2014年11月30日(日曜日)

 (13:35)今日これまでに読んだ記事の中で一番面白かったのは、「高倉健さんが示した日中関係改善の道」かな。というのは昨日は夜に帰宅した後に自宅にアマゾンから配送されていた「君よ憤怒の河を渉れ」を改めて見て、「この映画のどこだろう...中国の人々に”衝撃”を与えたのは」と思っていた所だったからです。

 改めて見て「随分無茶な設定が多い映画だ」と思いました。だって、セスナにしろ、飛行機を全く運転したことのない森岡(かな ? 高倉健)に北海道から大洗までの飛行をさせるとか、新宿駅の西口に突然馬の集団(中野良子が主導)が出現し、警察に追い詰められた高倉さんを助けるとか。

 記事によると、この映画が公開されて中国の人々に「衝撃を与えた」のは79年だそうだ。私がニューヨークに駐在していた時期で、実はそのころの私には日中関係の記憶がとんと抜けている。関心の的外で、その間の日本の紅白出場歌手も知らない。

 私がニューヨークに居を移したのが文化大革命が終わった76年。その後4年間に実は中国は対外開放に進み始め、79年に初の外国映画として高倉健主演の「君よ....」と「幸せの黄色いハンカチ」が公開された。これは知っていた。しかしなぜ高倉健さんの訃報に中国政府のスポークスマンまでもが「(日中関係改善に)貢献をした人だった」と触れたのか。いつもはいちゃもんと抗議しか表明しないのに。

 この記事には、『中国版SNSの「微信(ウィーチャット)」「微博(ウェイボ)」に無数の”キャンドル”がともされたからです。高倉さんの死を悼むメッセージの後に絵文字のキャンドルをみんなが付け加えた』とあり、さらに『反日の急先鋒(せんぽう)といえる新聞「環球時報」にも高倉さんの人となり、日中関係で果たした貢献を冷静に語る追悼記事が載りました』と書いてある。

 「2本の映画は中国各地の映画館、学校、国有企業などで公開されました。今、45歳以上の中国人であれば、この2本を見たことがないという人は皆無といえるほど、多くの中国人が見た」とこの記事。では中国の々は、あの映画のどこに魅了されたのか.....?

 この記事には二つの理由が記されている。『多くの中国人はふたつの驚きがあったといいます。「残虐で、人間性のかけらもない」と教えられてきた日本人が情愛に満ち、正義心を持った人たちであることを知った驚き。そして画面に映し出される街や人々の暮らしぶりが示す日本の発展ぶりと引き比べての中国の遅れです。』と。

 しかし「残虐で、人間性のかけらもない」とまでいかなくても、今でも中国に行って深夜の番組を見ると「悪い、残虐な日本兵」がいっぱい登場して、中国の人民をいじめている。「以前はもっと酷かったのかな」とも思うし、一方で日本に来た今の中国人は「(教えられていたのと全く違って)日本は清潔で、日本人が親切で、日本は先進の国」という好印象を持つと言われる状況がある。

 つまり公的報道ベースでは依然として「日本は酷い」であって、「それは70年代の後半とあまり変わっていない」とも言える。私は多くの日本に観光に来る中国の人の顔に、「やはり微妙な恐怖心がある」とも思う。だって本国では「酷い日本」が基調の教育が今でも行われているわけですから。だから中国からの日本への観光客が増えるのは良いことです。

 もう一方の「日本の発展ぶりと引き比べての中国の遅れ」の部分は、当時(70年代)の中国に行ってないし、今になってこの映画を見る日本人にしてみれば、「随分昔の古い日本だな」と思える。俄には信じがたい。「そうかな」と思える程度。

 しかし一つ思い当たるふしはあって、2001年に揚子江船下りをした祭に、船のセーフにパスポートを忘れて中国人のガイドさんと二人で中国の山の中や田舎を二日移動したときに見た「昔そのままの中国」です。その時私は「先進国と途上国の差は、主に地方の差だ」と思いましたが、確かに2001年になっても中国の田舎は貧しかった。

 だとしたら、79年当時の中国の人が「君よ憤怒の河を渉れ」の様々なシーンに日本の発展ぶりを見て驚愕したのは理解できる気がする。多分当時の中国にはあまり車も走っていなかったし、例えば王府井(北京最大の繁華街)も閑散としていたと思われる。新宿の雑踏はなかった。

 私は80年代の中国には何回か行っている。確か一度はニューオータニがやっていた長富宮飯店に泊まったことを覚えている。王府井が当然歩ける距離にあって、「え、これが.....」と思った。その印象は強烈だった。だって片道一車線の狭い道で、その周りの商店も貧弱だった。自転車が多く、お年寄りの多くはまだ人民服を着ていた。

 そこに入ってきた高倉健の2本の映画。なぜ日本の映画、さらになぜ高倉さん主演の2本だったかの理由に関しては「その2本が選ばれた経緯はわかりませんが、米欧映画では中国人にとってあまりに遠い世界だったため、中国にとって共有するものの多い日本の、しかも政治性が薄い映画が選ばれたのかもしれません」と記事には書いてある。

 うーん、でも改めてこの映画を見終わった私の印象からすると、やっぱり中国の観衆も一番印象に残ったのは最後のシーンの格好良さ、爽快さ」だったのではないか、と思う。だって中国の人々は76年まで10年間の文化大革命で塗炭の苦しみを味わっている。それは上下問わずです。理由もなく苦しめられた。それは「さらば我が愛 覇王別姫」を見ても明らかです。

 そりゃ誰でも心に抱いていますよ。自分を苦しめた悪を一発で葬り去りたい、いや何発もぶちこみたい..と。当時の中国の人々は、紅衛兵に苦しめられた上の人々も、思想の締め付けにあった下の人々もそう思っていたと思う。

 だから後藤さんの記事を読んだ上でで、ある意味申し訳ないが、「君よ憤怒の河を渉れ」の最高の、そして一番中国の人々を感動させたシーンは、あの最後の「悪党を無慈悲に処分する場面にある」と思う。その爽快さ。検事という法律を守る役割の人間の、「法律を超越した行為」にこそある。中国の人々も、そこに痺れたのだ。そしてその役割を見事に演じたのが高倉健さんだった。


2014年11月28日(金曜日)

 (13:35)驚き桃の木。「こんな会社は繁盛しないだろうな....いや、むしろ危ないのでは...」と思いました。

 午前中に収録があって、「そうだARが入った年賀はがきを取り上げよう」と思って、虎ノ門郵便局に行ったのです。どうせ買うから100枚くらいと思って。しかし動画を出す方法をもう一度郵便局の人に教わろう、と思ったのです。

 私のスマホには既に以前に入れた赤いアプリ「ゆうびんAR」が入っているので完璧だと思いながら、「やってみて下さいよ」と言ったら、そこから詰まった。まず数人で、「この絵じゃないか」とかいって鳩首協議が始まった。あっちに当てたり、こっちに当てたり。

 分かったのは、「2015年の年賀はがきの一番のウリ」と言ってマスコミに宣伝しておきながら、現場で実際にこのAR動画を動かした人が一人も居なかった、ということです。これって信じられます。自分のところの商品を知らない....。毎年売り上げが落ちている年賀はがきの起死回生策だった筈なのに、局(虎ノ門郵便局)内の誰も知らない。「すみません」を繰り返すばかり。

 あきれましたね、私は。もう時間がないので、「もういいです。自分でやりますから」と言って説明書をもらって、収録後の新幹線の中で見たのです。そしたらまず指し示されたのが「サンリオのアプリ(キティAR年賀)を入れろ」でした。最初からそう言ってくれればいいのに、と思ってやったら、簡単にできた。

 もうどうにかして下さいよ。日本の家電量販店が「素晴らしい」と思うのは、店の方がとことん商品を知っている....ということです。分からなくても直ぐに解決策に到達できるルートを知っている。

 ところが郵政会社には全くその気配が見えなかった。「ていねい」だけが仕事じゃない。製品をちゃんと知っていてもらわないと。ITは郵便の敵 ? そうじゃないのでほ。今回の動画はそれなりに面白いと思っていたのに、がっかりですね。


2014年11月28日(金曜日)

 (05:35)WTIの先物が一時67ドル台、北海ブレントが71ドル台ですか。ニューヨークの市場外取引(基本は休み、感謝祭ですから)の原油先物気配値です。

 OPECが「減産はしない。価格目標はない。加盟国は皆ハッピー」(OPEC事務局長)と言っているが、日本の新聞の見出しは「OPEC、減産見送り 加盟国の足並みそろわず」 となっている。

 どちらが真実か。両方です。サウジとしては「これでいい」と思っているのでしょう。その件に関しては、私は以前この文章を書きましたが、もう一つの視点としては黒田日銀のインフレ押し上げ政策との関係が必要です。黒田・日銀にとってはピンチ。一段と物価押し下げ圧力がかかりますから。原油が下がるというのは、「需要低迷」の意味合いもある。他の一時産品価格も下がる、または低水準で推移する可能性が高い。

 サウジの石油省は、「原油相場はそのうち反発する」と言っている。そうかもしれないが、その時期は不明です。原油相場の下落は、国家収入の45%をエネルギーの輸出に依存するロシアには打撃です。原油は常に大きな国際政治ファクターです。


2014年11月27日(木曜日)

 (15:35)指宿の宿を出たのが午前9時半頃。都内の自宅に着いたのが午後2時半。近いですよ。九州の南、指宿が鹿児島空港からバスで1時間半くらいかかることを考えると。でも5時間というのは結構長い時間で、バス、飛行機など移動が多いとなんとなく次々と「文章」を書きたくなる。だから今日はアップが多いのですが、お許しを。

魚見の丘で見つけました。「哲学者の顔」に見えません ?  鹿児島県の南の方を回っていて、面白い地名が多いな....と思いました。私が居た「指宿」(いぶすき)にしても、教わったり、自分で調べないと分からない。車で移動(指宿→知覧→枕崎→指宿)していて面白かったのは、まず「頴娃」かな。

 読めなかったですね。まず思ったのは「ここで生まれた人は子供の頃が大変だ」と。字画が多い。道路標識の下を見たら「Ei」とある。「おー、エイと読むのか」とやっと分かる。ほんと珍しいでしょ。周囲の人も「あれは面白い名前だ」と思っているようで、指宿の人が「伊藤さん、頴娃の人は英(エイ)語を話す.....と皆でからかっているんですよ」と。ははは。なぜ「頴娃」か。説はいろいろ

 次に読めなかったのが「姶良」ですかね。これも道路標識で最初見て、「ありゃ」と思った。それと似た読み方で「あいら」ですと。みなそれぞれ由来があるんでしょうね。薩摩藩は幕府の隠密が簡単に入れないように、地名や言葉まで変えたと言われる。しかし地名はそのずっと前からある。

 今回指宿から川内薩摩まで行って原発を見てこようと思ったのですが、これはちょっと遠い。あそうだ、この「川内」を「かわうち」と読んだ大臣がいたそうな。皆で笑いましたが、気持ちは分かる。大臣がして良いことだとは思いませんが。

 「知覧」もね、とても地名とは思えない名前です。とっても綺麗な街なんですよ。街のそこら中に石灯籠が道路に沿って綺麗に並んでいて。別荘を仮に持つなら(全く興味ないですが)、こういうところが良いんじゃ、と思いました。由来はここに

 それにしても、「知覧」「枕崎」「頴娃」と見事な茶畑が続く。それぞれ「茶」が付いて「知覧茶」「枕崎茶」「頴娃茶」となるのですが、自分が飲んで違いが分かるとは思いませんね。だって究極の接近エリアでは、「知覧茶」と「枕崎茶」は歩幅で数歩のところで呼び方が変わるわけですから。気象条件が違う筈もない。フェニーチェで食べた「知覧茶の生チョコ」は美味しかった

