続してあれだけ下げると、いくら外国人買いが入っていると言っても下げる。

 金融機関がリーマン・ショックのようなことを再び起こさないようにするという意味合いがこの規制案にある。しかし、別にゴールドマンの好決算にぶつけてこの措置を発表しなくても良い。そのタイミングに、今回の措置の政治的意味合いを感じさせる。

 それは国民、大衆のオバマ政権支持を回復させたいという狙いです。共和党には、「ポピュリスト的措置」との批判が既に出ている。不況に苦しみ、失業に喘ぐ国民には確かにウォール・ストリートは国の支援も受けて儲けすぎているように思える。だから特別課税に加えて、銀行の行動規範を絞ろうとした。

 しかし案であろうと、今回オバマが打ち出した計画は、実施されるとアメリカの金融のランドスケープを相当変える。まだ詳しく見てありませんが、新聞記事を読む限りは

  1. 預金保険機構に守られているか国の資金が入った金融機関の自己勘定取引の禁止
  2. 金融機関の過度の集中の抑制
 など。「1」の金融機関は要するに「商業銀行」ですから、幅広く預金を集めている銀行は今後はプロップ取引を出来なくなる。これは大きい。これは従来ポール・ボルカーが主張していた。ガイトナーやサマーズがどの程度今回の銀行規制に関わり、賛成したか分からないが、一部にはこの二人は政権からいずれ去るのではないかとの見方もある。

 この規制のメリット、デメリットはまた検討するとして、株が規制を嫌気して200ドルも下げたのは、オバマにとっては痛手です。アメリカ人は財産のかなりの部分を株で持っている。株が下がれば、ただでさえ不振な消費は落ちる。そうすればアメリカの不況は深刻化して、また失業が増えるかも知れない。

 あっちを立てればこっちが立たず。オバマは苦しい。日本の鳩山政権も苦しいが。


2010年01月21日(木曜日)

 (22:22)新しいエッセイがアップされました。「進む“不揃い”な多極化 世界の意志統一に高いハードル」と題しました。昨年末のCOP15の失敗を、「不揃いの多極化」の中で起きたことと私は位置づけました。ご一読を。

板生先生の研究室で  ところで、右の写真は午後5時から出かけた有楽町の「ウェアラブル環境情報ネット推進機構」の板生理事長のオフィスで撮ったもの。写真左手の若者は東京大学の梅田特認助教。実は映ってはいないが、彼の胸にはウエアラブルコンピューターのセンサーが着いていて、それを洋服の下に付けているのです。

 でそこから無線で彼の人体情報が手前の黒いボックスに送られ、その情報が有線LANでPCに伝わっている。つまりこれは梅田さんの体の状態をPCに写している、という形。つまり人体情報をそのまま表示している。その中には心拍数とか、体の緊張度とかいろいろな情報が入る。

 これは板生先生の基本的な考え方だし、私もそう思うのですが、人間は「情報を収集する動物であると同時に、常に情報を放出している存在」でもあるわけです。それはこの場合に使われているセンサーなどで拾える。

 そしてそれを正確に拾っていけば、その人の人体に起きる変化(例えば病状悪化などの)を補足できる。情報を拾う黒いボックスが何らかの形でPCに伝われば、センサーを付けた人は遠隔地にいても治療に必要な情報は得られる。ということは、「遠隔医療」が出来る事になる。実際にそのモデルプロジェクトが岩手県の遠野市、長野県の松本市などで進行しているようです。

 見せてもらって、非常に様々な可能性がある技術だと思いました。技術は生まれた時の想定とはしばしば全く別の形で進歩する。とりあえずはセンサーを取り付けた人の心臓、血管の圧力などをリアルタイムで知ることが出来るので、嘘発見器から恋愛調査などに使えるとも思える。

 いろいろなアイデアが出ましたが、まあここでは「いろいろ」くらいで止めておきます。研究室で一時話をした後軽い食事をしましたが、結構面白い話が出た。いくつかは実現して欲しいと。


2010年01月20日(水曜日)

 (23:48)ウォール・ストリート・ジャーナルなどに「ニューヨーク・タイムズは検討している」と報じられていた有料化に関して、当のNYタイムズが「The Times to Charge for Frequent Access to Its Web Site」と発表。

 同社は、「The New York Times announced Wednesday that it intended to charge frequent readers for access to its Web site, a step being debated across the industry that nearly every major newspaper has so far feared to take. 」(赤字部分は、「ほぼすべての主要新聞が、課題として検討しながらも読者離れの恐れから採用できなかった措置」)と説明。同紙は既に一回有料化を行っていたものの、その後撤回。今回もう一度の実施となる。同紙の発表は、

Starting in early 2011, visitors to NYTimes.com will get a certain number of articles free every month before being asked to pay a flat fee for unlimited access. Subscribers to the newspaper’s print edition will receive full access to the site.

But executives of The New York Times Company said they could not yet answer fundamental questions about the plan, like how much it would cost or what the limit would be on free reading. They stressed that the amount of free access could change with time, in response to economic conditions and reader demand.

 と、ちっとも具体的じゃない。料金がいくらになるか、どの程度の記事が自由に読め、その後の課金に繋がるのか、支払い方法は....と。しかも料金は「経済情勢と読者の需要で変動する」と。明確になったのは実施が2011年の始め、つまり一年も先の話だと。まあ難しいんでしょう。

 そう言えば日経もネットサイトの有料化を実施すると発表したまま、「ではそれがいくらになるのか、どういう課金システムになるのか」をまだ発表していなかったと思った。今年の春に始めるというのに。料金が高ければ読者離れが起き、料金が安ければ代替収入にならない、という矛盾。

 難しいが、日本での日経の課金、アメリカでのニューヨーク・タイムズの課金は、業界全体から「絶好のケース・スタディ」と考えられるでしょう。私は「新聞はきちんと継続に必要な料金を得られるべきだ」という考え方です。


2010年01月19日(火曜日)

 (23:48)いろいろな条件があるでしょう。企業の再生には。しかし案外単純でもあるのです。メーカーの場合は、お客さんがそのメーカーの製品を再び買いたいと思うのか。そして、サービス提供会社の場合は、お客さんがその会社のサービスを再び受けたいと思うかどうか。

 JALの場合は、今回リストラとかいろいろ発表したが、もう一度しっかりした会社になれるかどうかは、要するに「客足は戻るか」なのです。私は今のままの再建計画では、「どうだろう。なかなか難しいのでは」という考え方だ。なぜなら、まだ「ANAよりはJALに乗る」誘因がないからだ。

 リストラは大胆だし、現在の再建案は「安全性を犠牲にしない」という。しかしかなり思い切ったリストラだ。「切るのは安全運行に問題ない部分」という周知徹底をしないと、どこか乗る方には不安が残る。「乗ろう」という方向に乗客の気持ちを向ける方策がない。

  企業の再生問題が起こといつも思うのですが、今回の場合もJALには1兆円に近いお金が入る。とりあえずはタダのお金です。それだけタダのお金が入り、たとえばJALは「格安航空会社」を作るという。しかし考えてみたら、その格安航空会社が今まで健全経営を続けてきたANAの顧客を取ってしまったらどうか。

 「破綻した方が優位になる」という不思議な問題が生ずるのです。「破綻した方が有利になる」という現象。「しっかり頑張った方が不利になる」という理不尽な展開も予想される。それは好ましくない。

 それにしても、と思う。私がアメリカに行った最初の時は「パンナム」という会社で行った。アメリカのナショナル・フラッグだった。昔のPCは「ぱんなむ」と打って変換すれば、必ず「パンナム」と出た。しかし今は「パン南無」と出る。もう昔の、なくなった会社だという証拠だ。

