2014年12月31日(水曜日)

 (08:25)この街「ベネチア」は、私がこれまでに行った世界の街の中で、「一番笑える街」です。笑えるというのはむろんおかしさもあるが、むしろ驚嘆が過ぎる事が多いという意味です。「人間はよくこんな街を作ったものだ」と思う。いくらその昔ゲルマン人に追われて逃げ込んだからと言っても。

サンマルコ広場から対岸を望む  本来住むべきところでない場所に居住し、だから「どうやってサバイブするか」を考えた。イタリアには豊かな土地が一杯有るのに。だから、「もうこんな街嫌だ」と言って出て行った連中も多かったに違いない。

 しかし残った連中はあまり作物を作る面積もないこの街をどうやって運営し、富を産みだし、周囲の国にかかわっていくのかを真剣に考えたはずだし、行動した。厳しい掟を作り、それを守らない人間を厳しく罰し、結束を固めて自主権を維持し、そして世にも珍しい街を作った。

 変形とも言えるこの街は、だからこそ「知恵の集積」の面があって、今歩いても面白い。自分がどこにいるのか直ぐに分からなくなるという意味もあるし、その中に今は無数の店が所狭しと並んでいる様子も珍しい。

 ベネチアについては一杯映像も見てきたし、もっとも最近見たのではNHKの特集番組の解説が歴史的視点を踏まえて面白かった。しかし実際にこの目で見ると「なんじゃこれは」と思う。駅を降りると船着き場で、どこに行くにも荷物が大きいと歩けない。だから荷物を運ぶ人は大変です。階段の厳しい橋がいっぱいある。交通手段は船。街のタクシーも船です。

12月30日に撮影したリアルト橋  昔の交易の面影は影を潜め、今は完璧に「観光の街」に変わっている。凄いですよ。年末という状況ではあるが、それこそ世界中から観光客が来ている。狭い道では世界中の人々が行き交う。

 世界でも例を見ない、面白い街を作ったからこそ、今は世界中の人々を集める。過去における富の集積と、残る歴史的建造物の数々。来る前に塩野七生さんの「ベネチア論」でも読んでくれば良かったなと反省しています。

 とっても面白い。31日の早朝は、まだ観光客が多くないサンマルコ広場を5秀句ライしたあと、海沿いに珍しい緑のアル場所まで走ったりしましたが、結構な思い出になると思う。


2014年12月30日(火曜日)

 (23:25)ローマからベネチアまでは列車を使いましたが、本当にイタリアの田舎は綺麗だと思いました。緩やかな丘と整備された農地が続き、その中に農家が点々とある。冬で農地の区画がはっきり分かるのが良い。

 むろんドイツの田舎も綺麗ですが、想像しただけでもドイツの農地とイタリアの農地では出来るものが遙かにイタリアの方が多様だし、稼働期間も長い気がする。実際に見ていないので分からない面もあるのですが、多分そうだと思う。

 私がそうなのですが、ある国を思うとき、その国の代表的な都市をまず頭に浮かべる。しかし面積的にははるかに都市より地方の面積の方が大きい。やはり田舎の綺麗な国は素敵じゃないですか。その国の豊かさが分かる。

 列車の窓から見ただけですが、ローマからフィレンツェの間は綺麗だったし、フィレンツェを中心とするトスカーナの土地はイタリアの中でも豊かなんだろうな、と思う。ローマは”味”という点ではあまり良くない。私の印象に過ぎませんが。多分トスカーナが一番だと思う。日本で食べられる食材を考えてもそうです。

 イタリアの「high-speed train」(高速鉄道)は、まずまずの乗り心地です。スペインのアベと同じく、一等車に乗るとスナックと飲み物がただでサービスされる。これは日本の新幹線よりサービスが良い。

 しかし列車そのものの乗り心地は新幹線の方が優れている。何よりも横揺れが少ない。イタリアやスペインの列車は時に大きく揺れる。とても安心して飲み物を置いておけない。だからおける場所も少ない。

 椅子も新幹線の方が心地よい。車両によって違うのでしょうが、スペインのそれは倒せない。日本の新幹線は相当倒せる。後ろの人には迷惑でしょうが。乗っていて思ったのは、ローマからフィレンツェの間はとっても景色が良いが、そこを過ぎるとボローニャまでの間は山陽新幹線のようにトンネルが多くなる。面白くない。ボローニャからベネチアまではまた開ける。

 海外ではいつも飛行機移動が多い身ですが、世界鉄道一周なんてのもいいかな、と思います。むろん、インドの鉄道は相当な覚悟がいる。しかしトライする価値はあると思う。いつか機会があったらやりたい。


2014年12月30日(火曜日)

 (07:25)週明け月曜日のヨーロッパの株価を見ても、「南欧不利」は明確です。西からポルトガル、スペイン、イタリア、そしてギリシャと帯のように一般に”南欧”と呼ばれる国の株価が下げている。しかしフランスを含めて全般にそれ以外のヨーロッパの株は高い。

 南で下がったが北ではかろうじて株が上がったと言うことは、まだ「ヨーロッパの危機」にはなっていないということです。債券の利回りを見ても、大枠において域内でお金が動いている印象がする。

 例えばドイツの指標10年債の利回りは週明けでは一番低いところで0.547%になった。ほぼ一日下がり続けの展開です。引けは0.548%ですが、これは日本国債の指標10年の利回り0.335%に非常に近い

 もっともユーロは対ドルでも対円でも安いので、「ヨーロッパ回避」の兆候はある。一番の懸念はギリシャです。今の緊縮政策を続けるサマラス首相の押す候補が議会で規定回数の投票でも規定票数を集められず、憲法の規定によって来年の1月25日に、ということは一ヶ月以内に総選挙が実施されることになった。

 今の世論調査によれば、緊縮策とEUとの協調に反対なSyrizaが勝つ見通しが強い。ということはギリシャが国際協調路線、EUとの協調を重視する路線から逸脱する可能性があることを意味する。これはやはり今の金融秩序からすれば脅威です。

 ただし筆者は、政権への反対勢力としてのSyrizaへの支持がそのまま政権につく政党への支持として続くかどうかは不明だと思っている。やはり「政権樹立に向けた支持」は考えざるを得ない面がある。それにしても、それは「ギリシャの国民の決断」にかかっている。選挙には複雑な要因が作用するから、「予測不可能要因」「不安定要因」になる。

 今私は南欧の一角であるイタリアにいる。今いるのはローマですが、過去数年にスペインにもギリシャにも行った印象と摺り合わせると、やはり同じ印象がする。それは「インフラへの投資をもう長くやっていない」というものだ。

 日本にいると、道路工事は日常茶飯事。日本人の私でも「多いな」と思う。財政が悪いと言われながら、道で車を走らせていても、歩いていても非常に工事が多い国です。しかし南欧は違う。それが「歴史そのもの」であるという理由にもよるが、一般道路での工事は非常に少ない。

 それ故に今のローマでは道路は「穴ぼこだらけ」になっている。石畳の特徴有る道路のことではない。繋ぎが出来ていないのだ。日本なら「歩く老人に危険」といった理由で直ぐに直す道路の穴ぼこがそのままなのだ。イタリアでも少子高齢化が進んでいるのに。

 日本は徹底している。横断歩道橋でもエスカレーターがある国ですから。それにしても今居るホテルはローマ駅(テルミニ)の近くですが、ネットの接続は酷い。夕方から夜にかけては使い物にならない。メールがダウンロードできませんから。夜中になってやっと動き出す。ホテルのwi-fiがそうですから。

 「投資が行われていないヨーロッパ」と「赤字はあっても投資をしてインフラは直す日本」。どちらが良いのかは議論があるが、利便性の高さは明らかに日本にある。私がローマで見たもっとも活発な投資は、コロッセオで再規模な発掘と修復が行われていた。それは良いのですが、市民生活のところではかなりおろそかになっている印象がする。

 ままだイタリアには二日しかいない。だから印象はまた書きますが、かなり良い比較が出来そうです。


2014年12月29日(月曜日)

 (09:25)この本を一冊読んだからと言って、どうみても”超”複雑骨折のウクライナ情勢が今後どう展開するのかを予測できるようにはならない。しかし、同情勢を含めて実に複雑な世界の情勢を、ロシア、そしてプーチンという視点から見ることができるし、それは読んだ人間に新たなパースペクティブを与える。

 飛行機の中で『プーチンはアジアをめざすー激変する国際情勢ー』(NHK出版新書 下斗米伸夫著)を読みましたが、面白かったな。タイム誌のここ数年の表紙ではないが、今の世界はどうみても「プーチンという男」を中心に動いている面がある。

 西側の制裁で今後の苦境は予想されるが、国内のロシアでは依然として非常に高い支持率を誇り、「我慢強いロシア国民」(この本の表現を借りれば)はそう簡単には経済危機でもプーチンを見限りそうもない。そのプーチンは、アメリカのオバマ大統領を初め西側の政治家を振り回す能力と知恵を持つ。シリア問題がその代表例だ。

 確かにこの本が指摘するように、ロシアという国に今は昔のような友達は多くない。イデオロギーもない。友達のふりをしているものの、隙あらば「ロシアを出し抜く」ことを考えていて、潜在的に大きな領土問題(シベリアの領有権問題)を抱える中国のような国もある。ロシア周辺国の中でも、「エネルギーでの繋がり」を除けば、人口減少も激しいロシアとの関係を深めようという他民族国家はあまりない。

 しかしロシアには、ロシアという国、過去の帝国としての存在、そして引き継いだ宗教のありよう、心の落ち着きに強い郷愁を持つロシア語を話す人々が他の国(ウクライナを含めて)にもいる。欧米とは相容れない、そして肌合いが違う保守主義の流れもある。ウクライナの東部もそうだし、クリミアの住人もそうだった。

 この本を読めば、今のウクライナを核とする欧州・ロシア情勢が極めて複雑であることが理解できる。筆者は「新冷戦」という一見便利な言葉は「(ロシアを敵視する勢力に)利用されている言葉」に過ぎないし、「何が今起きているのか」の理解には役立たないと指摘する。その通りだと思う。

 ロシアを見るには、リアリストのプーチンと同様のリアリズムで国際情勢を見なければならない。プーチンは生半可な政治家ではない。4時間の記者会見を何を聞かれても何も見ずにこなせる存在なのだ。著者もその点を指摘する。

 この本の大きなテーマは題名の通り、「プーチンのロシアはユーラシア主義に基づいて日本を含むアジアを目指す」というポイントである。最近のロシアの動きを見ればそれは分かる。著者はその動きの中に、「プーチンの出自」も関係すると見る。そこが興味深い。古儀式派という一派のことを私はこの本で学んだ

 プーチンの祖父がレーニンの料理人だったのは何故か ? この本が指摘するように2015年も欧米、そしてロシアはクリミアを含むウクライナ問題で消耗戦を展開せざるを得ない。漁夫の利を得るのは中国。困ったものだ。それは置くとして興味深い本だ。是非一読を勧めたい。モスクワを経緯してローマにて。


2014年12月28日(日曜日)

