2012年04月30日(月曜日)

 (18:29)関西への移動のため新幹線の中ですが、すっごく混んでいますね。まだまだ連休は続くというのに、いったん前半と後半が分かれて、今日が前半の方の終わり、ということかもしれない。

 また後半は後半で人の出が多くなるのでしょうね。来週の月曜日も関西への移動日ですが、まあ通常より混むんでしょう。それにしても、「子供さん」が多い。「日本にこんなに子供がいたのか」と思う。良い事です。

 それにしても、今日が4月の最終日ですか。えらく忙しかった気がしたので、グーグル・カレンダーで見て見たら、まあロケの多いこと。30分番組ですから、収録には一本で約一日かかる。朝から夕方まで。それが8〜9本入っていた。そりゃ印象として忙しいわけだ。

 そうだ、それに加えて4月はギリシャに行きました。ほぼとんぼ返りでしたが、面白かったな。やはり現場を見ないと。5月はぐっと予定が空く。このところやれていないことと言えば、「映画」かな。

 出来れば一週間に一本くらい見たい人間なのですが、見れていない。いくつか理由があって、第1に「何があっても見よう」という映画がない。サッチャーは見るつもりですが、その他に良い映画があるのかどうか。あったら教えて下さい。

 おやおや、名古屋を過ぎてもうすぐ京都。京都を過ぎれば15分程度で新大阪です。


2012年04月29日(日曜日)

 (23:29)FTを読んでいたら「ドイツでスト....」と書いてあるので、「何の?」と思ったら、「賃上げ要求スト」でした。ドイツ最大の産業労働組合であるIGメタルの。

 景色が随分違う。同じEUの中でもギリシャやスペインでは緊縮財政反対のスト・デモ。失業率がスペインの場合では、大人でも「4人に一人」の割合になっている。若年層では、ギリシャやスペインが50%を超える。

 対して、ドイツの失業率は1990年のドイツ統一に向けた動き以来の低い水準。かなりの数のドイツ企業は空前の好景気に沸いている。としたら、労働組合が「賃上げ」を要求したくなるのは当然です。要求水準は6.5%らしい。

 はっきり言って、ギリシャ、スペイン、ポルトガル、イタリアなどの諸国では国民の生活レベルは落ちていると思う。賃金が上がらないのに税金が増えていて、失業している人も多いからだ。ヨーロッパの南で進む「生活水準の低下」という問題。

 対してドイツで高まる「労働賃金の引き上げ要求」。低インフレ下で賃金が上昇すれば労働者の実質的手取りが増えて、生活水準は上がる。何というコントラストか。IGメタルの要求にどう応えるかに関しては、ヨーロッパ中が注目することになるでしょう。むろん、生活レベルが上がることは悪いことではない。問題はコントラストだ。

 賃上げが通れば、ドイツで高まるのはインフレ圧力です。今のECBは最大限の金融緩和をしている。しかし加盟国の中で一番大きな経済を誇るドイツでインフレ圧力が高まれば金融緩和政策持続の大きな障害となる。難しいですね、ECBの舵取りは。

 本を一冊紹介します。「震災復興 欺瞞の構図」(新潮新書 原田 泰著)です。ある意味、「痛快な」本です。歯切れも良い。政府が言う「復興にかかる費用」がどう見ても過大であり、「過大な要求」が登場するのはそれを欲する仕組みがあるからだ、とこの本は喝破する。

 そうですよね。検証せずに「これは復興に必要だから」と納得してしまわずに、「何に使われるのか」「お金のより効果的な使い方は何か」はしっかりと検証すべきです。この本は、「最も安上がりで効果的な復興策」も提唱する。そういう意味では、あまり厚くない本ですが、中味がある。


2012年04月27日(金曜日)

 (23:29)日銀の金融政策発表とその後の市場の動きを見ながら、「発表が回数を重ねる毎にマーケットに対するインパクトを失った(日本の)財政政策の轍を踏む危険性が高まっている」と感じました。

 日銀は27日開いた金融政策決定会合でデフレ脱却の早期実現に向け、追加金融緩和を決めた。中味は、長期国債の買い入れを10兆円程度増額する一方、固定金利オペは5兆円程度減らし、資産買い入れ基金の規模を5兆円増の70兆円程度とすること。

 加えて、基金で購入する国債の範囲を拡大し、満期までの残存期間を現状の「1年以上2年以下」から「1年以上3年以下」に延長した。基金増額を完了する時期はこれまでの今年末から来年6月末に延期する。

 この発表に対する市場の反応は、「株は日経平均で一番高いところで130円高、ドル・円はドルが一番強くなったところで81円46銭前後」というものだ。しかしその後は発表文にあった「デフレ脱却への決意の欠如」を感じさせる表現もあり、徐々に円高になり、株はそれを嫌気して引けはマイナス40円。ドル・円は80円台の半ば。

 金融政策が「マーケットの反応」だけを狙いにするものではないことは確かだし、日銀の緩和は予想されたことなので織り込み済みだった面があることも確かだ。しかし、市場の反応の鈍さ弱さは、「政策そのものの価値」を低い評価に甘んじさせるものだ。やはり経済政策や中央銀行の政策は、マーケットを狙いの方向にある程度持続的に導く物でなければならないと考える。

 日本はバブルと呼ばれる熱狂的な高い経済活動が腰折れした後の景気後退局面で、何回も真水で何兆という経済政策を打った。その時特徴的だったのは、回を重ねる毎に株式市場の歓迎ぶりが落ちたことだ。そしてそれは行き着くところの「財政政策の有効性の欠如」となった。

 日銀の相次ぐ緩和に対する市場の反応も、私の印象では回を重ねる毎に低下している。今回の措置に対しては、株価は下げで終わった。これは「展望レポート」で来年の消費者物価上昇率が0.7%にしかならないことを明らかにしている日銀にとって、厳しい宣告と言える。市場の好感度が伴わない政策変更が続けば、日銀の政策プレーヤーとしての価値も下がってしまう。

 今週は日銀もFOMCも金融政策決定会合を開いたが、そのうちバーナンキは25日の記者会見で、「米国は素早い政策対応をした結果、バブル崩壊後の日本のような長期の経済停滞は回避できる」との言葉を残した。

 バーナンキは「日本のバブルのほうが大きかったし、その崩壊の衝撃も(米国より)大きかった」と日本の困難さに理解を示しつつも「我々はデフレ回避のために積極的かつ予防的に動いた」とFRBの対応を自賛。金融システム対応でも、「米国は公的資金を使った銀行の資本増強に素早く動いた」と指摘した。

 ま、誰が何を言おうと結構だが、日本の政策当局の政策の有効性が高く評価されていないことだけは確かなようだ。それは悲しい。その当のバーナンキも、(米経済の先行きに)強気になったり弱気になったり。踊った後の経済をどう舵取りするかは難しい。


2012年04月26日(木曜日)

 (18:29)「セシウム」とか「ストロンチウム」とか聞くと、ドキドキしますよね.....。でも、”放射性”でなければ大丈夫。国立天文台で「時」を取材したら、この二つの名前が頻繁に登場しました。より正確な時間を計るための存在として。

 原発事故で嫌と言うほど聞きましたが、繰り返すと同じ名前でも放射性ではない「セシウム」と「ストロンチウム」です。役立っています。より時間を正確に計測するために。

 セシウムを使う原子時(従来の天文時に対して)は今我々が使っているものです。電波時計はその信号を直接受けている。

ストロンチウム光格子時計の枢要部分セシウム原子時計の次の世代を担い、日本が世界の先頭を走っているのが「ストロンチウム光格子時計」です。写真はその一部ですが、目標は「6500万年で1秒狂うだけの時間計測」と。

 「それって、恐竜が滅びたとされる頃の昔だな」と私は思いました。今の一般的な時計は一ヶ月で20秒は狂うそうですが、なんと気が遠くなるような正確な時計が計画されているのか。驚きました。

 しかし話はそこでは終わらない。なぜなら、地球はふらふらした存在で軸がずれたりする。とすると、原子や光格子で計った正確な時間との間にずれが生ずる。そのずれを補正しなければならない。お日さまは地球の自転次第。原子や光格子で計っても、それに合わせる必要がある。それが今年の7月1日に世界的に組み入れられる「うるう秒」だそうです。

 放送はうるう秒が入る直前の6月23日。BSジャパン(7)の夜10時から。「地味だ」と思ったが、結構面白かった。時間は「作り、配るもの」と。奥が深かったので、是非番組を見て頂きたいと思います。

 ところで、今週の「地球アステク」は、「先端技術で海の安全を守る!」です。取材対象は、船舶や海洋構造物など、海に関するあらゆる技術開発や研究を行なっている海上技術安全研究所です。

 実はこの研究所、東京都三鷹市という海から離れた場所に立地しているが、海に関する先端技術の宝庫。まず訪れたのが実海域再現水槽。巨大プールの内壁には、382枚の金属板がずらりと並んでおり、板を動かすことで自在に波を起こすと云う。

 波が周囲から中央に向かい、重ね合わさって出来る模様に驚愕する。なんとそこには「アステク」との波形というか光が一瞬。これは凄い。どのような技術で水を自由に操ることができるのか? そしてこの水槽で船舶の安全をいかに守っているのか?をお楽しみに。今夜10時からBSジャパンです。


2012年04月26日(木曜日)