 なぜナショナル・フラッグはダメになるのか。JALの地位も高いものだった。大学生の就職希望ランキングの最上位を何年続けて取っていただろうか。その慢心故か。またはナショナル・フラッグにはなんだかんだ虫が付きやすいのか。

 いずれにせよ、ANAが不利になるような展開にはしたくない。ANAはずっと「二番手」と言われながら、またそう見られながらも頑張って国内航空会社から今の国際的な航空会社の伸びたのだから。


2010年01月18日(月曜日)

 (10:48)先週でしたか、ある人から面白い話しを聞きました。それは、「ユニクロの回りには刺繍屋さんが多い」というものです。実はネットを調べれば分かるのですが、ユニクロ自身がこういう刺繍サービスをやっている。しかしそれとは別に、ユニクロの周囲には刺繍など、そうでなければ同じ服の形状やデザインを変えることをウリにする店が増えていると。

 その理由は明確です。それは同じ店で同じモノを買う人が増えると、「自分と同じ物を着ている人」が増えるからです。一番目立つのはデザインです。いわゆる「かぶり」。着る物にうるさい人は、「かぶり」には耐えられないでしょう。

 そこで、例えばユニクロに代表されるような店で買った代表的商品、例えばTシャツやフリース、ジーンズなどに自分独自の刺繍などをして、「世界で一つ」の自分のものを作る人が増える、ということです。刺繍は手がかかる。それを専門の人にやってもらおうという動き。なるほど。

 刺繍だけでなく、自分で世界に一つの着る物を作ってしまう人もいるらしい。NHKの「東京カワイイTV」がやっていて、それは「手作ラー」というらしい。面白い表現です。その番組によれば、問屋が多い日暮里と新宿にその聖地、つまり材料が大量に、多様に売っている場所があるとか。日暮里はまだ大学生の頃、中野で衣料品店をやっていた叔母に連れて行かれたことがあるのですが、確かに問屋さんが並んでいた。

 私が住む高円寺などもそういう町に近い。店には古着が並んでいるが、ああいう古着には新たに刺繍などが施されていたりするのでしょう。デパートなどもいろいろなサービスを取り入れていけば面白いと思うのですが、ただ新しい物を売っている。あれでは進歩がない。

 ところで、面白い本を読みました。「民主党代議士の作られ方」(出井康博著 新潮新書)というのです。今話題の中心の民主党ですが、そこの新人議員はどういうプロセスで国会議員になっていくのかを丹念に追っている。登場するのは二人の民主党の若手議員で、その二人を時には早朝から深夜まで取材している。

 読んでいて思ったのは、

  1. 国会議員になるには、驚くべき自己犠牲や日常生活、精神状態の抑制が必要だということ
  2. しかも時間のかなりの部分は勉強と言うよりは、地元の付き合いに費やされている
  3. これが一体優秀な国の政治家を生むシステムだろうか。そうではないのではないか
 という点だ。こうしたプロセスは、恐らく自民党でも同じでしょう。知名度のない人は、この本に描かれたようなプロセスで徐々に選挙民に知ってもらい、支持者を広げ、そして最後は投票してもらって代議士になる。しかし地元の人には最後の所では、「あいつを代議士にしてやった」という気持ちが残る。

 実態を丹念に追った面白い本なのですが、今回の事件のように気持ちがある意味沈み込む本です。「読んで爽快」ということにはならない。まあ国会議員の作られ方が分かるという意味では、面白い本ですが。その次に今「医薬品クライシス」(佐藤健太郎著 新潮新書)を読んでいるのですが、私が全く知らない分野の話しだけに、面白く読み始めています。


2010年01月17日(日曜日)

 (23:48)寝る前に朝日のサイトを見たら、日本のマスコミの中で今回は一番(早いという意味で)だと思うのですが、小沢民主党幹事長の政治資金を巡る問題の急展開(元秘書3人の逮捕という)後の最初の世論調査結果が出ている。土曜日、日曜日に実施した調査(рノよる全国対象)。その結果は、今後の政治情勢が民主党、それを率いる小沢幹事長の思惑通りには進まないことを示唆している。

 今回の問題に関しては、官僚機構の意志を受けて検察が意図的に民主党を狙い撃ちしているとかいろいろな解説がある。検察は恐らく、「小沢一郎」という政治家の全体像(検察から見た)の中で、今回の政治資金規正法に関わる問題をことさら取り上げているのだろう。

 これが正しいのかどうなのかは歴史の検証に待たねばならない問題だが、それはそれとして小沢幹事長の政治資金の動かし方が尋常ではなく、その意図に強い疑問が残り、それがしっかり説明されていないことは明らかだ。その点を民主党に政権を与えた国民がどう判断しているか、という意味で今回の世論調査結果は興味深い。

 そこで朝日の世論調査だが、「元秘書の石川知裕衆院議員らが逮捕された政治資金問題で、小沢民主党幹事長が責任をとって幹事長の職を辞任するべきだ」との意見が67%にのぼった、という。これは相当高い。さらに、鳩山内閣の支持率は42%と前回調査(12月19、20日)の48%から下がり、不支持の41%(前回34%)とほぼ並んだという。

 小沢氏の辞職は必要ないとの答えは23%。「辞職するべきだ」は民主支持層でも51%と多数だった。政治資金問題をめぐる同氏のこれまでの対応に「納得できない」は88%と圧倒的で、民主支持層でも81%がそう答えたという。まあそりゃそうでしょう。3億円が小沢さんの口座から出たとしても、どうして現金のまま長い間事務所に置いてあったのか、残りの1億円はどこから出たのか。

 証言も食い違っている。4億円の資金について小沢幹事長は「蓄えてきた、積み立ててきた個人の資産」と言っているのに対して、石川議員は「幹事長が親御さんから相続したお金」と言い、虚偽記載容疑に関しては、小沢さんが「計算間違い」と言っているのに対して、石川議員は「わざとウソを書いた」と述べている。この違いは大きい。つまりこの時点で犯罪が成立している。検察は既にこの一点で成果を挙げた。

 朝日によれば、今回の問題で民主党に対する評価が「下がった」とする人が59%おり、「変わらない」は36%。そうだと思う。あの党大会の雰囲気は、とても自由な空気溢れる公党と言えるものではなかった。異様な雰囲気さえ漂った。

 鳩山由紀夫首相の対応にも79%が「納得できない」としているという。その一方で、鳩山首相の資金管理団体の偽装献金問題については、首相は「辞任しなくてよい」が59%で、「辞任するべきだ」の30%を上回った。ただ、首相の説明に77%が「納得できない」としているという。

 全体に読み取れることは、国民はまだ民主党政権ではあってほしいと思っているのです。そりゃそうだ。自民党のこの2〜3年の政治は酷かった。首相がころころ代わったし、経済対応も酷かった。「民主党はもっと人材を活用して、清新な政治を行え」と国民は言いたいのだろう。

 他社の世論調査がどう出るかは分からないが、同じように民主党には厳しいものになると考えられる。政治集会に出て自らの立場を断片的に述べるだけではダメで、小沢幹事長には検察の聴取に応じるか、国民に詳細に説明する必要があるように思える。それしか民主党、または鳩山政権が支持率をカムバックさせる方法はない。


2010年01月16日(土曜日)

 (22:48)金曜日、昨日ですが、極めて勉強になるミーティングがありました。こちらからの要望を伝え、相手側からは開発の現状を聞き、そして最新機能について説明を受けた。

