2011年03月31日(木曜日)

 (18:20)明日から4月と言うことで、私が担当している番組でも、始まるもの、時間帯が変わるものがあります。

 まず2008年の10月から今まで続いていた「世の中進歩堂」が、4月の第一週(金曜日午後10時24分、BSジャパン)の最後の放送で終わり、その次の週から「地球★アステク」が始まります。同じように新しい科学技術・それに基づく最新製品を取り上げていきますが、より現場に近い感覚でお伝えします。私のお相手も、梶原茉莉子さんから蒼 あんな&れいなさんに代わります。

 蒼あんな&れいな姉妹は、一卵性双生児として1987年に東京に誕生。双子タレントのニューカマーとしてブレーク中です。もう一緒に仕事をしましたが、切れの良い、頭の回転の速い姉妹です。帝王切開でたった一分差で生まれてきた姉妹です。「地球★アステク」の放送時間は、「世の中進歩堂」より少し早くなって金曜日の午後10時からです。

 もう一つ。東京FMで木曜日の午後「Time Line」は従来は午後7時から30分の番組でしたが、4月からは午後6時45分から1時間の番組になります。放送時間が倍になるので、いろいろな試みが出来そうです。その他の番組を含めて一週間のスケジュールは、以下の通りです。

  2011年04月からのレギュラー番組体制は

 月曜日 午後10時15分 日経CNBCヴェリタス・トーク」(http://www.nikkei-cnbc.co.jp/program/firstclass/)  

 火曜日 午前5時から大阪ABC放送の「おはようコールABC」(http://asahi.co.jp/call/

 火曜日 午後5時から「関西テレビ アンカー」(http://www.ktv.co.jp/anchor/

 木曜日 夕6時45分から「東京FM TIMELINE」(https://www.tfm.co.jp/timeline/
 
 金曜日 朝方7時から「TBSラジオ 森本毅郎スタンバイ」(
http://www.tbs.co.jp/radio/stand-by/

 金曜日 午後10時 BSジャパン「地球★アステク」(http://www.bs-j.co.jp/asuteku/) 

 金曜日 午後10時45分から「ラジオ日経 Roundup World Now」(http://www.radionikkei.jp/roundup/

      同ポッドキャスト放送へ

  その他適宜出演。 定期執筆コラムなどは、光文社のGAINER(http://gainer.jp/)、日経BP Eco Management(http://premium.nikkeibp.co.jp/em/column/itou/)、man@bow10代で学ぶそもそも講座(http://manabow.com/somosomo/index.htmlなど多数。


2011年03月31日(木曜日)

 (11:20)ふっと「今日で3月も終わりだ」と思って、あのとき何が起きたのか、携帯メールや携帯電話が通じない中でツイッターやフェースブックはいつから通じたんだっけ、と思って過去の記録を調べてみました。

震災時に活躍したPCとポケットwifi  私のサイドからツイートしたツイッターだけを3月11日の午後から拾ったら、逆時系列で以下のようになった。その時の私の環境は、ビルの28階で大きな揺れにあい、しばらく部屋の中にとどまった後、3時前に(地震があったのは午後2時46分)にはビルの関係者の誘導で28階から階段で駆け下り、周囲の写真を数枚iphone で撮りながら見附近辺の道を歩いてその辺で一番高い日枝神社に移動したのです。移動し終えたのが(日枝神社の境内に入ったのが)確か午後3時03分ぐらいだったと思った。人がいっぱいでした。

 28階から階段を駆け下りるときに、一つ鞄を持った。その中にPCといつも充電を心がけているバッファローのポケットwifiも入れていたのが、私の通信環境を担保してくれた。

 日枝神社には既に大勢の人が集まっていて、「ケイタイ電話が通じない、ケイタイメールもダメ」といった話をしていたと思う。境内の階段に大勢の人と一緒に座って、PCを取り出してポケットwifiが通じるかをチェックしたのがその直後、多分午後3時05分くらいかな。通じていると分かったのがしばらくして。

 その後はツイッターで流れている情報を周りの人に伝えた記憶がある。記録だと、地震後初めて発信したのは午後3時07分となっている。たしか色々来ていたツイートに一緒に返事を書くつもりで書いたのだと思う。

 ――――――――――

削除 .  大丈夫ですよ。ありがとうございます。#yilog #ruwn RT @xxxxxx: @
ycastercom 先日訪問して頂いた粉浜商店街の富永と申します。そちらは大変な状況のよ
うですね。お怪我などない事をお祈り申し上げます。
7:08 PM Mar 11th TweetDeckから

削除 .  まだ揺れてますね。日枝神社近く。 #yilog #ruwn
5:14 PM Mar 11th TweetDeckから

削除 .  溜池では、ビルのガラスが落ちたと警察官が言っていた。 #yilog #ruwn #fb
 RT @xxxxxx: 赤坂も被害ですか?Docomo携帯繋がりましたか? RT @ycastercom
: ははは、この辺で一番高い日枝神社に避難。人が一杯。 #yilog #ruwn
3:54 PM Mar 11th TweetDeckから

削除 .  ドコモのポケットwifiが使えます。ツイッターもフェースブックもok。 #
yilog #ruwn #fb @xxxxxx: 携帯、メールは通じないけどTwitterなら通じるって人も多
いみたいですね。何はともあ… (cont) http://deck.ly/~o2iOR
3:49 PM Mar 11th TweetDeckから

削除 .  あんがと。 #yilog #ruwn RT @xxxxxx: @ycastercom 余震が来るようです。注
意してください。
3:43 PM Mar 11th TweetDeckから

削除 .  ははは、この辺で一番高い日枝神社に避難。人が一杯。 #yilog #ruwn
3:40 PM Mar 11th TweetDeckから

削除 .  電波もあまり通じない。携帯もダメ。 #yilog #ruwn
3:07 PM Mar 11th TweetDeckから

 ――――――――――

 「削除」とあるのは、ツイッターのオフィシャルベージの機能の一つです。そのままコピーして残しました。私がポケットwifiを持ち出して通信を開始したのがこの記録ではたまたま午後3時07分(地震から20分後ですか)ということで、地震の直後にツイッターのシステムがどうだたのか(動いていたのかなど)については分からない。しかし多分直後でも使えたのではないか。もっとも直後にはケイタイメールもしばらく使えていた。しかしその後ケイタイメールは半日ほど東京でも機能不全になった。

 ツイッターが凄いのは、その後も非常に安定的に使えたと言うことです。電波は時々不安定になりましたが。この間も私はいろいろな方からのツイートを頂いていたと思う。しかし、結構日枝神社の中に入っても、「あそこに行かねば」と考えたりしていたし、移動もしていたので、最低限のツイートしかしなかった。大阪の方などは、私のツイートを見て「あいつ、生きている」と思ったらしい。

 確かその後もスマートフォンのツイッター、フェースブックも使えることを隣の人と確認した記憶がある。この記録は今回の地震での記録であって、震源地からは遠い東京の記録ですが、ま思ったのは「スマートフォン、それに余裕があったらPCとポケットwifiをもって災害時も避難した方がいいし、もっていることで情報を周りの人にも流せる」ということでしょうか。


2011年03月30日(水曜日)

 (23:20)山陽・九州新幹線用の20番線ホームへそれにしても、鹿児島は私から見て「日本とは思えないほど」暖かかったですよ。ま、鹿児島だけではなく、全国的に気温は上昇気味の中での3月30日ということでしょうが。今期もあと残すところ一日ですか。

 それにしても大阪から鹿児島に着いてみたら、「速かったな」と実感しました。なによりも、九州に入ってからの移動時間が圧倒的に短い。なかなかナイスな乗り物です。今日乗ったのは「みずほ」。車体そのものは「さらく」の方がかっこいいと思うのですが。

 新大阪を出たのが午前6時。早起きでしょ。山陽新幹線の区間中は何回も走っているから速いとは感じない。速いのは博多からです。博多を出発したのが午前8時半。熊本には9時に着いて、そして鹿児島中央が9時46分ですからね。九州の中は1時間16分しか走っていない。のに鹿児島に着く。ははは、小倉を忘れて済みません。時間がピタリなので博多中心に。

みずほの普通車座席は茶系の明るい色調です  今までの九州管内の列車の速度に比べたら雲泥の差。圧倒的な速さなんですよ。ビジネスマンは当然これを十分知っている。実際のところ、博多から「みずほ」に乗ってきたビジネスマンが非常に多かった。熊本で降りた人もいましたが、大体は鹿児島中央まで。

 多分、今まではかなりの方々が飛行機で移動していたのでしょう。鹿児島と博多の間です。しかし鹿児島の空港というのは県の最北部にある。南の指宿に行こうと思ったら「冗談じゃない」と思うほど遠い。圧倒的に新幹線が優位です。鹿児島中央は鹿児島市内ですから。1時間15分は魅力です。

 大阪から乗った山陽道・九州新幹線は、博多から乗る「のぞみ」の従業員が新大阪で交代するように、博多で従業員が交代する。それもあって、「大阪からの九州新幹線は博多からが面白い」という印象。

 なぜ九州新幹線に乗ったかというと、鹿児島で一つ仕事があったのです。「ここは一つ新幹線」と思って大阪から移動した。大阪と鹿児島がたったの3時間45分強で列車移動できると想像しただけでちょっと楽しかった。乗る価値があると思ったのです。

トイレも非常に広いのが一つありました  新大阪には20番線というホームが出来ていて、どうやらそれが九州新幹線に割り当てられているようです。このホームではこだまも走っているようですが、もっぱら速い列車の為に作られたホームのように見える。博多までは山陽新幹線の線路を使い、その先は九州新幹線の軌道を走る。フル規格の新幹線です。

 乗ったのは8両編成の「みずほ」は、綺麗で乗り心地は非常に良い。色調は茶色で、今までの新幹線ではあまり見ないタイプです。九州らしくて明るくて良い。東海道新幹線にはなかった非常に広いトイレがある。あと身障者の優先の多目的室も。

 グリーンにも行ってみましたが、これは良くない。ダークブルーで、全然特徴がない。普通席の色の方が好きです。ただし基本的にはN700なので、グリーン座席にはコンセントが座席の間に二つある。

 乗り心地は良いのですが、ご存じの通り山陽新幹線はトンネルが多い。かつ、九州に入ってもトンネルが結構断続的に続く。よって博多ー大阪間は「ゆっくりと景色を楽しむ」という雰囲気ではない。それが残念。通信環境も非常に悪い。

 鹿児島から羽田の帰りの飛行機は、非常に子供さんが多かったな。春休みの間両親の故郷に帰っていた? それとも?

 あと青森ー東京間も乗っていないな。機会があったら乗りたい。こっちの方はどうだろうか。


2011年03月29日(火曜日)

 (23:20)久しぶりに為替相場に目をやったら、ドル・円が82円台、ユーロ・円が116円台、そして豪ドル・円が84円台とかなり円安が各国通貨に対して進んでいる。

 それぞれの通貨にはストーリーがありそうで、米ドルが強いのはFRBの一人の理事が、米金融政策の正常化を示唆したという。今の米金融政策は「超緩和」だから、それが「正常化」するというのは、金利も上昇すると言うことになる。で、82円台ということか。しかし米ドルは豪ドルに対しては非常に弱い。

 そこはどうなっているのかと見ると、ウォール・ストリート・ジャーナルには、「Aussie Dollar Takes Off Amid Chaos」という記事があって、「クインズランド州の洪水以来、しばらく”リスク・カレンシー”とされた豪ドルに対する見方は大きく変わってきた」と指摘している。実際のところ、ここ数ヶ月の豪ドルは非常に弱かった。それがなぜ変わってきたのか。同紙には、以下のような解説がある。

A number of factors seem to be combining to lift the Australian dollar, market participants say. For starters, the Australian economy seems to have weathered the flooding relatively well and as a result, investors are expecting that the country's central bank is likely back on a course to raise interest rates. Central to that optimism about the Australian economy is confidence that China, its biggest customer for raw materials, will be able to battle inflation without leading to a drop in demand.

Australian insurance companies, meanwhile, appear to be bringing money home from abroad to pay for reconstruction after the Queensland floods. At the same time, post-tsunami reconstruction, estimated by the Japanese government to cost $300 billion, may require Australian coal and iron ore.

