2014年03月31日(月曜日)

 (18:03)年度末、消費税引き上げを翌日に控えた3月31日。ははは、らしいいろいろなことが。

 今日たまたま宅配便で我が家にモノが届いた。で、「こちらから出したいモノがあるんですが....」と言ったら、その配達の人が、「この荷物はたまたま着きましたが、今いつも通りにモノが着く予定が立ちませんが....」と。

 聞くとこの数日間この宅配の人が働いている会社はパニック状態で、物流が著しく乱れている、とのこと。重なっていますからね。で私は「じゃ、急がないモノだから、数日後に出すね....」と。4月に入っても2〜3日はタイトな物流状態が続くとか。

 午後たまたま所用があってデパートに行ったら、月曜日とも思えない人出。というか、土曜日並。「土日で済んだんじゃないのかな....」「これもやはり消費税のせいか」と思って、店員の人と話したら、「分かり易いんですよ.....。もうこの数日間は嬉しいことですが、てんてこ舞いです...」と。

 一種のお祭り状態ですね。「何か買わないと.....」という。そういう私もせっかく行ったので、駐車がただになるくらいは買いましたが、明日からどうなるか。定点観測人間としては、ぜひもう一度同じデパートに行って人出を調べないと。ははは。


2014年03月30日(日曜日)

 (00:03)多分私の車のナビだけじゃないですよ。多くの方の車のナビが「lost」とか「間違った地点の認識」となる。

 夕方になって東京に帰ってきて、赤坂見附から溜池の方向に所用があって走っていたので、「そういえば今日開通か」と思い出して、特許庁前の交差点を右斜めに進んで2号線に入ってみたのです。

これっておかしい作りだな  新しい道なので気持ちよいのはいいのですが、交差点を過ぎてトンネルに入って直ぐに渋滞。結構激しい。だって進まない。「見学に来ている人が多いのか」と思ったら、原因は直ぐに分かった。2車線で入ってきたのに、直ぐに右側車線に「左に寄れ」と表示が。

 つまり2車線がトンネルに入って直ぐに1車線になる構造。そりゃ渋滞しますわ。いえ、「当面の措置」なのかどうか知りません。今回の開通部分(基本的には築地虎ノ門トンネル)は、全体部分のごく一部ですから。一回もぐっても、汐留のところで直ぐに上がる。そしてそこは巨大な「工事中」の場所。

 面白かったのはナビです。入ったときから挙動不審になって、築地で方向転換して行って帰ってくる頃には全く自分がどこにいるか分からなくなっている。そりゃそうだ、データベースにこの道は載っていないし、トンネルなのでGPSから見ると、ビルに突入しているように見えなくもない。

 海中を走るアクアラインより「意味不明」になっていることは明らかで、浜離宮サイドから特許庁前に出てきたときには、完全アウト。知っている界隈だからいいが、「ナビを頼りに地方から来た人は大変だな」と思いました。

 もうすぐ春の交通安全運動が始まる。ほんとに多くの警察の方が街に出て、不用意に車線変更を黄色い線の上でするとすぐに接近してくる。赤坂見附などで都内の多くの大きな交差点で見かける光景ですが、「2号線も直ぐにそうなるかも」と思いました。

 もっとも2号線には「黄色いライン」はまだあまり無かった。しかしちょっと油断するとこの道は危ない。溜池からくると虎ノ門・新橋方向と新しいトンネルに入る方向はほんの僅かの違い。直進信号が出てトンネル方向に走り出す車も出るかも知れない。

 みなさん、ナビが「lost」になる可能性を十分承知の上で、この道には行って下さい。通常ナビの「lost」は道が頻繁に変わる(というか新しい道が出来る)地方に多いのですが、ここは都会のど真ん中ですから、影響は大きい。暫くしたら「スマホ依存」が良いかも知れない。

 だって地図データベースが素早く書き換えられるだろうから。


2014年03月29日(土曜日)

 (08:03)ほう、良かったですね。あまりにオバマ大統領やその周辺(国務長官を含めて)が、ウクライナ国境に配備されたロシア軍の動きについて警告を発するので、「何かインテリジェンスを掴んでいるのだろうか」と心配していたんですよ。

 ところが今朝のNHKや日経の電子版に載ったニュースによると、「オバマ米大統領は28日、ロシアのプーチン大統領とウクライナ情勢の平和的な解決策をめぐり電話で協議し、ウクライナ国境付近へのロシア軍配備を含む挑発行動をやめ、部隊を撤収させるよう求めた」とホワイトハウスが発表したそうな。

 求められたのに対してプーチン大統領がどう返答したかはこの記事にはない。しかしこの電話会談は「プーチン氏がオバマ氏に電話した」そうで、これは良い兆候です。さらに記事は、「両首脳は来週、米ロ外相会談を開催することで合意。オバマ氏は、ウクライナが同国内のロシア系住民らの権利保護を目指し政治改革に取り組んでいるとして、ロシアに協力を要請した」となっている。

 ホワイトハウスは、「ロシアによるクリミア編入強行に強く反対する」とあらためて伝えたとしているが、もっかの一番の懸念材料は「クリミア以外のウクライナの東部、南部に対してロシアが容喙に出るかどうか」でしょう。となれば世界経済全体が大きな打撃を受ける。

 今回ロシアがクリミアに対して行ったことで、ロシア経済は既に大きな試練に直面している。今朝の日経にも関連記事(今年のロシア経済1%割れも)があるが、民間、特に海外からの投資が停滞し、ただでさえ悪いロシア経済は一段の悪化が予想されている。成長率も大幅ダウンの観測。

 「新冷戦」とか言われるが、決定的に違うのは経済状況です。冷戦時代は言ってみれば西と東は(これも欧州の中心から見た位置取りですが)、別々の経済圏に属していた。よっていくら対立しても、相互の経済が影響を受けることはなかった。

 しかし今は世界経済はまさに複雑系。政治以上です。今は国民の支持率が80%を超えるプーチンだが、経済の悪化が続けば支持が続かないことは明確です。その辺を読んでオバマに電話したのだと思う。むろん、「ウクライナの東では極右主義者の挑発が続いている....」といった不満を漏らし続けながら。

 米ロのパイプが繋がっている間は、ウクライナが突然酷い状況になることは亡いと考えられる。とういう意味では、どうやっても難しい民族問題に関しては、それぞれの国の対話が続いている.....ということが重要で、今はそうなっていると言える。


2014年03月27日(木曜日)

 (15:03)それにしても、笑えますね。ちょっと自意識の強いクラスのワルが、自分と縁のある席の近い3人が仲良く話を始めると、「俺も居るんだよ」と棒か何かを振り回して悪さをするように。まるで子供です。

 もっともそれが弾道ミサイルというのが少々問題でしょうが、それを誰かに使った瞬間に自分の体制も生命もなくするということを知っているから、日本海に向けて振り回すと言うことになる。「脅しの道具」に過ぎないのですが、射程に入ってる身としては気分は良くない。

 今回のロシアのクリミア侵攻で分かったことは、やはり戦いは軍の装備と隊員の配置、動員であって、「凄く手間暇がかかる」ということです。「軍服などどこでも買える」とか嘘をついてまで。一発何かをぷっぱなせばよい、落とせば良いという話ではない。

 米ソはウクライナ危機が続く間も、核サミットで核の削減についての話し合いそのものは続けている。それは相手をダウンさせるには過剰に持っている核戦力が、実際には使えないもの、コストがかかるものと判断しているからだし、最後のところの「相互信頼」を崩すことが賢明でないことを知っているからでしょう。

 それにしても今回はオバマ大統領の対ソ警戒心が強い。インテリジェンスでもあがっているのだろうか、とも思う。つまり、「ほっておくとロシアはウクライナ東部に手を出す」と。実際にドネツク当たりで小競り合いが生じているのが気になるところで、この点はしばらく監視が必要でしょう。


2014年03月26日(水曜日)

 (20:03)いろいろ忙しくてテレビを見ていなくて今見たら、三カ国首脳会議でのオバマ大統領の居心地は悪そうに見えました。安倍首相が韓国語で「お会いできて.....」としゃべってもぶすっとしている朴大統領を右に、どちらかと言えばややハイな安倍首相を左に置き。

 なんとなく「なんでこんな立場で.....」と思っているのではないか、と思えるような。しかしアメリカとしては結構深刻な問題なんでしょう。対北朝鮮でも対中国でも日本と韓国の隊列は整えておきたい。

 本当は日本にとっても韓国にとってもこの隊列はとっても必要なのだが、特に韓国がそのことを分かっていない感じがする。意識が別のところに行っているので。今回も韓国はアメリカの仲介がなければ応じていないでしょう。何が一番のリスクかを分かって欲しい気がするが。

 今朝のニュースで面白かったのは、「ビットコインはプロパティ」としたIRSの判断でしょうか。日本の当局は先に「それはモノ」との判断だった。モノとプロパティではより近いのはプロパティでしょう。

 日米の当局が共通しているのは、「それは通貨ではない」ということ。通貨だったら、決済に問題なく使えるのだが、プロパティだったら所有自体が税の対象になったりややこしい。株とかと同じですから、いろいろな報告義務の対象になる。

 マウンドゴックスの倒産以降も、ビットコインを含めて様々な新手の決済手段が登場しているようですが、もうすこに「どう展開するか」を見た方が良いのではないかと個人的には考えている。だって、私がビットコインに関心を持ったときは10万円の越えていましたからね。今はそんなに高くないと思う。


2014年03月25日(火曜日)

 (11:03)「なぜ今頃になって衛星データの解析からMH370の航路が北ではなく南(着水・墜落地点はインド洋南部 パースの南西2500キロ)と分かったんだろう」という問題意識でいろいろな文章を読んでいたら、懐かしい用語にぶち当たりました。「ドップラー効果(doppler effect)」

 鉄道列車や救急車の音の聞こえ方で昔習ったじゃないですか。「接近する音が通り過ぎる前は高い音に聞こえ、通り過ぎた後は低い音に聞こえる現象」「音の周波数が変化する現象」ですが、FTに次のような内幕を伝える文章がある。

 「この手の目的のために今まで使われたことがなかった方法でこの週末に解析したら分かった」とあって、それならこんなに時間がかかったのも仕方がないと納得。その文章とは以下のものです。

But over the weekend, Inmarsat’s engineers fine-tuned the data drawing on a new type of analysis which had never been used for this purpose before, to establish the flight went south rather than north.

The team used the “Doppler effect” of the satellite as it moved in its orbit to establish a set of measurements for the predicted northerly and southerly paths, a company spokesman said. The Doppler effect describes the change in the frequency of sound, radio or light waves as they travel between two objects, when one or both of them are moving.

The team then overlaid these measurement with data from other aircraft that had flown both “arcs” and the results corresponded with the southerly route. Inmarsat had the results peer-reviewed before passing them on to the Malaysian authorities.

