2015年11月30日(月曜日)

 (22:40)ははは「Now comes the hard part」ですか。なかなか良い表現だ。

 この文章を書いている段階ではまだオフィシャルにはなっていないのですが、多分IMFは中国の人民元にSDR構成通貨の地位を与える。しかしそれは一般的に言われているように「中国にとっての名誉」「利益」「日本にとっての脅威」だけではない。恐らく中国に難しいシチュエーションを与える。それをウォール・ストリート・ジャーナルはこう表現しているのです。

 実は私も昨日のテレビでもこのことを言いました。実際に中国にとっての名誉だけではなく、試練でもある、と。今朝書いた文章でも『人民元のSDR入りは中国にとって両刃の剣となるもの。「人民元のSDR入り」は習近平が語る「中国の夢」の一環ではあるが、「よりマーケット・フォースに従う人民元」は中国にとってやっかいな問題を引き起こす可能性がある。』と記した。だって最後は党が支配している国ですから。衝突する。

 ウォール・ストリート・ジャーナルはこう書く。「 Now comes the hard part.The inclusion puts new pressure on Beijing to change everything from how it manages the yuan, also known as renminbi, to how it communicates with investors and the world. China’s pledges to loosen its tight grip on the currency’s value and open its financial system will come under new scrutiny.」

 記事はここにあるのですが、最後の方の文章に「It would be like a cultural change of sort for the central bank」という記述も見える。そりゃそうだ。面白い。

 ま、IMFも無条件ではSDR入りを認めないでしょうね。条件を付けるかも知れない。例えば実際に人民元がSDRに入るのは来年の末で、その間に中国が「人民元の人為的な管理を著しく減らし、人民元を国際通貨に相応しい通貨とする」など条件を付けることだ。

 それにしても先ほど北京の空気をテレビで見たのですが、凄まじいですね。あれは視界が悪いという以上に、多分「異常な臭い」がするはずです。前回上海に行ったときに非常に悪い汚染を経験した会社の同僚が言っていた。「異様な臭いがする」と。

 その時に習近平主席はパリで世界の空気を改善するための会議に出ている。何か会合や大会をやるときには北京の空気は綺麗になるが、通常ではあの汚さとするならば、表と裏が違いすぎる印象がする。


2015年11月29日(日曜日)

 (08:40)ははは、朝の8時過ぎの青山絵画館通りに仰天しました。車は一杯、人は行列を作っている。

 多分行列は何かのイベントのそれだと思うが、車は明らかに「銀杏の紅葉」を狙ってきたもの。そりゃ皆さん知ってますよね。この時期の絵画館通りの美しさを。祭りも最中やし。だから私はカメラを空にも向けて。綺麗でしょ。一枚目の写真です。

 思ったのは「東京にも綺麗な紅葉はある」「別に他に行かなくても」と。先日京都で「真如堂が綺麗」と言われて行ったが、全くそんなことはなかった。ははは。


2015年11月29日

2015年11月29日

2015年11月29日


2015年11月27日(金曜日)

 (14:40)今朝の新聞では二つの記事が面白いな。一つ目はフィナンシャル・タイムズのこの記事ですが、実は同じ記事の紙の新聞の方の見出しが面白い。「’Stem flow of migrants to EU or risk fate of the Roman empire'」と。

 「ローマ帝国」が出てきましたか....という感じですが、これを言ったオランダの首相であるマルク・ルッテは来年の1月から持ち回りによるEU議長に就任する。その議長が「抑制派」になることの影響は大きい。

 「もしかして今の欧州がかつて周辺の諸民族の流入によって瓦解の道を歩んだローマ帝国の二の舞に陥るかも知れない」というのは誰もが考えることですが、それを「口に出した」ということが興味深い。

 実は紙の新聞の見出しの打ち方と、ネットの見出しの打ち方は違う。ネットでは「Refugee influx threatens fall of EU, warns Dutch PM」とおとなしいし、中の文章もよく見ると微妙に変えてある。紙の新聞の見出しの方が eye-catching です。

 この新聞を読んだ人は、「ついにそれを出してきましたか」と思うでしょう。故事は誰でも知っているだけに説得力を持つ。繰り返すが、次期EUの議長がそれをあえて使った、ということが重要で、EU内で議論を巻き起こすと思う。