 (09:25)ははは、良く運動した一年だったということか。

 NIKE FUELを買ってから一ヶ月以上たちますが、一応買って以降ずっとターゲットの「3000」をクリアすることに成功。このマシンは面白くて、スマホサイドが「何日連続成功」とか「なになに賞」とかいろいろ知らせてくれる。

 私の感覚だと、「3000 fuel」というのは、走行・歩行距離にして8キロくらいかな、と思います。しかし私の過去一ヶ月の実績を見ると4000を越えていますから、平均10キロは毎日走行・歩行している印象になる。ま、継続が大事ですが。

 ところで、今日から年明けまで暫く海外に行きます。毎年この時期は海外ですが、世界を見るといろいろ勉強になる。「seeing is believing」というわけです。暫くアップが不安定になりますが、読者の皆さんには良い年末・年始をお過ごし下さい。


2014年12月26日(金曜日)

 (22:25)「強気」で2014年を超そうとしているロシアのプーチン大統領ですが、早くも来年に向けて「不安材料」が出てきた。それは「潤沢」と思われていた外貨準備の大幅な減少である。

 ロイター電がモスクワから次のように報じている。「ロシアの外貨準備が縮小し、2009年5月以来の低水準となった」とし、具体的には、「12月1日時点の外貨準備高は3736億6000万ドル(約45兆円)。5年余り前に世界的な金融危機でルーブル安が進んだ後はここまで減ったことがなかった。1年前は4749億5000万ドルだった」と。

 これはクリミア併合に伴う西側の制裁措置発動後にロシアから大規模な資本の逃避があったこと、これも関連して通貨であるルーブルが大幅に減価し、これを支えるための介入をしたこと、外貨不足の企業や金融機関のニーズに応じて外貨を供給したこと、などによると思われる。

 外電は「ロシア中銀は10月だけで為替介入に300億ドル近くを投じた」と報じているが、ルーブル相場はその後も不安定だったことはよく知られている。また今見たウォール・ストリート・ジャーナルには、「Ruble’s Recovery Runs Out of Steam」という記事がある。

 同紙は「After the ruble’s year-to-date loss reached nearly 50% versus the U.S. dollar last week, the currency managed to regain some ground thanks to steadier oil prices and a wide-scale push by the Bank of Russia and the government to stabilize the market.But its recovery―from a record low of 80.1 against the dollar last week to 51.67 early on Friday―ran out of steam and the currency eased 2.5% to hit 53.88 by the end of the main trading session on the Moscow exchange.」と伝えているが、これから来年にかけてもルーブルは極めて不安定な動きとなろう。ということは、今後も外貨(主にドル)を売る操作を続けざるを得ない、ということだ。つまり外貨準備は減る。減り始めると、ルーブルに下げ圧力がかかるという悪しき循環。

 別の報道によると、「サウジは原油価格が20ドルになっても、シェア優先の政策をとる」と。ということは、原油価格は来年も不安定と言うことだ。来年のロシア経済は暴風雨圏突入という感じ。

 プーチン大統領は年末の年次記者会見で、「最悪のシナリオでもロシア経済は2年で回復する」と言明。しかし理由は明らかにしていない。しかし私は思う。「2年は長い」と。プーチン・ロシアには明らかに2015年は「試練の年」となる。


2014年12月25日(木曜日)

 (22:25)ビックリしますよね。読み比べたら。ま、対象も違うし、聴き方も違うので、ありなんですが。でも「どっちなんだよ」と。

 「日本経済新聞社とテレビ東京は第3次安倍内閣の発足を受け、24〜25日に緊急世論調査を実施した。内閣支持率は51%で、12月上旬の衆院選公示直後から9ポイント上昇した。不支持率は3ポイント下がり36%となった。」と日経。

 対して読売。「内閣支持率は49%で衆院選直後の前回調査(15〜16日)の51%から横ばいだった。不支持率は41%(前回41%)だった。第3次内閣では防衛相を除く17閣僚を再任したこともあり、支持率に変化は見られなかった。」  「9ポイント上昇」は結構大きいじゃないですか。しかし読売だと「横ばい」と。しかも日経の調査では面白いポイントの指摘もある。『政権が進める経済政策「アベノミクス」によって景気が「よくなると思わない」は53%で「よくなると思う」の29%を上回った。』と。いったいどっちなんだ、と。

 同じように「へえ」と思ったのは、「政府、インドのトイレ普及を後押し」かな。このニュースは以下のように続く。「政府はインドで衛生設備普及を後押しする。来年1月にも現状把握と対応策に関する基礎調査を終え、具体的な支援策を詰める。インドはトイレの無い家庭が世界で最も多いとされ、感染症防止などに向けた課題になっている」と。

 日本政府には狙いもあるようだ。「日本の衛生設備メーカーにとっても有力な市場になるとみる。」と。ニュースは続く。「インドは携帯電話よりもトイレの普及率が低いとされ、屋外で襲撃事件が起きるきっかけにもなっているという。モディ政権が対応を急いでおり、日本政府としても積極的に協力することで日印関係の強化につなげる。」と。

 ちょっと面白いニュースを拾ってみました。


2014年12月24日(水曜日)

 (06:25)昨夜は会合があってネットを全く見ずに寝てしまって起きたら、ちょっとびっくりする経済統計が。アメリカの今年第三・四半期の成長率が年率で5%(確定値)に達した、という。「3.9%アップ」(前回の改定値)からの大幅上向き改定。第二・四半期が確定で4.6%増ですから、もうこれは「先進国の中で抜群」と言って良い。ドイツも日本もリセッションにニアミスしている状況ですから。

 「年率5%の経済成長」と言えばアメリカでは2003年の第三・四半期(6.9%)以来という。だからアメリカは今、「10年ぶりの高度成長の最中にある」ということになる(正確には11年ぶりですが)。雇用も月間30万人分以上増えているし、消費が堅調で、設備投資も出てきた。

 おまけにアメリカ人の足である車の使用には追い風のガソリン価格安。GDPの7割を占める消費はもっと増えそう。アメリカでは田舎に行くほど大きな車に乗っているので、ガソリン安は大きなプラスです(日本は地方に行くと燃料を食わない車が多い)。

 警官がやみくもに襲われて死亡したり、黒人と警官が絡む事件が全米各地で起きていたり、とアメリカ社会は緊張感を強いられているし、最高指導者であるオバマ大統領の外交政策の失敗は続いている。

 しかしこと経済で見ると、今のアメリカは貿易収支と財政収支が改善し、雇用は伸び、インフレはFRBが心配するほど穏やかで、やっと所得が伸び始め、企業も活発で....とあまり悪いところがない。

 そりゃ株は上がる。クリスマス前の23日の取引で、日中からダウ平均は18000ドル台乗せで推移し、そのまま76ドル68セント高の18036.12ドル、0.43%高で引けた。Nasdaqは安いが、S&P 500も小幅高。ダウは史上初めての18000ドル台での引け。ドルは対円で120円台の後半であり、債券利回りは若干上昇したものの依然として2.259%と低い。

 言って見ればアメリカは「抜け出し」状態。まあ今年はこんなトーンの中で終わるんでしょうかね。原油も反発し(底バイですが)、ルーブルも高い。となれば新しいガイダンスとして「can be patient」と言っているFRBが来年春までは「忍耐強く待つ」ものの、その後は「来年のいつかの時期」にか利上げする。その可能性が高まっていると言えるが、「それがいつになるのか」に関心は移るんでしょうね。

 それに関しては今週の初めにこんな分析を書きましたから、ご興味のある方はお読み下さい。ま、「国民の6割が株を持つ」と言われるアメリカにとっては、この株高は結構なクリスマス・プレゼントということになる。


2014年12月22日(月曜日)

 (16:25)年末と言えば私のような仕事をしている人間にとっては「特番」が毎年のことなのですが、今年も何本か。うち昨日はいま世界はの「4時間ナマ」。「長時間の収録」は結構ありますが、「ナマ」は珍しい

 まあでも「収録」と分かっていると、結構一人が長く喋ったり、緊張感に欠ける場面も出てくる。「ナマ」だとそのままですから、スタッフもサブも、そして出演者も気が抜けない。いいんじゃないでしょうか。私も番組形式としてはナマが好きです。

 番組的にも面白かった。出演していても。予定調和なしで、意見をぶつけあって。本来そういうものでしょう。ついでに言うならば、見ている人にもちょっと緊張感をもってもらえるような番組が良いのだと思う。

 まだいくつか年末特番があるので、それぞれの番組で番組としての、そして私としての特徴が出たら良いなと思っています。ユーモアやしゃれを含めながら。入れ具合が結構ポイントになる。

 ところで、嬉しいことに「あちこちでポッドキャスト1番おめでとうございます」と声を掛けていただいている。THANKS。放送局によれば、『「全てのカテゴリ」で(ジャンル別ではなく)「トップエピソード」「トップPODCAST」とも1位にランク』ということらしい。ナイス。

 ところで、昨日の「いま世界は」で紹介したデータは、このサイトの「2014年11月推計値」の中にあります。相互の政府、マスコミがどう報じているかも重要ですが、実際の人の流れも重要。


2014年12月22日(月曜日)

 (15:25)あまりにもの「どってんばったん」で、ちょっと笑えますね。JR東日本は月曜日になって「当初予定していた”限定”販売を取りやめ、希望者”全員”に販売する」と発表。

月曜日の富士山は午後になっても雲一つない。珍しいくらい綺麗でした  東京駅開業100周年を記念したIC乗車券「Suica(スイカ)」です。私が土曜日の午後早い時間に東京駅丸の内南口を通過したら、「どえらい混雑」で、怒った顔の人が一杯いて駅員に詰め寄り、駅員が盛んに頭を下げていた。平身低頭。それはフェースブックで「何があったの」と報告しました。

 聞いたら、「発売が中止になった」と。「はは」と思いました。同じ丸の内南口を金曜日の午後4時に通過したのですが、その時に結構な人がもう南口の各所に座ったりしてたむろしていて、聞いたら「記念スイカ」だと。

 金曜日の午後から人が集まっていたのですから、「こりゃ大変なことになる」とJR東が予感しなかったとしたら「ちょっと鈍感」のそしりを免れない。しかし私の印象だと金曜日の段階で並んでいた人は、「その手のアルバイトの人ではないかな」という印象だった。

 つまり「純粋のファン」のようには見えなかったのです。ファンにしては身なりがイマイチきちっとしていなかった。でも金曜日の午後4時に既にけっこうな、目立つ人数だった。そして土曜日の早朝からの大混雑。そりゃそうなる。

 土曜日の朝から予定を早めて売り出された「記念スイカ」は、案の定直ぐ後からネットで数万、時には10万、20万の値段で売られていたという。純粋のファンの方の中には、全国から駆けつけた方がいたというから、途中で「混乱で、発売中止」となれば、そりゃ怒る。

日曜日の朝の丸の内南口は静かでした  「前回の記念スイカ販売の時は問題なかったので」というのがJR東の弁明だと聞くが、そりゃちょっと無理でしょう。「開業100周年記念」となれば、人はケタ違いに集まる。今回「全員に販売」(方法は未定とか)と打ち出したことで、ネット上の記念スイカの価格は暴落しているかもしれませんね。