 そりゃそうだ。飛行機も衛星も多くのケースにおいてどちらかが動いている。そしたら、sound, radio or light wavesのドップラー効果は出てくる。それで調べたら、「MH370はマラッカ海峡から大きく西に航路を切った」後に「南に向かった」と結論付けたと。

 Inmarsat はブータンに行ったときに使ったことがあります。ネットを繋げるために。しかし衛星のドップラー効果というのは今まで聞いたことがなかった。しかしもうちょっと短時間で分かってきたら無駄な捜索をしなくても良かったのに、と思う。

 しかしマレーシアのナジブ首相も言っているが、もし機体に何かあり、パイロットが正常であったら、飛行機が一番向かっては行けない場所です。海の砂漠のような。着陸できる陸地がまったくない。だから、何らかの意図があってあそこに行ったとしか考えられない。それが分からないままです。

 ところで備忘のために、24日にG7諸国がウクライナ問題で出したハーグ宣言を残しておきます。この間にロシアの外相とウクライナの外相が初めて顔合わせをしたと。ロシアもアメリカなどの動きをよく見ている。


2014年03月24日(月曜日)

 (10:03)大阪市長選における無効投票の中には、わざわざ投票所に行った上で「ふざけるな」と書いて帰ってきた人がいたと今朝の新聞に書いてある。そりゃそうでしょう。何の意味もない選挙だった。

 むろん「ふざけるな」と書いた人が思っていたことには、そもそも選挙に打って出た橋下さんに向けられた部分と、これといった対立候補を立てなかった野党に向けられている部分があると思う。つまり「市政全体」に対する怒りの表明だ。

 投票率は23%台。つまり有権者の四人に三人は行かなかった。かつ無効投票の割合が13.53%。こりゃもう選挙になっていない。それで「信任された」と言ったら笑われる。だから橋下さんは昨日は選挙後に記者の前に出てこなかった。いくら弁護士でも「いいようがなかった」のだと思う。

 橋下市政は何かが決定的におかしい。「何か」とは、そもそも政治に取り組む姿勢であり、「何を目指すか」の目標の曖昧さであり(大阪を本当に良くしたいのか、それとも”全国区の政治家”になるための踏み台なのか)、いったい主張している「都構想」に何のメリットがあるのか。

 昨日市長の代わりに出てきた知事の松井さん(これも考えてみればおかしいな話だ)の発言も、失笑ものだった。今日の午後には記者会見するそうなので、そこで橋下さんが今後についてどんな図式を示すか興味深い。


2014年03月22日(土曜日)

 (23:03)昨日だったかな、ちらっとNHKの夜7時のニュースを見ていたのですが、出かけるので「もう消そう」と思って近づいたら、その日の午前中に私が基調講演講師で出た両国国技館での株・投信に関する講演会の模様が出てきてびっくり。次にしばらく私の講演風景が出ていた。

アリーナ席は一杯でした。私としても初めての国技館講演  ははは、「ああ、自分の講演はカメラで見るとこうなるのか」と。ピンマイクだったので結構演台を離れて自由に喋っていたのですが、その場面でした。「両国国技館+株・投信講演会」という組み合わせは私も面白いと想ったのですが、NHKさんもそう考えたのか。

 それによると2600人もの方がいらっしたとか。私も国技館で講演するのは初めてで、面白かった。ただスクリーンが一つだったのは「ちょっと足りない」と思いました。あそこだと、両サイドにあと各1つ必要だと思いました。

 ところでテレビと言えば先日制作会社から電話があって、第55回科学技術映像祭で、 私が去年の3月までまでやっていた地球アステク「ペタの光ファイバと光メモリ」の回が科学技術映像祭で賞を頂いたと。その部門優秀賞のところの「開発・教育部門」の「部門優秀賞」ですと。

研究開発・教育部門 企画・製作:(株)BSジャパン/(株)電通/(株)日経映像

紹介する技術は全て世界初。現在の千倍にもなる大容量高速通信を実現したペタの光ファイバ。高速かつ低消費電力の光RAMチップなど、世界初を生み出す研究所に潜入した。 ( TV25分)

都内で綺麗に最初に咲く方の桜です。ただ染井吉野ではなく、色がピンクなので避寒ではないかと  科学番組を3年間続けて、150以上の新しいテクノロジーに接することが出来たのは、私にとって非常に財産になっているし、かつ作品が賞を頂いたのは良かったと思っています。残念ながらもう終わってしまった番組ですが、関係者の方々に感謝です。

 ところで今日はもう一つ写真を。綺麗だったので。今日の午前中に通りかかった豊川稲荷での桜です。青い綺麗な空に映える。毎年早い外務省の角っこも2分咲きくらい。ただし靖国神社の標準木はまだつぼみ。でも来週は開花で綺麗でしょうね。いつも桜の季節は寒い。今年もそうでしょうね。


2014年03月21日(金曜日)

 (14:03)ははは、十分にお分かりになっていないのではないかな.............と思えることがいくつか。最近の新聞を読んでいて。

 まずオバマ大統領が発表した第二弾の対ロ制裁。日本の新聞にはクリミア情勢の緊迫化の中で、資産凍結、渡航禁止対象者の増員と同時に、「ロシア主要産業に対して制裁を行う大統領令に署名」とぼやっと書いてある。

 そうじゃないんですよね。オバマの発表文を注意深く読むと、極めて重要な事に気がつく。それは以下の部分です。

Now, we’re taking these steps as part of our response to what Russia has already done in Crimea. At the same time, the world is watching with grave concern as Russia has positioned its military in a way that could lead to further incursions into southern and eastern Ukraine. For this reason, we’ve been working closely with our European partners to develop more severe actions that could be taken if Russia continues to escalate the situation.

As part of that process, I signed a new executive order today that gives us the authority to impose sanctions not just on individuals but on key sectors of the Russian economy. This is not our preferred outcome. These sanctions would not only have a significant impact on the Russian economy, but could also be disruptive to the global economy. However, Russia must know that further escalation will only isolate it further from the international community. The basic principles that govern relations between nations in Europe and around the world must be upheld in the 21st century. That includes respect for sovereignty and territorial integrity -- the notion that nations do not simply redraw borders, or make decisions at the expense of their neighbors simply because they are larger or more powerful.

 この二つの文章が何を言っているかというと、クリミア半島で今までロシアが行ったことに関してはロシア政府など要人の資産凍結と渡航禁止を対象人員を増やして行う。まあ強化した。しかし実際にはこの制裁はあってもなくても同じようなものです。そこからが重要なんですが、「the world is watching with grave concern as Russia has positioned its military in a way that could lead to further incursions into southern and eastern Ukraine」とオバマは言う。

 これを訳すと、「ロシアはウクライナの南部、東部へのさらなる攻略に繋がるような形で軍隊を位置取りしており、世界はこれを重大な懸念を持って見守っている」とある。

 その後を訳すと、「それ故に我々はEU諸国と、もしロシアが事態をエスカレートした場合により厳しい制裁を科す話し合いをしている。そのプロセスの一環として、私は個人のみならずロシアの重要産業セクターに対しても制裁を科す権限を生じさせる新しい大統領令に署名した......」となっているのです。

 つまり昨日オバマが署名した大統領令は、言ってみればクリミア情勢に関係があるのではなく、それ以外のウクライナの東部、南部へのロシアの侵攻を懸念したもの。大統領令を実施に移すのはあくまで「ロシアが(クリミア半島を除く)ウクライナ東部、南部にさらなる侵攻をした場合」の話です。その場合は、ロシアの主要産業(エネルギーを含む)に対する制裁を科す.....ということ。

 それを今朝の日本の新聞のようにクリミア半島とウクライナのその他の東部、南部を区分けしないまま報じると、話が俄然見えなくなる。つまりこの二つの文章でオバマが間接的に言っていることは

  1. ロシアが侵攻をクリミア半島に限定している間は、政府要人に対する資産凍結、渡航禁止に制裁をとどめる
  2. しかしロシアがウクライナ東部、南部に対してさらなる侵攻をした場合にはロシア主要産業に対する制裁を発動する(これはロシアに対する決意の表明であり、警告です)
  3. ロシアがウクライナの東部、南部にさらなる侵攻をしても、制裁は主要産業に対する制裁であって、軍を使うことにはない
 ということでしょう。だから、ロシアの高官がヘーゲル国防長官に対して、「ロシアはクリミア以外のウクライナ東部、南部に侵攻するつもりはない」と述べたというニュースが重要になる。それはプーチンも言っている。こうしたちょっとしたニュースの読み方が、全体像をはっきりさせると思う。

 それからこの問題は昨日書きましたからもうあまり書きたくないのですが、備忘のためにイエレンが実際になんて言ったか残しておきます。イエレン発言のあの部分です。

“It’s hard to define but, you know, it probably means something on the order of around six months or that type of thing,” she said. “What the statement is saying is it depends what conditions are like.”
 FTからですが、これを何度世界中のマスコミが断定的に「彼女は六ヶ月と言った」と伝えているのはミスリーディングだと思う。それが分かったから、昨日のニューヨーク市場は前日の下げ(ダウで114ドル)をぴったり戻すように上げ(108ドル)た。だから私はFTのこの文章にとっても賛成です。
The most probable interpretation of this remark is that it does not mean very much at all.


2014年03月20日(木曜日)

 (05:03)「(QE3終了後に金利を引き上げる時期について)相当な時間のあと、”相当”は定義しがたいが、多分6ヶ月単位....」(抄訳)とやや誤解を与えかねない発言はあったものの、約1時間の記者会見はずっと見ていたものにとって、「初回にしては落ち着いていたし、上出来」と思えるものでした。イエレン議長の英語は私には分かり易かった。

 もっともその間にマーケットは荒れた。ニューヨークの株は彼女の発言内容を全体の流れの中で理解しきれないこともあって(マーケットは短絡だから)、一時ダウで200ドル近く下げる場面もあった。しかし引けは114ドル02セント安の16222.17ドル。S&P(11.48安)やNASDAQ(25.71安)も安い。

 債券は売られた。彼女の記者会見やFRBの見通しでアメリカの金利が上がる時期が「来年」と見えたことで、債券を売る動きが強まった。指標10年債の利回りはFOMCの声明発表とイエレンの記者会見の間に、それ以前の最も低いレベルである2.662%からもっとも高いところでは2.795%まで上昇した。引けは2.77%

 これを受けてもっとも動いた為替相場は、私が気がついた範囲ではドル・円とユーロ・ドルで、いずれも100ポイント前後もドル高に動いた。。ドル・円の高値は102円70銭(FOMC以前は101円台の前半)、ユーロ・ドルのそれは1.3810ドル(同1.39の前半)。ニューヨーク市場のドル・円の引けは102円40銭近辺。

 金相場は下落し、その他の商品では上がったものが多かった。恐らくニューヨークの株がイエレン発言で大きく下げたように見えたのは、過去二日間でダウで見て260ドル以上上がっていて、いずれにせよ調整が必要だったこともあると思う。
 ――――――――――――――
 FOMCの声明とイエレン議長の記者会見で、私が考えていくつか重要だと思う点は、

  1. アメリカの景況については、その間の寒波などあってよく見えないところがあるが、12月から4月というスパンで考えると、12月時点での見方(FRBの)を変える必要はない
  2. 故に、昨年末から行っているテーパリングに関しては、今回も全体で100億ドル削減して、月間の債券購入額を550億ドルとする
  3. 2012年以来使っていた「失業率6.5%」という金利を引き上げるガイダンスは「ineffective」なので落とし、「a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent」を考える
  4. ずっと根深くターゲットである2%を下回っているインフレ率については、「could pose risks to economic performance」と一文を設けて警戒を示し、「インフレ率が上昇するかどうかを監視する」と述べた
  5. イエレン議長の最初のFOMCから反対者(コチャラコタ)が出て、彼の反対理由が「who supported the sixth paragraph, but believed the fifth paragraph weakens the credibility of the Committee's commitment to return inflation to the 2 percent target from below and fosters policy uncertainty that hinders economic activity.」とやや複雑なものだったこと
 などだろうか。「1」は声明(最後に掲載)の最初のパラグラフで「slow」という単語を2回も使っている割には楽観的に見えるが、「今は乱れている数字も春になれば戻ってくる」と見ているのでしょう。

 「失業率6.5%」というフォワード・ガイダンスを落とした今、「どんな理由で、いつアメリカの短期金利が上がり始めるのか」(FRBサイドから言えば上げ始めるのか)はマーケットの最大の関心ですが、声明では逆サイドから0〜0.25%の「超低金利を続ける期間」に関して「maintain the current target range for the federal funds rate for a considerable time after the asset purchase program ends, especially if projected inflation continues to run below the Committee's 2 percent longer-run goal, and provided that longer-term inflation expectations remain well anchored」と単に「相当な期間」としている。

 それをイエレン議長はよせば良いのに、「6ヶ月というか、その程度の....(something on the order of six monts)」と具体的に会見で数字を出してしまった。マーケットでは恐らくその時点で「利上げ時期は早い」と判断してしまった向きが多かったのだろう。それは「QE3が終了後」という前提を聞き逃した(声明にもあるのだが)ケースと、「QE3終了後にしても思ったより早い」と理解した二つの向きがあったと思う。