And turmoil in oil-producing nations such as Libya and uncertainty about the future of nuclear power has boosted the prospects for Australia's substantial natural-gas reserves. The currency also may have been helped by elections over the weekend in which Australia's conservative Liberal party was victorious in the key state of New South Wales.

And some are looking ahead to buying of Australian dollars by Japanese investors looking to take advantage of higher Australian interest rates. With the Bank of Japan expected to keep monetary policy extremely loose in an effort to counter the economic damage from the earthquake, the stage could be set for renewed interest in the so-called carry trade, where investors borrow yen and the country's low interest rates and buy higher yielding currencies.

 洪水被害がオーストラリア経済に与えた打撃が軽微に終わって同国経済の立ち直りがスムーズに進み、同国連銀が再び「利上げ路線」に戻る可能性、津波からの日本の復興事業の活発化の中でオーストラリアが持つ資源の強みが出てくるという読み、中国の需要の持続、そして高金利目当ての日本の投資家の買いーーーーーなどなどいくつもの要因が挙げられている。

 しかし円はユーロに対しても弱い。ヨーロッパには、財政問題を抱えたポルトガル、スペインなどあって、一応支援体制はあるにしても、依然として地域として脆弱なはずだが。と見ると、各通貨の”強み”もさることながら、円の”弱み”も出てきたいるのかな、とも思う。

 東北関東大震災以降の円相場は、「どの通貨がこの震災でもっとも被害を受けた国のそれか」と思わざるを得ないような状況だった。いくら「危機の時に買われる通貨」と言っても、その危機は日本発なのだから矛盾しているだろうと思っても、円は買われて高値は76円25銭。

 協調介入もあって80円台に押し返されていたものの、その後も「強含み」の展開だった。それがここに来ての全通貨に対する円安の進行。サプライチェーンの問題もあって、日本の輸出が打撃を受け、一方輸入は増加すると見られる中で日本の黒字が減るという見方がやっと浸透してきたのかもしれない。

 また、ヨーロッパが注目される中で、財政に負担がかかる日本のバランスシートを見越した動きとも読める。国債も増発気配だ。日本の財政赤字はもっと膨らむ。またいつまでたっても危機脱出の展望が見えない福島第一の原発事故に対する懸念も円安を誘導している可能性があり、それは日本のリーダーシップ欠如への世界の評価とも受け取れる。

 だから、円高を懸念しておきながら、「今の円安には素直に歓迎できない要素が多い」ことは事実だ。しかし日本経済全体にとって今は円高より円安の方が良いと思う。なぜなら、日本の輸出を楽にしてくれる面があるからだし、日本のデフレに対する抑止要因になる。

 もっとも、急速な円安も良くない。ま、静かに円安が進み始めたのは歓迎できる。


2011年03月28日(月曜日)

 (23:20)釜石市の小中学生2900人のうち、死亡が確認されたのは地震があった3月11日に早退や病欠をした5人の子供達だけだったという。それ以外の児童・生徒については、ほぼ全員の無事が確認されたという。

 これは大人の死者と行方不明者が1200人以上も出た同市としては、非常に高い生存率だが、その高生存率のキーワードになったのは「てんでんこ」だったという。

 どういう意味かというと、これは度々津波に襲われた苦い歴史から生まれた言葉で、「津波の時は親子であっても構うな。一人ひとりがてんでばらばらになっても早く高台へ行け」という意味を持つのだという。

 なるほどな、という話だ。美談としては誰かを助けに行って戻ってこなかった、何かを取りに行って戻ってこなかったという話も伝わるが、それは「助かる」という意味ではやはり間違っていたと言うことでしょう。

 この小中学生が「親やおばあちゃんはどうしているだろう」と考えて「てんでんこ」の教えに背いて家に助けに走っていたりしたら、これだけの高い生存率はなかったと思う。「てんでんこ」で良かったのだ。

 釜石市は、2005年から専門家を招いて子供たちへの防災教育に力を入れていて、その一つが「てんでんこ」だったという。常にこれが当てはまる訳ではないだろうが、確かに大きな災害の時には重要なことわざの一つだと思う。

 しかし、「てんでんこ」では駄目なこともあると思う。今のような原発事故の最中は、それこそ各関係者が力を合わせて対処しなければならないのだが、それを疑わせる情報もある。

 夜10時過ぎに見た読売新聞のサイトには、『フランスのベッソン産業エネルギー・デジタル経済担当相は28日、福島第一原発の事故をめぐり、ラジオ局のインタビューで「東京電力からフランス側に支援要請があった」と明らかにした』というニュースがある。

 読み飛ばせばそれまでだが、私は「東電がフランス側に」というところが気になった。フランスの産業エネルギー大臣が言っているのだから、支援を求めた対象にはフランス政府も含まれているのでしょう。普通考えれば、政府には政府が要請するものでしょう。しかし、このニュースでは「東電が」となっている。

 こういうのを見ると、「てんでんこ」になっているのではないか、と気になるのです。昨日の東電の放射能に関する発表を中国の新聞が手厳しく批判しているそうですが、これも間違いは間違いとして「それはおかしいのでは」と東電に一言忠告できる機関はなかったのかと思う。お互いにあまり報告しない?

 ベッソン氏は「状況は極めて深刻だ。東京電力はこれまでの作業で事態を沈静化できなかった。正確な状況の把握は難しい」と現状を評しているそうだが、まさにその通りで、使用済みを含めて燃料棒を冷やすためには海水でも真水でも注水量を少なくとも止めるわけにはいかず増やさねばならないが、「注入を増やすと汚染水が拡大し、外部に広がる危険性が増す」というジレンマ。

 外部にも放射能汚染の水が出てきている、ということは今度は土壌汚染の話になるし、空気汚染の可能性も出てくる。「てんでんこ」ではなく、早く総力体制を敷いてもらいたいものだ。


2011年03月27日(日曜日)

 (11:55)しっちゃかめっちゃかですな。夜7時のNHKニュースを見ていたら、緊急地震速報が入って通常放送が数分間は緊急放送の為に中断した形(アナウンサーがしゃべれない状態)になった。

 その対象は、茨城、栃木、千葉だったかな。だから東京にある私の携帯には警告音が入らないのかと思った。エリアメールというやつです。このニュースは全国放送。その最中なので、全国の人がちょっと緊急的な状態に置かれた可能性がある。

 しかしちっとも揺れがこない。ニュースを見ていたら、マグニチュードはまずまずだったが、栃木県でも震度は「1」だったそうだ。3月11日の大震災後の「緊急地震速報」がいくつかの余震を拾っておかしくなっているとは聞いていたが、「今回もそうだったんじゃないか」と思い始めたら、「こういうこともある」という気象庁の言い訳が入った。

 7時のニュースでは無論トップのニュースは、2号炉のタービン建屋の中の水から採取した高い放射能レベル。「1000万倍とはどえらいこっちゃ」「しかしこれは建屋内の水だから、これが気化しなければいいのだろう」とか思って、一回寝たのです。昼の間車移動していたので疲れて。

 夜12時前に起きてネットを見たら、『「放射能1千万倍」は誤り 東電、違う物質と取り違え』(朝日)と。「え、間違い」と今度は逆に仰天。このニュースによると、時間の経過の中で急速に減少するはずのヨウ素134だと思って採取時の放射能水準を逆計算したらその水準になった、ということらしい。

 どうやらコバルト56とヨウ素134を間違えたらしい。確かコバルトはあまり減らなかった。それを間違えたら、数値(採取時換算)は当然高くなる。このニュースを見た直後のニュースは「10万倍」と訂正されていた。ほんまにしっかりして欲しい

 もっとも、「1000ミリシーベルト以上」という「針が振り切れた」という部分は変わっていないようなので、福島第一原発が依然として危機的な状況にあることは間違いないようです。東京都内などの空気や水の放射能は下がり続けている。しかし発生源では、高い放射能が出続けている。

 チェルノブイリのような「原子炉爆発」といった事態は今回はないのでしょうが、コントロールに時間がかかりすぎのような気がする。それをコントロールする為にも、現状を把握する数字、危機を警告する警報は正確でなければと思うのですが、27日の夜は「困った状態」でした。


2011年03月26日(土曜日)

 (10:25)「一種の連帯? but...............」と昨晩は思いました。

 以前から予定されていた同期会が夜6時半から数寄屋橋のニュートーキョーであったのです。懐かしい顔が20くらい揃った。久しぶりの連中もいて、いろいろな人との交歓が続く。

 お店は最初は非常に空いていた。しかし我々がもう出なければならない時間になって非常に混んできて、「街が静かなのと対象的だな」と。最後に女性一人の圧倒的な我々男集団がよせばいいのに、立ち上がって「関東一本締め」でとりあえずの終わりを迎えたのです。

 驚いたことに、周囲の若い人達の集団ががばっとこちらを見て、締めの最後の拍手のところで皆ジョインしてくれて、フロア全体が大拍手になった。こういうシチュエーションはいままでもあったのですが、これまでは「おまえら勝手にやれ」みたいな周囲の反応だったと思った。拍手で盛り上がる、今の日本.....

 店を一端出て、それから10人ほどが残って、「では二次会」ということになった。探したのだが、大人数でなかなか入れない。つまりあの辺のこの手の店は、金曜日の午後9時前は非常に混んでいた。

 で、道を渡ったガード下の地下の店に入ろうとした。ここも超満員。人、人、人。しかし最初「分かれてなら...」ということで入れた。その後直ぐに全員が同一区画のテービルに座れたのですが、フロアを見渡してももう驚くぐらい混んでいる。

 一組が出るとまた別の組みが入ってくると言う状況。「すさまじいな」と感心。人が動けないほど入っている。その間を従業員が熱い鍋などを持って移動する。危ないことこの上ない。しかし何か懐かしい風景。

 要因を探したら、まず「今日は大部分のサラリーマンにとって給料日」、次に「今日は金曜日」、次に「明日は計画停電がない....」「まだ終電には時間がある」など。

 しかし最初の店もそうなのですが、何かこう各グループもそうだし、フロア全体に、一種の共有感、というか「連帯感」がある。放射能やまた大きな余震のリスクがあるのに、おれたちゃちゃんと働いて頑張っているぞ、そして今は金曜日の夜だ。飲んで何が悪いといった。不思議にそれを感じるのです。

 いつもそうなのかもしれないが、それ以上に皆饒舌にしゃべり、各グループも、フロア全体もなにかこう高揚している。人が忙しく動き回り、喋りまくり、そして食べまくりという印象なんです。

 で、単純ですが思ったのは、「活力はある」「めげていない」「日本は大丈夫だ」という印象でした。行った二つのお店だけの印象ですが、私も集まった連中もそう思った。街を歩けばまだ東京でも人が少ない。皆不安を抱えて歩いている。そりゃそうだ。しかし、「それに負けまい」という気力、迫力は残っている、という印象です。

 これは被災地の方々を最後は救う力にもなると思う。何回も書いているが、日本経済そのものがパワーを失ったら救える人達も少なくなってしまう。街を作るにも作れない。日本全体がパワーを補充していかねばならない。今の日本に生まれている一種の「共有感」「連帯感」は必要なものだ、と。

 しかしその一方で思ったのは、この2週間の間に我々が感じた怒りも忘れてはならない、ということです。地震と津波は不可避なものとして、しかし被害はもっと小さくできなかったのか、原発事故に人災の部分や油断があったのではないか、では今後どうしたらよいのか。「連帯感」だけで済ませてはいけない問題が一杯ある、と。

 最後に一つ。あまりにもビックリしたので。

 二軒目の店は、焼酎を2本たのみ、肉豆腐を二皿注文し、あと結構いろいろ頼んだと思ったのですが、最後のお会計は最終9人で1万2000円くらいだった。「あれ、計算間違い......」でもなさそうなんですよね。これまたすさまじい。

 いろいろ感じることの多い一晩でした......