 「開業100周年」の記念は、東京駅の彼方此方で見ることができます。丸の内南口だと、入って左側の壁にはずっと記念となる絵図が表示されているし、その他のいろいろな場所でも「100周年」を感じることが出来る。そちらを愉しむ手もあります。


2014年12月20日(土曜日)

 (12:25)ソニーの子会社であるソニー・ピクチャーズ・エンタテインメント(PSE)のサーバーが大規模なハッカー攻撃を受け、システムが全体として一時使用不能になったり、サーバーに入っていた個人情報(俳優の社会保障番号、住所などなど)や未公開映画、それにメールなどが大量に流出した問題は、それに関連してオバマ大統領がSPEを名指しで批判するなど影響が広がっている。

 オバマ大統領が批判したのは、金正恩の暗殺内容が含まれているPSEの映画「THE INTERVIES」の映画館公開をソニーサイドが公開中止とした措置。オバマ大統領は「Mr. Obama said he sympathized with Sony’s plight, but added, “I think they made a mistake.’’ He also said executives should have checked with him before canceling the movie’s release.」(同情はするが間違った決定。ソニーは中止決定の前に相談してくれれば)と言っている。

 対してソニーサイドは、「Sony’s top executive denied he had given in to intimidation by hackers, as Mr. Obama suggested, and the company defended itself in a statement, saying a decision by major movie-theater chains not to show the movie forced Sony to pull it.」(脅されたんでやめたんじゃない。映画館チェーンが上映しないことを決めたので、映画を公開中止とした)と。

 映画館チェーンとしては、攻撃を示唆する脅迫があった以上、公開に踏み切って不測の事態が起きた場合の法的責任を考慮せざるを得なかったと思われる。映画館チェーンが公開しないなら、ソニーサイドとしても映画公開は実際的に出来ないということになる。

 2012年7月にコロラド州デンバー近郊の映画館で起きた銃乱射事件では、警告があったにもかかわらず、警備が不十分だったと主張する遺族らが映画館側を訴え、法廷での争いが続いている。今回の映画を上映する予定の映画館は多かったから、その全部で遺漏なき警備をするというのは無理だろう。

 とすると、現在の状況下でソニーサイト、映画館チェーンサイドができることは、「中止しかない」と考えても不思議ではない。ただしそれはアメリカの国是からみると確かに「原則から、あるべき姿から逸脱した行為」だと見える。だからオバマ大統領は今年最後の記者会見で、「Sony ‘Made a Mistake’ Canceling Film」と批判した。

 ではそもそも作ったことはどうか。実在する外国指導者の暗殺を題材にしたことへの批判もあるようで、読売新聞によると南カリフォルニア大のトッド・ボイド教授は、「実在の人物をどう評価するにせよ、暗殺する映画を製作するのは挑発的だ」とAP通信に述べたという。

 異なる視点からは、「そもそもどんなに防御をしてもハッカー攻撃を受ければ流出する電子メールを使うのはいかがなものか」という議論もある。ウォール・ストリート・ジャーナルには「Are You Sure You Want to Use Email?」という記事があって、この問題は結構我々一人一人の問題でもある。

 この記事は、「サーバーがメールを溜め込むことに問題の一端がある」「だから30日くらいの経過でサーバーから削除しようと」などと話を展開。しかし一端電磁情報としてサーバーを経緯したメールは、一定の条件の下で再生できることは、少しコンピューター・システムに詳しい人は知っている。

 では使わなければ良いのか。それは無理だ。私は即座に答える。メールが果たしている役割は今の社会では大きい。結局はハッカーとセキュリティとの追いかけっこになるのだが、FBIもオバマ大統領も、「今回のハッキング事件の背後には北朝鮮がいる」と言っている。

 中国のハッカキング能力の高さは以前から指摘されているが、「それに北朝鮮が加わるのか」と思った。オバマ大統領は再び北朝鮮を「テロ支援国家に指定する」などの措置を取るのでしょうが、日本はその北朝鮮と拉致に関する交渉をしている。

 うーん、SPEにはただ単に屈するだけではなく、「映画のネット配信」を検討して欲しいな。北朝鮮の思惑通りに世の中が動くことなど許せない、と思う。


2014年12月19日(金曜日)

 (12:25)今ネットを見たら、小保方さんが理研に対して退職願を出し、受理されたと。提出は15日、退職の日付は12月21日だそうですが、まだまだこの問題は分からないことが多い。

 再現実験で「出来なかった」と正式に発表されていますが、そもそも論から言うと、今までになかったような簡単な方法で「(STAP細胞が)出来た」から皆が喜び、その制作プロセスが論文に纏められ、それが国際的な科学雑誌に掲載されたという経緯でしょう。

 だからその時点で出来ていなければならないし、それも何回も繰り返し成功していなければならない。また共同で論文が作成されたのだから、少なくとも複数の人がそれを確認していなければならない筈です。

 にも関わらず、論文通りにご本人が実験をしても「出来なかった」と。そこに至ったプロセスを考えるなら、「通常では考えられない」ことです。しかも「次のノーベル賞候補」「世界中が驚く」となって大規模な記者会見ももたれたし、今でも本人は「出来ます」(弁護士の弁)と言っている。

 悪意、詐欺の意図があったとはとても思えない「ありえない結末」です。その間に関係者は何も得ていないし、悪意、詐欺の意図があったとしてもいずれバレることは明らか。とすると、ご本人達は一連のプロセスの中で「出来た」と確信していたとしか思えない。

 では、本人が論文を書いたのは理解できるとして、それを周囲の人々が「出来た」と確認、思い込んだのは何故か? 普通記者会見までしたのだから、それが世界的に注目されることは分かっている筈。だから関係者は全員慎重を期す筈です。間違っていたら赤っ恥ですから。

 しかし結果的にはそうなった。エンディングは一大スキャンダルとなってしまった。私はただの外野ですが、「なぜそういうことになったのか」はとっても知りたいと思う。それにしても退職された小保方さんは今後何をなさるのか。「疲れ果てている」ということで、心配ではある。


2014年12月18日(木曜日)

 (04:25)ははは、声明にアクセスできてすぐ私がしたことは、「command + F」(検索)で「considerablel」があるかないかをチェックすることでした。あった。しかし本文を読んだら、「can be patient」もあった。「for a considerable」の代わりに入るかも知れないと言われていた文言です。両方入った。ちょっとビックリ。

 ビックリですが、もう一度読むとFOMCの政策意図は「can be patient」にあることが分かる。「for a considerable time」は新しいガイダンスを説明するために入った。だから一部の日本の経済テレビが、「for a considerable timeの表現が残った」と速報を打ったのは間違いに近い。文章の意図が読めていない。次回の声明では「for a considerable time」は消える。「can be patient」を説明する必要がないので。

 しかし重要なのは、これは非常に今のマーケットに気を使った声明構成だと言える。両方が入った部分は以下の文章です。「Based on its current assessment, the Committee judges that it can be patient in beginning to normalize the stance of monetary policy. The Committee sees this guidance as consistent with its previous statement that it likely will be appropriate to maintain the 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate for a considerable time following the end of its asset purchase program in October, especially if projected inflation continues to run below the Committee's 2 percent longer-run goal, and provided that longer-term inflation expectations remain well anchored. 」

 「このガイダンス(can be patient 金融政策スタンスの正常化の開始に忍耐強くなれる)は、以前の声明( it likely will be appropriate to maintain the 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate for a considerable time)と軌を一にしている。特に予想インフレ率が引き続き委員会の2%の長期目標を下回り、長期インフレ期待が落ち着いている限りは」と訳せる。

 これは絶妙な表現です。その絶妙さ故に、ニューヨークの株価はFOMC声明の後に一段と急伸した、と私は思う。予想された新しい表現(can be patient)を入れ、かつ古い表現(for a considerable time)との一貫性を強調した。私はこんな絶妙なFOMC声明を読んだことがない。特に今のような局面では。

 変えたのに、新しいガイダンスを説明するために過去の表現を声明に残した。では何が変わったのか。状況次第と言うことです。過去の例を出すと、「patient」を声明で出したあとに比較的素早く利上げしたことがある。だから、フォワード・ガイダンスの時間軸は短くなったと理解できるが、この点に関してイエレン議長は「今後2回の委員会で直ぐということはない」と言っている。つまりまだ「半年とか、相当先」と理解できる。だからイエレン議長はインフレ、インフレ期待が高まらない限り「can be patient」は「for a considerable」と同じだ、と言っている。

 しかし一方で興味深いのは、声明の中では「The Committee expects inflation to rise gradually toward 2 percent as the labor market improves further and the transitory effects of lower energy prices and other factors dissipate. The Committee continues to monitor inflation developments closely.」と予測している。「インフレはいずれ上昇するんだ」と。イエレン議長は記者会見の中で「原油安のインフレ低下効果は一時的」と断言。ということは、やはり偽装しているが、金利引き上げ時期は一般的には前回の委員会の判断より前倒しになったと考えるのが自然です。この辺は極めて微妙だが、ニューヨークのダウはこれを読んだのか高値からはその後反落している。

 もう一点興味深いのは、今回の声明に「反対」を表明したのが3人になったということです。私の記憶では通常反対者は2人までであって、3人にまで膨らんだのはあまり記憶にない。反対者はフィッシャー、コチャラコタ、プロッサーです。そのうちプロッサーの「should not emphasize the consistency of the current forward guidance with previous statements」かな。面白いのは。景気は良くなっているのだから、以前の表現と今回の表現が同じもの、一貫していると強調すべきでない、と。これは笑える。

Release Date: December 17, 2014

For immediate release

Information received since the Federal Open Market Committee met in October suggests that economic activity is expanding at a moderate pace. Labor market conditions improved further, with solid job gains and a lower unemployment rate. On balance, a range of labor market indicators suggests that underutilization of labor resources continues to diminish. Household spending is rising moderately and business fixed investment is advancing, while the recovery in the housing sector remains slow. Inflation has continued to run below the Committee's longer-run objective, partly reflecting declines in energy prices. Market-based measures of inflation compensation have declined somewhat further; survey-based measures of longer-term inflation expectations have remained stable.

Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic activity will expand at a moderate pace, with labor market indicators moving toward levels the Committee judges consistent with its dual mandate. The Committee sees the risks to the outlook for economic activity and the labor market as nearly balanced. The Committee expects inflation to rise gradually toward 2 percent as the labor market improves further and the transitory effects of lower energy prices and other factors dissipate. The Committee continues to monitor inflation developments closely.

To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee today reaffirmed its view that the current 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate remains appropriate. In determining how long to maintain this target range, the Committee will assess progress--both realized and expected--toward its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments. Based on its current assessment, the Committee judges that it can be patient in beginning to normalize the stance of monetary policy. The Committee sees this guidance as consistent with its previous statement that it likely will be appropriate to maintain the 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate for a considerable time following the end of its asset purchase program in October, especially if projected inflation continues to run below the Committee's 2 percent longer-run goal, and provided that longer-term inflation expectations remain well anchored. However, if incoming information indicates faster progress toward the Committee's employment and inflation objectives than the Committee now expects, then increases in the target range for the federal funds rate are likely to occur sooner than currently anticipated. Conversely, if progress proves slower than expected, then increases in the target range are likely to occur later than currently anticipated.