 (05:29)二日間にわたって行われていたFOMC(米の金融政策意思決定機関)は、米景気の先行きに関して以下に示す3点において警戒感を強めていることを表明しながらも、予想通り「現行政策維持」を決めて閉幕。ただし声明発表後の記者会見でバーナンキ議長は、「we remain entirely prepared to take additional balancing actions if necessary to achieve our objectives」と述べ、「場合によっては」さらなる量的緩和措置を打ち出すと示唆。

 FOMCが前回声明より景気認識を後退させ、米経済へのリスクの増大を見込んでいることが示されているポイントは、以下の三つです。

 第1に、3月に「 The Committee expects moderate economic growth over coming quarters 」と表現していた景気の先行きに対する認識を、「the Committee expects economic growth to remain moderate over coming quarters and then to pick up gradually」とした。両方とも「moderate」の単語を使っているが、remain のあとの「moderate」の方が弱い印象がするし、文章の構成を見ても「その後景気は徐々にピックアップする」としている書き方からして、前回の景気認識より今回の方が弱い。統計もそうだ。

 第2に、失業率に関する記述から「notably」が消えた。前回は、「Labor market conditions have improved further; the unemployment rate has declined notably in recent months but remains elevated」となっていた。今回は「顕著に」が消えて「 Labor market conditions have improved in recent months; the unemployment rate has declined but remains elevated」となっている。今月初めに発表された米3月の雇用統計の非農業部門就業者数の弱い伸び(12万)を見たら、「notably」を削除したのは当然だ。

 第3に、世界の金融市場に対する懸念を前回は「Strains in global financial markets have eased, though they continue to pose significant downside risks to the economic outlook」と「ease」という単語を使っていたが、今回は楽観的な見方を消して、「Strains in global financial markets continue to pose significant downside risks to the economic outlook」と述べている。それはフランスの大統領選挙第一回投票の結果やオランダ政権の崩壊を受けたヨーロッパでの市場の緊張の高まりを見れば、欧州の金融情勢不安は高まっているわけだから、当然と言える。

 この三つを見れば、FRBが米景気の先行きに前回の声明より「警戒的」になっていることは明らかだが、不思議なことに朝日新聞のネットの記事には「米、金融緩和策を維持 FOMC、景気認識を上方修正」と書いてある。何を見ているのやら。

 「少なくとも2014年の末まで超金融緩和を続ける」(are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate at least through late 2014)とのFOMC多数派の意見に引き続き異論を唱えているのは、Jeffrey M. Lackerで、その説明としては「 who does not anticipate that economic conditions are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate through late 2014.」とある。これは前回と同じ表現だ。今回の声明の全文は以下の通り。

Release Date: April 25, 2012

For immediate release

Information received since the Federal Open Market Committee met in March suggests that the economy has been expanding moderately. Labor market conditions have improved in recent months; the unemployment rate has declined but remains elevated. Household spending and business fixed investment have continued to advance. Despite some signs of improvement, the housing sector remains depressed. Inflation has picked up somewhat, mainly reflecting higher prices of crude oil and gasoline. However, longer-term inflation expectations have remained stable.

Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee expects economic growth to remain moderate over coming quarters and then to pick up gradually. Consequently, the Committee anticipates that the unemployment rate will decline gradually toward levels that it judges to be consistent with its dual mandate. Strains in global financial markets continue to pose significant downside risks to the economic outlook. The increase in oil and gasoline prices earlier this year is expected to affect inflation only temporarily, and the Committee anticipates that subsequently inflation will run at or below the rate that it judges most consistent with its dual mandate.

To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee expects to maintain a highly accommodative stance for monetary policy. In particular, the Committee decided today to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that economic conditions--including low rates of resource utilization and a subdued outlook for inflation over the medium run--are likely to warrant exceptionally low levels for the federal funds rate at least through late 2014.

The Committee also decided to continue its program to extend the average maturity of its holdings of securities as announced in September. The Committee is maintaining its existing policies of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction. The Committee will regularly review the size and composition of its securities holdings and is prepared to adjust those holdings as appropriate to promote a stronger economic recovery in a context of price stability.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Dennis P. Lockhart; Sandra Pianalto; Sarah Bloom Raskin; Daniel K. Tarullo; John C. Williams; and Janet L. Yellen. Voting against the action was Jeffrey M. Lacker, who does not anticipate that economic conditions are likely to warrant exceptionally low levels of the federal funds rate through late 2014.



2012年04月25日(水曜日)

 (06:29)古くからのお食事仲間と大阪の南の一角で食事をしていたら、そこのご主人が面白いことを仰る。それは、「関西と関東の水の違い」。

 あまり考えたこともなかった話題なので、面白かった。ご主人によると、「関西の水は柔らかく、関東の水は硬い」のだそうです。総じて。その影響が決定的に出るのは、「お出しの出方」。

 かつおにしろこんぶにしろ、水が柔らかいために関西では「柔らかい良いお出し」が作れるのだそうです。しかし水が硬い関東(お江戸を含めて)では、「そうはいかない」とそのご主人。

ほとんど入れない蕎麦屋 京都の「蕎麦工房 膳」  そう言われるとそういう気がする。汁物にしろ、野菜にしろ、水を使って料理したものは関西の方が柔らかいと思う。「気がする」というだけで、証明せいと言われても無理ですが。

 しかし関西でもまた水の良いところと、そうでもないところが分かれるのだそうです。その料理屋さんは、だから関西の北の方の一角の井戸から出る水をずっと料理に使っている、と仰る。そうかもですね。料理にとって「水は命」ですから。

 食べ物の話のついでに、京都で非常に変わった蕎麦屋さんに遭遇しましたので、ちょっと記しておきます。しかしほぼ確実なことは、「殆どの方が行けない」だろうということ。

 店の名前を「蕎麦工房 膳」と言います。京都府伏見区久我東町の狭い道を入ったところにある。営業時間は午前11時半から15時。つまり午後の3時間でしかやっていない。夜は営業しない。かつ名刺にはっきりと、「但し、売り切れ次第閉店とさせて頂きます」と書いてある。定休日は火、水、木。

 私たちが行ったのは月曜日の昼。関西テレビの方々と、某企業の研究所の開所式に関連した一連の取材に行ったのですが、昼飯どころとして4つほど候補が出ていて、その中から私が「蕎麦」を選んだのです。前の日の食事やその日の夜の食事を考えて、「蕎麦がいいな」と思ったので。

 その「蕎麦」の店としてスタッフが選んでいてくれたのが、この「膳」でした。「主人が好きなことをすると言って始めたのがこの店です」と女将さん。だって我々が入ったのが11時半過ぎ。しかし12時過ぎにもう「本日のそばは売り切れました」の看板がお店の前に出ていましたから。開いたとしても、一日の営業時間はごく短い。

 お酒もメニューにあるのですが、平日の昼間からそう飲む人もいないでしょう。かつ、蕎麦のメニューも3品くらいしかない。かつ、一日20〜30食出たら終わり、という。

 美味しかったですよ。面白くもあった。ま、「好きなこと」を脱サラして。「こういうやり方も確かにあるな」と思いました。夜は好きな鉄器製造をやっておられるようです。店内に作品が並べられていた。盛岡にいるような気分でした。


2012年04月23日(月曜日)

 (23:29)遅くに帰ってきてウォール・ストリート・ジャーナルを読んだら、最初の方に「Dutch Government Close to Collapse」(オランダ政府、崩壊の瀬戸際)と。オランダのことは全く知らなかったので、ある意味ビックリ。記事は次のようになっている。

 AMSTERDAM―The Dutch government was close to collapse Monday, with the prime minister widely expected to resign after top-level talks on an austerity package failed over the weekend.

Prime Minister Mark Rutte was undertaking his weekly visit to the country's Queen on lunchtime Monday as speculation swirled that he would tender his resignation to her. His office said an official statement would be made once the visit was over and Mr. Rutte would also make a statement to the Dutch parliament Tuesday.

Talks over measures to slash the government's budget deficit collapsed over the weekend after seven weeks of negotiations, raising questions about the future commitment of one of the euro zone's foremost proponents of fiscal stringency to a German-led austerity agenda.