 しかし声明と彼女の記者会見全体から見ると、「全てはデータ次第」であるとし、かつ声明が「低インフレ率」に強い警告を発していることを考えれば、アメリカの金利が上がり始めるのは「今から見れば相当先」と考えるのが自然だ。あわててダウで200ドルも下げてしまったニューヨーク株式市場が、その後下げ幅を半分に削ってきた理由は、そこにあったと思う。

 予想のほかにマーケットを動かしたFOMC声明とイエレン議長記者会見でしたが、全体を見れば同議長の発言のペースのようなアメリカ経済のスローな回復は続いているという楽観的な色彩で、マーケットに長期的な影響を与えるようなものではなかったと考えられる。

 この点に関してFRBが公表した見通しでは、米金利が上がり始めるのは来年になってからと見る向きが多いことが明らかになっている。ウォール・ストリート・ジャーナルにはこの点に関して「The Fed's latest projections, also released Wednesday, showed most officials―13 of 16―expect to start raising short-term rates in 2015. Just one official expected to begin lifting rates this year and two expected the Fed will wait until 2016. Ten of 16 Fed officials said they saw the Fed's benchmark interest rate rising to 1% or more by the end of 2015, a slight uptick in projections from December, when only seven officials saw rates at or above the 1% level. Twelve of 16 officials expected the rate to be at or above 2% by the end of 2016. That's higher than in December, when eight officials saw rates at or above 2% by the end of 2016.」という文章がある。

 つまり米金利は今から続くゼロ金利の期間がナガイにしても、その後は徐々に上昇に向かう方向は見えたと言え、それがドルを円やユーロに対して上昇させたと考える。もっとも、声明の「低インフレ警告」で分かる通り、米金利が上昇するペースはグリーンスパン時代のような「FF金利を毎回0.25%」というようなことはないだろう。声明は特に「The Committee currently anticipates that, even after employment and inflation are near mandate-consistent levels, economic conditions may, for some time, warrant keeping the target federal funds rate below levels the Committee views as normal in the longer run.」と指摘。

 最後に記者会見で「ウクライナ情勢はどうか」「ニューヨーク連銀に預託されている外国中銀の米債保有高の急減については」の記者の質問に対して、まず後者に関しては「ニューヨーク連銀の管轄で私はコメントできない」と言ったあとで、「ウクライナ情勢は注視しているし今後も見ていくが、米銀のロシアへのエクスポージャーは小さいので、大きなリスクではない」とイエレン議長が言ったのが記憶に残った。

 声明の全文は以下の通り。

Release Date: March 19, 2014

For immediate release

Information received since the Federal Open Market Committee met in January indicates that growth in economic activity slowed during the winter months, in part reflecting adverse weather conditions. Labor market indicators were mixed but on balance showed further improvement. The unemployment rate, however, remains elevated. Household spending and business fixed investment continued to advance, while the recovery in the housing sector remained slow. Fiscal policy is restraining economic growth, although the extent of restraint is diminishing. Inflation has been running below the Committee's longer-run objective, but longer-term inflation expectations have remained stable.

Consistent with its statutory mandate, the Committee seeks to foster maximum employment and price stability. The Committee expects that, with appropriate policy accommodation, economic activity will expand at a moderate pace and labor market conditions will continue to improve gradually, moving toward those the Committee judges consistent with its dual mandate. The Committee sees the risks to the outlook for the economy and the labor market as nearly balanced. The Committee recognizes that inflation persistently below its 2 percent objective could pose risks to economic performance, and it is monitoring inflation developments carefully for evidence that inflation will move back toward its objective over the medium term.

The Committee currently judges that there is sufficient underlying strength in the broader economy to support ongoing improvement in labor market conditions. In light of the cumulative progress toward maximum employment and the improvement in the outlook for labor market conditions since the inception of the current asset purchase program, the Committee decided to make a further measured reduction in the pace of its asset purchases. Beginning in April, the Committee will add to its holdings of agency mortgage-backed securities at a pace of $25 billion per month rather than $30 billion per month, and will add to its holdings of longer-term Treasury securities at a pace of $30 billion per month rather than $35 billion per month. The Committee is maintaining its existing policy of reinvesting principal payments from its holdings of agency debt and agency mortgage-backed securities in agency mortgage-backed securities and of rolling over maturing Treasury securities at auction. The Committee's sizable and still-increasing holdings of longer-term securities should maintain downward pressure on longer-term interest rates, support mortgage markets, and help to make broader financial conditions more accommodative, which in turn should promote a stronger economic recovery and help to ensure that inflation, over time, is at the rate most consistent with the Committee's dual mandate.

The Committee will closely monitor incoming information on economic and financial developments in coming months and will continue its purchases of Treasury and agency mortgage-backed securities, and employ its other policy tools as appropriate, until the outlook for the labor market has improved substantially in a context of price stability. If incoming information broadly supports the Committee's expectation of ongoing improvement in labor market conditions and inflation moving back toward its longer-run objective, the Committee will likely reduce the pace of asset purchases in further measured steps at future meetings. However, asset purchases are not on a preset course, and the Committee's decisions about their pace will remain contingent on the Committee's outlook for the labor market and inflation as well as its assessment of the likely efficacy and costs of such purchases.

To support continued progress toward maximum employment and price stability, the Committee today reaffirmed its view that a highly accommodative stance of monetary policy remains appropriate. In determining how long to maintain the current 0 to 1/4 percent target range for the federal funds rate, the Committee will assess progress--both realized and expected--toward its objectives of maximum employment and 2 percent inflation. This assessment will take into account a wide range of information, including measures of labor market conditions, indicators of inflation pressures and inflation expectations, and readings on financial developments. The Committee continues to anticipate, based on its assessment of these factors, that it likely will be appropriate to maintain the current target range for the federal funds rate for a considerable time after the asset purchase program ends, especially if projected inflation continues to run below the Committee's 2 percent longer-run goal, and provided that longer-term inflation expectations remain well anchored.

When the Committee decides to begin to remove policy accommodation, it will take a balanced approach consistent with its longer-run goals of maximum employment and inflation of 2 percent. The Committee currently anticipates that, even after employment and inflation are near mandate-consistent levels, economic conditions may, for some time, warrant keeping the target federal funds rate below levels the Committee views as normal in the longer run.

With the unemployment rate nearing 6-1/2 percent, the Committee has updated its forward guidance. The change in the Committee's guidance does not indicate any change in the Committee's policy intentions as set forth in its recent statements.

Voting for the FOMC monetary policy action were: Janet L. Yellen, Chair; William C. Dudley, Vice Chairman; Richard W. Fisher; Sandra Pianalto; Charles I. Plosser; Jerome H. Powell; Jeremy C. Stein; and Daniel K. Tarullo.

Voting against the action was Narayana Kocherlakota, who supported the sixth paragraph, but believed the fifth paragraph weakens the credibility of the Committee's commitment to return inflation to the 2 percent target from below and fosters policy uncertainty that hinders economic activity.


2014年03月19日(水曜日)

 (16:03)日本時間の明日午前3時に発表されるFOMC声明と、それを受けたイエレンFRB議長の記者会見が注目されるのは、ともに「彼女にとって初」ということもあるが、バーナンキ時代に据え置かれていたフォワード・ガイダンスが切り替わるかも知れない、という点でしょう。

 フォワード・ガイダンスの中で一番注目されていたのは、「いつ短期金利を引き上げるか」に関する「失業率6.5%という目安」。しかし今年1月の米失業率は6.6%、2月にちょっと上がって6.7%となったものの、それでも目安の6.5%とは「ニアミス状態」。

 もっともFRBはこれまで繰り返し「6.5%はそのレベルで必ず金利引き上げをするという水準ではない」「失業率が6.5%を下回ってもゼロ金利を柱とする超金融緩和措置は続ける」と述べている。

 だから政策運営の余地は既に作ってあるわけだ。しかし「ではなぜ6.5%を残しているのか」と言われば、「従来そうだったから」としか言いようがないので、今回変えてくると予想する。

 問題は「では何に代替させるのか」という問題。イエレン議長は今までこの問題に関して、「"a broader range of economic indicators is being discussed」と述べている。つまりいろいろな指標を考えていると言うことだ。ではその中でも、というと次のようなものがターゲットになる可能性がある。  

  1. underemployment(不完全雇用=能力以下の仕事に従事[雇用]すること)
  2. labor participation rate(労働力率、労働力化率=生産年齢人口(15歳以上人口)中に占める労働力人口の比率)
  3. インフレ率
 これ以外にもあるかも知れない。また「どれか単独」というよりも、「合わせ技」の可能性もある。失業率も捨てがたい。ちょっと考えると、上に挙げた三つは、「単独でガイダンスの指標になるのか」という疑問が湧く。ま、明日の朝までのお楽しみ。
 


2014年03月19日(水曜日)

 (06:03)昨日書いた文章との関連で言うと、ピーチン大統領が議会関係者を前に行った演説で私が「一番重要」だと思ったのは、「ロシアはウクライナを(これ以上)分割する意図はない。何かあっても法的、外交的な手段で解決する」と語ったと伝えれている部分です。

 むろん、「クリミア半島(自治共和国)のロシア編入」はけしからん話です。欧米が制裁強化を検討するのは当然です。しかし「事態の泥沼化」を避けるという意味では、ウクライナ東部の情勢の変化が一番大事だと思う。昨日書いた通りです。

 その観点から見ると、今朝の欧米各紙にはこれに関するプーチンの言葉が掲載されている。例えばウォール・ストリート・ジャーナルには

Appealing to the people of Ukraine, Mr. Putin said, "don't believe those who are using Russia to scare you, who say that other regions will follow Crimea. We don't want a partition of Ukraine. We don't need this."

"Millions of Russian people, Russian-speakers, now live and will continue to live in Ukraine, and Russia will always defend their interests through political, diplomatic and legal means," he said.

 とある。他紙もいろいろ取り上げていて、このプーチンの「更なるウクライナへの容喙否定」が、昨日も88ドル強ダウ平均を押し上げ、S&P指数を史上最高値近くにまで引き上げたニューヨーク株高の一つの要因とし、「But fears of escalating tensions were soothed after Mr. Putin said that while Crimea must be under Russian sovereignty, "we don't want a partition of Ukraine," and would defend Russia's interests by "diplomatic and legal means."」と伝えている。

 これとは別に今朝の毎日新聞によると、ロシアのクリミア自治共和国(ウクライナ側から見ると、クリミアは今や独立国との立場だ)のロシア編入に関する手続きは以下のように進むという。

  1. 憲法裁判所が条約の法的整合性を確認
  2. 下院が条約を批准し、クリミアを連邦構成体と明示するよう憲法を改正
  3. 上院の承認と、大統領署名を経て編入決定
  4. 移行期間を経て編入完了
 「プーチン政権は議会と司法機関を掌握しているため手続きが順調に進むのは確実で移行期間を含めても数カ月で完了する見通し」とも同紙は伝えている。ま、引き続きウクライナ東部の動きは見ていかねばならない、ということがポイントです。


2014年03月18日(火曜日)

 (18:03)「代償を払うことになる」と大上段に構えた割には、オバマ大統領が発表した対ロシア制裁は、「え、それって制裁」と驚くような緩いものでした。恐らくそれにはアメリカ側の意図がある。それは、クリミア半島以外のウクライナにロシアが手を出したときに、本当の制裁をとっておくというものです。

 国際法に違反しているし、非難されるべき事ですが、当のウクライナ新政府さえも「武力でクリミア半島を取り戻すことはしない」と言っているし、16日に終わったパラリンピックにもウクライナは選手団を送った。

 当のウクライナが「クリミア半島を取り戻すために武力を使わない」と言っている意味は、「今後のウクライナにとってクリミア半島は勘定に入れない」「入れないでもやっていける」ということを間接的に言っているのだと思う。

