2012年09月30日(日曜日)

 (19:25)台風は結構強そうですね。皆さんお気を付けて。

 ところで、明日が修復完了の最初の日の東京駅。「駅舎は10月1日午前4時の始発電車から営業を開始する」(毎日新聞の以前の記事)予定だったそうですが、まあこの台風でどうなることやら。しかし開業は開業で、明日の午前中には台風一過の晴れに包まれるでしょう。

 私は21日の記念投射会に行って「東京駅プロジェクションマッピング」の動画を撮ってユーチューブに初アップしましたが、今日は先輩の竹中さんから非常に珍しい写真を送って頂きました。開所当時の東京駅です。

 竹中さんが建設会社の友人から送ってもらったもので、まず目に付くのが駅の前のぼうぼうの草ですかね。頂いた文章によると、「大正3年、オランダのアムステルダム中央駅をモデルにして、辰野金吾の設計により完成したと言われている東京駅。この写真は完成当時の写真です。完成は大正4年(1914年)が正しいようです。」とのこと。

 文章はさらに、「アムステルダム駅に似ているという話はよく聞きますが、モデルにしたと言うのは間違いで、近代建築史の先生は様式的にも全く違うと言ってます。」とのこと。

 今回の修復作業は看板を見て鹿島さんであることは知っていたのですが、大正時代の新築工事は大林組だったそうで、「6年半の歳月をかけて完成し、100年近く工事事務所は存続し、管理してきた」そうですが、復元工事は鹿島に譲ったとのこと。

 この東京駅が出来たのは、「三菱一号館が完成してから20年も経った時点」だそうですが、「見ると分かるのですが駅前はタヌキでも出そうな原っぱです。丸の内が日本のビジネス街の中心になるのは、この駅が完成してからだったのでしょうね。」とある。

 下にその写真を掲載しておきます。実に実に懐かしいし、貴重な写真だと思います。


 復旧作業に関連した記事は、ここにあります。凄い時間と凄い人が関わったんですね。


2012年09月29日(土曜日)

 (08:25)アップルがHPの左下で謝らざるを得なかったことは分かるとして、私が疑問に思うのは「なぜ今のような惨状の状態の地図をそのまま公表したのか」です。

 だってiOS6になって最初にアップルの地図を見た人は、全員が「あれ」と思ったはずです。表示が明らかにグーグルマップより簡素、というか雑で、少し調べるとあちこち表示がおかしい。

 なぜその”惨状”をアップル社の開発担当者が見つけられなかったのか。地図(TOMTOMと言いましたっけ)の納入が直前だったとか、発売日を公表した後でどうしようもなかったとか、いろいろ考えられる。しかしアップル社の誰かがちょっと本格的に使ってみたら、「これは酷い代物」だと分かる筈です。何か出来たはずだ。それが出てしまった。

 アップルがこういう形で最高責任者による全面敗北を認めるのは珍しい。4Sの時に電話が通じにくいという問題があった。しかし当時のジョブズは「持ち方が悪いとそうなる」と言って上で、では「カバーで対応をする」と言った。全面敗北ではなかった。

 しかし今回は全面敗北ですからね。改良しますから、その間は「他社製品を使って下さいね」とまで言っている。「While we’re improving Maps, you can try alternatives by downloading map apps from the App Store like Bing, MapQuest and Waze, or use Google or Nokia maps by going to their websites and creating an icon on your home screen to their web app.」の部分です。

 そう言われる前に私はグーグルのHPに言ってダウンロードしましたが、4Sまでにデフォルトで入っていたものより使いにくい。はよアップルが「iOS6」の機能の最初に挙げて宣伝した「素晴らしい地図」の完成形を見たいと思います。

 Tim Cookが顧客に向けた手紙の全文は以下の通り。

To our customers, At Apple, we strive to make world-class products that deliver the best experience possible to our customers. With the launch of our new Maps last week, we fell short on this commitment. We are extremely sorry for the frustration this has caused our customers and we are doing everything we can to make Maps better.

We launched Maps initially with the first version of iOS. As time progressed, we wanted to provide our customers with even better Maps including features such as turn-by-turn directions, voice integration, Flyover and vector-based maps. In order to do this, we had to create a new version of Maps from the ground up.

There are already more than 100 million iOS devices using the new Apple Maps, with more and more joining us every day. In just over a week, iOS users with the new Maps have already searched for nearly half a billion locations. The more our customers use our Maps the better it will get and we greatly appreciate all of the feedback we have received from you.

While we’re improving Maps, you can try alternatives by downloading map apps from the App Store like Bing, MapQuest and Waze, or use Google or Nokia maps by going to their websites and creating an icon on your home screen to their web app.

Everything we do at Apple is aimed at making our products the best in the world. We know that you expect that from us, and we will keep working non-stop until Maps lives up to the same incredibly high standard.

Tim Cook
Apple’s CEO


2012年09月28日(金曜日)

 (16:25)日本のそれも、アメリカのそれも、プロ野球は最終局面。アメリカのナショナル・リーグや日本のセリーグのように大体においてプレーオフの顔ぶれが決まりつつあるところもあるが、アメリカのアメリカンや日本のパリーグのように「(順位を含めて)まだ分からないところ」もある。

 日本のプロ野球記事の中で私が一番面白く読んでいるのものの一つは、日経に掲載される「チェンジアップ」で、豊田泰光さんが書いている。これがいつも面白い。数日前に読んだ豊田さんの記事は、これでした

 まあ今年の阪神は真弓監督も去って、和田新監督になり期待が大きかったのに悲惨なことになった。その新監督に関しては豊田さんの分析は辛辣です。「いい人」じゃ駄目と。そういう意味では、巨人の原監督は今年は確かに「いい人」を大きく踏み出した。善し悪しは別にして。

 いつも書いているのですが、阪神の監督は二代続けて「審判に文句も言わない」「ほぼ退場がゼロ」の監督ですが、しかしあの年齢や性格だけに行動パターンが変わるとも思えない。来年も駄目かも知れないな。続投だそうなので。

 選手(金本、城島などなど)が入れ替わるからそれは面白いかも知れないが、最近見て思うのは「阪神は小さい選手が多くなって、まるで高校生のチームのようだ」ということ。あれじゃ迫力がない。多くの選手がバットを短く持っている。

 しかしそれにしても通常は3時間も続く野球を全部通してみることは全くなくなった。つまみ食いか、スポーツニュースを見て、気になた所をユーチューブなどでちょっとチェックする形。サッカーの大きな試合は全部見るのに。

 「(野球は)選手がタイムをかけられる珍しいスポーツ」と誰かが言っていたが、確かにそうですね。他のスポーツでは「タイム」は審判か監督が要求する。実にのんびりしたスポーツだ。しかしだから間合いなどが読めて面白いという面もある。

 それにしても、イチローはやっぱりヤンキースに行って良かったのでしょうね。顔も生き生きしている。残りの野球人生で「何が出来るのか」と自分で自分を試している印象がする。それにしても、と思う。「松井は何をしているのか.....」と。ちゃんと体を作っているのだろうか。いや、もっと別のことを考えて居るのか。


2012年09月27日(木曜日)

 (10:25)8月末から9月に掛けて中国の新疆ウイグル自治区(ウルムチ、トルファン)からサマルカンドなどシルクロードを移動して色々なことを思ったので、徐々に原稿にして公表しています。

 まず書いたのがman@bow第74回「大陸的粗雑さ」です。まあそれはアメリカにもあるのですが、去年のシベリア鉄道の旅でも強く思い、今回確認できたことを記事にして、今回が第一回。お楽しみに。

 ところで今日は横浜市の慶応大学日吉キャンパスに居ます。ちょっと新しいテクノロジーである「テレイグジスタンス」をロケしに。「遠隔臨場感、遠隔存在感」とも訳されるこの技術は、なかなか使えそうですよ。

 取材は「地球アステク」の為ですが、今日のアステク(午後10時 BSジャパン)は過去3ヶ月のおもしろネタを集めて特集します。

 また今日の午後6時55分からのTIMELINEは「東京・六本木のクラブで発生した集団襲撃事件」などを取り上げます。


2012年09月27日(木曜日)

 (09:25)ビジネスで使う人はフル稼動までちょっと時間を下さい.......というのがiPhone5ですね。だって、プロジェクターとかテレビとかと接続するための端子はまだ10月にならなければ出ないそうで...。暫くは4Sと同時進行にならざを得ない。

 いえ、予約開始からちょっとたって近くのau店に予約を入れていたのを忘れていたら、「今日入りました。明日ご来店できる時間は.....」と火曜日の午後に電話があったのです。昨日の午前中に大阪から東京に戻ってピックアップ。せかされながら厳しい仕事をこなしたと思われる中国の労働者の方々に感謝しながら。

 端的な印象を言うと

  1. 軽い、ちょっと長い、感触は良い、確かに綺麗に出来ている。「素早さ感」が印象として残る(塗装については結構問題があると聞いていたが)
  2. 機能的な部分では、auのテザリングはLETが強く入るところでは、確かに速い。かつ「tfree.jp」のブラウザ接続も問題なくできるので良い。接続マシンとしては満足できる
  3. バッテリーの持ちはまだ不明。しかし当たり前だがテザリングをしていると減りが速い。全体的に特に奇抜な、面白い機能は少ないが、ループ性はアップし、「世界的に売れるかも知れない」という印象は持てる
 既に「4S」でiOS6を使っているので、多分初めてこのマシンを使った人は別の印象を持つかも知れない。ループ度はiOS6としてアップした。その中で「4S」と「5」の違いはテザリングくらい。

 「売れるかも知れない」と思うのは、日本製などのスマホを比べると、手へのはまり具合、収まりが良いので、もっていても手に馴染む。それが女性達に人気の出る要因になると思う。

 ただ私としてはいくつかの要望がある。

  1. やはり支払い機能は欲しい。SUICA とIDとEDYをアプリ対応にして入れられる環境を整えて欲しい
  2. メールのダウンロードが遅いときがある。多分LTEとWIFIの電波が入れ替わったりして、優先順位が安定しないからかも知れない。見ていると、3GとLTEが頻繁に入れ替わる場所もある
  3. 初期的に何度かリブートしないと機能が安定しないケースもある
 などだろうか。そのうち「1」は本当にお願いしたい。それが出来れば二個持ちは解消する。


2012年09月26日(水曜日)

 (09:25)あらら、日経さんからお話を受けたときはこんなに大きな記事になるとは思いませんでした。

 今朝の日経の18面です。「ラジオが切り開く次代の情報発信力」という一面記事です。ま私は冗談ではなく、今のネットの時代には目をどこにでももっていけるラジオが非常に優秀な情報ツールだという意見で、まあそんなことを言わせて頂いているわけです。

 ラジオを聴けるツールは、本当に増えているんですよ。思い出すだけで、ラジコがPCとスマホ、タブレットにあり、同じようなサービスとしてNHKにはらじるらじるがある。

 FMサイドには、ドコデモFMがネット上、またアプリ上にあって、北海道から九州、沖縄までのFMが聞ける。便利です。私もたまに地方のFMを聞いたりします。テレビよりも面白いときがある。無論専用機は有用です。小型化しましたし。

 まあでもラジオを一番聞くのは車の中ですかね。テレビは動いているときは基本見れないし、ラジオが一番の情報源です。私はポッドキャストを含めてラジオの番組をいくつももたして頂いている。今後ともラジオ番組にはいろいろな形で携わっていきたいと思います。

 ユーチューブに初めて投稿した「東京駅プロジェクションマッピング」 に関しては、日曜日の夜から今までの段階で1300人以上の方に見て頂いて、「上げて良かった」と思っています。

 本当は土曜日に撮影した後直ぐに上げれば良かったのでしょうが、絵を軽くすることに手間取って遅くなってしまった。もっとiOS6の特徴を直ぐに思い浮かべれば良かった。今後はユーチューブを中心に動画はアップしようと思います。

 動画もユーチューブ経由だと簡単にアップできる。良い環境になったものです。


2012年09月25日(火曜日)

 (23:25)今日読んだ一番興味深い記事はワシントン・ポストの「Foxconn riot in China seen as likely to recur」ですね。

 アップルが21日に日本、アメリカなど9カ国で売り出したiPhone5。三日間で500万台売れたと報じられている。ということは、それだけ誰かが大量に、かつ一挙に作っていると言うことだ。納期に合わせて。

 良く知られているように、iphone5を受託生産して一挙大量生産しているのは台湾のFoxconn Techonology Group(鴻海科技集團)だと言われ、問題の工場は中国の山西省太原市で操業している。

 鴻海など台湾のOEMメーカーはベトナムでそうだが、まるで一つの市が出来るような大きな工場(この山西省太原市の工場は従業員7万8000人と伝えられる)を作り、そこで一挙大量生産をする。

 当然だがそのコンプレックスの中には工場があり、そしてその工場で働く労働者の宿舎がある。私は、鴻海の工場をベトナムで見たが、それはそれは驚くような大きな大規模な工場だった。日本人が発想しないような。規模は「10万人が働く」といったものだったと思う。一式(ジムから食堂まで)揃っているという意味では良いが、全部ここに押し込められるのはどうなんだろう、「働く人も窮屈だろう」と思った。

 ワシントン・ポストは暴動の発端に関して、新華社の報道を引用している。その部分は

New details slowly emerging about the riot this week seemed to support those descriptions. According to witnesses and a report from the state-run China News Serviceーthe most detailed official account of the riot to dateーthe incident was sparked by a clash between guards and workers at the factory in the central northern city of Taiyuan.

