2011年08月31日(水曜日)

 (08:24)あそうだ、8月も終わりと言うことで、一つ皆さんに贈り物を。私のものではありませんが。

私の前にあった夢  私が関西に移動する際ですから、月曜日です。夕方の5時前。東京駅の八重洲口に接近したので降りる準備をしながら前を見たら、非常に変わったタクシーが前にいた。見慣れない字が車体の上に付いていて、そこには「夢」と書いてある

 恐らく初めてです。それを見たのは。真っ先に写真に撮ろうと思いました。そのタクシーも八重洲口でお客さんを降ろすようで、ちょうど私が乗ったタクシーの前に止まった。運転手さんに「ちょっと待って」と言って撮ったのがこの写真です。

 会社の名前です、多分。でも奇抜で、乗る人に夢を与えられて、なかなかいいでしょ。「コンドル」「チェッカー」とかなんとか。タクシーには一杯名前がある。しかし、このタクシーのネーミングはいいな、と思いました。直ぐフェースブックにアップしました。反応は大きかった。

 ですから、皆さんがどう受け取るか知りませんが、「夢」の贈り物です。月末、新しい月を元気で迎えて下さい。


2011年08月31日(水曜日)

 (07:24)少し自分の目を国内に集め過ぎていたので、「海外で何が起きているか」を新聞サイトで見たら、面白い記事がいっぱいありました。三つほど。

 この文章を書く直前に見た「Fed Considered Stronger Actions, Record Shows」という記事は、次回9月20日〜21日に開かれる拡大FOMCで何が話し合われるのか、なぜ2日間に拡大されたのかを知る上で重要な記事です。

 まず驚くのは、声明が発表された8月9日のFOMC以外に、同月1日にも電話会議でFOMCが開かれていたという事実です。私は知らなかった。今回発表された議事録は「8月1日、および8月9日分」として出ている。これは、FRBのサイトで確認した。FRBはあまりサイトに残るような電話会議は行わない。記録を見ると2008年は非常に多い。去年、一昨年は2回。今年は初めてです。議論を摺り合わせる必要があったのでしょう。

 しかしその議論は紛糾した。この両日とも。ニューヨーク・タイムズの記事には、「because there was so much disagreement over the best course of action」という表現がある。議論がかみ合わなかったことが分かる。

 一方で量的緩和をもっと進めるべきだという意見があれば、「Some participants judged that none of the tools available to the Committee would likely do much to promote a faster economic recovery」であり、よって「some unnamed members of the Federal Open Market Committee, which sets interest rates, were in favor of doing nothing」(何もしない)のが良いと考える理事もいた、とある。

 実際のところ、8月のFOMC声明では2013年半ばまでのゼロ金利継続宣言(バーナンキなど多数派の意見としてFOMCで採用された)に対して、3人の理事がオブジェクションを出した。次も同じような展開か。当然QE3の有効性には疑念が残る。日本を過去を見ても。

 次回の会議で何が話し合われるかに関しては、同紙には「Among the policy options Fed policy makers considered were changing the size or composition of the Fed’s balance sheet and reducing the interest rate paid on banks’ excess reserve balances. 」と書いてある。資産の入れ替えね。まあその辺なんでしょう。9月の会議の議題になるのは。

 次にインドの4〜6月の成長率が7.7%で、過去6四半期で最も低かったというニュースも面白かった。これはウォール・ストリート・ジャーナルの記事。理由は「confirming fears that a series of interest-rate increases, combined with the global slowdown and a lack of local reforms have kept growth well below the government's estimate.」です。

 「a lack of local reforms」というのは、賄賂などの汚職対策が不十分で、全国的なストにまで発展した事態を指します。この問題はシン政権の命脈を絶ちかねない問題になっている。

 この一連の動きは、日本でも大きく報道された。今の世界経済で先進国が債務問題に直面しているのはよく知られているが、途上国全体もブラジル、中国などを含めて、ちょっと成長率が落ちてきているのが気になる。ま、それでも「7.7%」ですがね。

 中国の記事では、中国当局が農民工が北京に作った学校を壊しているという内容の記事が興味深かった。12年かけて北京の街の中にこつこつ作った貧しい農民工の子供達のための学校が、あっという間に当局によって取り壊された、という話。「unconscionable」(良心に欠ける)という単語が印象的です。どうして壊しているのか。売却し、地方政府の収入になる土地を生み出すためらしい。酷い。

 当然この記事は中国の戸籍問題も取り上げています。この記事でびっくりするのは、北京の2000万弱の住民の三分の一は都市戸籍を持たない地方からの流入人口だという点。記事には

According to the Beijing Bureau of Statistics, more than one-third of the capital’s 19.6 million residents are migrants from China’s rural hinterland, a figure that has grown by about 6 million just since 2000.
 という文章がある。650万人以上の人々の子供達が学ぶ場所が奪われつつある、というのです。日本の名古屋市の人口は226万人。650万人の人々の子供達(小学生)の学校のかなりの部分が失われつつある、というのはちょっと酷くありません。

 すさまじいのは、都市戸籍を持たない人口が2000年から今までで北京だけで600万増えた、と読める点。中国の戸籍問題は深刻です。排斥だけでは解決しない。それこそ抱擁政策、和諧政策が必要なのに。ちっともそうなっていない。当然社会は不安定になります。


2011年08月29日(月曜日)

 (18:24)第一回投票で海江田さんの票が143にとどまり、一方で野田さんの票が102票と三桁の大台に乗った段階で、民主党の多くの議員は「これで野田さんの勝ちが決まり」と思ったでしょう。私もそう思った。海江田さんは最初の投票で165票に届いていなければ勝負出来なかった。

 ある意味、健全な常識が働いた選挙でした。おんぶにだっこで小沢元代表、鳩山前首相の話し合いで三番手として有力候補になった海江田さんが首相になるような党だったら、国民はさらに民主党に失望したに違いない。

 公党どうしの約束である三党合意を破棄するかのような発言をし、「(先の総選挙の)マニフェストに戻る」と言った段階で、「政治の逆戻り」「政局の行き詰まり」を予感した民主党議員が多かったはずだ。そんな姿勢では、何も前に進まない。

 加えて、この二日間だけでも海江田さんの発言はぶれた。土曜日にも書きましたが、海江田さんには最後まで優柔不断さが消えなかった。「辞める」「辞めない」「不覚の涙」。支持グループ内の議員さえも、不安感を隠さなかった。

 これはまた、民主党内に「小沢支配への反発」が強いことを意味する。同グループは元代表自ら「我々の力を皆に知らしめるチャンスだ」と言ったらしいが、逆目に出た。国民の意識の方が前に言っている。私には、同グループの主張そのものが時代遅れだと思う。

 「金魚とどじょう」も良かったが、野田さんが今日口にした言葉で私が一番気に入っているのは、「落ち着いた政治」だ。鳩山さんは不必要に自分の周りに集まるメディアの人々にリップサービスしようとした。言葉が踊った。

 前任の菅総理大臣は、次々に大命題を掲げて自分の求心力を保とうとした。一つがダメなら総括せずに次の話題に移った。つまりテーマが踊った。日経の社説はそれを、「総理の座で市民運動を展開した」と評した。国民はその「踊り」に癖壁とした。

 菅さんは最後の踊りに「脱原発をテーマに総選挙」を考えていたと思うが、さすがにあの低支持率で諦めたと思う。いずれにせよ、テーマ倒れの首相だった。後には何も残らなかった。

 「落ち着いた政治」がスローガンになるかどうかは知らない。しかしナイスが発想だと思う。政策はこれから出てくる。これで自民党は、健全な野党として与党と対峙せざるを得なくなる。良い事だ。


2011年08月28日(日曜日)

 (23:24)最近の私のこのコーナーの文章に対して、二人の方からメールやツイッターなどを通じ、皆さんに紹介して役に立ちそうな情報を頂きました。紹介します。

 まず、今は四国にお住まいの内藤さんから。ラジオと雷の関係に関して、「なるほど」と思わせる内容です。つまり、NHKのネットラジオが始まっても、実は受信機も有用だという。

以前、キャディーさんに教えてもらったのだが
夏、雷雨になりそうなときは、AMラジオを持って
お客さんと一緒に回る。

雷が近づくと、AMラジオがうるさくなるので
避難所に待機してもらうと申しておりました。

今日の東京の気温は何度ですか?夜、六本木で23度?
サッポロが24度ですから、サッポロより寒い!

徳島は夜になっても28度、1日中雷注意報が
出ていました。

 東京の雷が凄かった先週金曜日に私が書いた「AMラジオには雑音。ラジコなどネットラジオは雑音がなくて良い」と書いたら、「AMラジオも役立つよ...」とメールをくださった。確かに。それを感じるのは、カーラジオです。凄い雑音が入りますから、有用ですよね。

 もう一つ。dropbox について。これは使っている人だけの問題ですが、大きなファイルを同期させるときには結構面倒。時間がかかって。「私はファイルをおおよそUSBかなにかでほぼ同一の内容に揃えておいて、その上でマージナルなところを同期させる」と書いたが、それに対して以下の文章を寄せてくださった方がいた。

Windows版でもMac版でも、Dropboxの設定の中でLAN同期(LAN Sync)を有効にすればokです。同一ネットワーク内の全てのマシンで有効にすると、自動的にLAN同期を行なってくれますね。
 として、このサイトを教えて下さった。家でやってみたら、ばっちりでした。これは役立つ。

 しかし私の場合、大阪に置いてあるコンピューターなどややこしい。家やオフィスではこれを使わせて頂いて、本当は望ましくないのですが、大きなファイルを揃えるときだけ例外的にコンピューター間のデータ移動にはUSBを使うことにします。

 ありがとうございました。また、皆さんに紹介した方が良い情報は、こうして紹介していきたいと思います。


2011年08月27日(土曜日)

 (08:24)驚き、桃の木............ですよ。民主党の小沢元代表がまず次の民主党代表候補で声をかけたのが輿石東・民主党参議院議員会長(1934年生まれだから、70代の半ば)だったというのは。さらに驚くのは、その次に声をかけたのが、西岡武夫参議院議長(1936年生まれ)だったというのです。ということは、今の小沢さん、鳩山さんの一押し推薦となっている海江田万里・経産大臣(1949年生まれ)は3番手ということになる。

 今朝の新聞情報ですが、輿石さんは自分に声がかかってきたことに驚き、そして固持したという。西岡さんについては、鳩山さんが難色を示したという。「どうせそういう落ちになる」という読みがあったかもしれない。しかし国民に説明できる人選順位だったのか。

