2013年02月28日(木曜日)

 (06:20)今日は日本では2月の最終日、木曜日 の28日ですか。それにしても、今週の ニューヨークの株は忙しい。下がった り、上がったり。終わったばかりの水曜日の市場ではダウで175.24ドル (変更になる可能性あり)上がっ て、引値は14075.37ドル(同)。いよいよ高値 14164ドル(確か)にstriking distanceになった。

 株価が上がった要因については、今朝のウォール・ストリート・ジャーナルの 記事がよくまとまっている。

A number of factors were at work. After concerns about the Federal Reserve's determination in supporting the economy through bond purchases, Fed chairman Ben Bernanke spent two days on Capitol Hill reiterating his commitment to a loose monetary policy.

In addition, Mario Draghi, president of the European Central Bank, pledged in prepared remarks that his bank would preserve the integrity of the currency area and signaled that the ECB would stick to its accommodative monetary policy.

The U.S. gains were foreshadowed by a robust rebound in European markets. The Stoxx Europe 600 advanced 0.9% after shedding 1.3% a day earlier.

Italy sold 6.5 billion euro($8.49 billion), the maximum targeted amount, of government bonds, although borrowing costs were the highest since auctions in October. Italy's FTSE MIB index gained 1.8% after tumbling 4.9% on Tuesday.

"The fear that might have existed two or three days ago, that this might be the tipping point, looks like that may have been the opportunity for many money managers to put money to work," said Michael Strauss, chief investment strategist at Commonfund, in Wilton, Conn. "Our markets shouldn't be determined necessarily by the political process in Italy…This was really more of a European event than a U.S. event."

In U.S. economic news, durable-goods orders dropped 5.2% in January, less than expected. Many economists said the report showed resilience in light of uncertainty over preprogrammed government spending cuts that many feared would take place at the end of December.

 このうちバーナンキの半年に一回の議会証言の内容に関しては、このサイトを見て頂くと良いが、 非常 に分かりやすい表現で、今のアメリカ経済を彼がどう見ているかが書いて ある。どちらかと言えば楽観的で、しかし「超金融緩和は続ける」と読める。 こ れは株価にプラスでしょう。

 「崖突入」(3月1日)を直前にしての株価の高騰なので、それはそれで意味 がある。イタリアの情勢に関して「This was really more of a European event than a U.S. event」というのも笑える。毎日新聞には議長、異例の日本支持という記事があるが、これは証言後の記者会見で出た言葉のようだ。証言には「japan」という単語は登場しない。

 ニューヨークの外国為替市場では、円がやや値を失ってドル・円は92円台、 ユーロは121円台の各ロー。ま、暫くマーケットは欧州とアメリカで 起きている事の解釈を巡って、高下を来る返しやすい状況と見ます。


2013年02月27日(水曜日)

 (16:20)今日は人と会ったり、打ち合わせがあったり、そして会合があったりですが、午後にあった放送関係の会合は面白かったな。なにやら今話題の「4K」の次には「8K」の話もあるそうで、「綺麗かも知れないが、そんな大きなテレビを誰が見るんだ」という話題になった。

 「家で映画並みのスクリーンと綺麗さと動きで」ということらしいのですが、馬鹿でかいに加えて馬鹿高い。しかもコンテンツは「誰かが作るだろう」という話らしい。何か日本のテレビは業界全体として「変な方向」に行っている印象がする。スペックは相変わらず「ガラ系」だし。

 それにしても、今年からプロ野球の中継も特にパリーグは大きく変わるそうです。フォックスがいくつかの球団の放映権をゲットしたので。その系列の局しか全試合は見れなくなる。しかも局に付いていた解説者も大きく入れ替わるそうな。

 世界的なデジタル化、グローバル化の波の中で、日本の業界(番組作りからハードまで)はこれからもっともっと苦難の道を歩まざるを得ない印象がした。大きな業界再編が起きるような気がする。

 ところで、昼にランチを一緒にしたのはシノビーです。彼がいよいよ独立して、「資産デザイン研究所」というのを立ち上げた。もう四半世紀近く付き合っている後輩ですが、節目節目で接点がある。

 「で、当面何やるの.....」と聞いたり、私の今までの経験をちょっと話したり。飲茶を食べながら。お互いに「ちっとも変わらない」という話になったが、まあそうですね。彼の完全独立は応援したいと思っているのです。声をかけてやって下さい。

 今日はこれから出版社と打ち合わせです。ちょっと中断・頓挫していた話を再起動させるための。楽しみ。


2013年02月26日(火曜日)

 (14:20)久しぶりに大阪城の周りを回ったら、随分と華やかになりました。かなり開花を始めた梅園の近くは祭りムードで、既にかなりの人が散歩している。ぞろぞろと。

 観光客が使う言語も良く聞いていると英語あり、韓国語あり、そして中国語あり。無論日本語が多いのですが。大阪城には桜もありますから、これからはずっと花づくしのお城周りとなる。楽しみです。

 ところで大阪駅でちょっと時間があったので駅の中を一周して見ていたら、今まで気がつかなかったのですが、駅の構内に大阪でも私が好きな名店が集められている一角があることを発見。いつもはチケットを入手して直ぐに電車に乗るので気がつかなかった。

 例えばネギ焼きのやまもととか、一般的に知られているところではだるま(ここはあまり行かない)とか。やまもとは実は時々食べたくなるんですよ。ちょっと小腹が空いたときに。

 しかし十三(じゅうそう)に行くのは大ごとだし、梅田もちょっとわかりにくいところにある。大阪駅にあることが分かったので、ちょっと時間を空けて列車のチケットを入手すれば食べられるという仕掛け。なかなか良い。

 そう言えば、今朝はコールの特集コーナーは「ウラなんば」の先週のロケが流れて面白かったな。うまくまとめてあった。

 関西の人にも「まだ知らない大阪がいっぱいある」ことが伝われば良いのですが。まだまだ大阪は探検するに値する町です。


2013年02月26日(火曜日)

 (11:20)まるで「蝋人形」のような顔をした「ベルルスコーニの少し気味悪い微笑」が、世界中の金融市場にショックを与えた瞬間だったような気がしました。それにしても、不死鳥のように政治的に蘇る元クルーズ船の歌手です。

 恐らくマーケットは「過剰反応」気味なところがあったと思う。「ヨーロッパの危機」は久しぶりですから。ニューヨークではドル・円は90円台があったと伝えられる。しかし今は92円台の半ば。ユーロも一時118円があったそうだが、今は121円台。

 しかし「これでイタリアの政治の行方が読めなくなった」というのは事実で、今までモンティ首相の国際的約束(財政の緊縮策が柱)とその継続を前提としていた世界のマーケットがショックを受けたのも当然だ。

 権利が台頭のイタリアの上下両院では、下院ではモンティ首相率いた政権の政策を継続する方向の勢力がかろうじて多数を取ったと見られるが(まだ確定していない 下院は630議席 全国1位の得票率の政党に全議席の54%の議席が割り振られる)、選挙制度がちょっと違う上院(320議席 各州の得票率一位の党が優位な制度)は、ベルルスコーニ(1936年9月26日生まれ 76歳)率いる中道右派が十二分に健闘して、多数を形成する勢力が誕生しなかったと見られる。つまりモンティ氏が率いた緊縮策が選挙的には承認されなかった。

 加えて今回のイタリアの総選挙ではもう一人の「大きな不確定要素」が登場している。それは元コメディアンのベッペ・グリッロ氏(64)が始めた「5つの星」運動だ。この新しい”運動”が下院では25%、上院では24%の票を獲得している。

 この運動は、「今のイタリアの政治は腐敗にまみれている」と主張する非提携運動としてあり、これだけ選挙で大きな票を獲得しても、「どの政党とも組まない」と表明している。ということは、下院はかろうじて出来たが、上院では「多数派の形成」は極めて難しいということになる。ベルルスコーニ率いる中道右派はモンティを支持する勢力(中道左派とモンティ党)とは厳しく対決してきた。

 大統領が組閣を試みるが、無論のこと「安定した政権」は今回の選挙からは生まれない可能性が高い。とすると、「近々再選挙」ということになり、「ではその結果は ?」ということになる。イタリアの政治の不安定化は暫く続くと言うことだ。

 ヨーロッパ全体の金融危機は、一番問題児だったギリシャに「外資が入り始めている」というところまで来て、「一時の危機的状況からは脱しつつある」との見方が強い。それによってユーロは強含んでいた。円に対しても128円近くまで行ったと思う。しかし今回の大幅安だ。

 加えて3月1日には米国での「強制予算カット」のリスクが高まっている。こちらの方はその事態になっても長くは続かないと思われるが、それにしても「大きなマーケットリスク」の存在を改めて想起した一日だった。