 別話ですが、「とってもとっても格好いい」と思ったことがあります。それは本当に鄙びた山川砂むし温泉に行ったときのことです。切り立った海岸にへばりついているような砂むし温泉で、駐められる車の台数も少ない。道も狭い。

 私はレンタカーのラクティスで行ったのです。そしたらそこに一台だけ普通ナンバーの乗用車が駐まっていた。ナンバーは「春日部」でした。東京で「春日部」ナンバーの車を見ると「へえ」と思うだけですが、この九州の南の鄙びた砂むし温泉で見た「春日部」は超格好いいと思いました。だってそこまでころがしてきているわけでしょう。誰かが。

 時間をかけ、そしてお金をかけ。運んできている。飛行機で行って、ちょこっと現地でレンタカーを借りるのが普通ですが、しかし「それだけ時間に余裕のある人」というのが格好いい。うーん、いつかフェリーで九州か北海道の端に行って、そこから日本を縦断・横断して見たい。そう思いました。


2014年11月27日(木曜日)

 (10:35)選挙の選択肢は奪われていても、この九州でも南の地は頑張っているな....と思うことがありました。

 全体的な状況ははっきり言って酷いです。例えば昨日は仕事のあと指宿から湾沿いを走って知覧(実に綺麗な街です)に入り、またまた三角兵舎などを見たあと、今度は枕崎に抜けたのです。その後開聞岳を右に見て、各所の温泉場を回って指宿に戻った。

夜明けが綺麗だったな。九州最南端の夜明け  例えば枕崎から指宿に抜ける道すがらよく見ていると、ちゃんと営業しているレストラン、ラーメン屋などなどの方が、廃業している店の数よりもはるかに少ない気がした。とくに道沿いにぽつねんと立っている飲食の店が「ちゃんと営業している」ケースはほぼゼロだったと思う。

 そりゃ、天然砂むし会館 砂楽の周辺ではお店はやっていますよ。言ってみれば”街”ですし、集客ポイントですから。しかし同じ街でも、この海岸の道を左に折れて指宿駅に向かう商店街は目を覆いたくなるくらいシャッター化が進んでいる。最初に駅で乗ったタクシーの運転手さんに、「今指宿は人口どのくらいですか....」と聞いたら、「4万2000人.....過疎化、進んでますよ....」と。だから「地方創生」が必要です。

実に綺麗な知覧の茶畑  しかしその一方で、政府のどこか的外れな「創生策」を待たずに、この九州の南の地も当然ながら自らサバイバルに努力しているし、「それは応援できるな」と思いました。それはまず「インバウンド」。 旅行・ホテル業界が外国人旅行者を自国へ誘致することです。

 東京、大阪などなどが凄いことになっているが「九州の南はどうかな」と思って来たら、ここも凄い。欧米系は少人数旅行ですが、中国(といっても、系統は2〜3ある)、韓国系(北朝鮮系は来てないでしょう)は結構まとまって来ている。「砂楽」でも中国の人達の長い列がフロントに。だから私は山川砂むしに回りました。

 ホテルの方が、「九州のこの手の業界は、いかにインバウンドを取るかです...。そうじゃなきゃ、回りません」と。彼の話によると中国などのインバウンドには問題もあるらしい。キャンセルを平気でするとか。しかし来る場合では”マス”なので、稼働率は上がるし、お金も落とすと。

 まだまだ「点の努力」の面もあるのですが、「仕掛け」も進みつつあるように見えた。例えば指宿で一番有名な旅館と言えば白水館ですが、ここの薩摩伝承館は非常に良い。多分私が前回来た2008年に出来たと思ったのですが、「よくここにあってくれた」という印象がする。九州の一番南にある「香ばしい文化の香り」だと思う。

干潮だと海岸の砂は温泉で85度に  ここに入っているイタリアンがまた良いのです。フェニーチェ(Ristrante Fenice)という名前ですが、このレストランも「よくここで開いていてくれた」「うまい」と思えるのですが、「なぜ」は理由を聞いて直ぐ分かった。それは「アクアパッツァ」の流れの店だというのです。以前には骨董通り沿いにもありましたし、今は広尾かな。「白水館の食事は、常にここが良い」と思いました。

 「薩摩伝承館」は、「ホテルが持っている美術館」の中でも非常にユニークです。考えてみれば、日本のホテル・旅館で「美術館」を持っているのは、オークラ、オータニなど数えるほどしかないのですが、中でも「薩摩伝承館」は「個人が所有する唯一のホテルの美術館」だそうだ。三菱商事を10年ほど前にやめた今の当主(二代目)が「この地方を盛り上げたい」と作った。定期的に開いている「ジャズの演奏会」と並ぶ目玉。いつかは「ジャズフェスティバル in Ibusuki」をと考えていると。応援したいじゃないですか。

 そもそもこの九州の南の地は非常に恵まれている。温泉は各種豊だし、景観も良い。今回「これは凄い」と思ったのは、知覧から枕崎に抜ける道沿いに広がる茶畑です。それは静岡の茶畑より綺麗だ、と思いました。もっともっと観光に生かせる...と思いました。

 今回残念だったのは、山川のヘルシーランドの露天風呂が「修理中」だったことかな。そこから前回見た開聞岳は最高でした。三反園君と前回は一緒に行った。はよ修理を終えて欲しい。


2014年11月27日(木曜日)

 (06:29)火曜日の午後から鹿児島県でも南の指宿に来ていますが、この南の地から北に向かって「今回の日本の選挙」を見ると、改めて「ねじれているな」と思います。

 今回の選挙の最大の「ねじれ」は、「選挙そのものの実施がおかしい」と思っている人が圧倒的に多くても(サンケイで72%だったかな)、「いざ投票」となるとその選挙実施を決めた自由民主党への投票を公言する人が多いということ。結局「野党は選択肢に入っていない」、「野党に入れるとしても懲らしめ」ということでしょう。

 しかし日本の南から見ると、「野党は選択肢に入っていない」のではなく、「選択肢そのものを提供していない」と分かる。今回の選挙の争点の一つは明らかに経済統計を見ても不振な「地方の創生」だが、その地方において実は選択肢がない。

 だって酷いですよ。指宿に着いた日のこの地方の新聞の一面を見たら、「民主、鹿児島で候補者一人」とかなんとかなっていた。「あれ、鹿児島は選挙区いくつ」と思ったら「5」ですって。5選挙区のうち、鹿児島一区で一人立候補して終わり。他の4区は「自民 対 共産」の対決ですと。

 鹿児島だけじゃない。日本の南は「選択肢なき選挙」です。だって、熊本県は5区有りますが、最大野党の民主党は一人も候補者を出せず。「民主党って、全国政党 ?」と聞きたくなる。宮崎3−1、沖縄4−0です。右の数字が民主党が候補を立てる(ゼロがあるが)数。

 ここだけみても、民主党がいかに地方において「人材枯渇の党」かということが分かる。やはり民主党に政権を任せておいた4年弱がいかに酷かったか、だから特に地方で人材が散逸してしまったのだと思う。だって「選挙が急だったので...」は「私たちは全国政党」「いつかまた政権政党に」というなら言い訳として成り立ち得ないでしょう。

 「ねじれちゃって、選択肢希薄な選挙」というのが今回の日本の総選挙の特徴か。700億円ですか、使うのが。投票率が低くなって、「投票者一人当たりのコストが異常に高くなる」印象が。残念だな.....。


2014年11月26日(水曜日)

 (00:29)ははは、OECDも堪忍袋の緒が切れたのか低成長・低インフレが続くユーロゾーンの政策立案者に対して今まで以上に手厳しくなりました。「Eurozone Stagnation Poses Major Risk to Global Growth, OECD Warns」という記事を読んでいたら、欧州経済を「既に全体的に悩み多くなった世界経済における the black spotだ」と。

 「the black spot」をどう訳すのかは議論があるでしょうが、太陽で言えば黒点。しかし太陽の黒点は英語では「sunspot」で違う。世界経済はむろん太陽ほど明るくはなく、全体的に今は灰色なので、その中では「(ヨーロッパは)もっとも活力のない黒点的存在」と言いたいのでしょう。

 OECDは 「Saying the eurozone is both a major risk to the rest of the world and at greater risk itself from turbulence in the global economy, the research body urged European policy makers to act decisively on a number of fronts.」と述べて、ヨーロッパが「世界の他の諸国にとっての主要リスク(a major risk to the rest of the world) 」であると同時に、「世界経済の荒波から他の地域よりも自ら大きく揺さぶられるリスクにさらされている地域(at greater risk itself from turbulence in the global economy)」と述べている。

 後者は主に対ロシアでの経済制裁の負荷が、他の地域よりもヨーロッパに降りかかっている、ということを言いたいのでしょう。その通りです。この記事に先だって世界の主要10年債の利回りを見ていたら、まあよく下がっていること。ドイツのそれはつい最近まで覚えていた金利は「0.77%」だったが、今は「0.72%」を下回っている。

 アメリカも指標10年債の利回りは2.3%を下回り気味。驚いたのはスペインの10年債利回りがとっくに2%を下回っていること。「ドラギを含めて、ヨーロッパの政策担当者達は何をしているのだ」というOECDの警告には理解が届く。

 提案している政策は「国債を対象とした量的金融緩和」と「厳しい財政規律の緩和」です。しかしこの両方にドイツは賛成していない。少なくとも表面的には。だってドイツは対ロ制裁の影響でこそ経済は少しダウンだが、「それは当たり前。基本的には問題ない...」と思っている。

 このドイツには賛同者も多い。この記事には「ECB should assess the measures it has already taken before embarking on more」とオーストリアの Ewald Nowotny 氏(ボードメンバー)の言葉が紹介されている。国債対象の量的金融緩和する前に、今までの措置の評価をきちんとせい」と言っている。「急げ」とOECD、しかし「もっと慎重に」というドイツなど北の諸国の意見。ユーロ相場も揺れるわけです。

 ところで昨日の朝方書いた「ホテルが満杯」話に関しては、いろいろな人から「その通りで困ってます」との追加情報をフェースブックなどで頂きました。そうなんですよね。ということは、東京から名古屋、関西、関西から名古屋、東京へのビジネスは「日帰り」ってことですか。

 だって、泊まる所を探すのに一苦労ですから。帰った方がまし。 /(-_-)\ こまった〜のモノです。


2014年11月25日(火曜日)

 (09:29)最近本当に「このままではいかんぞえ.....」と思っている事があるのです。私の主な処方箋は次の二つです。

  1. 大都市で各種、多種多様な宿泊施設を大幅に増やす
  2. 日本に来る海外からの観光客がいわゆる大都市、有名地に集中するのではなく、日本全国津々浦々に行くような仕掛けを作る
 とにかく大阪や東京、それに名古屋では「ホテルが取れない状態」が続いているのです。尋常ではなく。特に東京も大阪も土曜日のホテルの混みようが凄い。ほとんどが全館満室。私が泊まるホテルは年間抑えなので私自身は問題ないのですが、「この日に」という指定でホテルを取ろうとする人は凄まじい努力を強いられている。

 私の友人で12月6日の関西地方での宿泊を希望したら、シティホテル、ビジネスホテル、旅館、民宿、高級ホテルなど大阪を中心に京都、神戸全域で全部一杯で、最後は怒ったと言っていた人がいました。

 それは私のように毎週大阪に来ている人間には分かります。例えば今朝の朝食はホテルで取ったのですが、超満員。やっと席が一つ空いていてそこにホテルの人に案内してもらったが、やはり中国語を話す人がほぼ全てのテーブルを占めている。大阪のホテルの稼働率は平日も含めて今は93%近いと聞きました。京都もそうでしょう。毎日全館満室に近い。どんなタイプのホテルもです。

 東京のホテルの稼働率も極めて高い。もっとも大阪には特に理由があって、「USJのハリポタ」が凄い人気。加えての内外からの観光客の増加。観光客が多いのは、銀座を歩いても、心斎橋筋を歩いても一目瞭然です。聞こえてくる言語で分かる。