 何の話しかというと私が好んで使っているクラウドの一つである quanpについて。昨年末だったと思ったのですが、この興味深いソフトウエアの開発チームの方から、「一度機能説明などをさせてください」とメールがあった。私が良く使っていることをネットとか雑誌とかテレビの番組で知ったからだと。

 これは私にとってもラッキーです。quanp は非常に速い速度で使い勝手が良くなっている。しかしその全部をフォローしているわけではない。それを教えてもらえるチャンスをもらえるのは嬉しいことだと思ったのと、使っていると他のソフトに比べて「ここをこうして欲しい」という部分が多々ある。それをお伝えしたかったのです。

 金曜日はリコーさんのquanp の開発チームから二人の方がいらして、夕方から9時前までほとんど4時間くらいもっぱらこのソフトと、その周辺の問題について話しをした。

 私が今使っている典型的なクラウド・サービスは今は三つです。

 dropbox
 quanp
 google document

 上の二つはファイル保存系で、下はファイル作成系。同じ保存系でも dropbox と quanp はかなり違う。上はシンク系(コンピューター間でファイルをシンクロナイズさせる)で、下は非シンク系(単独系)です。この違いは大きい。例えば私は過去 dropbox を使っていて二回大きな失敗をした。それはファイルの移動の時に起きる。

 移動先がUSBなど外部記憶装置の場合は dropbox のフォルダからのファイル移動は drug and drop でも問題ない。しかし例えばデスクトップ上の別のフォルダに移そうとすると、drug and drop では dropbox 内から掴んだフォルダやファイルが消えてしまう。copy and drop しなければならないのですが、いつもやりなれているので全部指定(cont+A)して同じデスクトップ上のバックアップフォルダに掴んで落とそうとする。

 すると恐ろしいことが起きるのです。見る見る dropbox 内のファイル、フォルダが消えて、移動先の別のフォルダの中に移るのです。さらに恐ろしいのは、dropbox はコンピューター間でシンクロしますから、ほぼ同時に同じようにdropbox を使っている別のコンピューターのdropbox 内からもファイルやフォルダが消えるという事態になる。1ギガ以上のファイルやフォルダがあると、これを一回やると修復にえらく時間がかかる。この問題が起きるのは、新しいコンピューターに dropbox に入れたときなど。

 そこで重要なのは非シンク系の保存系ソフトとしての quanp です。ずっとdropbox の中で更新されたファイルがあったら、それが自動的に quanp の指定プレースの中に入ってくれれば良いと思っていた。

 どうやらそれが出来そうなのです。quanp の左下の「設定」を開いて、「自動アップロード設定」で、「登録するフォルダ」と「アップロード先のプレース」を指定すれば、問題は解決しうることが分かった。自動アップロードは15分置きだそうです。ちょっとかかるが、随分な改善です。そうすれば、あまりにもセンシティブな dropbox でファイルやフォルダの扱いを間違えても大きな問題は残らない。quanp に残りますから。

 もっとも quanpの抱える問題の一つは、dropbox に比べた場合の全般的なスピードの遅さです。まず起動に時間がかかる。プレース間を移動するのもちょっとキー操作回数が多すぎる感じがする。しかし私としてはなるべく quanp を私のファイル操作の主な対象としたいのです。なぜなら、dropbox が「最後は信頼できるだろうか」という疑問があるから。

 今回のミーティングで dropbox がアマゾンのサーバーを使っていることを知りました。しかし、要するにベンチャーなわけで、長い営業基盤と信頼感を醸成してきたリコーさんには、特に私のような日本人には信頼感が落ちる面がある。だから dropbox にはこのHPがらみのファイルくらいしか置いていない。であるが故に、 quanp にはdropbox 並みに使い勝手がよいソフトになって欲しいのです。アットランダムに書きますが、今回いろいろなことが出来るようになっていることが分かった。

  1. quanpのプレース内のファイルを、デスクトップ上のソフトウエアアイコンに乗せると(例えば秀丸)、そのままファイルをダウンロードして開くことができること(ただし戻しはオフィス以外は手順がいる)

  2. ブラウザやオフィス(2003と2007)には、サービス一覧からadd-in を入れると、直接アップロードが可能になること

  3. 「招待」の機能を使うと、別名義のquanp間でプレースの共有が可能で、その共有も編集権を持つ共有と持たない共有があること

  4. サイトのアングルの変更、プリント・サービス(宅配)、スライドショーの設定など様々な機能が加わっていること。ファイルのアップロードもいろいろ方法(「送る」もあるし、プレース指定してのフォルダから)がある

  5. ケイタイ電話で quanp 内のファイルを見れるようになったこと(quanp mobile)
 などが分かった。しかしまだ私にはやって欲しいことがある。
  1. 第一に、デスクトップ上のフォルダをそのまま drug and drop の形で quanp 上に移動させて、それがそのままプレースになるようにして欲しいし、その逆も可能にして欲しい
  2. MSオフィス以外のソフトウエアに関して、アップロードが可能なようにして欲しい。特にプレースから出したファイルを変更後に簡単にアップロード(戻し)ができるようにして欲しい
  3. FTPの対象に出来るようにして欲しい(これはHPを作っている人間にとって重要です)
  4. 写真のプリントサービスの中で、送付先を富士フイルムがしているように「近くのコンビニ」も入れて欲しい
  5. ipod ナノで撮った動画をquanp の中に入れると、上下がひっくり返ってしまう現象の是正(機種依存的な現象かもしれませんが)
 くらいだったかな。まだあったかもしれないが、その都度連絡することにした。もっともquanpにはちゃんとヘルプデスクがあるので、そちらで対応してもらって良いのですが。

 一つ分かったのは、個人が利用できるクラウドの中では、私が使っている三つはまず典型的なものであって、特にこれより優れたソフトはまだ出ていないということ。リコーさんには、個人向けのクラウドに最初に取り組んでいるのだから、頑張って欲しいし、私がこれだけ便利しているのだから、より多くの人がクラウドを使ってくれたら嬉しいと思うのです。

 それにしても、こういう役に立つミーティングは歓迎だな。勉強になる。勉強と言えば、今週の「世の中進歩堂」は、資源不足の国・日本を救うかもしれないエネルギー資源・メタンハイドレートです。海底を調査している東京大学の松本良教授が出演。日本近海であるお宝を発見。それが“燃える氷”と呼ばれる『メタンハイドレート』。見た目はドライアイスだが、溶けるとメタンガスを発生し燃料になるというもの。

 このメタンハイドレートですが、日本の天然ガス消費量1000年分という膨大な量が日本近海に、しかも手つかずのまま眠っているという。資源の乏しい日本で国産化が期待されている、知られざるエネルギー資源を紹介します。


2010年01月15日(金曜日)

 (16:48)今週は結構漢字の勉強をしました。というか読み方の。「柏原」とか「三田」とか。関西の人には別にお馴染みの地名でしょうが、基本的には関東の人間である私には、「えっ」という読み方があった。

 「柏原」は「かいばら」と読む。そう言えば以前「恐竜の骨が出た」というニュースに出ていた。しかし関東の人間には「かしわばら」としか読めない。この「かいばら」は大阪の人でも読み方を間違える人がいるらしい。猪鍋が有名だそうで、最近は鹿も出てくると言うことなので、市長さんもいらっした講演会で、「では猪鍋(ぼたん鍋)や鹿肉鍋(もみじ鍋)の店を並べた”花札街道”でも作ったら」と提案しておきました。そしたら、赤短、青短も必要だという人が出てきた。問題はそれらは、何を当てるか。ははは、結構皆さん喜んでいらっした。。

 「三田」は東京に「みた」がある。しかし大阪では「さんだ」です。まあそう言われば、読めないことはない。あと京都にも面白い読み方の地名がいっぱいある。奇妙な読み方の地名は関西に多い ?