2011年03月24日(木曜日)

 (11:25)こういう危機の時にこそ”システム系”には問題なく動いて欲しいのに、どうしちゃったんでしょうねあの銀行は。今朝ネットバンキングを見たら残高は合っているような気がするのですが、入出金明細が明らかに過去3日分ほどにおいておかしい。昨日は入っていた変動項目ラインがない。

 問い合わせたら不具合が生じているとのこと。今朝10時過ぎからだそうです。この銀行のシステム不具合は先週から続いているわけですから、信じられない長い期間にわたってのシステムトラブル。

 合併時のシステムの不整合が未だに尾を引いている様子。しかしもうそろそろどうにかしてもらわないと、本当に危機の時に危機を増幅するような役割を果たしてしまいそう。2500万口座もあるそうですが、だからこそそのシステムの安定は必要なのに。

 それとは逆に今朝10時半過ぎからNHKが春の選抜の高校野球の中継を始めた。阪神・淡路大震災の時もそうですが、こういう時だからこそ被災地の人々の中にも過去の日常性が欲しいという人がいたという。

 プロ野球のナイターの問題は別ですが、高校野球は昼間の時間の大会であり、開催したのは良かったと思う。今現在天理と秋田がやっていて、秋田が大きなリードを奪われているが、それでもいい。秋田の選手には精一杯頑張って欲しいと思っています。

 (追記)午後3時過ぎに見た段階では、ネットバンキングの入出金明細に関する表示は正しいものに戻っているようです。


2011年03月23日(水曜日)

 (02:25)地震の影響などでちょっと公開が遅れていましたが、昨日「BRICsの衝撃」の最新コラムとして「アラブSNS革命のその後 チュニジアにみる停滞脱する糸口」が公開されました。

 世界中のマスコミがそういう傾向を持つのでしょうが、日本のマスコミは特にそこが騒がしいときは一生懸命取り上げるが、話題が去るとフォローが全くなくなるという傾向がある。しかしそれではいけないわけで、あれだけ騒いだ元祖ジャスミン革命の地チュニジアが今どうなっているかを取り上げました。

 と言っても私が行って見てきたわけではない。筆者の弟がたまたまビジネスで革命後のチュニジアに入ったので、彼からのメールを頼りに今のチュニジアで何が起きているかを少し取り上げました。「ポスト革命」のチュニジアが少し分かる。

 アラブの情勢は依然として緊迫している。チュニジアの東の隣国であるリビアは、英仏米中心にカダフィ軍に対して空爆が行われているが、カダフィは「人の盾」で抵抗しているようだし、カダフィ後の展望も見えない。独裁者が去った後の秩序は、取り戻すのに時間がかかる。

 サウジアラビアやバーレーン、ヨルダンの情勢も流動的です。日本は地震と原発に気を取られていて、それは当然なのですが、世界の注目は今は日本半分(特に福島第一)、リビア半分といったところ。

 同じアラブの国といっても、石油の出る国、出ない国、若者人口が急増している国、そうでもない国と千差万別。まあチュニジアの場合は、「アルカイダの伸張」といった問題は今のところないという状況のようです。これは前回も書きましたが、フェースブックやツイッターをツールに国の体制を変えた若者達が、アルカイダの教義に染まるとも思えない。彼らはもっと合理的、近代的です。

 ところで、移動の時間を利用して本を一冊読み始めました。「日本一の秘書」という新潮新書です。久しく本を読んでいなかったので、結構面白く読めている。

 この本は横浜のグランド・ホテルのドアマンなど、要するに「サービスの達人」を8人ほど取り上げて、その人がなぜ「達人」になったのかを著者の目で語っている。「似顔絵のうまさ」故に特別待遇になった警察官の話なども。

 この本に書いてあるが、「サービスの要素」を含まない職業というのはまずない。何らかの形で、対象となる人を相手にしているわけで、どんな職業にも「サービス精神」は必要なわけです。

 この本には直接関係ないのですが、最近やはり気になるのは今回の地震・津波、それに関連した原子力事故に関連していろいろな方がテレビに登場されるが、語り方、説明の仕方、それにその時の目線など、その所属機関の印象をいっぺんに変えてしまうほどインパクトがあるな、ということです。良い方にも、悪い方にも。

 あの東京消防庁の3人の記者会見は凄かった。彼らの誠実さ、説明手順の良さ、職業にかける熱意などがひしひしと伝わってきた。9.11の時もそうだったのですが、平和が日常の今にあって、「常に命がけの仕事をしているのは、やはり消防士だ」ということが理解できた。彼らにはサービス精神もあったように思う。

 しかし、せっかく広報目的でカメラの前に立っても、かえって見ている人を不安にさせたり、不信感を抱かせたりするケースも多い。慣れていないということもあるのでしょうが、それはその人が所属する機関にとっても非常に損なことです。

 無論、中味が一番重要なのですが、それにしても「広報」や「広報する人」の力量で、受ける印象が全く違う。そのことを今回学ぶべきなのかな、と思っています。


2011年03月22日(火曜日)

 (02:25)日本が三連休の間に既に海外市場は動き始めていますが、今までのところ先週のG7の声明と、それに伴う協調介入は世界の市場を安心させたようです。

 先週一週間は非常に不安定だった世界の株価は、欧米を中心に大きく反発している。まだ引けは分かりませんが、ニューヨークの株価はダウで200ドル近く上がっている。また、円相場も81円アラウンドで安定化の兆しがある。

 もっとも、「これで市場が安定化した」と判断するのは早急です。今の市場は多くの不安定要因を抱えている。年初の「楽観論」はまだ残ってはいますが、それでも様相はかなり変わってきた。

 まず、日本の東北地方の太平洋海岸という一地方を襲った地震と津波でしたが、日本ばかりでなく世界の多くの国のメーカーのサプライ・チェーンの環が絡んでいたことにより、生産活動が大きく制約されるケースが出ている。

 これは我々日本人も驚くほど広い範囲で起こっている。今のように部品を最適調達する方式だと、どこか一カ所に供給途絶が起こると全体が止まる仕組みになっている。私が興味を持って読んだのは、25日の日本でのiPad発売延期ではなく、新型iPadの生産そのものが滞る危険性が指摘されていること。

 これは新型iPodのどこかに日本の製品が使われていて、それが今は供給問題に直面しているということでしょう。具体的にどの部品かということは分かりませんでしたが、かように世界経済は緊密に繋がっている。

 今は福島第一が一番問題になっていますが、それにより、世界全体のエネルギー政策が大きく様相を変える可能性もある。無論今回の事故は、「1000年に一度の大地震と想定を超える津波」というそうそう起こる組み合わせではない自然現象を背景としているし、福島第一自体が非常に古い原発であるという事情はある。

 しかし、既に世界的に「原発推進政策の見直し」の機運は高まっている。アメリカの「原子力ルネサンス」は見直しを迫られるでしょうし、欧州でも原発の抱えるリスクに改めて注目する見方がある。これは原発をエネルギー政策の柱にしている中国やインドにも影響を与える可能性がある。

 その結果として何が起きるのかというと、再び「化石燃料」に対する依存度が高まりだろう。エネルギーを節約して、電気に依存している生活をある程度放棄するという選択肢も人類にはある。しかし、そこで合意を得るのはなかなか難しいだろう。

 「脱化石燃料」を大きなテーマにしてきた世界だが、太陽光発電などの全エネルギーに占める割合は依然として小さいし、このシェアを一気に上げる方策もまだない。クリーンなエネルギーと言われる原子力だが、今回の日本の事故でいったん危機になったら大きなリスクがあることが改めて分かった。

 そういう意味では、既に上がり始めた原油価格には上昇圧力がかかることになる。ということは、世界的なインフレ懸念が高まると言うことだ。まして、今はリビア中心だが中東情勢は揺れ動いている。

 バーレーンの抑圧的な措置が国民に受け入れられるかどうかは不明だ。サウジアラビアの情勢も、あまり伝えられないだけに不気味である。先週の介入をきっかけに市場はやや安定感を取り戻したが、今年初めのような「先行き楽観論」が支配する環境ではなくなっていると言える。

 ところで、今見たサンケイのサイトには、「福島第1原発 放水口付近の海水から濃度限度126倍の放射性ヨウ素検出」という記事がある。「 東京電力は22日未明、福島第1原発の放水口付近の海水から、放射性ヨウ素が検出されたと発表した。国が定めるヨウ素の濃度限度の126・7倍の値。また、放射性セシウムも、24・8倍の値が確認された。」と。

 放水しすぎると、その水が海に帰って海を汚染するという悪循環も見える。電源回復は朗報だが、最終的に四つの原子炉の放射能をどうやってコンテインメントするかというアイデアもそろそろ必要になってきた印象がする。


2011年03月21日(月曜日)

 (00:25)春まだ遠い東北の被災地の方々に見て、喜んで赤坂見附から青山通りを200メートルくらい上がった右側頂ければと思って、日本の春を象徴する桜の写真をお届けします。20日の午後、昨日夕刻に所用で通りかかった赤坂の豊川稲荷の敷地内で見つけました。

 青山寄りの角っこです。この木だけ、見事に開花していた。青山通り添いです。例年だと、私の行動範囲の中で一番最初に綺麗に咲く桜は、外務省の虎ノ門寄りの角っこのそれ。国会議事堂を降りてきて、内幸町に向かう左側です。しかし今日確認に行ったら、そこはまだ気配さえなかった。

今年最初に私が行動範囲の中で見つけた桜です  もしかしたら、今の今まで私は豊川稲荷の早咲きの桜の存在に気付いていなかったのかもしれない。しかしそんなことは良い。早咲きでも、川津桜でも、春は直ぐそこまで来ていて、やがて北上してくれるでしょう。

 もっとも、「花見」はいつも寒い。厚着をして行くのが通例です。だから、体感的には桜の季節は寒い。しかし、桜が咲けば「春遠からじ」です。そういう意味で、被災地の方々や全国で心を痛めている方々に愛でて頂ければと思います。この写真は、「春はすぐそこですよ」と語りかけてくれているよう。

綺麗でしょう  福島第一原子力発電所の問題は、まだまだ予断は許されないものの、少しずつ改善に向かっているようです。完全に安定するまでにはまだまだ紆余曲折はありそうですし、依然として放射能のレベルが高い場所もある。またほんの少しですが食べ物にも低いレベルの放射能が見つかる事態にもなっている。もっとも神経過敏にならないことです。

 いよいよがれきの除去などのために戦車(74式)まで登場した。依然として、非恒常的な冷却が続く。本当は外部電源が繋がって、本来の電力による冷却が戻るのが一番良い。来週の今頃に今は5号と6号で見られる安定が、全炉に行き渡っていれば良いと思っています。

 炉が安定し、放射能のレベルが低下すれば、季節と相まって被災地の問題を前に進める環境が揃う。交通路は回復し、物資が劇的に北上し、今は全国的に見える特定製品の品不足も改善するでしょう。

 今夜も防衛省や東京消防庁の現場の人達が頑張って放水などに当たってくれている。「現場力」はすごい。だからこそ、今から今後の街作りなどの青写真を今から作って欲しいと思います。


2011年03月20日(日曜日)

 (01:25)中目黒で一つ会合を終えた後、家に帰って見た東京消防庁の三人の方の記者会見は、要領を得た、一つ一つの言葉に重みのあるもので、「非常に難しい危険な任務だったが、国民の皆さんの期待には応えられた.....」との言葉には、本当に「有り難うございました」と心の中で叫びました。

 「家族に申し訳ない」というのも、その通りだと思います。現場で指揮を執った人達の言葉だから、一つ一つの発言に重みと、思いが入っている。記者会見を開いても、むしろその機関の印象を悪くする発言者が多い中で、このお三方は素晴らしいと思いました。何かを発表するときに、その方のもっている雰囲気は非常に重要です。

 周囲の放射能のレベルは少し下がったようですが、依然としてすべての燃料棒、使用済み燃料棒をコントロール下に置いたわけではない。冷却も続けなければならない。とりあえず放水ではなく、安定電源からの冷却システムの確率が急務なままです。

 それにしても、東京電力管内に住む我々、それにお店をしている人、企業は皆難しい選択を迫られている、と思います。昨日も中目黒の街を歩いていてそう感じました。お店はかなり休んでいる。「もし何かあったら」という懸念もあるでしょうし、電力を使いたくないというのもあるでしょう。「開いてもお客さんは少ないだろう」という見通しもあったと思う。

 しかし一部の店は開いてやっていた。、今までのお客さんとの信頼関係もあるし、すべての店が閉まっては、外で食事をする人達が困るだろうという考え方のお店もあったでしょう。実際の所、開いている少なからぬ店は、超満員だった。

 経済を回すという意味でも、直接被災しなかった街はなるべく普段通りというのが必要なことだと思っているのですが、しかし計画停電で一体交通機関がうまく繋がるのかどうかも分からない、必要な品が調達できるのかも分からない現状では、開くことをためらう店が出てくるのも分かる。

 そういう状況だから、中目黒に住んでいる人に言わせると、「こんな静かな街は見たことがない」ということになる。おそらく東京電力の管内は全部そんな感じなのではないでしょうか。そんな状況が続けば、GDPの6割を占める消費が落ちて、日本経済がパワーダウンしてしまう。

 既に電力増産の話が出てきているようですが、不要不急の電力消費は抑えるという今のスタンスを続けながら、「いつ停電するか分からない」という状況を、早く首都圏は脱しなければならない、と思いました。


2011年03月18日(金曜日)

 (12:25)危機の時においては、しばしば市場は常軌を逸します。その時こそ、「損得では動かない、強い意志の持ち主がいますよ」というメッセージが必要なときがあります。どう見ても、今がそうでしょう。

 よって、18日午前9時前に、やや存在感が薄かったG7が、「we are here」と存在感を示す声明を出し、それに直ぐに行動を伴わせたことは、非常に大きな意味のあることです。G7の声明は以下の通りです。

Statement of G7 Finance Ministers and Central Bank Governors March 18th 2011

We, the G7 Finance Ministers and central bank governors, discussed the recent dramatic events in Japan and were briefed by our Japanese colleagues on the current situation and the economic and financial response put in place by the authorities.