 今回のクリミア自治共和国の選挙(ロシアが後ろで糸を引いた)はいかにも性急だし、アメリカ側の説明によれば「地域によって投票率が123%に達したところもある」とのことで不正が十二分に疑われる。しかし、クリミアについては過去からの経緯もあって、「不快な顔をするだけで、ある程度認めよう」と落とし処を関係各国は探しているのだと思う。

 プーチンはそれを知っているから、選挙結果で出た一応の結果(圧倒的に独立・編入支持)をまず承認し、編入の手続きを上院に対して行うと18日に表明した。”編入”は事態の進展だから、欧米の制裁はやや強くなる可能性が高い。しかし今のロシアや中国も密接に絡み、欧米も依存度を高めているグローバル経済全体に対して、「破壊的な打撃を与えるような問題か」という判断はどこかにあるだろう。

 恐らくアメリカやヨーロッパが「これが起きたら怖いし、それは見逃せない」と思っているのはウクライナの東部での情勢変化です。ドネツクなどの都市がある。 既にキエフのウクライナ政府によると、クリミア半島に隣接するウクライナ東部で「小規模なロシア兵による領土侵犯」があったと伝えられる。

 クリミアはそもそも地理的にも半島だし、自治共和国を作っている。しかしウクライナの東部は、「じゃ、どこから」と言われても難しい。結局東部を支配するためにはウクライナ全土を対象に軍を派遣することになるかも知れない。

 ロシアはクリミアに対する軍の増派を続け、特にウクライナとの国境を厚くしていると言われる。大規模にロシア軍がウクライナの東部に入ってきたら、ウクライナ軍は負けると分かっていても戦うでしょう。そしたら、米ロも「資産凍結や渡航禁止」というレベルの制裁では済ませられなくなる。

 ロシアはウクライナ東部、例えばドネツクなどで起きている住民同士の争い、例えばウクライナ人とロシア系ウクライナ人との争いや死者の発生に関して、「介入する(ロシア人を保護する)権利を留保する」と外務省声明している。

 無論クリミアは国際政治的にはウクライナにいったん戻されるのが筋だ。しかしプーチンは恐らくそれを絶対にしない。問題はだから、”編入”への新たな制裁がどうなるこうなるという以上に、「ウクライナの東部に関わる次の段階」に展開があるのかに来ていると思う。仮にプーチンが「クリミア以外のウクライナには手を出さない」と声明するか、そう言わなくても実際に長期間にわたって手を出さなければ、事態はコントロール不能なレベルにはならないし、それは「危機の常態化」となる。


2014年03月17日(月曜日)

 (21:03)東京で新幹線に乗って直ぐに見始めて、名古屋を過ぎ、ほとんど京都の手前まで見ていましたから、総上演時間は2時間以上だったと思う。しかしとっても深くて目をそらせない作品です。素晴らしい。

 私が新幹線の中にDVD再生に必要なPC付属プレーヤーまで持ち込んで見ていたのは、「天に栄える村」という長編ドキュメンタリーです。福島県の山間の人口6000人の小さな村の、しかしそこで今でも展開している「安心・安全、しかも食味の良いお米作り」をずっと追った作品。3.11前から、そしてその後も実に丹念に追っている。総撮影時間は想像を絶すると思う。

 ドキュメンタリーだから、全部素の人達です。飾らない。しかし言葉はしっかりしているし、映像も素晴らしい。何よりも「原発事故で打撃を受けた天栄村の米作りのこれまでと今」をじっくりと追うことによって、事故が残した爪痕の深さ、罪深さ、にもかかわらず国からも東電からも保障が得られない中で一生懸命自分たちの天職を貫徹しようとする人々の姿が、見る人の心を打つ。

 ただただ「風向きのいたずら」故に、大地が放射能を浴びた天栄村。売らなければ暮らせない、しかし自分が作った米は無論のこと自分の子供にも食べさせられるものでなければならない....しかし土壌には汚染が残った。しかも風評被害が根深く残る。さあどうする....。

 苦境に立たされた人達の苦しみが、皺がたくさん寄った出演者達の顔から伝わってくる。何も喋らなくても。喋っても説得力がある。それが素晴らしい。一般の映画館ではやっていないドキュメンタリーです。制作者やこのドキュメンタリーの制作に協力した方々に拍手。


2014年03月16日(日曜日)

 (06:03)今日は16日。クリミア自治共和国で二つの選択肢を問う選挙の日ですか。その選択肢とは、

  1. クリミア自治共和国をロシア連邦へ編入させることを支持するか否か
  2. ウクライナへの帰属を決定した1992年制定の憲法を支持するか否か
 いっけんウクライナに残る道が「2」で残されているように見えて、私は見てありませんが、1992年制定の憲法は現状のものよりクリミアの分離独立に関する手続きが詳細に定めていて、その憲法復活はロシア編入が容易になるのだという。

 ということは、結局はロシア編入かウクライナ内の地位再交渉(ロシア編入を視野に置いた)のどちらかしか道がなく、現状維持という選択肢はないとも指摘されるというし、大方の予想では「1」に賛成する住民が単純過半数(それでOK)を上回ると予想される。

 ということは17日に発表される制裁の中味が次の焦点となる。先週末にFRB保有の米国債が大幅に減少したことなどから、「ロシア政府やその関連の機関、ロシアの富裕層が売ったのではないか」「アメリカや欧州からは数十億ドルの資産が流動化し、流出した」とも言われているから、ロシア側もある程度は「制裁に備えた」行動を取ったことになる。

 制裁が常態化するのは例えば対イラン、対北朝鮮などで前例があり、それ自体は常態化によってマーケットではそれほど材料視されない。それが日常になるからだ。しかしそれで落ち着くのか、常態化するだけで済むのかが問題。

 ロシアはウクライナ東部、例えばドネツクなどで起きている住民同士の争い、例えばウクライナ人とロシア系ウクライナ人との争いや死者の発生をに関して、「介入する(ロシア人を保護する)権利を留保する」と外務省声明している。より大きな問題はこの「拡大」です

 クリミアはそもそも地理的にも半島だし、自治共和国を作っている。しかしウクライナの東部は、「じゃ、どこから」と言われても難しい。結局東部を支配するためにはウクライナ全土を対象に軍を派遣することになるかも知れない。その場合はウクライナ軍は負けると分かっていても戦うでしょう。そしたら、米ロも見殺しには出来ない。

 まだまだ色々な展開が予想されると言うことですが、「色々な展開」と言えば、マレーシア航空機ボーイング777(370便)の行方も全く不明。分かってきたのは、「マレーシアの発表は、実に後追いが多く頼りにならない」ということ。私が最初に目にしたウォール・ストリート・ジャーナルの「信号が途絶えてから数時間370便は飛行を続けた」という報道に関しては、マレーシア航空は最初否定していた。

 しかし昨日になって首相が、「誰かが意図的に通信二系列(航空機の所在を公的に知らせる)を遮断し、その後恐らく西に向かって7時間以上飛行を続けた」と述べたようです。つまり北京到着時を超えて空を飛んでいた、ということ。

 じゃあどこに、が問題となるのですが、北西に行けばアフガニスタンの方向と言われる。しかしインドや中国の防空システムでは捕らえられていない。よほど低空を飛ばなければレーダーが捕捉するのに。

 「真西説」もあるらしい。インド洋ですから、衛星にしか気付かれずに飛行を続けられる可能性がある。しかし一番問題なのは、「誰が何故」という点。パイロットや乗客の身元調査を再開したそうですが、「通信二系列を意図的に遮断」するのは、「よほどの知識がなければ無理」だそうな。そりゃそうでしょう。簡単に出来るのはパイロットや副操縦士ですが、それも視野に入っている、と。

 もう一週間もたつから、「どこかに不時着している」とも考えられない。あまりにも目に付きますから。「地上に落ちた」とも考えられない、という。エンジンなど各種の機器が信号を発するから、と言われる。結局「海」ということになるが、「ではどこを探すのか」という問題が起きる。

 従来探していたところの捜索は「打ち切り」とか。もっと早く飛行機が西に向かったことが分かったら、無駄な国際的な作業はしなくて良かったし、もっと素早く飛行機の所在を探せたのに、と私などは思う。

 それにしても、飛行機の飛行方向や取った行動(急上昇するとか、低空飛行をしたとかいろいろ説がある)を「そんなに補足できていなかったのか」と思う。今までの「二系列で十分なんだろうか」とも思う。

 しかしその一方で、インターバルは空くし、ゆったりしたものではあるが、「飛行機くらいになると、エンジンを含めていろいろ信号を出す機械が多いんだ」とも思う。ロールスロイス製のエンジンも信号を出していた、と言われる。

 考えてみれば、メンテの関係で小松製作所の大型機械は部位ごとに「順調に機能しているかの信号をどこに居ても出して、それを本社が補足、修理を敏速にしている」と言われるから、当たり前ですが。

 なんか今回の事件は、「これだけ日常化し、事故も割合としては極めて少ないが、飛行機の世界も分からない事が多い」と実感しました。


2014年03月15日(土曜日)

 (06:03)プーチンの狙いの周到さが目立ち、それとは対照的にオバマの追い込まれぶりが顕著な展開です。それがむしろ今後問題を生むかも知れない、とも思える展開。プーチンはオバマを追い込みすぎでは ? 窮鼠....。

 所属を一見分からなくした軍を静かに派遣し、「あれは地元の自警団だ」と言って西側を当初煙に巻き、その間に自治州の大統領を選んでさらに自治州議会をコントロールし、次々に議決・予定発表をさせ、もともとは5月に予定されていた選挙を二回も前倒しして明日にする。そしてその投票では恐らく勝つ。

 オバマはその戦略も読めないままに後追いの声明や効果のない措置を発表し、「もしかした、『「代償を払うことになる」と言えばロシアが途中で折れるかも知れない」』と考えてケリー国務長官をあちこちに走らせる。しかしその結果はゼロ。

 ふっと気が付いたら17日が迫って「じゃ、制裁って実際には何をするんだい」「その制裁で欧州がまとまるのか、まとまってもそれが長期間続けられるのか」が不明という展望無き状況。

 私が恐ろしいと思うのは、一方の旗色があまりに良く、一方が悪いとき。旗色が良い方は大将とその部下も意気が上がる。ロシアでは今プーチン支持率が7割を超える。対するオバマは過去最低の支持率に直面し、「それからの脱却を狙わざるを得ない」という窮鼠状態。加えてキエフに出来た政府は、「ロシア勢を追い出せ」とばかりの勢いで出来たばかりだから、表向きは対ロ強硬主張。

 状況はあまり良くない。追い込まれたオバマ大統領がいままでとは違う、「言うだけ番長」からの脱出を計る危険性も少しはある。対して国内の支持率(現行政策に対する)が高いプーチン大統領は、クリミアの独立・編入が実現する前の妥協は国内政治的にも出来なくなった。対米強硬であるが故に高い支持率だから、その後も自分への評価が落ちるようなことはしない。出来るとしたら、それが確立し、国民が「ここまででいいなじゃないのか」というレベルで、です。

 クリミア半島の問題が複雑なのは、1994年の関係国の取り決めとかは別に、多分欧州のかなりの人々の間に、「クリミア半島は第二次大戦以前、そして1954年のフルシチョフによるウクライナ併合までの長い間ロシアのものだった」「だったらその復帰は認めても良いのでは」と本音のところでは思っているだろう、ということです。オバマも当事者が直接話し合い、5月の選挙でその結論が出たら....というもともとの主張。

 その本音があるところにきて、「制裁したら、我々の経済も打撃を被る」となれば、「むしろ欲しいのは落とし処」と考える人が欧州にはいるだろうと思える点。それはアメリカにも結構いると思う。「クリミア半島にはロシア復帰を望む住民が多いと伝えられる中では、ロシアと軍を派遣し合っても問題が複雑化する」だけなのは見えていますから。つまり軍事行動は出来ない。解放軍として入れないわけだから。

 ではどうするのか。「制裁の応酬地獄」に世界が入る前にできる事はあるか、と最後のチャンスだった米ロ外相によるロンドン会談は結局は「もの別れ」。予想通りです。しかし一つの明るい兆しは、「交渉は継続」という点。これは恐らく16日のいわゆる住民投票後も続くでしょう。それは米ロ双方とも望むはずです。

