2011年11月30日(水曜日)

 (15:35)今朝は東京の文京区の根津にいますが、「それにしても」と思うことがあります。撮影開始前の空き時間に、東京大学の地震研究所の正門からちょっと歩いて根津神社まで歩きましたが、その坂のきついこと。新坂、権現坂とか呼ばれていて、森鴎外の小説にも登場しますが、そこを歩きながら改めて「東京は坂が多い」と思いました。

 というのも、火曜日は大阪で天満橋から谷町2丁目に上がるとき、「ああ、珍しく坂だ」と思ったことを思い出したからです。長く通っていますが、大阪で「坂」と思えたところは、今のところこの谷町の辺と上本町の辺しかない。つまり大阪城周り。

 ちょっと面白い検索をしてみました。「東京 主な坂」と「大阪 主な坂」で調べてみたのです。そしたら、前者に関しては「都区内だけで700の名前の付いた坂がある」と出てくるのに、後者、つまり「大阪 主な坂」ではそれらしいレスポンスもない。

 TBSがあるので私が結構行く赤坂などは、本当に坂が多い。坂だらけといっても良い。大阪は違います。神戸はまた坂の多い街ですし、京都も盆地なので坂が多い。八坂神社の近くも坂だらけです。ということは、日本の街の中で「坂が少ない」という意味では、大阪が珍しい、ということか。

 それにしても、取材を始めたばかりですが、「火山の内部を見る」はなかなか面白そうです。坂の上にあるこの地震研究所の建物も興味深い。


2011年11月30日(水曜日)

 (07:35)今日は大阪から東大地震研究所高エネルギー素粒子地球物理学研究センターに直行です。火曜日の夜に関西に用があって、東京で水曜日にロケなどの予定があるときはこういう動きになる。

 それにしても朝6時の一番の新幹線は、ある意味気持ちがよい。前回乗ったときは大阪を出る時にはもう白んでいたが、今回は真っ暗。京都を過ぎたあたりからしらみ始め、見ると低層霧。電柱の上の方だけ見える場所もある。

 今回の取材は、『「ミュー粒子」を利用して火山内部を観測するレントゲンシステム』です。同センターは「宇宙線に含まれるミューオンやニュートリノなどの高エネルギー素粒子を用いて、火山・断層・全地球などさまざまな固体地球内部の透視画像を作成し、地震学・火山学に新たな観測窓を開ける研究を進める」(HPから)ことを目的としている。

 今回はその中でも、ミュー粒子(素粒子の一種で物質を通り抜ける力が抜群に強いが、何を通り抜けるかで通り抜けパワー=透過力に差が出る)の透過密度で描かせるミュオグラフで、火山の内部を見てしまおうという点に絞った。

 火山内部の様子を3次元で捉えた画像も見せてもらえる予定で、楽しみです。この技術は産業分野にも応用が可能だそうで、日本の産業競争力アップの観点からも見てみたいと思っています。この技術が、「日本独自」というのが気に入っています。

 ところで、明日木曜日の「地球アステク」(午後10時、BSジャパン)は、先日我々がJAXA(宇宙航空研究開発機構)の筑波宇宙センターを取材した成果をご覧頂きます。

 今回取材して分かったのですが、人工衛星は私達の身近な生活シーン(天気予報やGPS)になくてはならない物になっているということで、今回はいろいろな分野で既に活躍している衛星から最新鋭の衛星まで、日本が誇る大型人工衛星を一挙公開します。

 GPS精度を高めた『みちびき』や超高速インターネット通信を可能にした『きずな』など、普段私たちが当たり前の様に使っているテクノロジーを支える人工衛星から、世界最大級の地球観測衛星『だいち』や名称が決まったばかりの水循環変動観測衛星『しずく』など続々登場します。「しずく」なんて良い名前ですね。女の子の名前にもいいと思うのですが。

 お楽しみに。


2011年11月29日(火曜日)

 (15:35)嬉しいかな? うーん、ま、嬉しいんでしょうね。

 何かというと、京都の浜作のミシュランガイド(京都・大阪・神戸・奈良2012)での「星二つ」。普段ミシュランガイドのレストラン評価をまったく参考にしていないので、昨夜まで知らなかった。しかし私が大阪での定宿にしているホテルの支配人が、その事実を教えてくれた。「伊藤さん、本を読ませていただきました.....」「ご主人が古いお客さんで...」ということで。

 「ミシュランで二つ星」と言われても、知っているレストランで「え、あそこが」という印象の店もある。ですから、その価値をあまり評価するものではないんです。しかし、自分が知っている店で、自分でも認めている店だったら、ミシュランも認めたという意味では掛け値なしに嬉しい。最初の文章はそういう意味です。

 京都の浜作は、わたしのこの本に登場いただいた店です。写真もお借りした。森川さんにはその後もいろいろお世話になっている。私自身が何回も行っていて、本当に良い店だと思います。

 無論、だからといって私のお店に対する姿勢が変わるわけではありません。しかし日本で初めて「カウンターでの上品な料理」を始めた店の一つが世間の注目を浴び、多くのお客さんに行っていただくのは非常に良いことです。日本の文化ですから。日本以外で、どこの国にもカウンターの上での上品で、高級な料理はない。

 本でも紹介しましたが、料理カウンターのオリジナルの店の一つですから、「京都の浜作」は俎板の位置が非常に高くて、客のサイドから何が進行しているのか全部分かる。それこそカウンター料理の醍醐味です。

 カウンターから日本が見えるは本当に息の長い、ロングテールの本となっていて、今でも「最近読ませていただきました」と言われる。こういうのは嬉しいですね。自分で、ロングレンジで本を書けたようで。あそうだ、デジタル化の話があった。それを進めないと。


2011年11月28日(月曜日)

 (06:35)既成政党は全くの形なしですね。民主、自民両党の府連は市長選で平松邦夫氏、知事選で倉田薫氏を支援したが、二人とも落選。勝ったのは「大阪維新の会」の橋下徹氏と松井一郎氏。共産党も平松氏を押したという意味では負け。国民新党の亀井さんも、維新の会を支持したものの、その後の「新党結成」を橋下さんに蹴られて負け。

 「なぜこうなったのか」については色々な説明が可能だ。橋下氏個人の人気などは確かにあったと思う。抜群の知名度だし、あの丸い顔での笑顔は大阪でなくても多くの人に親近感を与える。しかし私はやはり、「システム的(小選挙区制度、政党助成金など)にも既成政党が支配する国レベルの政治への国民の絶望、虚脱感」が地方での”新しい政治”への期待を膨らませたと思う。単なる「一都会の遊び」ではすまされない。

 もっとも「大阪維新の会」が本当に都構想で前進できるかどうかは、今後の問題だ。橋下氏の持論である大阪都構想の実現には、国会で地方自治法などの改正か特別立法の制定が不可欠だ。ダブル選の勝利を受けて、維新は民主、自民、公明の3党を念頭に、法整備に向けた超党派議連の設立を働きかけるが、ここが第一の関門となる。

 橋下氏は、「(15年度までの)4年間で(大阪都に)移行できるよう法改正を迫る。できる限り既存政党の国会議員にお願いするが、やってくれないなら維新として国政に足をかける」と述べている。

  1. 既成政党に都構想実現への協力を求める
  2. 既成政党が応じなければ次期衆院選小選挙区に独自候補を擁立する
 という手順のようだ。新聞報道によれば、既成政党側の対応を見極める期限は「12月末」に設定したという。擁立地域は「近畿一円」となり、依然として「地域政党」の域を出ない。しかし戦法としては巧みで、近畿地方の現職国会議員に「踏み絵」を踏ませ、既成政党を動かすのが戦略のようだ。

 維新の会の大阪制覇で日本の政治は変わるだろうか。日本の政治のリーダーシップは向上するだろうか。政策実行能力は。これははっきり言って分からない。維新の会が全国政党になれるかどうかは不明だし、その過程があるにしても変質を余儀なくされるからだ。

 しかし分かったのは、やはり政治家には「個人的魅力」が必要だし、今の国政にはそれを持つ人材が少ない、それを補う組織もがたがたになってきているということだ。


2011年11月27日(日曜日)

 (06:35)ユーロが仮想通貨から現金通貨に切り替わって初めて紙幣として登場したのは、2002年の1月1日です。私は2001年の年末からベルリンに入って1月1日の早朝に、ベルリンのCITIBANKの支店のキャッシュディスペンサーから真新しいユーロ紙幣を引き出した。いろいろな紙幣の組み合わせで。その紙幣を今でも持っている。日本での円預金を見合いに。その記憶は鮮明です。

 ということは、ユーロは来年1月1日に現実通貨としてやっと10年になるということです。来年は2012年なので。通貨としてはいかにも新しい。ユーロの場合は、ヨーロッパ各国の決意の表れのように、暫くして各国紙幣、例えばドイツのマルクなどの紙幣は使えなくなった。

 そのユーロは、明らかに正念場を迎えている。ここで詳しい分析をする時間はないのですが、先週の市場で「イタリアの財政破綻」が現実味を帯び(2年債の利回りは一時8%に到達した)、今週は先週の倍以上の規模の債券をフランス、ベルギー、スペインなど欧州各国が発行の予定。その総額は、190億ユーロ。それらの発行債券に果たして買い手が出てくるのか、という状況だ。

 買い手が出てきてもその規模が少なく、7%近傍の調達金利が定着すれば、イタリアを初めとして欧州各国は債券市場での資金調達は諦めざるを得ない。そんな高金利を支払っていたら、借金は雪だるまのようにふくれる。となれば、市場はもっと高い金利を要求する。

 しかし欧州各国の国家財政は借金、それも海外投資家からの借金でかなりの部分出来ているから、国家の運営(予算の執行、公務員への給与支払いなど)が出来なくなる。それは国家の破綻ということだ。今のスキームではEUはギリシャは救えても、イタリアは救えない。規模がでかすぎる。