 ただしヨーロッパの危機は”再燃”であるし、米国の財政を巡る攻防は今や日常茶飯事となっている。全く新しい危機ではない点が重要だ。


2013年02月25日(月曜日)

 (09:20)今朝は寒かったですね。朝早く起きてPCのデスクトップを確認したら、その時で「0度」になっていました。それでも朝少し体を動かすと直ぐに汗ばむ。春は接近していると言うことです。

 ところで、今朝のかなりの数の朝刊各紙で報じられた黒田東彦・アジア開銀総裁は、現在68歳。1944年生まれで、為替の世界に居た人間には非常に馴染みの深い人です。「ミスター円」と今でも呼ばれることが多く、マスコミへの露出も多い榊原英資氏(同じく財務官経験者 1941年生まれ)の、次の世代の人でした。

 回り道が多かった榊原さんと違って、黒田さんは主税局で若い時代を過ごした後、国際金融局の次長や局長を経た後に財務官と、順調に大蔵省・財務省の中で経歴を積み上げてきた。

ミッドタウンの池も凍っていました。寒かったんですね  今ではあまり語られなくなったが、黒田さんは財務官だった1999年から2003年には大規模な円売り介入を展開し、「ミスター円」(榊原氏に与えられたニックネーム)ほどはマスコミ用語にはならなかったが、「円高ファイター」として知られた。今朝の外国為替市場がとりあえず円安に動いているのは、一つはこの経歴があるからです。

 これまで黒田氏の日銀総裁就任に大きな障害があると言われていたのは、戦後ずっと日本が独占してきたアジア開発銀行(ADB)の総裁の椅子を「中国に取られてしまうかも知れない」という点だったと思う。

 黒田氏のADB総裁の任期は2016年までで、あと3年もある。今朝出ている一連の「黒田報道」では、私の知る限りADB総裁の椅子がどうなるのかについて触れた記事はない。「今ならまだ日本人をADBの総裁に送り込める」との判断があったのか、それとも「ADBの総裁の椅子を他の国の人に譲るかも知れないが、次の日銀の総裁は黒田氏が最適」との判断があったのかどうかは不明だ。多分後者だろう。

 日経新聞の記事に「黒田氏は日銀に一定の物価上昇率達成を掲げて金融政策を運営する物価目標の導入を早くから求めてきた積極緩和論者」と書かれていることでも分かる通り、安倍首相とのケミストリーは非常に合っていると思われる。

 今朝Wikipediaを調べていたら、面白いことに気がついた。来月の5日発売予定の『世界は考える』(土曜社 「ソロスほか-世界は考える」)では、安倍晋三首相と共に数少ない日本人として寄稿している。

 またWikiで面白かったのは、25日早朝段階での記事の長さを榊原英資氏と黒田東彦氏で比べてみると、その長さは榊原氏の方がはるかに長い。それは榊原さんの派手な行動に比べて、黒田さんのどちらかと言えば堅実で目立たない性格(榊原さんと比べて)を良く表している気がする。

 まだ新聞辞令の段階とは言え、世界中が注目していた白川・日銀総裁の“次”が黒田さんに決まる、と言うことは、マーケットにも影響を与えるでしょう。というか、もう与えている。東京の株価は大幅高で始まった。

 大蔵省・財務省の出身者であり、「財務省出身者は駄目」と言っている「みんなの党」の同意は得られないにしても、他の党(民主党を含む)からはそれほど強い反対論は出ない可能性が強い。その人柄もある。

 黒田さんは財務省の保守本流と言われる主計局系列からは外れている。自民・民主などの合意により「事前報道ルール」は解消されている。事前報道されたことはあまり問題にはならないだろう。

 安倍首相が指名したら、本当に「黒田・日銀総裁」が誕生する可能性が強いと思われる。直近のインタビューでは「(アジア開銀の総裁としての)今の仕事に満足」と述べているが、首相のたっての指名とあれば断らない、と筆者は見る。

 IMFにお墨付きをもらい、TPPでも見通しが立った。日銀総裁も決まり、安倍政権では次々と懸案が動き出している。これらが支持率の状況に寄与していると思われる。あとは数ヶ月先に実際に”成果”が出るかどうか。

 むろん、個々の企業の努力などが大前提ですが。


2013年02月24日(日曜日)

 (00:20)「ようやくまとまった記事になってきたか」とニューヨーク・タイムズの「No Exit: China Uses Passports as Political Cudgel」を見つけたときに思いました。「cudgel」とは「こん棒」の事です。「ムチ」と言っても良い。

 2010年に行ったチベットでもそうでしたし、去年行ったシルクロードの旅の一環としてのウルムチ(ウイグル人居住地区)もそうでしたが、「そもそもパスポートを拒否されている人達」の話は頻繁に聞きました。つまり「国外に出られない、出してもらえない人達」が中国には沢山いる、という話。私が書いた後者の文章の中でも

 新疆ウイグル自治区でも被抑圧側には厳しい現実がある。ウイグル人はよほど大学などで優秀で、かつ共産党員にならないとパスポートが出ない、と聞いた。生まれだけで外国に行きたくても行けないという現実。中国はその点だけでも非難されてしかるべきだ。
 という記述が出てくるが、その時はその総数がどのくらいに達しているのか私には分からなかった。しかしこのニューヨーク・タイムズの記事では「少なくとも1400万人、その大部分は中国国内のチベット人、ウイグル人」と出てくる。
 Although the government does not release figures on those who have been denied passports, human rights groups suggest that at least 14 million people ― mostly those officially categorized as ethnic Uighurs and Tibetans ― have been directly affected by the restrictions, as have hundreds of religious and political dissidents.
 今日の日本の新聞各紙によると、中国の直近の人口は13億5400万人だという。とすると、中国は人口の1%に対してパスポートを発行していない、認めていないということになる。日本の人口(1億2700万人)から見ると、「10人に一人」の割合だ。重要な事はこの「1%」にチベット人とウイグル人の大部分が入る」ということだ。しかもその数は最近になって急増しているという。
 Lawyers and human rights advocates say the number of those affected has soared in recent years, with Tibetans and Uighurs, the Turkic-speaking minority from China’s far west, increasingly ineligible for overseas fellowships, speaking engagements or the organized sightseeing groups that have ferried planeloads of Chinese to foreign capitals.
 中国政府はこれら少数民族に加えて、「好ましいと思えない、反体制派と思える人々」にもパスポートの恣意的に発給をしていない。漢族に対しても、政府に批判的な人々には容赦はないのだ。この記事にはその数は「hundreds of religious and political dissidents」とある。海外に出て不利なことを喋って欲しくないのだろう。

 しかし今はツールの多い時代だ。中国国内の不満や不満を表す行動(群体性事件)は、容赦なく海外に伝わる。「不満そうな人々を海外に出さない」という時代ではないと思うのに、中国は制度を変えようとしない。


2013年02月22日(金曜日)

 (19:20)この映画を見たのはちょうど一週間前かな。なんとアカデミー賞の候補になっていると聞いて、「ほんとかな」と。発表は二日後ですか。

 「ああそうだったのか」という面はありますよ。一応「based on.....」となっている。しかし色々脚色はあると思います。それよりも、私が問題と思うのは、やはり相当な独善さを感じるからです。アメリカ的な。

 多分、「こうやるのが正しい」「こうやるしかなかった」ということなんでしょう。しかし、急襲した屋敷で次々に大人を殺していく姿は、「本当にこれでいいのか」と思う。誰だかも分からないわけですから。

 「最後はウサマ・ビン・ラディン(UBL)に到着できたから良い」というのは乱暴です。友人まで殺されたマヤの執念は分かる。多くの日時が無為に過ぎていくことへの彼女の焦燥も分かる。

 しかし目的を達成したあとの彼女の飛行機の中での呆然とした姿には、彼女自身もむなしさを感じていると思わざるを得ない。移動用に大きな飛行機を提供されたものの、行き先も言えずに飛行機の中で泣き崩れる彼女の最後の姿が印象的です。

 余計なお世話かも知れないが、憎しみの連鎖を生むような気もしました。実際にUBLが死んでもアルカイダは新たな主役を生みながら活動を続けている。決して問題は終わっていない。


2013年02月21日(木曜日)

 (13:20)ふと気付いたらもう10日以上も朝走ってない。早朝番組や朝早くからのロケ、それに雪国への旅行などで。で、「こりゃいかん」と思って今日は時間を見つけて7キロほど。天気も良かったし、寒かったが朝陽がまぶしいくらいで気持ちが良かった。

 ところで、昨日のNTTの二つの研究所の取材は面白かったですよ。特に光RAMに使われる「slow light」(スローライト)の発想が面白かった。NTTのこれに関するサイトはここにありますが、光RAMはこの「大きく減速された光」をメモリ(RAM)として使おうという発想です。