 交渉が再開しても、双方が具体的に何をするのかについては「早期にはまとまらない」可能性が高い。実質的にロシアがクリミア半島を実効支配、それで時間がたつという展開になる可能性もある。

 「クリミアの問題が世界経済を大混乱の縁に立たせる価値があるのか」と問う人もアメリカ政府の中にはいるでしょう。国内的にも精神的にも「やや追い込まれ気味」のオバマ大統領がどういう決断を下すのか、または下さないのかが重要なポイントになってきた。

 一番良いのは、ウクライナ半島の人々が「当面は独立・ロシアへの併合は見送り」という結果を出すことでしょうが、それは無理でしょう......選択肢にもないでしょうし。


2014年03月13日(木曜日)

 (15:03)なんちゅう人なんでしょうね。今の75才になるまでに21回も「エージシュート」をやってしまうという。最初のそれは70才の時で、その時のスコアは68だそうな。

 今週のゴルフ・ダイジェスト(3月25日号)の人間図鑑(40)に金子勝男さんが登場。ははは、会社の”大先輩です。ホームコースは中津川。この人には強烈な思い出がある。世田谷で一般の人も入れる講演会に数年前に呼ばれて私が行って喋っていたのです。

 なんかの折りに、アメリカのウォール街の出身者の中には「退職後はハワイやフロリダでゴルフ三昧という人が多いが、日本では退職後も農業とか何かしたいと言う人が多いから、なかなかそういう人(ウォール街退職者型)はいない」と言ったら、会場からすかさず大きな声がした。「そんなことはない....」と。

 ははは、金子さんがいらっしていたことは知っていたし、金子さんはそのタイプであることも存じていたので、半分「どのようなご反応を」と思って喋ったのですが、講演会の会場で声を出して反論してこられるとは予想外でした。

 普通は講演会が終わった後で、「俺の場合は違うよ.....」的な一言が多いのですが、金子さんは即反論。ある意味「いいな」と思った。だって「自信あり」ってことでしょ。自分の生き方に。ナイス。ははは、すかさず私はその場で、「金子さんは違いますが.....」とアド。

 でもね、私も金子さんと何回も一緒にラウンドしていただいていますが、まあステディなこと。このページ(人間図鑑)とのインタビューで述べられているように、「あまり大振りはしません。上体がリキまないように、とにかく軽く”ゆ〜っくり”振る。そしてトップはコンパクトに、フォローは大きくです。クラブは上げて下ろして、振り切るだけです」と。

 その通りなんですよ。まさにその通り。それをほぼ毎回出来るというのがこの人の凄いところです。「力を入れない」というのが一番難しい。だって、「入れないようにしよう」と考えるほど、実は力が入る。

 「スウィングのリズムってとても大切なんです。つい打ち急いでしまいますが.....」と金子さん。ははは、それですよそれ。でもね、出来ないですよ。だから私を含めて普通の人はばんらばら。

 「金子さんの一日」というコーナーがページの左下にあって....。まあ規則正しい。7時はに起きて毎朝風呂に入り、8時に朝食、10時には室内練習場(むろんラウンドがないときですが)で200球......と続く。午後はなるべく体を動かして土いじり。「毎日200球ってどんだけ」と。

 ま並外れていますよ。ゴルフを始めたのは30才で、35才にはシングルと紹介がある。それは知らなかった。以前、私のゴルフに問題があることを見ながら、「俺もうまくなったのは50過ぎてから」とか言っていたような気がしましたが、なんだ35才からうまかったんだ。

 練習場でドライバーを振り回している人は多いのですが、「半分はAW(アプローチ・ウェッジ)で」と金子さん。「だからこそスコアがまとまる」と。実際にうまいんですよ。ちょこっと上げてピタリと寄せる。私なぞなるべくころがそうとするが、そうじゃない。しかもアプローチショットでショートしない。これが重要です。

 以前私は別のうまい人に「素人はアプローチは絶対ショートする」と言われた。そうなんですよ。オーバーすればラインも見れるのに。怖いんですよね。ま、今年も一緒にラウンドできる機会があるかも。

 でも私は「過去10年以上スコアを付けたことがない」というレジャー型のゴルファーなので、ただただ嘆息なのですが、「あの軽く振り抜くドライバーは見習いたいな」といつも思っていて、「今年は私のゴルフの課題はそれだな」と思っています。

 私の周りでもお年のアドとともにスコアもアドの人が多いのですが、金子さんは別。うーん、エージシュートを100回くらいおやりになって、また雑誌に登場して下さいね。


2014年03月13日(木曜日)

 (06:03)日本を含むG7がウクライナ問題に関して声明を出すのはこれが二回目です。一回目は3月2日に出て、今読み返すと明らかに融和的であり、制裁的な事に触れたのは「ソチG8の準備への参加停止」くらいで、あとはロシアのクリミアでの行為は不法であり、ウクライナ政府と直接話し合うように要請しているのみ。

 しかし、それから10日たった3月12日の日付で出た今回の声明は、「3月16日」(クリミア自治共和国政府が住民投票を予定 ロシアも支持)が接近したので出さざるを得なくなったものですが、「より直接的にロシアを非難し、より非妥協的であり、そして何よりも一段の”制裁”を臭わすもの」となっている。

 3月16日に選挙が行われても「Any such referendum would have no legal effect. Given the lack of adequate preparation and the intimidating presence of Russian troops, it would also be a deeply flawed process which would have no moral force. For all these reasons, we would not recognize the outcome.」と、何ら法的効力を持たないものであると断言。

 準備不足に加えて、「クリミア半島の住民をびくびくさせるような”ロシア軍の存在”(言い切っているのが特徴です)の下での選挙」は a deeply flawed process(ひどく欠陥のあるプロセス)であり、道徳的力を持たない、と述べている。

 この部分は、「条件が整えばクリミア半島の住民による将来の”帰属選択選挙は認める”」と言っているように見える。オバマ大統領は先の一人で出した声明では、「5月に選挙をやるのが良い」と述べていた。

 今回の声明の特徴は、ロシアの行為がどの条約などに違反しているか詳しく指摘したあと、「Should the Russian Federation take such a step, we will take further action, individually and collectively.」と、何ら具体的ではないものの、クリミア半島の独立や併合があったら西側7カ国が「集団的に、または個別的に「さらなる行動」を起こすと警告している点。「action」だから、制裁が主でしょうが、潜在的には、そして将来的には軍事行動も取れる内容となっている。

 G7がロシアに何をしろと言っているかというと、「de-escalate the conflict in Crimea and other parts of Ukraine immediately, withdraw its forces back to their pre-crisis numbers and garrisons, begin direct discussions with the government of Ukraine, and avail itself of international mediation and observation offers to address any legitimate concerns it may have. We, the leaders of the G7, urge Russia to join us in working together through diplomatic processes to resolve the current crisis and support progress for a sovereign independent, inclusive and united Ukraine. 」としている。

 つまり、「クリミアとその他ウクライナの他の地域での紛争を鎮静化させ、軍隊を危機発生前の水準、域内の基地に戻し、ウクライナ政府との直接交渉を開始し、国際的な調停団・監視団を受け入れるべきだ」としている。

 しかしロシアは今のキエフにある政府を、「合法的な政府ではない」との見方。この声明が出た後のロシアの発言は見当たらないので、それは今日出るのでしょう。しかし言えることは、3月16日の接近とともに、やはり緊張は高まっている、ということです。

 声明が言う「G7のaction」は徐々なるものでしょうが、遭難マレーシア航空機の探索がそうであるように、まだ解決のとっかかりは見えない。しかし「緊張が高まる」ということは、逆に言えば何らかの妥協の道がそろそろ見えてくる前触れと言うことでもありうる。一般的には。しかし今のロシアは非妥協的かも知れない.......。


2014年03月12日(水曜日)

 (15:03)昨日ですか。非常に面白いテレビ番組の収録に呼ばれて行きました。場所もメンツも私にとっては希有。

 場所は明治通り沿いのビルの地下にあるダイニング・バー。渋谷から歩いて15分くらいかかった。カウンターの一方に我々が座り、私の右手が中村メイコさん、私の直ぐ左手がアメ横の志村商店の社長さん、その左が武田鉄矢さん。

 カウンターの中にいるのはテレビ東京の須黒アナウンサー。何の話しをしたかというと、そりゃ「アメ横」ですよ。番組は来月の16日、水曜日の夜8時からBSジャパン(BS7)で放送の予定だそうです。面白かった。

 ところで、今日は「肉関係」で二つ紹介をしようと思います。というのは、今週の月曜日ですが、久しぶりの関西の飲み友のツッチー君からお誘いがあって、「ちょっと軽く」「場所はおまかせ」ということで私は付いていったら、到着したところは私の紹介ページに載っている「神谷(カノヤ)」だった。

 ちょっと笑えたのですが、私も久しぶりで楽しかったし、改めて「この店はうまい」「人が集まる店なんだ」と思いました。大阪のテレビ出演が火曜日の夕方から朝になってから、あまり関西ではゆっくり出来ていない。

 だから行ける店も少なくなってきてしまっていたのですが、久しぶりに「思わず行けてしまって」良かった。経営者の方とも以前からの知り合いので、話も弾んで。実はこのところあまり美味しいしゃぶしゃぶを食べれていなかったので、良かった。接待費の税制変更に関連してか、東京のしゃぶしゃぶ屋は混んでいる。なかなかとれない。

 ところで、肉と言えばジンギスカンのここを紹介しておきます。羊が大好きで、ここの「随園別館」には良く行くのですが、随園別館は「北京風の羊のしゃぶしゃぶ」。対して一度行った「かねひろの成吉思汗」は、要するに野菜たっぷりの北海道のジンギスカンです。

 東京には北海道のジンギスカンの店としてまつじんがありますが、「かねひろ」のオンラインショップで買えば安いし、かつ冷凍にしておけばいつでも数時間前に出して食べられる。好きな野菜と合わせて食べれば体力増進。

 「肉がうまいな」「特に野菜との抱き合わせで」と思うこの頃なので、二つ紹介しました。


2014年03月11日(火曜日)

 (09:03)わかりましたよ。闇雲に覚えようとするから難しい。英語で覚えれば「ああ"P"は同じ意味なんだ(当然ですが)」とかむしろとっかかりができていつでも想起することが出来る。と、今朝思いました。

 「STAP」って言っても、よく分からないじゃないですか。「刺激惹起性多能性獲得」の略だと言われても、同じで難しい。しかしもともとの「Stimulus-Triggered Acquisition of Pluripotency」という表現を覚えれば、難しいのは「Pluripotency」 だけですから。これを「多能性」と覚えれば終わり。「刺激に起因する多能性の獲得」と。知っている単語で組み立てられている。

 それはまた「iPS」にも繋がる。「P」は同じく「Pluripotency」(多能性)で、iPhoneに使われている「i」はこの場合「induced」の頭。つまり「induced pluripotent stem cell」(iPS細胞)と呼びます。つまり「誘導された多能性な幹細胞」というわけです。名付け親は、世界で初めてiPS細胞の作製に成功した京都大学の山中伸弥教授です。ノーベル賞を受賞。

 とちらも「多能性」を持つ初期化された幹細胞を作り出すという事では画期的ですが、「induced」(遺伝子を誘導)よりも「stimulus-triggered」(刺激惹起)の方が簡単そうに聞こえるし、実際に出来そうなわけだから、それはより画期的(もし本当なら)だと思う。しかもその刺激物が弱酸性の溶液となると。

 小保方さんを中心に進められ、ネイチャーに掲載されたSTAP論文が世界中で注目されたのには、だから訳がある。多分「発表したら注目される」と分かっていたら、少なくともいろいろ指摘が出てくるような単純ミスは絶対してはいけなかったんでしょうね。

 それがボロボロと出てきてしまった。そした共同研究者の一人が、「小保方さんを含む他の共同研究者の人達に、いったん取り下げましょう」と提案した、ということ。

 今のところ理研の小保方さんのチームしか「再現実験に成功」していないような。理研がより詳しい実験手順を発表しているのに。これは問題でしょう。理研も発表を焦ったのかな。