 小沢元代表の脳裏をかすめた代表候補が、自分よりもかなり上の人だったというのは、象徴的だ。先輩に対する敬意の表明はあるのだろうが、それにしても不可解で、説得力に欠ける選び方だ。この二人がどういう政治理念で、どういう政治をするか、私には想像できない。

 そして、小沢、鳩山両氏が「ええでしょう」となったのが、海江田万里氏。優柔不断ですよね、この人。加えて「辞める」「辞めない」「不覚の涙」。大丈夫なんですかね。総理になったら、次は自分を操る小沢さんに涙するのでは。といって、今の民主党代表選に名前を連ねている人の中で、「この方」という人はいない。

 大体今日(27日)告示で29日投開票では、誰が何を言っているのか、そして今後何をするのかとんと分からない。しかも投票に参加できるのは、400人弱の民主党国会議員だけ。民主党に衆議院の多数を与えた国民の責任と言ってしまえばそうだが、今後の政権運営における世論の力を考えれば、「国民に対する説明の場」は必要なのに、それが設定される気配もない。どうせこの週末に行われるのは、小切手の切り合いでしょう。困ったものだ。

 個人的に支持する、支持しないという問題ではなく、今一番納得性の高い動きをしているのは馬淵元国交相だと思う。昨夜の記者会見の表情が、彼の悔しさをよく表していた。しかしその彼は、「推薦人20人をやっと確保」という状況だ。

 小沢元代表は、グループのメンバーを集めた昨夜の会合で「我々の力を皆に知らしめるチャンスだ」と述べたという。何という発想だろう。あるのは「数の論理」だけだ。海江田さんが勝ったら、「シャドー君」にとどまるのか、それとも「自分を役職につけた人に恨み言を言いながら続ける」のか。幹事長人事を見れば直ぐに分かる。

 今回の民主党代表選は国民全員が見ている。菅政権の混乱のあとで、誰もが「政治はもうちょっとしっかりしないと」と思っている。そこでの非合理や不明朗さの顕現化は、民主党の今後そのものに影響する。

 しかし今のところ、国民サイドの気持ちや論理が、この政党の人々に届く気配はない。


2011年08月27日(土曜日)

 (07:24)昨夜は読めなかったのでバーナンキのジャクソンホールでのスピーチを今朝読みましが、眠気の残る頭にはちょっと長すぎた。「もうちょっと手短に」なんて勝手なことを思いました。

 何を言ったかというと、「アメリカの長期的な経済成長力には自信を持っている。楽観的だ。しかし、ここ当面と言うことになると成長率が思ったより、また期待したよりかなり低いし、雇用も伸びていない。この点については、金融面で何が出来るか9月20日、21日の次回FOMCでまた検討したい。FRBはいつでも行動する準備が出来ている」ということだ。

 だから、予想通りのスピーチと言える。読んでいて「意外感」はなかったし、グリーンスパンのような予想外の単語の登場もなかったように思う。一番肝心の文章は、

In addition to refining our forward guidance, the Federal Reserve has a range of tools that could be used to provide additional monetary stimulus. We discussed the relative merits and costs of such tools at our August meeting. We will continue to consider those and other pertinent issues, including of course economic and financial developments, at our meeting in September, which has been scheduled for two days (the 20th and the 21st) instead of one to allow a fuller discussion. The Committee will continue to assess the economic outlook in light of incoming information and is prepared to employ its tools as appropriate to promote a stronger economic recovery in a context of price stability.
 だ。要するに、今使っていない金融ツールを使うのか、使うとしたらどれで、それらをどう使うのかを、二日をかけて(事前には去年と同じ一日の予定だったのを)十分に討議して、一ヶ月先に決める、ということだ。株式市場は最初この「待ち」のスタンスを嫌気して220ドルほど下げた。しかしその後「この慎重な姿勢でいいんじゃない」という見方が強まって134.72ドル(ダウ30種)上昇して終わった。

 FOMCの声明を事細かに毎回読んでいる身としては、「何か新しい発想は」と思っていたが、それはなかった。例えば、現下の、そして当面のアメリカ経済が弱いことについては、

Notwithstanding these more positive developments, however, it is clear that the recovery from the crisis has been much less robust than we had hoped. From the latest comprehensive revisions to the national accounts as well as the most recent estimates of growth in the first half of this year, we have learned that the recession was even deeper and the recovery even weaker than we had thought; indeed, aggregate output in the United States still has not returned to the level that it attained before the crisis. Importantly, economic growth has for the most part been at rates insufficient to achieve sustained reductions in unemployment, which has recently been fluctuating a bit above 9 percent. Temporary factors, including the effects of the run-up in commodity prices on consumer and business budgets and the effect of the Japanese disaster on global supply chains and production, were part of the reason for the weak performance of the economy in the first half of 2011; accordingly, growth in the second half looks likely to improve as their influence recedes. However, the incoming data suggest that other, more persistent factors also have been at work.
 という相も変わらぬ文章が続いて、FOMCの声明と一緒(文章まで酷似している)だ。これもFOMC声明と同じで一回だけ「日本の震災」が登場する。同じパターンだ。財政が動けない中で、金融にかかる重荷は大だ。そういう意味では、バーナンキが背負っているものは大きい。

 ま、また来月まで「ではバーナンキはどうするのか」というゲスゲームが続くと言うことです。一般のマスコミまで「バーナンキはジャクソンホールで何というか」とか取り上げ始めたときに、「まあ何も出ないだろうな」と思ったが、その通りだった。


2011年08月26日(金曜日)

 (15:24)今東京の赤坂地区はすさまじい雷の襲来を受けていますが、その情報をゲットしようとして興味深い事に気が付きました。

 普通のAMラジオをつけたら、ものすごい雑音。ラジオの性能の問題ではない。おそらく雷の起こす電気・電波が放送干渉を引き起こしているのです。

 で、もしかしたらと思ってラジコにしたら、実にクリア。「そうか、雷の時はラジコの方が音質が良くなるんだ」と。ネットラジオと言えば、NHKがついに始めるようですね。

 サイトは、http://www.nhk.or.jp/netradio/で、ご覧の通り名称が違う。「らじる★らじる」。一緒にやれば良いのに。またアプリをダウンロードして設定しなければならない。

 視聴者無視のサイト設定、サービス開始で、困ったものです。


2011年08月25日(木曜日)

 (07:54)9月14日に本を一冊出します。PHP出版から『ほんとうはすごい!日本の産業力』という題名で、副題は「情報を読み取る技術」となる予定です。今ネットを調べたら、セブンネットショッピングでは既に予約が始まっているようで、発売日を待たずにアマゾンや紀ノ国屋など各サイトで今後予約が始まる予定です。

 今回の本は、今まで出してきた私の本(「日本力」「カウンターから日本が見える」「ITとカースト―インド・成長の秘密と苦悩 」など)とはちょっと毛色が違います。これらはすべて書き下ろしだった。つまり、私が一からそれぞれの本の為に書いたものです。

 しかし今回の本は、野村ホールディングスと日本経済新聞が共同運営している「経済について楽しく学べる man@bow」のサイトに月2回のペースで文章を提供している「金融そもそも講座」(既に回数的には47回で2年弱継続)を選択的に一冊の本にまとめたものに、私が最近の3.11後の情勢を考慮に入れながら加筆(1万3000字ほど)したものです。

 どの回をどのように選び、どのような本にまとめるかは基本的には出版社の担当者に任せました。「本の事は本屋が一番知っているだろう」と敢えて口出しはしませんでした。そういう意味では、出版社の問題意識が出た構成になっていると思います。むろん、加筆部分は基本的には私の文章構成そのものが残っています。

 3.11以降は日本悲観論が相変わらず強い。そうだろうか、アメリカや日本、それにインドや中国は良いのだろうか、という思いをこの本には入れました。「過度な悲観論は、人間にとっての免疫喪失」を意味するようなものです。かつ、冷静に見れば日本は一部で言われるような「産業力の喪失」を起こしてはいない、というのが私の判断です。

 今日も、そして昨日もそうですが、ほぼ二週間に二日は科学技術番組の現地ロケ取材を続けている私としては、「こんなに産業力のある国が正当に評価されていない、悲観論が強いのはおかしい」と思っているのです。今夜放送の「目からウロコのキッチン革命」も面白いですよ。BSジャパンで夜10時です。昨日の取材は千葉大学と慶応大学で、バイオミメティクス、バイオミネラルという「二つのバイオ」でした。今日は早稲田大学で「患者ロボット」の取材です。

 現場に足繁く通う人間として、日本の新しい可能性を毎回見ているわけで、「地球★アステク」そういう機会に恵まれない方々にも是非見て頂きたい番組ですし、今回の本もそういう面を含めて今の世界や日本をどう見るかで私の視点で情報提供したつもりです。

 新しい本は9月7日ごろに私の手元に到着する予定で、まだ装丁も見てありません。まあ出版社に任せてありますから。楽しみで、そのうちサイトにも写真が載ると思います。

 今日から日曜日までのその他の番組を紹介すると、

  1. 東京FM タイムライン(今日午後6時45分)
  2. TBSラジオ 森本毅郎スタンバイ(金曜日午前7時から8時までの出番)
  3. ラジオ日経 伊藤 洋一のRoundpu World Now(金曜日午後10時45分から)
  4. BS朝日 今世界は(日曜日午後7時)
 などです。ラジオは今週がスペシャル・ウイークに当たっていて、それぞれ嗜好を懲らした番組作りをすると思います。

 来週の火曜日には朝と晩に大阪のテレビ局(朝日放送関西テレビ)でそれぞれニュース番組があります。


2011年08月24日(水曜日)

 (09:54)移動が早い時間だったので、大阪ではニュースもチェックできずにいて、東京に着いてロケバスの中でニュースをチェックしたら、「ワシントンで地震」と聞いて仰天しました。私はニューヨークに4年間いたのだけれど、およそ地震とは関係なかったし、米東部は西部に比較して極めて地震は少ないと理解していたので。

 一瞬「ありゃ、地球はどうにかなっちゃったのかな」と思ったのですが、まあ即断は出来ない。科学的知見が必要です。しかし、このワシントン・ポストの記事を見ると、人々の慌てぶりが分かる。僅かに数秒揺れただけのようですが。

 驚いたのは、アメリカにはマグニチュードはあっても、日本の「震度」に相当するものがないという点。まあそうだろうな、と思う。日本人はラクダについて多くの単語は持たないが、アラブに行けばラクダについては実に無数の単語があるという。逆に日本には、四季に関する単語が多い。アラブ諸国には、四季がないところが多い。だから単語も少ない。

 米東部ではもともと地震が少ないのだから、地震に関する用語も足りない?と考えられる。しかし、今後は必要になるかも。ああ、びっくりした。そうだ、ワシントンには片山さんや山広君が居たな。どうしたかな。