The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction. This policy, by keeping the Committee's holdings of longer-term securities at sizable levels, should help maintain accommodative financial conditions.

When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent. The Committee currently anticipates that, even after employment and inflation are near mandate-consistent levels, economic conditions may, for some time, warrant keeping the target federal funds rate below levels the Committee views as normal in the longer run.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair; William C. Dudley, Vice Chairman; Lael Brainard; Stanley Fischer; Loretta J. Mester; Jerome H. Powell; and Daniel K. Tarullo.

Voting against the action were Richard W. Fisher, who believed that, while the Committee should be patient in beginning to normalize monetary policy, improvement in the U.S. economic performance since October has moved forward, further than the majority of the Committee envisions, the date when it will likely be appropriate to increase the federal funds rate; Narayana Kocherlakota, who believed that the Committee's decision, in the context of ongoing low inflation and falling market-based measures of longer-term inflation expectations, created undue downside risk to the credibility of the 2 percent inflation target; and Charles I. Plosser, who believed that the statement should not stress the importance of the passage of time as a key element of its forward guidance and, given the improvement in economic conditions, should not emphasize the consistency of the current forward guidance with previous statements.


2014年12月18日(木曜日)

 (02:25)午前2時からオバマ大統領が記者会見で「キューバとの外交関係正式再開」に向けての具体的な道筋を発表したところですが、ニューヨーク・タイムズがそれを特報として報じたのはそれより1時間ほど前でしょうか。その記事を見て私が思ったのは、「これでキューバの野球選手は亡命しなくてもMLBでプレーできるようになるのか」でした。ははは。

 それにしても突然の印象がしたんですが、記者会見を聞いていて「そういえばオバマは以前からキューバとの関係見直し」を言っていたな、と思いました。「キューバを孤立化させる政策は大して効果はなかった」と彼。確かに。

 キューバも困っているんでしょう。経済的に行き詰まっていたし、頼りのロシアは今の状況では今後も頼りになるとは思えない。やはりアメリカの技術、資本が必要だった。国民の生活水準を上げて、今の社会主義体制を守るためにも。アメリカもキューバとの関係改善にメリットを見いだしたということ。

 アメリカ人がキューバに旅行できるとか、アメリカのクレジットカードがキューバで使えるようになるとか、大使館を設置するとか、オバマなかなり具体的な事を言っていたが、「外交関係の正式再開」は今後の交渉次第です。キューバサイドも同じ時間に簡単な声明を出している。「社会主義は維持する」とも。

 興味深かったのは、ニューヨーク・タイムズの報道の時点からニューヨークの株が大きく続伸したこと。ドルも強くなった。確か50ドル前後の上げだったが、ニューヨーク・タイムズの報道でNY株は上げ足を速めて、オバマの記者会見の最中は160ドル以上の上げとなった。FOMCの声明発表を2時間後に控えてなのに。

 エネルギー価格も反発していて、それぞれの因果関係は明らかではないのですが、「気分転換のニュース」ではあるし、クリスマスを控えた明るいニュースであることは間違いない。

 CNBCなどはオバマの記者会見を生中継しながら、「経済的にはこれこれのインパクトがある」と報じているが、人口は約1300万人だそうな。キューバは。1961年からキューバはアメリカとは外交関係がなかった。というか、激しく対立。最近はアラン・グロスさんというコントラクター(5年間キューバで収監されていた)の釈放問題でもめていたが、それが水曜日に解決。アメリカも捕虜3人をキューバに返したと。

 ニューヨーク・タイムズの報道によると、米、キューバを仲介したのはカナダで、ローマ法王フランシスも仲介したという。最後はオバマ大統領とラウル・カストロ議長が電話会談で関係樹立で合意。

 アメリカは依然として社会主義体制を取る中国やベトナムとも国交を持つ。そういう意味ではキューバとの関係が正常になってもおかしくない。違いはキューバが90マイルしかアメリカの海岸から離れていない、ということ。それにアメリカにとっての至近の脅威になった過去があると言うこと。

 今回のアメリカの判断には、「キューバがアメリカにとっての脅威になることはもうない」「むしろ抱え込んだ方がメリットが多い」という判断があったのでしょう。


2014年12月17日(水曜日)

 (15:45)海外の新聞を読んでいたら、「プーチンが木曜日に年次記者会見(annual news conference )をする」と書いてあった。「年次」(annual)というのが面白かったのですが、当然「経済危機」に関して何かしら喋らざるを得ないでしょう。

 プーチンへの支持は依然としてロシアでは高いと聞く。それはクリミア問題にしろ「欧米と対等に渡り合い、渡り合っただけでなく長らくロシアの領土だったクリミアを取り戻した」というロシア人のプライドにかかわる部分があるからだ、と言われる。確かに今のロシアはソ連崩壊後の惨めなロシアではない。

 ロシアにはシベリア鉄道に乗りに2011年に行きました。リンク先がその時の私のロシアに対する印象ですが、小売店にはモノが溢れ、サンクトペテルブルクにはカイエンが溢れていた。まだまだ途上国の面影はあったが、豊かさも目に付いた。

 しかし今それがピンチな状態になっている。ロシアの中央銀行は今の世界的な低金利の世界において驚異的な17%という政策金利を発表した。その金利では、お金を借りて営業しているところは借り換えでは借りられなくなるでしょうし、経済が「マイナス成長」になることは明らか。

 なのになぜそんな法外な高金利を設定したかというと、ルーブルが急落している為。「At one point Tuesday, a dollar could buy 79 rubles, an extraordinary development for a currency that stood at 33 rubles to the dollar in January and held mostly steady for much of the year. Later Tuesday, the currency stabilized closer to 68 rubles to the dollar.」とワシントン・ポスト。そりゃ輸入物価は上がる。

 私がロシアで一番感じたのは、「ロシアはエネルギーの他はすべて輸入に頼っているような国だ」ということです。ロシア製の車はあるが、誰も買わない。北の国なので、果物などは全て輸入。しかしヨーロッパがそれを輸出規制した。制裁です。

 インフレと生活苦が直ぐにロシアの民を襲うことになる。何が起きるのか。一つは「生活水準の引き下げ」です。南欧の人々を襲った苦境が時間の経過の中でロシアの人達を襲うことになる。同国の国家予算の45%を占める石油の価格急落ということは、それが不可避である事を意味している。

 人気の高いプーチンは無傷か。ワシントン・ポストは「Putin remains tremendously popular in Russia, but his rule has long been predicated on a basic bargain with voters: They gain economic prosperity and stability in exchange for acquiescence to a political life devoid of real opposition. His half of the deal now appears in question.」と書いている。

 大統領と国民の間の「暗黙の了解」はむろんまだ完全には崩れていない。それは最近の歴代大統領の中では唯一プーチンがロシアの人々にプライドを感じさせてくれたこともあるからだと思う。ちょっと経済危機になったからといってロシアの世論が「クリミアはウクライナに返そう」なんて意見は出てこないだろう。

 プーチンも何とかこの難局を打開しようと考えるだろう。しかし今の原油市場を取り巻く環境は、ロシアの思惑だけで動くような代物ではない。一方で、「石油価格下落の準備はある程度出来ている」という側面もある。

 具体的には潤沢な、1998年の危機の時にはなかった外貨準備だ。それは今現在4160億ドルと言われる。確かに大きい。しかしこの外貨準備は既に今年の初めに比べると800億ドルも減っている。安閑と出来る数字でもない。

 不安定な動きだが、筆者は「原油市場の先行き」には懸念を抱いていない。そこには絶対的な需要がある。かつ世界のエネルギーの大宗が石油とその関連であることは当面変わらない。だから、価格はいつか底を打つ。もう打っている可能性もある。

 しかし、ロシアの今のシステム(経済、政治の)の脆弱性は気になる。今の危機はまずなによりも「ロシアの危機」と定義することが出来ると思う。


2014年12月16日(火曜日)

 (06:45)これはなかなかええ言葉やなと思ったのは、「我々の敵は他店ではなく、お客様の飽きだ」かな。ドンキの高橋光男専務の言葉として日経ヴェリタスの『ドンキ、「訪日客」「対応力」で躍進』の記事の中に出てくる。

 この記事の副見出しは、「時価総額で三越伊勢丹を逆転」です。実は昨日も新宿の三越伊勢丹に用事があって行ったのですが、「この店が24時間営業するのは無理だな」と思いながら歩いていました。ただし圧縮陳列の発想はある。

 この記事には、『商品を詰め込む圧縮陳列や深夜営業といった独特の手法が外国人の間で話題となり、いまや店舗は一種の「観光名所」』という説明がある。それで思い出したのです。

 私が良く前を通ったり、時に入るのは大阪だとドンキホーテ桜宮店、東京だと築地から新橋に抜ける道の右側、銀座8丁目の外れにあるドンキですが、確かに外国人観光客が多い。特に銀座(の近く)のその店は。早朝でも外国人、特にアジア系が一杯。築地の場外で寿司食べて、ここで買い物 ?

 この記事を読んで初めて知ったのですが、「10月の(ドンキの)客単価は2400円だが、外国人観光客に限れば1万8200円」と。ここで炊飯器のまとめ買いの話が登場する。これは凄いじゃないですか。ほとんどのデパートで3時間くらい車をただで駐車できる価格レンジ。高い。デパートの大方の駐車無料は3000円からスタートしますから。

 地方の店はどうか知りませんが、都会のドンキには駐車場はないケースが多い。デパートの場合は例えば購入額3000円で車一台分1時間の駐車場を維持するとなれば、コストがかかる。加えてデパートにはコストの高い従業員も多いに違いない。

 しかしドンキに行くと、「これだけ ?」というくらいに従業員は少ない。しかもこの記事によれば店長は成果主義で、その商品に対する選択権も相当強い、という。そういう点を考えれば、「そりゃ伊勢丹三越よりドンキの方が足が軽い」のは当然ということになる。だから時価総額が一時的に(かな)ドンキが三越伊勢丹を上回った、ということでしょう。

 もっとも「商品への信用・信頼」という点では、多分日本人の顧客だったら「そりゃ三越伊勢丹でしょう」という感覚。しかし財務諸表ともっぱらにらめっこする海外の投資家から見ると、「こっちの方が面白い」とドンキ推奨となるかもしれない。

 対極の販売形態、体制だから「どちらが良い」ということではない。「飽きとの戦い」という点では、三越伊勢丹もよくやっていると思う。新宿の伊勢丹では。多分。消費者も多様な販売形態を欲しがっている。しかし「我々の敵は他店ではなく、お客様の飽きだ」は、全ての客商売に繋がると思う。

 そうでなかったら、「飽き」を超える商品を作るしかないが、それは結構難しい。


2014年12月15日(月曜日)