 光の減速には共振機能を持った特別な半導体(インジウム、ガリウム、ヒ素、リンから作る)が使われます。メモリとして機能出来るに足る時間の長さ(極めて短いのですが)だけ、その中に光を閉じ込め、ワークさせるという発想。

 これが重要なのは、今光ケーブルがマルチコアなどで凄く高性能化している。昨日もテラの上のペタの伝送能力(ブルーレイ500枚を一秒とか言っていた)を持つケーブル(と言っても人間の髪の毛よりも細い)を見せてもらいましたが、データ伝送が負荷のあまりない光になっても、それを処理するサーバーのサイドが電気信号でデータをやり取りしていたら、従来と同じくらい電力を食ってしまう。

 ですから、光で送られてきたデータを電気信号ではなくコンピューターの中で光で処理できれば、それは速いし、そもそも今問題となっているコンピューター・ネットワーク(猛烈な勢いで増えるサーバーを含めて)が消費する大量の電気を大きく節約できる。ナイスですね。宇宙空間にサーバーを構成するより良いアイデアだと思う。

 まだ低性能ですよ。光RAMは。とっても。しかしムーアの法則のように性能が上がっていけば、将来大きな力を発揮する可能性が高い。光RAMを使い、かつ短距離通信で弱い光レーザを使い、そして長距離は光ケーブルでデータを大規模に伝送・処理すれば、システムとして「光中心のネットワーク」が完成する。

 「いつごろですか」と聞いたら、「10〜15年後」と。楽しみじゃないですか。放送をお楽しみに。


2013年02月20日(水曜日)

 (08:20)午前8時前には「NTT 横須賀研究開発センタ」に到着。とにかく寒い。外はまだ雪景色。昨日大阪から移動するときに神奈川は全般に凄く雪が降っていた(東京は舞った程度)のでその名残かと思ったら、夕べも降ったらしい。

とっても寒いです  聞いたら、昨夜は横横道路(横浜ー横須賀道路)にチェーン規制がかかったそうな。「チェーン規制」とな。東京や神奈川の車はそんな規制がかかったらもう走れません。「だから皆さんが来れるか心配しました」とNTTの担当の方が。午後には「NTT 厚木研究開発センタ」に移動する予定。

 何を取材するかというと、光を使った大容量通信(ペタの世界)や、RAMのチップ。前者はある程度分かるが、後者は面白そうだな。いずれにせよ、出来る限りNTTの最新技術を見たい。「地球アステク」で3月21日にBSジャパン(7チャンネル)で放送予定。午後10時。

 「チェーン規制」で思い出しましたが、昨日タイヤ会社の方々とお会いしてお話をしていたら、「今年はスタッドレスがバカ売れして、品薄」と言っていました。お店に行ってもない状態だと。そりゃそうだ、今移動してきた神奈川もそうですが、「スタッドレスがあったら、もうちょっと安心して走れる」と思う人はいるでしょう。

 今朝のタクシーの運転手さんが、「東京ではちらちら舞うのも含めて、平均一冬で9.6回雪が降るそうです。今まででまだ5回。あと4回以上降る勘定です」と。そう言えば東京は3月にも良く降る。

 といって私は自分の車にスタッドレスは着けるつもりはありませんが。雪が降ったら運転はやめ。ははは。


2013年02月20日(水曜日)

 (00:20)ショックなことが二つ。一つは最近ついぞなかった「デパートの休み」に知らずにぶつかってしまったこと。次に神田 やぶそばの火事。

 品川で仕事が終わったのは午後6時20分くらいでしょうか。そこからちょっと所用があって新宿の伊勢丹に向かったのです。何の疑いもなく。7時頃には着くかな、とか考えながら。

 しかし着いてタクシーを降りたら唖然。なんと入り口がシャッターを下ろしている。「この入り口は修理中かな」と思って次の明治通り沿いの入り口に行っても、またシャッターが降りている。その段階で初めて、「そう言えば、今年の冬は休む日もあるとか言っていたな」.....と。

 がっかりですな。というかビックリ。知ってはいたが、自分がその日にわざわざめったに行かないデパートで、「お休みの日」にぶつかるとは。だって「デパートの休み」なんて、過去何十年もなかった。後で伊勢丹のHPを見たら、あまり見つけられない場所に「2月は19日と26日がお休み」とある。書いてあっても、「当然やっている」と思っているから見なかったでしょうが。26日は伊勢丹(新宿)に用事がある人はお気をつけを。

 神田 やぶそばは昔よく行ったんですよ。オフィスが大手町にあった頃。というよりあの店があった淡路町という街が好きだった。

 鶏すきの店(「ぼたん」と言った)も、もう一つの蕎麦の店「まつや」も、文豪(確か「漱石」)が好きだった洋食の店も、そしていせげんや鰻(忘れた)、甘味の店(「たけむら」)も。

 やぶの蕎麦も夕方のちょっと早い時間にあてをいろいろとって最後にさらっと蕎麦を食べるのが良かった。わざわざ年越しの日に早めに行って何時間も待ったこともあったな。代替わりしたけど、あの発声も良かった。

 しばらく行けないのか。ま最近は、「田中屋」とか西荻の「本むら庵」、それに神田駅の近くの「砂場」とかが多かったのですが。しかし「やぶ」に行けないと言うだけで寂しい。


2013年02月19日(火曜日)

 (12:20)今日の発見と言えば、大阪で初めて電子決済システムを導入したタクシーに乗ったことかな。

 いえね、ちょっと急いでホテルのタクシーに乗ったのです。午後3時の東京・品川での予定に合わせて新幹線に乗るつもりにしていた。そしたら、「東京は吹雪いてきた」との友人からのメール。大阪もみぞれ。

大阪で初めて見た電子決済システムの表示  「新幹線が止まったらえらいこっちゃ」と思って急遽支度をしてタクシーに。そしたら前方座席の真ん中を見たら写真の表示。初めてでしたね。JRの駅、売店などでスイカなどが使えるのは、大阪でも東京と同じです。しかし今まで大阪のタクシーでそのシステムを搭載しているタクシーに乗ったことはなかった。

 運転手さんに、「珍しいね」と言ったら「はい、多分うちが(大阪で)最初です」と。「会社どこ?」と聞いたら、国際興業さんだったかな。「なるほど」という訳です。ま、乗る方にしたら便利です。

 しかしちょっと運転手さんが元気がないのが気になった。一部でシステム使用にかかわる手数料を運転手さんに負わしているタクシー会社があると聞いているので、「利用者ほどには運転手さんは喜べないのかな...」という気はしますが。ま、一般化するには時間がかかるでしょう。

 ところで、昨日の「ディープ大阪」の取材は面白かったな。千日前通りに面したビッグカメラの横を通ってその南にしばらく歩き、左に入ったアーケードが切れた先。雑誌などでは「ウラなんば」と最近取り上げられている場所。

 しかしこの名前、雑誌の命名ではなく一種の「街興し」の発想から、「鉄板野郎」の大将とかが考え出した名前だとか。「ウラ」が付く街は今はけっこうできているが、この「ウラ」は相当なウラです。笑えた。

おもろいメニューでしょ。「なにか作って」も頼んでみました  具体的に「ウラ」の核心は味園ビル(みそのびる)です。このサイトを見た方は、「怪しい」と思うでしょう。たしかにその雰囲気はある。でもちょっと違うんだな。客だった人間がカウンターの内側に入り、知らない同士でも直ぐに知り合いになれる雰囲気。なんか好きだな。

 私が基本的には東京に住む人間であるせいか、大阪には「東京と違う日本の都市」を求める。「ウラなんば」は一つ魅力溢れる街でした。今は徐々に人気化して、若い女性連れなども増えている。そう言えば我々が飲んでいたら、客観的には汚い店に「かわいい」とか言って入ってきた女性中心のグループがあった。

 夜10時を過ぎたら調子が出てきて、ちょっとぐいぐい始めてしまった。まあちょうどそのころロケを終わりましたから、良かった。来週の火曜日の朝のコールをお楽しみに。


2013年02月18日(月曜日)

 (17:20)今日はABCの朝の番組用のロケがあるため、普段より早く大阪に移動中です。それにしても行けども行けども今日は曇り空です。まるで梅雨みたい。日本中こんな感じですかね。

 ロケはディープな大阪の一つと言える千日前が対象です。その北には法善寺横丁があり、そして南にはビッグがある千日前通り。その周辺を取材します。横山と一緒。ははは、どんな取材になるか楽しみ。

 それにしても、「おぉ」という感じ。隕石が機体そば通過、爆発の熱も…機長ら目撃談という記事です。そりゃ近くを通っていた飛行機はいたでしょうね。ちっちゃな破片でも当たれば一発。恐ろしいが避けようもない事態。その時は私だったら諦めます。