2011年08月23日(火曜日)

 (23:54)やっぱり政策論争しなければいけないでしょう。確かに人気はあるかもしれない。しかし、結果的に”総理大臣”を決める代表戦となると、何をするのか、何をしたいのか、一つ一つの問題をどう考えるのかをはっきりしないと国民や世界各国はその人の立候補の意義を判断しようがない。

 前原さんの急転直下の出馬は、民主党の代表選の勢力図をがらっと変えるものです。それだけに、「では何のために」が必要になる。ご本人の「今日本のために」という気概は非常に重要だと思う。立候補正式表明の時も、他の候補者(予定者)が言っていなかった被災者への思いを語っていた。ナイス。

 それだけに、それぞれの論点のある問題に関して、ご自身の考え方を披露し、他の代表候補者(予定者)と討論して欲しい。今の日本は誰が考えても曲がり角なのですから。方向性の検証がどうしても必要です。仮に総理大臣になっても、「自分の都合の良いときだけ記者会見する」ようなトップにはなって欲しくないな、と思います。

 話は変わりますが、最近dropbox にかなり大きなファイルを入れた際に、結構同期に時間がかかって、私としてはちょっとした使い勝手の悪さを感じましたが、それへの対処法を発見しましたので、それを紹介しようと思います。

 dropbox には私の場合結果的に5台くらいのコンピューターが繋がっているのですが、非常に大きなファイルの場合、それらが自然体で同期するのには時間がかかる。特にポケットwifiのような遅い回線を使っているときは問題が起きる。最近私が直面した。

 そこで、ちょっとこういう方法を使ってみました。それは、その大きなファイルだけUSBメモリーを使って繋がっているコンピューターのdropbox filesの中に放り込むのです。無理に同期を全部回線経由でやらせるのではなく。Aのコンピューターに入れるファイルと、Bのコンピューターに入れるファイルの内容が多少違っていても良い。

 ローカルで入れた後、オンラインにして同期を行わせるのです。そうするとdropbox のアイコンがずっと「同期中」なのを回避できる。あのもぞもぞ動く「同期中」のサイン(ブルーと白の)が蠢いているのは気になりますから。

 最近大きなファイルと動画の同期をそうしました。そしたら、非常にスムーズに行った。dropbox をお使いの方々にお役に立てれば幸甚です。


2011年08月22日(月曜日)

 (23:54)風変わりな指導者でした。周辺国のトップは競うように豪華な宮殿を建て豪奢な暮らしをしたのに、少なくとも地位は”大佐”のままで、「おれは砂漠のキャンプがいい」といって簡素な暮らしを楽しんでいるように振る舞った。他の国に行っても、テントを首都に張ったこともある。

 一時は国民の支持も厚かったかのように見えた。しかし40年も指導者をやったら、そして周辺の国で革命が進行する中では、独裁体制を続ける彼に怒りは向いた。そして今コロネル・カダフィの時代はリビアで終わりつつあるように見える。

 チュニジアでもエジプトでも、「革命の後」が問題です。チュニジアでは最大の外貨獲得の手段だった観光が下火になって、国の運営そのものが怪しくなった。エジプトの政治体制も不安定なままだ。”革命”の成果は、まだ国民に行き渡っていない。

 リビアはどうだろうと思っていたら、今日の東京FM TIMELINEで電話インタビューさせて頂いた塩尻さん(元駐リビア大使)が、「リビアは石油がありますから」と。大事なところを見逃していた。

 ただ問題は、「富の分配」なんでしょうね。これが歪んだらまた国の政治が歪む。そして対立へと発展する。まだリビアはどういう体制になるかも分からない。「反体制派」というだけで、誰が本当の指導者だかも分からない。

 一つ言えるのは、石油という富はあるが、だからといって国が安定するものでもないということだ。


2011年08月21日(日曜日)

 (23:54)あれだけ暑かったのに、今度は雨ですか。おかしな天気ですね。ま、干上がっていた場所もあるでしょうから、そういう意味では良いお湿りですが。

 湿っていると言えば、今日のセリーグ6球団が相手チームから勝ち取った得点は、全部合わせても8点。6チームの得た総得点ですからね。湿ってますよ。高校野球の決勝戦は予想外の大量得点差で、青森を応援していた私としては残念。

 しかし、セリーグ3試合のうち、2試合が「1−1」で引き分けといった意味のない試合が続くよりはよほど高校野球の方が面白い。だって引き分けなんて、どう考えても点数が入らないように出来ているサッカーなどのスポーツの専売特許でしょう。

 それにしても、先日も書きましたがセリーグの打者の打率は低く、得点能力が低い。今季から球が違うとか、球場が暗くなったとかいろいろ理由があるのでしょうが、1−1の引き分けなんて見たくないな。個人的な印象ですが。

 湿っていると言えば、民主党の代表選も前原さんが出る方向のようですが、なんか湿っている。カラッと主張が前に出て、ワクワクする印象がゼロ。ま、選挙管理内閣になる可能性が高い。

 これはうがった見方ですが、「ワレも」「我も」と候補者が出てくる様は、「今回を逃したら、民主党の代表が総理大臣になるのは、当面ないかもしれない」という読みがあるようにしか思えない。

 うーん、なんかカラッとした話はないものか。ま、高校野球は面白かった。円の対ドル新高値もどうやら日本の通貨当局者の話がきっかけて、これまた湿っている。


2011年08月20日(土曜日)

 (07:54)パソコンは、なくなりゃしませんよ。私のような入力作業(大部分が文章作成)が多い人間にとっては、絶対的にスマホやタブレットより便利ですから。

 しかし自分の生活パターンを考えてみても、文章入力で触っている時間を除くと、サーフィン、メールチェックなどで触っている時間は確実にスマホ(私の場合はiphone)より少ない。だって、ソファで寝転んでPCを見ることは出来ないでしょ。やはりニュースチェック、資料チェック、そしてメールのやり取りはスマホですよ。

 ipad はちょっと長い文章を読むのに便利だな。短い時間だったら、ソファで寝転がってでも見ることが出来る。片サイドを付けて読むのです。腕が疲れない。文章作成の為の参考文章は、もっぱらスマホやタブレットから入力装置としてのPCに自己メールで送ります。クラウドに投げても良いし、共有できそうだったらツイッターやフェースブックでシェアしても良い。

 だから私は人々が一緒にいる時間が短くなったことをもって、「PCの時代の終焉」という意味は良く分かる。しかし、PCが役割を持っていることも事実なのです。私は今後もPCを買い続けるでしょう。

 しかし、PCを主力として生産していた企業が、PCの生産を相次いで辞めようとしていることは理解できる。直近ではHPです。昨日のニューヨークの株価急落の大きな背景だった。「それを取ったら何が残る」という構図は、NECなどと似ているが。だから、株価は下がった。

 しかし、叩き合いの、これまでのような成長性が見込めない、特別な仕様のない普通のPCを作っているメーカーが、PCから撤退していくのは「当然」のような気がする。特徴が直ぐに出てくるPCを作っているメーカーは残っている。

 パナソニックのPCは頑丈です。落としても壊れないやつがある。マックのPCはなんと言ってもair はかわいい。そういう「一目で説明できる特徴」があるメーカーは残ると思いますよ。ただし、価格の叩き合いの世界に直ぐに巻き込まれるPCメーカーは厳しいでしょうね。

 多分、文章を作成しない、せいぜいメールを打つだけの人にとっては、PCは不必要なものになる。大手でPCを最初に捨てたのはIBMですが、あれはいつ頃でしたかね。随分前だ。あの時は、「どえらい事を」と思った。しかし、正しかったことになる。

 いまその知恵にやっと他社が追いついてきている。しかしでは何をするのか。スマホも今は叩き合いになっている。だから、最後は「特徴」です。特徴は一種のソフト資産ですから、皆そこにはお金を払う。

 なんか、面白いスマホ出てこないかな。テザリングができて、デザインが面白くて、機能が揃っている。そう言えば、昨日、iphone のテザリング機能をアプリダウンロードで復活していた奴がいたな。

 ちょっと関心を持った。まだやってないが。


2011年08月20日(土曜日)

 (01:54)やはり今日(19日)でしたか。円が史上最高値になるなら、日本が週末に入った海外の金曜日の取引が一番可能性があると見ていたのです。別に何か(介入)をするわけでもないのですが、日本の金曜日の夕方までは「日本の通貨当局が見ている」という印象がある。

 しかし東京が取引を終えて、ロンドンからさらにニューヨークに市場が移ると、「じゃあ、決意のほどを」と市場も試したくなる。今段階で見られる相場をトレースすると、どうやら75円93銭(日本時間で19日午後23時過ぎ)がso far today の円の対ドル高値、つまりドルの対円安値のようです。

 もっとも、ウォール・ストリート・ジャーナルを見ると、中尾財務官が同紙とのインタビューをしていて、

 「日本は持続的に介入する計画はない」
 「介入で特定のレベルを決めているわけではない」
 「しかし必要あらば介入する」

 などと述べている。取りようによっては、前の二つの発言は「ゴー」発言に聞こえるので、中尾財務官の意図とは別に、この発言が円の高値トライを誘導した可能性がある。

 時系列関係は今は確認出来ません。しかし一般論から言うと、通貨当局者のしゃべりが多くなると、マーケットは「じゃ、行動(この場合は介入)はしないんだ」ということになって、新値を取りに行く。そういう過去の例を数多く知っています。一番いいのは、「何も言わない」で、昔マルクがあったころのドイツの通貨当局はそうだった。

 so far todayの高値は、今までの76円の半ばのレベルに比べて60銭ほどしか動いていない。さらに対ユーロ、対オージーなどを見ると、むしろ円が安い。つまりドルが安いのです。アメリカの株価は乱高下。また明日の日本の朝刊は、「円、75円台の新高値」とか打つんでしょうね。扇情的になってもしかたがないのですがね。

 望ましいことではないのですが、この対ドルでの円高はしばらく続きそうです。今では誰でもかなり持っているドルに、先行き懸念がつきまとっている。景気は悪くなる。二番底の可能性も、リセッションの可能性もある。

 しかし、アメリカでは財政も金融もなかなか動けない状況が強まっている。となると、「改めてドルを買う」という人は少ないでしょう。もう持っているわけだから。となると、他の通貨を買いたくなる。しかしそこにはユーロは入らない。ゴールドが買われる論理性はある。

 今現在はドル・円は76円台の半ば。ニューヨーク市場の特性から言って、このレベルで今週の取引を終えるでしょう。しかしその時には75円台は既成事実となり、来週の取引はそこから始まる。強い円を生かすアイデアが必要になっている。