 その理由は、やはり「an austerity package」(緊縮策)。まだそうなると決まったわけではない。現在進行形の記事です。しかし「政府の財政赤字を削減する措置に関する話し合いの崩壊」が原因とこの記事には書いてある。

 ところで22日に行われたフランスの総選挙で一番今後の問題となりうるのは、上位に残ったオランド、サルコジ両候補の得票率の低さだ。国民の現状への不満の強さが顕著になった。

 目立つのは決戦投票に残れなかった候補の高い得票率の高さだ。仏有力テレビ「フランス2」の出口調査に基づく集計では、オランド氏の得票率は28.40%、サルコジ氏は25.50%だったのに対して、右翼・国民戦線のマリーヌ・ルペン氏が20%、左翼戦線のジャンリュック・メランション氏が11.70%とあわせて3割を超えた。

 右翼のルペン候補の得票率は、決戦投票の残った二人の得票率に迫る。既存政党の二人の候補に対する国民の支持が弱いことを示している。これは新しくできるフランスの新政権の足下の弱さを意味する。

 ギリシャでの緊縮策の国民の不満の強さは取り上げた。オランダの政府が崩壊し、フランスの次の政府もどうなるか分からないとなれば、市場がこれに不安感を抱くのは当然だろう。欧州の政治は、ややこしくなる一方だ。


2012年04月22日(日曜日)

 (19:29)新幹線の中ですが、名古屋の前から酷い雨です。明日も雨でしょうか。京都で取材があるのですが。

 ところで、今日からフランスの大統領選挙。「午前8時投票開始」ですから、もう始まっている。サルコジ大統領は懸命の巻き返しに出ているようですが、依然として社会党のオランド候補の方が第一回投票でも、決選投票ではもっと明確に優位に立っているようです。今読んでいるFTには

  With the lowest end-of-term ratings of any president since the 1950s, pollsters predict Mr Sarkozy will succumb to the same fate as the Italian, Greek, Spanish, Portuguese and Irish leaders who have been swept from office since the start of the eurozone crisis.
 と書いてある。まだ28%のフランス国民が「これから投票に関して決める」と言っても、やはり現職にとって今の経済情勢はあまりにも厳しい。

 ギリシャには先日行ってきましたが、これも混沌です。何せ国民全員が怒っている状況。既存の政党に対する拒否感は強く、極左、極右を含めて新しい政治を望む声は強い。しかしそれが小党の乱立をもたらすかも知れない。

 可能性のあるのは「ハング・パーラメント」(hung parliament)です。今の日本のように「何事も決められない議会」に、よって政府になる危険性がある。ギリシャの総選挙は5月6日に決まっている。フンランスの決選投票は、そのギリシャの総選挙と同じ5月6日。

 これは以前から言われていたことですが、今年は本当に「選挙」の多い年です。韓国も大統領選挙があるし、アメリカでも大統領選挙がある。終わったのはロシアの選挙。それぞれ不確定要素が強い。最近の市場が第1四半期の上げ基調から「方向感を探す気配」になったのは、世界の政治の先行き不透明が一つの背景だと思う。

 ま、当面は世界の経済を見る上でも5月6日が注目でしょうかね。ギリシャは今までのIMFやEU、それに世界の債権者達との約束を守る政策を続けるのか、フンラスとドイツの蜜月は今後も続くのか。ともに「そうではない」と結論が出たときの影響は大きい。


2012年04月20日(金曜日)

 (23:29)久しぶりにMLBのスタンディングを見ていて、「ダルのいるレンジャーズは飛び抜けて強いチームだな」と思い、「彼がワールド・シリーズで投げるのも十二分の可能性がある」と思いました。

 見て下さいよ、この順位表。むろんまだ始まったばかり。プレーオフの勝ち抜きもかなりの試練です。強いチームにも。しかし、現時点で「11勝2敗」というのは、ダントツの成績。これに続くのはナショナル・リーグのドジャース(10勝3敗)だけです。

 ダルビッシュが最初に投げたときに前半だけで5点取られたのは良く報じられていますが、その時見ていて思ったのは、「これは尋常なチームではない」ということです。とにかく打撃陣が凄い。結局打線がひっくり返してくれて、ダルは勝ち投手ですからね。

 このチームが凄いのは、ロードで全く負けていないこと。ホームで2敗している。これに対してドジャースはホームでの6勝0敗が全体成績の良さに反映している。どちらが強いかと言えば、明らかにロードでの好成績の方が素晴らしい。いろいろな意味でタフだということです。チームとして。

 今年はヤンキースの黒田もワールド・シリーズに進めるチャンスは結構あると思う。しかし、黒田自身が今年はどの程度出来るのか不明な点がある。前回の登板も酷かった。あと松坂はチームが今年は出足から悪い。地区最下位です。バレンタインどうした。

 あのタイガースに対して、7回途中まで投げてヒット2本というのは素晴らしいでしょう。降板もセカンドのエラーがらみ。彼は順調に力を出せば、あのチームでは相当勝てると思う。18勝くらい?

 ところで、松井君はどこで何をしているのやら。ニューヨークのアパートにいるのかな。寂しい。「野球が出来ればいい」とか言って、変な契約して欲しくない。


2012年04月19日(木曜日)

 (23:29)ロケが二日間続いて、昨日は昭和電工の川崎事業所を、今日は消防庁消防大学校の消防研究センターで消防技術を取材しましたが、面白かったですよ。どちらも「地球アステク」の取材ですが、これまであまり扱ってこなかった分野。共通点がありました。ともにヘルメット姿で大部分の取材をしたこと。

地上60メートルのプラントの上で  首都高の横羽線を走ってもそうですし、千葉方面の高速を走ってもそうですが、プラントやコンビナートが続くところがある。まあその複雑なこと。ずっと「こんなん設計した人は偉いな」と思っていたし、内部はどうなっているのだろうと思っていたのですが、それがある程度分かったのが前者の取材。

 中で働いている人は、あの一本一本の配管がどう繋がっているのか全部分かっているそうな。素晴らしいことです。かつ我々が使ったプラスチック(の容器や袋など)が再生されて水素になり、それがアンモニアになっていろいろなもの(調味料から各種製品まで)に再生されている。その仕組みを見学出来たのは良かったと思いました。

 今日の消防研究センター取材は、3.11で示された火災の威力が記憶に鮮明だっただけに、今段階の消火の技術、研究の方向が見られて良かったと思いました。センターの山田さんは熱心に説明して下さった。

 思ったのは、次々に世の中に出てくる新エネルギー、新素材に対して「事前の調査」をしておかねば、消防の役割が果たせないし、消防士の命も守れないことが分かったことです。

 「大きなものでは、地下鉄の車両も燃やしました」という大型火災実験装置も見せて頂きましたが、それは韓国での地下鉄事故を受けて、「日本の車両は大丈夫か」ということで実際に燃やして有毒ガスが出ないか、などを実験したとのこと。大丈夫だった、と。

 大事です。我々は気仙沼の火災で、「温度さえ持てば何でも燃える」ということが分かっている。燃えたときにどうなるか、は非常に重要な問題です。

 共に番組は5月の放送。24日に「昭和電工川崎事業所」が、31日に「消防庁消防大学校の消防研究センター」が放送される予定です。BSジャパン木曜午後10時。

 ところで、今週のニュースを整理していてやはり「米格付け会社のムーディーズ・インベスターズ・サービスがフィンランドの携帯電話会社であるノキアの債務格付けを投機的水準(ジャンク)の一歩手前まで引き下げると発表した」というニュースには、「そんなに事態は進んでいたのか」と思いました。

 確かにショップに行ってもノキアのマシンはほとんど見なくなった。「スマホ戦略に失敗」とは聞いていたが、「投機的水準の一歩手前」とは。同社は、ノキアの長期債務格付けを「Baa2(トリプルBに相当)」から「Baa3(トリプルBマイナスに相当)」に1段階引き下げた上に、見通しを「ネガティブ(弱含み)」とした。

 第1四半期(1〜3月期)の携帯電話事業の売り上げと収益に「深刻な落ち込み」が見られたためで、ムーディーズは「ノキアの携帯電話部門が直面する構造的難局を乗り切るのは難しい」と判断したという。

 「so fast !」と思う。


2012年04月18日(水曜日)

 (09:29)早起きしたので一時間ほど風呂で半身浴しながら「報道の脳死」(新潮新書 烏賀陽弘道著)を読んでいました。読みながら、「そうだよな、どの業界でも落ち目になると各社の製品が似てくるよな....」と思っていました。

朝、もやに霞む半蔵門  3.11を巡る各新聞社の報道を細かく取り上げて、いかに各社の報道(写真も)が似通ったものになっているか、定番化しているか、そこに「新聞の脳死が出ているのではないか」が書いてある。昔は4紙とか自宅で取っていたものの、今はせいぜい1紙しかとらなくなった私のような人間には、「そうだよな」と思えることが多い。

 似たような製品を作ってそれで競争するというのは、企業としては「負けのパターン」で、そういう意味では日本のいろいろな業界で起こっていることでしょう。「脱競争」は難しいが、なんとかそれをやらないと∞地獄になる。

 もっともこの本を読みながら、「これはやはり元新聞記者が書いた本だな」「特に朝日の」と思いました。やはり意識が、新聞から、かつ朝日からしか出発していない。もっと世界は広くなっているのに....と思いました。

 「なぜかくも陳腐なのか?」というサブタイトル。「新聞・TVの病巣をえぐる!」とあるが、もっぱら新聞について書いてある。新聞もTVももうとっくの昔からニュースや意見の「one of them」のデリバリーシステムですから、問題意識そのものが古いとも言える。さっと読むと面白い本です。

 ところで今日は昭和電工の川崎事業所を、明日は消防庁消防大学校の消防研究センターで消防技術を取材します。どちらも「地球アステク」の取材ですが、これまであまり扱ってこなかった問題。

 それだけに、先端テクノロジーの視点から見ると面白いと思います。私自身、とっても楽しみ。それから、今週の地球アステクは、「念ずれば通ず!先端脳波技術」とお送りします。

 夢の装置「ニューロコミュニケーター」は「念じただけで自分の意思を伝えられる」というスグレモノ。日本の電子・機械産業を牽引する産業技術総合研究のつくばセンターで、その開発部隊を率いる長谷川良平グループ長に取材しました。

 「ニューロコミュニケーター」を使うと、手や足を動かせず声も発することができない脳卒中の方や、ALS(筋萎縮性側索硬化症)など神経難病の方が、家族や介護ヘルパーらと意思疎通を行なう際、とても簡単にコミュニケーションできるようになります。