 もう一つ。今大阪に向かっているので、「ああ、そうそう」と。新幹線・新大阪駅に27番ホーム、来月使用開始という記事。ずっと見ていて、「これはリニア用かな」と。そんなわけない。ちょっと早すぎる。いつか偶然に使うことになったら注意して見よう。

 もう一つのもう一つ。金融市場の先行きに興味ある人には、リンク先の文章も面白いかも知れない。ちょっと専門的ですが。私が月曜日の朝書いているものです。


2013年02月17日(日曜日)

 (23:20)今夜「おや」と思ったニュースは、「北の核実験、中国の市民怒る 各地でデモ、制裁強化要求」ですかね。知っている限りでは日本や韓国でも起きていない北朝鮮の核実験に反対するデモが、中国で起きている。

 ニュースを見るとデモの規模は小さいようです。しかし「中国各地で」というのが興味深い。官製ではなく、一般市民の自発的なデモでしょう。規模も小さいから。中国政府が後ろで糸を引いたら、もっと大規模になるはずです。

 主義・主張の所で結構建前を優先する中国の人達も、ひとたび自分達の健康と言ったかけがいのないものに対しては、主張を曲げないのではないか、と思っているのです。つい最近まで「親密国」だった北朝鮮でも、もしかしたら自分達の健康に影響することをやったら怒りをぶつける。

 同様の論理で、旧正月明けで産業活動が戻ったことによりまた北京など中国主要都市の空は有毒ガスで覆われているらしいのですが、今年はともかく、来年の冬になっても中国の空が今年と同じような状況だったら、私は相当大きなデモなどが起きて、大きな政治問題になる可能性が高い、と考えて居る。

 それは自分達の子供の健康、お年寄りの健康、今は健常な人々でも将来は健康に問題を抱えるかも知れない人々にとって脅威だからです。本音以外のなにものでもない。「もう我慢できない」となる可能性がある。

 それはこれやを考えると、習近平指導部が今後抱える問題は非常に大きいと思う。


2013年02月16日(土曜日)

 (07:20)朝起きてちらっとFTの記事を読んでいたら、思わず笑い出しました。

 The main tension within the G7 has been over statements by Japanese government officials that have appeared to target the yen.
 “There have been some excessive statements: it’s a young government,” said Adam Posen, president of the Peterson Institute for International Economics, at an event in Washington.
 笑えるでしょう。安倍自民党政権を「a young goverment」と。「政権についたばかりで、国際的にどう言えば良いのか分かっていない若い政府」とワシントンの研究所の彼が言っているのです。その前の文章が。
 The main tension within the G7 has been over statements by Japanese government officials that have appeared to target the yen.
 です。そう、確かに「為替がターゲットである」ような事を言った閣僚がいたし、経済団体の首脳もいた。世界的な影響や取り上げられ方を分かっていないような人達です。その一言一言が世界では、「日本は....」という批判に繋がる。

 モスクワでのG20はまだ終わってはいませんが、もしかしたら批判が集中するかも知れなかった日本は、IMFのラガルド専務理事から以下の言葉が出たことでアベノミクスのお墨付きを得られたも同然です。

 Speaking in Moscow, Christine Lagarde, managing director of the International Monetary Fund, said: “The talk of currency wars is overblown. Yes, the euro has appreciated and yes, the yen has depreciated but that is the result of good policies in the eurozone and looser policy in Japan.”
 “There is no major deviation from the fair value of major currencies. The international financial system can work if each of its members follow the right policies for their economy.”
 問題はその経済政策が、意図した成果を出すかどうか。ま、私の印象ですが、水曜日に匿名のG7当局者が、「G7声明"target="other">G7声明は誤解されている。この声明は日本への警告である」とロイターが報じた一件は、どうも怪しいと思う。欧州から出たのなら分かるが。きっとロイターも為替相場を動かしたかったのではないか、と。

 ニューヨークの金曜日引け段階で、為替相場はドル・円が93円台の半ば、ユーロ・円が125円前後、オージー・円が96円の40前後。まれで当然ですが、G20から出てくる声明はまずは月並みなものになりそうだ。


2013年02月16日(土曜日)

 (00:20)あまりにも希有なことなので、半分寝ていたのですが再び起きだして、ネットなどで映像を探しては見ています。ロシアでの隕石の落下、爆発。

 一番充実しているのは、実はyoutubeです。テレビが報じる以上の情報がここにはある。「a meteorite falling down」とかなんとか入れて検索することです。無数の動画がアップされていて、光が凄い映像、音が凄い映像などいろいろある。ロシアの人達がアップしてくれたものが多い。

 ロシアでは1908年にも大きな隕石の落下があったそうで、よく落ちますね。まあ国土が広いから、確率は高い。それにしてもBBCのサイト(youtubeの映像を拾ったものと思われる)などに掲載されているちょっとまとまった映像もそうですが、実にリアルです。世界で初めて映像にふんだんに収められた隕石ということになる。

 「映像ユビキタスの世紀」(?)ですね。普通の人がいるからこそ、彼等が直ちにスマホなどでカメラを構えて動画を撮ったからこそ、こうした絵が残ることになった。そしてそれを我々があまり時間を置かずに見ることが出来る。

 それはそれでナイスです。多分これからの映像は作り込まないものは、この手の映像の集合になっていく気がする。


2013年02月15日(金曜日)

 (00:20)「あらら」と思ってしまいました。「ここは東南アジア系のエスニックの街になってしまった」と。

 高田馬場です。この番組を終えた後、ちょっとした集まりがあって高田馬場の近くのミャンマー料理の店「ミンガラバー」に行ったのです。知らない店ですから、スマホの地図が指し示す場所の近くをうろうろ。

 そしたらあるわあるわ。タイだとかミャンマーだとか東南アジア系の店が一杯。ビルによってはほぼ全部そちら系の店が入っているところもある。集まった4人で話していたら、高田馬場には「リトル・ヤンゴン」と呼ばれる一角もあるそうな。

 旅の仲間で、4人のうち3人はミャンマー旅行経験者ということで、この店が選ばれたのですが。「ミンガラバー」とはビルマ語で「こんにちは」という意味です。街は変わる。学生とサラリーマンの街だった中野は、今や大企業が本社を置くビジネスの街になりつつある。

 日中はお台場の日本科学未来館や青山のホンダ本社で同社のロボット系技術のロケをしました。あのアシモの技術がいろいろなものに発展していた。

 UNI-CUBリズム歩行アシストがそれですが、どちらも面白かった。「UNI-CUB」(ユニカブ)は、直ぐ乗れるようになります。体を傾ければ良い。そちらに動く。例のガイアの近くのスロープもスイスイ。

 まあでも好きな青山ではバイクにも目が行きました。いつかゆっくり500CCを超えるバイクに乗ってみたいと。


2013年02月13日(水曜日)

 (23:20)朝から神奈川県茅ヶ崎の一角にある由紀精密さんにロケに。この写真にある通りの、本当に小さい企業さんです。従業員は20人ほど、一階のかなりの部分と二階の一角に機械、しかも古い機械が従業員の数より多くあり、そこで時々機械がキーと回る音がする。昭和の匂いがする懐かしい風景の会社です。「経営もそれほど楽ではないんですよ。受注は減っているので....」(大坪常務)、と。

 しかし作っているものは凄いんですよ。大手航空機メーカーのマシンに入っている部品や、枢要部品のプロトタイプ製作を初めとして、ロボットに入る各種部品など実に多くの機械の心臓部を製造している。様々な材質の金属の棒から、機械と人間のコラボで精密で、バランスの良い、極めて品質の高い製品が生まれてくる。

 由紀精密さんは、切削加工に特化した非常にユニークな会社です。「BtoB」のビジネスが減る、日本の中小企業の数も減る、というのが今の大きなトレンドですが、それはコンピュータライゼーション、素材の分野への樹脂の進出(金型製造が可能)などいろいろ背景がある。部品、特に金属部品の数そのものが減っているわけです。由紀精密もその影響は受けている。

 しかしこの会社が凄いのは、自社の高い製造技術、品質を使って、「BtoC」への進出も図っている、ということです。本物を欲しい子供さんを含む多くの消費者向けに。例えば由紀精密製のコマです。凄く売れているそうです。私もちょっと買わせて頂きました。3月に入って地球アステクで放送されます。日本の中小企業の将来の姿が見える筈です。

 それと明日のこの番組(BSジャパン 午後10時)は、『113番元素「発見」!先端技術とその舞台裏/理化学研究所 仁科加速器研究センター』です。日本が、日本人が初めて元素に名前を付けられるかどうか、というある意味非常にプライドと名誉がかかった、面白い話です。是非どうぞ。
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 既に長くなっているのであまりここでは書きませんが、オバマの一般教書演説を取材帰りの電車の中でちらちら読みながら思ったのは