2011年08月18日(木曜日)

 (16:54)「新聞がちっとも面白くない」「遅い」という話を先日書いたことに関連して、今日は出版社の方と短時間ですが話をしていて、「うーん、時間軸か」と思いました。

 その会社は、カレントな話題を取り上げる雑誌もやっているのですが、その別冊で「昔の板橋区はこうだった」みたいな過去の、そして歴史に分類される話題をよく取り上げているそうなのです。そして、それが良く売れると。

 ぴあという雑誌がありました。私も一時期良く買った。が先頃休刊した。「なぜか」と考えてみると、「ネットに食われた」ということでしょう。カレントな話題で競争すると、新聞も雑誌も必ずネットに負ける。ネットの情報源・量は無尽蔵です。

 しかし、「視点をもって過去を眺める」ことをすると、一挙に情報はなくなる。ネットは「先を先を」のメディアですから、例えば「板橋区には昔何々家というのがあって、ここの庄屋だった」「ここには小さな城があった」といったことには興味がほとんどない。あっても断片的。しかし、例えば板橋区に長く住んでいる人だと、そういうことに興味を持つ人も出てくる。そういう人達が買うのは、方向性の合う雑誌です。

 我が家の祖父も父も地域史に非常に関心の深い人だったから良く知っているのですが、郷土史に興味を持つ人というのは結構多い。古文書解読を趣味とする人も。そういう人にはネットは殆どフィットしたメディアではない。

 その出版社の人が言うのです。「だから本屋さんには、歴史の本が多いでしょう」と。そう言われるとそうだ。延長すると、新聞もいつかネットにカレントな情報を譲ることをしないといけない。もっと、過去と現在を織りなす分析とか見通しを書かないといけないのです。しかし、それがなかなか難しい。

 情報の時間軸ね。「過去はこうだった」と書いてもあまり誰何、それは違うと主張する人もいない。無論、邪馬台国など大きな問題に関しては議論百出なのですが。結構自由な世界な筈です。


2011年08月18日(木曜日)

 (09:54)それにしても、菅さんは何が原因で「もう辞めよう」と思ったんでしょうね。無論自らが設定した三条件が一応整ったということもあるかもしれない。しかし私の見るところその三条件に関係なく、「出来たら来年までも」という気持ちでいたと思う。

 それは、「総理大臣は最低4年やるべきだ」という持論もあるが、少数野党が長かった人の、「負けてたまるか」の心境だったと思う。しかし、なにせ少数野党が長かっただけに、またグループを作るという性向もなかったが故に、自分の周りに有能な人を集め、その人達を信頼するということが出来なかった。

 やはり、徐々に菅さんを追い詰めたのは「世間の不評」だったような気がする。支持率はかなり前から20%を割っていた。これはつらいでしょう。党や政権の中でも人心が離れたことを明示的に行動で示す人が増えて、孤立感を強めていた。

 閣議の前に全員が総理を迎える。立って。そして総理の着席を待って他のメンバーが着席する。政権のトップが総理大臣であることを示す象徴的な手順ですが、菅さんは座った後、不安そうに周囲を見るケースが増えていた。しかも夜眠れなかったのか、顔の皺が明確にテレビ画面に現れた。

 もしかしたら、奥さんに「もう辞めたら」と言われたのかもしれない。一番の「頑張れ」の応援団だった人だ。しかしこれは全くの推測だ。何か他の理由でも「心が折れた」というのが当たっているのだろう。

 小沢さんではないが、「菅さんははっきり辞めるとは言っていない」のは事実である。しかし9月に予定されていた訪米もキャンセルされた。かつ、今後について「邪魔にならないように....」といった弱気の言葉を出している。一回折れた心はなかなか戻らない。何よりも、周囲が「今月末退陣」に向かって動き出している。

 その辺の心境の変化に関しては、後に本になぞなって出るのかもしれない。願うべくは、「引退する」とまで言ったのに、その後簡単にそれを撤回し、今でも「ああだこうだ」でテレビに登場する鳩山さんのように人にはなって欲しくないと言うことだ。

 文章の紹介や番組の案内です。文章は、ECO JAPAN 「伊藤洋一のBRICsの衝撃」です。このところブラジルを特集していますが、今回は「消費主導の理想的な経済発展をとげているブラジル」ですが、そこに潜む問題点を取り上げました。それはクレジットカードです。

 番組はまず東京FM TIMELINEです。今日午後6時45分から。ネットで事後的に聞くことも出来ます。ニュースを取り上げた後は、今日は「2011年夏・浮上できるか、沈没か?〜私たちの未来を握る、目の前のコワイ問題」です。何が何だか分からないでしょう。番組でお楽しみを。

 夜10時(BSJAPAN)は、地球アステク「TV初公開!鳥翼型風力発電」です。取材していても、斬新で面白かった。

 明日・金曜日の朝はいつも通りTBSラジオ954「森本毅郎スタンバイ」です。全ラジオ放送の中で、しばしば聴取率一位に輝く番組です。私の出番は午前7時から8時の間です。

 夜はラジオNIKKEI 伊藤 洋一のROUNDUP WORLD NOWです。今回は違いますが、来月には人気のある「中国特集」「IT特集」があります。

 いずれもお楽しみに。


2011年08月17日(水曜日)

 (09:54)多分、今年に入って全く初めてだと思うのですが、日本のプロ野球の順位表、打者成績などをつらつらと見ていて、いくつも面白い現象を発見しました。「だからどう」ということではなく、「面白いな」と。

 まず気づいたのは、セリーグ首位のヤクルトは、実は得点と失点の差ではマイナスであるという点。今季これまでです。得点が297、失点が300。つまり、負けるときは大負けしているが、勝つときはがっつりという印象。監督がいいのかな?

 実はセリーグで得点と失点の関係がプラスになっているのは、巨人と阪神しかない。巨人がプラス5、阪神がプラス18。あとは全部マイナスです。横浜など86点もマイナス。これは次に悪い広島の55をだんちに離している。楽天は49のマイナス。

 セパを通じて一番得点能力が低いのは中日です。so far 合計で257点しか取っていない。失点は275。昇竜どころではない。完全に滝に流されている。森野が不調だから? あれだけ粘りのある良い打者だったのに、スポーツニュースで彼の名前をとんと聞かない。

 そう言えば、セリーグ打者成績の打率の部門(規定打席に達した打者の)を見ると、中日の打者は0.264で15番目にいる荒木が最高。これは寂しいでしょう。次は和田が0.250で24位、その下が森野の0.244で25位。目を覆う貧打が中日の特徴です。そういえば、昨日も1点しか取れていない。よく言われることだが、セリーグで打率3割を打っているのは、巨人の長野だけ。0.309。

 勝ち負けの数で言うと、パリーグがダイナミックです。首位のソフトバンクは得点が356と、中日より約100点多く、負け数(224)との差は実に132。強い筈です。しかしソフトバンクは、勝てば勝つほど「クライマックスは大丈夫?」と思ってしまう。一昨年、去年。いやその前もかな。うーん、今年くらい勝たせてあげたい。せめて、日本シリーズに秋山さんを出させたい。王さんも悲しすぎるでしょう。このままだと。

 ソフトバンクはチーム打率が両リーグ1です。0.264。次が日本ハムの0.260。あとは0.24台ですから、この二つが抜けている。セリーグでチーム打率が一番良いのはヤクルトと阪神の0.250です。勝ち負けの関係で言うと、日本ハムも良い。338の得点に対して、失点は235。つまり、プラス103。しかしソフトバンクと日本ハムの差はわずかに3.5ゲーム。

 セパ両方を通じて、ホームランを一番打っているのは巨人です。71。これは広島(29)と中日(49)を会わせた数78に近い。それにしてもホームランがまだ30本に届いていないのは両リーグを通じて広島だけです。連れてこないと。次に低いのはロッテの35。これは意外な印象がする。実は巨人の次にホームランを打っているのはパリーグのビリの西武です。おかわり君効果。ソフトバンクと日本ハムは66と65で拮抗。

 めちゃ面白かったのは、今年これまでセリーグの全チームが上げた得点1710に対して、失点は1849にも達している点。全く対照的なのがパリーグで、得点は1909に達していて、これは失点の1770を大きく上回る。これじゃ、交流戦でセリーグが勝てないわけだ。セリーグに通じるパリーグのピッチャーも、パリーグ内では結構打たれているということになる。

 セリーグに一人しかいない「3割打者」は、パリーグには4人いる。糸井(.332)、坂口(.325)、本多(.316)、栗山(.313)。パリーグの球場の方が、セリーグよりも照明が明るいのかな......。ははは、冗談です。

 ちょっと不思議なのは、阪神は打率ベスト10に4人の打者が入る。マートン(.299)、平野(.297)、ブラゼル(.286)、鳥谷(.275)。そして11位にも本塁打を11本打っている新井(.271)がいる。加えて、得失点の差でセリーグ随一のプラス18を誇る。防御率も2.78でセリーグでは3番目に良い。にもかかわらず、今現在借金1で3位。うーん、もしかしたらこれは監督の技量の限界(?)

 防御率の話が出たので。横浜の防御率は4.01で、セパ通じて唯一「4」に乗っている。これじゃ勝てない。セパ通じて一番良いのはソフトバンクの2.26。つまり、横浜はソフトバンクに比べて2点弱余計に毎試合取られていることになる。得点能力は305と中日(257)よりかなり高い。しかしザルということです。

 とここまで書いておいて、それでもプロ野球は面白くない。今年は球場に一回も足を運んでないし、中継を生で5分以上見たためしもない。アメリカの大リーグも見る気がしない。面白いのは高校野球です。何時間でも見ていられる。今年の夏は完全に「甲子園の夏」です。


2011年08月16日(火曜日)

 (18:54)大阪発午後6時27分の「のぞみ」に乗っていますが、やはり普段見かけない凄い人。皆さん帰省からの帰りか、その他でも休暇の移動中か。

 日本道路交通情報センターのサイトを見ても、本当に全国で長く渋滞しているとことがある。引き続き暑い夏の中で、本当に多くの人が移動しているのだな、と分かる。

 今年の夏はどのくらいの人が「帰省」を選んだかというと、実に40.2%の人がそうしたという調査結果も。明治安田生命保険のアンケート調査です。これは過去最高だそうで、その心は「親や兄弟に会いたい」と。ええことです。

 もっとももっと上がある。1位は「自宅でゆっくり」で59.2%だったそうで、「帰省」は2位。2位でも前年より2ポイント増で2006年に調査を始めてから最高だそうだ。「東日本大震災で、家族の絆を再確認したい人が増えたのでは」との見立て。確かに家でじっとしているのも良い。私はその派ではないが。