A large group of workers had been brought from other areas of China about a month ago to work on a large electronics order.When guards beat up workers from Shandong province, others from the same region fought back, igniting a full-fledged riot, according to the news agency’s account.

 この記事は工場がiPhone5を作っていたかどうかに関して、「Early claims that the work was related to Apple’s new iPhones has not been confirmed by either company.」と述べているが、多分時期的にはiPhone5でしょう。動画のタイトルでは「 A factory in China owned by the manufacturer of Apple's iPhones resumed production Tuesday after a brawl by workers highlighted tensions that labor groups say were worsened by the pressure of a new iPhone launch.」となっている。

 今回の鴻海の子会社工場での暴動に関してはいろいろな報道があったが、一貫しているのは「警備員が労働者を何らかの形が怒らせたことが発端」というものだ。そして重要なのは、ワシントン・ポストが「こうした暴動はまた起こる可能性が高い」としている点だ。その根拠は以下の通り。

  1. ある電気メーカーの要請により、鴻海の山西省太原市の工場(子会社が経営)は新製品を大量に作るために大規模に労働者を約一ヶ月前に中国各地から集めた。大量受注をこなすためだ
  2. しかし昔と違って、集められた労働者は比較的教育レベルが高く、以前のように「お金を貯める」「両親に送金する」ことだけを念頭に働いているわけではない。加えて中国では「労働者不足」が顕現化している
  3. しかし工場の実体は、大量注文をこなすために時間外労働が著しく増え、労働者と労働者は話も出来ず、働き終えたら寮に帰って寝るだけの生活だ。そこで求められるのは教育でも技能でもなく、ただただ苛烈な仕事(intensity)の処理だけだ
  4. 仕事が苛烈になるのは、異常な精度が求められためだ。技術も急展開する中で新型モデルを組み立てる労働者の負担は増している。にもかかわらず、会社は仕事の苛烈さをどうマネッジするかのノウハウを持たない
  5. たまるのは労働者のフラストレーションだ。端的に言えばそれは労働者が参加意識とか幸福感を得られる場所ではない(“It’s definitely not a happy place,” he said.)
 鴻海が子会社を通じて中国に持つ工場では「労働者の自殺」や「暴動」など数多くの問題が生じたことは良く知られている。しかしこの記事によれば、労働者の大量動員、大量投入という鴻海の生産方式は、「高まる労働者の不満」という問題に的確に対応できていない、という。

 特に「警備員」と「労働者」の間のいざこざが頻繁に起こるとも伝えられている。今回もそうだった。実際に両者の間で何が切っ掛けかはまだ分かっていない。出身地をからかわれたのか、何か身体的な、または方言的な問題だったのか。

 しかし労働者2000人と警備員が大規模に対立する事態となり、二人の重傷者が出ると同時に、大量の負傷者も出た。武装警官が5000人が投入されてやっと収まったというのが事態の深刻さを物語っている。

 鴻海は一連の事故をあと、「労働賃金の大幅引き上げ」などの対策を講じたと言われる。しかしまたちょっとしたことで(それは良く分からないが)、工場を一日止める事態になった。iPhone5 を手にして喜ぶのは良いが、その機種の一挙大量生産・販売の裏側で大きな問題が生じていることは理解しておいた方が良いだろう。

 月曜日のアップルの株価の引け値は 673.54であり、これは私が記憶している高値705 ドル台からはかなりの落ち込みであり、月曜日一日の下げ幅は17.25ドル、2.50%に達した。


2012年09月24日(月曜日)

 (23:25)iPad のOSをiOS6に切り替えついでにブルームバーグのAPPで最近の世界の株の動きを全体的にちらちらと見ていたら、CSI300(上海や深セン上場の中国A株300銘柄の指標)だけが非常に特徴的な動きになっていることに気がつきました。今年の5月以来、ほぼ一貫して下げているのです。(そのものではないが、ネットで見られる関連チャート

 特に先週はウォール・ストリート・ジャーナルなどの報道も合わせると、一週間でこの中国株指標は4.6%下落した。木曜日が引値で一番安く、2195.95。過去一年間で一番高かったのが去年の11月4日の2763.75。そこから一端下がった(今年1月初めは2275前後)後、5月までは上げて再び2700を越えたが、そこからは下げ一方なのだ。

 先週の金曜日、そして今週の月曜日と小反発を続けている。しかしごく僅かだ。ブルームバーグのAPP には世界中の主要株価指数の動きがコンパクトに示されるのですが、ニューヨーク、ロンドン、フランクフルトなど世界の主要市場の株価は総じて今年の6月以降はずっと上げです。ビックリするのはアテネの株価指数もこのところ上がっている。東京は強含み横ばいといった風情。

 しかし中国の株だけは世界の株が強かったこのこの数ヶ月ほど、一貫して下がっている。先週の「4.6%の株価下落」は中国の株式市場にとって一年ぶりの大幅な週間下落幅だという。既に中国の株価は3年半ぶりの安値水準にあるが、それに加えての先週の大幅安。

 要因はいくつも指摘されている。第一は景気。中国で一番信頼が置ける経済統計と言われる電力消費量は冴えない動きだし、鉱工業生産のいくつかの指標も悪い。またこの週末には中国でのダイヤモンド装飾品の売り上げ伸び率の大幅鈍化なども報道された。一言で言えば、「中国の景気は良くない」ということだ。

 第二は政局(日本風に言えば)。まだ日程は発表されていないが、10月の後半に指導部交代を控えていることも市場関係者、投資家の間で懸念材料となっている。習近平の主席就任は間違いないと言われているが、その本人が9月に入って2週間近く全く公的な席から姿を消した。

 「水泳で怪我をした」というのが公式な発表だが、「裏で権力闘争が進んでいるのではないか」との見方もある。実際に壮絶な権力闘争が行われている、と言われる。次期首相についても李克強との説が強いが、最終的に決まったわけではない。

 第三は日中対立の構図。意地のぶつかり合いの形で政治先行で進んでいる。このコーナーで何回も取り上げているが、中国側の設けたハードルは高い。中国が求めるのは「尖閣国有化の撤回」。これを日本は絶対に飲まない。騒ぐが何も日本から出てこない中で、今の中国政府ができる事は「日本に対する嫌がらせ」だけである。尖閣の周辺での中国の公船の動きを見れば分かる。経済の面でも少し出てきた。

 しかしその「嫌がらせ」は、中国が必要とする日本の資本や技術が中国に今までほど行かなくなる危険性を示す。これだけの騒動があって、今後日本の対中投資が今までのようなペース(去年は19%増だったと言われる)で増えることはあまり予想されない。

 資本が来ないと言うことは技術も来ないと言うことだ。中国はもともと年金制度が一部の都市労働者にしかなく、非常に貯蓄率の高い国だ。一説には40%と言われる。つまり内需は弱い。加えての貧富の格差拡大だ。内需が大きく伸びる環境はない。頼りは外需だが、主要な輸出先であるヨーロッパの景気はここ当面駄目だろう。ということは、中国経済には出口が見えなくなっているということだ。

 これでは、自律反発はあるかもしれないが、中国の株価が持続的に「上げ局面に戻る」と考える方が無理だ。今の中国の株価は2009年2月9日以来の安値にある。去年は22%下落し、今年も先週末までに7.8%下落した。今年の下落の半分が先週に起きている事を考えれば、「日中間の対立激化」が中国株に対する懸念増大の主因であることは確かだ。

 1960年代を中心に、中国は10年も文化大革命をやった。凄まじい動乱だった。つまり「政治優先の国」だ。共産党の支配なのだから、ある意味当然だろう。しかし今の中国には当時は無かった株式市場がある。そこに中国の富裕層は大きな額のお金を置いている。

 既に中国に対する各国の直接投資は、日本を除けば減少傾向にある。それは中国の労働賃金が必ずしも世界のレベルから見て安くなくなってきたこと、特にアメリカの企業にあってはドル安の効果もあり「諸条件を勘案すれば、米国内で生産した方が有利」という状況が生まれているからだ。キャタピラーの動きがそうだ。

 つまりここ数ヶ月間に見られる中国株の下げは構造的だという事だ。加えて、日中対立が拍車を掛けているということになる。


2012年09月23日(日曜日)

 (21:25)ははは、初めてiphoneで自分で撮った動画をユーチューブにアップしました。グーグルからはメールが来ました。「ycastercom さんが初めて動画をアップしました」と。

 アップしたのは昨日土曜日の東京駅でのプロジェクションマッピングのそれです。いろいろやったのですが、動画を軽くするのに時間がかかっていたのですが、ビデオの下にある送信マークをいじったら「YouTube」が出てきたので、「これの方が速い」とアカウントを入れたら直ぐに対応してくれた。

 私がアップした動画は、ここにしっかりありますが、警備員の警告の声まで入っていて、なかなか生々しいと思います。

 私は土曜日の午後8時に行ったので知らなかったのですが、人が集まりすぎて予定を早めて午後7時30分に一回やって、その後が私が収録した8時過ぎからのやつ。その後「人が多すぎる」と中止になった。日曜日は酷い雨だったのでむろん行きませんでした。

 本当はこのユーチューブの動画を自分のHPに埋め込んだり出来るようですが、面倒なのでhttp://www.youtube.com/watch?v=_0o-MzaaMLI&feature=plcpで直接見て頂ければ幸甚です。

 こう考えると、ユーチューブも使えますね。いろいろと。この動画は10分30秒くらいなのでアップするのに20分ほど(?)かかりましたが、短いのだったら簡単に入れることが出来る。ナイスです。役に立つ。


2012年09月22日(土曜日)

 (23:25)以前取材したことがあるプロジェクションマッピングなので、東京駅まで見に行きました。大きな、複雑な対象で実際にやるとどうなるのか見たくて。

 もう凄い人でした。車道にまで人が溢れて、警備の人が「車道には出ないで下さい」とわめく中での開演。さすがに対象が大きいし、馴染みの建物が相手だけに「こんなに変わるのか」と非常に面白かった。

 私は結構いいポジション、つまり全体像が入るようにある程度駅から離れて、しかしそれほど遠くではない場所でずっと10分強撮影をしていました。とっても良く撮れてフェースブックにでもアップしようとしたのですが、何回トライしても、速い回線でやっても駄目。まだ画素数が高すぎるんでしょうね。しかし家のテレビで見ると迫力がある。

 で皆さんにはユーチューブにあったリハーサル動画を紹介します。しかし正直言って私が撮った絵の方が良い。なぜなら、現場の緊張感、人々の頭、歓声、そして警備員の必死の声が入っていますから。そしてずっと全体像を撮ったので、全体の動きが分かるのです。

 ユーチューブのは、時々寄りがあるが、それで全体の動きが捨象されている。うーん、私もアップに努めますが、いつになることやら。それにしても、ナイスな試みでした。

 なおあまり人が多くて、土曜日だけで午後8時台に10分強のパフィーマンスを3回の予定でしたが、一回で打ちきりとなりました。明日はどうなるんだろう。


2012年09月21日(金曜日)

 (13:25)久しぶりに大リーグの試合を見ていたら、たった二日間でイチローが9本もヒットを打ちました。昨日のダブルヘッダーで7本、今日は本塁打と二塁打。今日の打点は3で、チーム初打点と逆転の2点打。凄いですね。現地テレビのヒーローインタビューを二日連続で受けていました。

 昨日の8打数7安打も凄かったが、今日の二本のヒットも非常に重要。2点先行された後の反撃ののろしと、次の打席でのライトの右への二塁打。この3点でチームは勢いづいてトロントに勝ち、地区2位のオリオールズとのゲーム差を「1」に拡大した。

 イチロー選手は本当にヤンキースに来て良かったのではないでしょうか。彼の顔(試合中、インタビューの最中)から、「優勝争いを出来ている喜び」が出ている。「この時期にこの勝負が出来ていることが嬉しい」と。満塁本塁打を打ったスイッシャーも「イチローのようになりたい」と言っていて、チームに溶け込んでいることが分かる。

 昨日今日のような活躍を見せれば、ジラルディーももっと使わざるを得ないでしょう。今まではピッチャーが左だとイチローを外してオーダーを組むことが多かった。ファンが出ないと承知できない選手になりつつある。ニューヨークでも。

 イチローが思惑通りプレーオフに出られるかどうかは、明日からのアスレチックスとの3連戦が重要です。アメリカンの西でアスレチックスは2位ですが、勝率が高いレンジャースとそれほど離れているわけではない。