 (06:45)ははは、菅直人元総理大臣が最後の比例滑り込みですか。ラッキーな人だ。もっとも選挙区選挙では負けているので、今後の影響力は一段と落ちるでしょう。それよりも民主党は党首が比例名簿に名前を載せてもまだ議員でありつづけることが出来なかった。相も変わらず「ピンチ」の連続です。

 選挙はいつも関連する人には「泣き笑い」なんでしょうが、比較的名前の知られた人にとっては、「泣き」が多かったようで。いちいち名前は挙げませんが。でもそれに応じて目立った、信頼できそうな人が出てきているか」と言えば「ノー」。困ったものです。

 衆議院選挙全体を一言で表するなら、「勝負にならなかった」というのが当たっているのではない。まさに任期半ばでの、そして年末のこの時期での選挙実施については、「理不尽」、そこまで行かなくても「不納得」と考える人が多かった。にもかかわらずの、自公連立与党の300を大きく超える圧倒的多数維持の結果。

 野党各党の態勢が整わなかったし、それが安倍首相の狙いであったことは確かですが、それにしても野党各党は視認できるような反撃ののろしも上げられなかった。それは、要するに政策にしろ、党首の個性にしろ「国民に対する訴求力の欠如」が明らかだったと言うことです。

 つまり常日頃の活動が国民から「なんだかな」と思われていた。選挙の直前に消えた政党のオーナー的存在で「選挙にめっぽう強い」と言われた元代表が落選したのは「今その人が何をしているのか」に選挙民の視点が移ってきたことを示すし、「次世代の党」が象徴的存在の方を初め多くが惨敗になったのも、「選挙直前の立党では訴求力なし」ということだったと思う。

 なにせ「次世代の党」は私が公示直後に新宿で聞いた同党選挙カーの最初の一言が、「どうぞ私たちの党の名前を覚えて下さい」だった。勝負になるわけがなかった。その点名前の浸透度が高く、「ぶれていない」との印象を国民に少しでも与えることが出来た共産党の議席2.5倍増は、今後の野党にとって参考になる。

 これは筆者の推測だが、「(あまり望ましくない選挙を実施した)自民党には入れたくない。しかし他の主要野党にも入れる気にならない」という人が、それほど数多くではなかったが共産党に票を入れた結果だと思う。これは選挙後の詳しい調査で明らかになるでしょう。

 もっとも、「軒並み国民の信を得たと言える希望議席に達しなかった民主、維新など野党各党」の間では、「自民に対抗する勢力をどう作るか」で議論が高まりそうだ。その過程でまた党の分裂、馴染みのない政党名の登場と言うことで、それが一層国民の野党離れを促す危険性もある。

 だってそうでしょう。例えば2年前の選挙の比例で「みんな」に票を入れた人は、今回はその名前を名簿に発見することすら出来なかったし、「みんなの党の人だからと選挙区選挙で一票を入れた人は皆みんなの党の人ではなくなっていた」わけですから。これが全体的な野党への不信に繋がっている。「明日は何が起きているか分からない野党」ということだ。

 つまり自分が入れた一票が、一瞬先はどこに帰着するか不明という現実。だとしたら、自分が入れた票の人物が将来もこの政党に所属していてくれるだろう、と思われる自民党が安定した戦いをしたのは頷ける。

 今回の日本の選挙結果に対して、海外の見方は「Abe Secures Landslide Win」とか「Japan Election Gives Abenomics Second Wind」といった常識的な見出しを並べているが、少し掘り下げた記事には「For Abe, Now Comes the Hard Part」など面白い見方もある。

 この記事の副見出しは「Japanese Prime Minister Must Decide How to Spend Fresh Political Capital」というもので、つまり「安倍首相は新たな政治的基盤(パワー、ベース)を得たが、それをどう使うか決めなければならないのはこれからだ」というもの。実は筆者もそう思う。

 言って見れば国民には「他に望ましい選択肢がないが故に、またしても自民党に大勝を与えてしまった」という気持ち(ある意味悔恨の)が心のどこかに残る。それは逆に、「期待することをしっかりしてくれないと、次はないですよ」という気持ちが裏返しでもある。つまり今月からの安倍内閣は、「以前に増して強い国民の監視と期待の中での船出」となる。

 具体的には「アベノミクスの成果の全国的、全国民的広がりの確保」であり、その面では地方創生、規制の緩和による経済活動の活発化、女性の社会進出の促進とそれに関連する具体的措置などだ。何よりも「より多くの人が実感できる経済活動の活発化」が重要だ。

 それにはいわゆる「第三の矢」の具体化による今の「リセッション」状態からの脱出、経済活動の活性化が不可欠だ。安倍首相は、集団的自衛権の行使を担保する安保法制の確立などにより強い興味がありそうだが、恐らくそれは国民の期待の方向性とは違う。そこをはき違えないことが今後の安倍政権の航続距離を測るバロメーターになりそうだ。


2014年12月13日(土曜日)

 (06:45)私の位置から少し離れたところにあるテレビでは、CNBCのお馴染みの論客が、「これは調整か?」「いやそうじゃない」とか喧々囂々の議論をしていますが、私が気がついた興味深い側面を簡単に書いておきます。ちょっと時間がないので。数字はまだ暫定かも知れません。

  1. 米10年債指標銘柄の利回りは2.082%と大幅に下落した。つまり2%割れが必ずしも無理ではないレベルに下がった。ドイツの10年債の利回りは0.627%で、多分これは今回の下げ局面ではむろん最低だと思う。ギリシャやイタリアを除き、イギリス、スペインも金利低下局面となった

  2. ニューヨーク・ダウの引値は17280.83ドルで、これは前日引値比で -315.51ドル(1.79%)という大幅安。しかしより範囲の広いNasdaqは4653.60で-54.57ポイント安(1.16%)、S&P 500は2002.33で-33.00(1.62%)とやや小幅

  3. ニューヨーク・ダウの絶対値は、日経平均の金曜日の引けである17371.58を下回った。今年二回ある今までの日経平均の絶対値でのダウ上回りは、「日経平均の上昇」によってもたらされ、その度に日経平均は急落したが、今回はニューヨーク・ダウの急落によってもたらされた

  4. 世界的なマーケットの混乱を招いていると言われる原油価格の下落は、今週の取引をアメリカで57.81ドル(WTI 1月)で終えた。続落したことになる。2009年5月以来の低水準。原油相場はラフな計算で、今週だけで12%下げた(これはまっとうか?とも思う)

  5. マーケットで典型的に見られる思考のリンケージは実際には複雑なルートをたどるが、いくつか拾ってみるとこうだ。まずその1 「原油相場の下落→高い原油を前提に発行されていたシェール・オイル業者の債券への懸念→信用不安の臭い→石油株を含む関連株の下落→代表的指数の押し下げ」。もう一つは 「原油価格の下げ→ロシアの苦境の一段悪化→関係の深い欧州経済への不安増大→欧州株安→それが伝搬したアメリカ株安」

  6. 実際に欧州株の下げはキツい。金曜日の欧州株は軒並み三桁の下げ。FTSE 100の引値が6300.63で、-161.07(2.49%)、DAXの引値が9594.73で-267.80(2.72%)、CAC 40の引値が4108.93で-116.93(2.77%)、IBEX 35の引値が10145.00で-286.80(2.75%)など。ヨーロッパの株の下げが率で見るとアメリカより遥かにキツい

  7. 激しく上がったのは恐怖指数と言われるVIX指数で、手元のデバイスで見ると21.08と実に私としては久しぶりに20の大台に乗ったのを見た。ここを見ると金曜日だけで5%弱上がっているのが分かる。マーケットがある意味「恐怖に満ちている」ことが伺える。CNBCのある出演者は「VIX指数は今週だけで80%上昇した」と(本当かどうか知りません 大幅だったことは同意します)
 などかな。今週のこの引け味に対して、来週はいろいろありますね。日本の総選挙の結果がいよいよ出るし、FOMCが「for a considerable time」をどうしたかが分かる。そしていよいよクリスマス・年末の接近で様々な人がポジションの手仕舞いを始める。いろいろありそうです。

 ただしこんな事も思う。マーケットの動きは速い。しかしこれだけ世の中に大量のマネーが出回っているのなら、そして技術革新でマネーのベロシティが上がっているなら、こうした目をむくようなマーケットの激しい動きも「十分起こりうるし、今後も起こる」と

 CNBCの連中は、番組の中でワインを飲み始めました。ははは。笑える。番組の中に数多くの笑いも見える。ええね、その感覚。


2014年12月13日(土曜日)

 (06:25)昨日の新聞で面白かったのは、「眼鏡の向こうは江戸の街」かな。眼鏡とは「スマートグラス」(エプソン)で、それを通して江戸城や日本橋のCG映像が江戸時代の姿で蘇る、というもの。

CGで見て見たい  なかなか面白いじゃないですか。例えば皇居の東御苑に入って天守台を見ると、今は上に何もない寂しい姿ですが、眼鏡を通すとCGで見事な5層の天守閣が登場すると。また日本橋に行って三越、新コレドの辺を見ると、「江戸時代の日本橋」(上に高速道路がない図も含めて)が見られる、というもの。

 記事には「日本を訪れる外国人訪問客」云々と書いてあるが、そりゃあ日本人の私だった欲しい。面白いじゃないですか「仮想現実」。むろん見えるのはあくまでも「仮想現実」で現実ではない。江戸城の天守閣は17世紀の半ばに焼失して以降、何もない。しかしそれが仮想であっても、「ああ、こうだったかも」と見れるのは面白いと想う。

天守台の石垣は白の外部かも見える  そういえば一昨日かな、「なんとか江戸城の天守台が城の外から見れないか」と思ってポイントを探していたのですが、ちゃんと見つかりました。

 それは北桔橋門から北の丸公園に入る大通りを臨むルートにクロスする道(代官町通りにつながる)道沿いに大きな歩道橋があるのです。高速道路の入り口の上にある。その階段を真ん中以上に上がると、白塀の屋根の上に天守台の綺麗な石垣がくっきりと見える(写真)。「ついに見つけた」と思いました。ただし階段の上三段は木が邪魔して逆に見えない。

 ははは、ちょっと面白い発見でした。


2014年12月12日(金曜日)

 (05:25)番組もあって早起きしたら速報が「アメリカで原油価格がバレル60ドル割れ」と言っているので、どれどれと思ってこのサイトを見たら、確かに60ドルアラウンド。割ったり戻ったり。

 まあでも私の印象では、この辺が底か、底に近いレベルではないでしょうか。というのも先日ブルーンバーグ(多分)を読んでいたら、次のような記事があった。「The Organization of Petroleum Exporting Countries lowered its projection for 2015 by about 300,000 barrels a day, to 28.9 million a day. Prices now are below what 10 out of OPEC’s 12 members need for their annual budgets to break even, according to data compiled by Bloomberg. Kuwait and Qatar are the exceptions.」