 これまで、脳波を読み取る装置はとても大きく病室や家庭に持ちむのは容易で無かったが、特定の脳波だけを読み取り、ノートPCで計算を行なうことにより、長谷川さんはとてもコンパクトな装置の開発に成功。是非ご覧下さい。


2012年04月17日(火曜日)

 (15:29)午後3時過ぎ。ある局を見たら7人くらいの男性が難しい顔をして記者会見している。何があったのだろう、尖閣の石原さんはワシントンの筈だし......と思ったら.....。

大川端から撮った造幣局の桜とそれを見る人々の様子  「脳に異常なし」という字幕。あらら、しずちゃんの件で記者会見ですか。しかもそれをテレビ局が生中継している。どえらいことですな。実に平和なことです。ははは。

 ところで今日は造幣局の(八重桜)通り抜けと言うことは知っていたのですが、天満橋に用事があって、見学方向が逆。毎年見ているし、ちょっと横から見てやろうと思って屋台が並んでいる大川端を逆方向に歩いて、一応見て見ました。

 というのは、造幣局の桜は皆大川端にある。だからちょっと高いところに乗れば、造幣局の桜はほぼ一本残らず見ることが出来るのです。高いところに乗ったら、思った通り、ほぼ全部見ることが出来ました。それって「通り抜け」じゃなくて、「横抜け」

 綺麗です。まだ4分咲き程度ですが。それにしても、染井吉野は大阪でももう終盤。上から見ると咲いているが、木の下から見ると葉桜が目立つ。これからは八重ですね。

 八重だと東京ではニューオータニと清水谷公園の間が好きだな。ま、染井吉野も八重も好きですが、色は八重かな。染井吉野ははかなすぎる。桜は今年も堪能しました。あんがと。北の人はこれからエンジョイして下さい。


2012年04月16日(月曜日)

 (10:29)関空に着き、大阪の市内に入ったのは10時前でした。ははは、帰りの飛行機の中では結構寝られました。海外から関空便で帰ってくるのは2回目ですが、共同運航便(ANA?)ということもあってか、かなり混み合っていました。

 フランクフルト発の飛行機(ジャンボだった)にもフライネットが装着されていてネットに繋がったのですが、どう考えてもロシアの主要都市と中国の上空を通過する時間が欧州行きより長く(気がする)て、結構「disconnected」になる。その間は通じない。

 なんでこの二つの国が上空のネット接続を拒否しているのか。私には分かりません。ウエイボーに入られるのが嫌? しかし繋がったり切れたりするのはややこしいですよ。どの記事がフェースブックに飛んだのか後で調べないといけないが、その記事が元のサイトでずれているケースが多い。

 寝るか原稿を書くか、その他の文章(ここのような)を書くか。空の上での定番ですが、これからはネット接続で気に入った記事の発見、ブログ更新、SNSへの参加などいろいろ出来るようになりそう。ナイス。

 短い滞在でしたが、欧州の今が分かって面白かった。また機会があったら書きますが、いろいろなところでもらった英字紙を見ていると、「失業」に関する記事の多いこと。それだけ欧州での深刻な問題が失業なんでしょう。

 特に若年層の失業が深刻です。まそれは、日本でも同じ。若者にいかに職を作るのか、若者がいかに職場に入っていける環境を作るのか。それが今後の世界の指導者に課せられた大きな仕事のような気がする。

 世界を眺めてもドイツとスイスの若者失業率が低い。日本と同じくらいです。「ドイツはユーロ安のおかげ」という見方も出来るし、それは一つの立証可能な説明理由だと思う。しかし、若者を労働市場にうまく入れる仕組み(appeなんとか)があることも確かだ。スイスもそう。日本語では確か「徒弟制度」とか訳されるが、その訳の感覚ではない。

 高校、大学の教育の仕事現場からのかい離は、企業が若者を雇うインセンティブを削ぐ。例えば日本の企業は「素材を採って、あと社内で育てる」やり方だった。名刺の出し方から。

 しかしもうそうは行かないでしょう。世界中で高い学位を持った学生が希望の職に就けなくてウエイターをしていたり、タクシーの運転手になっていると読んだ記事には書いてある。職そのものではなく、彼等の希望の職でないことが問題だ。その為には、教育の方向をやはり変える必要がある。

 企業が支払わねばならない各種保険や、シニオリティシステムも負担です。だから、企業がもっと正社員を雇いやすくする必要もある。無論そこには日本の「非正規雇用問題」のような難しい問題もあるが。

 ある記事に、若い時に例え10ヶ月でも失職した、就職できなかった経歴のある若者は15年後でも、そうでなく一貫して働き続けた若者のその後に比べて給与が14%少なかった、という記事があった。かつ遙かに再失業しやすいとも。確か英エコノミストの記事だった。

 若者の就職難は中国のような勢いのある国でも深刻だ。その中国では、労働者の賃金上昇傾向の中で「工場でのロボット導入が増えている」「それを仕事(ロボット生産)にしているドイツの会社は忙しい」という記事もあった。そうだろう。しかしだとしたら、中国の若者や農民工はどこで職を見つけるのか。

 スペインやギリシャでは若者の失業率は50%を超えている。ドイツと日本の若者の失業率が低いが、それでも日本では高卒、大卒の就職難が大きなニュースだ。一番良い解決策は、雇用を生み出す産業の育成だ。それは製造業では理だろう。なぜなら、製造業はグローバル競争に投げ込まれているし、デジタル技術があらゆるものをコモディティ化した。

 吉本? そう有望なのはサービス産業だ。笑いも、スポーツも候補だ。しかしそれだけでは足りない。では何にするのか.....それが問題だ。


2012年04月15日(日曜日)

 (11:29)フランクフルトの空港で、乗り換えの為に時間を過ごしています。考えたらこの空港には結構立ち寄るのに、空港の外に出たことがあまりない。いかんな。そのうち。

アテネの朝は綺麗でした  空から見るとドイツの国土は実によく手入れされている。ギリシャの国土が主に木もない石がむき出しの単なる曼荼羅模様の山なのに比べて、見渡す限りの平原で、農地は実に綺麗に区画され、明るい茶色の色の屋根の家が所々に固まっていて、その色のコントラストが実にいい。

 日本でも山形の農地の綺麗な区画具合は圧巻ですが、ドイツはそこにさらに風車が風景として加わっている。ドイツって本当に南の一部を除けば平坦なんですよ。しかし、ドイツも東に比べて西は風車が少ない気がする。一種の産業政策だったんでしょうね。

 空港の「A」から「B」への通路は相変わらず長い。動く歩道には乗らずに歩くのです。歩道の連中より早く進む。今日は私の進み具合がより早いのを見て、歩道に止まっていたアメリカの10代が二人急に動く歩道の上を走り出した。笑える。

 ラウンジは面白い場所だ。実にいろいろな人がいる。8割方の人が、何らかのケイタイ(スマホを含む)かPCをいじっている。昔のように新聞や雑誌を読んでいる人は少ない。棚は手持ちぶさただ。結構タブレット派がいて、私の斜め前のおばちゃんは大きな声でスカイプをやっていた。

 私は長い時間なのでずっととどまって原稿やこの文章を書いているのだが、周りは結構入れ替わる。半数が、「ネットはどうやって繋がるのか」といった顔をしている。聞いてきた人がいたので、「tmobileで」と言ったのだが、「それでも繋がらない」と言う。ギブアップだ。まさかPCをのぞき込むのは良くないでしょう。

 アテネの朝は綺麗だった。陽が昇りかけ、雲がたなびいて、街の灯りが残っている。明るくなったのみ。靄がかかっている。本来は良い街、良い国だと思う。ギリシャ人は自分達の文化を「big」という。「long」とは言わない。その通り。

 確かに紀元前の歴史は凄い。アクロポリスは驚嘆する。そのころの日本はどういう時代だったのだろう。しかしギリシャのその後は苦難の時期が結構ある。確か1821年にそれまでの他国支配を脱して独立したが、第二次世界大戦の間はまずイタリアに、そしてドイツにも占領された。ギリシャ人のイタリアやドイツに対する感情は複雑だ。

名前の由来が空から見ると分かる  風光は明媚だが、ギリシャで何かを買おうという気にならない。買うならやはりドイツだ。なぜそう思うのだろう。私の中の何かが「そうしろ」と言う。だから、フランクフルトの空港では買い物心が動く。ミュンヘンでもそうだった。

 でも、食べ物は圧倒的にギリシャが勝つ。大体食材が違う。ドイツの空港では「何かを食べよう」という気が起こらない。全てを満たしてくれる存在はない。ギリシャはまた行きたいな。あの空気と海と太陽、そして食事。人もいい。

 日本では「エーゲ海」というので気がつかないが、「AEGEAN SEA」というと「ASIA」の発音と近くなる。ギリシャは、イギリスやドイツと比べると遙かにアジアの臭いがする。直ぐ右にはトルコがある。長い抗争の歴史だ。

 ギリシャ。どうにかなって欲しいが、今すぐどうにもならない気もする。しかし彼等が「BIG」と表現する偉大な歴史のあとも、そこに人々は住み、人種の入れ替わりはあったが、彼等は変わらずギリシャ人だった。今後もそうだろう。

 LIFE GOES ON.........。行きたいな。今度はゆっくり一ヶ月ほど。


2012年04月15日(日曜日)