 万が一ヤンキースがオリオールズとの地区優勝争いに負ければ、今度はワイルドカード争いでの勝率でアスレチックスかレンジャースとの戦いになる。そのアスレチックスには明日からの3連戦できっちり勝っておく必要がある。つまり相手のチームの勝率を落としておく必要がある。

 勝ち続ければオリオールズには追いつかれない。勝負所の試合が続くと言うことですが、イチローの打率も0.279まで上がってきた。これでも彼の打率としては寂しいが、このところの集中打は彼が引き続き「輝きを持つ選手」であることを証明している。


2012年09月21日(金曜日)

 (06:25)「接合」、つまりモノとモノをくっつけるのに接着剤もテープも、はんだも、さらに熱も使わないという新しい接合技術を取材・ロケしました。接合の役割を担っているのはなんと「原子と原子が引きあう力」(原子間力)。

 その結果は、(接合によく使う)熱による曲がりも、接着物質を使うことによる厚ぼったさも不必要な物質の混合もない。両方のモノの原子を直接強く引き合わせるため、この手の接合は集積度を従来より非常に高くしたり、密度の高い接合により真空空間をチップ上に作ることも出来る。

 その技術は「常温接合」と言いますが、接合に何の力を使うかという事を考えると、私は「常温原子接合」と呼ぶのが良いと思う。分かりやすい。金属やガラスなど色々なものに応用できる。

 原理はここによく説明されています。お伺いした東京大学本郷の須賀唯知教授 技術発展の系譜ですの研究室で見させて頂きました。具体的に

  1. 私が乗っても耐えたアルミ片の接合
  2. (常温接合技術を使った)絶対圧センサー(50cmの高低差における気圧を正確に検知)
  3. (同)有機EL照明
 「実に応用範囲が広い技術だ」と思いました。半導体は集積度が高まるし、完璧に近い「封止技術」(真空状態を閉じ込めたり、水分が入らないようになど様々な目的で)にも使うことが出来る。

 嬉しいのがこの「常温接合技術」が Made in Japanだということです。「海外ではやっていない」と須賀先生。しかし優れた技術だから既に「海外から引き合いが多い」と。

 こうした技術を育んだ全体的に高い日本の高いレベル、接合技術を一貫して育て、実用段階まで高めた須賀先生の存在を嬉しく思うと同時に、こうした技術を日本全体としてさらなる高みに持って行かなければならない、と思いました。詳細は10月の中旬頃に、夜10時の「地球アステク」で放送されます。お楽しみに。


2012年09月20日(木曜日)

 (08:25)昨日は一日かけて、豊洲と虎ノ門の間を主に地下(といっても片道2車線の立派な道路です)で結ぶ環状2号線の地下工事と、その立ち退き問題とも関連して虎ノ門に出来つつある高層ビル(今の呼び名は「虎ノ門街区」)を取材しました。

 環状2号線はイメージとしては首都高の山手トンネルを思い浮かべて頂ければ良い。環状6号線の下を走っている高速道路です。環状2号線は一般道ですが、規模はでかいし立派です。我々が見せて貰ったのは新橋から虎ノ門に向かう一角。2017年の完成と聞きました。

 うーん、環状2号線じゃあまり色気がないですよね。だから私は「豊洲ー虎ノ門道路」とか「TT道路」と呼べば良いんじゃないかなと思いました。それにしても第1京浜の下を通りながら、地下鉄の上を通すという難しい場所での工事です。

新橋の日比谷神社から見た虎ノ門街区ビル  虎ノ門街区のビルはその大きさ(既に37階にまで伸びています)故に、新橋や愛宕、虎ノ門を通りかかった人は既に気がつかれているのではないでしょうか。本当の意味で「複合ビル」です。一階から5階まで商業施設が入り、その上が事務所、その上がマンション、さらにその上がホテル。

 もっとも複合さがポイントではなく、その工法と使われているテクノロジーが凄かった。「逆打ち工法」「三次元レーザー位置測定器」それに「(道路の)振動波及を押さえるためのマット工法」など。

 なにせビルの下を環状2号線が通っています。「道路の上の超高層、大容量ビル」。52階、高さ247メートルまで伸びるとのこと。工事中にも関わらず27階まで上がって取材させて頂きましたが、まあ景色の良いこと。皇居も、そして恐らく東京湾の花火もすごく良く見える。

 一階は大きなスペースが生じるようで、緑が豊かでお茶が出来る憩いの場ができそうです。うーん、あの上のホテルには一回泊まってみても良いな。外資系だそうです。あと2年後くらいに出来る。多分、凄いパノラマです。楽しみです。

 ところで、今日の夜10時の「地球アステク」は、「ここまで来た!最先端の画像認識」をお送りします。皆さんのケイタイがすっごく進んできている、という話です。使い方次第では大きな武器になりますよ。

 また今日の午後6時50分からの「タイムライン」では、「セブン&アイ・ホールディングスが傘下のイトーヨーカ堂で2015年度をめどに従業員のパート比率を9割に高め、約8600人の正社員を半減する方針を正式に表明」した問題をどう捉えるかなどを放送します。

 金曜日のTBS森本毅郎スタンバイ伊藤 洋一のRoundup World Nowは何時も通りですが、今週はラウンドアップの後に午後11時からアルコニックス株式会社・代表取締役社長の正木英逸(まさき・えいいつ)さんを招いた特別番組を放送します。

 中国との付き合い方やレアメタルの今後など。非常に面白い話が展開しますから、お楽しみに。今日は一日東京大学本郷で、「常温接合技術」を取材します。


2012年09月19日(水曜日)

 (08:25)昨日雨による新幹線寸断もあって帰京を諦めて大阪のホテルに泊まったので、ロケに間に合うように今朝早くの新幹線で移動しています。比較的混んでいる。私のような人が一杯いるのでしょう。

 それにしても、今回の日中の対峙は沈静化させるにはハードルが高いですな。何せ中国が要求しているのが「国有化の撤回」ですから。それは日本、というより外交下手の野田政権でもしないでしょう。しかし中国も一回公表して上げてしまった腕をなかなか下ろせない。

 16日のこのコーナーで中国の対日態度が硬化した背景について「さらにAPECの会合の席で胡錦濤主席が恐い顔をして野田首相に国有化に反対したその翌日に野田内閣が国有化を正式発表したことから、顔を潰されたと考えた」と指摘しましたが、この見方を傍証するような話がかなり漏れてきている。胡錦濤は非常に無視されたことを怒ったと。

 とすると、今回の一連の中国の対日強硬姿勢は「最高指導者の怒りから発している」ということになる。無論院政を敷きたいというような思惑もあるのでしょうが、私は基本的に「胡錦濤の怒り」が発端だと思っている。なんでもそうだが「怒り」から発した行動というのは、落とし処を考えないケースが多い。今回がそうだろう。

 ということは、例えば中国各地でのデモは中国の国際的なイメージを悪化させるのでそのうち沈静化すると思うが、中国側の対日挑発は続くと言うことだ。多分大量出港した漁船を尖閣に向かわせないのは、「偶発的暴発」で「不慮の事態」が発生することを中国側も恐れているのだと思う。漁船デモが暴徒化して死者が出たりしたら、日中間で戦闘状態、戦争状態になる危険性もある。

 そこで重要なのは尖閣のステータスだ。日米間の「沖縄返還」では尖閣は対象に入っている。故にアメリカはクリントンでもパネッタでも「尖閣は日米安保の対象」と言っている。その姿勢が変わらない限りは、中国の軍は尖閣に手を出せない。それは米中が対峙することになるからだ。

 であるが故に中国の梁光烈(リャングァンリエ)国防相はパネッタ長官(日本に立ち寄った後に北京を訪問)に対して、「過熱化の責任は完全に日本にある」と述べたのに加えて、米国の対日防衛義務を定めた日米安保条約第5条の尖閣諸島への適用については、「断固反対する」と述べている。

 アメリカがそれに「分かりました」と折れる可能性は薄い。何せ是々非々では付き合うことを決めているが、アメリカにとって中国は一番の懸念対象だ。その描く世界の構図、望ましい形に挑戦する最大の異分子に見えているはずだ。今回も中国をWTO提訴(自動車部品でしたっけ)した。しかし中国がそこまで、つまり尖閣を巡って軍事力を使う可能性と、その時の障害(日米安保条約)について考えている、というのは重要だ。

 ハードルを高くした中国と、態度を変えそうもない日本。恐らく最低来月に予定されている次期指導部発足までは、「胡錦濤の怒り」を背景に中国側の日本に対する牽制(最低、公船による尖閣接近など)は続くだろう。

 問題は、「これだけ行動しても、結局今の政府は何も日本から得られない」と分かったときの中国の若者、労働者の反応だ。中国共産党の指導部はそれも探っているに違いない。


2012年09月18日(火曜日)

 (13:25)日本では誰もあまり注目しない、という過去のアメリカ大統領選挙には見られなかった特徴がある中で、今日で「大統領選挙まで50日」を切ったとか。一体どちらがどうなっているのか。

 今日ワシントン・ポストに非常に面白い記事を発見しました。「Romney campaign faces distractions」というのです。「distraction」とは「気が散る」とか「外れる」という意味なので、要するに選挙運動がうまく行っていない、ということです。陣営はそうは言わないが、モメンタムが失われつつある。

 むろん、オバマ大統領にも4年前に感じられた勢いは今回はない。だからまだどうなるか分からないのですが、相変わらずロムニーには「大統領の資格があるのか」「最後は信頼できない人物なのではないか」との疑念が消えない。

 ワシントン・ポストを含め今日一斉にアメリカのマスメディアが報じているのは、今年の5月17日のBoca Raton(にフロリダ州)での資金集め、つまり身内の会合で述べたロムニーの発言ビデオです。カメラの角度から隠し撮りされていることは明確ですが、彼はここでロムニーの発言「Romney Calls 47% of Voters Dependent in Leaked Video」と述べた。

 これはちょっと刺激的でしょう。「アメリカ国民の47%は政府に依存している。ヘルスケア、食糧、ハウジングなどで援助を受けるのが当然と思っている」と述べたという。日本の選挙もそうですが、アメリカでも一定の年齢に達すれば一人一票です。多くのアメリカ人はこの発言を聞いて、「自分は47%か」と考えるでしょうし、そうした発言をした人物の人格に疑問を持ち、反感を持つでしょう。

 だから「Advisers, donors and other top Romney supporters on Monday depicted a campaign in turmoil, saying that a series of strategic errors have set back the effort.」との見方が出てきているとワシントン・ポストは報じている。ロムニーの脇あまな発言もこの errors の中に入るに違いない。

 選挙は最後まで水ものです。オバマも今のイスラム諸国で見られた騒動に関しては、過去の外交政策を問われている。また二人が直接対峙する討論会もこれからだ。しかしロムニーがずっと優位だった「経済」でもオバマが支持で上回った現状から見れば、今の情勢からはアメリカの次期大統領はまたオバマがなる、と見ることが可能だと思う。


2012年09月17日(月曜日)

 (19:25)今日はとっても悲しい写真から。今朝通りかかって撮ったものです。国会の正面から皇居に向かって降りる。斜め右に行くと霞ヶ関(具体的には警視庁)から地裁、日比谷公園、さらには銀座4丁目、左に行くと最高裁、国立劇場、半蔵門。

国会前の道を皇居に向かって降りた左側  写真はその左に行く途中にある道路の角地です。明らかに雑草がもともとの植木よりも背も高く伸び、かつ繁茂している。国会から歩いて直ぐの所、皇居の手前です。

 そりゃ雑草も生きているんだし、「景色になりうる」という考え方だってできると思いますよ。管轄がどうなっているのか知りませんが、国会の前の道路、国会見える部分は比較的雑草が処理されて綺麗です。

 しかしそこからほんのちょっと左に入って、カメラを構えても国会が僅かに右の木に隠れる位置になるとこの有様。ちょっと悲しくないですか。予算の削減なのか、ただ忘れただけなのか。

 ウルムチだって、タシケントだってもっと綺麗にしていました。ちゃんと掃除する人もいて、貧しいながらも街を清潔にしようという方針だけは感じられた。東京は全体的には綺麗だと思うが、こうしたところにちょこちょこ手抜きが感じされるようになった。悲しいことです。


2012年09月16日(日曜日)

 (22:25)「中国人はみんな怒っている」「アメリカにいる中国人も」と示したいのでしょう。しかし、破壊する、略奪する、国旗を焼く。

 もう見飽きてきましたね。何かあるとこの所作、集団行動。とても我々が昔の中国に抱いていたイメージではない。理性はないし、野蛮としかいいようがない。日本では誰もそんなことはしない。

 壊されているのは日系工場であろうと中国人が何万の単位で職を得ている場所であり、多くが中国人の所有の日本料理屋であり、中国人が所有している車です。

 当局がどのくらい関与しているのか知らないが、「常軌を逸しつつある」し、「制御不能の段階」に入ってきているとも受け取れる。数日中に制御の方向に向かわなければ、中国の国際的評価や共産党の支配体制を含めて、中国自身にとって大きなマイナスになるでしょう。