  1. 「アメリカは選ばれた国だ」「アメリカが世界をリード」といった類の、おきまりのちょっと臭い決まり文句がまだあることはあるが、多少は少なくなった
  2. 中間層の再構築を視線の先に置いているという意味では、日米の政策はシンクロしている
  3. 北朝鮮とイランを名指し非難しているが、特に具体策がある訳ではない。そういう意味では手詰まりだ
  4. 昨年よりは「気候変動」に関して長く述べている(と思った)
 という点です。二番目については、日本では安倍首相が経済団体などの「労働賃金の引き上げ要請」という形でやっているのですが、オバマは「最低賃金の引き上げ」を打ち出した。この部分です。
 We know our economy is stronger when we reward an honest day’s work with honest wages. But today, a full-time worker making the minimum wage earns $14,500 a year. Even with the tax relief we put in place, a family with two kids that earns the minimum wage still lives below the poverty line. That’s wrong. That’s why, since the last time this Congress raised the minimum wage, 19 states have chosen to bump theirs even higher.
 Tonight, let’s declare that in the wealthiest nation on Earth, no one who works full-time should have to live in poverty, and raise the federal minimum wage to $9.00 an hour. (Applause.) We should be able to get that done. (Applause.)
 確か今は7ドル台だと思った。だから9ドルへの引き上げはちょっとボールドです。今の7ドル台では年収1万4500ドルですか。今の為替レートで136万円ほど。これでは子供に高い教育を施すことは無理です。「額に汗する人が報われる」といった類の表現が出てくることでも、日米の政策はシンクロする。

 北朝鮮に関して彼が喋った部分は以下です。演説を通して頻度高く出てくる国はない印象ですが、北朝鮮については1パラグラフを使っている。強硬なことは言っているが、「では何が出来るか」については曖昧だ。

 Of course, our challenges don’t end with al Qaeda. America will continue to lead the effort to prevent the spread of the world’s most dangerous weapons. The regime in North Korea must know they will only achieve security and prosperity by meeting their international obligations. Provocations of the sort we saw last night will only further isolate them, as we stand by our allies, strengthen our own missile defense and lead the world in taking firm action in response to these threats.
 もう一度くらい週内に読み直してみます。


2013年02月12日(火曜日)

 (22:20)モスクワでのG20を目前に控えてのG7声明は、途上国も巻き込んだ形で為替論議が過熱して収拾がつかなくなることを予防し、G20の中でのG7の為替に関するスタンディング(立場)を事前に明確にするという意味があると思う。珍しいことです。G7がこの時期に声明を出すのは。それだけ”為替”を巡って各国、それに各国の政治家のテンションが高まっていたと言える。

 しかし私が予想した通り「日本」の名指しはなかった。ブレイナード米財務次官がアベノミクスを評価した段階から、その可能性はゼロになったと思う。今回のG7声明をよく読むと、先に紹介した同次官の考え方が、ほぼそのまま声明に採用されている。あとで詳述しますが、「各国の国内政策は各国の経済目標を達成する為のもの」といった部分です。

 この声明によって、G20の為替論議の方向性はかなり整理されると思う。国内政策の結果として為替が動いたならそれは基本的には許される。しかし為替レートにターゲットを設けてその結果(直接介入を含めて)為替レートが動いたら、これは許されない、という基本的な考え方。その分別は難しいが、日本のアベノミクスが目標としているのはまずはデフレ脱却、次に経済成長なので、その結果としての今までの円安はG7各国から一応の、しかし懸念付きの了解を得たとも言える。

 これは日本にとって意味がある。またG20の議論が予見不能の方向に行くことを阻止できるという意味でも重要だと思う。G7がG20に先立って出した声明の全文は次の通りです。

 “We, the G7 Ministers and Governors, reaffirm our longstanding commitment to market determined exchange rates and to consult closely in regard to actions in foreign exchange markets. We reaffirm that our fiscal and monetary policies have been and will remain oriented towards meeting our respective domestic objectives using domestic instruments, and that we will not target exchange rates. We are agreed that excessive volatility and disorderly movements in exchange rates can have adverse implications for economic and financial stability. We will continue to consult closely on exchange markets and cooperate as appropriate.”
 この中で一番重要な文章は真ん中の第2センテンスです。「我々の財政・金融政策は、従来もそうだったし、今後もそれぞれの国が国内政策手段を使って各国の国内目標を達成するためのものであること、さらに我々G7諸国は為替レートを目標には設定しないことを再確認する」と訳せる。

 ややこしい言い方になっていますが、「為替レートの設定を直接的な目標にするな」ということで、これはG7声明の起案者としては日本も一応の念頭にあったが、為替に直接的に介入しているような途上国も念頭に置いると考えるのが自然です。
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 北朝鮮の核実験は確認されました。問題は「(北朝鮮の核実験に関して)国際世論に背いた。断固として反対する」と声明を出した中国が、言葉ではなく実際的に何をするかでしょう。北朝鮮は石油、ガソリンをすべて中国に頼っている。もし中国が本当に怒っているのだとしたら、その供給路を細めなければならない。

 この見方はさっき読んだニューヨーク・タイムズの「Nuclear Test Poses Big Challenge to China’s New Leader」という記事も同じでした。試されているのは「中国の新指導部」です。

 多分今日中にも国連の安保理が緊急理事会を開くので、中国が対北朝鮮制裁に関して、または決議案に対してどういう態度を取るのかは分かるでしょう。既にロシアはかなり対北朝鮮政策について言うと西側に近い。残るは中国だけです。中国が本当の意味で動けば(石油の対北輸出を止めるとか)、事態は動く。


2013年02月12日(火曜日)

 (13:20)この週末に開かれるG20の財務相会合(モスクワでの開催)を控えて、為替に関する記事が俄然多くなってきている。為替に関する世界各国当局者の発言は、今のところ「日本の為替政策」に関するものが多いので、それだけでも興味深いが、今後の為替を巡る全般(考え方、方向)に関して幅の広い視点を与えてくれるものもある。

 まず私が注目したのは、米財務次官であるLael Brainardさんの発言だ。彼女は財務長官に指名されているルー氏が依然議会の承認を得られないために、このモスクワG20にアメリカ代表として出席する。その人の発言に注目した。

 その発言がふんだんに引用されているのはFTの記事です。主見出しは「US Treasury triggers fall in yen」となっている。この中で彼女はこう述べています。

 “We support the effort to reinvigorate growth and to end deflation in Japan,” said Ms Brainard.

 Markets took her comments as a sign that the US will not publicly object to the new Japanese government’s aggressive push for easier monetary policy, during which some officials have made explicit references to the yen.

 But Ms Brainard also said the G20 must not let countries manipulate their exchange rate. “The G20 needs to deliver on the commitment to move to market-determined exchange rates and refrain from competitive devaluation,” said Ms Brainard. In a remark that Tokyo may read as a warning she said countries should “continue to support this approach in words as well as deeds”.

 アベノミクスには賛成だが、「為替の操作(manipulate)は許されない」という内容。この文章だけでは、線引きがはっきりしない。その点に不透明感が残る。

 実はこの記事の副見出しは「Bundesbank head warns against talking down euro」となっていて、記事の半分はドイツ連銀の総裁であるJens Weidmann氏の発言です。米財務次官の発言が日本のメディアでも今朝から大きく報じられているのに対して、こちらの発言の扱いは小さい。しかし重要な事を言っている。

 Ms Brainard’s comments follow remarks earlier in the day from the head of Germany’s influential Bundesbank, who warned eurozone politicians to stay away from talking down the euro, arguing that any policy to weaken the currency would lead to higher inflation.

 The recent sharp appreciation of the single currency did not “signal a serious overvaluation”, Jens Weidmann argued in a speech that came at a time of rising fears the eurozone stands to lose most in a global currency war. “If more and more countries attempt to depress their currencies, this could lead to competitive devaluations that will only know losers,” he said.