 小保方さんが何も語らない、取材に応じないというのも問題だな。少なくとも写真などに関して疑義があるわけだから、ちゃんと「なぜ」を言わないと。「撤回」を主張し始めた若山さんも、「どこからも疑義が出ないちゃんとした論文にし直すために」と基本は前向きで優しい。

 理研や小保方さんがどう決断するのか、残りの13人がどういう意見を持っているのかまだ分かりませんが、やはりヒットはクリーンヒットでないと。研究が画期的なだけに。と思う。


2014年03月10日(月曜日)

 (18:03)ともに全く解決のとっかかりがなくて、困ったものですね。「ともに」というのは、マレーシア航空の777・370便がクアラルンプールから北京に向かう途中で消えた問題と、ウクライナ問題。

 なにせ前者は専門家が「今のところ有力な手がかりは何もない」「いろいろ説はあるが、今のところどれが有力ということではない」という状態。日本であまり出ていない見方としては、「パイロットの自殺説」なんてのもありますが、それだって無理がある。

 とにかく何も救難信号が出ていない、という不思議。致命的な構造的欠陥なんて説もあるが、777はとにかく今まで安全だった。経年劣化 ? テロ ? ま、待つしかない。日本では「日本人がいなかった」ということで関心は低下気味ですが、やはりこれは重大な事件でしょう。盗まれたパスポートが使われてしまう、使えてしまう....という杜撰さ。

 ウクライナも出口なしですな。キエフの新しい政府のトップが水曜日にアメリカに行くらしいが、それが事態打開に繋がるとはとても思えない。クリミア半島のロシア兵の数はますます増えているようで、ウクライナ政府は「選挙人名簿を出さない」などと言っているが、クリミア側は「過去2回の選挙の名簿がある」と主張。これも困ったものだ。

ふと新幹線の外を見たら、午後6時過ぎ、米原は雪でした  それよりもちょっと映画やドキュメンタリーの話を。数ヶ月前に「映画を見よう」と思ったら、「何も見るものがない」と思った。しかしどうやら今は「見たい」と思う映画がちょっとある。

 アカデミー賞関連で言うと、先日アカデミー主演男優賞をとったマシュー・マコノヒー(44)主演の「ダラス・バイヤーズクラブ」を見ました。最近ハリウッドではやりの「実話ベースの物語」で、1980年代にエイズウイルス(HIV)に感染した実在の男性を描いていた。

 製薬業界や医療の世界の汚濁を追求。凄いと思ったのは、実際にマシュー・マコノヒーの形相が作品中大きく変化したこと。マコノヒーは20キロ以上減量して役作りに臨んだというが、それは本当でしょう。

 あとは「ゼロ・グラビティ」より、「それでも夜は明ける」(12 years a slave)は見たいと思う。タイトルは全くの意訳ですが、そういえば「遠い夜明け」(Cry Freedom)というのもあった。日本人は「夜明け」のタイトルが好きなんだな、と思いました。

 そういえばこの週末に録画しておいたNHKのBS1の「世界のドキュメンタリー」で、「マイケル・ジョンソン アフリカのルーツをたどる旅」を見ましたが、これも印象的な分析・記録でした。

 なぜアメリカやジャマイカ出身のアフリカ系住民の子孫に運動能力が優れている人間がいるのか、という問題意識。マイケル・ジョンソンその人が、皆さんご存じの通り優れた運動選手です。

 その彼が「素晴らしい運動能力を持つ自らのルーツ探索をする」という筋立て。実に実証的なドキュメントだった。アフリカ大陸での出身地から港までの過酷で多くの人が倒れた移動、大西洋を渡る奴隷船の中での試練(生存率は良くて5割と言われた)、そして新大陸での厳しい酷使。

 それら全てに「負けなかった」「それを生き延びた」人々の遺伝子が今のアメリカやジャマイカのアフリカ系住民の運動能力の高さに繋がっている、いや「そうなのかもしれない」というお話。悲しい過去、そして皮肉な現実のお話でした。

 世界のドキュメンタリーは全部録画して必要なものを見ていますが、玉に瑕なのは「繰り返しが多い」ということ。消すのが大変。しかし時々珠玉のドキュメンタリーが混ざっている。好きな番組の一つです。


2014年03月09日(日曜日)

 (18:03)「ああ、こうするのか」と今日見てやっと納得。溜池から虎ノ門に向かう広い道路の左車線サイドがどうやら6(5?)車線くらいになり、そのうち右2車線が新しい道路に入り、かつアメリカ大使館方向に振り向けられるんだ(と思われる)。日比谷神社からの遠景

 何の話かというと、環状2号線の虎ノ門・新橋区間が今月中に開通するのですが、日本財団ビルの前を通過するときにいつも「どうするんだろう」と思っていたのです。交差点名としては確か「特許庁前」ですが、あそこは溜池から虎ノ門に向かうと今は「右折禁止」になっている。

 ということは、環状二号線の新設部分(虎ノ門ヒルズの下を通る)に入るには現状では非常に難しいことになる。虎ノ門方向から来る以外は首相官邸の方から降りてこないと入れない。「それじゃ不便だろう」とずっと思っていたのです。テラスに上がるエスカレーターが見える

 しかし今日ちょっとゆっくりとその辺を通過したら、溜池から虎ノ門に向かう方向で見て道路上の中央分離帯が右に2車線ほどズラされていることに気がついた。今まで工事中で分からなかったが、工事がほぼ完了で見えてきた。

 多分右の2車線の一番右は米大使館にも行けるし、2号線の新設部分にも入れ、その直ぐ左の車線は2号線の新設部分にのみ入っていけるようになるのだろうと思う。つまり新設部分に入るには2車線が用意されたと言うこと。下から上を

 2車線とられても、左側の4車線は実にゆったりしている。しかしその分の余裕が生まれたのは、虎ノ門から溜池に向かうサイドの車線がいくつか削られている、ということです。今でも工事中の中で日本財団ビルの前は前後より細くなっていて、通過していくと溜池の交差点にさしかかる直前に広がっている。

 両サイドのビルはどかせませんから、「車線の入れ替え」、中央分離帯の移動で環状2号線の新設部分に車が順調に入れるようにしたのだと思う。その分、ちょとこの道路は歪んだ形になった。

 溜池から虎ノ門、新橋に抜ける道路で不便だったのは、米大使館、ホテル・オークラに抜けるには(虎ノ門交差点を経由して)迂回するしかなかったのが、今月末からは多分大きく右折できるようになるのだろう、ということ。

 うーん、新設部分が正式な環状2号線で溜池、赤坂見附、四谷、水道橋とつながるとなると、じゃ特許庁前交差点から新橋を経由して築地に抜ける道路はなんて呼ぶんだい ?。どうでもいいことですが。

 「虎ノ門ヒルズ」も既にかなり出来ています。写真はいずれも今朝撮ったものですが、最初の写真が「日比谷神社」(移転してきたので名前が変です)から、二番目が虎ノ門ヒルズのサイド(側面)から多分テラスに上がるエスカレーターを撮ったもの、三番目が下から上を眺めたやつ。

 この道路と虎ノ門ヒルズは2012年の秋に取材しているので、「その後」がずっと気になっているのですが、いよいよ完成です。完成と言えば、以前は「田村町」という懐かしい名前で呼ばれ、今は「西新橋」となっている交差点の旧日石ビルも、もうちょっとで完成....という状態。

 大阪ではあべのハルカスが先週グランド・オープンでしたが、大阪はこれでほぼ一巡。しかし東京はまだまだ開発の連打となります。


2014年03月08日(土曜日)

 (23:03)あやや、好きだった上野広小路の「岡埜栄泉」さんが「廃業」していました。ちょっとショック。スカイツリー下のソラマチからも昨年末をもって撤退、とか。何があったのか。

 もっとも「岡埜栄泉」という名前の店は同地区では上野の駅前、マルイの隣かな、そこにもありました。あとで書きますが、ネットで調べたら出てきた。しかしそこは別の「岡埜栄泉」です。味は似ていますが。

 味が似ているのは、そもそも都内にいくつかある「岡埜栄泉」は一族が暖簾分けして出来たらしい(青梅街道沿いのそれは違いますが)。虎ノ門と言っても良いし、神谷町と言っても良いのですが、そこの「岡埜栄泉」は以前の通りのようです。まだやっている。

 広小路岡埜栄泉の異変になぜ気がついたかというと、テレビの仕事の関係でアメヤ横町を1時間ほど歩いたのです。今日久しぶりに。歩いている人もそうですが、店を出しているサイドでも外国の人が多くなっていますね。トルコ人が店をいろいろ出している。それよりも驚いたのは正月控えでもないのに凄く混んでいたこと。

 終わって「せっかくだから岡埜栄泉に寄ろう」と思ったのです。虎ノ門の岡埜と広小路の岡埜が親戚筋だと言うことは以前から知っていたのですが、味が違ったので時々代えて使っていた。

 しかし行ったら店がない。寄席の近くだと思っていたのに。近くの店の人に「どうしたんですか」と聞いたら「スカイツリーに店を出して.....」と。確かにスカイツリーの下のソラマチにはありました。スカイツリーは何回も取材していて、その下のソラマチで買い物をしたこともありましたから知っていた。

 「うーん」と思ったのですが、ソラマチに出店している高松の「山田屋」(うどんやさんです)さんにちょっと買い物に行きたい用事があったので、「ちょうどいい」と思ってソラマチに移動したのです。しかしソラマチに行ったらない。岡埜栄泉が。

 そこでも聞いたら「年末で撤退した.....」と。無体な質問と思ったのですが、「何か理由でも」と聞いたら、「お店の都合」と。はて困った.....です。とりあえず6階の山田屋さんに行って用事を済ませ、スマホで「上野 岡埜栄泉」と検索すると、上野駅の前に「岡埜栄泉」があった。

 でまた戻ったのです。帰り道ですから。しかし看板とかが微妙に違う。店の様子も。「あの...広小路にあった店ですか....」と聞いたら、「あそこは廃業です....」と。ビックリですね。「岡埜栄泉」でもいろいろあるらしい。

 何があったんでしょうね。まこれからは「虎ノ門」かな。しかしあそこは油断すると「午前中になくなりました」ですからね。昔から。和菓子大好き人間で、しばしば食べたくなる。あれ、「岡埜栄泉」は玉川高島屋にも入っていた筈だ.....と思って調べたら、あそこは「虎ノ門 岡埜栄泉」の出店らしい。

 ということは、残っている ? のでしょうし、サイトにもそう出ている。残って欲しい店です。


2014年03月07日(金曜日)

 (06:03)ロシアサイドの一連の発表・措置に対して、オバマ大統領は日本時間の7日未明にこのような声明を発表。

 この中でアメリカが考えるクリミア危機からの「出口戦略」「退出条件」が示されている。引用した二つのパラの後段です。最初のパラでは、クリミア自治共和国議会の「3月16日に前倒しで住民投票」という発表に関して、「主権の原則に違反」「ウクライナ憲法に違反」「国際法に違反」と断定。

 「ウクライナの将来に関する合法的な対話・議論は、同国を代表する合法政府を含むべきだ」と述べ、「2014年の今、我々は国境が民主的に選出されたリーダーの頭越しに書き換えられる日々を遠い過去のものとしなければならない」と述べている。

And that includes standing up for the principle of state sovereignty. The proposed referendum on the future of Crimea would violate the Ukrainian constitution and violate international law. Any discussion about the future of Ukraine must include the legitimate government of Ukraine. In 2014, we are well beyond the days when borders can be redrawn over the heads of democratic leaders.

While we take these steps, I want to be clear that there is also a way to resolve this crisis that respects the interests of the Russian Federation, as well as the Ukrainian people. Let international monitors into all of Ukraine, including Crimea, to ensure the rights of all Ukrainians are being respected, including ethnic Russians. Begin consultations between the government of Russia and Ukraine, with the participation of the international community. Russia would maintain its basing rights in Crimea, provided that it abides by its agreements and respects Ukraine’s sovereignty and territorial integrity. And the world should support the people of Ukraine as they move to elections in May.