We express our solidarity with the Japanese people in these difficult times, our readiness to provide any needed cooperation and our confidence in the resilience of the Japanese economy and financial sector.

In response to recent movements in the exchange rate of the yen associated with the tragic events in Japan, and at the request of the Japanese authorities, the authorities of the United States, the United Kingdom, Canada, and the European Central Bank will join with Japan, on March 18, 2011, in concerted intervention in exchange markets. As we have long stated, excess volatility and disorderly movements in exchange rates have adverse implications for economic and financial stability. We will monitor exchange markets closely and will cooperate as appropriate.

 簡潔だが、必要な意志と行動を示す声明だと思います。実際のところ、今週の前半に進んだ円高は、”投機的”だったと理解できます。日本経済が被った大きな打撃を考えれば。この環境の中で、日本経済は被災地の人々が立ち直るのを支えられるほどに力強く展開する必要があります。

 そのためには、被災しなかった我々は計画停電などで行動は抑制されがちですが、なるべく通常の生活、消費活動を続ける必要があると思います。


2011年03月18日(金曜日)

 (01:25)水曜日の夕刻の段階だったと思います。東京FMさんの方から、TIME LINEを特番に切り替えて、「明日は3時間ナマでお願いしたい」と。びっくりしましたね。テレビや普通波ラジオの特番出演は結構今までもありましたが、FM放送では初めて。

 日中は4月第二週から始まる新番組のロケで朝の早い時間から山梨の石和の近くまで行っていて、都内に帰ってきたのが午後5時過ぎ。ナマ番組まで2時間弱しかない。「FM放送の3時間特別番組とは一体どう作るんだろう」とちょっと心配に。

 今から私が地震学や放射能について専門家になれるわけではない。「ということは、知っていることや考えていることをお話しできればいいのだろう」という感じで半蔵門へ。

 そこで進行表を見て初めて、「聴取者のメールやお便りも私が紹介するのか」とか気がつくと同時に、びっくりもしましたが、「それはそれで面白い」と思いました。ラジオは昔から好きで、それは「親密感」が非常に高いためです。

あんな、れいなのかわいい双子ちゃんです  東京FMと「東京」が名前がつくFM局の番組ですが、FM放送は今は全国どこでも(いや世界でもという話があった)聞ける。直前だったのですが、私もツイッターで告知したら、北海道から直ぐに「聞こえる、聞こえる」というツイートが返って来たり、また被災地の方々からもメッセージが届いたり。

 全国FM放送のポテンシャルを感じました。ハッシュタグ(#tokyofm)の走りも凄かった。それだけ多くの方が全国で聞いてくださったことの良い証明になると追います。私の相方は、東京FMで一番若い浅利さんでした。彼女、ナイスでしたよ。

 3時間という時間の流れは、長そうで短い。短そうで長い。メールや曲紹介も私の役割となって進行したので、結構忙しかったで。番組でメールやファックスなどを紹介することはたまにしてきましたが、夕べは3時間の間に15通ほどのメッセージをお読みしたように思います。

 被災地の方々からのメールにはほろりときたり、悲しくなったり。でも思ったのは、日本人はそれぞれがいる場所で今回は一緒になって頑張っているということでした。計画停電の中で「真っ暗闇の中で聞いています」など被災地以外でも「do my part」を果たしている人が多いことは「すばらしい」と思いました。どうやら、来週も3時間の特番になるらしい。

 ツイッターやフェースブックを通じて、番組や私自身にほんとうに数多くのメッセージを頂きました。全国から。心温まるものが多かったと思います。「こういった視聴者との結びつきもいいな」と思いました。

 ところで数日前にもお知らせしましたが、具体的になってきたのでもう一度私にとっての4月からの新しい番組を紹介します。番組名は、「地球★アステク」です。番組名に「★」が入っているのが一つの特徴です。

 「ロケ」と書いたのは、この番組用です。一昨日の平塚、そして昨日の石和は、共にこの「地球★アステク」の第一回の為のもの。30分番組なのに二日もロケして作っている。凄いでしょ。内容も凄いので、是非見て頂けるとうれしい。

 放送日は前番組の「世の中進歩堂」が金曜日であったのに対して、新番組は木曜日放送で第一回は4月7日です。4月からは、BSJAPANの夜10時過ぎをお楽しみに。


2011年03月17日(木曜日)

 (01:25)昨日は朝早く大阪を出て9時過ぎには羽田に着き、ロケ隊と待ち合わせて平塚で番組作りをしました。今回のロケ隊は大人数で、今日はまた山梨県に取材・ロケに出かけます。4月第二週からの新番組は面白くなりそうです。

 まあそれにしても、よう揺れますな。昨日もカメラが回っている間に一回大きく揺れた。読売新聞や時事通信から速報をケイタイに流してもらう設定にしてあるので、11日以降ケイタイメールの7割方がnews-mail になっている。その殆どは、地震と原発に関するものです。地震に関するそれは徐々に減っては来ていますが。

 それにしても昔から「自然の猛威」と言うが、こうした形で地震が連発したりすると、それを実感する。いろいろな人の思いを一瞬のうちに押し流したり、ひっくり返したりする。自然の力は凄まじい。人間は地球の上に生かされている存在だと分かる。

 「何をすべきか」「どう行動するべきか」という迷いはそれぞれの方が持っておられると思う。自分の日々の行動にしても、被災した方々をどう支援するかに関しても。これだけ変化が大きい、尋常でない状況の中では色々未経験なことが起きる。

 来るべき人が来なかったり、スーパーやコンビニで異常なことが起きたり(残念ですね)、予定された会合がキャンセルされたり(理解できる場合が多い)。従業員を自宅待機にしている会社も結構あると聞く。どうりで、夕べも夜の東京はやや人が少なかった。

 まあでも考え方のベースは、「life goes on」でしょうね。私の場合もそうだし、多くの方にとってもそうだと思う。「あのときはあたふたしたな」なんてあまり後で思い出したくない。それには準備が必要ですが。

 これはロケの合間にツイッターで紹介したのですが、取材先の会社さんの男子トイレに「急いでも 心静かに手を添えて 外に漏らすな 君の名水」と短冊に書いてあった。なかなかしゃれていたので、それを紹介した。そしたら、オリジナルは「.....外に漏らすな 松茸の露」だなどと、一杯の書き込みがあった。わろたな。

 そう。人間の生活は、世の中何が起きようとも生きている限り、「goes on」している。また今日も、何か面白いことがあったら発見したいし、発見して直ぐに発信できるようなものあったらしたいな、と思う。

 この地震を契機にしているのでしょう。ツイッターやフェースブックを始める人がぐっと増えた。通信手段で一番最後までサバイブし、かつ一番素早く復活したのが今回はたまたまこの両者だったことが広まっているからでしょう。

 いつもそうかどうかは分からない。しかし「自然の猛威」の前に、なんか今まで直面したことのない孤独感溢れる、追い詰められた思いに駆られている人が多い今のような状況では、こうした新しい通信手段も大いに役立つことがあるということが証明された、というわけだ。

 それにしても、昨日あたりから寒波に見舞われている被災地の状況は悲惨だ。物資や義援金が本当にもっと素早く届いて欲しと思う。しかし重要なことは、被災した人達がまた立ち直れるような強い経済を環境として維持することだと思う。日本という国に富がなければ、被災地の立ち直りに長い時間がかかる。それは良くない。

 だから、被災しなかった私のような人間はなるべく「as usual」な日々を送り、日本という国、そしてその経済を挫けさせないことが必要だと思う。”友達”も多いことが分かった。100を超える国、地域、そして国際機関から「援助の申し出」があったという。ナイス。

 その意味でも、原発の制御回復がどうしても必要だ。世界もこの点を見ている。


2011年03月16日(水曜日)

 (01:25)神戸や淡路島を襲った地震のあと、人々は前あった場所に再び同じように都市や施設を造りました。それは間違っていなかったと思う。しかし、「三陸沖など東日本の太平洋湾岸の場合ははたして良いだろうか」などと考えていました。

 津波に関する警報が解除される中で、がれきの山となった以前の住居跡に徐々に住んでおられた方々が戻ってきている。それは良いと思う。しかし、この100年を振り返っただけでも、何回となく東日本の東側は、大きな地震や津波に襲われてきた。

 その度に、実に多くの方々の命が失われている。何千、何万という方々の。「またそこに元通りかつてと同じような町を造ったら、また同じ事が繰り返されるのではないか」と考えるからだ。

 三陸沖など、この地方に住む方々が津波への準備を怠っていたわけではない。万全と思われる堤防を築いていた町もあった。それは過去100年にあった津波の規模からして、「これだけの堤防を築けば大丈夫」という経験値に基づくものだった。

 しかし、テレビなどが繰り返しやっているように、「今回の地震と津波は1000年に一度あるかないか」の規模だった。「1000年に一度」を知ってしまった以上、「ではそれに備えて海岸に住むに当たって十分な堤防を造るべきかどうか」の議論も出てくるに違いない。

 何事も「最後はコストとの見合い」という面がある。「津波になど負けたくない」という気持ちは分かるし、「もとあった場所にまた町を造り、自分の家を建てて住みたい」という気持ちも住民の方々にはあると思う。そこは登記上もそれらの方々のものだからだ。

 しかし、「1000年に一度の津波にも耐えられる」堤防を造ったら、「一体町の景観はどうなってしまうのだろう」と言う気はするし、逆に陸地の水を海に戻すときにそが障害にならないだろうか、という心配もある。

 この問題、つまり地震と津波が繰り返し起きる地方に「どう街作りするのか」の議論をするのは、今の時期が一番良いと思う。むろん、当面は避難している方々の生活をどう安全無事なものに出来るのかが一番だが、その後は仮設住宅の場所設定にしても、この問題が出てくる。

 神戸淡路大震災の後の街作りが、「それまであった場所」をベースにしていたのが間違っていなかったと思うのは、そもそもこの地方での地震の確率が低いからだ。「神戸のような大きな都市を他に造る場所などない」という問題もあったと思う。今神戸の街を歩いて、本当に復興したと思う。

 しかし、東日本の太平洋岸ははるかに地震と津波の確率が高い。「頑張る」「負けない」という気持ちは必要だが、「今後の街作りをどうするのか」という問題は、震災後の今の時期だからこそ必要だと思う。

 今の日本の「土地私有制度」の下では、議論さえなかなか難しいに違いない。なぜなら今の日本では、全国津々浦々誰かの所有権が存在するから、「では海岸から標高で15メートル上がったこの場所に新しい町、集落を造ります」ということが出来れば良いのだが、面積確保の問題や、では漁業はどうするという問題以前に、所有権の問題が出てくる。

 しかし発想としてはそういうのがあっても良いと思う。何らかの権限を国や地方に与えて、地震や津波に伴うリスクをかなりの程度下げるという発想だ。むろんそうでなくて、「リスクは承知。今回の地震・津波は1000年に一度だから、当面はこない」という発想でまた町を形成するという考え方もある。しかしそれだけで良いのだろうか、と思う。