 そのイタリアのモンティ首相(ベルルスコーニに代わってのエコノミスト首相)は先週の木曜日にメルケル独首相、サルコジ仏大統領と三者会談をした後の金曜日の声明で、

「(The French and German leaders) ”said they are aware that a collapse of Italy would inevitably lead to the end of the euro, causing the deadlock of the process of European integration and resulting in unforeseeable consequences......”」
 と述べている。動けるのはドイツとECBである。イタリアなどの自助努力は既に限界を超えている。方向は示さなければならない。しかしマーケットの動きは機敏であるのに対して、各国の国内政治はそのスピードについていけない。

 一つだけはっきりしている。発足して10年にしかならないユーロという通貨が崩壊しても、それは「世界の終わり」ではない。人々は引き続き生活し、多くの職場は失われないだろう。しかし、「ではどうやってユーロを終わらすか」「どうやって各国が自国通貨に戻るのか」「それともユーロを北と南の二つのリーグに分けるのか」など、全く決まっていない。

 その不安感と、今までの枠組みが変わることによる混乱、それに伴う経済活動の一時的かも知れない低迷を、我々も、そしてマーケットも懸念している。


2011年11月25日(金曜日)

 (23:35)久しく本を紹介していなかったので、今日は最近私が読んだ本の中から面白かったものを。

 直近で読んだ本は、今日の午後2時間ちょっとで読んだ「一流選手の親はどこが違うのか」(新潮新書)です。この本は引退したテニスプレーヤーの杉山愛さんのお母様である杉山芙沙子さんが書いている。

 自分の一流選手育成に関わる手記であると同時に、石川遼、宮里藍、それに錦織圭という今日本で活躍している3選手の母親にインタビューして、この四人の育成法にどういう共通点があったのか、を探った本。実践があるだけに、理屈だけの本よりよほど面白く読める。またこの本を読んで、石川遼君がなぜ早い時期からマスコミに対しても立派な受け答えが出来たのか理解できた。

 早期開始、「負けず嫌い」の性格、説教ではなく「なぜ」を教えるコーチ、楽しむ心などいくつかの共通点が出てきている。コミュニケーションの重要性も語られる。この本を読んで得したのは、「sport」の語源を知れたこと。

 それによると、「スポーツ」の語源は「deportare」(ラテン語)だというのです。この言葉は二つに分かれて、「de=away」と「portare=carry」で、その意味は

人間の生存に必要不可欠なことから一時的に離れる、すなわち気晴らしをする、休養する、楽しむ、遊ぶ
 などを意味しているという。なるほど、と頷ける。そして重要なのは、人間達はそれを産業にしてきたと言うことです。野球にしろテニスにしろ、サッカーにしろ、それが生み出している雇用はすさまじい。産業になったので、ただ単に「楽しい」「楽しむ」では通じない部分も出てきているが、しかし基本は「deportare」(必要なことから一時的に離れる)だと。

 ちょっと前に読んだ「中国版 サブプライム・ローンの恐怖」(幻冬舎新書)も面白かった。おどろおどろしいタイトルですが、臨場感もあって非常に参考になった。この世界第二位の経済規模の国で一体何が起きているのか、それが崩れかけている恐怖を詳述してくれている。

 この本を読むと、いろいろな新しい単語を覚える。「蟻族」は良く知られていますが、「房奴」とか「暴力抗法」なんてのも記憶に残った。「房奴」は自分が買った住宅の奴隷になること、「暴力抗法」とは「暴力をもって法の執行に抵抗する」ことを指す。言葉だけでなく、今の中国で起きている困った問題の根っこに触れている。

 ちょっと面白い本は、「まいにち富士山」(新潮新書)です。64歳の初登頂以来、この本を書くまでにほぼ毎日のペースで富士山に登っている佐々木茂良さんが書いた本です。「どえらい人がいるもんだ」というのが、本を手に取った最初の印象。読んでも面白かった。


2011年11月24日(木曜日)

 (17:35)番組のお知らせです。今日の夕6時45分からの「東京FM timeline」は、既にTPPに参加している国から見たこの問題への見方です。ゲストは、ニュージーランドの特命全権大使イアン・ケネディ氏。

 TPP交渉参加の是非を巡って、最近よく「国民的議論が必要である」という言葉を耳にします。野田首相はその議論を経たとは言えないまま直前に参加に関わるテーブルにつくという決定を下してAPECの場で表明した。では一体「国民的議論」とは何なのか。ニュージーランドはどうだったのか。

 政治家が『国民的議論を』というのは責任転嫁、『先送りにせよ』という口実だとの声もあるなかで、海外の声も聞いてみようと思います。ニュージーランドは、2006年5月にシンガポール、ブルネイ、チリとともにTPPを立ち上げた国です。

 夜10時は、「地球アステク 鉄道大特集」です。「鉄道技術展2011 幕張メッセ」に私たちが潜入し、最新の鉄道関連技術を皆様にお伝えします。面白いですよ。

 エッセイも一つ公開されました。日経ECO 「プーチンが人気の理由」です。彼は国際的には「新しいツアー」など評判が悪い。しかしロシアに行くと、以前として大多数のロシア国民から支持されている。何故か、をまとめました。


2011年11月23日(水曜日)

 (23:35)火曜日の昼でした。いつもよりも番組と番組の間で使える時間が長かったので、買い物がてらに大阪の駅回りを歩いたのです。最初大丸に寄り、次に時空の広場を通って三越伊勢丹に行き、さらに阪急と阪神を回った。

 欲しかったのはランニング用のシューズでしたが、なかなか良いのがなくて結構見つけるのに難渋した。デパートではない石井スポーツ(二号線沿い)などにも行ったが、「そもそも置いてありません」と。

 結局見つけたのは阪神デパートのスポーツ用品売り場です。ここは品数が多くて助かったのですが、これだけ歩くと「どこのデパートや店に人が入っているのか」「逆にどこには客がいないか」が一目で分かる。一番ほぼ同時間帯で人が多かったのが阪神デパート、次に阪急。大丸が同じくらい。どう見ても三越伊勢丹は人が少なかった。

 阪神デパートが面白いのは、他のデパートに比べても商品の並べ方が雑然としていて、通路も狭い。これはそもそも建物が小さいために多くの物を収納しなければならない、という制約があるのかもしれないが、そうなっている。しかしお客さんは階数を問わずに多かった。

 一番商品の並べ方に余裕があるのは三越伊勢丹です。スペースを大きく取っている。並べ方も整然としていて、色調も揃っている。しかしなにせお客さんの数が少ない。色調が揃っていると言うよりも、ちょっと単調な印象もする。

 阪神デパートは地下の食品売り場が有名で、私も良く買い物や見回りに行ったりするのですが、あまり上に上がったことはなかった。多分ポイントを絞って売り場を構成しているんでしょうね。それが結構当たっている印象を受けた。

 デパートによって方針が違う。やはり三越伊勢丹に置いてある商品はちょっと高めが多い。そういう意味ではお客さんが少なくても良いのかもしれない。しかし、今の状態は周囲の他のデパートに比べても少し少なすぎる。ま、大阪のデパート戦争は始まったばかり。今後の展開が見物。


2011年11月22日(火曜日)

 (23:35)「ヨーロッパの危機」が止まることを知らない状況になってきている。今見たウォール・ストリート・ジャーナルには、「Big Selloff Hits Europe Bond Markets」(大きな売りが欧州の債券市場を襲う)という記事があって、スペインなどの長期債(10年債)が危険水域の7%近辺に再び上昇してきたのに加えて、短期債(3ヶ月債)の利回りが大幅に上昇したことを報じている。

 それによると、スペイン財務省は22日の国債入札で期間三ヶ月の債券での資金調達に対して、ユーロが導入されて以来最高の5.11%の利回りを支払ったという。これは先月同省が同じタームの短期国債入札で支払った利率の倍だという。この短期債利回りは、一週間前にギリシャが同じく三ヶ月債に支払った利率より高い。

 スペインは先に政権交代したばかりだ。しかし新政権の新しい政策が出る前に、マーケットはスペインの国債を長期、短期に関係なく激しく売っていて、スペイン政府はその分だけ資金調達に高い金利を支払わざるを得ない事態になっている。

 こんな高い金利を長く支払えるはずがないので、実質的には「スペインがマーケットから閉め出されるのは時間の問題」となる。そうなれば、例えば公務員の給与支払いの遅延・中止、公共事業の中止、役所の閉鎖などが現実的になる。それを避けるためには国際機関(例えばIMFなど)から借り入れる必要があるが、そんな国が続出したら、IMFも対処できなくなる。

 この記事には、国債の利回りが大幅に上昇している国の名前として、フランスやイタリア、ベルギーなども出ている。つまりドイツなど一部の国を除いて、ヨーロッパの国の国債は「よほどの金利を提示しなければマーケットからお金を調達できない状態になっている」ということだ。

 繰り返しになるが、ギリシャの国債を半分切り捨てたのは、投資家心理を非常に警戒的にしている。あれは失敗だったと思う。

 ところで日本の新聞サイトによれば、「来月1日に大規模スト ギリシャ新政権発足後で初」ということのようだ。記事の内容は

 深刻な財政危機に陥ったギリシャからの報道によると、同国最大の民間企業労組連合組織「ギリシャ労働総同盟」は22日、12月1日に24時間ストを実施すると発表した。パパデモス首相率いる大連立政権が今月11日に発足して以来、初の大規模ストとなる。

 最大の公務員労組連合組織「ギリシャ公務員連合」も同じ日にストを実施する可能性がある。

 世論調査では国民の半数以上が新首相への支持を表明しているが、前政権時代から続く財政再建のための緊縮策に対し、労組側は対決姿勢を崩していないことを明確にした。

 スペインでもギリシャでも、マーケットでそして国内政治で新政権は大きな危機に直面しつつある。昨日「政治の不能」という文章を書いたが、「調達の不能」という問題もヨーロッパでは現実化しつつある。


2011年11月21日(月曜日)