 今回の騒動は明らかに官製メディアが煽った。CCTVなどは最初は尖閣の問題を非常にローキーに報じていた。それが変わったのが、ウラジオストックでのAPECでの胡錦濤主席と野田首相の会談後、日本が正式に国有化を発表してからです。

 金曜日のラジオでも言ったのですが、二つの背景があると思う。

  1. 石原さん率いる都の購入だったら中国には無いことなので、「またあの右翼的な人が何か変なことを」という理解だったが、その後の”国有化”で「日本は仕組んだ」と中国は理解した
  2. さらにAPECの会合の席で胡錦濤主席が恐い顔をして野田首相に国有化に反対したその翌日に野田内閣が国有化を正式発表したことから、「顔を潰された」と考えた
 ということです。その間に多分日中間の意思疎通のトライはあったのでしょうが、もともと外交音痴の民主党には中国の上層部に「実は(国有化は尖閣の)ステータスの変更を意味するものではない」というメッセージをきちんと送れなかったのではないか、と思うのです。

 さらにトップの顔を潰されたとあって、中国は過去に例の無いような行動に政府、民衆とも出てきている、ということです。しかし実は、「では実際に破壊、略奪以外に中国が何が出来るか」というとそれほどない。

 漁船を大挙して送るとか言っているが、それは中国国内の混乱を拡大するだけでしょう。不慮の事故が起きれば日中とも対処に困ることになる。アメリカは「尖閣は日米安保の対象」と言っているのだから、軍は手を出せない。

 とすると、中国としてもそろそろ収束を考えざるを得ない状況だと思う。それにしても中国が失うものの方が大きいと思うと同時に、日本の外交力(何かの発表のタイミングを含めて)も落ちたものだと思う。


2012年09月15日(土曜日)

 (05:25)今週の取材で、これは使えるサイトだと思ったのは国立国会図書館のそれです。

 実は木曜日にあの国会の隣にある国立国会図書館(NATIONAL DIET LIBRARY)で一日ロケをし、「図書館テクノロジー」を取材したのですが、日本の図書館全体がこの図書館を中心に大きく変わってきていることを発見。

 具体的に「使える」と思ったのが、国会図書館の「検索サイト」(http://iss.ndl.go.jp)です。このサイトで例えば「インド it」と検索すると、私が書いたITとカースト : インド・成長の秘密と苦悩も出てくるのですが、右側の「見る、借りる」のコーナーに行くと、この本が置いてある全国の図書館が直ちにリストアップされる。つまり全国どの地域に住んでいる人でも使えるサイトになっている。

 それからこれは全く予想外、というか驚いたのですが、このサイトはアマゾンや紀伊国屋など本の販売サイトにも繋がっていますし、伊能忠敬の古地図など著作権が切れたものについてはそのまま電子情報として収納され、公開されていること。是非今後利用しようと思いました。番組は10月の初めに放送されます。

 一方金曜日はアルコニックスの正木社長と1時間弱インタビューし、番組収録。同社は非鉄金属とレアメタルの専門商社ですが、商社トップとして日本経済や日中関係をどう見ているかをお聞きした。

 正木社長の「日本経済論」は凄く同意できて面白かった。それにレアメタルの主要産地である中国と今日本はぎくしゃくしているのですが、その中国との付き合い方も独自のものがあって参考になりました。番組は来週の夜11時までの通常番組の後に放送されます。


2012年09月14日(金曜日)

 (05:25)詰まるところ「雇用が思ったように伸びない故にQE3に踏み切りました」と説明したFOMC声明です。そして打ち出した措置は

  1. 月あたり400億ドルの住宅ローン関連の証券(agency発行分)の追加購入(purchasing additional agency mortgage-backed securities at a pace of $40 billion per month)
  2. 従来措置と合わせて年末まで毎月約850億ドル分の市場への資金供給(These actions, which together will increase the Committee’s holdings of longer-term securities by about $85 billion each month through the end of the year)
  3. 実質的ゼロ金利政策の継続期間の2015年半ばまでの半年先延ばし(exceptionally low levels for the federal funds rate are likely to be warranted at least through mid-2015. 従来は2014年末だった)
 問題は金融市場にはき出される資金の量がそれだけ多くなることは確かだとして、それが経済活動、企業活動の活発化に使われるかどうかです。FRB組織に準備金として戻ってきてしまったらナンの役にも立たない。

 マーケットは素直に反応した。今見た段階で、ニューヨークの株価はダウが13539.86ドルとなっており、これは前日引値に対して+206.51ドル、1.55%の上昇。まあでも金融相場の様相もある。米企業が雇用を増やすかどうかのポイントは、世界経済の動向などいろいろある。ヨーロッパの景気が良くなるのか、中国は大丈夫かなど。

 日本にとって注意しておかねばならないのは為替です。円はユーロに対してはある程度下がった。100円前後です。しかし米ドルに対しては米当局の緩和姿勢を受けて強くなっている。昨夜は77円12銭まであり、76円台がのぞめるところまで円高が進んだ。今は77円50銭前後。

 「介入すべきかどうか」の判断を迫られる局面に入っている。

Release Date: September 13, 2012

For immediate release

Information received since the Federal Open Market Committee met in August suggests that economic activity has continued to expand at a moderate pace in recent months. Growth in employment has been slow, and the unemployment rate remains elevated. Household spending has continued to advance, but growth in business fixed investment appears to have slowed. The housing sector has shown some further signs of improvement, albeit from a depressed level. Inflation has been subdued, although the prices of some key commodities have increased recently. Longer-term inflation expectations have remained stable.

Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee is concerned that, without further policy accommodation, economic growth might not be strong enough to generate sustained improvement in labor market conditions. Furthermore, strains in global financial markets continue to pose significant downside risks to the economic outlook. The Committee also anticipates that inflation over the medium term likely would run at or below its 2 percent objective.

To support a stronger economic recovery and to help ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with its dual mandate, the Committee agreed today to increase policy accommodation by purchasing additional agency mortgage-backed securities at a pace of $40 billion per month. The Committee also will continue through the end of the year its program to extend the average maturity of its holdings of securities as announced in June, and it is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities. These actions, which together will increase the Committee’s holdings of longer-term securities by about $85 billion each month through the end of the year, should put downward pressure on longer-term interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial conditions more accommodative.

The Committee will closely monitor incoming information on economic and financial developments in coming months. If the outlook for the labor market does not improve substantially, the Committee will continue its purchases of agency mortgage-backed securities, undertake additional asset purchases, and employ its other policy tools as appropriate until such improvement is achieved in a context of price stability. In determining the size, pace, and composition of its asset purchases, the Committee will, as always, take appropriate account of the likely efficacy and costs of such purchases. To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee expects that a highly accommodative stance of monetary policy will remain appropriate for a considerable time after the economic recovery strengthens. In particular, the Committee also decided today to keep the target range for the federal funds rate at 0 to 1/4 percent and currently anticipates that exceptionally low levels for the federal funds rate are likely to be warranted at least through mid-2015. Voting for the FOMC monetary policy action were: Ben S. Bernanke, Chairman; William C. Dudley, Vice Chairman; Elizabeth A. Duke; Dennis P. Lockhart; Sandra Pianalto; Jerome H. Powell; Sarah Bloom Raskin; Jeremy C. Stein; Daniel K. Tarullo; John C. Williams; and Janet L. Yellen. Voting against the action was Jeffrey M. Lacker, who opposed additional asset purchases and preferred to omit the description of the time period over which exceptionally low levels for the federal funds rate are likely to be warranted.


2012年09月13日(木曜日)

 (01:55)はよ寝たので、アップルが何を出すか待ちながらこの文章を書いていますが、昨日はちょっと面白い講演をしました。大手町の日経ホールでの講演だったのですが、前のスクリーンの右側に私のiphoneの画面を、左に私のipadの画面を出しながらやった。私としては初めて。

左にipad、右にiphoneの画面をプロジェクターを通して出しての、そして操作しての講演風景  この講演の話が来たのは数ヶ月前ですが、「モバイルが経済の中心になっていきますよ」というテーマだということだったので、「じゃ、PCの画面を見せたり動画をやるよりも、iphone、ipadの画面を直接見せながらやりたい」ということで、私からいくつかお願いしました。

  1. ホール正面の大スクリーンを二分割して欲しい
  2. プロジェクターを通してその一方にipadの画面を、もう一方にiphoneの画面を出す
  3. かつ会場に無線LANを出して欲しい
 というものだったと思います。最初の打ち合わせの時は、担当者の方も「ホールと相談してみます」ということだった。確信が無かったのでしょうね。その後もう一度打ち合わせし、別の日にこちらの機器を持ってホールに相性を見に行き、さらに昨日早めに行って予定通りの運用ができるかどうか最終確認した。あのホールでも「そういうことはしたことがない」ということなので。私としては結構念入りの準備だった。

 40分というそれほど長い時間はない講演なので、ちょっと前説を言って、あとは実演....と思っていたのです。既に機能的にPCを上回ったモバイルの世界を直接お見せしようと。この両方のモバイルの画面が直接大写しにされるということは、例えば「音声入力」がリアルタイムで画面に現れる、ということです。

今年8月01日の左にwindows8、右にOS ] MOUNTAIN LIONの講演 六本木アカデミーヒルズ  皆さんにも紹介しましたが、私は今年の8月、確か1日だと持ったのですが、六本木のヒルズアカデミーで、左にwindows8、右にOS ] MOUNTAIN LIONを出して講演した。これも面白かったのですが、今後はモバイルを使っての講演が増えるだろうと、と思いました。

 ま、その為には条件がいろいろあります。モバイルの画面を出す接続機器が揃っている必要がある。分割機能とかを含めて、会場サイドの話です。あとは実際に会場の機能と私が持っている機器の間で接続を行ってみて、相性を見ることです。相性ですから悪くなることもある。その時どうするかも考えておく。

 あとで考えれば当然ですが、今日気がついたことは、iphoneの接続が最初不安定だった。ipad は安定しているのに。その理由は私のiphone にはカバーが掛かっていることでした。つまり接触度が足りなかった。ちょっとしたことでも勉強になる。

 ところで、今日の夜10時BSジャパンの「地球アステク」は、第76回として独立行政法人「農業・食品産業技術総合研究機構の作物研究所」などでロケを敢行した「コメの新たな活用法!飼料用イネ」をお送りします。

 お米の新たで合理的な活用法に、皆さんびっくりしますよ。その前の東京FM Time Lineは、日本時間の今朝発表になったアップルの新しい製品について林信行さんの話を聞いたり、私の「シルクロードの旅」話をしたりです。お楽しみに。


2012年09月12日(水曜日)

 (09:35)一体中国では何が起きているんでしょうね。習近平(副主席)は10日以上も動静が全く伝えられず、国営テレビでも触れられていない。また今まで日本との関係ではネット世論よりも遙かに抑え気味な報道をしていた国営テレビが、一斉に対日非難報道を強めている。

 習近平の動静(出てこないこと)については欧米のメディアは2〜3日前から大きく扱っていて、今朝はさすがに日本の新聞も扱い始めた。「秋の党大会」とされるだけで日程も決まっていない中で、「習近平同士は一日15時間働いて疲れた」という一部報道もある。

 しかし元首になる人がそのくらいで倒れていては、13億の民を導けない気もする。かつ、ちょっとした疲れならCCTVに動静が報じられても良いはずだ。なにせ次の中国の最高指導者にもうすぐなるのだから、国営メディアも盛り上げが必要なはずだ。世界が注目する中で今日、明日にもその動向が公表されなければ、「ちょっとおかしなこと」が起きている可能性もある。重大な病気とか、もっと行けば失脚とか。

 中国の国営メディアの対日態度豹変に関しては、二つの可能性があると思う。一つは「政府が買い取った」という意味合いが日本以上に中国では「強いメッセージ」として伝わり、それが中国の強い反応に繋がっている可能性がある。この可能性は高いと思う。島の上に小屋を作るより中国人は「国有」と言う言葉の意味を強く感じている可能性がある。

 次に考えられるのは、「習近平が出てこないことにもしかしたら関係している」のではないか。つまり、中国国内(国民の間)でも「習近平が出てこないことはおかしい」と思われ始める中で、メディアはその関心を別のこと、つまり「尖閣」に向けようとしているという説だ。以下のウォール・ストリート・ジャーナルの記事もその可能性を指摘している。

Some Western analysts say they believe the strong public defense of China’s territorial claims may be a means of deflecting attention from an unusually rocky succession process by shaking up the strong Chinese nationalist feelings against Japan.
 つい一週間前に私は中国の新疆ウイグル自治区に居た。だからといって中国の北京で何が起きているかについて情報があるわけではない。しかし一つだけ言える。それは「どうみても景気は良さそうではなかった」ということだ。商店街などを覗いて。

 温家宝首相は、「7.5%成長には自信がある」と言ったらしいが、この成長率はまだ国民一人当たりのGDPが日本の10分の一の中国にしてみればかなり低い。先進国の成長率から見れば高いが、それはある意味当然である。