 (00:25)その手の知識が全く無かったのでちょっと調べたら、今年は西方教会と東方教会ではイースターの日にちが違うのですね。西方教会では4月8日、東方教会では4月15日。

人影が消えたマーケット  それは置くとして、ギリシャ(広く欧州でしょうが)のイースターの前日は日本では「正月を控えた年末」と昨日書きましたが、夕方もう一度旧市街を探索しようとして、その実感を強くしました。午後の6時くらいでしたが、ほぼ全ての商店が店じまい。最初から閉まっていた店に加えて、昼間は空いていた商店も全部。

 大勢の人でごった返していた旧市街のマーケットもご覧の通り。人影は少ない。片付けのごく少数の人だけが働いている。床が肉を扱った後だからなのか、革靴では滑る。そうなんですよ。日本の晦日と同じ。昼間に来ていて良かったと思いました。

 でも違う点もある。夕方から夜10時ぐらいまで寝ていたので、「メシでも」と思ったのですが、普通では面白くない。聞いたらホテルのレストランは今日は午前2時までやっているという。きっと教会でお祈りをしてきた人達が来るのでしょう。

 で私は、零時前に行って、市場で見ていて食べたかったので「ラムはありますか」と聞いたら、「今日はビュッフェ形式で、その中には当然ラムもあります」というので、45ユーロだそうだし、軽く食事をすることにしました。その段階では、広いレストランはガラガラ。

左にあるのがイースターエッグ、右が年に一度のMAGIRITSOスープ  いろいろ普段ではないメニューというのもありました。「一年で今日この日にしか作らない」とレストランの人が説明してくれたのがスープです。「Magiritso」と書いてある。多分鶏肉が切り刻んであって、あとはポテトスープの素材にいろいろ入っているのです。塩辛いが美味しい。

夜に浮かぶアクロポリスとパンテノン神殿  ラムもそうですが、このスープも「一年で一度しか食べられないものが食べれるのはラッキー」と。ふとテーブルの上を見ると、赤い卵形の.....。「あ、これがイースターエッグか」と。可愛いウサギさんに抱かれている。

 ははは、このホテルのエッグは何で出来ているか知らないが、「これはお土産だな」と。ラムは日本で食べるものより、ちょっと塩辛い。でもマスタードを付けるとちょうど良くなる。

 零時20分過ぎでしょうか。人がどんどん入ってくる。きっと教会でのお祈りを終えた人達が、主に家族で来ているのでしょう。しかし子供はいない。「子供はどうしているのだろう」と思いました。

 このレストランは今日は午前2時まで。私は明日が比較的早いので、その頃にはお休みだな、と思いながらレストランの皆さんにお別れしました。


2012年04月14日(土曜日)

 (15:25)もしかしたら、正月を控えた年末の日本の、特にアメ横のような所に来ているかも知れないな、と思いました。

 とにかく、アテネの旧市街にあるマーケットが凄い人出なのです。肉、魚、野菜、フリーマーケットと比較的分かれているのですが、その肉売り場が並んでいる筋の人の凄いこと。「イースターにはみんなラムを食べる」ということで、そのイースターは15日日曜日なのです。写真を見て頂いても、その熱気が分かると思います。

イースターを控えてラムなどの肉を買う人の波  ラムを食べるには、ジャガイモなど野菜も必要。だから、肉が一番だがその他も凄い買い物客の列なのです。子羊の足一本を白い布でくるんで運ぶ人も多い。その周辺の道路は警察官も出て交通整理。車は大渋滞。正月だと思ったのは、14日の深夜に皆教会でミサを行うと。日本は神社・仏閣にお参りです。

 凄まじい人出を体験したあと、旧市街のマーケットの近くの店でピタとビールを頼んで一時間ほどずっと街の様子や、人々の表情を見ていました。その街に馴染むのは、街に一定時間以上たたずむのが一番良い。

 実に多様な人種の人が居る。明らかにインド人っぽい人、北アフリカの人、色白な北欧系の人、そして浅黒いギリシャ系の人。欧州とアジアとアフリカのクロスロードの国なのだな、と思う。右だか左だが知らないが、大きな拡声器で旗を振りながら7人ほどが街宣をしている。何を言っているのか。ギリシャ人に聞いても、「わからん」と。

 たたずんで街を見ながら、今のギリシャとはどういう国か、アテネから何が見えるかを考えていました。思い浮かんだのは

  1. 凄まじい量の落書き
  2. これも凄い割合である閉鎖した店舗
  3. にも関わらずの移民の流入
  4. その一方での、国内での職の喪失による労働者の国外流出(ドイツ、イタリア、豪州など)
  5. しかし常に魅力としてある蒼い空と海、そして明るい太陽
 という感じです。「5」は常にギリシャにとっての魅力ナンバーワンです。まだシーズン前なのに、観光客は多かった。

 ホテルの部屋から見えたので、アクロポリスまで歩きました。パンテノン神殿まで上がった。息が切れました。しかし紀元前何世紀かの遺跡がまだ残る街はなんと言っても魅力です。その壮大な石の創造物。何とかという山から全部運んだそうです。奴隷を使って。20キロを4日間で。

 その後タクシーを拾って「海を見たい」と言ったら、運転手が親切な人で何とポセイドン神殿まで、途中水源の分からない泉などを見ながら連れて行ってくれた。値段を決めてですが。最初は風が強く曇っていたが、ドライブの最後には素晴らしく綺麗な空と海になった。ギリシャは魅力がある。

 これでは「夏は41度にもなる中で、ドイツ人のように一生懸命働かないよな」と勝手に思いました。果物も豊富、海の幸はマーケットに行ってもよだれが出るほど良いものがある。野菜も豊富。冬の間は食べるものがないので、豚の血までソーセージにしていたドイツ人とは違う環境です。

どこにも落書きがある。70年代のニューヨークのようだ  しかしそのギリシャと比べた場合の逆境がドイツを強くした。冬の長いドイツでは、我慢強く何かを作って春を待つしかなかった。美味しいものは食べていないが、彼等が作るものは素晴らしい。

 ギリシャは東西やアジアと欧州の接点という意味でもある意味恵まれていた。西側はギリシャを自らの仲間に入れて、このアジア臭のする国を防波堤にしようとした。それは東西の関係でも同じです。

 だから、ギリシャにはいろいろな意味で援助が入った。ギリシャ人の何人かに聞いたが、EU離脱は無論のこと、ユーロ離脱にも反対だと言う人が多かった。その理由は、「ギリシャは彼等に支援してもらっている」「これといった産業がないから」というものだった。

ポセイドン神殿を背に一枚  ではギリシャの苦境の打開の道はあるのか。夕べのタクシーの運転手と同じように、ギリシャ人は「wait and see」のような。しかしむしろそれを決めるのはドイツ人のような気もする。なぜなら、安いユーロで一番潤っているのはドイツ人であり、これかもギリシャの危機的な財政をある意味支えられるのは、ドイツだけだろうからだ。

 ギリシャの海岸は限りなく綺麗だ。ヨットが並び、瀟洒の住宅街もある。そういう意味では、物価も安いし暮らすのには良いかも知れない。しかし職を探せない庶民は気の毒だ。「職さえあれば、家が建てられる国」(タクシー運転手)のだそうだが、その職が今のギリシャにはない。


2012年04月14日(土曜日)

 (00:25)ミュンヘンを経て午後11時30分ごろ(ギリシャ時間)にアテネの空港に到着。もう遅いしタクシーを捕まえてそのまま静かにホテルまでと思ったら、そうはいかなかった。

 ヤニと名乗る運転手が私を観察していたと思ったら、しばらくして「ビジネスか?」と聞いてきた。聞かれたら答えなければならない。適当に「そう」と言ったら、確か「WE NEED A BUSINESS, RIGHT?」と同意を求めてきた。

 「そりゃそうだ」ということで、ホテルに着くまで30分以上ずっと話をしていた。彼は言う。何が今のギリシャを悪くしたかと言って「政治家」と「IMF」だ、と。IMFがなぜ悪いのか。「緊縮策を強要する」「我々の賃金はずっと下がっているのに、生活費は全く下がっていない」「こんなことになったのはIMFの責任だ」と。

 次に彼がやり玉に挙げたのは「政治家」。彼は「corruption」(汚職)という言葉を十何回使って、この国が以下に腐敗しているかを説明し、道路の建設にしても「政治家の懐にお金が入っている」と非難した。IMFの政策を導入したのも過去の政治家だ、と。

 「でもその政治家を選んでいるのは国民だよね」と私が聞くと、「彼等は我々国民を政府の良い職に就けてやるとか、いろいろ誘うんだよ。それには勝てない」と彼。矛先はIMFを超えて、特に「ドイツの陰謀」に力点が置かれて、「彼等は産業を我々から奪った」と仰る。「ギリシャは農業だって良かったのに、今はダメだ」と。

 「じゃ、ユーロから離脱して独自の道を選ぶ」と聞いたら、「それはダメだ」と彼。戦争被害とかギリシャは欧州の犠牲になっている。もっと返してもらわないと、とも。離脱したら、ドイツ当たりからの借金が膨らんでしまう、とも。よくご存じだ。

 「ギリシャの政治はいくつかの家族によって支配されているんだって」と私。彼は、「そうだよ」と。「じゃ、それから抜け出る方法はないの」と聞いたら、今50才くらいの政治家でなんと言ったか、「一人いる」と彼は言う。ついでに、「黄金の夜明け」(英語で Golden Dawn、極右政党)が次の選挙で3%を超えて議会勢力を持ちそうだが」と聞いたら、「私は彼等に賛同できない」と。極端過ぎる、と仰る。