 福島第一原発で炉の安全性回復に尽力されている東京電力の現場の方々、またそれを支援している自衛隊の方々、壊滅的な打撃を受けた地方で救助に当たっている自衛隊やその他の方々、避難所を運営している方々には、本当に頭が下がる思いです。

 アメリカ流に言えば、皆さんがヒーローだと思う。こういう献身的な方々の努力がより実を結ぶためにも、今後の街作りをどうするのか、それに関わって必要になってくる経費をどう安定的に調達するのかなどの問題も、早め早めに進めておいた方が良い気がする。

 今日は最後に、今出張でスリランカに行っている小林君から、短いメールが来ました。とっても勇気づけられる内容なので、ここに紹介します。

 日本人と分かると激励したり、哀悼の意を表したり、両手で握手したりと、日本人は嫌われてないのだということを実感します・・・
 いいメールでしょ。非常に短いが、勇気をもらえる一文です。何よりも、被災した方々、現場で頑張っておられる方々に贈りたい。


2011年03月15日(火曜日)

 (00:25)「”計画”停電」という表現が腹立たしくなるような”無計画”な停電プランでしたね。あると思ったらなく、ないと思ったら「あるかも」と言われ、「停電するかどうかは今後もギリギリに決める」と。と思ったら、14日夜には「15日は午前6時20分から」との予告があった。ホントかな。

 電気が「貯め置くことが出来ないもの」という特殊な商品であること勘案しても、直前に「では停電します」と言われたのでは、病院も困るし、エスカレーター、エレベーターの運用者も困る。説明する人のあやふやさと相まって、また原子力発電所の問題もあり、東京電力への不信感が募る一日でした。電気の利用者としては、「何時何分からないよ」と言われたら、その通り停電した方が良い気がした。

 それにしても、首都圏の交通があれほど乱れるとは思っていませんでした。大阪に移動する日なので、朝起きてどういう状況か調べたら相当乱れている。まずタクシーが全く拾えない。で、中野駅まではバスを利用し、そこからは超満員で乗れない中央快速を回避して東西線で大手町に出て、そこから東京駅まで歩き、浜松町に出た後、第二ターミナルへ。

 これらの交通手段は何故か旨く繋がりましたが、「計画停電」はその日その日によって違うので、電車の運行も変わってくるのでしょう。ということは、今後は毎日

 「今日はどうなっているのか」
 「ではどうしたら良いのか」
 「代替交通手段は何か」

 などを考えないといけないと言うことです。この状態は今後少しは改善するのでしょうが、4月まで続くというのは厳しい。

 今は関西にいますが、大阪駅のヨドバシに行ったら、防災グッヅ売り場は本当に照明を中心になんもない状態でした。買って送った方も、自宅用に買った人もいらっしたのでしょう。しかし買い占めだけは止めて欲しい。

 それにしても、万を超える被災した人の推定、それに45万という避難所にいる人の数。驚くばかりです。家もなんもかも失った人が多い。早急にそちらの手当も必要です。


2011年03月14日(月曜日)

 (03:25)おそらく、「計画停電」の対象になった関東、東北の人達は、そして所用や旅行で対象地域を訪れる人々は、「違う惑星に来た」ほどの覚悟を持ち、自らの予見力・予知力を発揮しながら行動しなくてはいけないと思う。今後数ヶ月という長いスパンで。

 東京電力の「計画停電の予定」は、同電力のHPのトップに不完全な表(重複や不明が多い)として乗っているが、対象区域は毎日変わるという慌ただしさ。「輪番停電」(と言っても平等ではないようだ)と言われるゆえんだが、ということは対象区域の人々、対象区域を訪れる人々は毎晩「明日はどうか」をトータルに調べなければならないことを意味する。

 「トータルに」と書いたのは、そもそも電力が照明は言うに及ばず、エレベーター・エスカレーター駆動、鉄道、地下鉄、水道、通信、インターネット、ATMなどのバンキング、さらにはセキュリティなど実に広範囲な社会的インフラの「所与の条件」として使われれており、例え一地域一日3時間がメドだとしても、その及ぼすであろう影響は甚大だと考えられるからだ。

 繰り返すが、我々の社会生活の多くは電力供給を所与の、当然常にある前提条件として組み立てられている。それがネットワークの中で、いろいろな行動がリンクする中で営まれているわけだ。そのネットワークの一部の環が切れることは、我々の社会的ネットワークそのものの機能が、大きく乱されることを意味する。

 その影響は想像しただけでも実に大きいだろう。しかも実際には、それは複雑系の問題として出てくるから、我々はその都度適宜対処しなければならない。思わぬ所の電力不供給が、思わぬ事故を誘発する懸念もある。

 照明がなければ、懐中電灯かろうそくが必要だ。懐中電灯と乾電池のかなりの部分は、既に昨日の午後の段階で新宿のヨドバシのような大きな店でも、全く欠品になっていた。ろうそくを使えば、火災の危険が出てくる。

 エレベーターが止まるのなら「高層階難民」(高層階の自宅やオフィスに上がれない人も含めて)になる危険性があり、その回避は自分の頭で考えなければならないし、それでも移動したいなら階段を何十階と歩かなくてはいけない。体力が必要だ。エスカレーターが突然止まるリスクも考慮しなければならない。

 鉄道や地下鉄は通常通りというところもあるらしいが、既に間引きやサービス停止が予告されている路線も多い。ということは、移動に時間と忍耐(大混雑)が必要なことを意味するし、水道も水を揚げたり押し出したりするのに電力を使っていることを考えると、「断水」のリスクが都会の真ん中で発生する危険性を覚悟しなければならない。

 「通信」「インターネット」で言うと、バッテリーを持たないデスクトップやサーバーなどは、停電と同時に強制終了となる。データの保存には気をつけなければならないし、バッテリーのある機器に関しては、電気があるうちになるべく充電をしておいて、停電中にバッテリーが切れないような工夫が必要だ。

 今の世の中でインターネットが使えないと言うことは(こちらのマシンは大丈夫でも、プロバイダーのサーバーがダウンする可能性がある)、重要な情報の入手が出来ないことを意味する。ケイタイ電話の基地局も使えなくなる可能性がある。ケイタイラジオが有用だろう。

 私は常にポケットwifi を携行する予定だが、それでもこの土日ほどに電波が常に通じ、ネットが出来るのかについては自信がない。基地局への電力供給の問題がある。なにせ、都内のどこかで計画停電が行われるという事態そのものが、生まれて初めてだ。「ATMやバンキング」に関しては、おろせる間に少し多めにということだが、そのお金の管理はまずは自らの責任である。

 「セキュリティ」も重要だ。SECOM、ALSOKなどのセキュリティ・システムは、「電力が常に供給され、それによって警報システムが稼働する」という前提になっている。電力が途絶した段階で、「警報システム」は動かない。ということは、その間はシールドがなくなることを意味する。日本は安全な国だが、無論例外はある。日本でも盗難、窃盗、スリなどは犯罪の代表選手だ。

 既にフランスは自国民に対して、「関東圏からの一端の退去」を指示(か要請)したと伝えられるが、日本人の中にも「出来たらしばらく関西に居たい」という人はお年寄りを中心に出てきておかしくない話だ。

 そのくらい世の中は変わる。電力供給の十分な再開に政府や東京電力が尽力しなければならないのは言うまでもないが、対象地域に住み、対象地域を訪れなければいけない人は。その瞬間その時点で適切な判断を下さねばならない。それはオウンリスクで、リスク管理能力を高めなければならないだろう。
 「計画停電」という言葉とは”計画”されているようで安心かがある。しかし実際には個々の局面、個々の人間にとっては全く「不計画」な、予期せぬ事が起きる事態と言える。場面場面で、覚悟と、その時の適切な判断・対処が求められる。

 時に行動を抑え、時に素早く行動する必要がある。皆さん、お気をつけを。


2011年03月13日(日曜日)

 (03:25)宮城の南三陸町で約10000人にも達する人と連絡が取れないなど、今回の地震の悲惨さは深まるばかりだが、その中で我々日本人が普通に行っていることを世界がある意味絶賛しているのは誇って良いことかもしれない。

 ニューヨーク・タイムズはオピニオンのコーナーに「Sympathy for Japan, and Admiration」(日本への同情、そして賞賛)という元東京支局長リチャード・クリストフ(彼は神戸・淡路地震を取材)の一文を載せた。タイトルの通り、地震という危機に対処する日本人の辛抱強さ、克己力の高さ、そして秩序正しさを賞賛し、「But the Japanese people themselves were truly noble in their perseverance and stoicism and orderliness.」と書いた。

 また今読める毎日新聞のネットサイトによると、中国のネットでは『日本人の対応「冷静」と絶賛』する書き込みが溢れているという。その記事(共同電)を引用すると

 地震多発国で東日本大震災への関心が高い中国では12日、非常事態にもかかわらず日本人は「冷静で礼儀正しい」と絶賛する声がインターネットの書き込みなどに相次いでいる。

 短文投稿サイト「ツイッター」の中国版「微博」では、ビルの中で足止めされた通勤客が階段で、通行の妨げにならないよう両脇に座り、中央に通路を確保している写真が11日夜、投稿された。「(こうしたマナーの良さは)教育の結果。(日中の順位が逆転した)国内総生産(GDP)の規模だけで得られるものではない」との説明が付いた。

 この「つぶやき」は7万回以上も転載。「中国は50年後でも実現できない」「とても感動的」「われわれも学ぶべきだ」との反響の声があふれた。

 湖南省から東京に留学し、日本語学習中に地震に遭った中国紙、瀟湘晨報の中国人記者は、日本語教師が学生を避難誘導、「教師は最後に電源を切って退避した」と落ち着いた対応を称賛。ネット上に掲載された記事には「日本人のマナーは世界一」「人類で最高の先進性が日本にある」などの書き込みが相次いだ。

 「日本の学校は避難所だが、中国の学校は地獄だ」といった中国政府や中国人の対応を批判する書き込みも。2008年5月の四川大地震では、耐震性の低い校舎が多数倒壊、5000人を超える子どもが死亡。生徒を置き去りにし、真っ先に逃げた教師が批判された。

 東日本大震災を1面で報じた12日付の中国紙、環球時報も「日本人の冷静さに世界が感心」との見出しで、東京の街頭で避難する日本人のマナーの良さを紹介した。

 世界に評価されたからと言って、亡くなった方々の命が戻るわけでもないし、被害を受けた地域が元に戻るわけではない。ニューヨーク・タイムズが言うように、神戸・淡路の大震災の時と同じように、「もっとこうすれば良かった」という面はあると思う。原発が抱えた大きな問題は今後にとっての大きな教訓になるはずだ。

 しかし決して略奪などの行為が起きないこと、地震になっても多くの日本人がマナーを忘れずに、本来与えられた仕事をこなし、避難などに際しても他人を思いやる気持ちを持ってマナーを守ったなど、日本では当たり前のことが世界に賞賛されているのは興味深い事だ。

 日本のツイッターサイトにも、「日本は凄い国だ」と自らが自然に出来ていることを賞賛する声がある。日本人が自己認識を高めることは非常に良いことだと思う。慣れているとはいえ、私も地震の直後の東京の街を翌日筋肉痛になるほど歩いて、同じ事を思った。「日本は素晴らしい」と。

 しかしだからといって、今回も反省点がないわけではない。多くのテレビなどは14日の未明まで地震関連だけの放送を続けるそうだが、各局が「この映像が一番悲惨」とばかりに、入手した地震の悲惨さを一番衝撃的に表現出来ている映像を何回も何回も流しているのは「必要だろうか」と思う。

 ある程度の繰り返しは必要だが、私には「必要以上」のように見える。これは各局言える。放送内容を地震の「今」に限った弊害か。

 海外の新聞を読むと、「今の日本の景気回復基調に新たなリスク」とか、「巨額の財政赤字がまた膨らむ」といった経済面の影響を扱う部分が多い。東京電力の福島第一原発の一号機の問題が収まり、他の号機に波及せずに沈静化すれば、この日本が抱える経済的側面が大きな課題になる。

 ニュージーランドでは、復興費用捻出のために「増税」が直ぐに議論された。そういう議論が出てもおかしくない状況だが、今の日本の報道の中にはその類のものはない。ニュージーランドの地震より、はるかに大きな地域が、そして遙かに大勢の死傷者が出た危険性があることを考えれば、「まずは今」を取り扱うのはやむを得ない面もある。しかし「今後どうするか」をそろそろ議論しても良い時期だ。