 (23:35)また世界的に株価が大きく落ちていますが、その原因の一つは経済的要因よりも、「政治の不能」という世界的な政治状況にある、と思う。

 ヨーロッパでは、既に二つの国から政治のトップの地位から政治家が消えた。ギリシャとイタリアであり、イタリアでは全閣僚が非政治家という徹底ぶりだ。国内からの「緊縮財政」反対の声も聞こえる中で、「国民の選挙での信任を得ていない内閣に何が出来るのか」の疑心暗鬼は強く残っている。

 スペインの総選挙の結果は「政治家→政治家」の政権のバトンだが、果たして政権の座に就いたこれまでの野党が緊縮財政で能力を発揮できるのかどうか不安視されている。私がヨーロッパでもっと深刻だと思うのは、一連の危機対応を巡るフランスとドイツの溝が深まっていて、危機の深化の中でもヨーロッパから「打開」への具体的な動きが見えてこないことだ。

 欧州への不安を残したままで、今週はアメリカの議会が水曜日を期限に進めている通称“スーパーコミティ”(Congress's special deficit-reduction committee)の行方が注目されるが、今現在アメリカから流れてくる見方は「失敗」に傾いているようだ。

 昨日見たウォール・ストリート・ジャーナル紙には、「Deficit Panel Sets Table for Failure」という記事があり、それとは別に「A Different Debt Problem May Burden Dollar」という記事もある。前者の記事の書き出しは

「Congress's special deficit-reduction committee teetered on the brink of collapse Sunday, nearing the end of an effort to break the back of the nation's burgeoning deficit before the 2012 election campaign kicks into high gear.

 Barring a last-minute breakthrough that neither party would predict Sunday, the committee is expected to announce Monday that it had failed to reach its goal of writing a bipartisan bill to cut $1.2 trillion from the nation's deficit over 10 years.

 That expected failure throws a new element of uncertainty into the nation's political and economic problems heading into a volatile election year. It likely will inflame a public already seething in anger at Congress, and raise questions about whether Washington is incapable of resolving the nation's problems in the absence of a financial or economic calamity.」

 アメリカでも「政治の不能」が欧州に負けず劣らず深刻であることを示している。アメリカについて言えば、「議会政治の不能」ぶりだが、これはオバマ政権の政策実行能力にかかわってくる。これは当然ドルにとって良い材料ではないから、「Contentious U.S. deficit negotiations may pressure the dollar this week, momentarily diverting attention from Europe's debt crisis」ということになる。

 それにしても、日曜日はBS朝日の「いま世界は」という番組の直前に、スペインの対GDP比債務比率を調べようとiPadで検索していたら、「債務残高の国際比較(対GDP比)」という財務省のページに当たって、そこにはスペインの数字はなかったが、改めて眺めていて

 「これはやはり世界中の先進国の債務比率が高すぎる」
 「よって、マーケットがここに弱みを、そして脆弱性を見つけているのは当然だ」

 と思いました。無論、債務の対GDP比率最大(212%)の日本の政治状況も「不能に近い」と言って過言ではないだろう。「景気対策」などの名目で、支出を歳入に比べて増やしすぎた。

 このテーブルに載っている国の中で、ちらりと見たところ債務を1995年に比べて対GDP比で減らしているのはカナダしかない。ドイツも100%に接近している。面白いのはイタリアはずっと前から債務の対GDP比が120%前後で変わっていないことだ。

 「相場には相場自身の力」があるから、一方的に下げ続けることはない。しかし今の市場を見ていると、「危機なのにリーダーシップがない」という「政治の不能」の問題が非常に大きくなってきている気がする。


2011年11月20日(日曜日)

 (23:35)久しぶりに、テレビのスポーツ中継で感動したな。優勝決定後のソフトバンクの秋山監督のインタビュー。

 アナウンサーの、「さあ、いよいよアジア制覇ですね....」とかいう決まり切った陳腐な質問を遮って、「その前に.....」で始まった3.11の震災と原発事故の被害者に対する言葉にです。「今年は3月11日に悲しい震災があり、被災者に勇気を与えようと12球団が一丸となった。第7戦まで選手たちが力を出し、勇気を与えられたと思う」と。

 アナウンサーの質問が悪いというわけではない。毎年アナウンサーはそれを日本シリーズ優勝インタビューの最後の方に聞いている。去年もそうだ。しかし正直、日本の我々には、日本一のプロ野球チームがアジア一になることは当たり前だと思っているし、実際にそれほど関心があるわけではない。だからどうでもいいのだ。

 そうではなく、秋山監督があの感動にまだ浸っている、心を揺さぶられている中、そして言葉が良く出てこない中で、震災に遭った、被害にあわれた方々に対する気持ちを忘れていなかったというのが素晴らしいと思うのです。

 秋山監督の、言葉もあまり出なかった気持ちはよく分かる。ずっとソフトバンクは日本シリーズに出る前に敗れていた。パリーグの日本シリーズ出場チームになれなかったのだ。リーグ制覇しても。去年もロッテに負けた。今年は首尾良く出てきたが、それでも日本シリーズに負ければ、ソフトバンクの「呪縛脱出」は中途半端で終わるところだった。

 このシリーズを考えて見ても、まだ地元で一勝もしていなかった。「見ていて、地元のチームは勝てないという気がする」という落合監督の第六戦の後の発言もあった。もしその通りだとしたら、中日が第七戦を制しても良かった。心理戦? 多分、秋山監督の頭の中はいろいろなことがごちゃごちゃになっていたと思う。

 そうした中で、インタビューの最中に出てきた秋山監督の震災に対する言葉。これは秋山監督がこのことをずっと頭の中に入れていたこと、忘れていなかったことを意味している。そこが素晴らしいと思うわけです。落合監督だったらどうしただろうか、と思う。MVPの小久保も震災の事に触れていた。素晴らしい。優勝チームに相応しい。

 中日もセリーグを制して出てきたのだから力はあると思う。しかしこのチームは、今シリーズを通じて、一試合で2点を取るのがやっとのチームだった。ソフトバンクに完封された試合が2試合もあった。2対1で3勝しただけ。確か7試合やって、合計で二桁の得点に達していない。最終的に中日のこのシリーズでのチーム打率は1割5分前後だろう。

 酷い貧打だ。このチームを勝者として送り出さざるを得なかったセリーグというリーグそのものが反省すべきだ。おまけにあるチームでは実にみっともない内紛を日本シリーズと相前後して起こしている。あんなリーグには関心が持てない。二年連続パリーグのチームが日本一になったのには理由があると思う。

 見ていてまだソフトバンクの方に「野球の可能性」を感じた。シリーズ全体が貧打でまるでサッカーを見ているようだった。だからこそ心理戦はあったが、「2点、3点、時には4点が一挙に入る」という野球らしい場面が、数えるほどしかなかったシリーズ。面白くなかったが、ソフトバンクの方に可能性を感じたし、選手のキャラも良かった。

 実はこの番組で午後9時までテレビ局に居たので、試合を見たのは7回の途中からだ。だからもう一度秋山監督のインタビューまでを見直してみたい。ソフトバンクには、心から「おめでとう」と言いたい。


2011年11月18日(金曜日)

 (23:35)ヨーロッパの今を伝える伊藤洋一のLive Europeの最終回として、ルフトハンザ ドイツ航空 日本・韓国地区空港総支配人のブルーノ・ボービンガーさんが登場する回がアップされました。

 今回の「Live Europe」では、これまで初回の千住真理子さん(バイオリニスト)から、田崎真也さん(ソムリエ)、村治佳織さん(ギタリスト)と来て前回はミッツ・マングローブさんでしたが、最終回はA380を一番良く知る人としてボービンガーさんにご登場願いました。

 凄い日本通の方でしたよ。何かのおりに、「日本では関西と関東ではエスカレーターでの動かない人の立ち位置が全く逆」という話になった。関東では左に立ち、関西では右に立つ。「日本はそれだけとっても多様だ」と彼。ま、ドイツも北と南では全く違いますけどね。

 今回は昨年成田国際空港に就航したルフトハンザ エアバスA380の魅力や、様々なヨーロッパの街の魅力などについてお話を伺いました。最初のお三方もそうですが、「ミッツさんの回は面白かった」といろいろな人にメールをもらいました。ははは、冷や汗をかきながら収録した回です。

 今回、他の回と合わせてお楽しみ下さい。


2011年11月18日(金曜日)

 (05:35)最初にイタリア国債が「危機的」と言われる7%の利回りを記録したとき、確か今月9日の海外市場でしたが、筆者は「世界中の投資家が考えていそうなこと」として、以下のように書きました。  

「ギリシャ! あの小さな国ならEUがなんとか助けられるだろう。ある程度利回りが高まったら買ってもいい。しかし、イタリアは違う。イタリアが危機になったら、EUも助けられないだろう。しかもギリシャの時は、保有債の半分は無価値になった。イタリアを救えても、自分が保有しているイタリア国債の価値は部分でも切り捨ての対象になるのでは.....」

 ”欧州国債売り”の波がギリシャ、イタリアのみならずスペイン、オーストリア、オランダ、それにフランスまでに及ぶのを見ながら、「投資家の懸念は、イタリアのみならず全欧州に広がりつつある」と思いました。

 そしてそれはまた世界に広がりつつある。連想は、「欧州の債務危機→それは欧州各国債券を持つ金融機関(銀行、ファンドなど)の資本金不足懸念→こうした機関の融資・投資姿勢の厳格化、そして時には投資・融資の回収→経済活動の世界的な萎縮→世界中にバラまかれば開発・投資資金の回収→外資依存の高い各国経済への打撃連想.....」と続く。

 「外資依存」というならば、インドもそうだし、韓国もそう。他にも一杯ある。そうした国々の通貨は値下がりしている。今安心そうに見えるのは、日本と、そしてアメリカ程度か。