 二つ目はウォール・ストリート・ジャーナルにある。これはネット上では同紙が図表や地図をうまく使って展開している新しいタイプの記事の一つです。サイトを見れば従来の記事との区別は明確です。その記事が紙の新聞の一面にも登場している。

 この記事は経済の成長における「人口」の要素が極めて重いということを改めて指摘したもので、人口の頭打ちとともに成長率の大幅な低下に直面している我々日本人にとっては「今更」と思える記事ですが、興味深いのは頭の方に出てくる一つの指摘です。

 それは、それは第二パラグラフにあって「Next year, the world’s advanced economies will reach a critical milestone. For the first time since 1950, their combined working-age population will decline, according to United Nations projections, and by 2050 it will shrink 5%. The ranks of workers will also fall in key emerging markets, such as China and Russia. At the same time the share of these countries’ population over 65 will skyrocket.」と。

 つまり、「世界の先進国経済は来年重要な分岐点に立つ。1950以来初めて、先進国経済で働く労働年齢人口が来年に減少し、2050年までに5%減少するのだ」と。加えてこの文章は、それは先進国以外、例えば中国やロシアでも同様で労働力人口は減少し、65才以上の人口が急増する」と。

 デモグラフィーが変化すれば経済は変化するというのは当たり前の話なので、その後の話は「そうだよな」と思って読めるのですが、先進国全体で来年「労働力人口の減少」が始まるとは知らなかった。

 今後の世界経済を考える上で、またその中の各国経済を考える上で重要な視点だと思う。


2015年11月26日(木曜日)

 (23:40)一瞬のうちに緊張激化。ともに大人の国ではあるが、”民族”が絡むと思わぬ方向に展開する危険性もある。

 トルコ空軍によるロシアの戦闘爆撃機撃墜問題です。直近ではプーチン大統領はトルコ政府に謝罪を求めているが、トルコ政府は「正当なことをしたまで」と譲る気配はない。そうした中でロシア政府は得意の「検査のため」と称してトルコからの主に農産物輸入に嫌がらせを始めた。一種の経済制裁だ。

 調べていくと複雑です。このサイトで明らかなようにトルコのエルドアン大統領は「バユル・ブジャク地区のトルクメン人」に繰り返し触れている。つまり「親戚がアサド政権やロシアから攻撃されている」「見逃せない」との主張。

 では「バユル・ブジャク地区のトルクメン人」とはどういう人達か。「he Turkmens of Bayirbucak」という文章があって、つまりシリアとトルコの国境が画定されたときからの問題だと分かる。つまり「シリア・サイドに取り残された同胞」というのがトルコ側の捉え方。

 アサド政権やISIS攻撃を口実にした「バユル・ブジャク地区のトルクメン人」に対する攻撃が激化しているために、この地区のトルクメン人が「より安全なトルコとの国境近くに押し寄せている」という記事も見つけた。トルコとしてはそもそも「ロシアはけしからん」と思っていたのだ

 トルコとシリアの国境を見ると、ところどころで入り組んでいる。トルコ領がシリアサイドに出っ張っているところがあるのだ。これから見ると、ほんの一瞬でもロシア機がトルコ領を侵犯した可能性はある。一説には17秒間という説も。トルコは警告の録音を公表している。

 関係悪化は突然やってきた。欧米の対ロ制裁にトルコは加わらず、それもあってプーチン大統領ははこれまで、トルコのエルドアン大統領と良好な関係を築こうとしてきた。トルコの農産物輸出もロシア向けに増えていた。欧州各国がロシアに輸出しなくなったからだ。

 さらにロシアからのトルコ向けパイプラインの共同建設話などが進んでいた。つい先日まではプーチン氏はトルコを「優先的なパートナー」で「親しい友人」と呼んで、エルドアン大統領と良好な関係を築くことに気を砕いてきていた。

 そこにこの事件だ。トルコは長きにわたってNATOの一員で、そのNATOは「アサド政権の退陣」を求めている。アメリカも同じ。対してロシアの戦略は「アサド政権を中心に据えてのシリア政局の安定化」だ。そもそもの対立点がここにある。