 先日発表になった観光庁の統計では、海外からの観光客数は今年10月までの10ヶ月間で1100万人を超えた。ということは、月間110万人は来ていると言うことです。去年は一年で1036万人だったが、今年はそれを「年間300万人」も上回りそうな勢いです。

 この週末に驚いたのは、六本木のミッドタウンにもまずまずの身なりの中国の方々が大勢来ていて、買い物を愉しんでいた。今まであまりそういうことはなかったと思う。それが至る所で海外からの観光客を見る。それだけ来ていると言うことです。

 大阪のタクシーの運転手さんが言っていました。「ビジネスマンが可愛そうですよね。大阪に出張にきているのに、神戸の先まで行って泊まっている人がいるらしいですよ....」と。知り合いの銀行の中でも「名古屋・大阪・京都などは平日でもホテルが取れない」というのが嘆き節になっているらしい。

 一時的な現象でしょう。そうではない、と私は思う。このところの観光客の増加についてはいろいろな要因が指摘されている。「ビザ要件の緩和」「LCCの普及」「空港の路線枠拡大」などなど。しかし一番大きいのは「円安」でしょう。去年の年末年始は私はイスタンブールに行ったのですが、毎日持って行ったドルが値上がりした。とっても得な気分になった。

 今円以外の通貨(ドル、元、豪ドルなどなど)を持って日本に来る観光客は、私が今年の初めにトルコで感じたのと同じ事を思っているに違いない。「日々、自分が持っているお金の価値が上がっている」と。多分そうです。となれば、今年の円安を見た海外の連中は来年はもっと来る。

 少し長期的に見ると、これから少なくとも東京オリンピックまでは、「日本の働きを終えた世代の高い旅行熱」に加えて、「海外からの観光客の急増」を背景に、日本では「ホテルなど宿泊施設の不足」が深刻化すると見た方が良い。

 だからビジネスマンの方々は気をつけて下さいね。「出張先でホテルを見つけられない」という事態になる危険性が今の日本では高い。


2014年11月24日(月曜日)

 (23:29)米中間選挙で大敗し、移民問題などで議会・共和党との対立を深めているオバマ政権。内部もがたがたしてきたようだ。

 今見たニューヨーク・タイムズが速報として報じているところによると、日本にもよく来たヘーゲル国防長官が24日にも「辞任」を発表するという。記事を見ると、タイムズは日本時間の11時20分前後にその速報を打っている。

 「解任ではない」としているが、要するにISIS対応を含めて、当選時からのオバマ・インナーサークルとの折り合いが悪いようで、2週間ほど前にオバマ大統領とヘーゲル国防長官が二人きりで話をした際に「方向」が決まったという。

 我々にはそう見えない、というか分からないが、ヘーゲル国防長官は「閣議ではあまりしゃべらず、オバマ大統領と二人きりになると喋る」とかいろいろいろいろ陰口をたたかれていたらしい。それは「機密漏洩を避ける」ためだったとも言われているが、シリア空爆中止やISIS対応でのまずさを批判されるオバマ大統領の側近としては、「スケープゴートが必要」との判断かもしれない。

 残り2年。「あまりオバマ政権にはぐらついて欲しくない」と思っているのは私だけではないしょうが。ニューヨーク・タイムズの速報(「彼はやめるだろう」という)には後任の名前も出ていましたが、私には馴染みのない人が多かった。


2014年11月23日(日曜日)

 (17:45)今朝は笑えたな。いや、こちらも店員の方も。

 いつもの朝の足使いをして、今日は明治神宮とかモスキートフリーになった代々木公園を移動したあと、表参道に出たのです。そしたら、明治通りに向かう下り坂左側の途中にあるナイキに結構な数の人が入っている。店員の方もいる。午前8時前後です。

 「ありゃ」と思いましたが、「凄い早朝営業」「ランニング用具が主なので、入ってみよう」と入ったのです。お客さんが皆ランニング仕様。私もそうです。違和感はない。店が店ですから。

充電と設定。USB口に直接差し込みました  見つけたのが、「NIKE+ FUELBAND SE」です。直ぐに目が行ったのは、iPhone6の「ヘルスケア」に不満があるからです。あれはいつも持っていないと、移動として記録してくれない。それに関してはここに詳しく書きました。でずっと、「何か良いものは無いか」と思っていたのです。

 見た瞬間に店員の人に「これはiPhoneのヘルスケアとリンクしていますか」と聞きました。彼女は「していない」と。しかし私は考えたのです。「きっといつかする」。ナイキの製品はアップルに近い印象がするし、と考えて。

 で、たまたま手持ちがあったので買ったのです。朝の8時過ぎに表参道のナイキの店でです。「これは一つの奇跡だな」と思いながら。だって普通は11時とかが開店時間じゃないですか。あのあたりは。

 そして最後になって、「これからランニングが楽しみですね」と彼女が言ったのです。「いえいえ私は今まで走ってました」と思ったのですが、「今日はどこでしたっけ」と何の気なしに聞いたら、「代々木公園ですよ.....」と。

実際に手に付けると小さくまとまった  そこで「あれおかしい.....」と思ったら彼女が、「クラブの方ですよね....」と。それで、「ああ今この店が開いているのは、これから出発するナイキ・ランニング・クラブ(名称は知りません)の人達のためなんだ」と思ったら、店員の方も「私はてっきりクラブの方だと....」と。ははは、爆笑ですね。

 つまり私は公式には「閉店中に買い物をした」ということになった。でももう終わったし......。 「じゃ、そういうこと」にしておきます、と店員さん。ははは、あの店員さんには悪いことをしたな。だって私もランニング仕様でしたから。

 その頃はかなり動いたあとで疲れていたので、私は再度の代々木公園ランニングには参加せずに「じゃ、さいなら」と帰ってきたのです。朝の8時という異常な時間にちゃっかり買い物をした一般客は「ひょっとして私だけ」と思いながら。

 まあそれはちょっとしたハプニングですが、iPhone をいつも持ち歩くよりはこっちの方がずっといいな。コンパクトで。確かアップルもこの形で使うウォッチを出すんですよ。それとiPhoneは連携するでしょう。時計業界の人と先日話したら、「あれは脅威です」と。

 ま、早くいろいろなものが連携、リンクして欲しい。車とスマホがリンクしてナビ(目的地)をスマホから入れられるようになってホントにナイスです。エアコンも動かせる。今一番欲しいのは、「スマホ連動・コントロールの風呂」。だって、「あと10分後に風呂沸かしておけ....」は、運動している人間にとって”夢”です。


2014年11月23日(日曜日)

 (06:45)私の番組をやってくれていた頃は若手ディレクターで、その後他の番組を持つなどして成長し、そして「独立した映像作家に彼がなった」......だけではないんですよ。その彼の映画を見に行ったのは。やはり私自身がその島に去年行って、「この島は今後どうなるのだろう」と思ったからでもありました。

 その島とは、自衛隊受け入れか否かで揺れている日本最西端・与那国島で、2011年から3年間に渡ってこの問題、そして島の生活・人間模様を取材したのが土井鮎太君。彼の初めての監督作品が「はての島のまつりごと」でした。昨夜南大塚ホールで東京での初のお披露目があった。

 調べたら、私が与那国島に行ったのは去年の6月の中旬でした。その時の文章に「人口は1800人」と書いてある。しかし今日の土井君の映画を見ていたら盛んに「1500人」という数字が出てきた。「短期間に300人も減って......」とある出演者が言う。だからほんとに減ったんですよ。

 凄まじい過疎化です。その過疎化とどう戦うか。約150人の自衛隊員引き受けを主張するサイド(町長サイド)は、「それで少なくとも島の人口減少に歯止めがかかる」と主張する。しかし反対するサイドは、「自立」を叫び、自衛隊を入れるとトラブルに巻き込まれる、敵砲弾のターゲットになると主張する。

 昨年の文章にも書きました、島の人々は「今年間3万人の観光客が10万人になってくれれば」と言っていましたし、それを望む。しかし今のところその兆しはない。「じゃ、どうする」がこの島の抱える一番大きな問題です。映画の中で老人が呟く。「昔は人が一杯いた....」と。

 最後に自ら舞台に立った土井君も言っていた。「この映画を見終わると、自分もじりっとした、もやもやした気分になる」と。そうなんですよ。すっきりしない映画です。既に沖縄、能登などで上映会をやっているが、ある会場では土井君は「どっちなんだ。賛成か、反対か」と詰め寄られたというのです。

 しかしそれは、島を知れば知るほど難しい質問です。お互いがほとんど顔見知りの1500人。それが真っ二つに割れて喧々囂々、侃々諤々。時に反発し、時に疎ましく思う。しかし狭い島。仲良く暮らさねばならない。

 例えば仮に最終的に自衛隊の150人がくるとするじゃないですか。反対派の中には民宿をやったり、その他の商売をしている人も多い。自衛隊の家族の方が与那国に来たら、「私は反対だったから」と言って、宿泊を拒否するのか。それで自分が、そして街が反映するのか。

 島の総体としての人口は減ってはいるが、石垣島と同じで本土などなどからの移住者も結構来てはいる。この映画にも登場する。もともとの住民とこうした人々の間にも、やはり意識の違いはある。とっても複雑です。

 多くの方に見ていただきたい映画です。はっきり言って島の人達の言っていることはよく聞き取れない箇所もある。だって島の言葉は独特です。那覇の人も「分からない」と言っているらしい。しかし肝心なところは字幕もある。3年もの時間をかけた秀作だと思う。

 次の東京地方上演は、

 ▽11月24日(月) YMCAアジア青少年センター スペースYホール
  ※JR「水道橋駅」徒歩5分/JR「御茶ノ水駅」徒歩8分/地下鉄「神保町駅」徒歩7分
 ▽15:30上映(開場15:00)〜 18:00ころ
 ※入場料1,200円

 です。


2014年11月21日(金曜日)

 (23:45)久しぶりに日本のそれでも、アメリカのそれでもない要因で世界のマーケットが動いたのですね。

 他のことをしていて暫くぶりにマーケットを見たら、えらく動いている。世界的に株が上昇して、為替ではユーロが大幅に落ちている。何故かと見たら、このFTの記事が一番端的でした。

 まず中国が6.0%だった政策金利を0.4%ポイント引き下げ5.6%とした。かなり力を失っている同国景気に金融面からのてこ入れを図ったものと思われる。多分それとの関係だと思うが、中国との経済的関係が深いオーストラリアなどの通貨が上げている。また世界的に一次産品価格が上昇。

 加えて「またか」という印象はするが、ドラギECB総裁が国債を対象とした量的金融緩和の可能性を「改めて強く示唆」したことで、外国為替市場でユーロが各国通貨に対して大きく下げている。

 金曜日の日本時間の昼には148円の半ば近くがあったユーロの対円相場は、今見ると146円の30銭ほど。つまり2円以上円高・ユーロ安になった。これは大きな動きです。最近あまり見ないような。もっとも特殊ユーロ的な現象で、ドル・円はそれほど円高には移行していない。

 初秋頃までは「動かない」と皆あくびを出していたのに、動き出すとマーケットは動く。もっとも「より強い景気刺激」の方向に世界中が動いていますから。今回の中国とユーロ圏の動きも同じ方向。

 ドラギさんの発言は、多分ユーロが反発してきていたので、ヨーロッパ企業の競争力の為にもそれを少し落としたかったんでしょうね。そういう意味では、「通貨戦争」の雰囲気もある。

 一つ注目されるのは中国と欧州での二つの動きで、「一次産品価格が上昇したこと」でしょうか。これだけやれば、世界のモノの需要が増えて、その結果「一次産品価格が上昇するかもしれない。来週はOPEC総会があって、予想外に減産が決まるかもしれない」という観測もあるのでしょう。