 感覚としては先進国のゼロ成長に近いのではないか。中国のエコノミストの中には、「中国は最低7%成長しないと、国内の雇用の伸びを吸収できない」と言っているが、8%とか9.5%とか成長している時でも、中国の大卒の就職率が異常に低かったことは良く知られている。

 尖閣問題が注目される中で、中国の政治の方に大きく動いている、それが事態を複雑にしていると思う。


2012年09月11日(火曜日)

 (23:35)今日「良かったな」と思ったし、「そんな方法があるんだ」と思ったのは、「なかにし礼さんが陽子線治療を行って食道がんを克服した」という記事です。夕刊フジに出ていた。

 知らなかったのですが、なかにしさんは27歳と54歳で「心筋梗塞を患った」過去があるそうな。そして今回の食道がん発見。(がんを)手術で直す事への不安、体への負担が頭をよぎったと。そこで今回トライしたのが陽子線治療だと。

 フジによると、「陽子線は放射線の一種で、決められた場所にピタリと止まる性格を持つ」らしい。そのため「がんをくり抜くように治療できる」。「つまり、一カ所に固まっているがんに有効」という。

 具体的には、「肝がん、前立腺がん、肺がん、食道がん、頭頸部がん、脳腫瘍」など。ただし「胃がんは対象外」と。胃は動きますから。あと全身に散らばったがんなどは難しい、と。なかにしさんが患った「食道がん」は陽子線治療の対象だったと言うことです。

 普通のX線の放射線は「体を通り抜ける性格を持つ」ということで、良く知られているように副作用が大きい。それが嫌で照射を嫌がる方もいる、と聞いている。そこで先進医療として認められている陽子線治療が注目を浴びているし、なかにしさんは自分のがんを克服した。

 まだ保険が効かないという弱点はあるそうだが、フジに載っていた料金を見たらそほど法外ではない。「先進医療特約」でカバーできる保険もあるそうで、同じ問題を抱えた方には朗報ではないでしょうか。

 なかにしさんとはひょんな事からお知り合いで、治療中のなかにしさんにもお会いしたことがあるので、「良かったな」と思っている次第。


2012年09月10日(月曜日)

 (20:35)全くの混迷状態に入った、と言って過言ではないでしょう。日本の政治情勢です。谷垣・自由民主党総裁の「総裁選不出馬」発表は驚きましたが、次の日本の政権は一体どういう構成になるのか。もっと驚くことが起きるかも知れない。

 一つ明らかなのは、「どの党にも”これ”という総理候補がいない」ということです。かつ選挙をしたら「この政党が大勝しそうだ」という政党もない。かつ不確定要素として(それは良い意味でもあるが)、今までの既成政党とは全く違う「維新の会」という存在がある。

 モメンタム的に言うと民主党は明らかに落ち目です。誰が党首になっても過去3年間の失政、政策のぶれ、外交面での失態のツケは支払わなければならない。国民の新たな支持が集まるとも思えない。

 では自民党はどうか。新しい党首が誰になるかで、若干の変化はあるかもしれない。しかし、谷垣時代に与党の失政にもかかわらず支持率が上がらなかったのは、谷垣さん一人の責任ではないでしょう。党が魅力を失っている証拠だと思う。ということは、3年前の民主党のような大勝はどうだろうか。

 みんなは分裂状態だし、生活も国民的支持を欠く。他の弱小政党もそうだ。一つ不確定要素があるのは、「維新の会」だ。この国政レベルではなにも試されていない政党には、爆発力が隠されている可能性がある。

 しかし私は東国原さんとか今この会が呼び集めてるメンバーを見て首を傾げたくなる。「本当にそれで良いと思っているのか」と。そこにどんな思想、哲学があるのかと。「日本をどげんかせにゃいかん」と言うだけで動くような図体が小さい存在では日本はない。外交だけでも懸案が山積みだ。

 つまり「維新の会」は試されていないし、国民の多くは「本当に大丈夫だろうか」と思っているはずだ。そういう政党は、「そこそこは行くが、イマイチ」で終わると見るのが自然だ。

 とすると、次の日本の政権はまたしても「連立」になると考えるのが自然か。「連立」になると、思わぬ政党から思わぬ人が入閣し、思わぬ内閣になる可能性がある。それは総理大臣を含めてだ。

 そうした不安定な状況に日本は入った、と今日の昼に思った。それにしても、谷垣さんはなぜ不出馬を決断せざるを得なかったのか。「味方を作るのを怠った」という日経ネットの解説が説得力を持っていた。


2012年09月09日(日曜日)

 (13:35)「日本はええな...」としみじみ思っています。何よりも空気が綺麗です。中国のようなスモッグもなければ、ウズベキスタンのような砂っぽさもない。もっともじっとりと暑いですが。

 何よりも千葉県の上空にさしかかったときの空気の澄んでいること。昨日の話ですが。下がくっきりと見える。同じ日の北京空港では朝でしたが、すごくもやっていましたから。この空気の綺麗さが大陸にないものです。中国では雲の形が良く分からない。もやと溶け込んで。日本では雲はくっきりです。

 ネットも制約無く何でも出てくるし、通信速度の問題もない。ウズベキスタンではそもそも写真が出てきませんでしたし、ユーチューブは全く駄目。無線でも有線でもLANと呼べない。3Gの方が速い印象でした。

 今は「帰国儀式」の消化中。「九州ジャンガララーメン」を食べ、「くずきり」を食べ。あとCoCo壱番屋の「牛しゃぶナス」を食べないと。しゃぶしゃぶも食べたいな。豚ちゃんが好きです。それらが終わると、現実への回避です。

 10日間だけですが、これが食べたい飲みたいと思ったものは、美味しいコーヒー。そして美味しいアイスクリーム。向こうではなかなかないですよ。時間があるときに、例えばタシケントを歩きましたが、何軒か歩かないと。その殆どがインスタントです。

 ハミウリとかいろいろ日本では食べられないものがあるのでそれは良いのですが、やはり口寂しくなる。ハミウリでも、新疆ウイグル自治区のハミウリ(ちょっと黄みががかっている)よりも、タシケントで食べた白いものが甘くて美味しい。

 毎回のことですが、帰国するとNHKオンデマンドなどで期間中に見落とした番組の中で良いものがあったら見るのですが、今回はないですね。だからテーマ別の特集から「文明の道」の中に「ソグド人の特集」があることを見附けて、それを見たり。

 昨日まで見ていたものに関してまた別の角度から見れるのは良い。ま、明日からは現実回帰ですね。ちょっと名残惜しいが。


2012年09月08日(土曜日)

 (13:35)最後にタシケントから成田への移動の途中で飛行機乗り換えで降り立った北京での話。そこで知り合いから面白い数字を聞きましたので一つ。

  1. 中国の世界における車保有台数の割合は3%
  2. その中国で発生する交通事故の割合は世界の14%
  3. その事故で発生する中国での死亡者の数は、年間14万人
 結構凄い数でしょ。信頼できる人の話です。「運転者は教育しなければ駄目だ」と皆が言う。しかし教育が全く追いついていない。酒は飲む、無謀運転はする。「教育なし」の中国の交通事情。

 実際にタシケントから到着したターミナルから、北京の空港の中でオリンピック用に4年前に作られた第三ターミナルに15分ほどバスで移動する間に、車線をまたいでふらふらしているタクシーと危うくぶつかりそうになった。

 旅の最後の最後にひやっとした。中国で運転する人、車に乗る人はご注意を。


2012年09月08日(土曜日)

 (08:35)それにしても、「何でこんなに環境が悪いところばかり移動しているんだろう」とずっと思っていた道中でした。「環境」とはネット環境のことです。別に常に最新ニュースをチェックしていたいというのではない。必要な情報の送受信がスムーズに出来ないことにいらだったわけです。

 ウルムチ、トルファンなどを移動した中国の新疆ウイグル自治区では、ホテルのネット環境は有線ながら良かった。比較的容量の大きな写真も送れた。ケイタイもまずまず。しかし、SNSが駄目でした。ネットで「facebook.com」を開こうとすると、かならず「k」のところで止まった。だから何もSNSにはアップロードできなかった。ツイッターも駄目。

 しかし「http://www.ycaster.com」や「http://arfaetha.jp/ycaster/」のHPは更新できた。FTPは問題なく動いた。中国の当局が気にしているのはSNSなんだな、と分かった。

 ウズベキスタンでは「容量」が問題でした。タシケントのホテル(Tashkent Plazaとか言いました)では、メールがダウンロード出来なかった。これは信じられなかった。windows はメールを取れていましたが。写真も送れなかった。FTPは全く駄目でした。サイトも出てくるのに時間がかかる。四つ星のホテルなのに。

 ウズベキスタンはドコモの「海外パケホーダイ」の対象外なので、そもそもドコモのケイタイは電源を入れなかった。ずっと。予想外のアクセスがあって去年のシベリア鉄道の旅でもあったように、法外な料金を後で取られるのは嫌なので。ですからドコモの電話、メールには全く対応しておりませんでした。

 ウズベキスタンで「お、これは速い」と思ったネット接続はタシケントからサマルカンドに向かう高速鉄道が走り始める前の20分ほどだけでした。車輌にwifi マークがあったので車掌さんに「使えますか?」と聞いたら、スイッチを入れてくれた。

 そこでやっとウズベキスタンで初めてメールをダウンロード出来た。HPも更新できた。しかし走り出したら遅くなり、寸断も頻繁になったので止めたのです。別にネットをやりに来たわけではないので、あとは景色やメンバーとの会話に集中しました。

 サマルカンドのホテルがまた酷かった。いいホテルなんですよ。「Registan Plaza Hotel」という。市の本当の中心部にある。しかし「お部屋は無理です。フロントフロアでのみwifiが通じます」とまず言われて、従量制(使ったメガ数での支払い)のwifi を使ってみたのですが、遅い遅い。

 FTPはできず、サイトの呼び出しも不便この上ない。何とか「http://arfaetha.jp/ycaster/」のサイトの情報だけは更新しましたが(FTPではないので)、あとは「日本に帰らなきゃ駄目だ」と思いました。まったく酷いというか、日本が恵まれているというか。メールはやっとダウンロードでした。凄い時間をかけて。だからこれからウズベキスタンに行く人は、そういう面では覚悟した方が良い。

 でも肝心なことは日本で経験できない歴史や景観や人々と出会うこと。そう思ってました。トルファンやサマルカンドなど今まで行きたかった街やその国を感じ、楽しむことだったので、「そういうこともある」と素早く諦めました。イライラしても仕方がない。「日本との違い」が分かったことが良かった。

 iphone は比較的どこでもよく繋がった。中国でもウズベキスタンでも。これには助かった。でも多分「エクストラ」の料金が発生しているんだろうな。ただそれが合理的なことだけを祈りつつ。


2012年09月08日(土曜日)

 (09:35)ウズベキスタンは砂漠の中にオアシスが点在し、その多くが紀元前にさかのぼる長い歴史を持ち、今はそのいくつかが都市となった綺麗な国ですが、経済は酷い。発展途上という事もあるが、まだまだ改善の余地が大きい。二つ書きましょう。

 一つは「大陸的粗雑さ」の存在。以前からずっと思っていたし、去年のシベリア鉄道でのロシアの旅でもその思いを強くし、今回の中国新疆ウイグル自治区(ウルムチ、トルファンなど)から中央アジアの旅では確信するに至ったものです。

 それは決して悪いだけの意味ではなく、ユーラシアのような巨大な大陸には特有の粗雑さがある、というものです。それを私は「大陸的粗雑さ」と呼ぶことにした。具体的には

 「建物や道路の作りの荒さ」
 「構図中心で、何事も遠くから見ると綺麗だが細部が齟齬し、仕上がっていない事が多い」
 「壁の絵が曲がっていても平気な人々」
 「テーブルの汚さ」
 「サービスのぶっきらぼうさ」

 などなどを指します。「そんな細かいところに拘ってはいられない」という側面があると思う。彼等にはもっと大事なことがあった。身の、家族の、そして街の安全だ。大陸国の都市はその殆どが城壁として発達している。皆がそこに住み、いつくるかわからない敵に備えた。

 ヨーロッパでは「何々ブルク」というのは城壁だし、サマルカンドも城壁の町として発展した。なによりもセキュリティーが大事だったと思われる。その次は水であり、「安全と水」が確保された初めて人々の生活があったと思われる。

 日本にも城はあるが、そこに住んだのは殿様など侍だけで、住民はいつも町の外だった。住民を守る城壁は無かった。ユーラシアの城壁には町全体が入った。そこが違う。それは襲われるときは異民族からだから、町全体を守る必要があったからだ。

 しかし城壁を作り、水を確保しても招かぬ敵は襲ってきた。サマルカンドはモンゴルによって殆ど破壊し尽くされ、街全体が砂地になったと言われる。そのくらい破壊された。その街を綺麗に再建したのがチムールだが、砂地、砂漠の中の都市だけにずっと傷みが酷かった。メドレッセなどのミナレット(尖塔)は曲がり、建物にはクラックが入った。