 つまりOPEC12カ国の中で現状の低価格では国家予算をまかなえる国は2カ国しかない。それはカタールとクエートで、サウジでももう国家予算を賄えないレベルになっていると書かれていたからです。つまり、短期間なら別だが長期の今の低レベルを続けることは、サウジにとっても無理ということ。

 確かにFTのこの記事の生産コスト表を見ると、サウジのそれはバレル20ドル台の半ば。もっと下がっても生産コストは割らない。しかしサウジは国内治安の為もあって相当「高い価格での原油収入を前提に」国家予算(社会保障と治安、それに王室経費を中心に)を組んでいる。それを長く下回れば、国の予算が回らない。

 加えて言えば、11月の米小売売上高がそうですが、価格の下落はアメリカを始め各国の経済活動を活発化させる。ということは需要は今後伸びると言うことです。そうした均衡点をラフに考えていくと、私は徐々に現在の価格は均衡レベルに近づいているかな、と思う。

 もっとも依然としてニューヨークの株価は「oil sensitive」です。WTIのバレル60ドル割れが伝わる前はダウ工業株30種平均は高いところでは170ドル前後の上げを記録していた。しかしこの報道を切っ掛けに利食いが出たのか、私がこの文章を書いている時点では100ドルを着るところまで上げ幅は縮小。しかしその後はまた反発。結構「resilient」です。

 アメリカの場合、ダウ工業株30種平均の中では、石油とかエネルギー関連の銘柄がシェブロン、エクソンモービルなど重要構成銘柄になっている。またシェール・オイルの開発業者の中小の多くは、「原油価格の値下がりによって打撃を受ける」という事実がある。「70ドルを割ったら同業者の4割が苦しくなる」というレポートを読んだことがある。彼等は事業推進の為に債券発行などの借金を重ねていますから、それは原油安は苦しい。

 しかしそれとの関連で言うと、日本には原油価格が下がって大きく困る業界の規模はアメリカに比べれば遥かに小さい。敢えて「今」という状況で言えば困るのは日銀かな。インフレがちっともアップしてこない、石油安が物価下落圧力になりますから。目標(2%の物価上昇)にとってのアゲインストになる。

 私の予想では、サウジは自分の存在感を世界に示し、かつ主にアジア向けのシェアを確保(長期契約での)したあとは、静かに原油価格の上昇を誘導するような動きをすると思う。バレル60ドルを割る原油価格では、サウジの王政、国内政治は回らない。


2014年12月11日(木曜日)

 (10:45)今朝読んだ記事の中では、「アップル、横浜で狙う果実 」が面白かったな。

 昨日の発表時点では、「何をするのか」と思ったのですが、この記事によると「開発拠点、ヘルスケアに照準か 」とある。その後には「部品メーカーと関係づくりも」とあるが、これは昨日の段階で「日本の技術の取り入れ」と報じられたこととあまり変わらない。

 「ヘルスケアに照準」と聞いて「あは」と思ったのは、同じような理由で東京の日野市に医療器具研究所を設置しているGE。「同じ発想だ」と思ったのです。GEを取材したとき、「これからの医療器具を作りには、高齢化が一番進んだ日本が適しているから研究所を作った」と同社の関係者が述べていたことを思い出した。日本人にはない発想だった。その時は。

 この日経の記事にも同じような視点が描かれている。『ヘルスケア分野のベンチャー企業を支援する団体、Jヘルスインキュベートの佐藤太郎氏は10日、アップルは病気につながる生活習慣に関する幅広いデータを統合しようとしていると指摘。「高齢化が進む日本をイノベーションを生む場だとみている」とよむ』と書いてある。

 また以下のようにも書いてある。『実はアップルは、すでに神奈川県で、健康関連の連携策を進めている。県は10月から、個人の血圧や血糖値といった大量データを産官学で蓄積し、新たな健康関連サービス創出につなげるプロジェクトを開始。日立製作所、富士通、タニタなどと一緒に、アップルは推進組織に名を連ねる。』

 準備は着々と進んでいたという訳です。今のアップルの「ヘルスケア」はとても使える代物ではないが、アップル・ウォッチは研究成果を吸収したものとなると思う。横浜の研究所の成果も盛り込まれるかもしれない。

 いずれにせよ、日本の「弱点」のような言われているが、少子高齢化で日本は先頭を走っている。善し悪しは別にして。その事実は重要なポイントだと思う。


2014年12月10日(水曜日)

 (10:45)今日はちょっと嬉しかったですね。ずっとお会いできなかった「からすオジさん」が元気よくカラスに餌をやっているのを三井物産のビルの前で発見。「どうなさったんだろう」と思っていたので。ちょっとお話をしました。

 「毎日来ているわけではないので...」というお話。と言うことは、体調を崩しておられたわけでもないようです。良かった。私にとって、この辺の景色の重要な要素でしたので。いつまでもお元気でいてほしい。

良かった。お元気で !  ところで、今日は坂下門の前を通りながら、「ああ、そうか」と思いました。桔梗門の交番のところから坂下門を見ると、「なぜあの門が坂下なのか」は分からない。だって平面ですから。

 しかし先日あの門から皇居の乾通りを歩いた際に、門を入って直ぐの100メートルくらいが結構な上り坂になっているのを思い出した。宮殿に向かっても、宮内庁ビルに向かっても。だから中におられる方々から見ると、あの門は間違いなく「坂下」(さかした)にある。むろん、江戸時代もそうだった。

 そうなんですよ。当然ですが皇居の門は「インサイドから見た視点で名付けられている」のです。我々はなかなか中には入れないので分からないが、具体的には天守閣(失われた)から見た「北」にあるから「北の名前を付ける」といった状況。具体的には「北桔橋門(きたはねばしもん)」、それに北西を意味する「乾門(いぬいもん)」など。

揃っていた掃除道具  「清水門」「田安門」「半蔵門」などなどの門の名前の由来は知っていましたが、「桜田門」と「平川門」は今まで知らなかった。で今朝調べたら、こんなサイトこんなサイトがあった。分かりやすい。そう呼ばれた村や地区があった。今の霞ヶ関は「桜田」だった ?

 それにしても、城下町なら何処にでもある「大手町」は「大手門」の前に広がった街ですが、「大手」には「追手」(逃げる敵を追う)の意味があったとは面白い。でも「追手」じゃ縁起が悪い。だから「大手」としたのかな。「お茶」は「あがり」ですから。

 あと一つ写真を。路上で生活することを選択した人の話を先日書きましたが、今朝は決定的な写真を。ある選択者の居場所の直ぐ横にありました。彼の場合は確実に「周辺の落ち葉の片付け」を毎日の決まり事にしている。


2014年12月09日(火曜日)

 (10:45)そりゃまあ嬉しいですね。多分、石頭鍋であらゆるポッドキャスト番組の中で「伊藤洋一のRound Up World Now !」が最優秀番組に選ばれたというのですから。「iTunes ALL TIME BEST PODCAST」と言うらしい。

 ま、大勢の方に聞いていていただけている、というのはじゅうじゅう承知しております。築地の市場で中村さんも聞いて下さっているし、大阪の長堀通りを歩いていたら、ヘッドフォンを付けてこちらに歩いてきた若者が、「今聞いてますよ」「びっくりした」と声を掛けてくれた。びっくりしたのはこちらですが。

 最近は講演会の最前列に座っている人に、この番組を聴いてくれている人が結構居る。皆さんが知っているところでは、パックン(パトリック・ハーランさん)が、「伊藤さん、ホントに全部聞いてますよ。伊藤さんの番組」と言ってくれている。ははは。

 まあでも「ALL TIME BEST」というのだから、聞いている人が多いと言うだけではなく、中味もそれなりということなんでしょう。嬉しい限り。これからも鮮度良く番組を続けていきます

 写真はいつだったか忘れましたが、パックン等々と鍋を一緒に食べた時のもの。そう「いませか」のアナの方々と一緒に。この時の後半の議論は面白かったな。またやりたい。こちらの番組もとっても面白い。よろしく。21日には4時間の特番があります。

itunes のサイトから


2014年12月08日(月曜日)

 (16:45)最近一つ面白い事に気がつきました。前々から「そうかな」と思っていたが、それが散発例でないことが最近確信できた。

 それは路上で生活することを選択した、または余儀なくされた人のかなりの部分が、自分が居住している一定のエリアをきちんと掃除している、という事実です。いつも彼等の一部が居る周りが綺麗になっているので「へえ」と思っていましたが、先日実際に一人の方が掃除しているのを見て「やっぱり」と思った。

 私が確実に「掃除をしている」と思う方は、早朝の千鳥ヶ淵緑道にいらっしゃる。朝行くと靖国神社サイド(交番と逆サイド)から数えて三つ目当たりの椅子に陣取っている。必ずそこに居るのですが、彼の周りだけは落ち葉がきちんと掃除されている。前後10メートルの範囲で。落ち葉が一定にまとめられて。

 その他の千鳥ヶ淵緑道は、「落ち葉は落ち放題」ですから、そこだけは人の手が入っているということになる。最初たまたまだと思ったら、毎回なので「この方が掃除しているんだ」と気がついた。

 そう思って見ていると、例えば日比谷公園近くに居る人も、周囲は必ず綺麗に掃除されている。だから、「ああ、この人もそうなんだ」と思う。そう見ていくと、結構多いのです。路上生活者が路上を掃除しているケースは。

 そもそも路上生活の人がそれほど多いのは問題なんですが(健康とかに悪いし。特に冬は)、それはそれとして「掃除をする路上生活者」は全国ベースでは結構多いのではないか、とも思い始めています。

 大阪にも大川端などにはいつも同じ場所に決まった人がいる。というか住んでいる。自転車まであって、それはもう家、ブルーハウスです。彼等は家の外に箒を置いていて、それで掃除をしている。別にどうという意味合いはないのですが、「面白いな...」と思って見ているのです。

 まそりゃ、自分の家の周りは誰でも綺麗な方が良い。


2014年12月07日(日曜日)

 (16:45)ははは、ホントに直前までそんな気は全くなかったんですよ。でも結果的に東京の、そしていつも回っている皇居の中を垣間見れて良かった。

結構凄い人でした。特に地方からいらっした方が多かった  今日はちょっと変わったコースを通って都心を回っていたのです。そして丸の内警察、ペニンシュラの前を通って桜田門に向かう方向から、「でも警備状況を見て帰ろう....」と思って内堀通りを140メートルほど大手町の方向に右に曲がったらそこは凄い人の波。

 誘導されてきているんですね。東京駅方面から皇居の中を見るための皆さんが。そこを左折して桜田門からまた出ようとしたが、その前に警備に当たっていた警察官の方に念のために、「開門は10時ですよね」と聞いたら、「いえ9時20分です」と。多分最後の日曜日で早めたんですよ。普段は10時だと思った。その時時計を見たので良く覚えているのですが、8時54分だった。

紅葉と空がとっても綺麗でした。皇居の宮内庁庁舎前から  「おや、あと26分で中に入れる」「許容範囲だ」と思ったのです。東京にいるときはほぼ毎日この近くを回っているのに、「皇居の中は一度も見ていないな」とずっと思っていたことを思い出して、「これはチャンス」と。朝6時過ぎから並んでいる人を見ていますから、その時間の待ち人は少ない気がした。