 マーケットは引き続き何かと忙しい。


2014年11月20日(木曜日)

 (18:45)ははは、それだったら私だって.....と。何かというと、青山の絵画館前の銀杏並木の写真。毎日新聞のネットサイトの最初に出てきた。この写真を見ると今朝の午前9時台に撮影している。私は確か7時台でした。

 「綺麗だな」と思ったのは一緒ですが、私はとっても面白い事に気がつきました。それは同じ銀杏ですが「列によって紅葉の度合いが違う」ということです。全部で4列あるじゃないですか。しかし246から見て左側の道路側が一番紅葉(といっても黄色)している。この写真では右端にちらっと見えますが、はっきり写っていません。一番青々としているのは私の写真でも分かる通り、絵画館側から見た非道路側、つまり青山一丁目サイド、赤坂御苑サイドです。

 暫く考えていたのですが、私の出した結論は「日照の差」でした。一見、246サイドから見た2列目、つまり道路側が一番陽当たりがよさそう。今朝は曇っていましたから、実際にどうかは分かりませんが。私以外でも沢山の人が銀杏並木を楽しんでいました。朝から。人通りは写真の通りでしたが。

 それはそうと、今朝は表参道などなどを回りましたが、ロケが多かったですね。早朝で人通りが少ないときに撮影しているんでしょう。2組も見ました。全く興味がないので何の写真、何のドラマのロケか知りませんが。

 明日とか、今週末とか天気が良かったら最高では。


今週末がピークかな


2014年11月19日(水曜日)

 (09:45)朝移動しながらちょっと「頭の体操」していました。昨日の安倍総理の記者会見に関連して。もし彼がこう言ったらどうだっただろう、ということです。

 「国民の皆さん、やはり消費税の10%への2%引き上げをやらせて下さい。それによって日本の社会保障制度をより足場のしっかりしたものにします。国民の皆様の将来に対する不安はかなり低下すると思います。確かに今年7-9月期のGDPは厳しいものでした。しかし今後安倍政権は一段と経済を活発化する第三の矢を相次いで放ちます。よって経済は活性化し、2%引き上げを予定している来年10月までに景気はきっと良くなります。国民の皆様には長い視点を持っていただき、 末永い日本という国の安定の為に2%の消費税引き上げを御願いしたいと思います。」

 昨日安倍さんが公表した「消費税引き上げ、信を問う総選挙」という現実に打ち出された政策との仮想的対比です。「消費税引き上げ、信を問う総選挙」と単純化して書きましたが、実際には安倍さんはもっと詳しく今回の決定に至った経緯を喋っている。しかし仮に同じような意思の強さを示しながら茶色くした部分のようなことを安倍さんが言ったとしたら、「国民はどちらに真摯な態度を見たか」です。結構これは面白い設問だと思う。

 むろん安倍首相は、日本の財政事情に対する長期的な視点を忘れてはいません。2017年の春には「必ず消費税を2%引き上げて10%にする」と言っている。これは国民に対する、また世界の投資家に対する発信と考えて良い。

 だから、少なくとも言葉の上では日本の財政の将来に対する懸念を十分安倍さんは勘案している。しかし1年半といのはそれほど短い期間ではない。既に世界の格付け機関は「この遅れ」を、日本の国債の健全性の観点から検討し始めている。

 問題は一方の「仮のシナリオ」と、打ち出された「現実の政策」のどちらが”消費”に与える影響が大きいかです。仮に消費が「現在の所得の水準」よりも「将来への確信」により基づくとしたら、もしかしたら私が仮定した安倍首相の上記発言の方が消費の底上げをもたらしたかも知れない。

 私が「消費は現在の懐具合よりも、特に大きなモノについては将来に対する確信により多く依存している」と考える理由は、「確信があれば人々は車や家を買う」という過去の経験から来ます。今はそうではないが、昔は大企業に入った若者は入社して間もなく結構借金して車を買った。将来に対する確信があったからです。

 だから国民から安倍さんの仮定発言が信頼を得たとしたら、消費税の引き上げ据え置きよりも消費は増えるかも知れない。「据え置き」は時間を稼いでいるだけで、その間の経済政策は直ぐに上げるときよりもおざなりになると考えることも出来るからだ。

   先日も触れましたが、「消費の臨界点」に達していた人にとっては、「現実に所得が上がる」「今後への展望が開ける」という二つの条件が重要な要素です。今まではデフレだったから、例えば年金(ほぼ定額ですよね)生活者などは「生活が楽になる」という回転だった。

 しかし消費税が上がり、主に円安で輸入品が上がると、突然今までの年金の購買力が落ちる....という回転になっていた。そりゃ消費を控える。その層が厚いほど、日本の消費は値上がりに弱い。

 では商品券を配れば良いのか。影響は一時的です。それで自分の将来が確かなものになったと考える人はいない。使ったら終わり。だからどうしても「経済全体が良くなる」ことが必要です。一部の人、一部の業種ではなく。

 その点については安倍さんも昨日の記者会見で「政策を打つ」と言っているので、現実がこういう形で動き出した今は、「その政策」の中味が問題になる。一つ明らかなのは日銀の一本足打法ではもう「無理が見えた」ということでしょう。それは黒田さんも知っているはずです。

 政治、経済、社会がかかわる問題に「単一の解答」はない。政府、国が選べる方途は一つであり、その他は「仮定」の話となります。しかし私はこの設問を考えているときに、「こっちの方が良かったのかもしれない....」とちらっと思った。あくまで仮定の話ですが。


2014年11月18日(火曜日)

 (14:45)うーん、今回の選挙は言ってみれば「妖怪選挙」かな。毎度のネーミングを事前に私的に試みてみれば。

 ご存じの通り、ちっちゃい子供達の間では今空前の「妖怪ブーム」。正確に言えば「妖怪ウォッチブーム」。登場するのは、「ひも爺」「メラメライオン」「砂夫」「一旦ゴメン」「あせっか鬼」「バクロ婆」、そして「ロボニャン」などなど。

 俄にはそれぞれのキャラクターを覚えきれない、理解し難い存在ですが、予想される立候補メンバーを見ると、今回の衆議院選挙も「理解しがたい存在」のキャラがぎょうさん。だって結構凄いですよ。

 最初「出ない」って言っていたのに、「やっぱり出る」と言い出したあの方。年齢を調べさせてもらったら、今日亡くなられた事が発表された高倉 健さん(83才であられました 合掌)とほぼ同年齢でおられる。HPのタイトルが「宣戦布告.net」ですから、お元気ではあると思うが、でもね....。まともに国会の審議に出てこられるのですかね。

 かと思えば、つい最近「出直し市長選」を終えたばかりで、かつ「”都構想”という一丁目一番地」の地域政策があるのに、突然「国政に出る」と言っておられるような方。そしてそれに付いていこうとするあの方。何をするんでしょうね、彼等は国政で。

 と思えば、「集合離散の繰り返し」を選挙直前にリピートしそうな 「your なんとか党」。「みんな」で一緒に戦うことも出来ないんでしょうかね。創業者はそりゃ焦る。「いかん、いかん、民主と一緒なんて」と。政党助成金が........。

 と思えば、「この際、野党は大同団結すべきだ」と、突然自分が作っては壊してきた政党勢力(主に野党)の団結を言い出すお方も。数が足りずに「ひも爺」になったのか.....な。だって国防など重要政策で全く立場が違うのに、そりゃ”野合”でしょう。

 そもそも今回の選挙は、今ひとつ「理解し難い存在」の選挙になる。明日にでも言い出した人(体調は大丈夫なのかな?)が説明するでしょうが、心にどうしても残るのは「for what ?」という思い。党利党略 ? 国民の中で「いい加減にせい」と思っている人も多いと思うので、終わったら過半数割って「一旦ゴメン」となるかも。

 あれ、あの二人が居なくなったら、またまた「バルが......どちらかに出るのでは」という噂も。投げだしグループの後は、またまた投げだし男ですか。ありゃりゃ。大阪の人はどうするんでしょうね。

 うーん、日本の政界は「妖怪の巣窟」にますます接近.........。


2014年11月17日(月曜日)

 (14:45)言葉のテクニカルな定義からすれば「日本はリセッションに陥った」ということでしょうし、それをもって第二次安倍政権が進めてきた経済政策であるアベノミクスは「失敗した」とレッテルを貼ることは可能です。

 政権がアベノミクスを喧伝していた時のイメージからすれば、「リセッション」とはいかにも「意外な」「予想外の」展開で、それは今日の株式市場の動きを見ても分かるし、後者の「失敗云々」については、民主党の枝野さんが「アベノミクスの限界」と既に表現している。

 消費税引き上げ直後の落ち込みからの反動から、「もっと伸びる」思われていた消費が僅かに0.4%の伸びになったほか、設備投資も低調で、何よりも在庫投資が悪い。最後は今後の展開では必ずしも悪いことはない。消費の中で一番「低調」と分類されたのは、住宅と自動車。要するに高額物件が戻らなかったというのが大きい。

 考えてみれば、これら高額物件の消費税額は大きい。事前に購買行動を消費者が変えたと理解するのが自然だし、もうちょっと事前から「消費者の行動」を予想する必要があったのかもしれない。

 しかしその後の動きも芳しくない。今日発表になった不動産経済研究所(東京・新宿)の「10月のマンション市場動向調査」も速報ものだった。それによると、首都圏の新築マンション発売戸数は前年同月比10.9%減の3125戸と、9カ月連続で減少した。「9ヶ月連続」というのはちょっと厳しい。

 問題は、「リセッション」とか「アベノミクスの失敗」という言葉に、特に海外の投資家がどう反応するかでしょう。今の世界では珍しく「日本は前者に縁遠いと思われ、後者については高い評価だった」だけに、海外の投資家がアベノミクスに見直しをかけるのか、それとも「じゃ、もっと日本政府、日銀は何かやるだろう」と考えるかです。しかしもうここで何回も指摘していますが、

 「株が上がる」→「消費が増える」→「生産が増える」→「それによって雇用が増えて」→「一般国民の所得が増えて」→「また消費が増える」.....というのと「円安になる」→「輸出が増える」→「企業が高収益になって」→「投資が増える」

 という経路に問題があったと思う。全国の消費に関する統計を分析すると、所得が低い層の消費が消費税の引き上げ後にずっと伸びていないという点がある。それは多分、消費税の引き上げ前の物価水準が“消費の臨界点”にあった人が予想外に多かったことを意味している。

 つまり、「数%の消費税引き上げでも、消費の物的レベルを引き締めなければならなかった人々の存在」だ。これらの人々はアベノミクスによる株高の恩恵も受けずに、また所得も増えなかったと想像される。

 これらの人々が割合として多い地方の消費が伸びない。それは各業種の小売り統計を見ても明らかだ。先進国共通に見られる「貧富の格差が消費の伸び、そして経済成長を抑制する」という現象が日本でも起きているのかもしれない。

 ということは、消費税の2%追加引き上げを1年半先延ばしし、日銀が主導するだけの“アベノミクス”で株価を押し上げ、円安を惹起しても「国内景気の状況は1年半後でもそれほど改善しない」とも予測できる。

 日本の大企業の輸出戦略は依然として「消費地での生産優先」(自動車など)で、その意味でまだまだ今の円安では「日本からの輸出が劇的に増える」という状況ではない。

 また国内の人手不足が、輸出に回せる生産活動増加にとっての制約要因になっている。という現在の基本的状況を考えれば、「総選挙後も続くであろう安倍政権の課題」は、「“臨界点”に暮らす人々の生活」をいかに引き上げるかにあると言える。日銀の政策だけでは、それは無理だ。

 分かったのは、「(予定の)経路」には隘路が一杯ある事。確かに金融政策には「効果が出るまでに時間がかかる」という特徴が有る。そりゃどんと金を出して、何か工事でもしたほうが短期に景気を良くすることが出来る。しかし日本はそれをなかなか出来ない財政状況、人手不足状況です。