 「建物や道路の作りの荒さ」は一目瞭然だ。舗装したとは言えないガタガタの道路。柱が曲がっていたりクラックが入っているところも多い。日本では考えられない粗悪さの建物がいっぱいある。去年のロシアでもそれは強く感じた。

 「構図中心で、何事も遠くから見ると綺麗だが細部が齟齬し、仕上がっていない事」はメドレッセ(こちらの人はこう発音した)を見ても、遠くから見るとサマルカンドブルーが際立って綺麗です。しかし近づくと齟齬が目立つ。

 人々の生活の中で見られるのは、「ひん曲がっていても直さない壁の絵」であり、「テーブルの汚さ」への無配慮です。要するに「あまり気にしていない」「大まか」なのです。だから我々のメンバーは食事でテーブルに着くとまずティッシュでテーブルを拭く人が何人もいた。やはり日本人には気になるのです。

 「サービスのぶっきらぼうさ」については日本が丁寧すぎるのかも知れないが、ウズベキスタンでは「この人は怒っているのか」という気持ちになるところもある。しかし彼等にとってはそれが普通で、顔見知りだと急にやあやあということになる。それだけ日本とは違う。

 もっと違うのは、中央アジア全体に言えるのかも知れないが、「二重経済」であるということです。どう二重なのか。

 ウズベキスタンに着いた次の朝です。喉が渇いたのでフロントのあるフロアに行って見たらその隅にバーカウンターがあった。そこでコーヒーを頼むと同時に、スパークリングとスティルの水をボトルで買おうとしたのです。7時前でした。その時カウンターにいた男の子は「両方で4ドル」とドルで代金を請求した。で、払ったのです。それは6時50分くらいでした。

 しばらくして「冷蔵庫に入れておけば良い」と思って、スパークリンの水を「もう一本」と頼みました。午前7時を過ぎて、その男の子だけでなくレジの女性も来ていた。そしたらその男の子が突然値段を「2980スム」と言ったのです。スムも持っていましたが、不思議な顔をして男の子を見ると、レジの女性をちらと見ながら「スム オンリー」と言い、その女性も「スムです」と。

 私もにやっとしてスムで支払いました。そのレジの女性がいなくなると男の子が、「ok?」 と私に。それ以上言わなくて良いのに、「secret!!!」と。ははは。建前は「支払いはスム」と決まっているのですが、「皆ハードカレンシーとしてのドルが欲しいのだな」と。二重通貨制度というわけです。

 ブラックマーケットも存在しているようです。なにせこの国の通貨であるスムで支払うとなると、山のような紙幣をもっていないといけない。2500円くらいの支払いでも、スムでは6万2000スムとかになる。みんなドルが欲しい。

 バスで移動していると、道のところどころで通貨をやり取りしている(かのように見える)人を見かけました。公定レートは「1ドル=1750スム」前後。結構頻繁に変わっている。ホテルに出ていた銀行の交換レートはbuyが確か1ドル=1951スム、sellが1971スムだった。しかし闇レートは2600スムだと聞いた。我々はむろんホテルで両替ですからメリットはない。

 ま、闇レートでの通貨交換をトライするのはリスクがある。ですから細かい問題ですが。やはり通貨に闇レートが存在するような国の経済はやばいでしょう。写真は

  1. サマルカンドなどで存在する「カメラ税」の証拠。3000と聞くとびっくりするが、「スム」ですからごく僅かな金額です


2012年09月07日(金曜日)

 (17:35)当面の中央アジア最後の日とあって、空港に出発する前のほぼ一日をホテルの中庭で遅い朝飯をしたり、街に出てカフェーで佇んだり、ショッピング・モールやデパートを覗いたり、お腹が空いたら現地の人達に混じって軽い昼飯を食べたりという時間を過ごしました。

 大半のメンバーは山に行ってケーブルカーに乗るという最後の日程をこなしに行ったのですが、私と数人はホテルに滞在した。私はどこに行っても、「現地の空気を感じる、feelするのが大事だ」と思っている人間なので、滞在を選んだ。

 本当はサマルカンドでそれをしたかったのです。古い街ですから。タシケントは1966年の地震で一回街が生まれ変わっている。しかし、妹がつい最近4ヶ月日本に行っていたというホテルのマネージャーと話し込んだり面白かった。日本のイメージは「地震と高層ビル」だそうで、やはり3.11が世界の人々に与えた影響は大きかったと思った。そう言えばサマルカンドでも「日本に行くのは地震があるから恐い」という母親がいた。娘は気にしない風情だったが。

 街では美味しいコーヒーとアイスクリームを探したのですが、なかなかなかった。コーヒーを出す店をハシゴをしたので、出てくるコーヒーを何杯かちょこっと飲みながら街をや行き交う人々を見ながらいろいろ考えたのです。とりとめのないことを。

  1. こちらの人のお腹は、どうして日本人より高い確率で男女問わず膨れているのだろう
  2. この国の10年後はどうなっているのだろう。警察官が威張っているような今の政治体制は続いているのか
  3. サマルカンドの南の地域を中心にかつてはシルクロードを実質的に支配したと言われるソグド人はどこに行ってしまったのだろう
 などなどです。肉付きについては、やっぱり良く食べるのだと思う、ウズベキスタン人は。見ていてそう思った。主食は常に肉で、その前に野菜をたっぷり、そしてお米と麺。やっぱり量だと思う。綺麗な女性も結構お腹にだけ肉が付いている。

 経済格差という点では、まだまだ「酷い」というほどではないと思う。軽く見ただけで即断はできませんが。しかしその兆しはある。街の中心部では結構名前の通ったブランド店が出来つつある。人はあまり入っていないが。チムール広場とナボイ劇場の間などに。しかし田舎の暮らしは実に質素というか、土に塗れている。

 ソグド人は前から知っていましたが、その存在の大きさを改めて感じました。言ってみれば「絶滅民族」です。イラン系の農耕民族だが、商売がとてもうまく、シルクロードの実質的覇者だった時期がある。紀元5世紀とかそれ以降。しかしこの地域のアラブ化の中でちりぢりになった。

 逃げたり征服民族に同化したりで、言葉を失い、結局アイデンティティをなくした。つまり民族としては歴史に消えた。しかし中国ではそもそもソグド人を含めて西方の異民族を「胡人」と呼び、特にソグド人を「胡商」と言ったらしい。ソグド人の中国名は他に「安」とは「石」という名字に残っているという説がある。

 今の中国のトップは胡錦濤さんなので、もしかしたら彼は西の民の末裔かも知れない。「石」という名字は日本にも中国にもある。そういえばタシケントは「石の町」という意味だ。「石さん」はもともとタシケントの人? サマルカンドは「道が交差する街」という意味だそうだ。日本の学者の中には、ソグド人は群馬県まで来た、という人がいるという。

 でも来て本当に良かったと思う。中央アジアは今まで私にとって正直「曖昧模糊」の世界だった。どの国がどこにあるかもあまり定かでない。今回ウズベキスタンとタジキスタンの仲違いも知ったし、その上にはカザフスタンがあること、更にキルギスタンとトルクメニスタンがあることも知った。その下はイランだったりアフガニスタンだったり。

 そういう意味では、面白い地域です。今夜の夜の便で北京に飛び、そこで乗り換えて土曜日の昼頃に成田に戻ります。写真をアップしなければ。写真は

  1. 朝のタシケントで撮ったチムール像から上がる朝陽。テムジンの像がモンゴルのどこに行ってもあるように、チムールの像はウズベキスタンのどこに行ってもある
  2. チムール像から伸びる広い道路の先に、芸術家が出している露天があった
  3. タシケントで志半ばでなくなられた日本人の方々の墓地




2012年09月07日(金曜日)

 (07:35)サマルカンドを午前8時くらいに出て、iphone のマップで見ると「M39」と書いてある道路をほぼ一直線に走って、タシケントまで移動してきました。今日の帰国便に備えるため。サマルカンドからの便は不自由です。

 この道路、現地の人達は「高速道路」(highway)と呼んでいるのですが、酷い道路です。高速道路なのに人は横切る、いつでも車や人が入れるし、どこでも出られる。つまり仕切りがない。しばしば工事中で、本来は右路線なのに、ところどころ左車線を走らされるなど。

 しかし今日からガイドをしてくれているシュクラットさんによれば、2年後にはサマルカンドからタシケントを通ってキルギスタンを抜け、さらには中国に繋がる道路になるという。逆に言うと中国から道路を通ってサマルカンド、さらにはその先に行けることになる。雄大です。いつか走ってみたい。

 今回はサマルカンドとタシケントの間320キロを約5時間かけて走りました。短いトイレ休憩が2回あっただけですから、平均スピードは簡単に計算できる。つまり日本の高速道路とは違う種類の道です。何よりも舗装が良くないので、車体の「ガタガタ」が酷い。よくこんな舗装が出来るな、という印象。

 沿道にはスイカなど各種果物、水、土産物などを売る店が出ている。「店」って言っても、道路脇に数多くない商品を並べただけで、売り子がいるかいないのかの「店」です。私の印象では大きな一般道(片道3車線あるので)。

 やたら目立つのはダークグリーンの制服を着た警察官の姿です。観光バスは止めないが、あちこちで一般車を止めて何やら切符をきったりしている。誰かが冗談で、「必要ないのに止めて賄賂でも貰っているんじゃないのか」と。そうかも知れない。

 それはさておき、とにかく警察官が威張っている国です。私たちにはそう見える。一回も誰何されたことはないので最後はどういう態度で出てくるのかは不明ですが。旧ソ連邦の悪弊が残っている印象がする。

 でもまあタシケントからサマルカンドへの行きは「高速鉄道」(まあまあ)で移動し、帰りは「高速道路」(その名に相応しくない)での車移動。なかなか良かった。鉄道と線路は一部非常に近いところを走っているが、かなりの部分は別部分を走っているので違う景色も見せてくれる。

 ほんとの遠くに山は見えるが、そこまでずっと続く荒れた、起伏のある大地、そこで綿畑を見たり、綿摘みの作業を見たりすることは日本では絶対に出来ない。今がちょうど綿摘みのシーズンでした。綿が白く顔を出し、紫色のその他の綿の木の色が際立つ光景は初めてでした。写真は

  1. 「M39」の沿道で綿畑で綿の収穫をするウズベキスタンの人々。一番の外貨収入源だそうですが、いろいろと問題も指摘されている
  2. 本来は右側通行だが、突然左に移動。右は工事中。2年後にはサマルカンドと中国を結ぶ国際道路になるという
  3. ずらっとならぶサマルカンドのパン屋さん。ウズベキスタンでも「サマルカンドのパンはうまい」と評判のようでタシケントのガイドさんも自宅用に10個買っていた




2012年09月06日(木曜日)

 (08:35)サマルカンドはまた「バザールの街」でもあります。水曜日の午前中に街でも一番大きなバザールに行きましたが、それこそ大きく、何でも売っていて、人が沢山いて、そう言えばいくつかの映画に出てきたな、と思った。

 「2年間は食べることが出来るナン」
 「実に多様な香草」
 「干しぶどうのセット」
 「スイーツ館」

 などに興味を持って歩きましたが、それこそ会場を一周するだけで2時間はたっぷりかかる。

 大勢の庶民が沢山の買い物をしていました。平日の昼間なのに人が本当に多かった。車で来て、大量に買い込んで、そして帰って行くといくパターン。何よりもあまり雨も降らない場所とあって、広大な売り場とその上に天井があるだけ。柱はあるが、壁がない。遮るものとてなく、ずっと向こうのバザールの遠い向こう側まで見える。

 香草は本当に魅力を感じました。日本には持って帰れないが、その種類の豊富なこと。分かるものだけで、ディル、コリアンダー、パセリなどなど。こうしてマーケットで山のように売っているので、こちらではレストランでどんと、大量に出てくる。

 それをマヨネーズのようなものを付けて、食事の頭の方でバリバリと食べるわけです。メインは「常に肉」(現地のガイドさんの言葉)ですから、その前の野菜は豊富でなければならないのですが、その通り実に豊富です。そしてそれがうまい。既に書いたとおりです。

 「2年間は食べることが出来るナン」は実に巨大でした。しかしサマルカンドの乾燥した空気の中で「通気性のある紙などに包んで....」という前提。ラップしてはいけないそうです。しかし「日本では2年間はもたないだろう」と皆で話していました。

 「干しぶどうのセット」は長持ちしそうだし、関税も問題なく通るので買ってみました。平べったいセットで売っていたので日本まで大丈夫だろうと。バザールでつまんだ範囲では美味しい。

 「スイーツ館」はさすがに別棟で、それは建物の中に入っていました。窓もあった。膨大な数のスイーツが並んでいる。皆パンなどに白い粉がかかっているちょっと微妙な甘さのそれです。日本のスイーツに慣れている身としてはちょっといただけない。しかしよくこれだけ作ったなと思う。