 久しぶりに新幹線でこれだけ大勢の方を見て、「皆さんにとって今年の夏が良いものであったように」と思うばかりです。


2011年08月15日(月曜日)

 (23:54)「もしかして、君はアップルを目指すのか....」と一瞬思いました。グーグルのモトローラ・モービリティ買収(125億ドル、9600億円で)を聞いての話です。

 スマート・メーターを作ろうともしている会社ですから、完全なソフトウエア会社ではグーグルはない。しかし私たちにとってはグーグルはあくまで検索やクラウドの会社だと思っていました。

 しかし、やや日本人にはやや懐かしい感じのモトローラという名前のハードの会社を買収と。懐かしいですね、モトローラ。昔はテレビなんかも活発に作っていて、日米の貿易摩擦の時に出てきた。

 グーグルは何を考えているのかと思ったら、ちょっと「walled garden」と呼ばれるアップルのような企業を目指しているのかな、と思いました。だってそうでしょう。アップルはソフトウエアとハードがほどよく調和し、豊かな利益を生み出す畑を育てているように見える。囲いのある。

 グーグルはアップルと比べると、よほど開放的です。今のところ。アンドロイド携帯は私も一つ持っていますが、これはグーグルがOSを無料提供しているもの。それを使っているのは、サムスンやLGエレクトロニクスや台湾のHTCなど数多い。今後もそれは提供と。

 しかしグーグルがモトローラという懐かしい名前のハードメーカーを買ったとなると、「今後はどうなるのかな」と思う。ソフトウエアとハードの調和のとれた、しかし統一的な仕組みの中での方が、確かに利益を生みやすい。グーグルも将来はそうなる?

 アップルは既にアメリカで最大の時価総額を持つ会社ですからね。グーグルがそこに「未来の形」を見いだすとしても、無理はない。むろん、今回の組み合わせは、「大きな特許のプールを作る」ことかもしれない。特許紛争に明け暮れていてもしょうがない、と思ったのでしょう。

 いずれにせよ、どこにも日本の会社が出てこない話ではありました。ちょっと残念だな。


2011年08月14日(日曜日)

 (06:54)今日もまた暑そうですが、これはもしかしたら「来年への知恵」という意味で書いておきます。もう今年もあと半月でさすがに涼しくなるだろうからです。

 都会に住む人間にとって、どこにいるのが一番涼しいか、という問題です。結論は、「規模の大きなホテルにいる」でした。私の場合は、ほぼ週の三分の一は関西に居たり、取材出張して東京以外にいますから、ホテルには本当に御世話になっている。

 そこでいつも感じるのは、「何か用事があって出なければならない場合は別にして、夏はホテルの中にいるのが快適だ」ということだ。だって規模が大きなホテルには、何でも揃っていますからね。ショップ、トイレなどなど。お茶を飲めるところもある。

 出張中で時間があいて、部屋でちょっと長めの原稿を書いているときは、「本当に夏はホテルが快適だ」と思う。部屋で寝ていても良い。食事も出来るし、スポーツジムも中にある。規模が大きな建物でも、ホテルほどなんでも揃っている施設はない。六本木のミッドダウンでは長く休むところがない。

 家は案外暑い。なぜなら、帰ってきたときに冷房を入ておくのは、なかなか至難の業です。時間セット通りに帰ってこれることは少ない。ホーム・エレクトロニクスが出来る家はいいかもしれないが。

 よって、大部分のケースにおいて、自分の家は帰ってきたとき「凄まじい暑さ」に遭遇する。大体において「家全体を冷房する」という贅沢はないし、私もしていない。ということは、家は夏でもどこかが暑い。トイレとか、風呂場とか。キッチンは間違いなく暑い。

 デパートも施設も、その中に居る間はなかなか良い。昨日などもちょっとあちこちに行きました。凄い人出です。東京からあれだけ人が出て行っているのに、あの人出。プールに行く以外では、やはり「涼しい場所」を求めるのでしょう。

 しかし、今年はデパートや大型商業施設そのものがあまり冷やしていない。節電の為です。さすがに東京電力の電力に余裕があることが分かったからか、節電もほどほどという雰囲気にはなっているが(熱中症の問題もある)、それでも冷房温度は高めです。

 そういう意味で言うと、都会より南のリゾートの大きなホテルに滞在というのは最高だと分かる。だって、ホテルの中にいるか水着で海岸にいるわけですから、こんな最高はない。うーん、今年もそんな贅沢はなかったな。ま、9月のシベリアがどの位の温度かです。

 今度は、めちゃ寒かったりして。飯はまずいらしい。最近は夏は必ずそういうところに行っている。楽しいんですがね。帰ってきて日本のメシのうまいこと。ははは。


2011年08月12日(金曜日)

 (06:54)ふっと気がついたのです。紙としての新聞を開いている時間が非常に短い。ほとんど眺めるだけで終わっている。パラパラと。何故かと考えたら、以下のような理由でした。

  1. マーケット・ニュースが多いので、どっちにしろ新聞の情報は最低5時間も前のやつ。読む気がしない。
  2. ネットで殆ど読んだ記事であり、デジャブになっている
  3. 書いている記者も、それほど知識があるとも思えず、月並みな分析が多い
 株が上がった下がったと、マーケットに関するニュースが一面トップになっているケースが最近多い。しかし、これを読む気は全くしない。だって5時間前は「こうでした」とあっても、何の意味もない。ニューヨークの昼間(日本の朝刊の締め切り時)は下げていたかもしれないが、引け(日本時間の朝)は上がっているかもしれない。だから全く読まない。並んでいる理由も月並みだ。夕刊などもっと読む気がしない。

 ネットはパワフルです。新聞にない記事も含めて、各社がいろいろな記事を用意してくれているし、分析も深いものがある。新聞記事以上に、いろいろなサイトもあって面白い。敢えて新聞をじっくり読む気がしない。

 このままだと、私の一日の中から「紙の新聞に当てる時間」というのは本当に少なくなる気がする。もっとも海外の新聞と付き合う時間は増えている。角度が違うし、長年記者をしている人の文章と分析は面白い。

 mac air にライオンを入れたのですが、忙しくて「何が特徴か」を把握していなかった。気になっていたので、新しいair も出たそうなので新橋のヤマダにちょい寄り。売り場の方は親切で、「もうライオンを入れているなら新しいairは必要ない」とか「launchpadが面白いですよ」と教えてくれた。二本指の動かし方も。面白かった。

 木曜日のロケは、太田茂男先生のところに。面白かったですよ。本邦初公開のハムスターを使った実験もありましたし、「人はなぜ老いるのか?そして老いを防ぐ最新テクノロジー」というテーマ解明にピッタリの内容でした。放送予定は9月22日の午後10時。BSジャパンの「地球アステク」です。

 先生は今週末土曜日の日テレ「世界一受けたい授業」にもお出になるのですが、こちらは「酵素」の話。先生が本当に研究して成果を出している「水素」の話は、我々の30分番組が最適。

 水素水に関しては、いろいろまやかしの製品が出ているそうで、「本物」として先生に紹介してもらったのは、この水で、あとここ数日の間に「Auter essence」「Auter original cream」という新製品も発売されるようです。これらは皆水素を体に生かすための製品。無論、先生推奨の製品として。

 なぜ水素が人間の健康になぜ役立つのか。それは、なくてはならないが、多すぎると人間の細胞を破壊する活性酸素を除去してくれるからだそうです。詳しくは番組で。ちょっと先ですが、また直前になったらお知らせします。とっても丁寧で親切な先生でした。

 おっと、それからもう一つお知らせがあります。エッセイが一本公開されました。そもそも講座の「“世界中銀”乏しい設立意思」です。このところこの同講座では、出来たら大きな役割を果たすかもしれない「世界中銀」を取り上げていますが、今回は「なかなか出来そうもない理由」です。


2011年08月11日(木曜日)

 (06:54)実物をこの目で見たかったスーパーコンピューター「地球シミュレータ」を、神奈川県の「海洋研究開発機構」で昨日一日をかけて取材することが出来ました。

 スパコンについては、今年は日本の「京」が世界一(演算速度毎秒8126兆回)になって大きな話題に。「地球シミュレータ」は2002年からほぼ2年半に渡って世界一でした。今は単純演算速度では64位。

地球シミュレータの地球計測の成果  しかし重要なのは、「地球シミュレータ」は特定の目的を与えた実効演算速度では、今でも世界一、二を争う能力を依然として持つと言うこと。2009年にそれまでのシステムが古くなったので、完全バージョンアップ。私たちはそれを見せて頂きました。

 普段入れないところまで入れて頂き、この輝けるスパコンのいろいろな機能を見せて頂きました。「地球シミュレータ」ですから、例えば世界的な気象情報や温暖化に関する気温変動(産業革命以前と比較しての)など「地球」に関わる演算をしているのですが、その他にも産業用の演算(飛行機の翼計算、新薬開発、タイヤの性能アップなどなど)もいっぱいしている。

 渡邊センター長の話を聞きながら、「地球シミュレータを含むスーパーコンピューターは、今後の日本の産業競争力、そしてさらには世界の技術水準アップに絶対欠かせないものだ」という印象を改めました。

 特に私が面白いと思ったのは、テレビの気象情報などでは地球を平面的に見なして、雲の動きなども横動きしか見せない。しかし実際には、雲も、それを形成する上で重要な風も、横、そして縦にも斜めにも波を打って動く

 「地球シミュレータ」はそれを3Dで表示することに成功していました。まだ研究段階なのですが、例えば今は雷が多い季節ですが、あの雲は急激に上昇気流に乗って上に伸び、下が太陽の光が届かないほど暗くなった段階で、バシャバシャと地上に雷を落とす。

 ということは、風(水分をたっぷり含んだ)の上昇や雲の上下での形成を分析できれば、「雷予測」が出来る筈です。本当にいっぱい利用方法があるな、と思いました。「地球シミュレータ」でもTSUBAME2.0(今現在世界5位)でも、そして「京」でもそうですが、「予算を削ろう」などとんでもない無知な人間のすることだ、と思いました。

丸の内の風の動きとその温度  放送予定日は、2011年9月8日木曜日、BSジャパン午後10時「地球★アステク」です。

 ところで、「本日の地球★アステク」は、「これぞ次世代コンピューター」です。電気通信大学 大学院情報システム学研究科・小池英樹教授を取材したもので、「手を触れずに誰もが簡単に操作できる次世代のコンピュータシステム」を紹介します。スパコンとは違って、我々にとって非常に身近なコンピューターに関する話題です。

 キーワードが登場します。それは、“CHI”。Computer Human Interactionの略で人間にとって本当に使いやすいコンピュータシステムを追求する研究のことです。