 機敏に動く必要があるのは欧州(ドイツ、フランス、ECB、EU)です。欧州各国の国債利回りが7%をトライしているのは、欧州各国のこれまでのシステムと借金に対する投資家の不安が、ギリシャを切っ掛けに頂点に達していることを意味する。それを沈めなければならない。それはまず欧州の仕事です。しかも機敏に。

 オバマ大統領以下ガイトナー財務長官などが、「欧州は機敏に動かねばならない」と言っているのは正しい。欧州も分かっているのだが、一番頼りになるドイツは、「各国は財政の緊縮をすべきだ」としか言わない。あくまで原則論です。

 しかし欧州の今の現実は、「緊縮しなければ乗り切れない、しかし緊縮だけでは乗り切れない。」という状況。今までは南の国々の危機に対する処方箋として「緊縮策」というドイツの言い分に賛意を示していたオランダなどの国の中にも、「北風路線」への反発が強まっているという。そりゃそうだ、北風が自分たちの身に降りかかるかもしれないのだから。

 しかしではどうしたら良いのか。市場が納得する措置はなかなか見つからない。このところのアメリカの株式市場では、金融機関株が売り込まれている。それはそうで、アメリカの金融機関も、欧州の債券を持っていたり、欧州への貸し出しが巨額にある。資本が毀損する危険性があると言うことです。

 世界的な債務危機は、世界全体が取り組む必要がある問題になりつつある。しかし、中心になる機関はG7なのか、G8なのか、それともG20なのか。危機は一直線には進まない。だから、危機が緩んだ状態に見えるときはあるだろう。ただし、世界中の投資家の「国家の借金」に対する懸念は、直ぐに静まることはないかもしれない。

 一部商品が値上がりしているのは、世界のお金が行き場を探しているんでしょうね。しかし、本当に危機が進めば、お金が進む先はキャッシュです。


2011年11月17日(木曜日)

 (17:35)「どんだけ寒いんだろう」と思って行った水曜日の仙台、木曜日の長岡でしたが、全くの拍子抜け。空は青く、日差しはたっぷりあって、一言で言えばぬくかった。長岡の人が言うのです。「伊藤さん、今日だけ暖かいんですよ」と。本当は「寒さ」を楽しみにしていたんですが。

 それにしても、最近の日本はどこに行っても抜けるような青い空。日差しは暖かい。ま、徐々に寒くなるのでしょう。冬らしく。あまりにも晴れているので、朝の段階ではまだ月が鮮明に見える。朝見る月もなかなかです。

 ところで、番組のお知らせです。午後6時45分からの東京FM Timelineはニュース、その解説以外は、横浜ベイスターズの買収が成立したことで注目を集めることになったDeNA。モバゲーで知られるIT企業ですが、「なぜ好調なの」「なぜ伸びているの」を取り上げます。

 続いて午後10時からは、BSJAPANの地球アステクです。今日は、「人工知能で飛ぶヘリコプター」を特集します。千葉大学大学院工学研究科の野波健蔵教授に登場頂き、いわゆるロボットとはちょっと違う「機械に人工知能を持たせて自分の判断で動くように制御すること」、つまり完全自律するマシーンを紹介します。

 現在教授が開発に注力しているのは、六枚羽の自律型電動ヘリコプター。従来のガソリンヘリと異なり、思わず鳥が近づくほど(ほんとにそうでした。びっくり)静かに飛ぶ。GPSと姿勢センサーで常に水平を保ちながら定められた目的地へ自分で移動し、また戻ってくる。

 この自律型電動ヘリは、東日本大震災の被災地にも投入され成果を残している。今後は、トンネルやダムなど人間が簡単に確認できない場所での活躍が見込まれ、既に多くの企業からオファーが寄せられていると言う。この他にも、まるで巨大生物のように、障害物を乗り越えて移動する大型の六脚自律歩行マシーンも紹介する。

 機械の人工知能化によって私たちの生活はどう変化していくのか。私と蒼姉妹がその可能性に迫ります。


2011年11月15日(火曜日)

 (13:35)最近私が聞いた「いい話」二つほど。

 第一。金沢の旅館の女将との話です。その旅館はもともとは38室もある大きな、部屋数の多い宿だった。しかし金沢の駅の東口から駅回りを見ると分かるのですが、ものすごい数のホテルが建っている。大小合わせて。

 こんなにホテルが進出してきたのは10年ほど前のことだそうですが、そこで女将は考えたのだそうです。近江町の近くにあるこの旅館。「これは普通の旅館ではやっていけない。駅回りのホテルに客を取られてしまう。オンリーワンの旅館になろう」と。

 そこで何をしたかと言うと、「部屋数を一気に5つにした」というのです。38を5に。大英断ですよね。今でもその旅館は健在ですから、方針転換は成功したことになる。今では周囲の温泉旅館などから、「見せて下さい」と見学が絶えないとか。「大転換」はどの業界でも必要だし、皆考えながら走っているんですよね。

 第二。先日歯医者さんの会合に呼ばれて喋ったのです。商売は「売る方が歩く」が私の基本的な商売観なのですが、その話を歯医者さんに枝話としてしていたら、「実は私たちもそうなんですよ」と。

 聞くと、「最近は動けない人が増えた」「その一方で、歯医者の数は増えている」「よって私たちが患者さんのところに行ってみるケースが増えてきました」と。なるほどね。そうなんだ。

 実は私が子供の頃は、お医者さんとは「我が家に来てくれる存在」でした。何かとお医者さんが往診してくれていた。我が家に来てくれていたのです。それがなくなったのは、そうですね高度成長が始まってからでしょうか。

 小売業もそうなのですが、日本の人口大爆発の戦後に育った我々は誤解している。買い物をする人が来てくれると。しかしそうではない。商売の基本は、「売り方が歩く」です。歯医者さんも徐々に「往診」の時代に入っていると言うことです。これは面白かった。

 集まった歯医者さん達は、「クラウド」にもかなり強い関心を示した。つまり、レセプト(でしたっけ)のクラウド化と病院のグループ化です。例えば歯の写真などがクラウドにあると、国内でも海外でもどこの歯医者さんでもいちいちレントゲンを撮らなくても「ああ、ここですね」と治療箇所が分かる。

 まあ、歯医者さんの往診といい、クラウドの流れと良い考えてみれば”自然”ですが、やはり当事者に聞くと「そうなんだ」と思う。


2011年11月14日(月曜日)

 (19:35)久しぶりに日中「これ」といった仕事や用事がなかったので、目一杯雑用を済ませて今は新幹線で大阪に向かっています。移動だけの日はのんびり出来て良い。それにしても市長選も告示され、大阪はどうなっているのか。

 ところで、私としては非常に珍しい人とインタビューをしましたので、これまでの公開分の宣伝を含めて、ちょっと紹介させて下さい。なんと、私がインタビューした今回のお相手は、女装家のミッツ・マングローブさんです。ヨーロッパの今を伝える伊藤洋一のLive Europeの第四回に当たります。

 初回の千住真理子さん(バイオリニスト)から、田崎真也さん(ソムリエ)、村治佳織さん(ギタリスト)と今まで来た。「そうだよな」というメンバーでしょ。音楽家の二人はヨーロッパに行くと長い。田崎さんはお聞きしたら本当にヨーロッパに行ったり来たり。

 今回のミッツさんは、私は対談相手だと聞いたとき「?」でした。「ヨーロッパと何の関係が.....」と。皆さんもそうじゃありません。接点はないように見える。ところが彼を(?)を候補にリストアップしてくれたスタッフによれば、少年期にイギリスにおり(お父様がデパート勤務だったと)、ドイツにも結構行っていて「ヨーロッパとは縁が深い」と。

 「へえ、そうなんだ」と私。スタッフの方々は私がミッツさんとどういう話をするのか、どう話を展開するのかを楽しみにしている様子。私もまあ最初は積極的ではなかったが、そのうち「面白いかも」と思いました。だって、結構面白そうな、しかしあまり聞けない世界の話が出てくるかもしれない。

 実際にインタビューして、私としては非常に面白かった。脱線しそうになるのを戻したり、しかしまた脱線したり。しかし”脱線”とは何か、ということもありますよね。誰の人生も脱線だらけ。その中をどう生きるか。彼は彼なりに生きてきた。ははは。

 前三回もそうですが、このシリーズはPCでもそのまま聞けますし、スマホなどのポッドキャスト機能を使うことも出来ます。ミッツさんの回の以前の3回も、非常に面白く出来上がっていると思う。

 今思い出しても、千住さんのヴァイオリン、特にストラディバリウスとの出会いの衝撃とそれへの今も強い熱意(だって話していたら、お顔が熱を帯びてきていた)、田崎さんのワイン理論、ソムリエ世界一になるプロセスの話、そしてワインと料理との調和。村治さんのスペインの思い出、お茶目でかわいい人柄。面白かったですよ。是非お聞き下さい。

 うーん、so far ではミッツさんとのインタビューが少なくとも最初の方では一番緊張というか、警戒というか、しましたね。だって、何が飛び出てくるか分からないじゃないですか.....。


2011年11月14日(月曜日)

 (09:35)昨日ですかね。富士山麓の天空にとっ ても良いものを見つけたので、このコー ナーの読者の皆さんにもお裾分けで す。それは、天空の虹、空に浮かぶレインボー。

うっすらとわっこが
出来ている。10分もしたら消えました  普通虹って、地表にかかるじゃないですか。海でも陸でも。半円に満たないよ うな形で。地表に両足を付けて。しかし昨日はそれとは全く違った虹を 見つけ たのです。それは太陽を中心にして真っ昼間に我々の真上に見えた虹。言ってみ れば、それは「天空の虹」

 昨日は誘われるまたま富士レイクでゴルフだったのです。私のゴルフは全くの 遊びで、過去10年ほどスコアを付けたことがない。むしろ富士山の山 麓に来 ると気になるのは天候や気象現象です。富士はどすんと高い山なので、いろいろ な気象現象が見られる。常に変化する。