 日本人の目から見ると、グッヅには「ちょっと粗悪かな」というものが多い。しかしトマトなど新鮮なものは実に美味しそうだし、こちらで食べた野菜は皆美味しかった。

 また訪れてみたいのがサマルカンドのバザールです。写真は

  1. おいしそうな香草を売る女性。日本では非常に高いものが多いが、こちらでは山のように売られている。羨ましかったです
  2. 「巨大で長持ちするナン」の山。パーティーでもするのか、これを10数個買っていった女性を見かけました



2012年09月05日(水曜日)

 (08:35)朝っぱらから、ウズベキスタン人の間に論争を巻き起こしてしまいました。

 20才くらいの女性 「私はウズベキスタンは綺麗じゃないと思うし、嫌い。日本に行きたい」

 中年の買い物途中の女性 「自分の生まれた国になんてこと言うの。この国はとっても歴史のある国よ.....」
 ――――――――――――――
 朝6時過ぎにホテルから散歩のつもりで出かけたのです。「グリ・アミール廟」がまた見たいこともあって。ホテルから近い。のんびりと。行ったらなんと久井さんがカメラを抱えて佇んでいた。彼はカメラが趣味で、「ああ朝陽を浴びるアミール廟を撮りに来たんだな」と思いました。で私も一緒に撮った。綺麗でした。

 でちょっと見たら、廟の壁の裏側は直ぐに街で、庶民が住んでいそうなので「いってみますか」と一緒にぶらぶら歩いたのです。帰ろうかなと思った頃、二人連れの女性が追いついてきて話しかけてきた。「何人だ?」と。一見して親子と分かる。

 私が「日本から来た」と言ったら、二人連れの母親の方がシンガポールとかは行ったけど、「日本は地震がね.....」と足を振るわす。つまり行きたくないと。しかし20才くらいの彼女の娘は、「私は行きたい。綺麗なんでしょう....」と。

 私が「アフガニスタンも綺麗だよね....」と言ったら、二人とも首を振って、特に若い娘が「いいや。私は好きじゃない。日本は綺麗でしょ...」とまた言った。母親の方もそれには賛成と言った雰囲気だった。ゆっくり歩きながらそんなことを久井さんを含めて4人で話していたのです。

 私たち4人を追い越していった女性がいたのは知っていた。通りかかった商店で買い物をしていた女性だった。その女性が我々の話を聞いていたんでしょう。突然振り返って若い娘に向かった「あなた、自分の国になんてことを言うの.....」と言ったのです。それほど厳しい表情ではなかったが、若い娘を諫めるように。雰囲気からして学校の先生か何かだと思う。

 そんな調子でバーとしゃべって若い女性に文句を言った後、立ち位置から主に久井さんに「ウズベキスタンはアレキサンダー大王が来たことがあるし、長い歴史があるし.....」とウズベキスタンの過去を言い始めた。

 それを見て親子連れは嫌な顔をしながらも、私に改めて「日本に行きたい...」と。彼女ら二人とは暫く話して分かれた。振り返って若い子に文句を言ったその女性も、しばらく話して気が済んだのか、最後に「もちろんウズベキスタンにも問題はあるけど...」と去っていった。

 どの国の人にも自分が生まれ、住む国には好き嫌いがある。しかし20歳前後の若い娘が「私は日本に行きたい」「ウズベキスタンは綺麗じゃない」と言った意味は、私には理解できる気がした。観光地は綺麗になっているが、例えば廟の周りのこの民家群の道路は、全く舗装されていない。道の真ん中に幅10センチほどの水はけ水路がある。

 ウズベキスタンはまだまだ貧しい国です。外務省のデータを見ると、ウズベキスタンの平均の年間一人当たりGDPは2000ドルにも行っていない。日本の1.2倍の国土に2400万人前後が住む国。その殆どが砂漠です。

 ターニャに「この国で金持ちとは」という質問をしたことがある。「石油、天然ガスに携わっている人、ビジネスマン、それに綿花の畑を大きく持っている人」との答えだった。しかしその一方で一日2ドル以下のクラス人が多い、とも資料には書いてある。インフラを見ても、売っている商品を見てもまだまだです。若い女性は海外に出たいでしょう。

 私は「どちらが正しいと言うことではなく、ウズベキスタンの人達には当然ながら自分の国を誇る部分と、自分の国はまだまだでこうなって欲しい」という部分があると思う。日本人もそうだ。しかしウズベキスタンが今は非常に貧しいことだけは確かだ。豊かな観光資源があるのに。

 しかしその貧しさの中に、燦然と輝く歴史がある。時に悲惨で、時に偉大な。写真は

  1. 朝陽に輝くチムールとその一族の男性の墓があるグリ・アミール廟(女性は別の場所に)
  2. グリ・アミール廟をちょっと入った庶民の街の朝。朝からあちこちで色々な人が立ち話をしている



2012年09月05日(水曜日)

 (05:35)火曜日の朝に「去年から走り始めた」(車掌さん)というタシケントとサマルカンド間の高速鉄道に乗って、サマルカンドに来ています。2時間半をノンストップ。スペインのアベ(高速鉄道システム)に似た車輌。

 車内のスピードメーターを見ていたら時速170キロ程度での走行が多かった。新幹線の300キロに比べると相当遅い。にもかかわらず横揺れが酷い。コップの中の水(コーヒー)が飛び出そうな勢いです。新しいから座席は良かった。食事が出るのもアベに似ている。

 記憶では日本も新幹線の売り込みを図ったようだが、私の印象では国全体として日本の新幹線の精度を維持するのは難しいような気がする。線路にしろ道路にしろロシア的(大雑把)で、あの複雑なシステムを維持するのは難しかったのではないかと思う。

 今いるサマルカンドは私にとってある種「夢の街」でした。3000年を越える長い歴史。アレキサンダー大王の遠征の先。様々な王国、王朝、民族の興亡の場。モンゴルによる過酷な破壊、そしてティムール王朝の首都としての過去。映画の影響もあるかも知れない。知識だけの「夢」でした。

 昨日も書きましたが、人口は35万(昨日50万と書いたのはどうやら間違い)とタシケント(300万)よりも遙かに規模は小さい。しかしウズベキスタンが占める地域の歴史は、サマルカンドとその西のブハラ、さらにはヒバの歴史です。

 タシケントは今は中央アジア最大の都市だが、過去に王国の都が置かれたことはなく、人口が急増したのはロシアが自治州の首都を小さな村(今のタシケント)に移してからです。ロシアにはサマルカンドのイスラムの歴史と重みが嫌だったのかも知れない。だからタシケントは新しく、緑とそこに佇む低層の建物しか見るものがない。

 見たかったのは「サマルカンドブルー」でした。何時の頃にこの言葉を覚えたのか覚えていません。しかしサマルカンドが「青の街」ということは知っていました。きっと何か歴史の本で読んだのでしょう。

 昨日の午前10時過ぎからこの街にいますが、本当に「青の街」です。モスクの屋根、駅舎、ちょっとしたタイルで使われているブルー。時にはくすみ、時には鮮やかで、特に夕日に映える。「青」も実に実に多様です。

 有名な場所には2カ所行きました。昨日の段階で。軍隊の閲兵、バザールの開催場所、そして時には死刑執行の場にもなったレギスタン広場。「レギ」は砂を意味するそうで、「スタン」は場所ですから、「砂の場所」。よってその上に建っている建物(例えばミナレット)は徐々に傾斜する。

 だから修復、修復できているのですが、かなり綺麗な街に直っている。しかしどこだったか、修復した箇所の青の方がオリジナルよりくすんでいた。「それぞれの職人さんの家にとって、いろいろな技術が秘密だった。だから今でも分からないものがあるので」とガイドのターニャ。だから「青」一つにしても復元が時に難しいと。

 バスを降りたってレギスタン広場を目の前にして立ったとき、私は「ターマハールに似ている」と思いました。全く違う建造物です。タージマハールの方がはるかに規模は大きい。しかしインドと中央アジアは繋がっている。陸で。ティムールはインド遠征もしていた、デリーは彼の版図に一時入っていた。アジアの繋がりを感じました。

 もう一つ訪れた大きな場所は、「グリ・アミール廟」です。要するにティムール本人やその先生、子供や孫のお墓。夕刻に行きましたが夕陽に映えて実に綺麗でした。ティムールの遺体は実際にこの場所に眠っているという。一度だけ墓を開けて、歴史書に書かれていた彼の特徴、例えば右足に大きな怪我をしているなどが確認されたという。

 明日、そして明後日の朝もサマルカンドを動き回ります。「今そこにいる」というだけでちょっと満足なこの街を、そして「サマルカンドブルー」を、一杯記憶に残しておきたいと思います。まずは写真を。

  1. レギスタン広場を背景に。サマルカンドブルーが随所に
  2. ウズベク人のお爺さんは、喜んで撮影に応じてくれました
  3. サマルカンドのテレビの女性アナウンサー。ちょうど撮影していました




2012年09月04日(火曜日)

 (09:35)全くの素人考えですよ。だから当てにしないで下さい。でもちょっと夕べ考えたのです。「なぜオアシス都市の野菜や果物はこんなに美味しいのか、香り豊かなのか」と。

 出てきた結論は「環境が厳しいから」。そもそも水が少ない。冬は長い。短い間に生きなければならない。日中でも温度差がある。そういう環境の中では食物も一生懸命生きようとする。生き延びようとする。瀬戸内海の流れが厳しいところの鯛が美味しいようなものです。

 野菜が美味しいタシケントのレストランですが、砂漠地帯の特有の天候が、日本ではあまり見られないレストラン形式を育んでいました。それは、「木の下レストラン」です。木は葡萄でも楡でもポプラでも何でも良い。昼は木漏れ陽の下で、夜は涼しげな緑の下、風が吹き抜ける中で。

 雨の確率は毎日非常に低い。だから、新疆でもここタシケントでも本当にその手のレストランが多い。これがまた良いのです。レストランにもちょっと大きな家にも、オープンの小上がりスペースが一つくらいある。真ん中にテーブル、周りは絨毯とクッション。囲いもあって子供も大丈夫。新疆でもあった。

 一般の家ではそれが「くっちゃべりスペース」です。近所の人が来ても、お客さんが来ても、その青天、木の下のスペースで食事をし、お茶を飲み、そして時には寝る。夜は最高じゃないでしょうか。オアシスならではの時間の過ごし方です。

 私も昨日の昼に行ったナイスなレストランでその手のスペースがあったので、20分ほど寝そべっていました。風もいいし、日中でも乾燥している。

 今サマルカンドに向かう列車の中です。


2012年09月03日(月曜日)

 (22:35)一日をタシケントで過ごしました。深夜に着いたので「午前中は各自の自由」といった雰囲気でのんびりと。相変わらず青い空、暑い日中。しかし乾いた空気。

 知らなかったのですが、旧ソ連邦の中でロシア(1億4500万)、ウクライナ(約4600万)次いで人口の多いのがウズベキスタンだったそうです。2800万人。面積ではタジキスタン、トルクメニスタンなどの方が遙かに大きいのに。

 古くからこの地方としては降雨が多くて農業(綿花栽培など)が盛んで、多くの人を養えた土地だからでしょう。本当に豊かです。レストランに行くと立派な、かつ多様な野菜が出てくる。これがまた美味しい。特に香草は良い。今でも世界の中では綿花輸出ナンバーツー(多分ワンはアメリカ)の国だそうです。

 そしてその首都がタシケント。有名さ加減ではサマルカンドに落ちるものの、人口はサマルカンドが50万に対して300万を数える、とガイドのターニャさんが教えてくれた。驚くのはその人種の多さです。ターニャさんによれば134。

 なぜそんなに多いのか。一つは人々が行き交う中央アジアという地理ですが、もう一つはスターリンの政策。彼は東北部の朝鮮系の人々からウクライナ系の人々までありとあらゆる種類の人々(ガイドの言葉によれば「入らない民族」)をウズベキスタンに連れてきて、色々な仕事をさせた。

 その一つの証拠(歴史の証言)のように、ここでの我々の観光ミニバスの運転手をしてくれたのは朝鮮系のご夫妻だった。午前中に奥様が、午後にご主人が運転した。そう言えば、ターニャさん自身がウクライナ人とロシア人の混血で、ウクライナのご先祖の方はスターリンの政策で移住させられたのだという。「その三世が私だ」と彼女。

 タシケントはサマルカンドから戻った後また一日いる予定ですが、兎に角緑が多い。本当に緑の中の街です。とても「300万人都市」に見えない。緑の中に建物がある印象だ。

 この街を1966年に大地震が襲ったのだそうです。ターニャは「震度8」と言った。どうなんだろう、それはマグニチュードの事だと思うが、とにかく街の建物は大部分が倒壊したそうだ。それほど大きかった。タシケントでは「100年に一回の割合」だそうだ。

 その時にも倒れなかったし、損傷も少なかったのがナボイ劇場(我々が泊まったホテルの隣)だそうだが、ここは戦後前後にシベリアから日本人の捕虜が沢山連れてこられて、その労務にあたったそうだ。立派な建物です。その事が劇場の壁に書いてある。ウズベキスタン国内には所々に日本人墓地がある。先人達は苦労したのです。