 ところで、Gメールをチェックしようとサイトを見たら、右上に「Gmail がより安全になりました」というリンクがあって、以下のように書いてありました。

 Gmail がより安全になりました: デフォルトで HTTPS を使用

 HTTPS 暗号化により、ご使用のウェブブラウザと Gmail サーバーの間でやり取りするメールがセキュリティで保護されるので、行きつけのコーヒーショップで公衆の無線接続を使用している人に不正にメールを読まれるのを防ぐことができます。銀行やクレジットカード会社もこのプロトコルを使用してオンライン口座を保護しています。Gmail アカウントを保護するために、[常に https を使用する] オプションはデフォルトでオンになっています。このようなセキュリティをプラスすると Gmail の速度が遅くなることがあるので、暗号化されている無線接続を使用する場合は、アカウントの [設定] でこのオプションをオフにすることができます。この設定を変更しても、Gmail のログイン ページは常に暗号化され、パスワードを保護します。詳細については、こちらをご覧ください。

 メールの暗号化の標準化に関するお知らせ。グーグルは着実に手を打っていると言うことです。中国と同社の交渉がどう進むのか関心を持って見つめたい。


2010年01月15日(金曜日)

 (00:48)中国政府と対立姿勢を強めているグーグルが、矢継ぎ早に対抗策を打ち出している。この世界で情報が自由度の高い流布を許されるように、そして結果的に中国の民主化が進展するように、グーグルには頑張って欲しいと思う。

 まずグーグルは、無償の電子メールサービス「Gメール」の安全性を強化するため、メール文を含めて全面的に暗号化した。今までもGメールは暗号化の機能を備えていたが、実際に電文を暗号化するためには利用者が個別に設定する必要があった。今後はすべてのメールが自動的に暗号化される。

 既にこのコーナーで取り上げたように、グーグルは中国から組織的なサイバー攻撃(特に中国のGメール利用の人権活動家のメールに対して)を受けたと公表している。とすると、利用者としては「大丈夫だろうか」と心配になる。そこで、今回の暗号化全面採用の措置で、「Gメールは守られています」とのメッセージを送り、利用者の不安を払拭する狙いがある。

 グーグルはまた、2006年の中国進出時に中国当局に約束し、それ故にアメリカ国内で批判を浴びてきた自主規制、具体的には天安門事件などに関する閲覧自主規制を解除した。つまり、閲覧出来るようにしたのである。また事件などに関する写真閲覧制限も解除。グーグルとして、中国当局と全面対決するとの姿勢を示し、中国政府に揺さぶりをかけたものだ。

 天安門事件以外にグーグルが検索を可能にしたのは、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世などへの検索、それに関連した写真など。ただし検索は出来ても、表示されたサイトそのものの閲覧(リンク先閲覧)は依然として出来ないという。

 グーグルの今回の措置に関連しては、北京のグーグル中国本社には支持者らが集まり、支援を意味する花が贈られているという。またネット上では「言論の自由を大切にしている」とグーグル支持の声が上がった。

 中国外務省の姜瑜副報道局長は14日の会見で、グーグルが中国政府に検閲廃止を求め、話し合いの結果次第では「中国から撤退する」と表明したことについて「国際的なインターネット企業が中国で法に基づき業務を展開することを歓迎する」と強調したという。これはとりあえず、グーグルを中国としてを引き留める姿勢を示したものだ。

 グーグルが撤退した場合の中国市場の信用失墜や同業他社への撤退波及を懸念しているとみられる。グーグルの決定に対しては、マイクロソフト、ヤフーなどが支持を表明している。姜副局長は、グーグルが中国国内からサイバー攻撃を受けたと非難していることについては、「通報を受けた場合には、関係部門が調査すると信じている」と述べ、同社からの通報を待って捜査が実施されるとの認識を示した。けっこう白々しい対応だ。

 また同局長は、クリントン国務長官がサイバー攻撃について「非常に深刻な懸念と疑念を抱く」と中国政府に説明を求めていることについても「米国側に改めて立場を説明する」と言明し、政府間協議に応じる姿勢を示したという。

 グーグルと中国政府の話し合いはまだ始まったばかりだ。結果がどう出るのかは分からない。グーグルとしては「グーグルとして出来ること」を示して、中国政府の今のネットに対する姿勢の変更を求めていくのだろう。国民一人あたりGDPが3000ドルに達した中国で今後必要なのは、自由な情報である。それを規制しているのは中国の今の体制が本当のところベースが脆弱で、それ故に対応が硬直的だからだ。

 草木もなびく中でグーグルが中国の体制と戦っている姿は痛快だ。支援を惜しみたくない。


2010年01月14日(木曜日)

 (13:48)仕事で名古屋に行こうとして東京駅の新幹線ホームに向かうために階段を上り始めたら、隣のエスカレーターに知り合いの毎日新聞の幹部が。「ありゃ、今日はどこですか」と聞いたら、「大阪へ」と。

 ちょっと立ち話をして、「そういえば火曜日のクローズアップ現代に、朝比奈さんが出ていましたね」と言ったら、「もう大変ですよ」と彼。朝比奈さんは私も昔から存じ上げていて、今は毎日新聞の社長さんです。今週の火曜日のクローズアップ現代は、世界(といっても日米が中心)で進む新聞業界の苦境を取り上げていた。この中で毎日新聞は、「地方紙とのニュースの共有の話を進めている」と紹介されていた。朝比奈さんは社員を集めた会合で、「発表を記事にしているような記者はいらん」と。

 火曜日のクローズアップ現代は、夜所用があったので途中までしか見られず、水曜日だと思いましたが、NHKオンデマンドで見直したのですが、収入に占める広告のシェアが大きい分(日本は配達制度の発達により購読料が大きい)アメリカの新聞の苦境の方が明確であるにしても、日本でも進む新聞業界の苦境がくっきり浮かび上がっていた。不況に加えての構造変化。

 今朝の私も出ていたこの番組もそうですが、朝の日本のテレビ番組の非常に多くの部分は、新聞記事の分析に費やす。これは暗に、世の中のニュースの取り上げ方、分量の基準は新聞ですと言っているわけです。そういう番組は日本には多いし、実際の所日本人のニュースの取得において新聞が果たしている役割は大きい。

 しかし、アメリカではあの番組にあったように、地方では新聞が次々に姿を消して、ニューヨーク・タイムズも記者の大幅なリストラを迫られ、その対象にはピューリッツァ賞を取ったような記者も含まれる。ワシントン・ポストの苦境はこのコーナーでも取り上げました。同紙は、アメリカを代表する新聞でありながら、国内の支局をほぼすべて閉鎖した。

 毎日がやろうとしていることは、私の理解では各地方に取材網を維持するのは経費的には無理であり、従って地方紙と組むことによって地方のニュースを地方の新聞の取材網で拾い、その分自社の取材網を縮小したい、ということです。むろんワシントン・ポストのようなドラスチックなことはしない。しかし、既に削りきったコストを減らすにはネットワークの縮小・再構築もやむを得ないという判断なんでしょう。

 日本はどの業界もそうですが、非常に同一業界における参加企業が多い。朝日と毎日は「800万部」を売り物にしている。それに加えて毎日があり、サンケイ、東京があり、各地方には有力地方紙がある。経済分野では日経があり、その日経は産業新聞もあればヴェリタスもある。