 でランニングの格好(今日は暖かめでした。寒かったので)のまま、人の流れに入ったら、スマホ以外何も持っていないので手荷物検査なしのボディチェックのみで。坂下門の前には既に縦3列が出来ていて4列目の先頭に入れた。

 確かピチッと並んで動かなくなったのが9時過ぎ。私の隣に「岐阜から来た母娘」がいて、「ああでもないこうでもない」と話をしながら待っていたら、第一列の入場が9時20分ぴたりに始まり、私たちの列が進行を始めたのが9時34分。比較的短い待ち時間でした。

乾堀  凄い警備でしたね。目が鋭い人が多い。まあ何かあったら大変ですから、皆さん真剣です。今年の最終日の日曜日ということもあると思う。そこから「宮殿に通じる道」「宮内庁庁舎」、「局門」「山下通り」などを通過して、そこで選択肢が出た。乾門に抜けるか、東御苑に出るか。警備の人に「どっちが行程として長いか」と聞いたら後者だと。

 一つ面白かったのは、何かを聞くときには宮内庁の腕章をしている人に聞かないと。警視庁からのお手伝いさんは、当然ながら何を聞いても「はあ...」で埒があかない。いろいろ聞きましたが、宮内庁の人は皆良く勉強していて、面白かった。

 乾門組と別れて東御苑に出たら、もうのんびりです。普段でも月金以外は許可をもらって入れるらしいのですが、私は入ったことがなかったので芝生に大の字で寝たりして空を撮ったり。結構面白かった。

 多分、皇居の乾通りの通り抜けは春の方が良いと思う。なんといっても桜が。しかし秋も面白かった。まだまだ紅葉が彼方此方の木にあって綺麗だったし、私としては「内部(の一部)はこうなっているんだ、と。

 印象を記すと、坂下門を入ると非常に広い。上り坂です。直ぐに宮殿に繋がる道が左にあるが、そこはむろん入れない。その先には宮内庁庁舎がある。それは外部からも見える。驚いたのは、宮殿の中にも石垣がいっぱいあって、道も坂が結構多い。まるで坂の多い東京を象徴するようなお庭になっている。

 「道灌堀」なんて、今まで名前を知らなかったお堀もあって、面白かったな。おかしかったのは皆さん紅葉を写真に撮るのですよ。紅葉なんて皇居でなくてもどこでも見れるでしょうに。私は石垣とか、「局門」とか「道灌堀」とかそういうのが興味深かったな。

 良かったのは皇居の昔の天守閣の位置が分かったことかな。「天守台」となっていて、それはグーグルの地図にも出ていた。石垣が綺麗なんですよ。17世紀の半ばから天守閣がないのはもったいない。といって作り物でもな....と思う。

 おかしかったのは、さすがに最後にはスマホのバッテリーがなくなった。写真を撮りまくり、動画もパノラマも撮りましたから。とても紹介しきれません。一人だけランニングの格好で目立っちゃったな。でも面白かった。

 いろいろな人と話をして、「かなり地方の方が見えられているな」という印象。旅行社の方が旗を振っていましたから。岐阜の母娘は乾門から出たら帝国ホテルに戻るとか。まあ便利かな、帝国とパレスが。うーん、今度は春を何とか.....。今年は確か申し込みが必要だった.....。


2014年12月06日(土曜日)

 (06:45)いくつかの留意点はあります。月間にあった休日の関係から、小売業の雇用(多くが一時的)が多く計上されている可能性があるとか、賃金が久々に伸びた印象はするが、少し長い視点でみるとまだまだ上方ペースは弱い、など。しかしそうした点を勘案しても、昨日の日本時間の夜10時半に発表された米11月の雇用統計は強かった。

 非農業部門の就業者数は32万1000人も増加した。予想の中で強く見ていたものが23万人だったので「驚きの強い数字」で、加えて9月、10月の同就業者数も合計4万4000人分上向き改定された。だから筆者は最初に数字を見た時に、「もしかしたら、強すぎてニューヨークの株のマーケットは早期の利上げを読んで、反落するかも知れない」と一瞬思いました。

 しかしそれも杞憂で、終わってみればニューヨーク株の3指数はそろって上げて終わった。各指標の引値を見るとDJIAが17958.79で+58.69(0.33%)、Nasdaqが4780.76で+11.32(0.24%)、S&P 500が2075.37で+3.45( 0.17%)。ダウの日中チャートを見ると、高値がちょうどザラ場の真ん中にあって17991ドル。あと9ドルで18000ドルだったが、そこから引値までは下げた。

 ま、金曜日だし、ターゲットの水準を一気に試すこともない、と思ったのでしょう。総意として。ダウの日中チャートの形は、最近見た光景の中で探すと「指宿の魚見岳」のような形をしている。きゅんと切り立って山が始まり、上はなだらかな山型、そしてきゅんと落ちる。

 しかし重要なのは「上げて終わったし、指数のいくつかは史上最高値を更新した」ということ。確かに「もったいないくらい良い数字」で、とりあえずニューヨークの株価もそれをお祝いしないといけなかったということでしょう。いくつかのポイントを列挙すると

  1. 12月に大崩れしないとすると、今年一年のアメリカの雇用創出数は、実に1999年以来の大きなものになりそう。11月現在でアメリカは今年これまでに265万人分の職を創造し、月間の増加ベースとしては24万1000に達している。これはアメリカの人口(約3億2000万人)を勘案しても非常に大きな数字である

  2. 米雇用(非農業部門就業者数)はこれで10ヶ月連続して月間20万人以上の増加となっているが、これは1994年以来の出来事であり、過去3ヶ月の雇用の伸びもリーマンショック以前に遡らなければないほど大きい

  3. よく問題にされる賃金と労働時間も11月は確かに伸びた。民間企業の一時間当たり賃金は24.66ドルと、前月に比べて0.37%増加した。まだ上げ幅は小さいし、単月の数字だけでは判断できないが、この増加ペースは約1年ぶりの大幅な上昇であり、労働時間の増加とともに就業者の手取り賃金を上げている

  4. 雇用増は実に広い業種に渡っていて、やや季節調整要因が甘いかも知れない小売業で5万200人の増加となったのに加えて、寒波もあったにもかかわらず建設が2万人、製造業が2万8000人、ビジネス・サービスが8万6000人、ヘルスケアが3万7200人の各増加
 という状況。ほぼ確実になったのは、フィッシャー副総裁が今週言ったように、「近い将来 for a considerable time」の表現はFOMC声明から消えるだろうし、それは今月16、17日の今年最後のFOMCで消える可能性が高い、ということだ。

 それは「FRBが政策金利の引き上げを具体的に探る」状態に入ることを意味する。金利の先物市場では「6月ないし7月」を示唆する動きも出ている。失業率も5.8%と10月と同じで下がらなかったとは言え、2008年の7月以来の低水準。あとは「2%の目標にちっとも接近しないインフレ率」ということになる。

 株は先に触れた「強すぎる」という懸念もあったせいか、引値での上げ幅としてはそれほど目覚ましいものではなかったが、為替は大きく動いた。昨日の東京時間のドル安値は119円70銭近辺だったでしょうか。しかしそれが雇用統計の強さを受けて、ドルは高値で121円の70銭近辺があった。つまり2円のドル高・円安にスイングした。引値は121円40銭からみ。

 ユーロも勢いよく下落しました。安値は1.2262ドルと1.22ドル台。最近では見たことのないユーロ安・ドル高水準でしたが、引けは1.2291ドル前後。しかし対ドルで見ると明らかに円の方が弱く、ユーロ円はユーロ高値が149円50銭超、引値は同25銭前後。ポンドを見ると、1ポンドで189円も買える。逆に日本人は払わないといけない。

 ちょっと「ここまで来るのか....?」というレベルですが、「相場は相場に聞け」ですから、「今はそうマーケットは判断しています」ということで頭に入れるしかない。これでは日本人がロンドンの地下鉄に乗るのも大変ですな。いつかのように。

 結局雇用に問題がなくなりつつあるように見えるので、「インフレ率はどうか」という問題に収斂してくる。目標の2%に接近すればFRBの政策金利引き上げは現実味を帯びる。しかし原油安などを見ていると、今以上の労働賃金の上昇が起きてその面からの「コストプッシュ」が起きなければ、アメリカのインフレ環境が急速に悪化するとも思えない。

 イエレン議長の専門は雇用ですが、 多分今後はより多く「インフレ環境」に目を向けることになるのでしょう。今回の強い雇用統計を受けて、米短期金利は2年債利回りを中心に上昇した。しかし10年債の引けを見ると2.303%で「上がった」と言えるほど上がっていない。ドルが引けにかけて失速したのはそういう面があるかも知れない。

 あと特記しておくべき事は、ドイツの株価が10087.12の引けと10000の大台を回復したこと。上げ幅は+235.77で、パーセントにすると2.39%と大きい。ドイツ国債の10年債の利回りも0.74%とちょっと上がった。

 あとは周永康の「党籍剥奪→逮捕へ」でしょう。日経も新華社の報道として「中国共産党は5日に開いた党の最高意思決定機関である政治局会議で、最高指導部経験者の周永康・前政治局常務委員を汚職や職権乱用、機密漏洩などの容疑で党籍剥奪処分とし、刑事責任を追及することを決めた。身柄は司法機関に移された」と伝えている。

 オバマ大統領は最近、「習近平はここに来て急速に権力を掌握し、搶ャ平以来の実力者になった」と言っているが、周処分はその証でしょう。薄熙来からその”能力”を疑問視された習近平ですが、権力基盤の確立はうまかったと言える。


2014年12月05日(金曜日)

 (00:45)マーケットの動きが激しくなってきました。昨日の夕方東京FMのタイムラインが始まるちょっと前に世界の株価をチェックしたら、「下げているマーケットを探すのが難しい」ような世界的株高だった。「マーケット解説コーナー」があるので番組前は毎回チェックするのです。

 しかし「寝る前に」と思って今見たら、今は世界中の株が下げている。むろん「今開いているマーケットでは」ということですが。下げがきついのは10000の大台回復が近かったドイツなど欧州の株。ECBはまたリップサービス中銀になって、「日米型の量的金融緩和があるかも」と期待していたマーケットを裏切った。

 マーケットが荒れてきた一つの現象は「円の120円」です。7年4ヶ月ぶり、と。チャートをたどると2007年の6月から7月にかけて「120円台の円安」の局面があって、「それ以来」ということでしょう。リーマンショックの開始(リーマン・ブラザースの破綻)は同年の9月15日ですから、約2ヶ月前。手元の資料では6月18日に123円89銭というのがある。

 ニューヨークの株式市場は始まってまだ一時間半くらいですが、ダウは珍しく三桁に近い下げを記録している。ヨーロッパ安を嫌気しているのでしょう。むろん「引値」はどうなるか日本時間の朝6時になるまで不明ですが、今までの足が速かった分だけ「調整」の可能性はあると思う。

 「120円の円相場」というのも、良く来たものだ、と思いますね。だって、民主党政権のころは70円台がありましたから。どうカウントしても今の円は「短期間に5割も値下がりした通貨」ということになる。今年の年末年始の日本人の海外旅行(12月23日〜来年1月3日)は2.9%減の67万9千人にとどまる見通しだという。「マイナスは5年ぶり」だそうですが、そりゃそうでしょう。この円安では。

 今は原油安があるので「円安の痛み」、つまり輸入インフレは抑えられています。昨日もガソリン・スタンドの表示価格を見て、「円安にもかかわらずこのガソリン安は凄い」と思いました。しかし万が一原油が横ばいだったら、今の日本は大変な輸入インフレに見舞われていた筈です。

 120円の円は「ちょっとやり過ぎだろう」と思っていたら、この文章を書いている間にも円が反発して、午前1時過ぎには119円50銭前後。まあでもこれも今後どう推移するのかは不明。マーケットはいつも不安定です。しかしここしばらくは外国為替市場も株式市場もちょっと不安定以上に荒れるかも知れない。

 日米の代表的株価指数は、昨日の東京市場が終わった段階では「ともに18000を目指す」という関係だったが、今後はどうなるのか.......?