 カメラと偏光フィルターという光を遮断するフィルムを使い、人の動きや物体、光の変化などをとらえて新たな認識システムをできあがりました。実際に触ってみて、“フェイスボード”という手を使わずに顔の向きや距離だけでディスプレイを操作できる装置は面白かったな。

 ディスプレイの前に人が現れると、カメラが目と口の位置を読み取り、見ている画像を表示する。更に、見ている画像に顔を近づけると、詳しい情報まで表示してくれるという優れもの。今夜の放送ですので、お忘れなく。

 その前の「東京FM TIMELINE」は、今日のニュースをいくつか取り上げた後、特集は『SF作家・小松左京が伝えたかったこと』です。SF作家といっても、小松さんの取材は綿密でした。その上で文章を書いた。彼は何を残したのか。こちらもお楽しみに。


2011年08月10日(水曜日)

 (03:54)そりゃ、最初にこのFOMC声明(日本時間午前3時半発表)を読んだら、発表前には上がっていた株価(ダウ30で一時は240ドル近く上げた)を売りたくなりますよ。声明発表直後には、私が見ている範囲ではダウ30は200ドル以上下げた。何せso far today の高値が11053、安値が10605ですから、450ドルもスイングしている。2008年を思い出すような乱高下は、今も続いている。引け値がどこになるかは分からない。

 なぜそう思うかというと、思いっきり最初の2パラグラフで「景気は前回会合(6月)」の時よりも悪くなったと繰り返し言って「期待感」を高めたあとで、では実際に何をするのかという点に関しては、「現状のFF金利目標レンジは維持」(to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent)、FRB保有証券の元本支払いの再投資という現状政策の維持(The Committee also will maintain its existing policy of reinvesting principal payments from its securities holdings)を決めただけ。

 唯一前回FOMCと異なる表現をしたのは、それまで「are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate for an extended period.」となっていたのを、「are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate at least through mid-2013.」とした部分。

 確かに「少なくとも2013年半ばまで異常に低いFF金利の水準保証の可能性大」は思い切った表現です。なにせ「今後少なくとも2年」と言っているわけですから。今は2011年。そんなに先まで言っていいのかな、と思っていたら、FOMCの中にも反対があった。

 最後のパラグラフ、「Voting against the action were:」で始まる文章です。そこにはなんと3人もの反対者の名前が掲げられていて、何に反対したかというと、「今までの for an extended period」の方が表現としていいじゃないか、と言っている。

 この辺が、バーナンキの焦りなんでしょう。6月の声明とは何か違えないとマーケットを納得させられない。しかし、FF金利の目標を変えようがないし、QE3の話をするわけにもまだいかない。再投資の額の話は出たと思うが、それも時期尚早となったのでしょう。で、「異常に低いFF金利水準の目処を思い切って”少なくとも2013年半ば”」としようとしたら、当然ながら反対が出た。

 それをFRBの熱意と取るか、無策の焦りととるかでマーケットは迷ったのだと思う。今私が文章を書いている日本時間4時17分の時点では。ダウ30は131ドル上げている。凄まじいスイングだ。比較的落ち着いた動きなのが外国為替市場で、そんなに先までの「異常に低いFF金利の水準」が示されてもドル・円は76円の後半の77円に近いところで推移している。ま、介入の可能性もありますから。

 ということは、「アメリカの低金利」は続くと言うことです。FOMC声明は日本の名前を引き続き出しているが、「米国国債の格付けの引き下げ」に関しては、言及がない。それにしても、第一、第二パラグラフを読むと、いかに景気見通しを引き下げたかが分かる。

 前回6月の声明では、「though somewhat more slowly than the Committee had expected」(FRBの予想よりは若干弱い)と言いながらも、基本的には「 the economic recovery is continuing at a moderate pace」(景気回復はなだらかながら続いている)と言っていたわけですから。それが今回の声明では、「economic growth so far this year has been considerably slower than the Committee had expected」となって、「降参」という感じですからね。

 私が気になるのは、「Temporary factors, including the damping effect of higher food and energy prices on consumer purchasing power and spending as well as supply chain disruptions associated with the tragic events in Japan, appear to account for only some of the recent weakness in economic activity.」の部分です。ここでまたしても日本が出てくるのですが、

  1. 食糧・エネルギー価格上昇の消費者の購買力と支出に対する押し下げ効果
  2. 日本の震災に関連したサプライチェーンの乱れ
 を「一時的要因(temporary factors)」と挙げながらも、「appear to account for only some of the recent weakness in economic activity」(最近の経済活動鈍化のごく一部を説明しうるもの)と言っている。私が思ったのは、「じゃ、言わなきゃいいじゃ」と、「じゃ、本当の原因は何?」です。そこを分析しないと、とてもアメリカの複雑な、そして弱くなりつつある景気を再び強めることにはならない。

 引けに向けて、ニューヨークの株価は上げ基調だ。これは2013年央まで「異常に低いFF金利維持」というFRBの熱意を買った意味もあるが、どちらかと言えば「今日に至る2営業日で1000ドル以上、つまりほぼ10%下げました」というレベルから見た「相場水準が本来持つ強さ」の表現でしょう。

 この世が終わると考えない限り、まっとうな営業をしている企業の株価には、「もう買っても良い」というレベルは常にある。声明全文は以下の通りです。

Release Date: August 9, 2011

For immediate release

Information received since the Federal Open Market Committee met in June indicates that economic growth so far this year has been considerably slower than the Committee had expected. Indicators suggest a deterioration in overall labor market conditions in recent months, and the unemployment rate has moved up. Household spending has flattened out, investment in nonresidential structures is still weak, and the housing sector remains depressed. However, business investment in equipment and software continues to expand. Temporary factors, including the damping effect of higher food and energy prices on consumer purchasing power and spending as well as supply chain disruptions associated with the tragic events in Japan, appear to account for only some of the recent weakness in economic activity. Inflation picked up earlier in the year, mainly reflecting higher prices for some commodities and imported goods, as well as the supply chain disruptions. More recently, inflation has moderated as prices of energy and some commodities have declined from their earlier peaks. Longer-term inflation expectations have remained stable.

Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee now expects a somewhat slower pace of recovery over coming quarters than it did at the time of the previous meeting and anticipates that the unemployment rate will decline only gradually toward levels that the Committee judges to be consistent with its dual mandate. Moreover, downside risks to the economic outlook have increased. The Committee also anticipates that inflation will settle, over coming quarters, at levels at or below those consistent with the Committee's dual mandate as the effects of past energy and other commodity price increases dissipate further. However, the Committee will continue to pay close attention to the evolution of inflation and inflation expectations.

To promote the ongoing economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with its mandate, the Committee decided today to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent. The Committee currently anticipates that economic conditions--including low rates of resource utilization and a subdued outlook for inflation over the medium run--are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate at least through mid-2013. The Committee also will maintain its existing policy of reinvesting principal payments from its securities holdings. The Committee will regularly review the size and composition of its securities holdings and is prepared to adjust those holdings as appropriate.

The Committee discussed the range of policy tools available to promote a stronger economic recovery in a context of price stability. It will continue to assess the economic outlook in light of incoming information and is prepared to employ these tools as appropriate.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Charles L. Evans; Sarah Bloom Raskin; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen.

Voting against the action were: Richard W. Fisher, Narayana Kocherlakota, and Charles I. Plosser, who would have preferred to continue to describe economic conditions as likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate for an extended period.


2011年08月09日(火曜日)

 (13:25)一つ長い原稿を書き終えて、「よっしゃ、街歩き」と思って、変化する大阪の象徴である天王寺駅周辺、特にQ's mallを二時間弱ほど時間をかけて歩きました。とにかく外を歩ける温度ではなかったので屋内で。

 モールは、当たり前ですがいろいろなショップの寄せ集めです。一階にユニクロなどなどが入っていて、二階の一角に渋谷マルキュー(109)が入っている。渋谷の単独ビル方式ではなく、モールの一角なので、雰囲気は随分違う。

キューズモールの南側から近鉄、その先の天王寺の駅を望む。阪堺電車の駅も見える  三階は趣味の店とか、レストランが入っていて、4階は全部レストランだった気がする。地下はハンズなど。夏休みなので子供連れのお母さんが多い。お店を結構見て歩きましたが、男がよばれている印象はしない。女性、さらに言えば子供です。

 天王寺の沿線は子供が多いのでしょうか。とにかく子供服の店が多い。ヨーカドーも入っていて、よって赤ちゃん本舗も。男が入れる店は、ごく限られている。しょうがないので、みたらし団子を頂きました。

 外に出れば近鉄のビルがもうかなり建っている。10階ほどまで。それにしても、あの辺は阪堺電車(チンチン電車)が走っているせいか、駅の南側は電線の巣のようになっている。ベトナムほどではないが。あれをどうにかしないと、街全体が綺麗にならない印象がした。

 行きのタクシーの中で、「ロンドンの暴動が英各地に飛び火」とニュース。直接的原因は、警察官が黒人の若者を射殺したことですが、暴動はいずれも貧困がはびこる地帯で起きていて、「英政府が取り組んでいる厳しい財政緊縮策が低所得者の生活を圧迫しているともされている」との解説が日経にある。

 しかし、スペインのように失業した若者にも優しい社会を作ると、暴動は起きないがマーケットから財政規律で「ノー」を突きつけられる。今日の昼の東京まで、世界的に株価は急落している。地獄まで堕ちる相場はないので、いつか買いは入る。それは分かっているが、その後足早に上がるかというとなかなか難しいとも思う。

 今の世界は、途上国でインフレは高まっているし、常にそうではあるのですが、不安感は強い。


2011年08月08日(月曜日)

 (11:25)全文が出てくるのが遅い遅い。どのメディアでも。どうして遅いのか。また、新聞社が出す翻訳記事はどうも信用できない。全部自分で英語を読んで、初めてこの声明がなんと言っているかが分かる気がする。ずっと前からですが。

In the face of renewed strains on financial markets, we, the Finance Ministers and Central Bank Governors of the G-7, affirm our commitment to take all necessary measures to support financial stability and growth in a spirit of close cooperation and confidence.

We are committed to addressing the tensions stemming from the current challenges on our fiscal deficits, debt and growth, and welcome the decisive actions taken in the U.S. and Europe.

The U.S. has adopted reforms that will deliver substantial deficit reduction over the medium term. In Europe, the Euro area Summit decided on July 21 a comprehensive package to tackle the situation in Greece and other countries facing financial tensions, notably through the flexibilisation of the EFSF.

We are now focused on the quick and full implementation of the agreements achieved. We welcome the statement of France and Germany to that effect. We also welcome the statement of the Governing Council of the ECB.