 これははっきり言って良いことです。選ぶ方にすると。しかし、消費者に全く別な選択肢としてネットが出てくると、話は別になる。私の場合でも過ごす時間という意味では、はるかに新聞よりネットの方が長い。新聞は一日にいくら頑張っても2回しか配信できない。その間にもニュースは刻々と変わる。今では何をしていても速報はケイタイに入る。

 ネットで課金がうまく出来るシステムは、非常に少ない。よって広告に頼ろうとするが、その料金は紙の比ではなく低い。ネットシフトしても新聞社が回らない大きな理由だ。アメリカではウォール・ストリート・ジャーナルが比較的うまくいっている。課金システムの話です。日本ではそれを今年の春から日経が追随しようとしている。各社日経の動向を固唾をのんで見守っているのでしょう。自社にも何が出来るか、と。

 それにしても、アメリカでは新聞を公的資金で支えるべきか否かという議論が起きていることは驚きです。しかし「新聞だけがジャーナリズムではない」という意見もある。それはその通りだが、記録として残る新聞は、検証、調査報道のやはり先頭を走っていると思う。それがなければ権力の監視は難しい。

 そういう意味では、社会として新聞の保持を計ることは非常に重要だと思う。「数年の内に紙の新聞はなくなる」という発言も紹介されていたが、新聞社サイドも知恵を絞る中で、我々も新聞を助ける努力をしなければならないと思う。その為には、非常に多くの試行錯誤が必要だろう。


2010年01月13日(水曜日)

 (23:48)巨大なマーケット故に草木もなびく中でグーグルが「中国からの撤退」を検討していると発表したことは、米中関係だけでなく、中国という国の形が世界にコンフォーム出来るのかどうかの非常に重要なメルクマールになりそうだ。

 グーグルは「highly sophisticated and targeted attack on our corporate infrastructure originating from China」(中国起源のグーグルのインフラに対する非常に洗練された、狙いを絞った攻撃があった)と指摘している。ただしそれが中国政府そのものか、または同国の諜報機関によるものかは調査中としている。

 では中国オリジンと思われるグーグルに対するサイバーアタックは、何を狙いに行われたのか。それに関してはグーグルは「a primary goal of the attackers was accessing the Gmail accounts of Chinese human-rights activists」(中国の人権活動家のGメールアカウントが主目的だ)と指摘。

 つまり、グーグルそのものと言うより一種のクラウドサービスであるGメールで中国の人権活動家がどういうやりとりをしているのかの内容をチェックしようとした、ということだ。ただし、中味には到達せず、流出したのはいくつかの周辺情報だけだったと言われる。いずれにしても、人権活動家のメールをチェックしようとしていたのだとしたら、普通に考えると中国共産党か政府、または関連機関を背後に持つ勢力と考えるのが自然だ。

 グーグルはさらに「The attack targeted as many as 34 different companies or other entities, according to two people familiar with the investigation, which has been under way for weeks.」と述べているが、グーグルそのものはこうした企業の名前は明らかにしていない。しかしアドビ・システムズは「グーグルが指摘するような攻撃を受けた」と述べている。

 グーグルは今後数週間にわたって、中国政府と「検閲」について協議する、と述べている。つまり、話し合いの進展具合では中国に残る可能性もあるということだ。グーグルは2006年に中国語のサービスをはじめるに当たって、一種の「検閲」に同意したと言われる。世界中の人権活動家やネット世界からこの「検閲同意」は批判された。「グーグルも中国としての市場の大きさに負けた」と。

 今回の決定は、グーグルのインフラそのものに対する攻撃であることが、「撤退」という大きな決断に繋がるかもしれない検討を進めていると思われる。中国には「百度」という検索サイトがあって、これが非常に強く、グーグルのシェアは20%ほどだと言われる。

 しかし今回はそういう問題ではない。ウォール・ストリート・ジャーナルには次のようなグーグル関係者の言葉が紹介されている。

 "We have decided we are no longer willing to continue censoring our results" on Google's China Web site, Google.cn, the company's chief legal officer, David Drummond, said in the post."We recognize that this may well mean having to shut down Google.cn, and potentially our offices in China," he wrote.
 それにしても日本で進む政治資金を巡る動きは、「もうそろそろはっきりしてくれ」という印象ですね。なにせ日本の政府と与党のトップの二人が対象ですから。こんな状況が続いたら政治の運営そのものに必ず影響が出てくる。小沢さんもその4億円がどこから出てきたのかを含めて明確にすべきでしょう。


2010年01月12日(火曜日)

 (23:49)羽曳野市というところは行ったことはないが、大阪滞在中に起きた事件なので、やはり興味を持って見守りました。ちょうど外で何人かと食事をしている最中で、しばし全員でケイタイの速報に見入ると同時に、いろいろと推測した。

 真相はまだ不明ですが、使われたのは「ライフル銃」(最初猟銃という報道だったような)、発砲があった場所が「居酒屋」というちょっとあり得ない組み合わせ。死者が4人という悲惨な事件で、何があったのか知りませんが、周囲にいた人たちは相当びっくりしたのでは。

 ところで、数日前に「中国の出口戦略」を取り上げましたが、12日にはより明確な措置に中国人民銀行が出ました。それは、金融機関から強制的に預かる資金の比率を示す預金準備率の引き上げ。引き上げ幅は0.5%。中国が同率を引き上げるのは、2008年6月以来1年7カ月ぶり。つまりリーマン・ショック後では初めて。非常に明確な引き締め方向での政策変更である。

 中国共産党・政府は昨年12月の中央経済工作会議では「適度に緩和した金融政策」の堅持を決めていたが、一部の主要都市などの不動産市場で「バブル」も生じており、金融緩和政策からの脱却に踏み切った形だ。このバブルに対しては、一般国民の間から「家などが買えなくなった」との不満が強い。

 もっとも広い中国のこと。依然として経済状況が良くない農村の小規模金融機関などはこの新しい措置(18日実施)の適用対象外となった。引き続き農村経済は緩和策が必要であるとの認識に立つもの。中国人民銀はこれまで、景気刺激のための金融緩和を続けるとともに、輸出企業支援のため人民元売りドル買い介入で元の対ドル相場が上昇するのを抑えてきていた。

 その結果は、輸出の伸び(昨年中国は世界第一の輸出国になった)が続く一方で、国内では過剰流動性が生じ、これが上海や北京など主要都市を中心に不動産バブルが発生させていた。その結果の、「都市経済を対象とした出口戦略、引き締め措置」となった。

 そもそも人民元を不当に安い水準に据え置いていることが過剰流動性を生んでいるわけで、国内の過剰流動性を押さえようとしたら、人民元を切り上げることが本当は必要だ。市場では「都市対象の引き締め」に続いては通貨切り上げがあるのではとの思惑もあり、外国為替市場では円を含めた通貨に買いが戻っている。

 もっとも中国は「人民元の切り上げ」を否定しており、この引き締めがどのくらい都市の不動産バブルを抑制できるかは不明である。中国は高い成長率維持とインフレ(バブル)の抑制という両立が結構難しい目標を、通貨切り下げなしで行おうとしている。


2010年01月11日(月曜日)

 (23:49) 1360万台 対 1040万台

 前者が昨年一年間で売られた中国での乗用車・商用車の数、後者は昨年一年間でアメリカで売却された軽車両(light vehicles)の数。アメリカではこれに加えて50万台の重商用車両(heavy commercial vehicles)があるが、この両方を合わせても中国の1360万台にははるかに達しない。

 各国いろいろな分類があるのでしょうから、台数をただ直接比較しても問題がある。しかし1360万台対1090万台では、台数ベースではやはり「中国が世界で一番車が売れる市場」になったということは間違いなさそうです。