 今晩海外から帰ってくる安倍首相が、その辺まで理解し、決意して説明責任を果たし、そして「総選挙に臨む政策実行への姿勢」を明確にできるかどうか。それがポイントだと思う。


2014年11月16日(日曜日)

 (09:45)回っていて、「絶対意図的にそうしているな.....」と確信しました。たまには逆周りも良いものです。

外からは常に緑に   右の写真(桜田門を過ぎて半蔵門に向かう途中で撮影)を見ていただければ良いのですが、お堀の内側は緑、そして外側は黄色や赤の紅葉とくっきりと色分けされる。頭に浮かんだのは、「(お城を)設計した人は、間違いなく意図的にそうしている」ということです。意図をもって選んで植えている。

 それは人々が見るお城は常に繁茂する木に囲まれていなければならないからです。落葉樹では困る。つまり紅葉しては困るのです。紅葉と言うことは、「そのあと葉っぱが落ちる」「枯れ木状態になる」ということですから。

 「落ちる」。これはお城にとって一番避けなければならないことです。「落葉」も縁起が悪い。思い出すとほぼ毎週行っている大阪城でも、そして最近行った金沢城でも、城を取り囲む木はもっぱら松などの常緑樹と決まっている。そりゃそうだ。冬の枯れ木に囲まれる城.....ではなんとも攻めやすい印象がする。また常緑樹は一種のカーテンにもなる。

 多分、人々が城を見る視点を外れたところでは、つまり城の中では紅葉する木も植えられている筈です。だって殿様だって風情を楽しみたい。しかし外見では城は、「常なる緑に囲まれた、白(姫路城)や黒(松本城)の天守閣が映える、聳え立つ存在」でなければならない。

 ははは、これも私の想像ですよ。昨日の「勝鬨の渡し→勝鬨橋」の「かちどき」もそうですが。でも、「(ではないかと)想像すること」は楽しい。皇居のルールでは、周回については時計回りは「ちょっと」ですが、でも時々は必要です。

 左回りで見えないものも、右回りでは見えたりする。今日の「城の緑の木に関する考察」もその成果でした。ははは。


2014年11月15日(土曜日)

 (09:45)隅田川にかかる勝鬨橋の真ん中で、「これは何だ...!」と思いました。上流ばかりでなく、下流(東京湾側)にも橋がある。グーグルマップで確かめたら存在しない橋がちゃんとあるのです。

 私の記憶は、「勝鬨橋は、隅田川にかかる最後の湾側の橋」というものです。右手には築地市場の裏手が見えて、その左には東京タワーが見えるのですが、その左手です。しかしよく見ると、赤いパイロンが規則正しく並んでいて、人や車が行き来している様子がない。

 「もしかして、新しい橋 ?」と思って袂まで歩いて言ったのです。気持ちよい朝だったので。工事監視の人に聞いたら、「ほら、虎の門からの道があるでしょう。あれがここに抜けて、将来は豊洲、有明に抜けるんですよ......」と教えてくれた。

グーグルマップにまだない橋(築地橋)  この人が言ったのは「2号線」の話です。虎ノ門ヒルズの下を通って、日比谷神社の下を通っている。開通してこの道を走ったとき、「なんだ、この短小な道は.....」と思ったのです。だって汐留で止まっている。その時は「for what .....」という感じだった。

 しかし将来はここに抜けるんだと。ちょっと納得。むろん今の築地(市場のある)と豊洲(将来の市場)を結ぶ道でもあるようで、2号線もあそこまで繋がったら価値がある。「まだ完成は相当先です....」と監視の人。

 それにしても、知らないことが多すぎるな、と思いました。なぜ「勝鬨(かちどき)橋」か。今日納得しました。二段階ある。まずは「勝鬨の渡し」。日本が日露戦争に勝ったとき(1905年)に、当時の京橋区民が渡船場を設置したこと。区民の方々はそれを東京市に寄贈したそうです。

 多分「勝ち鬨を上げる」から名前は来ているのでしょう。勝ちましたから。当時の興奮が伝わってくる名前です。そのころの日本は大発展。隅田川の対岸の月島の人口は急増し、以前からあった近くの「月島の渡し」では足りなくなった、と。

 橋が出来たのは1940年だそうです。当然渡しはなくなったから、その名前が橋に付けられた。「かちどき橋」って昔から「面白い名前だ」と思っていたが、そういう経緯があったんだ、と今朝は納得。

 それにしてもその前に立ち寄った築地場外市場の人出の凄いこと。朝の7時台ですよ。人をかき分け....という感じ。まあ土曜日ですから、観光に来ている人、朝食に来ている人。皆「築地」が目当てなんですよ。それにしても、魚四季が朝5時からやっているとは知らなかった。良い魚を出しますが、市場が豊洲に移ったら廃業するらしい。

 ちょっと離れた地区ですが、西新橋の西新橋スクエアが完成していたな。つい最近まで工事をしていた。お店も入ったようで、今度機会があったら入ろうか、と。「西新橋」ね。以前は「田村町」という色気のある名前だったのですが。

 依然として工事中なのは、銀座日航ホテルの跡地と溜池の複合ビルでしょうか。あと新たに壊しているのは、新橋駅から新橋第一ホテルに抜ける道の左側にあった、かつてライオンが入っていたビル。何になるのやら。


2014年11月14日(金曜日)

 (13:45)国際政治を考える上で今一番面白いファクターは「原油相場」です。既にしばしば報じられているのですが、WTI先物の少し長目の各種チャートを見ても分かる通り、最近の原油相場の下げは急です。

 原油相場急落の最大の原因は何と言っても需要の減退です。世界経済全体を見ると、資源をがぶ飲みしていた中国の景気が減速し、ヨーロッパの景気も良くない。日本も良くない。途上国の成長率も落ちてきている。

 世界で一番化石燃料を使っているアメリカは、オイルシェールの生産が盛り上がってきて、かなりの部分の燃料を国内産でまかなえる。となれば、世界的な原油需要は当然落ちるという構造になっている。

 しかし私はそれに加えて、その関係がつまびらかではない二つの政治的要因がからんでいて、それが面白いと見る。それは

  1. 今まで大きな需要国として存在したアメリカでのオイル生産急増を「好ましいこと」とは思わないサウジアラビアの王室の思惑

  2. ウクライナ問題などで対立関係を深めているアメリカが、ロシアを追い詰める最大の武器と考えているのは恐らく「石油価格」、そしてその「下落「だと思われる

  3. もっと端的に言えば、世界有数の資源輸出国であり、その輸出代金で国家予算をまかなっているロシアは、世界的な石油価格の下落で徐々にクビを絞められると考えられる
 ということです。当然ながら「2」と「3」は繋がっていて、この関係ははっきりしている。私はこの点においてロシアをあまり追い込みすぎるとプーチンのロシアは暴発する危険性があると思っているのですが、ロシアも天然ガスの輸出で中国に助けを求めて長期契約を結ぶなど、今のところは「アメリカの牽制に対するカウンターパンチ」を打っている状況。

 問題なのは、サウジの対米思惑とアメリカの対ロ思惑がどういう形で整合性がとれるのか、綺麗な放物線を描くのかがよく見えない点。一般的にはアメリカのオイルシェール生産の採算分岐点は「バレル70ドル台ではないか」との見方が強い。

 例えば最近のロイター電は原油価格80ドル割れなら米シェールオイルの3分の1が採算割れ=調査と伝えている。これだと「米オイルシェール産業が耐えられるのは今が限界」(今のWTIの原油価格は70ドル台のローなので)ということになる。

 一方で、この原油価格ではロシアは”超”苦しい。今朝の毎日新聞には「産油国、社会不安の恐れーー原油安続けた財政破綻も」という記事がある。サウジの王制も盤石ではないし、当然その他の産油国も困ると指摘した後に、

 「ロシアは連邦歳入の45%を石油関連の税収が占め、15〜17年度予算は原油価格の前提を平均バレル100ドルに置いている」

 と書いている。仮に今の原油相場がバレル70ドルで、それが続くとすればロシアの石油・関連資源輸出収入はあるべき水準から3割方減るということになる。つまりそれは連邦歳入が全体で15%減るということを意味する。これはロシアにとって大打撃だ。

 昔はサウジとアメリカは蜜月だった。しかし今は極めて微妙である。他のアラブ諸国に対する姿勢を勘案すると、アメリカがサウジの専制的王制を好ましく思っていないことは確かだし、実際にいろいろな問題で最近サウジとアメリカは衝突している。

 だからサウジがアメリカに嫌がらせをしてもおかしくない。脈略は良く分からないが、先にサウジはアメリカ向けだけの石油価格を引き下げた。世界には「サウジはアメリカのオイルシェール産業に打撃を与えようとしている」との解説がある。

 しかしサウジにとって痛し痒しなのは、最後の最後にもしかしたらサウジ王制の安定を望んでくれるのはアメリカかもしれない、という点だ。だから「本気ではサウジはアメリカと事を構えようとしてはいない」とも考えられる。

 一方で、原油価格の下落はアメリカ経済、国民生活にとっては良い、というのは間違いない。鉄道が発達していない、つまり車社会のアメリカでは「ガソリン安」は「消費者の購買意欲の促進」に繋がる。

 だからアメリカは、「ロシアを利するほど石油価格は上昇して欲しくない。それがたとえオイルシェール産業に有利であっても」と考える一方で、「原油価格がある程度安いことはプーチンのロシアにとって打撃になって好ましいし、有効な景気対策とも言える」というスタンスだと思われる。

 だからサウジの対米石油輸出価格引き下げは、実は「アメリカの隠れたニーズを満たす措置」のようにも見える。ま、石油業界は「シェール潰し」と怒るでしょうが、政府は「許容範囲」と考えているのかもしれない。

 今の世界でアメリカが一番「おもしろくない」と考えている国は、まあロシアでしょう。次が中国。APECやG20の席では、プーチンや習近平と言葉を交わし、交渉や会談を続けているオバマ大統領。しかしその裏では実に多様な駆け引きが展開しているはずだ。

 急落を続ける石油価格は、明らかに「国際政治ファクター」であり、しばらくは極めて興味深い存在であり続けそうだ。


2014年11月13日(木曜日)

 (23:45)日常的にはほとんど Mac air を使って仕事をする私ですが、実は Windows マシン もまだ何台か残っていて、時々使う。その内の2台がレッツノートなんです。記事をちらちら見ていたら、「パナソニック PC用バッテリーのリコール対象拡大」と。

 ありゃ、と思って調べたらここにその対象製品の一覧がありましたが、「(自分のは)もっと古いな」と思い出しながら見たら、私の製品は「CF」の下に「S8」とか「J9」が着く相当古い機種だと分かった。

 つまりリコール対象ではなかった。それは良かったのですが、「それにしてもリコールが多いな」と。自分が持っていた車にリコール通知が来たこともあったし、そうでなくてもニュースでリコールの記事は2日に一回ほど見る。今日もホンダが.....とある。

 車でも何でも「部品の共通化」が一つの大きな原因でしょう。しかし「共通化してくれるな」と言うのも無理な注文で、今後も「大規模リコール」はPCでも車でも続くんだと思う。買った消費者のサイドはそれを見ていないといけない。

 私のように結構ニュースを見ている人間は気がつくが、消費者の中にはあまりその種のニュースを見ていない人も多いと思う。パナソニックと言えばかなり前ですが、何年にもわたって石油暖房機のリコールに関するラテのコマーシャルを流していたことを思い出す。(多分、これに関して

 その徹底ぶりに「かえって同社のイメージは上がった」と言う人もいたが、それだけ徹底して告知しないと、リコール漏れが出るということでしょう。というのは消費者は買って使っていても、「製品がどこのメーカーであるか」なんてのは直ぐにあまり気にしなくなる。車やテレビのメーカー名は覚えていても、例えば冷蔵庫なんて直ぐに忘れるでしょう。だから「石油暖房機」なんて大変だったと思う。

 Windows マシンがいつ主にも活躍するのは年末のこれからです。「筆まめ」とかのソフトは同マシンにしか入れてないので、そもそも住所録を見るのに必要。ないんですかね、Mac用ソフトは。そんなことも知らないんですよ。

 あとは古いメルアドなどが Windows マシンに残っている。だから、ソフトウエアの更新だけは続けています。でも「7」が期限切れになったらどうしようかな.......と思ってます。


2014年11月13日(木曜日)

 (10:45)今朝は気になるニュースがデジタル関係でいくつか。

  1. アップストアで偽アプリ販売 不正サイトへ誘導の恐れも

  2. WIFIで企業幹部らの情報盗む 日本などホテル標的
 など。「1」のアプリには全く興味がないので被害を被ることはないのですが、アップストアは必要なアプリを取りには行きますから、そこに「偽アプリ」が堂々と入っているというのは気になります。早く除去して欲しい。

 「2」は「もしかしたら起きうる」と思っていたことです。しかしこの記事にある「攻撃者は韓国語か朝鮮語を使う人物で、企業幹部らの宿泊予定をあらかじめ把握しているもようだ」の中の「朝鮮語を使う人物」とは誰で、「宿泊予定」はどこから手に入れているのですかね。ホテル内部.....?