 欧州の政治家連中が盛んに「日本批判」を展開していることに警告している。「The recent sharp appreciation of the single currency did not “signal a serious overvaluation」という部分が小気味よい。「最近のユーロの急激な切り上がりは、ユーロの深刻な過大評価にはなっていない」と小気味よい。

 一方、ウォール・ストリート・ジャーナルにも興味深い記事がある。「Currency Devaluations Face Broader Fight」という記事で、これは「国内経済を押し上げるために行っている金融政策の結果生ずる通貨安」と、「一部の途上国がしている直接的な為替介入(自国通貨安操作)」の間に線引きをしようという動きがある、と報じている。ブレイナードさんがしなかったことをやろうというわけです。

 これは重要です。日本としては明らかに今の円安は介入はしていないわけだから、「国内経済を押し上げるために行っている金融政策の結果生ずる通貨安」と位置づけたい。文章は以下の部分です。

 The U.S. and other advanced economies are trying to draw a distinction between deliberate currency intervention by some developing countries, designed to weaken a currency to make exports more competitive, and central banks' actions to boost a domestic economy―actions that weaken a currency as a helpful side effect.
 おやおや、午後1時前に官房長官が緊急記者会見ですか。(核実験から)撤退と見せて、本当はやった? 関心を引こうと忙しい国です。


2013年02月11日(月曜日)

 (19:20)新幹線に乗ったら車内放送で「不発弾処理....」とかなんとかアナウンスしている。何だろうと思ってJR東海のホームページを見たらこのような告知が。17日、日曜日の朝(8時半)ですか。その日に動かれる人は気をつけて。

 それにしてもまだあるんですね。以前は赤坂でもあった。まだまだあちこちでありそうです。赤坂といえば、旧赤坂プリンスホテルは本当に小さくなりましたよ。今朝も通りかかって「もうすぐだな」と思った。

 ちょっと気になったニュースが。東京新聞などに載っているのですが、

 米アップルが、スマートフォン(多機能携帯電話)並みの性能を持つ腕時計のような電子機器について試験していると、複数の米メディアが10日報じた。腕時計や眼鏡などにコンピューターを組み込んだ着用型電子機器は、新たな成長分野として注目を集めている。

 米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)によると、アップルが試しているのは、曲がるガラスを使った腕時計のような機器。実用化の時期は不明という。米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は、アップルが製造委託先である台湾の鴻海精密工業と話し合っていると報道。

 ここまでは東京新聞のサイトに載った共同通信の記事ですが、ウォール・ストリート・ジャーナルに渡って記事を読んでみたら、以下の文章も。
 Capabilities that Apple is exploring for wearable devices remain unclear. But analysts and investors who have been tracking the field predict the company would release a product with many different functions and that the device would work closely with the iPhone.
 なるほどね。そりゃiphoneと「work closely with」なんでしょう。そうじゃなきゃ、小さいものに機能を積みきれない。つまり、既存の製品とループとなる新製品、それが「Watch-Like Device」だと。

 私の予感ですが、ループの一環として製品なら、案外早い時期に実際に売り出される気がする。


2013年02月11日(月曜日)

 (00:20)昨夜のいま世界は(BS朝日 午後7時)に出てこられた小野寺大臣の話は非常に興味深かった。大臣はのっけから、「中国側も両国の対話の必要性を述べている...」という点を強調したかったようで、その気持ち(政府当局者として)は分かるのですが、我々としてはその前に確認しておかねばならないことがあり、かなりの数の質問をさせていただきました。

 番組の途中で大臣が、「こんなに皆さんにレーザー照射を浴びるとは...」とか仰っていましたが、スタジオに1時間半もいらっしたので、それは大変だったと思いますが、お役目なので。私以外は、元NHKで今は作家・ジャーナリストの手嶋龍一さん、そしてパックンでした。

 質問に対する大臣のお話で私が興味を持った、問題だと思ったのは

  1. 1月19日に自衛隊のヘリコプターに射撃用の火器管制レーダーの照射(ロックオン)が疑われる事案があっただけに、その情報は共有され自衛隊全体として警戒をしていたので、30日の照射については当該自衛艦も警戒をしていて中国側艦艇に対する動画撮影を行っており、「その時の動画や機器に示された数値」が公開するとしたら対象になる(大臣は世界に出しても納得性が高いものと)

  2. ロックオンされたのに直ちに攻撃(国際慣行的にはそういう見方もある)しなかったのは、ロックオンの事実にも関わらずミサイル発射装置なり砲なりが当該自衛艦に向けられてはいなかったという事情があり、その結果自衛艦サイドでも直ちには中国側の真意をはかりかねた

  3. 中国側の意図を計りかねたことや、自衛艦から東京までの映像移送に時間がかかったこともあって、小野寺大臣のものに「こういう事案があった」という報告があったのは2月5日が最初であり、事案報告はほぼ同時に安倍総理大臣に対しても行われた(これは私にとってショッキングな話でした)

  4. 担当大臣である小野寺大臣への報告に6日もかかったと言うことに関しては、大臣自身も「時間がかかりすぎ」との印象を持っている
 という点。「映像の移送」といっても、自衛艦にはインターネットが繋がっているはずだし(衛星に飛ばせば良い)、例えばそれが機密保持の理由で出来ないとしても石垣島から東京までは3時間ちょっとあれば飛行機は飛ぶ。いくらなんでもかかりすぎだし、艦長から防衛省の担当課長→局長のルートは、電話なりでもっとスムーズな情報伝達が出来なれば、一体有事の時にはどうなるのだろう、と思わざるを得ない。

 結局、「局長のところで情報が止まっていた」と考えるのが自然です。大臣は「(映像の)移送と解析に時間がかかったのでしょう....」と言っていましたが、それはどう考えても許されることではない。担当大臣は当該事案のような重大事案については、起きてから遅くとも1時間以内には知っていなければならない、と思うわけです。国民が選んだ大臣に報告がなくて、どう内部処理しようとしていたのか。

 何回もやっているので知っていますが、例えばネット環境が整っていれば、例えば10分の動画をユーチューブのような動画アップサイに上げるのに、かかる時間は20分ほどです。鮮明な映像を送る前に、なぜ防衛省に「いまさっきこういう事案が起きました」との映像伝送と報告が上がらなかったのか。これは非常に大きな問題だと思う。今後の為にまずこの点が質されねばならないでしょう。

 公開かいなかという問題に関しては、大臣は「総理が決めること」との発言ですが、政府部内では慎重論が強いとの報道もある。「肝心な時に出す」という戦法がないわけではないが、私は基本的には出した方が良いと思う。中国側に対する牽制になる。

 それにしても、「中国側の意図」というのはいったいどこでどういう判断が下されているのか分からない面がある。中国の共産党の意思、軍の意思、そして下部官庁としての中国外務省としての立場。

 昨日も公船4隻が日本の尖閣列島沖の接続水域に入ったとされ、照射事件があって以降の中国軍の動きが全体的に鈍かったのは、事件公表があったからなのか(軍が党に叱責された可能性もあるので)、それとも単に春節で中国という国の活動が落ちているだけなのか。

 中国のCCTVがワシントンに大規模な放送施設を持って元フォックスの女性リポーターをキャスターに引っ張ってきて「中国の意思」を放送に載せている問題を含めて、昨日の放送は面白かった。よくよく日本も体勢を整えなければ。


2013年02月10日(日曜日)

 (11:20)中国海軍艦艇が海上自衛隊護衛艦に射撃用の火器管制レーダーを照射した問題の発生とその後の動きによって、中国に関していろいろなことが分かりましたね。改めて、の面もありますが。

  1. 共産党の独裁で何事も一挙に決まっていくのかと思われがちだが、組織全体にばらばら感があって、事実の把握、その発表そのもの、それに発表形態の選択にはものすごく時間がかかるケースがある
  2. 事実を曲げても国家の対面を保つためにはしばしば虚偽の主張をする
  3. 中国の外務省が序列的には共産党直轄の軍などにくらべて地位が低く、肝心な事を発表さえ出来ない
 などです。なにせ「火器管制レーダーの照射があったかどうか」を調べるのに、いや「調べた結果を発表するのに」3日もかかったこと。多分これには、軍と政府など、その両方の上に立つ共産党指導部の間で、「どう発表すれば良いのか」のやり取りがあって時間がかかったのでしょう。

 日本も首相に報告が上がるまでに6日掛かったと言われているので、それ自体が微妙な問題なのかも知れませんが、日本は「いいだしっぺ」になるので慎重になったのは当然。日本政府は「護衛艦が撮った中国艦艇の動画や写真などの証拠データを公開する方針を固め」たそうなので、これを中国が否定できるかどうかでしょう。

 問題なのは、ここ数日の中国軍(特に空軍の)の動きの鈍化が「旧正月の開始に伴うもの」なのか、それとも「軍の独走を党の指導部が窘めた」ためなのかでしょう。日本のマスコミの見方もいろいろ分かれているが、私は先日書いたように「軍の独走」の可能性が高いと思う。軍には、日中間に緊張状態を保つメリットがある。

 旧正月が終わった段階でも中国軍の動きが全体に低調になったら、「日中間の話し合いの環境が出来上がる」とも考えられる。しかし日本に対しては国内世論からもなかなか柔軟になり得ない習近平総書記は、今後も難しい舵取りを迫られるだろう。

 日本の一部の新聞は「中国は日本に戦いを仕掛けようとしている」との見方もあるが、筆者はそれは「あまりにも危ない賭け」(中国の指導にとって)との見方である。負けたら中国の指導部はもたない。