 まあいろいろ話したが、内容はエコノミストを首相に頂く国の国民らしく、蕩々と持論を述べる。それは素晴らしい。しかし、とってもおかしいと気付いたことが二つあった。

  1. 客である私を乗せて走行中に、やたらにケイタイを気にする。写真が待ち受けにあって(その番号専用か)、「これは娘だ」と彼の説明。10才で年の離れたお姉ちゃんとお兄ちゃんがいる。そえはいい。しかし、「ケイタイは電池が切れた」とか言いながら、車のハンドルから手を外して一生懸命充電作業を行おうとする。その間車は右に傾いたり、左に行こうとしたり。こっちは気が気ではない。(日本の運転手は絶対やらない)それにケイタイの写真は10才の娘には見えなかった

  2. ホテルに着いて、深夜だったしいろいろ話をしてくれたのでチップを含めて多めに渡したら、「その金額で領収書を出す」と言う。「いやいや正規の運賃の領収書でいいから」と言っても、聞かない。しかしそれがちっとも出せない。ホテルのボーイもあきれている。あまり時間がかかるので、「もういいよ」と言ったら、悲しそうな顔をした。結局領収書は一枚ももらわなかった
 うーん、共に本気にして良いのかどうか。まずは入りにしては面白い経験だった。ホテルに着いたのは深夜を過ぎていた。それにしても金曜日の夜にしては静かだった。最後に「5月6日の総選挙は」と聞いたときの彼の返事を思い出した。彼は「wait and see」といやに慎重に言った。


2012年04月13日(金曜日)

 (16:25)機中でニューヨーク・タイムズの記事を読んでいたら、「It was the first time the North has publicly acknowledged a long-range missile or satellite failure.」と。そうですね、認めたこと自体が驚き。認めたのは最初でしょう。

 新体制になっての僅かな進歩と言うべきか。しかしやっていること自体は、何ら昔と変わらない。名前が日成、正日、正恩と変わっても、相も変わらず自らは技術力も生産力も持たないのに、他国にとっての脅威な存在になることによって、何か(食糧やエネルギーなど)を得ようとしている。

機内でアテンダントと一緒に  頭にあるのは、「金王朝の継続」だけです。国民の幸福など全く眼中にない。しかしそれも権力の移行期にあって、金体制のシナリオに焦りからかずれが生じていると思う。ミサイルの失敗もそう。

 同紙には「American officials said food aid that they had planned to send to North Korea to help feed its malnourished population would be suspended.」という文章がある。つまりアメリカから食糧は提供されない。当然でしょう。失敗しても打ち上げを強行したこと自体がプロボケーティブです。

 アメリカから食糧が来なくなった、おまけに金正恩の権威を高められなかったし、金日成の生誕100も祝えなくなった。としたら北朝鮮が次に行うのは三回目の核実験です。もう失うものは無いのだから、多分やる。

 北朝鮮のミサイル発射失敗を聞いて私は直ぐにSNSに「一番良いのは、これによって金体制が揺らぐこと。懸念されるのは、核実験に走ること」と書いたが、前者は一応可能性は低い。懸念される方が実施される危険性が高い。

 オバマ政権の当局者も次のように述べている。「One Obama administration official suggested that the failure might speed the North’s determination to conduct a nuclear test ― the country’s third ― “simply to show that it can.” Test preparations are under way, satellite photographs suggest.」

 でもまあ、考えれば「滑稽な国」ですよ。国民の自由な発想や創意を全く生かさない、殺しているので、何か新しいことが出来る環境ではない。なので、経済も発展しないし技術もない。

 共同電によると、北朝鮮のミサイル発射場がある東倉里から北に約50キロ、北朝鮮と国境を接する中国遼寧省丹東市の住民はニュースで発射失敗を知っていて、タクシー運転手の男性(45)は「(北朝鮮は)技術もなければ経済力もない。(ミサイル発射は)そんな簡単なことではないだろう」と話していたという。

 そりゃそうでしょう。例えミサイルを完成し、それに核を積めても、実際には使えない。使った瞬間にアメリカなりに攻撃されて一瞬のうちに北朝鮮という国が終わってしまうからです。だから、ミサイルや核は他国を威嚇し、今の体制を続けるための道具立てにしか過ぎない。

 いつまでこんなことを続けるのか。それにしても、今回の打ち上げでもあれだけ用意していた日本政府の設備は生かされることもなく、警報も発せられなかった。こっちも心配です。


2012年04月13日(金曜日)

 (14:25)うーん、これは一種の革命ですね。上空はるか高くを飛ぶ飛行機の中から、ネットが出来てしまう。右に示した写真が、私が成田発ミュンヘン行きのルフトハンザの飛行機の中でネットをしている写真です。

機中でネットをしている姿を撮ってもらいました。ナイスでしょう  「うーん、日経平均は111円上がっているのか」といった感じで日経のサイトを見ているところですが、機上でネットが出来るメリットは大きい。メールが処理できるし、このようにサイトもアップできる。情報分析も出来る。私が日常的に地上にいて出来ることが全て出来てしまうのです。ナイス。

 ユーチュブがどの程度のスピードで走るか見たら、地上と変わらない印象でした。ただしNHKオンデマンドは入り口まで行くが、最後は動かない。これはNHKオンデマンドが海外では見れないことと同じ理屈でしょう。送り手サイドが制約をかけている。

 機上でのネット接続は以前ボーイングがやったことがあった。しかしその時は利用者が少なかったと聞いていますが、ボーイングそのものがその手の機種の製造を止めてしまった。

 今回は先行したこのルフトハンザを初めとして、航空各社は「空のネット」に注力せざるを得ないでしょう。なぜなら、ネットはそれほど私たちにとって必要不可欠、何をするにも必要なものになったからです。

 ここで繋がるのは、当然PCだけではありません。iphone も動かしました。この写真は、iphone で撮ってもらったものをネット経由で私のPCメルアドに送ってもらって、PC上からサーバーに送って仕上げたものです。つまり、地上にいるときと同じ作業が出来る。

 利用法は簡単です。セキュリティー・コードを入れ、ID とパスワードを入れるだけ。だから、セキュリティも万全でしょう。おっと、忘れていた振り込みをネットで済ませよう.....


2012年04月12日(木曜日)

 (08:25)実績のない30才前後の青年の「統治の正統性」を国民に見せつけるには、これしか方法がなかったのでしょうね。

 北朝鮮の朝鮮労働党代表者会は11日に昨年12月に死去した金正日(キム・ジョンイル)総書記を「永遠の総書記」として永遠に高くあがめ、その地位には昇らない前提(多分)で後継者の金正恩(キム・ジョンウン)を「党第一書記」に選出した。

 故金日成(キム・イルソン)は「永遠の主席」なので、「主席→総書記→第一書記」と続く三世代の権力の階段を作って、金正恩を「権力の正当な継承者」と印象づけた。こんな世襲の統治体制は、中国でも忌み嫌われている。共産党、社会主義の支配と言うより、正に金王朝というに等しい。

 しかも国民が飢えているのに、何百万人の食料費に相当するお金をかけて国際社会を脅すためのミサイル(実質)を撃つ。国民は徹底的に弾圧して、「牛は飼い主に抵抗できない状態(韓国の友人の言葉)」を作る。とんでもない王朝です。

 12日から四日間がミサイル打ち上げの期日に設定されていますが、国際社会の警告を無視して打ち上げるのでしょう。それに続いて、核実験もあるに違いない。皆、「統治の正統性」を金正恩に与えるための道具立てです。

 こんな国は許しておけないでしょう。NHKのカメラが捉えた北朝鮮の田舎の風景は、恐らく西側のカメラが入ることを意識してある程度綺麗にしたのでしょう。それでも、赤茶けた寒々しい大地が続く。カメラを通してあの風景ですから、裸眼で見たら凄まじくすさんでいるに違いない。困った存在を通り越して、いつかは地上から消えるべき国家体制であり、それが北朝鮮に住む人々にも好ましいことだと思う。

 一方、私がこの週末に行くギリシャでは、パパデモス首相が11日に次期総選挙を5月6日に実施すると閣議表明した。これは結構大変なことですよ。最後は国民が国の行方を決めるのが民主主義社会。国民は、「こんな緊縮策にはもう耐えきれない」「ドイツの言いなりになるのは嫌だ」という選択をすれば、欧州が全体として組み立ててきたギリシャ救済システムは瓦解する。

 総選挙での最大の争点は、財政緊縮策の是非です。日本の新聞報道によると、「最近の支持率調査では、緊縮財政を支えるため大連立を組む与党のうち、前最大野党の中道右派・新民主主義党(ND)が20%前後を得て、前与党の中道左派・全ギリシャ社会主義運動(PASOK)を数ポイント上回り、第1党となる見通し」という。

 しかし「総選挙後も危機対応のため両党が再び大連立を組む可能性があるが、両党を足しても支持率は4割弱で議席が過半数に達しない」とも報じられている。となれば、同国の財政再建が再び混乱する可能性が出てくる。

 ま、短時間ですが、ギリシャをよく見てきます。


2012年04月11日(水曜日)

 (06:25)今日から東京メトロ銀座線に導入される新型車両1000系のウリは、写真の「透けて見える荷棚」と、一人当たり2センチ分増えた座席の余裕でしょう。ははは、先日取材しましたから。