 オバマが呈示した具体的な(といっても抽象的ですが)条件は、以下のようなものです。
  1. クリミア半島を含む全ウクライナに国際監視団を入れて、ロシア系の少数民族を含めて全てのウクライナ人の権利が確保・担保されることを確認・確実にする
  2. 国際社会の参加を得ながら、ロシア政府とウクライナ政府間で交渉を開始する
  3. ロシアがウクライナの主権と領土的統一に関する取り決めを結び、それが尊重されるなら、同国はクリミア半島に基地を置く権利を維持できる
  4. 世界はウクライナの人々が5月に選挙を行うことを支持すべき
 となっている。アメリカが設定した4条件というわけだ。つまり3月16日にクリミア自治共和国政府が提案している「前倒し選挙」は認めない、という立場。それはそうなる。そうでなければ、ロシアの方針で事が進んでしまう。

 これは相当難しい交渉になる。今キエフにある政府(旧野党勢力中心の)をアメリカは「合法政府」と呼ぶが、ロシアはヤヌコビッチを依然として合法的な大統領と呼んでいる。発射台はかなり違う。

 オバマはアメリカと同盟国の意思は固いと言って「That’s the path of de-escalation, and Secretary Kerry is engaged in discussions with all of the relevant parties, including Russia and Ukraine to pursue that path. But if this violation of international law continues, the resolve of the United States, and our allies and the international community will remain firm.」と述べる。さて。

 米国務省が発表した「プーチンの虚構」の文書もここにリンクを張っておきます。それにしても記者会見の時のオバマ大統領の顔色は冴えなかった。


2014年03月07日(金曜日)

 (01:03)プーチンのやる事は巧妙に仕組まれてますね。改めてそう思う。対してオバマの対応は場当たりで、先読みの戦略がない。言葉も重くない。残念だが。

 「クリミア併合に興味はない。しかし最後は住民の意思だ」と前回の記者会見でぐっと緊張を緩和させたたった数日後に、米ロの外相同士が話し合いを続けている中でも、クリミアの自治政府に「住民投票を3月16日に実施し、ウクライナからの分離、ロシアへの併合を選ばせる」という発表をプーチンはさせた。ロシアと同自治政府には勝てる見込みがある中で。

 そもそも「3月16日の選挙」なんておかしいが、クリミア全体(議会、住民の多数など)がロシアサイドだから、どうにでもなる。曖昧に定義されていた「自治権拡大」を巡る選挙は最初は5月26日に予定されていた。その日はキエフで新大統領が選ばれる手筈だった。ヤヌコビッチが残した合意だったと思う。しかし直ぐに霧散した。

 クリミア自治政府はキエフが混乱状態の中で、その選挙を3月30日に行うとつい数日前に変更。その段階で「自治権の拡大」ではなく、「(ウクライナからの)分離を巡って」となっていたと思う。そして今回は実施をさらに2週間前倒しして、テーマは「ウクライナからの分離とロシアへの合体」となった。二段階の前倒し戦略。勝ちが見込め、事態が劇的に有利になると思われる中でのプーチンの素早い動き。

 常識で考えれば、そんな早急に選挙の準備が出来るのか、と思いますよね。日本の都知事選だって準備に一ヶ月かかった。16日と言ったらあと10日後。用紙を刷り、投票所を設営し、そして住民に周知し、とやりきれないほどの事をやらないと出来ない。しかしそれをあえてやる、「やれる」と主張する。

 多分プーチン大統領が描いたシナリオ通りに事は展開している。と言うことは「出来レース」です。住民の6割はロシア系で、そもそも「ロシアに戻りたい」としているクリミア住民が多数。とすれば、選挙の結果は「ロシアへの合体」を希望したクリミア自治州議会の議決の方向になりそう。ロシアにとって「勝ちは見えている」

 それが問題です。オバマも「帰属問題は住民の意思」のようなことを言っていた。原則論です。だとしたら、選挙が終わってしまったらアメリカ側には何かすると言うのが難しい状態になる。ロシアは送り込んでいる軍隊も「(クリミア住民の)自衛団」だと平気で言う国ですから、選挙で勝ったら、「これは住民の意思」と主張し、オバマがそれに反対したら、「(オバマは)住民の意思を無視している」と反論するだろう。

 ということは、今回アメリカが「対象になる人は何人?」「実効性はあるのか?」と思わせられるようなビザ発給制限という制裁措置第一弾を発動したのは、「クリミアの選挙が行われる前にアメリカ政府として何らかの措置」を出したいという意思の表れでしょう。しかしロシアが取っている「仕組まれた進行劇」に対して、弱々しい、場当たり的な反撃にしか見えない。

 「クリミアの住民が3月16日に分離・併合で住民投票を行う」という決定は、明らかに「緊張増大」要因です。米ロで外相レベルでの話し合いが行われているのに、一方で事態が進んで既成事実が積み上がる。アメリカとしてはそれを阻止しなければならない。阻止できなければオバマ外交の完全な失敗です。しかしあまり良い手立てはなさそう。

 「代償を払うことになる」と最近だけで二度オバマは言った。今回とシリアの化学兵器使用問題です。しかしシリアのケースでは、「攻撃も」と言って誰もがそれを信じた直ぐ後で翻意して話し合いに乗った。プーチンに助け船を出して貰ったような形で。

 今回もロシアに対して「代償を払うことになる」と警告していたのに、「プーチンがアメリカに来れなくなる」程度の”代償”。これにはアメリカ国内でも批判が出てきておかしくない。

 今回の「クリミア住民投票」が危機醸成措置であることは、「The move sent Russian shares down, and in afternoon trading Moscow's Micex index was 2.4% lower, while the RTS index was down 3.2%.」というウォール・ストリート・ジャーナルの記事でも明らかです。アメリカは素早く行動しないと、既成事実がロシア側有利で積み上がる。

 逆に3月16日と期限を切られたオバマ大統領が、何か出来るのか、または起死回生をかけて「何かをするのか」が今後のポイントです。「今回は何かせざるを得ない」という環境は客観的には強まっている。だからこその緊張増大です。

 うーん、多分「社会運動家」出身のオバマと、冷戦の最前線に身を置き謀略と戦略で生きてきたプーチンとでは思考回路が違う。善し悪しの問題ではなく。


2014年03月06日(木曜日)

 (21:03)良いアプリを教わりました。東京FMの方から。この番組の際に。番組(アプリ)のサイトはhttp://tunein.com/と短いURLです。

 私が自分のスマホに入れてみた範囲では、OSが iOSでも Android でも同アプリはダウンロード可能です。中にはあまりにも多くの局が入っているので、アプリを起こした後、自分で「何を」「どこの放送局を」と選ぶ必要がある。

 例えば地域別に進めば世界中、あえて言えばアフリカ各国のFM放送も聴ける。私はスーダン共和国の「capitol radio」というのを聞いてみました。

 音楽をジャンル別に聴くことも出来る。例えば「beatles」と入れたら、その時点でビートルズの曲をかけていた世界の放送局がずらっと出てきて、アメリカの放送局が「a day in the life」をやっていたので、ついでに聞きました。今日もまさに「a day in the life」ですので。

 それにしても、そこでも話題になったのですが「こうやってあらゆるものが簡単にタダで手に入る」「どうなるんでしょうかね」ですね。それぞれのビジネスモデルがあるのでしょうが、日本の放送局もアイデアを募らないと。


2014年03月05日(水曜日)

 (08:03)一時の”超”緊張状態からの脱出という意味では世界の株式市場の歓迎ぶりは十分分かる。欧州各地の市場は2〜3%上昇し、アメリカの株はダウで227ドル、1.4%以上上がった。S&Pは新高値。

 最近にない大きく、具体的な地政学的リスクの発生でしたから、それが”緩和”したのを歓迎したいのでしょう。前日まで売られて過ぎていた反動という面もある。「ウクライナ」という国は、経済的観点から言えば、「人口は5000万に達せず、一人当たりGDPも1万ドル前後」なので、ユーラシア大陸の欧州部の真ん中になければ、それほど関心を呼ばなかったかもしれない。マーケットの反応も抑制的なものだったはずだ。

 しかし実際にそれは欧大陸の心臓部に存在しているし、米欧とロシアの非常に敏感な接点に位置している。だからこそ世界の注目が集まるのですが、マーケットの「とりあえずの安心」は理解できるとして、しかし基本的には「状況は引き続き緊迫している」というのが当たっているのだと思う。

 ウクライナの危機発生以来公には姿を見せて我々の前で語っていなかったプーチン大統領がモスクワで記者会見。そこで語ったことは

  1. 今のキエフの”ウクライナ新政権”は、憲法に反し選挙で選ばれたヤヌコビッチ政権をクーデターや(ロシア系市民への)暴力とテロで追い払った不当な政府である
  2. よって、今ロシアに居るヤヌコビッチ元大統領が何の権限も持たないことは確かだが、法的には彼が依然として選挙を経た正当なウクライナの指導者である
  3. その彼から要請があったので、ロシアはウクライナで軍を動かし、ロシア人、ロシア語を話す人々を守る正当性、権利がある。ただし今はその必要はない。ロシアはまだクリミア半島にも軍を派遣していない。しかし派遣する権利は留保する
  4. ソチでの6月のサミットの準備はしているが、それを拒否する国が出るのならそれをそれぞれの国の自由だ
 ということのようです。ロシアはウクライナとの国境近辺で行っていた威圧的な軍事演習も終えた、という。ということは、マーケットが心配していたと思われる「ただちの戦闘に繋がるような、ウクライナとロシアや、米露の直接対決」「ウクライナの流動化」などはないと思われる、ということでしょう。それは確かです。

 確かに「今すぐの、ただちの衝突の危険性」は薄らいだのですが、彼の言葉を注意深く聞くと、「まだこの先何が起きるか分からない」というのが当たっている。そもそも基本的な認識(新政府に対する姿勢など)が全く異なっている。今のキエフの政府の正当性に関して意見が異なっている。だから、ロシアはウクライナで軍隊を動かす権利を留保したままだ。

 べき論ではなく、プーチンの思考回路から推察すれば、ロシアが実効支配しているウクライナを手放すことはまずあり得ない、と思える。ロシア人、ロシア語を話す人が半分を超え、セバストポリにはロシアとして絶対に失いたくない黒海に面する海軍基地がある。ロシアはこれを代償を払ってでも守ろうとするでしょう。ということは、ロシアを敵視する今のキエフの新政府を認める可能性はない。

 プーチン大統領の記者会見を聞いていて、それは無理だろうと思ったのは、「“Look at former Soviet republics,” he said. “You can go to a store and buy a uniform. Were these Russian soldiers? No, they’re very well-trained self-defense forces.”」という部分です。ロシアの軍服などどこにでも売っている。彼等はそれを揃って買って、クリミアで行動しているだけだ、という主張。

 しかしあれだけ整然とした、統制の取れた行動を取るのは「寄り合い所帯」では無理です。ということは、クリミア半島に彼等は派遣したロシアは、ソチ・オリンピックの最中から「周到に用意していた」ということになる。

 つまりロシアにとっては、キエフで反ロシアの政権が出来るかも知れないという段階から「周到な用意」があった、ということだ。対して米欧の対応は、「起きたので....」という慌てぶりだというのが現状だろう。ケリー国務長官のキエフ訪問も「急遽」であり、新政権に提供を申し出た援助もEUと話し合って決めた様子はない。

 プーチン大統領は「クリミアを併合することはない」と言っている。「住民投票をしたら、独立派、またはロシアへの併合を選択する結果が出る」と見ているからでしょう。

 その住民投票に対するキエフの新政府や欧米諸国の対抗手段は実はあまりない。もっと問題なのは、ドネツクなどのクリミア半島の北、ウクライナの東の部分の地域がどういう状態になるかです。既に一部の親ロシア派が主要施設を占拠する行動に出ている。そこでロシア人が被害を被るようないざこざが起きれば、ロシアが介入する理由が出来てしまう。