 バリューベース、つまり販売額ではどうなのかは分かりません。やはりアメリカで販売される車の価格の方が平均して高いでしょうから、この差は接近する可能性が高い。しかし人口3億のアメリカ。対して人口13億の中国。この差は大きいので、もしかしたら乗用車販売台数で見た世界一の地位を、当面アメリカが中国相手に抜き返すことは今後当面ないかもしれない。中国で内乱でも起きない限り。

 中国でもアメリカでも、乗用車販売に対するインセンティブが今年一定期間実施された結果の数字だ。確か中国の方が長かった。もっとも今年はこうしたインセンティブは今のところ予想されていないので、図式は違ってくる可能性が高い。それでもアメリカの専門家でも、米中では今年も200万台の差が付くと見ているようだ。

 なにせ、両国では全く勢いが全く違う。例えば昨年12月の中国における乗用車・商用車の販売台数は141万台だったそうだ。これは前年同月に比べて91.7%の増加。つまりほぼ倍増したということ。2009年の一年間では中国の車販売台数は46.2%も増加した。これに対して、アメリカの昨年の販売台数は一昨年に比べて21.2%の減少。これだけ増減の差が出ると、対象をアメリカにした「チャイナ・クロス」は当然起こる。

 米中ももうちょっと詳細の数字が出てきたら面白い比較が出来るかもしれない。例えば昨年の日本では、プリウスが20万台を上回って初めて「販売台数日本一」になった。おそらくハイブリッド車がある国で一番売れた台数になったのは日本が最初でしょう。トレンドは出ている。

 しかし台数がこれだけ違うと、世界中のメーカーが当面は台数稼ぎでは中国に注目するのは分かる。抱える人口が大きいというのは、中国にとって将来の大きな問題ですが、当面の「経済力」という観点では圧倒的です。


2010年01月10日(日曜日)

 (23:49)なんか年末・年始の日本は気勢を削がれるような気がしません。年末は23日が休みになったことで、嬉しいながらも「年末の忙しさ」というのがちょっと途切れる形に。「忙しさを一気に、かつ連続的に乗り越えて年末を迎え、それで正月」というのがそれまでの流れだったが、今はお休み分の一呼吸が入ってしまった。

 年始はいよいよ三が日も明けて「さあ働こう」という時期に、今回のような3連休。私の場合、明日11日は月曜日で収録日となっていていつも通り働くのですが、そうでない人は正月に休めて体力があまっているのに、もう一回休んで今度は体をなまらせてしまう、気力も散漫になる。そう感じる人も多いのでは。

 休みが多過ぎると言っているわけではなく、もうちょっと並びが社会全体のリズムに合わせた方がいいような気がするな。まあ3連休ともなれば結構人が出ていて、今日も所用があって東京ミッドタウンとか新宿に行きましたが、それはそれは大勢の人が出ていた。それは良いのですが、冬だし行くところもないので来ているような人が多かった。

 今夜のテレビでは、NHKのメガクエークが面白かった。シアトルの話しは初めて聞きました。300年ごとに大きな地震が来ている、という。「もういつ来てもおかしくない」状況で、それは日本の東海、東南海、南海と同じだと。

 日本が四つのプレートの交差の上にあるというのも改めて見せられた感じ。地震は一部では予知も成功しているようですが、出来て月単位ということなので、まだまだアバウトです。文句を言っているが天気予報の方がはるかに当たる。

 番組が1700年に起きた大きな地震を掘り起こしていたのにはビックリしました。そんなことが分かるのか、と。日本の昔の人が書いた日記が一つの手がかり。何かを書き残しておくと言うことは重要だということでしょうか。


2010年01月09日(土曜日)

 (23:49)米雇用統計(12月)は、「もしかしたら大幅なプラスになるのでは」と見られていただけに、非農業部門就業者数が8万5000人もの減少になったのはやや予想外でした。失業率の10%も、一桁台への低下という予想もあっただけに、やや高止まりの印象。

 発表された当初、knee-jerk reactionとしてはドル安の方向に動きましたが、その後は動きも止まって92円台中心の動き。ぶれやすい統計であることは昔から知られていて、11月分は同就業者数は当初11000人の減少とされていたが、今回改訂されて4000人の増加(1年11ヶ月ぶり)となった。まあこの分が、ある程度、12月の予想外の就業者数の減少のインパクトを相殺したと言える。

 それにしても、去年一年間でアメリカで職を失った人が累計で416万人、08年の1月(リセッション開始は07年12月)からだと724万人になったと聞けば、深刻な事態であることは間違いない。雇用は多くのケースにおいて所得と直接繋がっている。だから雇用統計の数字は、しばしば政治家の人気に直接的に響く。

 失業率は10%で11月から横ばいだが、これは「多くの人が職探しを諦めたため」(その数字は66万1000人とされる)と言われる。であるからして、@職探しを諦めた人 Aフルタイムの職がないので、パートタイムで凌いでいる人ーーを含めた「広義の失業率」は、12月は17.3%と11月の17.2%から上昇した。これは考えればどえらい数字です。

 むろん経済の動きは一国の政治家のコントロール範囲を超えているケースが多いが(グローバル化で)、政治家はしばしば「自分には出来ます」と改善を約束するし、その権限(予算配分やシステム構築)の中で事実出来ることもあるので、経済の悪化ではその責任を問われる。

  これだけ雇用が減ると、当然いろいろな影響が出てくる。昨年11月の米住宅販売が11.3%も減少して昨年4月以来の低水準になったのは、雇用環境と無関係ではない。住宅販売の一つの誘因は「将来への自信」だが、今のアメリカでは明らかにそれが低下している。11月の新築一戸建て住宅販売件数は35万5000戸と4月(34万5000戸)以来の低い水準。補助金切れで落ちることは予想されていたが、11月の数字は市場予想の42万5000戸を大幅に下回った。

 私が注目したもう一つの数字は、11月の米消費者信用残高の大幅減。8.5%も減少して29年半ぶりの大きなマイナス幅となった。米家計によるクレジットカードや自動車ローンの利用が大幅に減っているためで、米連邦準備理事会(FRB)が8日発表した。

 それによると、昨年11月の米消費者信用残高(速報値、季節調整済み)は、2兆4646億ドル(約228兆5000億円)で、前月比年率換算で8.5%減。10カ月連続のマイナスで、減少幅は1980年年5月以来29年半ぶりの大きだ。

 金融機関がローン審査を厳しくしているのに加えて、雇用・賃金情勢や資産価格の先行き懸念から家計も消費に慎重になっていて、クレジットカードなどの「回転信用」(リボルビング型)が年率換算で前月比18.5%減で特に落ち込みが大きかった。マイナスは14カ月連続。

 これはアメリカの消費者が、「借金頼みの消費」をあまりしなくなったというプラスの側面もある。しかし、その分だけモノやサービスは売れなくなる。一方、自動車ローンなどの「非回転信用」は同2.9%減にとどまっている。家はしっかり考えて買っているという図式か。しかしアメリカが人口が増え続ける国(毎年250万人程度)であることを考えれば、増えないのは経済状態が悪い証拠である。

 この週末に掛けて色々出てきた数字を見ると、株式市場は期待先行で上がっているし、株の役割はまさにそれですが、やや市場の楽観論が先行している印象はする。もっとも企業は別に上場当該国だけで活動しているわけではなく、途上国でも積極的な販売活動もしているので、その分は認識しておく必要がある。

 この週末に掛けては、欧州でも予行統計が発表されたが、ドイツはまだ7%台で比較的低いが、フランスなどの国は軒並み10%台。日本を含めて先進国の雇用は依然として厳しい。