天井が透けて見える荷物棚。従来より10センチ低い  東京の地下鉄の中でも、銀座線は真っ先に出来た「手堀り地下鉄」(ツルハシとシャベルで人が)で、そもそも狭い。パンタグラフも付けられなかった構造をしている。それに故に二本の線路の隣に「第三の線路」を引いて、そこに電流を流している。だから危ない。にもかかわらず軌道は丸の内線以外の地下鉄より広い。

 そのスタート時点からの「不利な条件」故に、この路線をグレードアップしようという技術革新が行われ、それ故にいくつかの点で非常に斬新な今回の車両が出来上がっているようです。浅草駅で出発式をやるそうですが、早い段階で乗られた方はラッキーですね。今後「一ヶ月に一両」の割合で投入ということです。

 私が見た通りの形で投入されるとしたら、新型車両は外見もそうですが、内装も当初掲載される宣伝もクラシコですよ。セイコーホールディングスさんが前面に出て広告の貸し切り状態。「銀座の歴史と銀座線フォトギャラリー電車」で、30日までの期間限定での運行。「幻の駅」も表示されています。

 ところで今週の「地球アステク」は、なんとなんと「花粉症のワクチン」の話です。順調に行けば、2019年には市場に出回る、という。

 日本免疫研究の中枢として設立された理化学研究所・免疫・アレルギー科学総合研究センターで谷口克センター長を取材しました。ここでは、国民の約3割が悩んでいると言われる花粉症(私もその前兆あり)を根本的に治療する「花粉症ワクチン」の研究が進んでいて、すでに動物実験では良好な成績が得られています。その画期的なテクノロジーに迫ります。放送は今週木曜日夜10時。BSジャパン。

 この番組用には今週も今日と明日がロケですが、水曜日は子供の安全を科学的に研究している「産業技術総合研究所 デジタルヒューマン工学研究センター」を、木曜日には水泳の北島選手や、サッカーのなでしこジャパンの皆さんも利用し、日本の選手の能力向上に寄与している「国立スポーツ科学センター」を取材します。

 ともに楽しみ。体力テストも受けちゃおうかな。ともに5月末から6月にかけて放送されるこれらの番組をご期待下さい。


2012年04月10日(火曜日)

 (16:25)鳩山さんがいくら「捏造」(ねつぞう)と言ったところで、イランのサイドの意図(宣伝)は明確です。イラン大統領府のサイトはここですが、実際に会談が行われてから数日がたっているのに、サイトの一番上はアフマニネジャドと鳩山元日本首相の会談風景。

 ネットサイトの一番上に記事を置いておくのは、サイト保持者の「これを宣伝しよう」という意図ですから、イランのサイドはそう考えていることになる。で、何が書いてあるかというと、「Iran and Japan should work toward a world free of atomic weapons」というタイトルの下に、以下のような文章がある。

 この中には、「President Ahmadinejad said that the world community must be freed from WMDs, adding that using nuclear bombs against the Japanese people damaged the great nation of Japan and injured the sentiments of the entire nations of the international community. 」と名指しはせずにアメリカを非難している。「wmd」とは大量破壊兵器のことです。

 そして最後が「Japan's former premier, for his part, criticized the International Atomic Energy Agency for applying double standards toward certain countries including Iran, saying such a treatment is unfair. 」とIAEA批判です。

 この文章を読んだ人は、間違いなくイランと日本が核の問題で歩調を合わせているかのように感じる。それはイランの狙いでしょう。懸念された通り、鳩山さんはイランに利用された。捏造か違うのかという問題ではない。

 それにしても、彼がイランに行くのを止められなかったのは問題です。「議員の資格で行く」と言ったらしいが、イラン側の彼の紹介はのっけから「日本の元首相」ですからね。

 そうじゃなければ、アフマニネジャドは彼に会わない。日本の一国会議員と会うほど暇ではないでしょう。それにしても、何とおかしな外交感覚の人を一時的にせよ首相に頂いたものです。

 首相を辞めたときのお言葉通り、やはり引退されるのが筋ではないでしょうか。


2012年04月09日(月曜日)

 (19:25)大阪に移動のため新幹線に乗ってネットを開いたら、「ソニー、従業員1万人削減へ テレビ事業などの不振響く」とまず目に。そうですね、人件費を削ることは必要かも知れない。しかしそれが再生へのパワーになるかどうかは、結局は「新製品次第」でしょう。

 発表によると、「ソニーは経営再建策の一環として、年内にも国内外で合計1万人規模の従業員を削減する方針を固めた。テレビ事業などの不振で2012年3月期の純損益が2200億円の赤字になると見込んでおり、経営を立て直すには、大幅な人員削減による経費の削減が避けられないと判断した。」(朝日)とまず経費削減を挙げている。

 加えて「責任を明確にするため、平井社長らの役員賞与の返上も検討する」と。また「人員削減には、液晶事業にたずさわっていた従業員のうち、東芝や日立製作所と1日に設立した液晶製造会社への転籍なども含むとみられる」とも。

 就任したばかりの平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)が役員賞与を返上しても、1万人を削減して経費を浮かしても、事業そのものを組み替えないとソニーはジリ貧なだけでしょう。私はそう思うな。消費者が「これは買いたい」と思う製品こそ、ソニー再生の鍵になるし、製造業はどこでも同じだと思う。

 ソニーの赤字の原因はテレビ事業の不振。家電量販店に行けば、目が飛び出ます。40インチのテレビが3万円台ですからね。これではどんなに経費を削減しようが、メーカーは作れば作るほど損をする。他の方法が必要です。従来型のテレビをやめるとか。

 平井さんの記者会見での発言を聞いていると、「テレビはやめない」と言っている。では、「ではどんな付加価値を付けて売り出して儲けを出すか」の戦略が必要でしょう。それがないと、時間切れの可能性もある。それが聞けていない。

  それにしても、平井さんの前の二人の経営者は責任を問われないのですかね。何もしなかったような気がするが。


2012年04月08日(日曜日)

 (12:25)うーん、今年一番可哀想な桜は、私が知る限り赤プリの前の桜かな。毎年通常の歩行経路に沿った場所にある桜としては実に綺麗で、毎年大勢の花見客を集めていたのに....

 もっとも、半蔵門の方から右手に見て歩くと、今年も綺麗に咲いている。しかし正面に回ると工事壁が無粋にこの解体待ちのホテルを囲んでいる。桜も良く見えない。おまけに、去年までは実に綺麗だったライトアップがないので、夜は真っ暗。

根っこに生えた綺麗な桜の花びら  去年の春には通常営業をやめた赤プリは、まだ外見的には解体は始まっていない。どうやら内部から壊しているようなのですが、あのホテル前の傾斜にある桜達はどうなってしまうのだろう。どこかに移して引き続き咲いて欲しいのだが。

 桜と言えば、昨日一つ会がありました。以前番組をやった仲間に加えて、中国や韓国の方も含めて。ははは、どえらく太ったやつ、相変わらずの人。面白かった。久しぶりに大酒でしたが、たまにはいい。

 大酒と言えば、歴史的貧打のあのチームも、縮こまっていないで一回チーム全体で大酒大会でも開いたらいいのに。豊田さんの日経のエッセイ(好きだな彼の文章は)に、日本シリーズの時かな、3連敗した後大酒を飲んだ騒いだら調子が出て、その後4連勝だったと書いてあったような。

 ところで、この週末に収録したのですが、今週金曜日13日の午後10時半からのRoundup world nowはほぼ四半期に一回の恒例「中国スペシャル」ですが、今の揺れる中国に関心のある方は無論のこと、多くの方にとって非常に興味深い内容だと思います。

 重慶での薄熙来氏の失脚の背景と今後の展望、日本企業に与える影響など、実に幅広く話が展開しました。中国の中小企業が平均して3年半で潰れるなど、柯隆さん(富士通総研研究所主席研究員)の話はいつも具体的です。

 柯隆さんもツイッターで書かれていますが、彼との対談はいつもスムーズかつ意外な展開になる。そこが面白い。一切打ち合わせはしません。お互いの知識のぶつけあいです。無論中国に関しては柯隆さんの方が詳しい。私が疑問をぶつけ、そこから話を展開する。いつも楽しい対話です。お楽しみに。

 ところで今日の写真は、大きな桜の木の、なんと根っこに咲いていた桜です。桜を見る人は皆上を見る。しかし根っこにも桜が咲いているケースもある。なんかいじらしい。


2012年04月06日(金曜日)

 (23:25)一つお願いがあります。今月の13日から数日間ヨーロッパに行くのですが、14日一日をギリシャに振り向けようと思っています。

 そこで、この日にアテネやその周辺に居住している方で、その日は「空いていて、時間を割いても良い」という方がいらしたら、お話をお伺いできれば幸甚です。財政危機で何が起きているのかをこの目で見たいと思っています。

 メールアドレスはHPに掲載がありますので、そこにご連絡下さい。13日夜の遅い時間にアテネに着く予定です。突然で恐縮ですが。食事でもしながらお話が聞けたら幸いです。私が使える言語は、日本語と英語だけという不自由さですが。


2012年04月05日(木曜日)

 (08:25)「道路屋は褒められるということは殆どないんですよ......」と案内してくれた吉村さん(高速道路総合技術研究所=NEXCO総研統括研究主幹兼道路研究部長)。何回呟やかれたことか。