 実は私は日本国内ではホテルのWIFIは全く使いません。LTEですべて対処できるので。一晩1000円とか払うのはばからしいとかいうことではなく、自分が管理できない回線システムを使うのをなるべく避けようと思っているからです。効果のほとは分かりませんが。

 各地にある無料の無線LANシステムもよほどのことがない限り使わない。丸見え君だと思っているので。これに関してはいろいろ実験があって、駅の無線LANなどの危険性はよく指摘されている。

 よく考えるのですが、デジタルのシステムは言って見れば道路交通です。そこに規則はあるし、道もある。しかし何が起こる変わらない。そのルートを使っている人間は、最新の交通情報(ウイルスやマルウエアなどの情報)に気を使って、事故に巻き込まれないようにしないと。

 リスクがあっても我々は車など交通システムを使う。デジタルも同じ事で、これからもリスクとの共存でしょう。


2014年11月11日(火曜日)

 (17:45)株も上昇し、為替も116円ワンタッチまでの円安に。一つの解説は、「最近の解散ではそうなることが多かった....」と。2005年 ? それとも2012年 ? 個々のケースで違うんですがね。

 「今なぜ解散 ?」「あれ、違憲状態ではなかったのでは」と直ぐに思いますよね。「”大義”を無理にこじつける」のは良くないと思うな。「解散」に前のめりだったマスコミと、否定的だったメディアと。しかし今日の午後当たりから「皆走り出した」という感じ。

 でも何のために。消費税で国民との約束を違えることになるので ? かつ今は野党も準備が出来ていないし、人気も低い。自民党以外に選択肢はないだろう.....から。この年末の予算編成を控えた時期にあえてやる意義があるのか。

 日銀に奪われた政策の主導権を政治に取り戻すため ? だとしたら、黒田さんは今頃何を思っているのか ? 解散・総選挙は景気刺激策 ? 消費税はどうなるの ? 延期、それとも問い直し ?  「?」ばかりですね。メディアが勝手に騒いでいる気がしないでもないが、世の中にはモメンタムがあるので、「勢いでそっち」はあるかもしれない。しかし大きな争点があるわけでもなく、これによって政治に対する我々の信頼感が高まる気もしない。

 選挙を強行すれば「その後の違憲訴訟」は数多いものになるような気がする。やっとねじれがなくなり政治が落ち着くと思ったら、たった二人の女性閣僚の辞職などなどで総選挙ですか。ちょっと情けない。もっと落ち着いた、どっしりした政策を期待していたのに。


2014年11月10日(月曜日)

 (17:45)日中首脳会談開催で私が興味があったのは、「何分会談するのか」でした。そしたら25分ですと。とっても理解しやすい会談時間だと思います。

 既に日中間の4項目合意が出来た段階で「会談はある」と決まっている。話し合う内容もこれとこれ、と周囲が決めたようなものです。だから、「会っても特に新たに話すことはあまりないかもしれない。だとしたら30分以内かな」と思っていた。

 私の経験だと、「30分」が面談の分かれ目です。それを超えると非常に仲良くなった気分になる。用件以外の「どこの出身だ」とか、「共通の友人がいた」とかなるので。しかし25分。多分お互いに「こういう人なのか」という表面的な印象も持った程度か。

 まあでも、良くここまで接点がないとも思える中で会談にこぎ着けたと思う。やはり「中国がAPECのホスト国」という事情が大きかったように思う。それと中国側にあった経済的理由。

 トップ同士が会ったのだから、閣僚レベルではいろいろ接触が出てくるでしょう。経済対話とか。しかし私の考えでは引き続き中国は「遅れてきた帝国主義」「一党独裁の国」であり、やはり日本とは考え方は基本的には相容れない。

 しかしだからといって、常に喧嘩している隣人関係でなければならない理由もない。一緒にやれることは一杯ある。願わくば中国に民主主義が根付くことかな。日本だって日本型なのだから、中国だって中国型になるでしょう。当然日本とは違うものになる。しかし今の体制はあまりにも「統治の正統性」に欠ける。住んでいる人々にとっても苛酷です。

 習近平さんは次々に世界から来た要人と会っている。一番彼を頼りに来たのはプーチンかな。ロシアの経済情勢はますます悪化している。窮鼠に友人が出来ることは安定材料にはなる。しかしこの長い国境線を持つ両国は、決して真の友人にはならないでしょう。極東のロシアの人々の中国、または中国人に対する恐怖心はよく知られている。

 日中首脳会談。まあ良かったのだと思う。しかし気を使い、時には激しく意見をぶつけ合わせねばならない隣人のままであることに変わりはない、と思う。


2014年11月10日(月曜日)

 (08:15)そういえば、9日日曜日はベルリンの壁崩壊から四半世紀、25周年の記念日でした。もうそんなに時間が経過したのかと思いますが、6月の天安門事件も25周年でしたから、そうです。ま、中国はその事件を祝いません。何もなかったふりをした。しかしドイツはお祭り騒ぎです。

 今でも25年前の壁崩壊の日のことは鮮明に覚えています。9.11と同じくらい衝撃的で、テレビの前から離れられなかった。壁に登ってつるはしを振り下ろす若者の姿。人々の熱気。特に西ベルリンサイドの。対して東ドイツ国民の困惑したような、そして驚きの顔。それでも彼等は西ベルリンに来た。

 先週の後半から「なぜ、どうして壁崩壊が起きたのか」に関して世界の新聞は特集を繰り返している。最初に東西の関門を東ドイツ市民に対して開放したHarald Jagerという人物の話は何回読んでも面白い。必然と偶然の混ざり合いの中であの「壁崩壊」が起きた。

 それからあまり時間を置かずにドイツ語が堪能な会社の小林君と行った東ドイツの光景は、今でも忘れません。ハンブルクから国境線に向かい、欲しそうだったので東ドイツの国境警備兵に20マルクを渡してホテルの車でシュベリーンまで行った。

 シュベリーンは湖のある、本来は綺麗であろう街です。しかし街はくすんでいた。汚い商店街の店に入ると、棚には商品らしい商品はない。まるで中世のような街並み、朽ち果てた城。道は石畳か、そうでなければぐしゃぐしゃの土道でした。

 「ぽんぽん自動車」と表現できるようなトラバント(っていったっけな)がたまに走っていた。あれじゃアウトバーンは不必要。実際に東ドイツサイドのアウトバーンは統一から暫く使えなかった。

 でも一年たって同じ街(シュベリーン)に行ったら、街の様相は全く変わり、街にはシティバンクのATMがあった。ある意味驚愕し、笑いました。「こんなに変わるのか」と。また行っても今度はあまり変わっていないだろうから、ま今度機会があったら。旧東ドイツサイドの官庁街は、今ではブランドショップ街です。

 それに関連して、この一週間は世界の新聞は「残る壁」、南北の壁に関する記事が多かった。ウォール・ストリート・ジャーナルで読んだ「Few German Lessons for Koreans」は、以前から言われていることですが、「ドイツの教訓は朝鮮半島にはちょっと当てはまらないかもしれない」という指摘。ここに掲載されている数字が面白い。

 一つは国民一人当たりの所得。壁が崩壊して1年とちょっとたった時点ですが、1991年の旧東ドイツ国民の一人当たり所得は10,163ドル。対して西ドイツのそれは23,461ドル。対して2013年の北朝鮮のそれは1,360ドル(韓国25,000ドル)。つまり異常に北朝鮮の人々の所得が低い。

 対して人口は多い。当時の東ドイツは1,810万人(西ドイツは6,190万人)。対して北朝鮮は人口が多い。2013年で2,490万人。対して韓国は5,020万人。もし統一するにしても、いかに韓国の負担が大きいか、ということです。韓国に行くと、特に若い人の間で統一に関する興味が薄い。それは分かる気がする。

 でも多分、一端動き出したら北朝鮮の韓国化は凄まじい勢いで進むんですよ。シティバンクは日本でも預金業務・カード業務から撤退しますから「(南北統一の)1年後に平壌にシティのATMがある」とはいかないでしょうが、間違いなく2年、3年のうちに北朝鮮全体が大きく変わる。それをなるべく早く見たいものです。


2014年11月08日(土曜日)

 (22:15)アップルが来年発売するApple Watchに関するこのビデオを見ながら、「今までの予想よりとってもパワフルな商品になる可能性がある」と思いました。もしかしたら、世界の時計業界を震撼させることになるかもしれない。それは

  1. ビデオの印象としては、スマホの付属品、スマホがなければ何も出来ないという従来予想されたような従属的な代物ではなく、各種ファンクションが独立している。つまり重いスマホを持たなくても様々な機能を果たす魅力的な存在として出てきそう(この時計だけで用が足せる)
  2. ”時計”という非常に特殊な、人々に「持つ喜び」を与えるものとして、価格的にもデザイン面でも魅力的な水準まで引き上げている(特殊ゴールドバージョンあり)
  3. デザインも3種類を用意し、バンドも各種用意して、「隣の人もこれを持っている」的な、時計では避けたいパターンに陥るのを回避している
  ことなどでしょうか。最近のネットでは、このアップルの時計シリーズに関しては、「高いものの値段は5000ドル、約57万円」に達するとの情報が流れている。「時計で57万円」というのは、「それほど高くはないが、持つ人にまずは満足を与えられる値段」と言えると思う。ブルガリなどブランドショップで見かける時計などは、この値段を下回る時計は結構多い。

 むろんスイスの高級時計には何千万円、何百万円するものもあるが、それはそもそも出る個数が少ない。そこそこの人が買えて、ステータスシンボルにもなるものとしての時計の値段としては「5000ドル」は良いところを突いていると思う。加えてのスマホ的IT機能。

 もちろん実際に手にしてみなければ、そして最終的に発表されてみないと分からないが、ビデオを見た印象では「面白いじゃないか」、だ。予想された、入れて欲しい機能のかなりの部分は入っていて、水準は満たしている。しかもソニーやサムスンが出しているような「スマホ依存」でも、「外見的安物時計」でもない。両社は50万円を超えるようなIT時計は想定していなかったと思う。

 善し悪しの問題は別として、「高くても売れる商品を持つ」というのは、企業にとってはステータスを上げる上で重要で、もしアップルのこの時計が機能も優れたものであるのに加えて「腕に付けることに喜びを感じるもの」であるなら、今でも高いアップルの「ブランドイメージ」は一段と上がるだろう、と思う。