We are committed to taking coordinated action where needed, to ensuring liquidity, and to supporting financial market functioning, financial stability and economic growth.

These actions, together with continuing fiscal discipline efforts will enable long-term fiscal sustainability. No change in fundamentals warrants the recent financial tensions faced by Spain and Italy.

We welcome the additional policy measures announced by Italy and Spain to strengthen fiscal discipline and underpin the recovery in economic activity and job creation. The Euro Area Leaders have stated clearly that the involvement of the private sector in Greece is an extraordinary measure due to unique circumstances that will not be applied to any other member states of the euro area.

We reaffirmed our shared interest in a strong and stable international financial system, and our support for market-determined exchange rates. Excess volatility and disorderly movements in exchange rates have adverse implications for economic and financial stability. We will consult closely in regard to actions in exchange markets and will cooperate as appropriate.

We will remain in close contact throughout the coming weeks and cooperate as appropriate, ready to take action to ensure stability and liquidity in financial markets.

 仮訳ながら翻訳を欲しい方は、ここで見て頂ければ良いのですが、全体的な印象を言うと、
  1. 奥歯にものが挟まったような言い方をし、具体的な問題の指摘に欠ける
  2. 故に、既にアメリカやEUが採用した措置の後押しをしているもの、全体に弱い
  3. 為替市場に関しては、従来の言い方の踏襲で、これだけでは今後協調介入などが行われるかは不明
 です。東京市場は比較的静か。本番は、本家本元のニューヨーク市場が始まってからでしょう。


2011年08月07日(日曜日)

 (06:25)有力3社の中の一社だけですが、米国国債の格下げを実施。そりゃあやはり、史上(といっても1940年代以降ですが)初のことですから、今は週末ですが「週明けの市場から世界はどうなるのだろう」という不安感が強い。欧州の債務危機もスペイン、イタリアへと波及している。

今の世界経済情勢のようなよく分からない写真でしょう。ヒルズで撮ったくらげの写真です。とっても綺麗です  そこで7日、今日ですが緊急のG7が開かれるという。G8でもなく、G20でもない。ま、先進国が起こしている問題で特にマーケット関連ですから、G7なんでしょう。まだ必要だと言うことがある意味証明されたような事態。集まれないので、電話会議だという。

 やるからには、何か結論、何をするとか、どうするとか結果が出ないといけない。「みんなで財政の赤字を減らす努力をします」ではすまない。具体的に「債務の削減と困難に至った国のやるべき事、それを強制するシステム、その上での支援措置」を決めないといけない。結構高いハードルです。

 アメリカ国債の格下げに関しては、「格下げそのものが間違っている。我々はアメリカのシステムの安定性を信じている。しかしアメリカも金融秩序の維持に努力する」「アメリカの政治対立は、今回明らかになったほど亀裂深いものではない」といった声明になるでしょう。SPの挙げた格下げ理由が

S&P said the downgrade "reflects our opinion that the fiscal consolidation plan that Congress and the administration recently agreed to falls short of what, in our view, would be necessary to stabilize the government's medium-term debt dynamics." It also blamed the weakened "effectiveness, stability, and predictability" of U.S. policy making and political institutions at a time when challenges are mounting.

 と言っているからだ。ということは、SPとしてはメンツもあるから、財政赤字削減の額増額が将来見通せないと、格の見直しはしないだろう。次もネガティブなので。他の2社はどうするか。どこか一社は「私たちは変えない」と言うような気がする。

 マーケット的に興味深いのは、「だからといって、米債を売れるか」「売ったとしてもそのお金をどこに持っていくのか」だ。私はG7が中国や日本に、「米債には信頼を置いていますよ」という声明を出してもらおうとするだろうと思う。日本はすぐに応じるが、中国は「アメリカが軍事費を削減したら」とか言いそうだ。

 今の世界では、投資資金の受け皿として米債が圧倒的に大きい。日本国債はもうこれ以上買えないし(違う考えを持っている人もいるでしょうが)、ギルトやブンズの市場は小さい。金はもっと小さい。穀物など商品を挙げれば(上げれば)指弾される。「結局米債に戻ってくる。当面は」というのは当たっていると思う。しかし、将来はどうだろう。ま、米債の市場が大きいと言うことは、それだけアメリカが借金しているから米債が出ているということですが。

 週末に面白いニュースを見つけた。「悲観リポートで市場動揺」伊検察、格付け会社を捜索というのだ。気持ちは分かる。

 大手格付け会社、スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)とムーディーズの「正当でない悲観的なリポートによって、株式市場が揺さぶられた可能性がある」として、イタリア検察当局は5日までに、両社から資料を押収した。

 AP通信によると、イタリア国内の消費者団体が検察当局に告発していた。担当検事は地元テレビの取材に対し、「政府が市場の信認を受けるための緊縮策をまとめる前の段階で、イタリアを『格下げ』していたに等しい」などと両社のリポートを評したという。

 S&Pは捜査について「事実に基づかない」としている。ムーディーズは「当局の捜査には協力している」としている。

 朝日だったかな。正直「なるほどな」と思った。そういう考え方も可能だ。リーマンであれだけ非難された格付け会社が、まるで「世界の帝王」のように振る舞っている。これはおかしい。しかし、先進各国が債務の扱いでだらしないのも確かだ。

 明日からの市場は、「荒れる」というより、「What will happen ?」というイメージで迎えることになる。


2011年08月06日(土曜日)

 (02:25)激しいな。実に。今のニューヨーク・ダウは+144.44ドル。日本時間の午前2時25分の段階です。早めに寝て、ちょっと目が覚めたのでチェック。

 ウォール・ストリート・ジャーナルのチャートを見ると、安値が11140とある。前日引値が11384。ということは、一時244ドル下げていたことになる。今は144.44ドル高なので、swingは388ドル。so far todayですが。ま、昨日は終値だけで前日比512ドル下げていましたからね。

 雇用統計は懸念した割には良かった。非農業部門の就業者数は+9万人の予想に対して11万7000人のプラス。だから、「良かった」と言っても小幅。失業率はわずかに下がって9.1%。今のドル・円は78円45銭近辺。

 それにしても、「介入環境ではない」のによく踏み切ったと思う。介入環境とは、1)相場が乱高下している。具体的にはtwo-way market であることをやめている 2)他の国の中央銀行の支援で”協調介入”が期待できるーーだと思う。しかし今週木曜日以前の市場はその二つの条件を満たしていなかった。

 多分、利下げしたスイスとは連携していたのでしょう。しかし、十分な環境が整わない中での介入は、「着手は容易だが、その後の相場維持には苦労する」ことを予感させた。今その状況になりつつある。やり続ける覚悟とは、国際的な批判を覚悟すると言うことだ。

 そう書いたうえて、筆者は介入そのものは良かったと思っている。各国が「自国通貨が安くなること」にほくそ笑んでいるような状況は、今の世界経済では良くない。ポルトガルやギリシャ、今ではスペインとイタリアに飛び火した欧州の債務危機は、現象的にはユーロ安を誘発し、ドイツやフランスの輸出業者を利している。

 アメリカも無責任だ。政治が経済政策の枠組みを大幅に絞り込んでしまった。今となっては、「二番底」になっても財政出動の余地はほぼない。それでは、マーケットが「先行きどうなるのか」と不安になるのは当然だ。

 相場が朝方の244ドル安から大きく反発しているのは、相場水準でしょう。雇用統計はそれほど強い数字とは言えない。「リセッション」の懸念はある。しかし、相場水準が大幅に下がり、一つ一つの銘柄の魅力が増したので、今は押し目買いが入っている状況。しかし、押し目が続く環境ではない。

 原油相場を見たら、上がって86ドル台だ。100ドルに遠い。金は1656ドルに達していた。ということは、今のマーケットの懸念は「世界的な景気の減速」にある。しかし、欧州もアメリカも「財政出動の道」を塞いだ。金融の役割は重くなったが、そもそも借り入れ需要が低調な中では、本来の意味合いでの金融政策は効かない。

 マーケットがレベル調整に入ったのは、当然でしょう。しかし、相場のレベルにはレベル自体のパワーがある。ニューヨークのダウは下がったと言ってもまだ11000ドル台だ。それまでの12000ドル台が高かったのだ。ニューヨークの史上最高は確か14000ドル台だ。リーマン後の状況は高値へのニアミスが間違いであることを示していて、私は「高所恐怖症」だと思っていた。ということは、下げ方はきつかったがまだ「correction」の段階です。

 などと書き連ねているが、また寝ようっと。おっと、ニューヨークのダウの上げ幅は縮小してきた。今は96ドル高。今は午前2時49分。為替のドル・円は78.56。


2011年08月04日(木曜日)

 (11:25)まだ仙台に居ます。もうすぐ新幹線で東京に移動しますが、火曜日の夜に入ったので40時間ほどの滞在。先週の金曜日はそれこそとんぼ返りでしたが、今回はある程度の時間が過ごせたので、3月11日の大震災・津波から約5ヶ月の仙台をある程度見れて良かった。

 今の仙台を一言で言い尽くしていたのは、空港から乗ったタクシーの運転手さんの言葉でした。それは、「変な景気」。先週も紹介したように地震保険がかなり落ち、日本中から工事関係者が集まり、そして復興資金が注ぎ込まれている。

天井の高い建物に使われる強烈LEDライト。ナイターに使えば良いのにも思いました  その結果は、ホテルの満杯状態の持続や、繁華街である国分町の異常な人出などであり、デパートやスーパー、それにホームセンターの売り上げのアップです。国分町は以前から出張の度に来ていましたから、「比較が出来ると」ということで遅い食事がてらに取材班の3人で行きましたが、それはそれは大阪の新地でも、東京の銀座でも最近はついぞ見かけることがなくなった人出でした。お店もいっぱい。ナイス。

 問題は復興需要が続く4年か5年たったあとでしょう。産業の核がないと、雇用の維持、街の活気の持続が出来ない。しかしその面で二つの元気な企業を取材できたことは良かった。来週火曜日の「アンカー」のコーナー特集関連で取材させて頂いたもの。

 一つは先週も社長インタビューで訪れたアイリスオーヤマさん、今回も社長さんにもお会いしましたが、時間のほとんどは工場見学・取材でした。広報の辻さんには手際よく案内してもらって大助かりでしたが、中味も濃かった。詳しくは来週火曜日に番組で見て頂ければ良いのですが