2010年01月08日(金曜日)

 (06:00)日本の新聞には取り上げられていないようですが、中国はどうやら「出口戦略」というか、金融引き締めの方向に金融政策の舵を切り始めたようです。ニューヨーク・タイムズによると中国人民銀行は7日、昨年8月13日以来1.328%に固定していた三ヶ月物中央銀行短期証券の金利を1.3684%に引き上げたという。

 この0.05%ポイントにも満たない小幅な金利の引き上げは一見「ごく小さい」もののように見えるものの、多くのエコノミストは「この引き上げは今後生ずる一連の金利引き上げの先駆けになる」と考えているという。

 同紙は今回の中国中銀の措置を「Turning Point」(転換点)と表現しているが、今の中国の主要都市で不動産投資の過熱からバブルが生じていると言われていて、それが民衆の「家が買えなくなった」という不満に繋がったりしていると伝わっている中では、「金融政策の転換点」になる可能性がある。中国の金融市場には、「インフレの芽」は随所に見られる。

 ニューヨーク・タイムズは、その引き締め措置の持つ意味に関して、

Thursday's slight increase in interest rates could prove even more significant if it marks the start of an effort by Chinese regulators to limit bank lending. Chinese banks have not only lent heavily at home, but stepped up lending in other countries as well, taking market share from Western banks hobbled by the global financial crisis.

Top officials at the People's Bank of China concluded an annual two-day policy review on Wednesday with a lengthy statement that had particularly strong cautions against bank lending to sectors of the economy with overcapacity or excessive energy use. Chinese bank regulators also warned banks in late November to show more caution in lending and raise more capital to underpin the surge in lending they have already done; the publicly traded Bank of China is widely expected to take the lead in raising money this year.

 と国際的な意味合いも指摘している。緩い金融政策を背景とする中国の銀行の果敢な融資政策が、国際的な融資市場で海外の銀行からシェアを奪っているとは知りませんでした。中国の銀行の融資が、この文章でも書かれているように非効率な分野に向かったり、国有企業を通じて不動産投資に向いていることは良く知られている。

 中国の今年の政府の成長率目標は8%だが、多くの見通しは「9%を上回り、もしかしたら10%に達する可能性がある」というものが多い。つまり、中国経済は「過熱」していることになる。今読んでいる「中国 巨大国家の底流」(興梠 一郎著 文藝春秋)という本には、その事が詳しく書かれている。この本はまた改めて紹介しますが、なかなか面白い本です。

 中国に関しては、伊藤 洋一の Roundup World Nowの元旦特番「第560回 中国スペシャル 」を聞いていただいても良いと思います。この番組はポッドキャストからも聞くことが出来ます。ビジネス部門で一位を続けています。

 中国に関連するのですが、今朝このサイトで、私のエッセイがアップされましたが、中国を含むBRICs、さらには途上国全体の世界経済における地位を考えるには良いと思います。


2010年01月07日(木曜日)

 (16:00)ははは、菅・財務相の市場へのインパクト発言の第一弾は円安方向でしたか。「もうすこし円安がいい」というちょっと直接的すぎる発言。アメリカあたりからリアクションがあるかも。

 藤井さんは存在するだけで「円高誘導」の気配のある人でしたから、それと比べると菅発言への第一印象としては「分かってらっしゃる」ということでしょうか。彼としてはまだ慣らし運転でしょう。今のデフレの日本経済にあっては、また日本経済が「需要」面では海外の需要も取り入れざるを得ない状況の中では、今の為替相場の望ましい方向は明らかに円安です。

 多分財務省の人達にとっては、菅直人という人は体質的に合わないという人が多いのでしょう。特に上の人の中には。何せもともとは市民運動の指導者だった。財政とか金融とかにはあまり縁のない世界に居た人で、また権威主義的な側面もある。

 もしかしたら次の総理大臣になるかもしれず、今の衆議院の議席数から見て暫く続く与党の大幹部という意味では、組みするに遜色はない人でしょう。財務省の内部にいたのでは是正になかなか着手できなかった無駄・非効率の排除を行うチャンスでもある。多分若い人達の中には、今回の人事を歓迎するムードがあるでしょう。そういう意味では、菅さんにとっても正念場であるし、財務省にとっても手強い相手とどう対処するのかという大きな課題が出てきた。別に日本は役所だけで動いているわけではないが、民間と足並みが揃った方がパワーは出る。

 月曜日から取りかかった映像処理に関しては、だいぶできるようになりました。映像をソフトに取り込み、不必要な部分を切り取り、必要な部分にタイトルを入れ、そしてそれが終わったら「出力」にかけて完成度を確かめる。今のところディスクへの保存はしていない。もともとそれ多くて嫌だから取り入れているわけだから。

 一つ分かったことは、映像のファイルは重いし、処理に時間がかかるということです。ワードくらいの文章だったら何でも直ぐに出来る。切り取りでも。テキストファイルを扱う人間としては、ファイルは機敏に動いて当然と思っている。

 しかし映像ファイルは、「編集」にしても「出力」にしても時間がかかる。素材のビッド数が大きいのだから仕方がない。一つ得たコツは、「ゆっくりやる」ということです。クリックしても、向こうが直ぐに反応しないこともある。少し待つ余裕が映像ファイルを扱うコツだと。

 しゃれたタイトル入れとか、見事な音楽入れは自分が昔撮ったビデオなどにしてみようと思っています。


2010年01月06日(水曜日)

 (08:00)これもいつになったら日本に入ってくるのやら、という感じですね。グーグルが初めて公開したアンドロイド(OS)携帯の「Nexus One(ネクサス・ワン)」。iphone やブラックベリーと直接対決することになるスーパー・スマートフォン。アメリカで5日に発表になった。

 その特徴をウォール・ストリート・ジャーナルは、

  1. is the first Android phone that may make Apple nervous because it does a few things better than the iPhone, Walt Mossberg says.(いくつかの点で機能でiphon より優れ、アップルを不安にさせるもの)
  2. First, the search giant is bringing out a beautiful, sleek new Android phone, the Nexus One, built to its specifications.(グーグル仕様に仕上がっており、綺麗で、すべすべしている=同紙の写真で見ると確かに)
  3. Second, it has decided to offer the new phone and future models to consumers directly, unlocked, via the Web, and then invite multiple carriers to compete to sell service plans and subsidized versions of the hardware.(まずは端末をネットで直接消費者に売り、その後キャリアにはサービス・プランを競わせ、利用料を安くさせる方式)
 すでに初日からグーグルの長年のパートナーであるT-Mobileの米国子会社がネクサス・ワンをサポートする方針を明らかにしたという。企画・立案はグーグルだが、実際にモノを作るのは台湾の HTCで、グーグルからの直接の販売価格は529ドル、約5万円と。ただしT-Mobileのオンラインショップで2年契約で購入すると179ドルになるらしい。

 昨日はアップルの「タブレット」、そして今日はグーグルの「ネクサス・ワン」。次々に新しい製品が生まれるアメリカは、やはり底力があるということでしょうか。なんかうらやましいですね。作ってすぐにそれが世界市場に出せるという有利さもある。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、キャリアーからの補助金なしの5万円近いマシンは、イギリス、香港、それにシンガポールでアメリカと同時販売となるそうで、その場合にはキャリアーと個々に契約し、SIM cardを差し込むことによって使えるようになるという。但し書きとしては、「This initial unlocked phone won't work with Verizon or Sprint in the U.S., nor on AT&T's 3G network, only the latter's slower network.」とある。

 iphone と比べると、「The Nexus One has a larger screen than Apple's phone, and is a bit thinner, narrower and lighter. And it boasts a better camera and longer talk time between battery charges.」だと。つまりiphone よりスクリーンは大きく、重さは軽く、薄く...と。実際に2週間使った人は、「I've been testing the Nexus One for a couple of weeks and I like it a lot. It's the best Android phone so far, in my view, and the first I could consider carrying as my everyday hand-held computer. It is a svelte gray device with a 3.7-inch, high-resolution screen; a thin strip of buttons underneath for home, back, menu and search; and a trackball.」と。