 午後1時ころですかね、上空を見たら太陽を中心にうっすらと虹が出ている。 残る3人とキャディーさんに、「虹、にじ」と教えたのですが、最初彼 等は信 じなかった。というか、太陽が目に入るので「まぶしい」という反応しか返って こなかった。

 しかし私が何回か言って彼らも頭を上に上げてやっと、「あるある。そうだ。 虹だ」ということになった。その時持っていた4Sで撮ったのが上の写 真です。 「4」よりやはり綺麗です。うっすらと”わっこ”を作っている。確か私は初めて です。

 本当にそうなるかどうかは別にして、何か得したような、良いことがあるよう な気がしました。フェースブックに直ぐに載せたら、いろいろレスポン スを頂 きました。ありがとうございました。

今年6月26日撮
影  富士山麓ではいろいろな気象現象を発見する。今年の6月26日には、右の写 真のように地元の人達が「笠雲」とか「吊し雲」とか呼んでいる非常に珍しい 雲を発見して写真に撮った。本当に珍しいのだそうです。とくとご覧を。どちら の気象現象も、直ぐに消える。一瞬です。虹は全員がティー ショットを終えた ら、消えていた。

 ところで、日本シリーズは二試合とも忙しくてテレビでの試合観戦は出来ず、 昨日の試合は帰りの渋滞した車の中でラジオで聞きました。前日とまっ たく同 じ「中日2―1ソフトバンク」という結果。

 2試合とも点の入り方(すべて1点ずつ)と仕上がりの点数に、「あらら、野球がサッカーのようになってしまった」と 思いました。試合としては緊迫感がある。しかし、1点刻みでしか点が入らな いのではサッカーと同じ。

 私などは野球では一度に2点、3点、時に一気に満塁ホームランで4点入るの を見たい口なので、二日連続の福岡ドームでの試合を「なんだかな」と思って しまった。名古屋ではもっと面白くして欲しい。

 それには、ソフトバンクの打線がもっと活発化する必要がある。このままで は、ソフトバンクにはまたまたのトラウマです。それは可哀想。


2011年11月12日(土曜日)

 (09:35)以前二回ほど来たときには、「有名な割には....」と思っていた兼六園ですが、今日は秋の雨上がりの朝陽の中で、実に綺麗でした。静かに佇んでおり、綺麗に手入れされていた。アップダウンもあり楽しめました。池も多い。

兼六園の雪吊り  近江町の宿から歩いて行って、金沢城を反時計回りに回ったのですが、石切場あり、その向こうには大きくて高い石垣があり。気持ちが良いのは、特に兼六園の中では「おはようございます」と行き交う人の間で挨拶が交わされていること。やはり古都ですね。

 実は「兼六園には、朝早いから入れないかな」と思って行ったのですが、「早朝出入りできる門がある」と書いてあった。それが蓮池門でした。守衛さんがいて、にこにこしている。みんなスッと入っているので、私も「おはようございます」と言って入った。しかし後で調べたら早朝にタダで入園出来るのは県民の方だけでした....すみません。昼は確か入園料を取られた。

 さすがに100万石の大藩だけあって、作りも綺麗で大きい。既に雪吊りが全部に施されていて、それが朝日に映えて綺麗でした。宿から全行程を何回かの写真を撮りながら歩いて、そうですね、小一時間ほど。

 歩きと言えば、地方都市に来ると何回に一回は「東京との違い」の話になる。地方の方々は口々に言うのです。「東京の人はよく歩く」と。東京に住んでいる人間には、それは言われなければ分からない。

 地方の人の方が歩こうと思えば歩けると思うのですが、「私たちはダメなんです。直ぐに車に乗ってしまう。東京って、駅の中でも大きいじゃないですか」と。うーん、そうかな。「東京では地下鉄の乗り換えでも凄く歩くじゃないですか....」と。うーん、大手町、それとも平河町ー赤坂見附?

 小松商工会議所の方が、「東京から帰ってくると腰が痛くなる....」と。ははは笑えました。地方の人はもっと歩きましょう............。

静かな、綺麗なお池でした  そういう意味では、金沢は歩いても肝心なところは簡単に到達できる街です。近江町の宿から昨日は駅の西口まで。小松空港へのバスの状況を見に行った。ついでにRI...とかいう商店街も。金沢の駅は、少なくとも東口は凄い。巨大な建築物のようです。「鼓門」と「もてなしドーム」がいかに素晴らしいか、今回実感しました。

 話がそれましたが、ゆっくり街歩きして近江町から駅まで歩いて30分もかからなかったな。金沢城、兼六園の散策も小一時間。ということは、金沢の中心は4〜5時間歩けば、しっかり見れることになる。

 近く東京からの北陸新幹線が3時間半で金沢に人を運ぶ。この町にはもっと人が来て欲しいな、と思います。それだけの価値がある。


2011年11月12日(土曜日)

 (01:35)どう考えてもおかしいですよ。形として、野田総理が「TPP交渉参加に向けて関係国との協議に入る」という最終的立場を決めたのは、午後8時の記者会見の直前だったということになっている。

 国民の代表の集まりである国会でその方針は示されず、国会議員の方々は総理の最終的な立場の表明と、その理由を聞いていない。国会議員の方々は、それについて質問も出来ていない。これは明らかに”国会軽視”です。国会は外交交渉の結果(条約など)を最終的に承認する場ですから、このスタンスは間違っている。

 あまりにも出発直前の記者会見だったので、記者の質問数も限られていた。記者ももっと聞きたいことがあったに違いない。これでは、国民に対しても「総理が立場をしっかりと説明した」ということにはならない。国民の代表にも、国民にもよく説明しなかった交渉入り。海外の連中はこのドタバタを見ているはずです。

 これまた不思議なのは、「参加への方向」が示されたのに、今まで「離党する」とまで言っていた方々が、まるで自分達の勝利のように今回の野田総理の記者会見を評価していることだ。本当にそうだろうか。また日本の農業を巡る、今後の日本の社会の目指すべき方向に関する議論は今回の騒動で深まったのだろうか。その議論はおいてきぼりだったような気がする。

本当に大きなダンプでした。南米の鉱山開発で、時に無人で使われているらしい  内需の伸びがこれまでほど今後期待できない中で、海外諸国との貿易で経済の維持拡大を図らなければならない日本には、海外諸国との貿易促進は必須条件です。日本はこの分野で大きな黒字をずっと出してきて、それが今のある程度の繁栄を担保してきた。

 日本を取り巻く各国が、また世界の諸国が「より自由な貿易」に乗り出そうとしていくとき、日本が基本的にその方向に乗らない手はない。日本の製品は優秀で、「数%の関税率の差は乗り切れる」という思いもある一方で、「価格の叩き合い」になっている商品に関しては、「数%の関税率の差」でも日本が不利になるのは問題だなと思う。

 だから、FTAでもEPAでもまたTPPでも、それを選択しながら世界の貿易自由化の流れには乗るべきです。そして一方では、農業など今まで日本がうまく産業として伸ばせなかった産業の問題がある。農業について言えば、担っている世代は60代の半ばと高齢化している。つまり、今盛り上がっている「TPPと農業」を巡る議論とは全く別に、「日本の農業をどうすべきか」「自給率をどう上げるか」の議論が必要です。

 日本の農産物の一部は海外への輸出が試みられているし、日本の農業者の中には「競争力を付けて海外に打って出たい」という人もいるが、今までの保護政策の下では農家が全体的に小規模化し、兼業化し、農地は虫食い状態になってきていた。日本の農業を巡る事態は、今でも深刻です。それを解消し、力強い日本の農業を育てるためにはどうしたら良いのか。今回、どちらの陣営からもその議論は聞かれなかった。

 本来はこんなに議論が分かれる問題ではないのに、まるで国論を二分するような問題にTPPがなってしまったのは、こうした基本的な問題に関する議論を今までしっかりしてこなかったツケだと思う。国全体がそうなのだ。こうした議論を前からしておけば、日本の将来にとってFTA、EPA、TPPどれがより合っていたのか、どういう手順で交渉を進めるべきなのか、日本はどの方向性を目指すべきかがもっと事前に分かったし、準備・選択が出来た筈だ。

 3.11とかいろいろあって、ここ数ヶ月の議論が伸びたのはしょうがないと思う。しかしその前にも議論は出来た筈だし、しなければならなかった。APECという国際会議の開催があるので、「それまでに決めないと」なんていう状況は、本末転倒でしょう。このドタバタ感に、「日本は大丈夫かな」と思ってしまう。

 まあ日本の政治はいつものドタバタでしたが、例えば写真のような日本が作り出しているモノを見ると、気がすっとする。でかいですよ。KOMATSUが作った世界最大級のダンプ。「こんなものも作れるんだ」と。JR小松駅から歩1分のところに飾ってあります。

 皆さんも是非一度見て下さい。小松商工会議所の方々に案内してもらいました。ありがとうございました。


2011年11月11日(金曜日)

 (05:35)二つの文章が公開されました。一つはロシア訪問記の続きで、「ロシアは先進国か途上国か」です。文章を読んで頂ければ良いのですが、ロシアは私の目から見て実に「不思議の国」でした。その印象記をしばらく続けます。環境にも触れながら。

 もう一本は、「相場自身が持つパワー」です。最近のイタリア問題もそうですが、マーケットにとってはマイナス材料が一杯。しかし、相場はそれらを材料にして大きく下げることもありますが、水準が切り替わったところで「織り込み」となって反発する。「相場には相場自身に力がある」というのが私の見方です。

 それにしても今私のコンピューターのデスクトップは東京の温度が13度であることを示している。寒くなりました。風邪にお気をつけを。今日は金沢にお伺いします。


2011年11月10日(木曜日)

 (08:35)イタリアの国債を巡る危機がギリシャのその時より(押したり引いたりした)足早に進み、既に昨日の海外市場で利回りが”危険水域”の7%を超えたのは、恐らく世界中の投資家がこう考えているからです。  