  1. 何と、今世界の先端を走るLED電球の分野で、日本一の製造シェアを持っているのはお馴染みの家電メーカーではなくアイリスオーヤマである
  2. それは家電メーカーが家電量販店を中心に販売をしているのに対して、オーヤマがホームセンターなどを含めて実に幅広い販路を持つことから生じている
  3. 同社がLED電球の製造・販売に乗り出す切っ掛けとなったのは、植物栽培用のライトを作っていた事による
 ということでした。これには驚きました。同社の場合LEDチップを外部から調達しているのですが、LED電球ナンバーワンが日本の家電メーカーでないことは、私も初めて知りました。

 同社では、オフィスや工場・倉庫などで多用される細長い筒状の直管蛍光灯に近い形をしたLEDライトを見せて頂いたり、体育館の最上部に付ける球状の大きなLEDライトも見せて頂きました。LEDライトを普通に街のお店で我々が見るのは、電球型です。新型のLEDライドは、建物の設計段階から組み込まれないと構造上だめだそうで、まだ最終消費者の目にはなかなか触れない状態だという。

「がんばっぺ」とは違う。お互いに頑張るが「がんばっぺし」  もう一社は、「八木澤商店」です。八木澤の名前は、米澤伊達藩の「米澤」の「米」の字を、二つに分解して出来たと聞いた。昔の人は面白いことをする。200年の伝統がある、醤油、つゆ、たれなどのメーカーでした。

 しかし地震で事務所と工場が全部もって行かれた。普通なら廃業を考える。しかし、今の河野社長(9代目)が考えたのは、籠城戦。暫くは流動性を食いつぶしながらも、OEMで作った醤油を販売することからビジネスを再開し、かつ従業員を一人も解雇しないという大方針。4月1日にその方針を従業員に伝えたそうです。ナイス。

 そこで聞いた言葉も面白かった。一つは宮手かな。特に岩手県の南部の人達は、宮城県の北部との一体感が強いそうで、それを「宮手県」意識としばしば呼ぶと。岩手県が面積で「四国4県に相当する」も面白かった。

 うーん、何と言っても面白い言葉のナンバーワンは「便所の100ワット」かな。社長の一代上の八代目河野さん。息子に譲ったがどうやら精神的支柱のお一人であられるようで、「おれは”便所の100ワット”と呼ばれている」と。その心は、「不必要に明るい」。ははは。

 面白いVTRに仕上がると思いますよ。来週火曜日の「アンカー」「伊藤 洋一の自由研究」をお楽しみに。現地のカメラ、音声さんのトリオも楽しい方々でした。tks


2011年08月03日(水曜日)

 (23:25)公開された私のコラムや木曜日放送予定の番組についてのお知らせです。

 まずコラムは、「ECO JAPAN」にアップされた伊藤 洋一のBRICSの衝撃「存在感増すブラジル経済【2】「貧困の再生産」を断ち切る」です。前回からブラジルを取り上げていますが、今回はなぜ同国が中国などとは違う「内需主導型の経済」を作り上げたのかを取り上げました。キーワードは、「ボルサファミリア」です。

 木曜日の番組のお知らせです。毎週木曜日午後6時45分からの東京FM TIMELINEでは、その日のニュースを取り上げると同時に、午後7時からは毎週特集を組んでいますが、今週は『就活にも影響!?「年金の2013年問題」』を取り上げます。

 厚生労働省はつい最近ですが、2010年度の国民年金の納付率が59.3%と、3年連続で過去最低を更新したと発表しました。納付率の低下には歯止めがかからない状態が続いていますが、こうした状況をより悪化させかねない問題として注目されているのが「2013年問題」

 厚生年金は「定額部分」と「報酬比例部分」からなり、「定額部分」の支給開始はすでに引き上げられていて現在は65歳から。「報酬比例部分」も2013年から60歳では受給できなくなる。つまり2013年以降60歳で定年を迎えた人は 「給料も年金ももらえない」状態になる人が多く出てくるのが、2013年問題です

 これを受けて、厚生労働省は昨年、「今後の高齢者雇用に関する研究会」をスタート させ、「希望者全員の65歳までの雇用確保策」を検討していますが、日本経団連は「ただでさえ新卒者が厳しい就職環境下」におかれる中、「高齢者のみが優遇されるような政策」は極めて問題があるとの指摘を含む提言を発表しました。

 そこで、「2013年問題」が就活に与える悪影響は避けられないのか? 「2013年問題」とそれが就活に与える影響を考えます。  夜10時からは、「地球★アステク」です。今年3月名古屋市にオープンしたJR東海の大規模鉄道展示館「リニア・鉄道館」を私と蒼姉妹が訪れるます。

 リニア・鉄道館では、1954年に当時世界最速記録の時速129キロを出してギネスブックにも掲載されたC62形式蒸気機関車をはじめ、マニア垂涎の鉄道車両がおよそ40台も展示されており、鉄道技術の歴史的変遷を実車を通じて学ぶ事ができます。実際に非常に多くの子供連れの家族が来ています。当然、団体も。てっちゃんが一杯。

 しかし見どころは歴史的車両だけではない。日本が誇る新幹線や夢の超電導リニアも展示されている。今回は、私もN700系の運転に挑戦。さらに超電導リニアの世界最高時速500キロも体験。超電導発見から今年で100年。超電導リニアの技術革新で、未来の世界がどう変わるのか洞察します。


2011年08月02日(火曜日)

 (14:25)もうこれは、「人材の問題」だなと思いました。事故を起こした中国の高速鉄道で、よりによって問題を起こした信号(または信号群)が動かない、と聞いて。ニュースは以下の通りです。

 2日付の上海紙、新聞晨報は、高速鉄道事故があった浙江省温州市と同省寧波市を結ぶ区間で1日午後、10本以上の列車が大幅に遅れるトラブルがあり、駅に停車した列車の車掌が「信号が発信されなくなった」と原因を語ったと報じた。(サンケイなど各紙)
 システムを動かす一番重要な変動要因は、実は人間ではないでしょうか。所与の条件をしっかり知っている、それ故にそれを直せる、使える、運用できる人間がいなければならない。世の中「全自動」なんてことはないわけだから。

 中国は新幹線など「高速鉄道」の建設を急いだ。おそらくそれをしっかりと運用できる人間は少ないのだと思う。人材が払底しているのにシステムを広げて失敗した会社や国は一杯ある。最後は人間を大事にしないと、そしてその人間達が共有できる情報、知恵、伝承がないとプロジェクトは順調に動かない。それは日本の銀行のコンピューター・システムでもそうです。

 だから、何か起きたときに広く社内は無論のこと、社会全体にそれを公表すると、失敗、知恵、立ち直りの情報が共有できて、今後の問題発生を未然に防げる。というより、それを聞いた人は未然に防ぐ知恵を身につける。

 何が起きたのかの情報が、そして知恵が共有されなければ、「誰もが初体験」で、同じ過ちが繰り返される。中国が鉄道事故を隠蔽しているとしたら、それは「共有」を阻んでいると言うことで、同じ過ちを繰り返し、それがいつが体制崩壊の切っ掛けになるかもしれない。長い目で見れば、隠した方が損なのです。

 日本もそうだと思う。原発で失敗した。失敗したらしたで、その情報を公開しないと、日本にとっても原発を数多く持つ国にとっても、「経験と知恵」の共有が出来ない。そしてまた重要なことは、企業内の人間が、そして社会が経験や知恵を共有し、伝承できるようになるのはやはり「時間がかかる」ということです。人を育てると言うことは、大変なことなのでしょう。

 中国の新幹線は急ごしらえだ。運転手の訓練期間もびっくりするほど短い。そして事故情報は隠したまま。まだまだ事故は起きるでしょう。大事にならなければ良いが。


2011年08月01日(月曜日)

 (21:25)折角合意が出来たとオバマ大統領が発表して一時78円台に行っていたドル・円相場を今チェックしたら、また76円台の後半。ドルの安値追い、というかドル不安はまだ止まっていない。

 やはり、オバマ大統領が発表した合意内容がマーケットが安心するほどしっかりした内容ではないからでしょう。大統領自身が言っているように、「1日に行われる下院の票決の結果が依然として重大である」(ティーパーティの連中がいるので)ことが一つで、その先も予算の追加削減に関して超党派会合がまとまるかどうかも不明だからだ。

 さらにその先を言えば、仮に明日の議会票決で現行案通りに決まったとしても、2.5兆ドルの赤字削減では米政府の総額の赤字は増加し続けることになる。ということは、アメリカの国債は発行し続けられることになる、ということだ。

 これは今朝の文章に書き込んだのですが、そもそも今回の赤字削減・債務上限引き上げを巡る与野党と政権を巻き込んだ話し合いの難航には、以下のような背景があると筆者は考える。

  1. 特に2008年以降のアメリカの債務の伸びが対GDP比で見ても非常に大きくなった。「財政は均衡して当たり前」と考える保守的アメリカ人の基本的な考え方からして、今の財政状態がやや常軌を逸する状況に近づきつつある

  2. その政治状況を党派のパワーとしたのがティー・パーティで、今の下院を制する共和党の新人議員はかなりの程度この運動の後押しを受けており、彼らは共和党の指導部とも考え方が違う。それが議会での合意形成が難しい背景となっている

  3. つまり財政の健全化を巡る動きが一種の“哲学論争”の様相を呈して、議会長老がこれまで牛耳ってきた議会の運動力学を複雑なものにして、合意形成を極めて難しくした
 ということでしょう。日本人の間にも、「家計の健全性」やそれを大きくした場合の「国家財政の健全性」に関する常識、倫理意識は強いが、その「倫理意識から来る危機感」がアメリカでは一段と保守派の間に強く、いかにこの赤字を減らすかに関してアメリカのいろいろな思潮が今回激しくぶつかったと言うことしょう。

 ということは、何らかの要因によってアメリカの財政が黒字に向かわないと、または赤字減少の方向に向かわないと、この“哲学論争”は幾度となく繰り返し、例えば来年の大統領選挙、その先の議会選挙でも大きな争点になるということだ。

 「国家の財政を健全化すべきだ」というのは、日米欧で共通する基本的認識でしょう。それが出来なかったギリシャなどの国が国債の格付け引き下げ、そして債務危機に向かい、EUやIMFの支援を受けているのを見ると、「そうした状況に自分の国もなるかもしれない」という危機感、そうした事態に立ち至った自国の財政状況に嫌悪感を抱く人は、先進国のどこにも多いだろう。

 実際的にはアメリカにしろ日本にしろ、経済規模はギリシャとは比べものにならず、それは今回のアメリカがそうであったように、直ちに世界経済の危機に通じるだけに、ヨーロッパの主要国、アメリカ、そして日本の財政危機深刻化は、今回のアメリカのケースが示したように深刻である。

 ところで、ニューヨーク・タイムズには「In World’s Eyes, Much Damage Is Already Done」という記事がある。そりゃそうだ。



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