 問題は「どこで売るか」だ。むろん日本にも数多くあるアップルショップは売る。間違いなく。しかしドコモ、au、そしてソフトバンクで売るだろうか ? 確かにIT的知識も必要だ。しかし宝飾品としての存在でもあるので、そちらの知識も必要かもしれない。5000ドルとなると。

 そうなると、あのアップルショップの店員のラフな、ブルー的衣装はちょっと「似合わない」印象もする。ははは、楽しみ楽しみ。


2014年11月07日(金曜日)

 (23:15)ドルが下がった当初反応は別にして、発表になった10月の米雇用統計は「むしろ強い」ですよ。失業率は5.8%に下がり、8月、9月の非農業部門の増加就業者数は合計31000人分上方改定された。そして何よりも賃金の増加が見える。slackと呼ばれる「労働資源の未利用分」は明らかに減っている。先月末のFOMCの「立ち位置の変更」が正しかったことが証明された。

 毎回一番注目される非農業部門の就業者数は、10月が21万4000人。これは予想より少ない。予想は23〜24万だった。マーケットは当初この数字に反応した。私もこの数字を見た時には「またゴールディロックか」と思った。

 しかし非農業部門就業者数の数字以外は総じて強い。例えばウォール・ストリート・ジャーナルは「Sustained economic strength in the U.S. could hinge on advancing wages」と当然のことを指摘した後で、「 In October, average hourly earnings for private-sector workers rose 3 cents to $24.57. Earnings were up 2% compared with a year earlier, a pace just above mild inflation. Consumer prices rose 1.7% in September from a year earlier.」とアメリカの賃金がインフレ率を上回る率で上昇し始めたことを指摘した。

 過去2ヶ月分の上方修正の中味は、「Revisions showed the economy added 31,000 more jobs the prior two months than previously estimated. Employers added 256,000 jobs in September compared to an initial estimate of 248,000. The August reading was revised to 203,000 from the previously reported 180,000.」です。

 このところ毎回過去月の上方修正がある。ということは、21万4000人の増加と発表された10月の非農業部門就業者数も、来月の統計発表で上方修正される可能性があるということです。何よりも今年に入って毎月22万人の雇用が増えているというのが、アメリカ経済の雇用情勢の良さを示している。

 話は変わりますが、今ネットを見たら日中間で興味深い合意文書が公表された。中味は

  1. 双方は,日中間の四つの基本文書の諸原則と精神を遵守し,日中の戦略的互恵関係を引き続き発展させていくことを確認した
  2. 双方は,歴史を直視し,未来に向かうという精神に従い,両国関係に影響する政治的困難を克服することで若干の認識の一致をみた
  3. 双方は,尖閣諸島等東シナ海の海域において近年緊張状態が生じていることについて異なる見解を有していると認識し,対話と協議を通じて,情勢の悪化を防ぐとともに,危機管理メカニズムを構築し,不測の事態の発生を回避することで意見の一致をみた
  4. 双方は,様々な多国間・二国間のチャンネルを活用して,政治・外交・安保対話を徐々に再開し,政治的相互信頼関係の構築に努めることにつき意見の一致をみた
 の4項目から成る。これは明らかに日中両国がAPECの場(日程は9か10)で首脳会談を開催するための下準備でしょう。期待値を下げるための。

 一番ビックリしているのは韓国でしょうね。韓国国内では、「日中首脳会談の前に日韓首脳会談をしないといけない...」的意見もあったし、一部では「中国が韓国の顔を立てるのでは」との見方もあった。

 しかし中国は現実的に、ある意味妥協して日中首脳会談開催に舵を切ったと言える。確実ではないが、この文書によって安倍ー習の首脳会談が開かれることになると思う。形式は不明ですが。

 うーん、「日本の外交の粘り勝ち」とも言えるし、中国にも日中関係を改善させる必要性があったということでしょう。しかし劇的な改善は望めない。この文書の中の「2」と「3」をまじまじと読むと、問題の複雑さが分かるし、中国は国内で期待と失望、それに反発が起きるのを避けるためにこの合意を事前公表したのでしょう。

 総じて言えることは「日韓はもっぱら韓国側のかたくなな態度によってちっとも動かないが、日中は双方が理性的に折り合えるところで”外交”を再開したと言える」と思う。


2014年11月06日(木曜日)

 (13:15)ドル・円相場が115円の水準を越えて進んでいる中で『2%の「物価安定の目標」の実現を確かなものに』 きさらぎ会における講演という黒田日銀総裁の講演を読みながら、「へえ、黒田さんはある意味原油安との戦いに取り組んでいるのか」と思いました。

 「きさらぎ会における講演」はそのほとんどが退屈です。追加緩和を発表した時の数字などや、その後の記者会見において表明した景況感を中心に構成されている。しかしその中で一つだけ目を引く表現がある。以下の文章です。

 本日、ご説明したように、「量的・質的金融緩和」のもとでデフレマイ ンドの転換は着実に進んできています。今、この歩みを止めてはなりません。 デフレという慢性疾患を完全に克服するためには、薬は最後までしっかりと 飲み切る必要があるのです。中途半端な治療は、かえって病状を拗らせるだけです。

 「中途半端な治療は、かえって病状を拗らせるだけです」というのは、言葉は丁寧だが、中銀総裁が発する言葉としては極めて強いし、なによりも珍しい。つまり全知全能を使って「徹底的にやる」と言っているに等しい。「5−4」の決定だった割りには、黒田さんは意気軒昂に振る舞っている。

 黒田さんが何のために戦っているかと言えば「2%の物価安定の目標」です。それがなぜ危うくなっているのかに関しては、先週末の措置発表文でも「きさらぎ会における講演」でも「消費増税以降の景気の足踏み」と「原油価格の低下傾向」を挙げている。

 ということは目標を達成するためには「この二つと戦う」ということです。ツールとしているのはもっぱら「日銀による資産の買い入れ」です。リートを買う、国債を買う、ETFを買う...と続く。もしかしたら「消費増税以降の景気の足踏み」とはこれらのツールで戦えるかも知れない。先日指摘したように「経路」としては

 「株が上がる」→「消費が増える」→「生産が増える」→「それによって雇用が増えて」→「一般国民の所得が増えて」→「また消費が増える」.....というのと「円安になる」→「輸出が増える」→「企業が高収益になって」→「投資が増える」

 がある。今はその経路に狭隘なところがある。しかしそれを取り除いてやれば出来ないことはない。むろんこれも相当難しい。政府が関与しなければ出来ない。日銀の措置によっても輸出に関係ない中小企業で働く人々の給与引き上げは難しい。大都会の真ん中では不動産価格は上がっているが、地方では下落が続く。

 それよりもっと難しいのは「原油価格の低下傾向」との戦いです。ドル建ての原油の世界相場を日銀が操作する方法はない。なにせマーケットがでかい。原油やエネルギーは世界中に生産され、そして消費されている。それを操作するのは困難だ。サウジの対米での政治的思惑もある。むしろ円安→ドル高は、今起きているように資源価格の低下を誘発する。ということは円安誘導は日銀にとっての情勢悪化(原油安)を意味する。

 国内石油価格引き上げを日銀として誘発するには円安がてっとりばやい。しかし、「円安」の進行には弊害が伴うことはよく知られている。原発が止まっている中では日本のエネルギー輸入価格は大幅に上昇するし、輸入品に頼っている業種は苦しくなる。もうこれは苦情が出ているところです。

 私が何よりも問題だと思うのは、Stimulus Gives Bank of Japan Huge New Role in Marketsとウォール・ストリート・ジャーナルが指摘するように、「日銀がマーケットのプレーヤーになった」ということです。これは正直言って日銀の本来の役割とは違うし、危険です。

 いかにプレーヤーになったかを考えると、例えば日銀は発表文で『ETFおよびJ−REITについて、保有残高が、それぞれ年間約3兆円(3倍増)、年間約900億円(3倍増)に相当するペースで増加するよう買入れを行う』と述べている。

 「それぞれ年間約3兆円(3倍増)、年間約900億円(3倍増)に相当するペースで増加するよう買入れを行う」ということは、ETFなら「3兆円÷242」、リートなら「9000億円÷242」という買い入れを年間で平均的に行うということ。「242」というのは、大体の年間マーケット営業日です。

 出てくる数字は、前者が124億円、後者が37億円です。しかも当面は買いっぱなしです。しかし日々のオペレーションは相場感をもって増減(購入額の)を伴いながら行うわけです。これは「一大プレーヤー」だし、常軌を逸しているでしょう。しかし黒田さんは「中途半端な治療は、かえって病状を拗らせる」という。徹底的にやる、と言っている。

 間違ったコモンセンスかも知れないが、私の直感は「将来良くないことが起きる」と告げている。何時になるか分からないが。と書いている間に東京の株は一時的かも知れないがドスンと下がり、ドル・円も115円からストンと落ちた。

 マーケットでは「政策に逆らうな」と言われているらしい。しかし明らかに今の「プレーヤーとしての日銀」はおかしい。結局こういうことでしょう。

 「Enjoy the party. But dance close to the door !! 」


2014年11月06日(木曜日)

 (03:15)二つの政治的動きが明確になった夜です。一つは、中間選挙で示されたアメリカにおける「オバマ離れ」「オバマ忌避」の隠し難き流れ。久しぶりにアメリカの選挙記事で「sweep」という単語を目にしました。

 特に”これ”という争点を特定できない中で、「オバマ大統領の信任投票」の側面が強かった。その中間選挙での民主党の大敗、特に上院での大敗北は、要するに「オバマ的政治スタイル・理念へのアメリカ国民の拒否反応」と理解することが出来る。

 多分今まで45だった共和党の上院での議席は最終的に「53」に達する。つまり、今まで「55」を持っていた上院民主党は「47」の少数派になる。改選数(三分の一)を考えれば共和党の劇的勝利です。共和党は下院でも議席を伸ばした。予想以上の共和党の躍進、ホワイトハウスを持つ民主党の敗北です。

 では「共和党の何がウケたのか」と問われれば、明確ではない。多分「議会両院を共和党に与えることによって、アメリカの”行き詰まりの政治”に終止符を打って欲しい」との国民の曖昧なる声が聞こえるだけだ。そういう意味では、結果は決定的だが、「ではアメリカの政治が今後どう動くか」はこれからの問題だと言える。

 今朝のアメリカの新聞によれば、オバマ大統領は日本時間の今朝5時前にホワイトハウスで記者会見し、中間選挙結果を受けた「今後の政治課題」に触れる。多分「党派を超えてアメリカは団結しなければならない」的な内容になると思う。しかし共和党が今後狙うのは、候補さえも絞れていない2年後の大統領選挙を「どうやって勝つのか」です。それが出来れば「議会だけでなく、共和党の米政治スイープ」となる。クリントン氏は強烈な対立候補です。党派を超えた候補になる可能性がある。議会を抑えても共和党には強敵だ。

 記者会見後のオバマ大統領の予定は、金曜日に民主、共和の議会指導者とホワイトハウスで会談するという。この会談で今後のアメリカの政治、「オバマの残り2年間」というか、「次の大統領までの2年間」がどうなるのかがかなり明確になる。対立路線か、融和路線か。

 これは今後の調査結果によって明確になると思うが、オバマは内政、外交の両方で国民から「ノー」を突きつけられたと言える。「中間層」という単語を連発し、理念を売ったにもかかわらず、何一つその方向には動かず、結局「言葉が踊っただけ」のオバマの内政。

 もう一つは不決断、迷いによって混迷を深め、アメリカ国民を不安にさせたオバマ外交。やはり決定的だったのは「テロ集団としてのイスラム国の台頭」と「エボラ出血熱」の封じ込め失敗へのアメリカ国民の失望が大きかったと思う。