 ところで今日のいま世界は(BS朝日 午後7時)では、小野寺防衛大臣をスタジオに迎え、この「日中関係」や、北朝鮮の核実験に関してたっぷり話を聞く予定だそうです。私もスタジオ出演しますので、数多い疑問点をただしたいと思います。


2013年02月08日(金曜日)

 (18:20)軍隊経験があり、かつ訓練を受けた警察官が銃を持って殺害予告をしながら逃げている......恐ろしいことですが、そんなことがロサンゼルスで実際に起きている。動機は警察からの解雇を巡る怨恨だそうですが、時間がかなり経過しているなど不明な点も多い。いずれにせよロス近郊に生活している人は恐怖でしょうね。

 今その地の有名新聞を見たら、当然一面トップ。何本かの記事を読みましたが、どうも理由がよく分からない。それにしてもアメリカでは銃がらみの犯罪、犯行が最近特に非常に増えているような気がする。

 それでも、オバマが提出した新規の銃の購入に関する規制案も、議会で通るかどうか不明な状況。いくら建国の精神と言ってもこれだけ関連犯罪が多くなれば規制に賛同する人が増えてはいるのでしょう。しかし法律になるかどうかは不明。ある意味不思議な国です。新規を規制しても、既に出回っている丁数がすさまじい。アメリカの銃犯罪は今後も続くのでしょう。残念ですが。

 その他今日は本当にニュースの多い日ですが、私の頭に残っている言葉は昨日のこの番組に電話出演されたゲストの方が、「絶滅の危機に立っているウナギはもっとも問題が深刻化しているものですが、実は淡水魚全体が今は危機なんですよ」と仰ったことかな。

 そのゲストの方が挙げた一つの大きな要因が、「生育域の減少」。川はコンクリートで護岸され、沼や湿地帯は埋め立てられ、ダムが出来て遡上できず....と確かに言われてみれば、淡水魚には生きられる場所は大きく減少している。

 子供の頃は小川とかで魚を掴んだこともあるし、網で魚をすくったこともある身としては、「そうだよな」と思う。魚が潜んでいる場所は、水草の下だったりする。しかし護岸されたのでは淡水魚たちは棲息できない。

 ウナギはついに「絶滅危惧種」ですか。あそうだ、湘南の海岸で見る「生シラス」はイワシ、特にかたくちイワシの稚魚で、「シラスウナギ」とは関係ないそうです。私も勘違いしていた。なんとか完全養殖の技術が早く確立して欲しいのですが。でも、それでウナギの生育域が広がるわけではない。

 ゲストの方は言っていた。「安定的に減少しています」と。恐ろしい話です。


2013年02月07日(木曜日)

 (06:20)今見たニュースで「へえ」と思ったの は、日経にあった「ローソン、働き盛り・子育て世代の年収3%引き上 げ」かな。安倍政権 の「物価を2%は引き上げる」という一応の目標で は、「3%」は賃金の減少・横ばいを避ける最低の引き上げ幅。

 この記事にもあるとおり、「新浪剛史社長は日本経済の成長戦略を立案する政 府の産業競争力会議のメンバー。今回の施策を通じ、脱デフレに向けて 所得拡 大を掲げる政府の方針に呼応した面もある」のだろう。安倍政権が推し進める政 策の中にある一つの弱点は、「物価は上げるとして、じゃ賃金が上がらなかっ たら実質的には賃下げ?」ということだ。

 むろん「物価が本当に2%上がるかどうか」という問題は「それ以前の問題」として依然として残る。今は相当高いスマホなどIT関連機器の分野でも、今後は相当値下がりが起きそうだ。今の世界経済は、IT関連機器という強いデフレセクターを抱えている。その中で「2%の物価上昇のターゲット」を持つと言うことは、消費者物価の 対象の他のどれかが「かなり大幅な値上がり」をしないと目標を達成できない。

 多分それは、万人共通の”生活関連”物資となるだろう。ガソリンは既にかなり値上がりしているが(リッター当たり普通、ハイオクとも10円程度)、その他の生活関連 物資も大幅に上がりそうだ。そうした中で賃金が横ばいだと、実質的に日本国民 の生活レベルはかなり下がる、ということになる。

 であるが故に安倍首相は経済界に「賃上げをお願いしたい」と言っているのだ が、今まで私が見ている範囲ではローソンの新浪社長が初めての「具体的な、 公表的な行動を取った」ということだ。この記事をさらに読むと、「関連3社の 20歳代後半〜40歳代の正社員約3300人のほぼ全員を対象に、年収を平均3%引 き上げる」となっている。

 ローソンの全正社員は全部で5120人であり「うち20歳代後半〜40歳代の正社員 3300人は全正社員の約65%に当たる」らしい。私の疑問は、「じゃ、他の年齢 の人達はどうなるのか」ということと、ローソンで働く人の多くが非正規労働者 だと思われるが、「じゃ、彼等はどうなるのか」という点だ。

 多分、ローソンで働く人(正規と非正規を含めた人)の数から見ると、「3% の労働賃金の上昇」の恩恵にあずかれる人は「かなり少ない」という結果だろ う。アルバイトなどには恩恵は行かないことになる。かつ、「詳細の仕組みは今 後詰めるが、子供の人数に応じて支給額を厚くし、子供が3人いる場合は年収 が6%程度増えるようにする」とある。

 能力給の実施程度にもよるが、「じゃ、子供はいないが能力のある人が、子供が3人いるあまり能力のない人に賃金で追い抜かれるケースも出てくるが、それで良いのか」という問題も出てきそうだ。この関連では日経には「脱デフレへ所得底上げ  諮問会議、雇用改革に着手」という記事もある。

 それにしても、「沖縄県・尖閣諸島周辺で中国海軍艦船が海上自衛隊の護衛艦 に射撃管制用レーダーを照射した」問題に関する中国側の反応には時間がか かっている。中国のネットには「日本が問題を作り上げた」という書き込みもあ るらしいが、新華社など公式メディアは沈黙。

 これは私の勝手な推測だが、もし「レーダー担当者の行きすぎた、興味範囲の 行動」ではなく、「何らかの組織的動き」だとしても、この問題は「軍 内部の 動き」ではないか。この問題は世界で大きく報じられているので、本来なら中国も「そんなことはしなかった」と否定したか、そうでなかったら「その理由」を明言したい筈だ。しかしそれもしてこない。

 それは実態把握に時間がかかっているか、そもそも軍が明確な返答をしていないからだと思う。今の中国の軍は、習近平から「過度な飲み食いは改めろ」と言われた り、そうとう欲求不満が貯まっている筈だ。中国の場合、軍は大きな事業体でもある。また関連予算引き上げの願望も強い。軍としては「緊張状態の存在」が必要だ。

 しかし今の不安定な中国の政治状況下で、習近平指導部としては「日本と一戦 を交える」という選択肢はまずない。負ける可能性もある。負けたら中国の今 の政治体制はもたなくなる可能性もある。

 とすると、「軍部の支持は得たいが、軍部をコントロールしておきたい」政権としては、「良い落とし処」を探しているのだろう。それに時間がか かっている ?


2013年02月05日(火曜日)

 (12:20)今週はちょっとゆっくり大阪に居ようかなと思ったのですが、「5日夜から東京23区内でも雪の恐れ 本州南に低気圧」ということで、昼前の新幹線に乗って大阪から東京に移動中です。

 前回の雪が凄かった故に、そうはらないない可能性も高いと思うのですが、「明日身動きできなくなったら大変」という気持ちで。それにしても忙しい。「関東4都道府県では花粉の飛散が始まる」とのニュースを先日見たと思ったら、今度は大雪ですか。

 それにしても、デルはどこに行くのでしょう。ニューヨーク・タイムズの疑問「whether taking the personal computer maker private will accomplish what years of previous turnaround efforts have not.」はもっともに見える。

 アップルでもPCがなかなか売れない時代。それにしても見事にIT業界の企業は定期的に入れ替わる。インテルもそうだった。むろん、再生のチャンスはあるのですが、「成功のジレンマ」のスピードが速い。逆に言えば、今は苦境の日本のメーカーにも再生のチャンスがあるということです。


2013年02月04日(月曜日)

 (22:20)またまた週末は東京を留守にしていて月曜日の昼頃に帰ってきたら、いやに車が少ない。どうしたんでしょうね。

 タクシーに乗ったので運転手さんに聞いたのです。「今日は車が少なくないですか....」と。そしたら運転手さんが、「少ないです」と。「どうしてですか」と私。「ガソリン価格が上がったからじゃないですか」と運転手さん。