「ギリシャ! あの小さな国ならEUがなんとか助けられるだろう。ある程度利回りが高まったら買ってもいい。しかし、イタリアは違う。イタリアが危機になったら、EUも助けられないだろう。しかもギリシャの時は、保有債の半分は無価値になった。イタリアを救えても、自分が保有しているイタリア国債の価値は部分でも切り捨ての対象になるのでは.....」

 だから、今のイタリア国債の危機を救うためには、イタリア政府が財政の赤字削減策を果断に示すか、EUやIMFがギリシャの時よりも機敏に動かなければならない。しかし、イタリアの国政は、「ベルルスコーニは一ヶ月後に辞任」となているだけで、今後どう動くかまだ分からない。

 加えて、EUは財務相会議を開いているだけ。IMFは原資が足りない。うーん、イタリアはやはりギリシャの比ではなく重い。ギリシャが悪しき例になった面もある。


2011年11月10日(木曜日)

 (06:35)昨日は京都でロケだったのですが、大阪に毎週行き始めて以来ずっと、もう5年以上も御世話になっている先輩の入院が、ずっと気になる一日でした。早く良くなって欲しい。

 ロケは、3.11から半年以上が過ぎて、日本を代表する観光地である京都の現状がどうなっているのか、今後どう観光客を回復させていくつもりなのかを見させて頂くもの。ですから、本当にいろいろなところに行きました。

 3.11以前はお客さんのほぼ全てが外国の旅行者で埋まっていた小さなホテル(カプセルホテルやホステルなど)も二つほど取材させて頂いて、「今年の春は本当に外国からの環境客が減ったが、今は7割方戻っている」と聞いたり、いわゆる京都の「町家のツアー」に参加したり。

 外国の方の来店が多い回転寿司屋さん(夜は外国からのお客さんで埋まることも多い)にも行きましたし、5花街で唯一秋に踊りをやる祇園東の祇園をどりを初めて見させて頂きました。レポーターの田辺と。全く色気がなかった。

 数えたら「祇園をどり」は芸妓さん8人、舞妓さん6人の小ぶりの踊りでしたが、祗園甲部のそれ(都踊りだったかな)とはまた違った良さがあって、綺麗でした。その後に外国からの方が一杯いたので少しインタビューをしたのですが、皆素晴らしかったと言ったのは「色」でした。

 芸妓さん、舞妓さんの着物の色、舞台の色。そう言えば、ああいう鮮やかな色合いを使う海外の舞台はないな。あとは所作。外国の方にはあの「間」のある動きが珍しいんでしょうな。

 ところで、今日も朝からロケです。昨日の京都はアンカーのそれでしたが、今日はアステクのそれ。今日は幕張だったと思った。ところで、今日のアステク(BSジャパン 午後10時)は、「#32 「科学がわかる世界がかわる」です。

 今年開館10周年を迎える東京・日本科学未来館には、総製作費7億円余りの巨大な地球儀「ジオ・コスモス」があります。有機ELで覆われた球体には、地球に関する様々な観測データや、気温変化、海洋酸性化などのシミュレーション映像がまばゆいばかりに映し出される。

 さらに、国内外の科学者や研究機関から集めた地球観測データへ自由にアクセスできるインタラクティブボード「ジオ・スコープ」と、世界の国々や地域に関する様々な情報をもとに一人ひとりがオリジナルの世界地図を描くことができるオンラインサービス「ジオ・パレット」を融合させた「つながり」プロジェクトも面白かった。お楽しみに。


2011年11月09日(水曜日)

 (08:35)フェースブック・アカウントを既にお使いの方、これから使おうとしている方に、お知らせです。

 一つは新機能の活用による多くの方々からの友達申請への私のサイドからの対応・改善措置であり、もう一つは私も昨日気づいたフェースブック的機能の紹介です。

 私のフェースブックに対しては、毎日多くの方らか「友達申請」を受けています。しかし、それに全ては応えられない状況が出てきています。それは第一に、「friends」の数が2500を上回りつつあり、これ以上増加を放置できない状況になってきたことです。

 これは私がフェースブック開始当初、あまり存じ上げない方でも私の各種放送をご覧になったり、お聞きになっている方々などからの申請には無条件で応えてきた結果ですが、このままの増加はフェースブックの規定に抵触する可能性があります。

 そこで私は、ファンページというアクセスフリーのサイトを設けて多くの方がサイトを見られるようにさせて頂いていますが、このページが「day by day」の記事中心で、それ以外の写真(私が撮影した)、それに「”いいね”の海外紙誌の記事紹介」などがなかったことは確かです。フェースブックのサークルないの記事や写真を読んだり見たい方はやはり一杯いらっしゃるようです。

 そこで、最近フェースブックが開始した『フィード購読』機能を使える形にして、より多くの方にフェースブックの私の通常サイト(伊藤 洋一)を見れるようにしました。実は私自身もこの機能に気づいたのが最近なので、実際にどのような機能・閲覧が出来るのか分かりませんが、涙を飲んで「後で」としてきた方々のある程度要望に応えられるかもしれません。

 次に、私も昨日メッセージの下の「その他」という記事を読んでビックリして調べたのですが、本当に今まで見落としていたフェースブック・メッセージが入っていた。

 これは是非、フェースブックをお使いの全ての人に知っていて欲しい機能です。「ホーム」の左、写真の下にある「メッセージ」のクリック先の「その他」です。サイトはhttp://www.facebook.com/messages/other/です。今まで私にメッセージを送っていた方々には失礼しました。

 もう一つ。google+、linkedinなど新しいSNSについては既に入っているか、多くの方にお誘いを受けているのですが、今のところ「自分のサイト(http://www.ycaster.com/やhttp://arfaetha.jp/ycaster/)の維持」「twitter」「facebook」の継続に手一杯であり、手を付けられていない状況です。お誘いを受けた方々には申し訳ないのですが、しばらくお待ち下さい。これは私の場合、各SNSの機能を別個に使っていて”(書き込みなどの)共通化”をしていない為でもあります。今後もこの方針を続ける予定です。


2011年11月08日(火曜日)

 (08:35)しかしふっと考えたら、どえらいことですね。スマートフォンを含めてケイタイの方が、30インチや40インチの薄型テレビより高い。逆に言えば、テレビの方が安い。なぜ? それは詰め込まれた機能がケイタイの方が多いから? 参加型メディアで人々の欲しい欲求が強いから? ではテレビにはそういう機能は盛り込めないの?

 今や薄型テレビは1インチが1000円です。ということは、40インチの薄型テレビは4万円ということで、先日家電量販店に行ったらやはりその近辺だった。ついこの間まで1インチ10000円だった。つまり40万した。

 ケイタイは私の記憶では、値段が上がっている。直近のiphone はワンショットで支払おうとしたら64ギガで通話のコース次第だが7万円近くする。以前のケイタイはもっと気軽に買える機械だった。今は全く違う。なぜそうなのか。

 ケイタイがテレビに比べて圧倒的に優位なのは、間違いなく「携帯性」です。つまり持ち運びが可能ということ。綺麗だからと言って、40インチの薄型テレビを持ち運ぶ人はいない。小っちゃいスクリーンだが、今のケイタイはテレビ、テレビもどき(u-tubeなど)を見ることが出来る。私はiphoneでMLBを時々見る。

 次には「多機能」だと思う。ケイタイは考えたら、何にでもなる、テレビは既に書いたが、ラジオにも、PCにも、電話・テレビ電話にもGPSにも。カメラにもビデオにも。クラウドに繋げば、巨大なデータ倉庫も手元にあるようなものだ。その中に、一生書き続けても、一生撮り続けても満杯にならないファイルのストレージスペースがある。スキャナーにもなる。

 テレビには何があるか。綺麗な画面。しかし、CDが出来ても未だに雑音のするLPを聞いている人がいると同じように、最後は画面が綺麗かどうかは絶対条件ではない。それより中味だ、という人は多い。私もその口だ。

 機能が多ければ「石」、コモディティと呼ばれることを少なくとも暫くは回避できる。しかも今のケイタイは非常に拡張性が高い。APPが良い例だ。対してテレビには殆ど拡張性がない。ということは、大きな薄型テレビだがケイタイより安なるのは自然か ?

 多分自然だろう。必要な材料は薄型テレビの方が多いかもしれないが、それは誰が作っても同じ面がある。それが”コモディティ化”ということだ。多分ケイタイも機能が落ちてくればコモディティ化の波に飲み込まれる。

 任天堂のゲーム機の売れ行きが良くないのも、限定機能だからだろう。人はそのキャパからいくつものガジェットを持つことには限界がある。やはり一つの小さなマシンにいろいろ入っていた方が良い。

 最後はケイタイが「参加型」ということだ。ケイタイで何をしている時間が長いかと言えば、やはりSNSだ。その為に写真を撮ったり送ったり。何が起きているかを見るにはツイッターの「all friends」が適している。テレビではSNSはやりにくい。

 「携帯性」「多機能」そして「参加型」。ま、新製品を作るときにも、これからどういう人材になる必要があるのかを考える上でも、ちょっと参考になる。


2011年11月07日(月曜日)

 (23:35)夕方日経ヴェリタストークがあって、いつも通り大手町の日経本社の20階の日経CNBCスタジオで午後7時くらいから収録を行ったのですが、今日は大いに興味が持てる番組内容でした。それは、「投資の常識を疑え」

 この問題については、去年からずっと考えている問題で、特に5月6日(去年の連休直後)でしたっけ、「フラッシュ・クラッシュ」以来。この理由なき相場の大下落で世界の投資家は「今の市場には信頼を置けない」と思ったはずで、その時から「投資家はマーケットに信頼と興味を徐々に失うだろう」と私は思っていました。だってまだ原因が解明されていない。それに加えて、この週末に配達された日経ヴェリタスが取り上げてもいる「相場の連動性の著しい上昇」がある。

 それを如実に示したのが、一面のグラフでした。特にかつては連動性が全くなかった日本株と海外債券の相場連動性が著しく高まっている。その他は「1」が絶対連動だとすると高いものでは0.8にまで上昇している。つまり世界の各種投資対象の相場の波が連動して動き始めたと言うことです。