 多分「予備費」では対処は難しい。「補正予算」が必要になるが、それをまた国債発行に依存して良いのか、それとも税を考えるのか、その税と消費税の関係をどうするのかなど、少し長期的な議論をしても良い時期になりつつあると思う。

 その意味では、国会の議論を止めるのではなく、ニューヨーク・タイムズの表現を借りるならば、国民が賞賛されているのと同様に、「perseverance and stoicism and orderliness」(辛抱強さ、克己、そして秩序正しさ)において、日本の政治家も議会も「noble」であって欲しいと思う。そしてまた我々市民も出来ることをする、ということだろう。

 私は「神戸・淡路の時はそうしなかったのに」という意見が出るかもしれないが、日本の財政を巡る状況が一段と悪化したが故に、今回は一つの問題にきちんと対処するという前例を残すためにも、「地震からの復興を主な狙いとする増税」は賛同できると思う。

 それを所得税でやるのか、消費税でやるのか、時限をどうするかなどの議論はあると思う。その際の焼け太り、将来に意味のない復興工事にも反対だ。しかし本気で、日本が具体的な政策でも「辛抱強さ、克己、そして秩序正しさ」を世界に示せれば、もっと良いと思う。私はそう言う税だったら、喜んで払う。


2011年03月12日(土曜日)

 (04:25)日本にとって、何とも凄まじい12時間の経過です。テレビで刻一刻と報道される被災地の状況は、本当に心が痛みますが、それとは別に私がこの半日に経験したことを書き残すことは、やはり意味のあることなのでしょう。都会でこの大きな地震に遭遇した人は多かったし、今後の参考になると思う。

地震直後にビルを出て、周囲を不安そうに見渡す人々  書き残しておくべきだと思うことはいっぱいあります。

  1. 都心のほとんどの道路での地震から数時間での大渋滞発生と、一瞬にして消えたタクシーの空車。つまりタクシーに乗った人も、ほとんど移動できなかったのではないか
  2. 都心の歩道を埋め尽くした人の波のすごさ。これは都心のJR、私鉄、メトロが止まって動かないと判明したあとも続いた。「皆さん、どこに向かっているのだろう」という疑問を持った
  3. 皆が携帯で情報をとろうとしているが、実際にはつながっている電話がいかに少ないか。auが音声を扱えたケースが多かったが、私が持っているドコモとソフトバンクの音声は、両者が緊急用に枠を開けたために、通話はほとんどできなかった。長い間
  4. それに対して、地震後もっとも素早く通信が再開できたのはデータ通信で、私の場合はドコモのポケットwift が稼働し、それによるツイッター発信、フェースブック書き込みは地震後しばらくして開始できた(それを見た私の友人や仕事関係者も多かった)
  5. 夕方には都心のほとんどのコンビニの弁当売り場、パン売り場などの棚は全くの空っぽになった。開いているレストランには人が並ぶところもあったが、「こういう状況なので」とキッチン・クローズを9時にしたレストランもあった
  6. つまり、ほんとに大地震が起きたときには、直ぐに食糧を手当てして安全な場所で交通機関などが動き出すのを待つのが良いことを今回の地震は示した
 ということだったかもしれない。個人的体験としては、携帯が音声、メールとも非常に長い間つながらなかったので、放送関係を含めて、連絡は自分の足によって行ったが、それは普段の瞬時通信からの大きなtime-consuming matter となった。ツイッターやフェースブックでお互い連絡とれる人の数は限られていた。

人があふれ出し、道路を大渋滞となった赤坂見附付近  昨日の午後3時前からの揺れは、ビルの28階に居た身にとって実に恐ろしかったが、問題はその時点でエレベーターが長い間止まったこと。28階から徒歩で降りたが、もっと上の階の方々はたぶん大仕事だったと思う。

 東京の大きなビルのほとんどのエレベーターが止まったので、やはり懸念されたように「高層階難民」が生じたこと。聞くところによれば、子供を園に迎えに行ったはいいが、高層階に戻れなかった人、上の階でビルやマンションの中に閉じ込められた人が実に多かったと聞いた。

 「高層階難民」だけでなく、大地震はいろいろんな難民が生ずることを示した。帰宅困難者も言ってみれば「交通難民」であり、家族と連絡が取れない人たちもそうだ。家に帰れないと分かった段階で、食糧を買いに走った物の、確保できなかった人は地震による買い物難民と言える。

夕刻には弁当もパンも、直ぐに食べられるものがなくなったコンビニの棚  今でも入ってくる地震速報は今回の地震が実に大きなものであることを示している。マグニチュード8.8なんて今まで聞いたことがないし、日本の観測史上でも例がないそうだが、「想定外の事は起きる」んだと思っておいた方が良さそうだ。

 力強いと思ったことは、いち早く復旧したツイッターを通じて、実に多くの方が情報を転送したりして流していてくれたこと。地震直後からの12時間において、むろんテレビ、ラジオは大量の情報を流したが、そのかなりの部分が「繰り返し情報」だったのに対して、ツイッターの情報は安否情報、交通機関の運行情報、どこそこの学校や公共施設が臨時宿泊所になったなどまで、実にすばらしい役割を果たした。

 むろん、電話会社の緊急伝言版で安否を確認できた人もいただろうが、ツイッターで安否を確認した人も多かったことは、今後の参考になる。情報をとれた人が、周りの人に伝える姿も良かったし、「お互いできることでお互いを助けよう」というシーンがあちこちで見られたことも良かった。

 被害は甚大だ。しかしお互いの協力によってこの困難を乗り越えられればいいなと思っています。


2011年03月11日(金曜日)

 (14:25)3月は番組改編期で、既に今月で終わりになる番組、来月から始まる番組などいろいろと話題になっていますが、私が担当している番組の中でも、若干の変動と拡充があります。大きくは変わりませんが。

 現状は1週間のレギュラーで見るとこうした構成ですが、この中でまず、「世の中進歩堂」が終了、その後直ちに新装開店となって、「地球アステク」となります。私のアシスタントも梶原麻莉子さんから、蒼あんな れいなの双子姉妹に変わります。BSJAPAN午後10時です。

 この二人、つい先頃顔合わせをしましたが、一卵性なので本当に似ている。帝王切開で1分差で出てきているそうです。最初に出てきた「あんな」さんがお姉さん、「れいな」さんが妹。どこに違いあるのか聞いて、一番分かりやすいのはホクロの位置だと教わりました。ほっぺとおでこの差。まあでもしばらく両方を見比べていると、ちょっと顔の形が違うのが分かる。「説明せい」と言われても無理ですが。

 番組のコンセプトは科学技術の進歩を視聴者に伝えるという意味では同じですが、現場重視です。スタジオ収録は基本的にはせずに、ロケ中心に番組を作る。放映時間は「世の中進歩堂」の午後10時24分から30分が、午後10時フラット開始の30分になります。放送時間は従来通り30分。

 次に、毎週木曜日の午後7時から東京FMで放送されている「Time Line」は従来は30分番組でしたが、これが55分と1時間番組に拡充されます。先日打ち合わせをしましたが、随分とわくが増える。楽しみです。FM放送はいろいろなツールを通じて「地域性」を脱しつつある。東京や関東中心な番組ではないので、全国の人に聞いて頂ければよろしいかと思います。

 従来の

日経CNBCヴェリタストーク(月曜日、月一回程度)
朝日放送「おはようコール」(毎週火曜日朝)
関西テレビ「アンカー」(毎週火曜日夕方)
森本毅郎・スタンバイ!(毎週金曜日朝)
伊藤 洋一のRoundup World Now(毎週金曜日午後10時45分)

 は従来通りです。お楽しみに。


2011年03月10日(木曜日)

 (18:25)随分と中国の多くの人々の希望に背を向けた内容だし、指導部の中にもある政治改革の必要性にも全く理解を示さない演説だな、と思いました。全文を読めば少しは違う印象かもしれない。しかしそれにしても後ろ向きなトーンです。

 今後の中国の政治路線に関して演説をしたのは、呉邦国常務委員長(議長)。今開かれている全人代での常務委活動報告でのこと。産経新聞によると、同議長は共産党一党支配体制の堅持を強調し、「もし動揺すれば、社会主義近代化建設の基礎がなくなり、これまでの発展の成果を失い、国家が内乱のどん底に陥る可能性もある」と述べたという。

 私の従来からの考え方は、共産党が一党独裁体制を崩しても、中国の多くの人々は今の生活水準をあまり落とさずに次の時代に移行できる、というものです。よほど大きな内戦にならなければですが、私はそうはならないと思う。

 それはロシアを見ても分かるし、他の国々を見てもそう。あまりにも大きな、体制の転換のような事態を、人間はしばしば呆然と迎えるものです。むろん混乱はある。しかし、今の中国がもっている強みは、別に中国が一党独裁の下にあるからあるのではない。

 中国の強みと言えば、13億に達する人口(大きな消費市場)や、安い労働力などいろいろある。華僑の存在も大きいでしょう。呉邦国常務委員長の発言は明らかに、国内で民主化を求める「中国ジャスミン革命」の呼び掛けを強く意識した発言で、あえてそれに「そんなことを起こしたら大変なことになる」と警告したものだろう。

 呉委員長は「私たちは中国の国情に従い、多党制政治は行わない。三権分立、二院制政治にも移行しないことをここであらためて表明する」と述べたとされる。この発言には、国内外の民主活動家が中国に一党独裁の放棄を求めている状況を踏まえ、そうした要求は断固拒否した。

 呉邦国常務委員長(議長)は強硬姿勢を示しているが、温家宝首相が述べたように今の体制は多くの矛盾点をはらんでいる。それをどう解決するかの具体的提案なしに、「これはダメ、あれもダメ」では中国は一歩も前進しなくなる。

 ところで、エッセイのお知らせです。今回は第37回「財政健全化のために何をすべきか」を取り上げました。


2011年03月09日(水曜日)

 (14:25)東京にいるとあまり感じませんが、関西は12日からの九州新幹線全線開通とそれに伴う新大阪と鹿児島中央駅を3時間45〜46分で結ぶ「みずほ」の運転開始で結構盛り上がっていますよ。

 九州新幹線が全線開通したからと言って、鹿児島に行くのに列車を考える人は東京にはいない。まず。あえてそうする人はいるでしょうが、旅行でもビジネスでも飛行機を考えるでしょう。しかし、これからは大阪、京都、神戸の人、それに山陽道の人はなおさら、「列車での九州入り」を考えるようになる。

アンカーのスタジオに集結した九州各地のご当地きゃら  第一に、大阪から4時間に満たない時間で鹿児島に行けるのはナイスです。しかも到着するのが鹿児島中央駅と来ている。飛行機は列車よりもはるかに速い。しかし、鹿児島空港は鹿児島県の北端に近いところにあって、市の中心部に行くのに車で1時間以上かかる。そうすると、そう所要時間は列車でもあまり変わらない、ということになる。

 実は九州新幹線は、鹿児島中央と新八代の間ですでに2004年に一部開通していた。私は2005年の7月26日に鹿児島中央から新八代まで乗っていて、その時の感想は以下の通りでした。

 「鹿児島中央駅から博多まで全線開通したら、九州は面白いことになる.....」というのが、九州新幹線に乗って受けた印象でした。今はこの「つばめ」は、鹿児島中央と新八代駅の間しか走っていない。私はそれに乗ったわけです。しかし6年後とか10年後とか言われる博多までの全線が開通すると、鹿児島から博多までは「1時間ちょい」で行けるようになる。

 どうなるかというと、まず今は飛んでいる鹿児島ー博多を結ぶ航空路線が廃止になる。そりゃそうだ。飛行機に乗るために空港で待っている時間でそれぞれの市の中心部にある目的地の駅に着いてしまうのだから、飛ばす理由がない。

 九州新幹線は、だましの新幹線ではなく、フル軌道の新幹線。従って、博多で山陽新幹線と繋がると、東京からの新幹線を鹿児島中央駅まで走らせることが出来る。東京ー博多間は「のぞみ」が5時間10数分ですから、東京を出て6時間30分ほどで鹿児島に到着することになる。列車での移動が可能になるのです。