乃木神社の夜桜 4日夜撮影  まあそうですね。道路を素晴らしく設計しても、また頑丈に、かつ賢く道路を造って長期間に渡る修復回数を少なくしても、造った人の事を私達は殆ど知らない。道路屋さんは、建築家のように名前が残るわけではないんです。

 何の気なしに「ああ、これは新しくできた道か...」「今集中工事の期間中か」「誰だよ、こんな渋滞する道路を造ったのは」とか思いながら通過している。

 しかし道路は重要なのです。去年の4月初めにたった6日の修理で通行可能になったばかりの東北自動車道をトラックが夜群れをなして北上しているのを見て思いました。「全部、東北の被災地の人々に届けられる物資を運んでいるのだな」と。

 「道路に技術」。はっと思いますよね。そして、そりゃそうだ、と。雨を直ぐに吸い込んでくれないと特に高速道路ではハイドロブレーンが起きるし、滑りやすい素材の道路はダメ。頑丈でなければならないが、直ぐ劣化するのも良くない。今回の震災のように修復する必要が生じたら、その道路を造った当時の記録があればいいのに...といろいろある。

 実際に記録は全部NEXCO総研にありました。9000キロ前後のNEXCO管轄の道路のすべての資料(設計思想、設計図、地質調査結果などなど)があったから、東北自動車道はあれほど素早く一応通れる形になった。保存方法? 番組を見てください。ビックリしますよ。「切り土」「盛り土」「土工」「コンポジット舗装」などなど新しい言葉も覚えました。

その同じ桜が迎えた5日の朝  昨日は道路でしたが、今日は東京の地下鉄銀座線に走り始めた新型車両(新1000系)をテクノロジーの面から取材します。「地下鉄用の踏切」があるとか、ないとか。個人的には銀座線は本当によく使う。しかし多分使われているテクは、この駅間が狭い東京の地下鉄に縁がない人もきっと「そうだったんだ」と思われると思います。

 あ、それから今日は新年度第一回の「地球アステク」です。BSジャパンで午後10時から。新年度第一弾は、「「初公開!はやぶさ更なる挑戦」」で、「はぶさ」プロジェクトのリーダーだった川口さんが登場。重要なのは今後ですが、その点「はやぶさ2」を担当する吉川さんを直撃インタビューしていますので、お楽しみに。ワクワクしますよ。。

 「夢の続き」をどうぞ。


2012年04月04日(水曜日)

 (09:25)最初はそうとも思わなかったのですが、大阪に続いて京都、名古屋からもドンドンとお客さんが乗ってきて、よく見ると4日の新大阪発の新幹線始発はほぼ満杯で東京着でした。

 そりゃそうだ。昨日は帰りたくても帰れない「朝待ち」の人達が一杯いたでしょうから。大阪のタクシーの運転手さんも、「同僚から電話で朝5時頃大阪市内のホテルから新大阪駅に3人を運んだと連絡がありました」「今日の始発は混むのでは」と言っていたのを思い出した。その通りでした。

 ちょっと遅いのかも知れませんが、今日気がついたこと。この始発は2時間26分で新大阪→東京を走り抜くんですね。普段日中乗っている新幹線は大部分が2時間36分だと思っていたので、「10分も速いんだ」と思いました。それともこれはダイヤ改正の結果?

 今日は先週のロケの続きで、「道路技術の取材」で、町田市に伺います。


2012年04月03日(火曜日)

 (21:25)水曜日は午前中からロケ(道路に関する技術の)があるので、なんとか「火曜日中に東京に帰ろう」としたのです。東海道新幹線が運転を再開したのをネットで確認して。でホテルには念のため「戻ってくるかも知れないから」と言っていったん出ました。

 しかし新大阪の駅への道(新御堂)がメチャ混んでいて、加えて表示板が「50分の渋滞」と出ていたことで、すべて諦めました。ホテルを出て2分もたっていなかったのですが。結局戻った。

 だってそれが午後8時過ぎ。50分の渋滞に巻き込まれて9時を過ぎたら肝心の新幹線がなくなってしまう。ははは、私でもそうなのですから、全国では「予定が狂った」という方は大勢いたのではないでしょうか。

 まあ誰にも文句は言えない。今日用に最初に予約していた夕方の飛行機は早めにキャンセルして一週間先延ばししたのですが、新幹線に「大阪市内の交通事情」から乗れないとは思いませんでした。大阪市内ではあまり渋滞にあったことはなかったのです。

 それにしても、一時的ながら凄かった。雨と風です。そう言えば先週の土曜日の風も東京は凄かった。「春の嵐」は激しいですね。まだまだあるんでしょうか。それにしても日本の大部分で桜の開花がまだ始まったばかりで良かった。進んでいたら花びらが散ってしまう。

 そうした中でちょっと思ったのは、4月初めとあって担当替えなのか「4月から私が担当します」という挨拶をしたのだろうなというお天気担当者が結構いたこと。それまで見たこともなかった人が結構多かった。

 そういう人もこの爆弾低気圧の動向を解説していた。しかし、その喋り方の自信の無いこと。NHKの夜7時のニュースの人などずっと下の原稿を見て喋っていた。あれをやられると見ているこちらとしては、「大丈夫かな」と思ってしまう。

 無理に自信たっぷりに喋るべきだとは思いませんが、やはりある程度の確信をもって語って頂かないと、と思いました。そういう意味で、「ベテランは信頼できる」印象です。

 東京に帰れなかった八つ当たりではありません。ちょっと気付いたことです。しかたないのでホテルに戻って4日締め切りの原稿をこれから書きますが、それはそうと「ロケ」で思い出しました。

 今週から新年度の「地球アステク」が始まります。新年度第一弾は、「「初公開!はやぶさ更なる挑戦」」と題してはやぶさプロジェクトのリーダーだった川口さん、さらに「はやぶさ2」を担当する吉川さんを直撃インタビューしました。お楽しみに。

 それから、番組のフェースブックページがほやほやの形で出来上がりました。今後充実させていく予定です。


2012年04月02日(月曜日)

 (21:25)一ヶ月に一回ほど回ってくるこの番組の出演でしたが、今日のテーマは面白かったな。凄く珍しい統計があって、勉強になった。

 テーマは何かというと、「アグリジャパンの突破力 逆境を乗り越えて海を渡れるか」。つまり、一部の高級品以外は海外に出ていない日本の農産品の海外での突破力の可能性を探るもの。その中に今現在に産品別の輸出実績があったのですが、その中には”仰天”がありました。輸出額で見た順位は

  1. リンゴ 64億円
  2. 牛肉 34億円
  3. ナガイモ 20億円 
  4. 鶏肉 14億円 
  5. コメ 7億円 
  6. 栗 6億円 
  7. 桃 5億円 
  8. ぶどう 4億円 
  9. 梨 4億円 
  10. 温習ミカン 3億円
 私の目が止まったのは3位の「ナガイモ」にです。ビックリしません。「海外の連中は、何に使うのか」と思ったのです。で、ちょこっと調べた。面白かったですね。もともとはシンガポールや東洋系の多い米西海岸中心にちょっとした切っ掛けで輸出が始まり、今では日本の農産物の中で第三位の地位を占めている。

 では何に? どうやらアジアでは「薬膳料理」のようなものに使われているらしい。なるほど。使えそうだ。最初は「とろろ」に使われるのかと思った。どうやらそうではないみたいだ。

 ということは、非常に”日本的”と思われるものも切っ掛けさえあればどこかで火が付くということでしょう。「ナガイモ」に関しては番組の前にちょっと調べただけなので、あともう少し調べます。


2012年04月01日(日曜日)

 (23:25)今日の収穫は、早朝(といっても午前6時半頃ですが)に、新しい東京駅の姿を朝陽をバックに見ることが出来たことでしょうか。

 ずっと工事をしていた歴史ある東京駅舎(皇居サイド)。それがこの数日の間にだいぶ工事の切れ目から全体像が見れるようになっていて、私が気付いた中では今日が初めて全体が見える状況になっていた。

 東京駅の場合、皇居側から見ると東京駅舎の左側から朝陽が上がる。それがまた綺麗なのです。屋根の銅板ですかね、きらきら光って本当に綺麗でした。もっとも八重洲のノースタワーが東京駅舎の上から直接朝陽が上がるのを邪魔している。あれがなかったら。

 何とか綺麗に写真に納めようとしたのですが、なかなか苦労しました。基本的に逆光の中での撮影なので、朝陽が入りすぎてしまうと駅舎が黒くなってしまう。下からカメラをもってきて、駅舎がまだ明るく見えるうちにシャッターを切るしかない。iphone は瞬撮なので、それが出来ました。

 それが右に掲げた写真です。道路の部分が大きく映っているのはその為で、これ以上カメラ角度を上げると、朝陽が大きく逆光になって新しい東京駅舎が黒くなってしまう。ネットを見ると、鹿島が工事を担当したようですが、早く工事関係の建築物が全部どかされて、全体像を見たいものです。

 八重洲サイドにいくつかノースタワーとか、サウスタワーとか高い建物が出来ているので、新しい駅舎を皇居サイドから浮かび上がらせる写真はなかなか難しいと思う。特に全体像を撮る場合はどうしても後ろのビルが入ってしまう。一つの可能性は丸の内ホテルのサイドから撮ることですが、ちょっと角度がきついな。



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