 ウズベキスタン人はガジェット好きです。私がホテルのロビーでairで文章を書いていたら、「これはいくらする」とホテルの従業員が話しかけてくる。iphoneで写真を撮ろうとしたら、シシカバブーを焼いていた若者が、「それは4か、それとも4Sか」と聞く。ちょっと笑えた。

 車は大部分が白かベージュ。黒がちょっと。あとはグレイかな。白いのが好まれるのは、「埃が目立たない」為だそうだ。そうは言っても砂漠の中の街だ。なるほど。日本で多い赤や青などは全くと言って良いほど存在しない。写真は

  1. タシケントのホテルの近くにあったデパート。日本では見かけないシーンで、swatchが”ウリ”の商品になっていました。中も見学しましたが、エスカレーターは大改装中、フロアは4階しかなく、ちょっとシャビー
  2. タシケントは綺麗な街です。ゴミが落ちていない、と思ったら朝こうしてオレンジ色の印を身につけたお掃除隊が頑張っていました。素晴らしい
  3. タシケントでの昼飯風景。全体像を撮るためにちょっと引きで撮りました。私たちのグループの前にあるのが、私が憧れたくっちゃべりスペースです。彼等が帰った後、私もここで暫く寝そべりました




2012年09月03日(月曜日)

 (07:35)アルマトイ(タジキスタン)を経てタシケント(ウズベキスタンの首都)に来ています。サマルカンドには明日列車で行く予定。そこでは何やら「カメラ税?」らしきものがあるらしい。ほぼ全ての場所で。ははは。

 某国を出ると景色が違う。凄く安心します。何よりも英語が通じる。私の英語は下手ですが、一応通じる。だから中国語でやんやん言われると「なに言っているんだろうな」とちょっと不安ですが、英語だと「意思が通じる」という気持ちになれる。ナイス。

 タジキスタンはタジク人の、そしてウズベキスタンはウズベク人の国ですが、タジキスタンという国には「ロシア系が四分の一」と外務省のサイトに書いてあった。実際に空港で働いている人を見てもそうです。ウズベキスタンにもロシア人風の人が多い。

 今私がいるウズベキスタンは、新疆ウイグル自治区のもともとの民族であるウズベク人の国です。タジク人とウズベク人の違いは私にはまだ良く分からないが、国が分かれていると言うことは何かが違う(言葉は確かに違う)ということでしょう。タジク人はウズベク人から分かれた、とモノの本には書いてあったような気がする。

 それよりも思い出したが、新疆にいたときに強く印象に残った言葉は、ウズベク人のガイドさんが「トルコ語を勉強しなくても、トルコ人の話す言葉の30%は自分には分かる」と言っていたこと。言葉の繋がりは強い。歴史の重みに耐えている。

 某国を出たので、ネットがサイトによる制約無く通じる。某国ではフェースブックは「www.facebook.com/ycaster」の「k」の所で必ず止まった。しかしこちらではそこからも動く。それは気分が良い。

 しかし繋がり方と容量に問題がある。乗り換えのアルマトイの空港では試しに無線LANをチェックしたら走っていて、それに繋いだら認証なしに凄く速く繋がった。しかし寸断があって不安定ではあった。

 深夜にチェックインしたタシケントのホテルは、「市内で一番」「第二次世界後に日本人(捕虜の方々が主だったと聞いた)が作ったナボイ劇場の隣」という場所柄は問題ないが、今のところネットが不自由です。「部屋では有線LANが通じるから」と言われたが、通じなかった。「明日朝技術者を派遣する」と。あららってなもんです。

 フロント周りでは「無線LANが通じる」と言われ、確かに通じるが兎に角遅い。私が中国でアップした写真でさえ読み込むのにどえらく時間がかかる。どうも大きなファイルを呼び込むだけの力がない。これは問題だ。しかしタシケントの朝はスモッグもなく気持ちが良い。これからちょっと散歩しようかと。

 まあと4〜5日間はこの国、つまりウズベキスタンにいるわけで、日本とは違った経験が出来そうです。兎に角、20米ドルが4万スム(現地の人はスンと発音する)ですから。朝フロントフロアの片隅にあるバーカウンターでスパークリングの水を一本頼んだら「3000スム」だった。ははは。

 ベルリンの壁が落ちた直後に入ったホーランドでチョコレート一枚にゼロが数え切れないほど並んでいたことをちょっと思い出した。カウンターのおねえちゃんに「Why ?」と聞いたら、彼女は少し考えて「I don't know.」と言った。

 どういう「知らない」なんだろう。


2012年09月02日(日曜日)

 (09:35)ウルムチは人口200万を越える大きな街だと先に書きましたが、二つの意味で私のような旅行者にも緊張感のあるところでした。一つは街自体が今でもそうでしょうが、ある種の対立を抱えていると言うこと。もう一つはここに来て日中間の問題が生じているので、そこから来るちょっとした緊張。

 ガイドさんはウズベクの人で、彼は真面目だからなのですが、ちょっと緊張気味に仕事をする人と言うこともあったのかもしれない。また一昨年行ったチベットと同じで、カメラを向けてはいけない対象が存在するという制限もある。

 観光客がそれを知らずに「大きなトラブルになったこともある」などとガイドさんから聞かされたし、実際に街は大きいのに夜は余り人が歩いていない。トルファンの方がのんびりしていました。ウズベク人の人口が多いからでしょう。

 しかし土曜日は比較的夕刻の早い時間にトルファンから戻れて夕食まで時間があったので、ホテルから歩いて直ぐのデパートまで一人で歩いてみました。街を見学するために。長い距離はちょっと時間が足りないと思ったのですが、街の真ん中の公園を歩けば「天山百貨」と大きな看板が出ている店まで直ぐでしたので。デパートそのものを見たかった。

 土曜日の夕方とあって公園にはトランプや将棋でいくつもの人だかりが出来ている。そういう意味ではのんびりしたものです。人通りある。街も綺麗。しかし土曜日の割には、車も人もちょっと少なめでしょうか。

 デパートは6階建てでした。地下に食料品売り場があって、一階が化粧品、二階と三階が確か女性もの、4階がメンズ、5階に生活雑貨(靴の売り場などなど)、6階に家具など。日本のデパート構成とよく似ている。

 ビックリしたのはお客さんが土曜日なのに少なかったということもあるが、通りがかるだけで凄い数の声がかかる。店員の方から。多分「寄っていけ、見ていけ」と言っているのでしょう。全然わからないんですが。

 一つだけ買おうと思って行ったものがある。それはワインです。兎に角昼と夜の温度差があって全体的には暑い。かつ雨が少ないときて「良い葡萄が出来る」と聞いていたから、「ワインは楽しみですね」と日本で言われて来た。しかし、レストランで出てくるワインはちょっと水っぽかったりして駄目だった。「やはりここに来たら美味しいワインを飲まないと」と思ったからです。

 ウルムチやトルファンでワインを頼むと「ローラン」(LOU LAN 楼蘭)という銘柄ガ出てくる。デパートに行ってもこの銘柄が圧倒的でした。言葉は通じないが、紙に漢字を書いたりして比較的良さそうな白と赤を出してもらった。値段を聞くと確か384元だった。

 まあ5000円しないわけです。二本で。なにやら立派な箱に入っている。これでいいやと買ってホテルで夕食時に皆で飲もうと思った。この二本は美味しかった。今までのとは全然違う。メンバーのワイン好きも「これは美味しいですね」と。日本で買えるかどうかは知りません。

 それにしても、もう時間がたっているから当然ですが、昔の中国を知っている人間には「ウルムチでもこうか」というほどモノが豊かで揃っているのには改めて驚く。地下の食料品売り場の果物の数など半端ではなかった。

 日本のデパートでよく見かけるブランドも多少入っている。しかし見かけないブランドもある。ゆっくり見る時間はありませんでしたし、ファッション感覚はやはりイマイチのところはある。しかし中国の人達の購買力は劇的に上がっていると思いました。

 もっとも初めて来た街なので知りませんが、デパートの人の入りを見ても「好況」という感じはしなかった。旅行会社の方によると、「旅行者もここ数年落ち続けている」と言っていたので、そうなんでしょう。観光資源は山ほどあるのに残念なことです。そう言えば欧米人が少なかった。

  1. デパートから買ってきて皆で飲んだ美味しい白と
  2. 赤。「楼蘭」という銘柄です
  3. 美味しかった料理の一つ。白クラゲを使っていた
  4. 朝7時16分時点のウルムチの朝(映像が間に合わないので、後ほど)




2012年09月01日(土曜日)

 (19:35)土曜日の午後一までトルファンでもう少し観光をした後、ウルムチに移動。

 一番感心したのは「カレーズ」(karez)ですかね。あまり知らなかったので。同様のものはイラン、アフガニスタン、パキスタン、ウズベキスタンなどにあって、呼び方も違うらしい。アラビア語では「カナート」、北アフリカでは「フォガラ」と言うそうですが、新疆では「カレーズ」(karez)と呼んでいた。

 要するに乾燥した大地に水を引くために大きな山の山麓に一本縦穴を掘り、地下水脈に当たったら次々に里に向かって水路を建設するための縦坑を掘り、その水路(暗渠)を水が流れるような傾斜を持たせて地下に横に作り、時にはそれを数十キロ延ばして灌漑をするというもの。

 このサイトの右側に説明図がありますが、ちょっと考えただけで、ものすごい人的損失のリスクを犯しての作業だっただろうに、と思う。縦坑を上から、そして下から見せてもらいましたが、まあ狭い。まずそれを掘り、土を上げる。

 次に横に水路を作るのですが、落盤は頻繁だっただろうし、まあ沢山の方が亡くなったのではないかと思う。しかしそのメリットたるや大きかった。水無き乾燥地帯が突然オアシスになるわけですから。そのいくつかは今でも使われているという。

 カレーズのシステムは、新疆の場合は1)イランなど西から伝わった 2)漢人が東から来て教えた 3)現地のウズベク系の人達が自ら考えたーーーという三通りの考え方があるそうですが、まあそのどれか、または組み合わせでしょう。

 人間は水がなければ生きていかれない。その他の動植物もそうですが、その水の確保のために天山山脈の南だけで万里の長城に匹敵する5000キロ以上の距離の、数え切れないほどの本数のカレーズが建設されたと言うことですから、凄いことだと思いました。

 写真はみなそのトルファンのカレーズ(一大観光ポイントになっていました)で撮ったものと、食事の後の果物やバザールのシーンです。カレーズの展示部分は地下施設も整備され、その上は葡萄棚になっていた。

  1. 地下の暗渠。この中を水が何十キロと流れる。そして里を潤す。新疆だけで総延長は5000キロを越える
  2. カレーズの撮影ポイントで
  3. 食事のあとに良く出てきたハミウリ(色はメロン、味はスイカに近い)
  4. トルファンのバザールで。巨大な肉がぶら下がっていた
  5. この叔父さんが作った餃子状のものは美味しかった






2012年09月01日(土曜日)

 (09:35)「新疆には二つの時間がある」とガイドさんが教えてくれました。一つは北京時間。もう一つは現地時間。漢民族の人達は前者を、漢民族(10億を超えるでしょう)から見れば少数民族のここの人達は後者を使うという。

 あれだけでかいのに中国の時間は一つ。日本と時差一時間です。しかし西に行けばそれは無理がある。例えば今朝も明るくなったのは午前7時30分くらい。やっとお日様が見えた。日本と3時間の時差があってもおかしくない。だから現地の人は北京時間から2時間を差し引いて使うのだそうです。

 そうすると、新疆ウイグル自治区ではお互いに「どちらの時間ですかと確認しなければならない」(ガイドさん)ということになる。これを忘れると、2時間の待ちぼうけ、または遅刻となる。

 日本とは違ったやり方がトルファンにはいろいろある。市の中心部の「吐魯番火洲大酒店」というホテルに泊まったのです。ホテルの説明にも「☆☆☆☆」と星が四つある。見ただけで「うっそー」という感じがしましたが、面白かったのは「モーニング・コール」。

 その時間になっても何も鳴らない。おかしいなと思っていたら、ドアを叩く音。「今頃誰だろう」と思って聞いたら、「7時です....」と言っていた(多分。中国語が分からないので)と思う。なるほど「人力」ですか。なかなか良い。ははは。

 風呂は問題が多い。なにせ年間降雨量が16ミリとか言っていましたから。頼りは天山山脈からの雪解け水です。で、到着直後に風呂を入れたらちゃんと温かいお湯が出た。しかし夜にもう一度風呂に入ろうと思ったら、今度は水だった。風呂の蛇口をひねったら水だったという人は他にも居た。あ、給湯の問題か。でもまあ四つ星のホテルではない。

 以下の写真は土曜日の朝ようやく明るくなったので、ホテルの周りを30分ほど歩いた時に撮った写真です。

  1. トルファンの朝7時30。車も疎ら。人々は朝については現地時間を採用しているように思える
  2. 水筆で字を書く人を見つけました。達筆です
  3. 朝の運動をする人。池があって市の中心部は綺麗です
  4. その池には鯉が一杯






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