 わざわざ6時間をかけて東京から鹿児島に列車で行く人は少ないかもしれないが、可能性は開けてくる。鹿児島は面白い街ですから、ルートが増えるのは良いし、新幹線の沿線の人だったら、東海、山陽の人はぐっと九州の南部が近づくことになる。人の流れが変わるように思う。

 もっとも、鹿児島から指宿までが単線の1時間に一本の電車と細い道しかなくて、やっぱし1時間くらいかかるので、指宿としては鹿児島の指宿の間をどうするかを考えなくてはいけない。指宿は良い街です。

 実は新しい新幹線に乗って感心したのは、外観よりは内装でした。この写真で写っているよりも茶色が濃くて、かつ背中が木目調になっていて、さっぱりした仕上がり。肘掛けも木目調で、夏は涼しく感じると思ったことでした。まだ込んでいない。全く予約なしで乗れました。

 「つばめ」は九州から出ない列車ですが、今回新大阪と鹿児島中央を結ぶ列車としては、「みずほ」「さくら」がN700系で就航する。「みずほ」は停車駅が「新神戸、岡山、広島、小倉、博多、熊本」と少なくて最速。ちょっと心配するのは、鹿児島中央と新八代を乗ったのと、山陽新幹線の何度もの乗車経験から言うと、「トンネルが多い」ということですが、まあ出来るだけ早い時期に一回は乗りたいと思っています。

 九州新幹線の全線開通で、関西と九州が非常に近くなるというのは、昨日のアンカーでもやって、九州の各地ご当地キャラにも番組に登場してもらったのですが、この長距離列車開通によって関西も九州も経済活動が活発化すれば良いと思っています。


2011年03月08日(火曜日)

 (14:25)牢固でなかなか変わらないと言われる日本の企業ですが、やはりいろいろな面で変わってきているし、変わらなければやっていけないというのが実情ではないのかな、と今日は思いました。

 その一つの例は野村ホールディングが昨日、4月1日付けで執行役財務統括責任者(CFO)に中川順子さん(45歳)を起用すると発表したこと。あの”野村”でですからね。当然野村で女性が執行役とCFOになるのは、ともに1925年の創業以来初めてだと。

 この方が奈良出身で、かつ神戸大学卒と言うこともあって、今朝のABCのこの番組でニュースの4大項目の一つとして取り上げました。展望が全く開けない日本の政治などよりも、よほど力が湧く良いニュースだと思ったからです。

 この方が凄いのは、ご主人の海外転勤で一回野村を辞めているのです。4年後に日本に戻ってきて復職、そしてまたキャリア作りを開始して4月1日からの仕事に就任するという経路をたどっている。しかもまだ45歳。今までの日本だったら、「退職した時点で終わり」であり、その後同じ会社に戻っても非正規のケースが圧倒的。

 実力もある方なのだと思うし、会社側にも考えがあるのでしょう。しかし、CFOは会社の顔であって、それはやはり力がないとできない。野村はリーマンを内に抱えた後、「相当変わった」(野村の友人)そうです。そりゃそうだ。異文化を取り入れた訳ですから。リーマン出身者が出世したとアメリカの新聞にも登場していた。

 実は女性は役員に迎えようという動きは、パナソニックでも住友化学でも始まっている。もっともっと例があって、私たちがそれを知らないだけでしょう。今朝の新聞もちょっと扱いが小さいと思う。まあ、変化というのは小さいところから始まる。

 日本経済に関しては、先日「これからニューヨークに赴任する」という友人から、「伊藤さん、今の日本では商社が元気がよいですよ」という話を聞きました。彼はずっと商社の担当でもあったので。

 「中抜きの時代」にあっては、「商社は衰退する」というのが一般的な見方でした。つい数年前には。しかし、今の商社は収益力も高いし、活力もある。なぜか。それは、ただ単に”中”だけをやっているのではなく、そこに付加価値を付けていること、さらに言えば実質的にはインベストメント・バンクになって、ベンチャーを揺籃しているからだと聞きました。

 それは可能性がある。例えばもうなくなったが、イギリスのマーチャント・バンクというのは、もともと個別商品の商社だった。それが金融機能を備えてバンクになった。日本の商社がかなりの部分、インベストメント・バンクになってもおかしくはない。

 日本はベンチャーが少ないと言われる。独立のベンチャーは確かに少ない。ベンチャー融資も滞っている。しかし、アメリカにはない”商社”という大きな存在が、その社内に多くのベンチャー相当の企業を抱え、それを揺籃しているとすれば、それは日本経済のパワーになる。

 「産業はこう育たねばならない」という方程式はない。商社は、様々な知識、技術、人材、そして資金を総合的に調達して、社内で適正配分するパワーを持つからこそ、この「中抜きの時代」に依然として跳梁跋扈しているのだとも言える。

 政治を見ればあきれるほどがっかりする日本だが、ちょっと視点を変えれば面白い動きは始まっている。今週の日経ヴェリタスは「美点凝視」とタイトルをしているが、日本には別に凝視しなくても良い点はいっぱいある。その旨、昨日の日経CNBCの「ヴェリタス・トーク」では申し上げた。

 まあ考えれば、今の政治の混乱も多少は今後良くなる前段階の混沌とも言える。


2011年03月07日(月曜日)

 (19:25)よくよく考えたら、この週末に一番見た映像は、2011TGCに関するものでしたね。youtubeバージョンやNHKのオンデマンドを含めて。

 先週金曜日に参議院予算委員で始まった日本の政治の一段の体たらくは見ていて悲しくなる。それに対してTGCは全く分野が違うが、見ていて楽しい。とても「同じ国で起きていること」とは思えない。TGCは華やかで、かつ盛況だった。

 世界中のメディアが東京に押しかけたそうですが、明らかにニューヨークやパリのファッション・ショーと違ったテーストがあって良い。「日本の影響力の低下が懸念される」(ウォール・ストリート・ジャーナル)と書かれる日本の政治だが、ファッションなどは今隆盛の最中にあるように思う。

 昨夜もっとも嬉しかったのは、長友のインテルでの初ゴールでした。彼は後半の33分に入った。初ゴールはそれから5分ちょっと過ぎです。その時点で、インテルは3点差で勝っていた。だからでしょう。長友は、「今日は点を取ってやる」という動きを最初からしていた。

 またチームメートがそれを後押ししているように見えた。いいパスが来て、ディフェンダーを押しのけざま振り返ってシュート。

 アナウンサーの声はちょっとびっくりした感じだったが、「ジャポーネ」と何回も叫んでいた。イタリア語が分からないので、内容は不明ですが、「(インテルに入った)日本人の長友が初ゴール」とか言っていたのでしょう。

 嬉しかったのは、その後の応援。リーダーが「ユート」というと、スタジアム全体が「ナガートモ」と何回も大合唱。好かれているんですよね。彼は、outgoing で明るいのが良い。早く一点欲しいという彼の希望を、「じゃ、チャンスを与えよう」とチームメートが協力しているのが分かる。シュナイデルも祝福していました。

 本来は右が左のサイドバックですから、そんなに得点のチャンスがあるとは思えないし、、守備を疎かにしたら一気に評価が下がる危険性があるが、とにかくチャンスがあったら今後もゴールを狙って欲しいと思う。

 それにしても、昨日もツイッターのパワーを痛感しました。最初に知ったのは、ツイッターのタイムラインで。映像がほしいと思ったら、直ぐ教えてもらえた。ナイス。瞬発力でツイッターにかなうメディアはない。

 ところで、今日は非常におもしろい製品を紹介します。家に写真のネガが山ほどありますよね。昔の。机の引き出しいっぱい私の場合もある。それを今デジタルに転換しているのです。ものすごく片付く。私は今CHINONのフィルムスキャナーを使っていますが、これは優れものです。家にネガがたくさんあって困っているという方は、是非お試しください。


2011年03月06日(日曜日)

 (01:25)先週の日曜日にたまたまメールしたら「今成田。これからチュニジア出張」と打ち返してきた弟から、「心配してるでしょうからチュニジア報告」とメール。そりゃしてますがな。

 最近はめっきり隣国のリビアがニュースの中心ですが、「革命、その後」ということでは、チュニジアは先を行っていますから、今後の中東がどうなるかという観点からも気になる。許しを得て、彼のメールを少し紹介します。

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まだ弾痕生々しいチュニスの建物  最終引き渡しの仕事でチュニジアに来ています。

 出発前日、日本では新聞にチュニジアでガンヌーシ首相の辞任を求めるデモがあり、その時3人が死亡との記事が出ており、未だ安全ではないと言う事でした。出発を延期しよう思いましたが、現地スタッフの”大丈夫だ。全然問題ない”の助言に従って渡航しました。

 現在ではほとんどの閣僚が辞任をして、仮の閣僚たちが政府を運営しているようです。3月31日までに新しいElection Systemを構築して7月24日に新議会および新憲法を制定するとの事です。現在の政府機関は単に行政機能しか持っておらず運営のみ(No politics)、7月24日から新しい政治が始まる、チュニジアの再出発の日だとLocal Staffは話しています。

 革命の中心地となったチュニスのブルギバ通り沿い。以前は静かな町(人々があまり喋っていなかったという意味)でしたが、現地スタッフの話などを総合すると、まるで雀の学校の様に今は皆が喋りながら歩いているようです。色々な事を喋りながら歩く事を楽しんでいるようです。

壁には多数の落書きが。今これを消す作業を進めているらしい  さすがに内務省前、大統領住居前等には軍隊が厳しく封鎖をしています。ただ兵士達にはあまり緊張感は見られません。街中では若者達が露店を所狭しと出し始めています。これも以前では見られなかったもの。(以前は政府が50 TDN/日(日本円で50x57.8=2,890円)の場所代を徴収していたため。)

 政府は近々大規模なオープンマーケットを設営する事を考えているようです。首相府建物の周り(チュニジア全体と言った方が良いか)は抗議の落書きで埋め尽くされ、あまりの凄さにすべての壁を塗り替えているそうです。

 本屋には歴代施政者やベンアリ大統領一族に関する書籍が並んでいます。(特に悪名高きベンアリ大統領夫人に関する本など考えられなかった事。ウインドウを覗き込んでいた人は”こんな本は破り捨てたい。”と言っていました。

 大統領夫人の兄弟の家には軍が逮捕のため威嚇発砲した痕跡が生々しく残っていたり、宿舎のあるマルサの交差点にも戦闘用タンクが常駐していたり、と未だ革命時の騒乱の跡は生々しく残っています。活気があふれる街に

 ただ、雀のお宿みたいになったチュニスの人々は本当に幸福そうです。十分気を付けます。

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 「雀のお宿」ね。開放感があるんでしょうね。うーん、行ってみたくなった。彼のスタッフが撮った写真も含めて数枚アップします。


2011年03月05日(土曜日)

 (23:25)ドコモから来ていた「Xi」(クロッシィ)のサービスパンフに興味を持って実際に店頭に聞きに行きましたが、それの対応機種である「L-02C」の採用は今回はやめました。

 「Xi」(クロッシィ)そのものはLTEのサービスなので、実際に見ましたが素早くて良さそうです。定額制で電波の寸断がなければ、ですが。

 しかし、L-02Cは私の希望に合わなかった。三つの理由があります。

  1. この製品はPCに直接USB接続して使う製品であって当該PCの通信速度は上がるが、今私が一番重宝して使っているバッファロのポケットwifiのような使い方が出来ない
  2. 今のところ説明では従量制で、私のようなwifiのヘビーユーザーにとっては安心して使用できない
  3. 新幹線の中の使用は「不安だ」との説明があった
 などです。実は、複数のIT製品をぶら下げられるポケットwifi 的な使い方が出来る端末が「今年の春に出る」(店員さん)ということなので、それをまた検討しようかなと思っています。

 スピードの速いwifi 接続に関しては、多くの人がそうであるように、今の私にとって結構切実です。身の回りにはwifi高速接続を切望するマシンがいろいろある。airを含めたPC、iphone4、ガラパゴスなど。皆、wifi 接続しなければ意味のない製品で、出来ればその接続は高速であって欲しい。ipad もそうかな。家は高速無線LANが走っているのでよい。問題は家の外です

 ホテルなどでもそうなのですが、一つの高速wifi に数多くのwifi機能を持つIT端末をぶら下げて使いたい。一つが早くなっても意味がない。L-02Cがそれです。それでは駄目。