 これは私の日々の感覚と一致している。諸相場の連動性が高まったら、よく言われる「分散投資」などなんの意味もないことになります。少なくとも短期的には。気持ち的には「リスクを分散している」となるのでしょうが。今は分散になっていない。そういう世界になってしまった。

 こうしたマーケットになったのは、マーケットがコンピューター網に完全に、かつ素早く組み込まれたことにより真にボーダーレスになったこと、投資を行っている投資家、資産運用の運用担当者が全市場を日常的に見ながら、市場を決めているからです。

 だからどこかの市場がボコッとやられると、直ぐ他の市場で取り返し、”売り”を行おうとして、その結果衝撃波が伝搬する。それが連動性です。多分情報技術の高まりの中で、また世界に流動性が溢れているという現状から、この状態は今後も変わらないと思う。

 それは、多くの人が頭を悩ませている通りで、「従来の対象物では投資があまりうまくいかない時代の幕開け」を示していると思う。それもあって、株式市場の出来高が危機的に少ない。これは業界全体が今までのやり方を見直す必要を指し示していると思う。


2011年11月06日(日曜日)

 (06:35)全くの部外者ですよ。何の利害関係もない。しかし今年はソフトバンクがパリーグを制して「本当に良かったな」と思います。一番喜んでいるのは王さんではないでしょうか。むしろ秋山監督は安堵しているという感じ。

 だって何年ですか。リーグを制しても日本シリーズに出られないという状況が続いていた。何でもだらだらと続くのは良くない。どこかで断ち切らないと。その点今年は後半rising だった西武に一勝もさせずに勝ち抜いた。しかも最後の試合は延長の末サヨナラで。

 日本シリーズの相手方はまだ決まっていませんが、今年はこの勢いでソフトバンクに行って欲しい。うーん、見ていてもパリーグの試合の方がプロらしい。セリーグの試合は、交流戦をやればパリーグの投手陣の方が優れていることが分かるのですが、打撃もリーグとしてセリーグは湿っている。「なんだかな」という感じ。

 アメリカでも数年前にありました。ヤンキースに最後は負けて負けてワールドシリーズに出られなかったボストン・レッドソックスがついにヤンキースを破ってワールドシリーズに出て、そしてその年を制した。うーん、今年は相手チームに関係なく、ソフトバンクを応援しよう

 それにしてもギリシャが気になっている週末です。「読みがきかない世界」の代表のように、ギリシャの国会ではパパンドレウ首相が信任はされたものの、首相は交代し連立政権の樹立に道を開くために退陣すると。これも「?」。しかしその連立政権の目処は立たない.....と訳が分からん。

 ちっちゃな、しかも失敗した国にこれほど振り回させる世界。むろん世界では存在感のあるユーロ圏の問題だからこそここまで大きくなっているのですが、昨日だかにG20のHPを見て今回の声明をちらっと読んだのですが、なんも具体的なことは言っていない。

 そりゃそうだ。20もの国が集まって、そもそも最初から何か決められると思う方が間違っている。大部分はシェルパが造った文章を各国が「それでいいでしょう」と決めているだけ。G7の声明ほどにも読む気がしない。20もの国が集まるから文章や項目が長くなる傾向もある。

 ニュースでIMFがイタリアを監視とあるので、関連する部分を読み直したのですが、またPDFに検索をかけても出てこない。試しに財務相のこのページにも「イタリア」と入れて検索しても出てこない。一部の新聞には、「声明に明記」と書いてあるのに。

 まあ世界中のメディアが「イタリアは三ヶ月おきにIMFの監視を受ける」と書いてあるので、そうなんでしょう。そもそも長い時間をかけてため込んだ債務の話ですから、一朝一夕には解決しない。世界はずっとこの問題を引きずる。

 個人よりも企業よりも、世界中で政府がだらしないお財布運営をしていた。初めてマーケットから、「ダメだし」を宣告されている先進国が出ている、というのが今の現状。個人が債務に行き詰まれば「個人破産」なり厳しいパニッシュが待っている。企業は倒産です。

 では国には何を課せられるのか、というのが今の問題でしょう。アルゼンチンなどの例もある。うかつに一部の国の国債を「キャッシュに次いで安全なもの」として投資できない時代が来たと言うことです。


2011年11月04日(金曜日)

 (06:35)昨日はまた筑波での取材でしたが、取材先は高エネルギー加速器研究機構(KEK)。「なんじゃそれは」と思われるかもしれませんが、結構身近です。同機構に関わる最近の話題としては、「はやぶさ」が持ち帰った「いとかわ」の粒子が持ち込まれて解析が行われているのがこの機構の中のフォトン・ファクトリー。

加速器を取材する我々取材班 一番向こう側が私  しかし今回は”高エネルギー”関連に絞った取材で、このHPの中央にある写真の中では「SuperKEKB加速器」「フォトン・ファクトリー」などが取材の対象だった。電子、陽電子の加速器はテレビなどでは見ていましたが、今回地下11メートルで全長3キロにループ状に設置されたパイプ(輝く銅の色が鮮やかな箇所が目立つ そこを真空にして電子、陽電子を磁石でコントロールしながら走らせる)を見て、「この中を電子、陽電子が束になって走っているのか」と感慨に浸りました。(電子が-、陽電子が+)

 何のためにやっているのかというと、宇宙の始まりの謎に迫ること。具体的にはエネルギーが質量を生み出す瞬間に近づくことです。それを電子と陽電子を高速でぶつけることで生み出そうとしている。

 それは「エネルギーが質量を生み出す」という不思議の世界の話ですが、それはまた今の宇宙、太陽系の謎を解き明かすことに繋がる。言ってみれば、回り回って「なぜ我々はここにこうしているのか」の理由に迫ることです。

 「加速器」は今世界には、欧州のジュネーブに一つと、日本にここを含めて二つ(もう一つは東海村と聞きました)しかない。アメリカは今運用停止中だと。それだけでKEKの加速器は実に貴重なモノですが、その関連で例えば太陽の光を触媒(酸化チタンなど)を使って地上のエネルギーに転換していくプロセスを解析する実験も行われている。「結構現実の経済や生活に役立つ研究が行われているんだ」と思う内容でした。

 番組の最後になる部分で触れたのですが、宇宙の始まり(ということは”終わり”を予想することでもある)は神秘に満ちているし、それを解き明かそうとするプロセスは、哲学的・創造的思考に溢れていなければダメだ、と思いました。素粒子は見えないので、「理論→立証」と進む。そこで重要なのは実は創造力なんですね。その世界で、日本人は7個もノーベル賞を頂いている。ナイス。

 そう言えば、ノーベル賞の受賞者である小林誠さんはここの所長さんでしたが、益川さんとの共同受賞の切っ掛けとなった論文が展示されてあったので見せてもらったのです。そしたら6ページの短い英語の論文でした。しかもその英文を書いた小林さんは、そこに書き込まれたアイデア(クオークの個数に関するもの)を風呂から上がるときに気がついたというのです。不思議な、かつ結構身近な世界です。改めて「基礎研究は大事だ」と思いました。

 予想外の収穫もありました。それは、日本で初めてhtmlでインターネット(当時の規模は実に小さい)上にHPを作成した人がなんとなんと我々を機構の諸施設(トリスタンとか、日光とか筑波とか 笑えた)に案内してくれた森田洋平さん(高エネルギー加速器研究機構広報室長 准教授)だったことです。

 ここに日本で初めてhtmlを使って書かれたサイトのアーカイブがありますが、この各項目に渡っていけば全貌が分かります。その時に使われたhtmlが写真です。簡便で、今の複雑なhtmlとは違いますが、どこかに「日本初」ということもあって親しみがわくし、短いが故に力強さを感じる。

 森田さんが日本で初めてHPを作成したのが1992年。私がHP(http://www.ycaster.com/ 当時はhttp://www2.gol.com/users/ycaster/)を立ち上げたのは1996年の連休。そうだあの頃はウェブの爆発期だったんだ。そしてこの「day by day」を書き始めたのは1996年の7月17日です。懐かしい。私も今もhtmlで書いてます。しかし森田さんは、その約4年前にはHPを作成。

 森田さんは取材でいろいろと親切に教えてくれました。感謝。難しい問題(しかし楽しいですよ)ですから、分かりやすく説明してくれる人でないと、そもそも番組が硬くなってしまう。どんな質問にも、無茶ぶり(あんな、れいなの)にも対応していただけて感謝しています。この手の番組としては非常に分かりやすく、興味深い内容に出来上がると思いますから、ご期待下さい。


2011年11月03日(木曜日)

 (08:35)へえ、反対者(Charles L. Evans)が一人になったのか。それも、「もっと緩和せい」(who supported additional policy accommodation at this time)という方向で、というのがFOMC声明を読んだ最初に感じたことでした。

 前回(9月21、22)の反対者は Richard W. Fisher、 Narayana Kocherlakota、それに Charles I. Plosserで、彼らは「 who did not support additional policy accommodation at this time.」(現時点の追加緩和には反対)となっていた。随分図式が変わったものだ。ということは、この3人は「追加緩和に反対」を引っ込めたことになる。3人の敗北?

 とおもいきや、第一パラを読むと「 economic growth strengthened somewhat」「Business investment in equipment and software has continued to expand」など明るい面の指摘もある。前回より明るい。もっとも労働市場などは引き続き弱いだろうし....、何よりも「 significant downside risks to the economic outlook, including strains in global financial markets」だと声明は指摘する。

 ま、声明を読んでも「なぜ3人が改心したか」は不明です。だって状況は良くなっている。しかし3人は改心して体制派につき、一人は「もっと緩和せい」と言っている。ということは結果は明らかです。アメリカは「さらなる金融緩和に一歩近づいた」

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、バーナンキは声明発表後の記者会見で、「"We're prepared to do more, and we have the tools to do more," 」と述べたという。まあそうなんでしょう。しかし、FOMCの体勢がなぜ緩和に向いたのかは、ちょい不明です。

Release Date: November 2, 2011

For immediate release

Information received since the Federal Open Market Committee met in September indicates that economic growth strengthened somewhat in the third quarter, reflecting in part a reversal of the temporary factors that had weighed on growth earlier in the year. Nonetheless, recent indicators point to continuing weakness in overall labor market conditions, and the unemployment rate remains elevated. Household spending has increased at a somewhat faster pace in recent months. Business investment in equipment and software has continued to expand, but investment in nonresidential structures is still weak, and the housing sector remains depressed. Inflation appears to have moderated since earlier in the year as prices of energy and some commodities have declined from their peaks. Longer-term inflation expectations have remained stable.

Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee continues to expect a moderate pace of economic growth over coming quarters and consequently anticipates that the unemployment rate will decline only gradually toward levels that the Committee judges to be consistent with its dual mandate. Moreover, there are significant downside risks to the economic outlook, including strains in global financial markets. The Committee also anticipates that inflation will settle, over coming quarters, at levels at or below those consistent with the Committee's dual mandate as the effects of past energy and other commodity price increases dissipate further. However, the Committee will continue to pay close attention to the evolution of inflation and inflation expectations.

To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at levels consistent with the dual mandate, the Committee decided today to continue its program to extend the average maturity of its holdings of securities as announced in September. The Committee is maintaining its existing policies of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction. The Committee will regularly review the size and composition of its securities holdings and is prepared to adjust those holdings as appropriate.

The Committee also decided to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that economic conditions--including low rates of resource utilization and a subdued outlook for inflation over the medium run--are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate at least through mid-2013.

The Committee will continue to assess the economic outlook in light of incoming information and is prepared to employ its tools to promote a stronger economic recovery in a context of price stability.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Richard W. Fisher; Narayana Kocherlakota; Charles I. Plosser; Sarah Bloom Raskin; Daniel K. Tarullo; and Janet L. Yellen. Voting against the action was Charles L. Evans, who supported additional policy accommodation at this time.


2011年11月02日(水曜日)

 (23:35)3日は祝日・旗日なのですが、番組の都合上2日、3日と茨城県のつくば学園都市周りの取材が続くので、夜もその近くで過ごしています。綺麗な一日でしたが、筑波の夜はかなり冷えるらしい。私がいるのは平地よりまたかなり山の上なので。

きぼうの船内で。重かったですよ  それにしても、ついに重い重い宇宙服を着せられてしまいました。25キロ。実際に宇宙飛行士が着るのは120キロ程度らしいのですが、彼らは無重力、または微重力の世界で着ていますから。特に腰から上にいろいろな装置が付いていて重い。

 取材目的は、国際宇宙ステーション(ISS)の日本の実験棟「きぼう」です。テレビでも今まで見ていたのですが、実際に近くで見ると、大きい。「きぼう」の反対側に付いている欧州サイドの実験棟に比べても大きい。

 中も結構広い。壁には23のラックがあり、そのうち10のラックが各種実験に使われるという。巨大なアームを操る操縦ラックもありましたし、実際に目の前で各種の装置を見れるのはワクワクでした。番組でもふんだんに見ていただけると思います。

 普通の状況では入れない運用管制室、実験運用管制室などにも入れてもらって、「きぼう」で進められている各種のミッションに基づく実験の進め方なども見せて頂きました。宇宙飛行士の訓練施設も。詳しい点は、番組で見て頂いたり、このサイトで見て頂ければ良いのですが、いろいろ見ながら「将来日本の科学技術力アップに繋がるのではないか」と思いました。

 やっぱし重要なんですよ。科学技術に人材、資金をつぎ込むのは。将来の日本の食い扶持になる。対流に関わるマランゴニ実験とか、ブラックホールを探索する全天X線監視装置などが面白かったな。日本はこの分野では世界でも先を行っているという。

 ところで、今日収録分の放送はちょっと先ですが、「地球アステク」では、明日の木曜日にも「宇宙」に関する番組をお届けします。皆さん、「カンサット」ってしってます?

 BSジャパン午後10時からですが、「小型人工衛星が宇宙を変える」と題して、東京大学航空宇宙工学専攻の中須賀真一教授に登場願います。先生は、通常開発に数百億円かかる衛星を、秋葉原で購入した部品を使い数百万円で作ることに成功した。

 この人工衛星は現在、宇宙に飛び立ち、地球の写真を送り続けている。我々はそれを実際に見ました。中須賀教授はインターネットが情報革命を起こしたように、超小型人工衛星の分散化とネットワーク化で我々の生活環境を一変できると考えているわけです。

 それに先だってTIMELINE(東京FM 午後6時45分)は、「尾崎豊に共感しない若者たち」です。


2011年11月01日(火曜日)

 (14:35)あまりにも良い、というか”綺麗な”陽気に誘われて大阪城までの散歩をしましたが、のんびりして良かったな。

大阪城の菊と、そこからの城  常日頃、「まだまだ面では大阪を知らないな、いかんな」と思っているので、「天気が良いし、歩くか....」と。大阪城が地図上では比較的近いことは知っていた。のに歩いてない。で「今日は大阪城に挑戦」と思って、桜宮から同橋を渡り、片町を経て、京橋口から城の中に。

 人が少なかったですよ。でも幼稚園児が大挙して遊びに来ていたな。城の前に回ったら、菊の展示をやっていて、これが結構綺麗でした。「菊と城」。いいじゃないですか。そこから東天満に出て、あとは桜の川沿いに。

 結構毎週来ているのに、「点」のようにしか大阪を知らない。それは残念だと思うわけです。大阪を知らない証明のように、歩いていたら後ろから自転車で来たおっちゃんに「鶴橋はどういくねん」と聞かれて、「さあ」と。

 ははは、そんなもんです。私の大阪に関する知識は。「点から面にしたい」というのが、私の希望なのですが。


2011年11月01日(火曜日)

 (12:35)今日は年に3回しかない「3列びの日」(1月11日、2月22日、11月1日)の一日だなと思いながら、それとは全く関係なく「世界はなかなか難しいコースを通過しようとしている」と思いました。

 その第一は、先週サルコジ仏大統領やメルケル独首相などヨーロッパの首脳が行きつ戻りつしてやっとの思いで作り上げた包括策(主にギリシャ救済の まだ最終的に詰めが終わっていない)を、ギリシャのパパンドレウ首相が「国民投票にかける」と発表したこと。

 同首相は「国民が自らの道を選ぶ権利はある」「国民が自分達の事を決める。それが民主主義のルールだ」と述べていてそれはその通りなのだが、今の同包括案へのギリシャ国内反対論が強い段階での”国民投票”は同国自身、それを取り巻くヨーロッパの形や世界経済にとって非常に大きなリスク要因になる。

 ウォール・ストリート・ジャーナルは「Greek Prime Minister George Papandreou stunned Europe by announcing a referendum on his country's latest bailout?a high-stakes gamble that could undermine the international effort to preserve the euro. 」(ギリシャの首相がヨーロッパを驚愕させた)という書き出して、この国民投票(実施には国会の承認が必要 予定では来年1月実施の見通し)が、"yes"(包括案承認)になった場合と"no"(包括案拒否)になった場合について、以下のように書いている。

A "yes" vote in the referendum could deflate the massive street protests and strikes that threaten to paralyze Greece as it tries to enact a brutal austerity program to earn rescue loans from the euro zone and the International Monetary Fund.

A "no" vote, however, could bring down the government and cut off international funding for Greece, leaving the country facing a financial meltdown. The government expects to hold the referendum in January.

 しかしどちらの見方も甘いような気がする。なぜなら、ギリシャ国内で根強く反対運動をしている連中は、「国民投票の結果いかんにかかわらず反対」だと運動を続けるだろうし、”no”のケースにおいては「現政府崩壊」「ギリシャに対する国際支援の途絶」「ギリシャの金融メルトダウン」に加えて、「ギリシャのユーロ離脱」「ドラクマへの回帰」「ユーロシステム全体の見直し」などに発展する可能性があるからだ。

 パパンドレウ首相は、「私はギリシャ国民を信じている」と”yes”の投票結果を予想しているようだが、市場はそう見ていない。同首相が「国民投票実施」の発表をしたのはギリシャの月曜日夕刻の国会でだそうだが、その時点からユーロはドルに対して2.1%も急落。これはユーロの過去6ヶ月で最大幅の対ドル下落だという。

 ニューヨークのダウも下落(276ドル強)、東京も下げ。市場にとっては、「来年1月にギリシャの国民投票がある」ということ自体で不安定要因になる。確かギリシャはG20には入っていなかった。しかしギリシャを巡る情勢は、G20でも最大の議題になるでしょう。ギリシャという小国が世界全体を揺り動かす構図。

 パパンドレウ首相にとってのメリットは何か。彼自身が、もし”yes”なら「国民からより大きなマンデートが得られる」と述べている。その通りだが、仮に”no”だったら、政権は崩壊し、包括策は瓦解し、ヨーロッパはギリシャを見限り、そして世界の金融市場は混乱する。

 10月29日の日本の報道では、サルコジ大統領が地元テレビのインタビュー(27日)で、ギリシャにユーロ圏加入を認めたのは「誤りだった」と述べたと伝わっているが、もしかしたら今ヨーロッパの北の国々の政府と国民は、そろって「そうだな」と思っているかもしれない。

 同大統領はその際に、『ギリシャは2001年のユーロ圏入りに際し、「間違った(経済統計の)数字を使った。本当は(参加の)準備ができていなかった」と指摘。「決定時、メルケル独首相と私は共に職務についていなかった」』とちょっと余計なことを言っているが、もう後の祭り?

 あと一つ「世界はなかなか難しいコースを通過中」としてアメリカの政治のデッドロックを書こうと思ったのですが、長くなるのでまたの機会に。



ALL RIGHTS ARE RESERVED.Copyright(c)1996〜2016 伊藤 洋一