 多分この問題は長引きます。関連各国の権益が複雑に入り交じっている。歴史的に見ても長い紛糾が続く地区です。ということは、一定の範囲の混乱が続くと言うことです。「日常化」すれば、それは潜在的な地政学的リスクとなって、マーケットでは「織り込み」のリスクとなる。

 その状況になるのはもうちょっと先でしょう。当面はまだ事態が沈静化するには早すぎる。ウクライナ各地の動き、関係国の動きが情勢の展開をその都度大きく動かすことになると思う。情勢は緊張したままだ。


2014年03月04日(火曜日)

 (23:03)凄いですね、今の技術は。私のダウンジャケットが全く蘇りました。デザインも独自的、創造的に。ははは。

 というのも、2月下旬の事です。とっても軽くて好きで長年使っていたダウンジャケットの胸の一部を引っかけてしまった。寒い時期の冬の海外取材などでは重宝していたものですが、中の白い詰め物が顔を出すという惨状に見舞われた。写真の通り。

 しかし ずっと使っていた良い品物だったので、デパートの「お直しの店」に持って行って、「どうですか。どうにかなります」「黒ではなく、裏地と同じような色で、デザイン性豊かにしてもらって良いのですが....」と持ちかけたのです。

 そしたら、「ちょっと時間を下さい」「検討してしてみます」という応え。「半分諦めていますから、好きだったので、直せればまだ使いたいので」とデザインを含めてお任せして御願いしたのです。「わかりました」とデパートのお直しコーナーの方。

 数日後です、「5000円で出来そうですが」と電話があった。「へえ、その値段で出来るんだ」と思いました。なので、「じゃ、御願いします」「デザインはお任せですから」と改めて頼んだら、今日出来上がってきた。右の写真の通り、その部分に裏地と似た皮を使ってくれて。

 半分オリジナルなダウンになった。ははは、ナイスです。普段使いでも、旅行にも使える。何ら問題ない、むしろ面白い一品になった。ま季節も暖かくなったので、本格的に使うのは来年でしょうが。

 「お直し」の店、増えてますよね。今回私が使ったのはデパート内の店ですが、街を歩いていても、「あれ、ここにもある」という印象。地下鉄には「靴のデパート」みたいに、再生してくれる店がある。

 街と言えば、面白い現象に気がついた。つい最近のことですが、一つ会合があって個室のある和食屋さんを探したのです。季節やメンバーから見て「しゃぶしゃぶ」かな、と思って。

 そしたらびっくりしましたね。どこもかしこも一杯。人事異動も多いこの季節の特殊性なのか、それとも....と思ったのですが、もしかしたら「税制の変更の関係かも」と。あまりその関連の税制とは関係ないのではっきりとは知らないのですが、「接待費」に関して税制の変更があったような。

 でも見ていると、「街の変化」はどこでも激しいですね。一番立ち寄るコンビニも実に多様化してきた。既に売り物がコーヒーだったり、クリーニングだったりする。商品棚に置いているものも常に変化している。

 と思いながらネットを見ていたら、「大企業交際費、50%まで非課税へ…上限額なし」とかいう記事を見付けました。

 政府・与党は、大企業が取引先の接待などに使う交際費の一部を税務上の損金(経費)として認め、非課税とする制度の概要を固めた。

 経費扱いできる交際費を支出額の50%まで認め、上限額は設けない。交際費の経費算入を一部認められている中小企業が大企業と同じ制度を選べるようにすることも検討する。企業が交際費を使いやすくし、来年4月の消費税増税による景気の落ち込みを防ぐ。

 新制度は、交際費の経費扱いが認められていない資本金1億円超の大企業が対象となる。交際費を年間1億円使えば、5000万円まで経費と認められる。

 その分、法人税の課税対象額が少なくなり、企業にとっては減税になる。経費処理できる交際費は、原則として飲食接待費に限る方向で検討する。来年4月から2〜3年間の時限措置として実施する方針だ。

 そうか。実施は4月からか。でも接待費に関する税制の変更は、一部のお店にとっては朗報でしょう。中国は接待を厳しく規制、対して日本は「ややゆるめに」ということで、これは両国の経済活動にとって大きな差となる。


2014年03月03日(月曜日)

 (11:03)何か起きると、少数民族ウイグル族に対する締め付けを一層強める。しかしそれがまた反発を引き起こして、もっと大きな事件が発生する....ということの繰り返し。

 昆明で起きた事件は悲惨であり許されるものではないのですが、「なぜそういうことが起きるのか」と言えば、「自治区」とはなっているものの、新疆ウイグル自治区のウイグル族の人々の人権や社会的地位が脅かされ続けていることに原因があると思う。

 ウイグル族の人々にはほぼ例外なくパスポートさえ与えられない状態が続いているし、チベットと同様に民族の言葉や文化までもが脅かされている。むろん彼等は経済的にも恵まれてはいない。

 大きな資本を持つのは漢族のグループ。彼等が進出して、資源やその他の富を収奪する。働き口と言えばこれら漢族の会社が提供するものが圧倒的だが、そこで受けるウイグル族の人々の待遇は漢族のそれに劣る。出世の道もあまりない。なによりも精神的にきついと思う。

 中国の中央政府は「自治区」には人口比で見れば潤沢な資金を投入していると言う。確かに人口政策などでは優遇策がある。しかしそれは最後は、自分たちの権益と漢族の繁栄を約束するために使われているケースが多い。

 ウイグル族の人達もそうだしチベットでもそうだが、自らの文化や言葉さえも副次的な存在に追いやられている。推奨されるのは中国(漢民族の)の文化・言葉の習得であり、「そうした方が今後の為ですよ」という誘導が行われている。

 これまでの例だと、何らかの事件で家族の一人を殺されたりした人がまた復讐で事件を起こすという構図がある。北京の天安門の広場にSUVで突っ込んだ人々もそうだったと言われている。悲惨である。

 だから「何かあったら締め付け強化」というのは合理的に見えて、「連鎖」を引き起こしているだけに過ぎない。自治区で今まで起きた漢族を巻き込む事件は、もっぱら警官が狙われていた。

 しかし今回の29人の犠牲者は、「地方から出稼ぎに来ていた人々」が主とも言われる。それが不思議な点だが、それだけテロに走った人々も追い詰められているとも考えられる。事件があると直ぐに片付けて、報道も「決められたことしか出すな」と命令。これでは悲劇が繰り返されるだけという気がする。


2014年03月02日(日曜日)

 (08:03)そして今朝思うのは、「誰もアメリカの言うことに本気では耳を貸さなくなった」ということです。

 いやアメリカは依然として今の世界で地上最強の国だと思いますよ。GDPも世界一位、持っている軍隊も通常兵器分野、核戦略分野でも世界で一番です。機動力もある。文化、思想でも世界をリードしている面がある。

 しかし別に大統領がオバマになったからと言うことではないでしょうが、アメリカの言うことに「馬耳東風」の様相が広まっている。今回のロシア・プーチン大統領のウクライナでの軍隊派遣に関する議会承認要請、そして承認もそうです。これは実質的には「事後承認」ですが、この間にはアメリカ大統領のかなり真面目な警告があった。

 にもかかわらず、アメリカ側が持つ選択肢は「(オバマの)G8への出席取り止め」程度であると読んだプーチンは、アメリカの警告に全く聞き耳を持たずに、クリミア地方のロシア人(人口の6割を占めると言われる)や軍属の「身の安全」を理由に、今はウクライナに括られている地域に、先の国際条約(ロシアも署名)を無視して軍介入している。

 北東アジアを見ると、韓国は「慰安婦」解決へ条件を設定し、「法的責任認定・謝罪・財政で支援」(日経の報道)を三条件とした。これは4月のオバマ大統領の訪日・訪韓を控えて「それまでに日韓首脳会談を」というアメリカ側の前提を無視して、意図的に日本に対するハードルを上げた印象が強い。

 このどちらも、印象的には「アメリカのリーダーシップの低下」を象徴するように思える。前者に関しては、「どうせアメリカにしろNATO軍にしろクリミアどまりなら軍事力を行使できない」というプーチンの読みがあると思われる。

 しかしプーチンは「”ウクライナ”での軍事展開」を議会に要請し、認められた。別にクリミアとしているわけではない。ウクライナ国内にはクリミア以外でもロシア人はいっぱいいる。

 だから、今回の事でウクライナ全土が内戦状態やロシア軍の介入増加にならなければ良いのだが、と思うのだが、それはまだ読めない。


2014年03月01日(土曜日)

 (06:03)ウクライナ情勢は引き続き混迷。キエフの状況は明確ですが、クリミア半島では何が起こっているのか情報が錯綜している。

 ロシアの公的な立場は、「ラブロフ氏はプーチン大統領の意向としてロシアがウクライナの領土保全を尊重する方針を表明」(ケリー米国務長官の言葉)というもの。しかし一方でロシア軍がクリミア半島にある二つの空港などをコントロール下に置いた、との情報もある。

 それを一番明確に書いているのはワシントン・ポストで、「Ukraine says Russian troops take over airports in Crimea」としている。ウクライナの新政権の見方として、クリミア半島の空港(複数)を押さえている装備部隊は「ロシアの正規軍」という見方だ。ただしロシアはこれを否定。

 一番事態を不鮮明にしているのは、今クリミアの自治州の議会や空港を押さえていると言われている武装部隊が「no insignia」であるという点。「school insignia」と言えば「校章」ですから、「自分たちが誰であるかと言うことを示す表示(腕章など)が武装集団には付いていない」ということです。ワシントン・ポストの書き出しは

Several hundred troops in green camouflage, without insignia and carrying military-style automatic rifles, entered and secured areas of the civilian airport in Crimea’s regional capital of Simferopol early Friday and deployed elsewhere, drawing protests from the new Ukrainian government against what it called a Russian invasion.

Video taken at the scene showed the troops patrolling inside the airport and standing guard outside. Flights continued to operate; no shots were fired.

 となっている。恐らくキエフの新政府にとっては、「自分たちが動かしている軍隊ではない。それだけ何百人の制服が揃っていると言うことはロシアの連中だろう」と言うこともあるのかも知れない。今空港の警備を行っている武装集団は「ロシア語を使っている」とも伝えられる(もっともクリミア半島ではロシア語は普通に使われている言葉だそうです)。

 もしそうだとすると、ロシアは「(ウクライナの)領土保全」と口では言いながら、実は実質的にクリミア半島のウクライナからの離脱を促しているのかも知れない。もっとも戦闘が起きているわけでもなく、情勢が一気に不安定になっていることもないようだ。

 今朝の段階でニューヨークの株価の動きを見ると、ダウは一端16399ドルと16400ドルに接近しながら、その後急落して一時は16226ドルまで。その後また引けにかけて値を戻して、引けの暫定値は前日引値(確か16273)を50ドルほど上回る水準。荒い動きです。Nasdaqは安く、S&Pは新高値を更新。

 よく分からないと言えば、日本では仮想通貨ビットコインの取引所「マウントゴックス」が金曜日に東京地裁に民事再生法の適用を申請・受理されたが、その一方でシンガポールでは「ビットコインのATM」がスタートした、と。ま、同社はビットコインの取引所の一つに過ぎませんから、他はワークしている。

 マウントゴックスでは多くの参加者(”投資家”というより)が少なくとも100〜300億円を越える資産を失ったと言われている。日本人は「全体の1%にも満たない」と言われているし、最高トップも「破綻発表」の記者会見に出てきたのもフランス人ですが、日本を舞台に起きたことは間違いない。適用する法律も不明な中で、今後複雑なセトルのルートを辿ることになる。

 それにしても、カルプレス・ロベート社長が記者会見で述べた、「ビットコインがなくなってしまい、本当に申し訳ない」というのはよく分からないですね。というようり、この記事で読むと「杜撰」の一言。言っていることのどこまでが本当なのか。顧客は12万7000人、大半は外国人だそうな。



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