 うーん、まあ二八(にっぱち)ですから。でもほんとにちょっと少なかった。運転手さんが、「高速なんて最近は午後7時を過ぎるとほんとに車が少ない。高速を選んで良かったと思うんですよ....」と。景気に関係するので聞いているのですが、ほんとに東京は車が少ない一日でした。要チェック。

 ところで、今までNHKBSでスーパーボールの再放送を見ていたのですが、確かに面白い試合だった。34対31。実はレイブンズというチームはあまり知らない。私がアメリカにいた頃は、スティーラーズの全盛期で、レイブンズなんていうチームはなかった。その後は49ersなどが出てきた。

 で調べたら設立が1996年とあった。それじゃ私は知らない。話題が多いスーパーボールだった。停電とかビヨンセが生で歌ったとか。何と言っても「史上初の兄弟監督による対決」か。テレビで何度も出てきて、確かに似ている。

 49ers も110ヤードのリターン・タッチダウンを決められたりしたらちょっと勝ち目はなかった。最後追い上げましたが。勝ったレーベンズの監督で兄のジョン・ハーボーは「自らはNFLでのプレー経験はない」(読売新聞)そうだが、歴史の浅いチームを5年連続でプレーオフに進出させて強豪の一角に昇らせたという。凄いじゃないですか。日本のプロ野球にもそういう監督が出てきても良い。

 ところで、RICOHさんがどういう軌道修正をしてくるか分かりませんが(しないのかな...)、とりあえずQUANPに上げていたデータのダウンロードを始めたが、どえらく時間がかかる。とてもスマホのテザリングでは出来ないので、久しぶりに大阪のホテルのwifiでやっているが、多分ホテルサイドには迷惑になっていると思う。しかし一晩中かかりそうだ

 それに各写真につけた「コメント」はどうなるんだろう。消えるとしたらまた一段と「怒り心頭」。


2013年02月03日(日曜日)

 (06:20)RICOHさんのオンラインストレージサービス「クオンプ」の停止に関して、私のまとまった考えを述べたいと思います。このサービスは「良い」と思い、今まで積極的に使ってきたし、自分が過去2年強に渡って写真のかなりの部分を預けてきた人間として。

 ご存じない方にちょっと説明すると、このサービスは企業向けではなく一般の消費者向けに開始された日本発のクラウドサービスとしては、代表的なものの一つです。開始は確か2008年の5月で、私は2009年から盛んに使ってきた。撮った写真はほぼすべてここに投げてきたのです。容量も上げて、有料の利用者でもある。

 このサービスのRICOHの開発チームの方々とお会いしたのは2010年01月15日の金曜日です。その時にサービスに対する私の希望を述べ、RICOHさんの担当者からはこの後の事業の展開などに関してちょっとした説明があり、互いに意見を交換した。

 その時にもお伝えしたと思うのですが、私はずっと

 「写真を預かるということは、その人の人生を預かること」
 「よって、クラウドサービスを始めると言うことは、お金を預かる銀行より思い責任を負うこと」

 という意見の持ち主です。今もその考え方を変えていません。3.11の地震・津波にあわれた方々が一枚の写真を求めて歩かれている姿を見ると、「写真はかくも大事なものなのだ」ということが良く分かる。その写真を預かるのだから、「(RICOHさんには)それなりきの覚悟がおありだろう」と思っていた。

 ところが利用者に送られてきたのは『リコー クオンプ事務局からのお知らせ 【重要】「クオンプ」サービス終了のお知らせ』というたった一通のメールだけ。なぜそういう結論に至ったのかの説明もない。これは利用者としては納得出来ない。

 詰まるところ「儲からなかった」というのが理由でしょう。それに社内の力関係の変化などが絡んでいる可能性が高い。しかしその会社が始めたサービスというのは、特にクラウドサービスは始めた以上「儲からないからやめ」ということは簡単には出来ない筈です。本来そんな軽いものではない、と思う。だって預かるのはお金よりも重い「思い出」や「データ」ですよ

 ダウンロードすれば確かに消えない。しかしこのサービスを使っている人はかなりの量のデータを置いているはずです。多分その一挙ダウンロードにはかなりの時間が必要となる筈ですし、ネットワークへの負荷もばかにならないと思う。だってかなりの枚数の写真をアップロードするのにも時間がかかりますし、動画(のアップロード)はもっと長い時間を要した。ダウンロードも同じ事でしょう。

 で、古くからの利用者の一人としてRICOHさんには

  1. サービスを「停止する」という決定を取り消してサービスを続ける
  2. それが無理なら、他社への移管を含めて改めてサービスの受け皿探しをして欲しい
  3. それでも「停止」なら、サービス打ち切りの際のごたごたで「写真」や「データ」のセキュリティが失われないようにして欲しい
 ということを要望したい。「2」と「3」が重要です。日本発のクラウドサービスの代表格がこのような形で「停止」になるのは残念だし、こんな形でのクラウドサービスの打ち切りが前例になって欲しくない。そう思います。


2013年02月02日(土曜日)

 (06:20)今見たブルームバーグでは、ニューヨーク株のダウ工業株30種平均は、引値でも14000ドル台を回復。まだ最終ではないかも知れませんが、149.21ドル高の14009.79ドル。

 そんなにアメリカ経済が好調なわけでもないのに(過去の繁栄に比べれば)、この株価の高さ。ニューヨーク・ダウの史上最高値は2007年10月に記録した14,164.53ドルですから、来週金曜日よりちょっと上げれば、その時点で「ニューヨーク・ダウ 史上最高値更新」と新聞の見出しが躍るはずです。

 良いニュースはありましたよ。例えば金曜日に発表された雇用統計。1月の伸び(非農業部門就業者数)が15万7000人(予想よりちょっと少ない)の伸びになった以上に、去年11月、12月の同就業者数の伸びが大幅上方改訂されたこともあって、「去年一年間の月間平均非農業部門就業者数の伸びは18万1000人と、当初発表の15万3000人より増えた」ことが歓迎された。しかし1月の家計調査による失業率は7.9%で、相変わらず高いですからね。

 やはり金融のスタンスが株価に大きな影響を与えているのと、今までさんざ探してきた「不況下でのお金の行き場」という観点から、「株」が再び注目されてきたという影響が大きいのだと思う。

 上がっているのはニューヨークや東京の株だけではない。欧州の株も、景気指標で明るいものが多く出たアジアの株も大きく上がっている。このトレンドは、「世界の金利が上昇の気配を示すまではしばらく続くだろう」とも思う。金利が上がり出せば、大きな調整が来る。

 ちなみに円も大きく各国通貨に対して下げて、ニューヨークの引けではドルが92.70-72、ユーロが126.48−52、オージーが96.42−49。また一段と円安が進行した。


2013年02月01日(金曜日)

 (16:20)またまた良い本を発見しましたので紹介します。同じく中国本です。「中国が普通の大国になる日」(柯隆 / 日本実業出版社)。

 先月末に紹介した「中国 目覚めた民衆 習近平体制と日中関係のゆくえ」(NHK出版 興梠一郎著)と合わせて読めば、「今の中国」が非常に良く分かります。その抱えている問題がなぜ生じてきたのか、そして今後どう展開する可能性が高いのか。

 ご存じの通り、今の中国には「有毒な濃霧」が主要都市を覆っている問題を含めて、非常に多くの難問がある。開発独裁の中でうまく回ってきたシステムが一挙に暗転している。誰もが「お隣の、大きな、そして人口の多いあの国はこれからどうなるのだろう」と思っている筈です。

 この二冊の本は、その中国を見る視点を鋭くする上で非常に役立つ。この二人の中国専門家がこの大国に大きな危機感を抱いていることは明確。それは我々と同じですが、違うのは情報量が圧倒的に多いと言うことです。中国語が出来ない人間(私のような)には、「やはりそうなのか」「え、そうなのか」と確認・発見できることが多い。

 二冊とも具体性に富んだ本ですが、興梠さんの本が個々の個人、従って民衆が登場するのに対して、柯隆さんの本は今の中国という国の”システム”に問題意識を強く持って書いている点が違う。ご一読下さい。

 ところで、この文章を書いている最中に、以下のメールが来ました。これはどう考えても酷い。とてもクラウド(写真預かりのクオンプ)を始めた会社のやることとは思えない。とっても残念です。

リコー クオンプ事務局です。いつもクオンプをご利用いただきありがとうございます。

この度、2013年7月31日をもって、「クオンプ」のすべての サービスを終了させていただくこととなりました。

長らくご愛顧いただき、誠にありがとうございました。 また、突然のサービス終了のご案内により、お客様にはご迷惑を お掛けいたしますことを深くお詫び申し上げます。

「クオンプ」のサービス終了につきましては、以下のような内容で 実施してまいります。ご一読のうえ、何卒ご理解を賜りますよう お願い申し上げます。



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