 まあ使ってみなければ本当のところは分からない。そもそもフェリカの付いていない海外のスマートフォンに対しては、私はどちらかというと今は懐疑的です。フェリカは絶対は外せない。PCはいつも持ち歩いているので。まあでも、手にとってはみたい。


2010年01月05日(火曜日)

 (10:00)タブレットね。普通は「錠剤」と訳すのですが、今年はちょっと違う。アップルの新しいデジタル・デバイスの名前です。言ってみれば、「超」多機能端末。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは以下のようにその機能を説明している。実に多機能です。今月末に発表、そしてもしかしたら3月発売と。値段は500ドル〜700ドルになる可能性が高いようだ。むろん最終決定ではない。

The tablet is expected to be a multimedia device that will let people watch movies and television shows, play games, surf the Internet and read electronic books and newspapers. Though companies like Toshiba Corp. and Hewlett-Packard Co. have introduced Windows-based tablet computers before and Amazon.com Inc. and others sell similarly-sized digital-book readers, people briefed by Apple say the company intends to carve out a new product category.

With the new device, Apple wants to change the way consumers interact with a variety of content, these people said. Textbooks and newspapers, for example, could be presented differently through color screens, a touch interface, and the integration of live up-to-the-minute information from multiple sources.

 価格と同時に、私にとっての一つのポイントは大きさと重さです。重さについては情報がないが、サイズに関しては「the new product will come with a 10 to 11-inch touch screen which would make it closer in size to Apple's line of MacBook laptops than its smart phone. 」とある。iphone よりもMacBookに近いとは結構大きい。ということは重さも結構あると言うことでしょうか。PCに比べて開く作業がいらなくなる ? 形はiPhoneの親分のようでしょうから。

 興味はあるが、日本では発売は遅れるでしょうし、私にとっては日本語の作成能力がどのくらいになるかです。一つ良いのはこれが使えるとなると、キンドルを買う必要がなさそうと言うこと。


2010年01月04日(月曜日)

 (16:00)うーん、今年最初の具体的な、そして直近の目標は実は動画、それにさらに出来たら静止画(デジタル写真)を何本かの連続ファイルに編集できるようになることなのですが、なかなか難しい。

 ソフトを買ってきたのは、つい先日です。1月の3日だったと思った。サイバーリンク社のPowerDirector 8というのにした。そりゃ、「簡単」てうたってありますよね。しかし、なかなか前に進まない。数時間やっただけですが。ちょっとしたコツだと思うのですが。動画はトリムしたいところがいっぱいある。

 部屋には、ビデオや写真がいっぱいある。自分が番組に出て、それを放送局が送ってくれたDVDもいっぱい。それを整理しておこうということです。今のままだと膨大な数になってしまう。まあ一週間くらいで技術を習得して、徐々に時間のある時を見つけておまとめを考えています。

 既に「PowerDirector 8」を使っている人がいたら、何かアドバイスを。まだトリムも出来ない状態です。どうやら、専門家などはアドビのソフトを使っているらしいのですが、まあ買ったソフトで当面は格闘と思っているのです。


2010年01月03日(日曜日)

 (21:00)ははは、今年は年初からちょっと太っ腹で行きましたよ。「伊藤 洋一のラウンドアップ・ワールドナウ」の年末プレゼントですが、最初は局から富士通のネットブックを3台献上すると言うことでスタートしたのですが、あまりにも応募が多く予想を上回ったので、その3台に加えて私から2台を追加プレゼントしました。

 その「追加の2名」の発表があった元旦放送分は、ポッドキャストのビジネス・セクターのトップを走っていて、多くの方々にとって興味があったのかなと思っています。この回は以前も書きましたが、非常に面白い。実は私もいまこの文章を書きながら柯隆(か・りゅう)さんの話を聞いているところです。

 今年も中国は非常に関心を払うべき国です。良い面も悪い面もあって。柯隆さんの話は、彼自身が南京の出身で、中国事情には非常に詳しい。その意味で、その大きな参考になるのではないかと思っています。

 中国と言えば3日の昼間は横浜の中華街に行きましたが、相変わらず人が多かった。しかし時間の問題もあるのでしょうが、去年よりはちょっと少なめかなという印象。よく見ると中国からの団体旅行のような集団がいくつか。以前は中国の人は春と秋の連休によく日本に来ていたのですが、最近は季節を問わずに日本に来ているようです。


2010年01月02日(土曜日)

 (21:00)ははは、新年二日目。2010年はどんな年になるのだろう、と思いながら軽くネット歩きをしていたり、友人からのメールを見ていたら、結構面白い資料が集まったので、ここに掲載します。  まず直近の話題から。世界の金融市場に小ショックをもたらしたドバイ。そしてそのドバイを象徴するのはあの建設中だった世界一高いビルですが、どうやら4日にオープンとなりそうです。確かシンガポールの新聞を読んでいたら、次のような記事があった。

DUBAI - ONCE-BUSTLING Dubai will open the world's tallest skyscraper on Monday, boasting new limits in design and construction, hopeful of polishing an image tarnished by the debt woes afflicting the Gulf emirate.

Emaar, the giant property firm part-owned by the government and which developed the needle-shaped concrete, steel and glass structure, has declined to reveal Burj Dubai's exact height.

Apparently wanting to maintain the suspense, the company will say only that the tower exceeds 800 metres (2,640 feet), putting it far higher than Taiwan's Taipei 101 tower (508 metres).

Bill Baker, a structural and civil engineer and partner in Chicago-based Skidmore, Owings and Merrill (SOM), which designed the tower, said Burj Dubai has set a new benchmark.

 「正確な高さを明らかにしない」というこの姿勢。いつまでも世界一でいたいが故に、正確な高さを明らかにしないのでしょう。そんなにこだわりたいものですかね、世界一に。

 次は今年の中国の成長率に関して。北京発のニュースです。「 CHINA is expected to grow by about 9.5 per cent in 2010」と。これは国営メディアが報道している。公式の成長率見通しは8%だから、かなり高い。では何を原動力とするのか。「The world's third-largest economy will be boosted by double-digit growth in real estate investment and mild inflation, the State Council's Development Research Centre said in a report published in the China Economic Times.」と。つまり二桁増の不動産投資が主だと。まあり健全ではない成長だと言うことです。

  最後は、結構多くの人が注目している一つの見方です。私は忘れていて、小林君が教えてくれた。「予測」とか「予想」と言わずに「考え方」とするのは、作者であるBruce Krasting が「 What looks predictable rarely happens. There are always surprises. I have been tripped up so many times. The following are not predictions of things that will happen. Just some thoughts on what might happen in 2010.」と言っているからです。  それでは、「2010年に何が起こりそうか」に関するブルースの考え方を。ドル・円相場に関するドル高値の予想は私と同じ110円です。中国の成長率に関しては彼は「10%だ」と。


2010年01月01日(金曜日)

 (08:00)明けましてお目出とうございます。良い年であることを祈りたいと思いますし、良い年にしましょう。元旦午前零時45分くらいの杉並区妙法寺の様子です。



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