2014年12月04日(木曜日)

 (06:35)今朝の朝日、日経、読売3紙の「選挙戦序盤情勢調査」は、結構インパクトがありますね。いずれも「300」がキーワード。朝日は「自民300議席超える勢い」、日経は「自民、300議席うかがう」、読売は「自公、300議席超す勢い」となっている。

 朝日の「自民単独で300も」というのは3紙の中で飛び抜けているように見えるが、日経や読売の記事も中味を読むと「自民が単独で300議席に達する可能性」を十二分に織り込んでいる。

 解散時の自民党の議席は293(公示前としては295)。ということは3紙の予想とも「序盤情勢調査」の段階で「自民党は解散時の議席を確保する可能性が十二分にある」と読んでいることになる。今まで勝敗ライン(連立与党サイド)として238(安倍首相のそれ)とか270(自公の党幹部レベル)が言われてきたが、それをあざ笑うかのように「自公は大勝する」という予測が出てきたことになる。

 むろん「序盤情勢調査」ですから、この調査結果故に有権者が「そんなに自公に勝たせてはならない」と思って、逆の投票行動をする可能性もある。しかし一方で、「負け馬には投票したくない」と思うかも知れない。いずれにせよ、投票率は低くなる可能性が高い。

 仮にこのままの結果となれば、「安倍さんの思う通り」という展開。来年の自民総裁選は乗り切り可能となり、政権基盤は長期政権に向け基礎が出来る。もっとも大臣の身辺調査の課題は残るのですが。緊張感を保たないと選挙で勝っても案外躓く。

 これは私の想像ですが、やはり民主党が政権をとっていた4年弱の混乱ぶりが人々の記憶の中に鮮明に残っているということでしょう。まだ2年しかたっていないので。そういう意味では、民主党の罪は重いし、その後の立て直しも進んでいないと言うこと。なにせ198人しか候補者を立てられていない。過半数は238なのに。

 「だらしない」と言ったら申し訳ないんでしょう。それぞれの政治家はそれぞれの信念・利害で動いているのでしょうが、「みんな」なんて選挙直前に消えちゃいましたし、民主党に盛んに議員を譲渡している党もある。「維新」も二頭政治で、顔がどちらに向いているか不明。

 火曜日かな。公示の日です。新宿にいたのですが、「次世代の党」の選挙カーが新宿西口を大音響で通った。何と言ったかというと、「どうぞ皆さん、党名を覚えてださい。次世代の党、次世代の党です」と。

 選挙の直前に有権者に党名を覚えてもらう....なんか選択肢がとっても狭まった選挙になりそうです。


2014年12月03日(水曜日)

 (17:35)それにしても富士重工のアメリカでの躍進が止まりませんね。発表された11月の米新車販売台数を見ると、全体は前年同月比4.6%増の130万2043台。年率では1720万台で、かなり良いペース。

 石油が安くなると直ぐに「高かった頃」を忘れるのはアメリカのメーカーも消費者も同じで、日本車は全般に冴えない。トヨタが3%のアップ止まり(プリウスは13%以上の減少)。しかしその中で、日本のメーカーではスバルが23.6%も売り上げを伸ばした。

 アウディの熱烈な支持者を「アウディスト」と言うらしいが、スバルの熱烈な支持者を「スバリスト」と呼ぶらしい。私ももう学生の頃ですが、友人のお兄さんがレガシーを持っていて、それをよく運転させてもらっていたので、「良い車だ」という印象は今でもある。走りが実に滑らかだった。しかしなぜ今アメリカで....という気はする。

 一つはやはり技術力ですか。富士重工の前身はご存じの通り軍用機を作っていた「中島飛行機」。そこで培った技術力で世界初の四輪駆動乗用車を作ったり、軽量で耐久性の高いエンジンを開発した。経路依存ですね。

 BMWもその系列で、あの白と水色のエンブレムは「プロペラ」だそうだが、やはり「培った技術」が車作り、魅力作りに役立っているのでしょう。やはり独自技術が生きる。そしてその技術に対する支持が車好きの心を捕らえた、と言える。

 そう言えば今年5月にスバルの主力モデル「インプレッサ」が千葉県内で相次いで盗まれたそうな。トヨタの「ハイエース」もよく盗まれることで有名ですが、「盗まれて海外にもっていかれる車は優秀」ということでしょう。良くないことですが。

 スバルは対米戦略で一工夫しているようだ。レガシーのサイズを北米市場向けに室内を広くしたり、車のデザインもアメリカ人が好むものにしたり。成熟商品でも、「そのマーケットの特性」を把握すれば「まだ売れる商品は作れる」ということでしょう。

 ところで先日スイカなど交通系のツールの事を書いたら、先輩の竹中さんから興味深いメールをもらいました。へえ、そんなこともあるんだ、と思うことでちょっと掲載しておきます。

 あちこち取材旅行にでかられているようですが、お元気そうで何よりです。

 確かに鉄道パスはほぼ全国の路線で使えるようになって重宝です。 小生の最近のトラブルは、「パスモ」ですが、先週金曜日の飲み会の帰りに 地元の駅で二度も拒否、表示も全くされず、後の人に迷惑をかけました。 乗車の時は問題なかったのに、早速駅員に調べてもらったら、磁気が無くなっているとのこと。

 経年劣化(六年前から使用)するらしい。再発行は当日はだめで、一筆書いて翌日ということに。「スイカ」発売から十年以上なるとおもいますが、初めての経験でした。 参考まで。

 経年劣化ですか。カードなんでしょうね。私はスマホに入れていて、スマホを変える度に入れ替えてますからそういうことはないでしょうが、カードで使っている方はご注意を。


2014年12月02日(火曜日)

 (23:35)一週間使えなかったスイカがやっと今日使えるようになりました。やはり便利です。

 何故かというと、九州新幹線を降りた鹿児島中央駅ではスイカを使えて指宿までと思って入ったのです。しかし指宿ではスイカが使えずに(マシンがなかった)、窓口で現金1000円を払って、「確かにこのお客は現金で支払いました。スイカが”入り”の状態ですが、補正してやって下さい」という白い紙をもらった。

 しかし指宿からの帰りは鹿児島中央を経ずにバスで鹿児島空港に移動した。空港は県の一番北にあるので、鹿児島中央駅は通らない。「都内で補正しよう」と思っていたのですが、新幹線口では「ここでは出来ません」的な対応だったし、なかなか補正可能な窓口に行く機会がなかった。今日午前中にやっと東京駅南口の窓口で。

 そう言えば指宿は高速の入り口でETCも使えない。バスに乗っていたら、「何とか山田」(明確ではありません)という入り口を通ったのですが、ETCレーンが一つもなかった。もしかしたらスイカ、ETC系のデジタル交通処理システムは鹿児島中央止まり ?

 今日関心を持ったニュースは、「実質賃金2・8%減、16か月連続マイナス」ですかね。むろん名目賃金は伸びていますよ。厚生労働省2日発表の「10月の毎月勤労統計調査(速報)」によると、労働者が受け取ったすべての給与の平均である「現金給与総額」は、前年同月比0・5%増の26万7935円で8か月連続の増加となった。

 内訳は、基本給などの「所定内給与」が同0・4%増の24万2370円、残業代などの「所定外給与」は同0・4%増の1万9673円、ボーナスや一時金などの「特別給与」は同6・0%増の5892円で軒並み上昇した。企業業績の回復による賃金上昇傾向が続いている状況」だ。

 しかし、物価の変動分を反映した実質賃金は同2・8%減で、16か月連続で前年同月比マイナス。「4月の消費増税などによる物価の上昇に賃金上昇が追いついていない」という状況。

 やはりこれは問題です。実質賃金が上昇しないと人々の購買力が低下していることになるし、「さあ何か買おう」という気にならない。この辺がアベノミクスの弱点です。

 ところで、写真は今朝新大阪から東京に移動する道すがら、確か午前10時半ごろの富士山です。本当に綺麗だった。新幹線に乗っていても普段は車掌さんは「左手に富士山です」なんて言わない。ビジネス列車ですから。

 しかし今日は「お休みになっているお客様には恐縮ですが、左手に綺麗な富士山が見えます」と車内放送でやった。「珍しい」と思いました。そしてそれは良い事だ、と思いました。この車掌さんも「こんなに綺麗な富士山は珍しい。皆さんに見て頂こう」と思ったのでしょう。であえてそうした。

 実際に本当に綺麗だった。日本海側に荒れた天気をもたらした低気圧の強い風で全てが洗われて。富士山麓で農業をしていた菅原文太さんを思い出しながら綺麗な富士山を見ていました。


2014年12月01日(月曜日)

 (22:35)おやおや、もう12月の始まりですか。郵便局とかが非常に混んでいる。スーパーもかな。それって12月と関係あるのですかね。

 そういえば先日面白い事を発見しました。ある銀行のネットサイトで初めての口座にある程度まとまったお金を振り込もうとしたら、「ご登録のメールアドレスにXX桁の数字を送りますから、それを確認・入力して次の段階にお進み下さい....」的な通知が。

 そりゃそうか。詐欺の送金の手口は既登録先ではなく今までにお金を送ったことのない口座を使う。「そりゃ危ないから、銀行サイドからその都度確認番号を送る」という方式。「ワンタイムのメール版」と。おまけに、「メールアドレスに番号を通知するのには2〜3分時間がかかることが」と。

 ほんとに結構待たされました。あんなに時間がかかるものか。でも、銀行サイドも「何とか口座を守ろうとしているのだろう」と思いましたが、2〜3分もサイトを開けていることはどうなんでしょう。その後「登録先」にお金を送ったらこの「確認」はなかった。

 それはそうと菅原文太さんがお亡くなりに。菅原さんの映画は良く見たな。存在感のある人で、高倉さんとは全く違った味があった。でも思ったのは、「二人の死は、時期的に接近しすぎ」ていません。

 菅原さんは高倉さんの死を知っておられたのかどうか。二人のご冥福をお祈りします。



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