 バッファロのポケットwifi は最大5個だったかな、wifi 受信端末(PCなど)がぶら下げられる。ホテルによっては、それを有線LANに繋げても一台と認識してくれる。しかしそうでないところもある。

 だから、ドコモのLTEの上で走る高速wifi端末(今のポケットwifiのように)が定額で使えれば、非常に良いのです。かつカバーエリアが広がれば。万能なんですよ。それさえあればホテルの回線を使う必要が無くなるし、新幹線の無線LANが遅いとかいって悩む必要が無くなる。

 じゃ、「L-02Cを何台も買う」ってことはないでしょう。だから、LTE上で使えるポケットwifiのようなマシンを、「いつ出るのかな、定額になるのかな、高速移動体の中では大丈夫かな」と待ちます。


2011年03月04日(金曜日)

 (13:25)番組やエッセイのお知らせです。まずエッセイですが、今回のECOマネジメントの「伊藤 洋一のBRICsの衝撃」は、引き続き中東情勢、イスラム世界を扱いました。

 かつては科学技術を揺籃し、あらゆる学問で世界の先頭にあって輝いていたのに、その後西欧諸国や日本が大きく発展する中で数世紀の間停滞していたイスラム社会。それがどのような背景と持つのかをマハティール前マレーシア首相の言葉から謎解きし、今の中東動乱の中でどう変わろうとしているのかを「マハティールの嘆きとSNS革命」として書きました。ちょっと力が入ったので長くなった。

 今の中東の動乱が終えた後に関しては、「権力の空白」「イスラム過激派の浸透」などが懸念されている。しかし、私はこのエッセイの中でちょっと違った見方を提示したいと思いました。お楽しみに。

 次はテレビ番組ですが、世の中進歩堂(BSJAPAN 午後10時24分から)では、テーマは『あらゆる海の状況を水槽でリアルに再現!驚異の海洋研究に迫る!』です。

 今回訪れたのは海上技術安全研究所で水槽で海の状況をリアルに再現し、その上で海洋の謎の研究を行っている。水槽に氷を張り、模型船を走らせて氷を割る実験や、大きな波を発生させて、海難事故を防ぐシミュレーションなど、あらゆる海の状況を想定して海の安全を守るための実験を行っているのである。 さらに地球のエネルギー問題を解決させようという発電システムも開発中。

 海の上に浮かべる風車や、潮の流れで発電するシステムなど、強大な海の力を有効利用しようというもので、海の可能性を最大限に引き出す驚きの海洋研究に迫ります。

 伊藤 洋一のRoundup World Nowは、いつもの通り午後10時45分からです。今週はいつものような構成ですが、来週は湯川さんの「IT特集」。今回も面白いと思います。お楽しみに。


2011年03月03日(木曜日)

 (23:25)昨日私が「だんだん許し難くなった」と書いた東海道新幹線N700系の無線LANの酷いパフォーマンスに関しては、実に多くの方から「そうだ」と賛同の声を頂きました。JR東海さんには、是非検討の上、改善策をとって欲しいと思ってます。

 高速移動体での無線LANであり、通信速度を上げることはなかなか難しいのかもしれません。その辺については、私は疎い。しかし新幹線の新しいサービスとして導入している限りは、やっぱり使う人が「まずまずだな」と思えるものでないと”サービス”とは言えないと思うのです。

 加えて、私の勝手な思い込みかもしれないが、日本の新幹線には世界の高速鉄道の模範であって欲しいとも思う。少なくとも今年の初めに乗ったスペインの高速鉄道のAVEの車両には無線LANは走っていなかった。

 今はdocomoのmoperaとSBのmobilepoint の両方を使える状態にあるのですが、両方とも遅い。今のままでは”サービス”とは言い難いシロモノだ。使っていてイライラする。動画は最初から期待していないが、現状は手が込んでいない一つのサイトが出現するのにも時間がかかっている。

 おそらく、PCに加えて無線LANを拾えるスマートフォンの普及も背景になっていると思う。つまりPCを含めて無線LANの利用端末が急増しているということ。それはもしかしたら、サービス開始時の想定を超えているのかもしれない。乗客者中の潜在的利用者比率のようなもので。しかし改善が出来るのなら、是非早急にして欲しいものだ。

 今のままだと、3G電波をwifi に転換するポケットwifi の方がまだましという状況になってしまう。それでは「”無線LAN接続可能”を新幹線のサービス」として列挙するのには悲しいでしょう。

 ところで、京都大や早稲田大など4大学の入試問題がインターネット質問掲示板(Yahoo!知恵袋)に投稿され、試験時間内に回答が得られていた事件に関して、偽計業務妨害で19歳の予備校生が”逮捕”された。

 私はあまりにもここ数日のマスコミの扱いが大きく、多分20歳に届かないであろう犯人が社会的に追い詰められて妙なことになってはいけないと思っていた人間なので、「身柄確保」にむしろ安心した方です。カンニングは昔からある。通常の大学入試でのカンニングでは”逮捕”ということにはならなかった思う。注意され、合格を取り消される程度。

 にもかかわらず、警察は今回は”逮捕”した。なぜ逮捕なのかという点に関しては、「社会的影響が大きかったから」と述べて、なぜ「偽計業務妨害での逮捕」なのかに関しては、「入試担当者以外の教職員も多くが騒動に巻き込まれ、本来の仕事ができなくなった」からとしている。

 「偽計業務妨害」が学校の試験のカンニングに関わる今回のような事案に使われるのはは「初めて」と読売新聞には書いてある。今回のカンニングが今話題のソーシャル・ネットワークが使われたという意味で、「ソーシャル・カンニング」という表現を使うなら、もっぱらそれ故に事が大きくなった気がする。つまりカンニングのツールが今までとは違った。それ故に騒ぎが大きくなった。

 今回使われたのは、ヤフーの「知恵袋」だ。京大など有名大学の試験問題がアップされていれば、誰かいつか気づく。かつ時間も残る。ということは、誰かがいつか指摘するカンニングのやり方だったと言える。つまり、幼稚さが残る。

 加えて、IPアドレスの問題や携帯識別番号の問題を少しでも知っていたら、「そんな手口を使うか」というレベルだ。必ずばれる。この予備校生は、「(京大に)受かりたかった」と語り、「一人でやった」と述べているという。どうやら携帯の特殊な機能(例えば文字認識機能や動画など)を使って、他の人も巻き込んだのではないようだ。それにしても、凄い入力速度だが。

 この問題については、fbやtwitter でも非常に多くの書き込みがある。それぞれの方がそれぞれの見方をしている。受験生からすれば、もしばれないような方法だったらその人が合格していたはずで、許せないという意見だ。受験生でない人にもそうした意見は多い。私も許してはならないと思う。

 それとは別に、”逮捕”はどうだったのかについては、「やり過ぎ」という意見がある。使ったツール故に逮捕された面があるからだ。大騒ぎになった。確かにこれは可哀想だ。19歳だから直接名前はすぐには出ないが、いずれにネットには出てくるだろうから、「社会的制裁はすでに受けた」とする見方もできる。

 報道によれば、父親をなくした予備校生が「(母親に)これ以上負担をかけたくなかった」とも語っているという。だからといって許せる問題ではないのはその通りだとして、ただ責めれば良いという事件でもないような気がする。

 さらに、「逮捕→処分」と進むようなことが果たして良いのかという問題意識を持つ人が多い。自分はしたことがないにせよ、「結構身の回りにはあった」のだから、彼だけが大騒ぎされて、今後の人生の可能性を狭められるのはどうか、という見方だ。

 大学、試験会場、試験監視者の問題もあると思う。「試験を受けに来る人を常に疑惑の目で見ることは出来ない」ことは確かだが、ホテルの机の上に札束を置いておいて盗まれたら、盗んだ人は確かに悪いが、目に付くところにそんなものを置いておいた方も責められるべきだ。「どこどこの大学の試験監視は甘い」などと評判が広まっていたという。

 受かりたい一心だったとしても、今回の事件でこの予備校生はもう今年は志望校には入れないだろう。やっぱりカンニングは損だと思う。倫理的にも正しくない。しかし、それに加えてどのくらい法的罰則を与えるべきかは難しい問題だ。私はあまり重くない方が良いと思う。


2011年03月02日(水曜日)

 (22:25)うーん、だんだん許し難くなってきました。新幹線の中のネット接続の遅さです。

 東京→大阪間(その逆も)はいつもN700系に乗ります。それは無線LANが走っていて、移動中でもネット接続が可能だからです。メールの処理、原稿の仕上げと送付、ネットを使った調べごとなどいろいろなことに使える。非常に便利なのです。最近はN700系がダイヤの中でお増えてきて、これまたナイス。

 開始したのは2009年の3月14日だったと思った。だから2年が経過した。始まった時は、「ついに」と思ったものです。その前は非常に遅い携帯電話の電波を使った接続だったので(私の場合は)、「よしよし」と思ったものです。使ってみても「ちょっと遅いな」程度だった。

 しかし最近はこれが冗談ではなく遅くなってきているのです。あきれるほど遅いときもある。ページが途中で引っかかって前に進まない。実にいらいらするのです。当時のスペックを見て見ると

 14日に開始する車内インターネット接続サービスでは、400MHz帯の無線で接続した「漏洩同軸ケーブル(LCX)」を使ってデータを伝送。地上に設置された通信機器を介して、インターネット接続が可能になる。LCXを利用することで、高速走行中やトンネルの多い新幹線でも安定して通信できるという。

 車内にはIEEE 802.11b/gに準拠した無線LANアクセスポイントが設置され、乗客はこのアクセスポイントを介して、インターネット接続が可能になる。気になる通信速度は、新幹線1編成あたりで最大2Mbps(理論値)。JR東海では「動画の閲覧は難しいが、メールやインターネット閲覧など、ビジネスユースには十分対応できる通信速度」と説明している。

 となっている。しかし今は「十分対応」が出来なくなっているというのが、私の意見だ。

 車内にPCをネット接続で使う人が増えればシェア速度は遅くなることは最初から分かっていた。最初は少なかった。しかし今は車内でネットを使ってPCを操作している人が非常に増えた。その結果どうなったかというと、「いらいらするほど遅い」という問題が生じている。

 あまりに遅いと、自分で持っているポケットwifi を持ち出すこともある。しかしこれもそれほど速いわけではない。東京、名古屋、大阪などの新幹線待合室でネット接続(私の場合はdocomo が多い)すると、凄く速い。ナイスです。しかし新幹線に乗った瞬間に「カメネット」になる。

 うーん、東海道新幹線を運営するJR東海さん。この問題、どうにかしてくれないでしょうか。


2011年03月01日(火曜日)

 (22:25)ネットで梅田と難波の東宝シネマを調べたら、より時間が有効に使えるのが難波であることが分かったので、早速行ってみました。どうも初日だったらしい。「皆様1000円です」とか言っていた。The King's Speechです。

 先週ですか紹介した「ウォール・ストリート」は最初から見るつもりでいたのですが、この映画は正直言ってアカデミー賞でもとらなければ多分見なかったであろうもの。ジョージ6世に関する事前知識も、現エリザベス女王の父君であること以外はあまり知らなかった。しかし見終わって思うのは、落ち着いた展開の中にも独特の緊張感がずっと続き、しばしば優雅で、かつ人間の悩みも深く刻み込まれた良い映画だと思いました。

 なぜ落ち着いて見られるかというと、関わってくる人間の数が非常に少ない。夫の吃音症を直すために王妃が選んだ街の先生と、王妃と、ジョージ6世の基本的にはこの3人で映画は進行する。この3人のやりとりは、落ち着いてはいるがドキドキする。

 資格もなにもないと非難されながらも、「自分についてくれば直る」と自信を示す先生(味のある役者でした)と、国王の葛藤。実に演技がうまい。3人と書きましたが、実はこの二人の難題に対する姿勢、取り組み、悩み、そして葛藤の映画です。

 いつものアカデミー賞の映画とはちょっと違う。華やかでも何でもないし、凄く大きな社会問題を提示しているわけではない。パーソナルで男臭い映画だし、色気もない。しかし、見終わってある種の爽やかさが残る映画です。

 映画を見終わった後、wikiでジョージ六世を検索して、吃音以外には非常に多くのハンディを背負った人なのだなと思いました。映画で描かれていた以外でも。危機に際しての王や政治家の言葉の重みが分かる映画だ。



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