 むろん後者は「オバマの責任」というのは酷だ。しかし大統領にとってはアメリカでの二次感染例の発生時期が悪かった。前者は明らかにシリア情勢に対するオバマ外交の優柔不断に失敗の一端がある。今現在出ている中間選挙結果への”反応”としては、株式市場での「歓迎」となっている。

 もう一つの政治的動きとは、APECでその可能性が取りざたされていた日中首脳会談。どうやら将来「あった」とも「なかった」とも言える状況で決まり、ということになりそう。

 習近平は主催国のトップとして安倍首相とは個別に会うが、「正式会談」とはしないという方向。一部の今朝の日本の新聞は「面会方式」と呼んでいる。中国側が出していた2条件(尖閣での主権を巡る問題の存在確認と今後靖国参拝を安倍首相がしないという誓約)は、安倍政権としては受け入れがたいでしょう。だから「正式会談」はセットしようがない。

 しかしAPECの主催国のトップとして「お客さんの要請」をにべもなく拒否するのは難しいのも確かだ。そこで多分落とし処としては「会うが、後々”正式会談”ではなかった」と言える”面会”。”面会”と言えば、長くて30分でしょう。表敬訪問に毛が生えたようなもの。

 この二つは、今の日本にとって「特に大きな現状変更」ではない。予想された落とし処です。しかしどちらも、今後の日本にとって「じわり」と今後影響が出てきそうな事象です。


2014年11月04日(火曜日)

 (13:15)今朝はめっちゃ笑ったな。全く知らなかったのでビックリ。

 例年年末が近づくと「その年のヒット商品ベスト10」的な特集が雑誌などで公表されるじゃないですか。今日はその第一弾でこの番組日経トレンディを取り上げたのです。今年のベスト(トップ)は例のごとく「アナ雪」「妖怪」「USJ」などが並んでいた。

 面白かったのは、「2015年にヒットしそうな商品」で、その2番目になんと自撮り棒なるものが登場。そう、今は私の周りの人は「自撮り」は自分の手でやっている。しかし来年は指し棒のようなこの棒が「流行るだろう」とトレンディは予測。

 まあそりゃあってもおかしくない。でもそこまでして自撮りをするか....と思ったのです。どうやら発祥は中国とか韓国らしい。それでなくても使いたい気分ではないのですが、番組参加者の一人が「福岡では大流行。女子は福岡では持っていない人はいない」と。

 そんなの「通りがかった人に撮ってもらえば....」と思うのですが、他の一人が「カメラアングルを自分で決めたい....」とか言い出した。なるほど、それはある。頼んでもアングルや撮影領域が「趣味に合わない」ケースがある。でもな.....と私。

 これは冗談半分に思ったのですが、「中国や韓国ではその方が安全なのかも」と一瞬。そんなことは稀でしょうが、やはり日本ほど安全ではない。やはり私でも彼の国に行けば身の周りの自分のモノには気をつける。「渡すよりは自分で....」と考える人がいても不思議ではない。

 福岡は中国や韓国の旅行者が多いので、そこから広まっているとも思える。うーん、日経トレンディの言うように全国的ヒットになるのかどうか。多分「これは便利」と思う人は出てくるんでしょうね。

 あ、それからマーケットは今朝も激しく動いていますね。今朝私の見方を書いてアップしておきましたから、興味のある型はどうぞ。


2014年11月03日(月曜日)

 (16:15)明日に持ち越すほどのこともないので、種明かししますね。

・('ε')brown one64     →鱈子茶碗蒸し

・Ag south コロッケ     →銀杏コロッケ
・まままおにぎり       →秋刀魚おにぎり
・〆鯖燻製          →そのまま
・マロンゾーラ        →そのまま

・北京ダック風4胡坐    →北京ダック風のフォアグラ
・黒トリュフ風4agoo♪   →黒トリュフ風のフォアグラ

・44               →寿司

・Buble B Pasta      →アワビパスタ

・とっべーゃしるじば     →バジルシャーベット

・29鍋              →肉鍋

・How much 5:30       いくらご飯


2014年11月03日(月曜日)

 (09:15)以下はこの週末に行った西麻布のある日本料理店のメニューです。全部直ぐに分かった人は凄い。私もいくつか分からなかった。

・('ε')brown one64

・Ag south コロッケ
・まままおにぎり
・〆鯖燻製
・マロンゾーラ

・北京ダック風4胡坐
・黒トリュフ風4agoo♪

・44

・Buble B Pasta

・とっべーゃしるじば

・29鍋

・How much 5:30

今月のデザート(800円) 下記の3つがセットになっております。
名物 白い○ー○ー&黒ゴマシャーベット
いちち”くのコンポート

お飲み物はコーヒーかほうじ茶をお選びください。

 まあ美味しい店ですよ。ある素材、例えば秋刀魚とかをがっつり使った料理を食べたいというような人間には、あまりにも各種の素材を少しずつ入れすぎている印象はする。しかし面白いし、美味しいので許せる気がする。

 このレストランで最後の最後の食事として出てくるこしいぶきは、本当に美味しいですよ。炊きあがったご飯にちょっと塩をふって。いくらんんていりませんがな。(正解は明日)


2014年11月02日(日曜日)

 (11:15)おやおや、彼と会ったのはもう6年前か。確かNHKの仕事でアメリカに行って、ノーベル賞を受賞した直後の彼にインタビューした。ここに文章が残っていますが、クルーグマン教授とのインタビューの後の写真撮影。その日のフィナンシャル・タイムズのWhy Mr Krugman deserves his Nobelというエディトリアルを見せたら、「まだ読んでないんだよ」と言いながら、最後に覗き込んで興味深く読んでいたのが印象的だった。そのころは彼は日本に批判的だったな。「何しているの」と。

 しかし今回の彼のニューヨーク・タイムズへの寄稿は、「Apologizing to Japan」「日本への謝罪」がタイトルになっている。

 そういう意味では日本は世界の先頭を走っていた、ということになる。あまり先頭を走りたくはない問題ですが。今回の文章は読んでいて面白い。

――――――――――――――

Apologizing to Japan

TOKYO ― For almost two decades, Japan has been held up as a cautionary tale, an object lesson on how not to run an advanced economy. After all, the island nation is the rising superpower that stumbled. One day, it seemed, it was on the road to high-tech domination of the world economy; the next it was suffering from seemingly endless stagnation and deflation. And Western economists were scathing in their criticisms of Japanese policy.

I was one of those critics; Ben Bernanke, who went on to become chairman of the Federal Reserve, was another. And these days, I often find myself thinking that we ought to apologize.

Now, I’m not saying that our economic analysis was wrong. The paper I published in 1998 about Japan’s “liquidity trap,” or the paper Mr. Bernanke published in 2000 urging Japanese policy makers to show “Rooseveltian resolve” in confronting their problems, have aged fairly well. In fact, in some ways they look more relevant than ever now that much of the West has fallen into a prolonged slump very similar to Japan’s experience.

The point, however, is that the West has, in fact, fallen into a slump similar to Japan’s ― but worse. And that wasn’t supposed to happen. In the 1990s, we assumed that if the United States or Western Europe found themselves facing anything like Japan’s problems, we would respond much more effectively than the Japanese had. But we didn’t, even though we had Japan’s experience to guide us. On the contrary, Western policies since 2008 have been so inadequate if not actively counterproductive that Japan’s failings seem minor in comparison. And Western workers have experienced a level of suffering that Japan has managed to avoid.

What policy failures am I talking about? Start with government spending. Everyone knows that in the early 1990s Japan tried to boost its economy with a surge in public investment; it’s less well-known that public investment fell rapidly after 1996 even as the government raised taxes, undermining progress toward recovery. This was a big mistake, but it pales by comparison with Europe’s hugely destructive austerity policies, or the collapse in infrastructure spending in the United States after 2010. Japanese fiscal policy didn’t do enough to help growth; Western fiscal policy actively destroyed growth.

Or consider monetary policy. The Bank of Japan, Japan’s equivalent of the Federal Reserve, has received a lot of criticism for reacting too slowly to the slide into deflation, and then for being too eager to raise interest rates at the first hint of recovery. That criticism is fair, but Japan’s central bank never did anything as wrongheaded as the European Central Bank’s decision to raise rates in 2011, helping to send Europe back into recession. And even that mistake is trivial compared with the awesomely wrongheaded behavior of the Riksbank, Sweden’s central bank, which raised rates despite below-target inflation and relatively high unemployment, and appears, at this point, to have pushed Sweden into outright deflation.

Continue reading the main story The Swedish case is especially striking because the Riksbank chose to ignore one of its own deputy governors: Lars Svensson, a world-class monetary economist who had worked extensively on Japan, and who had warned his colleagues that premature rate increases would have exactly the effects they did, in fact, have.

So there are really two questions here. First, why has everyone seemed to get this so wrong? Second, why has the West, with all its famous economists ― not to mention the ability to learn from Japan’s woe ― made an even worse mess than Japan did?

The answer to the first question, I think, is that responding effectively to depression conditions requires abandoning conventional respectability. Policies that would ordinarily be prudent and virtuous, like balancing the budget or taking a firm stand against inflation, become recipes for a deeper slump. And it’s very hard to persuade influential people to make that adjustment ― just look at the Washington establishment’s inability to give up on its deficit obsession.

As for why the West has done even worse than Japan, I suspect that it’s about the deep divisions within our societies. In America, conservatives have blocked efforts to fight unemployment out of a general hostility to government, especially a government that does anything to help Those People. In Europe, Germany has insisted on hard money and austerity largely because the German public is intensely hostile to anything that could be called a bailout of southern Europe.

I’ll be writing more soon about what’s happening in Japan now, and the new lessons the West should be learning. For now, here’s what you should know: Japan used to be a cautionary tale, but the rest of us have messed up so badly that it almost looks like a role model instead.


2014年11月01日(土曜日)

 (11:15)そうか、この週末で北米も標準時に戻るのか。と言うことは米東部と日本の時差は本来の14時間に。冬ですな。

 ところで今朝は朝から奇妙な格好をした人々に遭遇。多分昨日の夜から騒いでいたんでしょうね。雨の中を可愛そうに。日本も面白い(二つの意味で)国になったものです。今にクリスマスよりハロウィーンが大きな行事になりそうな。ほんと、なんでも取り入れますね。ま、いいんじゃないでしょうか。

 ところで、ハロウィーン・プレゼント的に見える黒田日銀の大規模緩和追加策は、世界中の株価を押し上げたようです。今朝ウォール・ストリート・ジャーナルを見たら、ダウとS&P 500 がともに「史上最高の引け」となっている。ダウは195.10ドル上昇して 17390.52ドル。 S&P 500も 23.40 ポイント上昇して 2018.05。

 今世界中の株式市場の金曜日の結果をブルームバーグでちらっと見たら、下げている市場はテルアビブとかアブダビなどごく一部に限られている。珍しく「日本市場が世界の株価を先導した」という形。

 アメリカのQE3が終わり、「これからどうなるのだろう」と思っていた投資家が多い中での「大規模追加緩和」(ウォール・ストリート・ジャーナル)。「世界は今後も潤沢な流動性をエンジョイできる....」と皆改めて認識したということでしょう。それが良いかどかは別にして。

 これはこの番組でも言ったのですが、くだらない単語が飛び交って、相手の揚げ足ばかり取っていて、いつ見ても進歩がないとも思える国会に比して、今の中央銀行の持つ影響力の大きな事。

 財政がにっちもさっちもいかなくなると、政府が経済に影響を与える度合いは減ってしまう。本当はそれではいけないのです。やることは一杯ある。構造改革も規制緩和も農業政策も。しかし「カネさえ出せば」の政策に依存しているから、お金がなくなった段階で影響力を落としてしまう。

 マーケット的に言うと、この木金でついたモメンタムが来週のマーケットでどのくらい続くかでしょう。



ALL RIGHTS ARE RESERVED.Copyright(c)1996〜2016 伊藤 洋一