 だからトルコとロシアの関係改善は元々脆弱だったが、ここに来て「バユル・ブジャク地区のトルクメン人」の問題もあり、「ともに引けない立場」になった。そこで登場するのがフランスのオランド大統領だ。今日か明日プーチン大統領と会談する。ともにISISから多数の自国民を殺された。

 「頼むからシリアでの爆撃は対ISISに集約してくれ」とオランドは言う。それに対してプーチンが「分かった」と言うのかどうか。かなり難しい。しかしロシアには弱点もある。徐々に「友達が少なくなっている」という点だ。もしかしたら、そこが鍵になる。


2015年11月25日(水曜日)

 (17:40)本州の西をあちこち移動しながら、ずっと私の頭の中にあった単語は、「経路依存性(Path dependence)」であり、それとの関連から国も社会も「それ(経路の起点とその後の展開)が多いほど経済が多様で豊かになる」という視点です。

 「経路依存性」はいろいろに理解できるが、一般的には「あらゆる状況において、人や組織がとる決断は、(過去の状況と現在の状況は現段階では全く無関係であったとしても)過去にその人や組織が選択した決断によって制約を受ける」という考え方。

 難しく考えなくても、「常識」と言えるものです。我々も普段そう考えている。あれがあったから、今のこれがある、というような。もっと簡単に言えば「ものごとにおいて歴史的経緯はとても重要である」ということです。

 なぜ長州が明治維新胎動の舞台になったのか、なぜ宇部には今でも本社を同地に置く有力企業が多いのか。考えれば要するに全て繋がっている。何かがあるから、何かが生まれて、今も残っている。

 毛利藩が瀬戸内海に城を作れていたら、もし領地を減らされても60万石程度の大藩でいられたら、もし吉田松陰が斬首ではなく切腹であったらなど、考えれば面白い仮定は一杯出てくる。歴史が選んだ道は一つだが、それぞれに可能性があった。

 火曜日でしたが、宇部経済倶楽部の方々を相手に講演したのですが、その前後の会話で非常に面白かったのは、「宇部は石炭が出た。しかし品質が良くなかった。しかしそれが今の産業発展の起点になった」というのです。これは面白い話だった。

 かつての日本の産業を支えたのは石炭です。黒いダイヤと言われた。品質が良かったのは九州と北海道の石炭です。炭鉱名はご存じでしょう。宇部も石炭が出た。軍艦島と同じく海底炭鉱で、大きな落盤事故もあったらしい。しかも品質が良くなかった。しかしそれが宇部には良かった。

 「宇部炭は品位があまり高くなかったこともあり、硫酸アンモニウム等の化学肥料に転換されたり、セメント製造の燃料として用いられる等の効率的な使用が行われ、やがて宇部の化学コンビナートへと発展することになる。」とwikiにも書いてある。それを宇部興産の方々から聞いて、「なるほど」と思った。

 つまり人々が品質の悪い石炭を使ってどう生き残るか(北海道や九州の炭鉱と競争できなかった)を考えたら「肥料」に行き着き、その広がりの中でセメント(小野田セメント)やガラス(セントラル硝子)になっていったと。話を聞いたら全く「経路依存的」な産業を起こり方をかたをしている。実に面白い。

 その後を考える、品質が良かった石炭を生産した九州や北海道の炭鉱はそれ故に暫く生き残ったが、手を加えるまでもなく品質が良かったが故に、「石油の時代」の到来で一気に時代遅れの存在になった。九州や北海道の炭鉱がその後辿った道は良く知られている。

 面白かったのは、宇部で育った企業は、依然として宇部に本籍を置き、税金を宇部に落としているというのです。それは京都に似ている。宇部興産も、セントラル硝子さんもそうらしい。本社は東京にあっても、本籍は宇部。

 もちろんこの手の経路依存的な話は全国に一杯ある。そして思うのは、そういう話が一杯ある国ほど抱える、揺籃する産業や企業が多くなるのだろう.....と。日本はそういう意味では非常に昔から各藩があり、各地域があり、それぞれに資本の集積があって、様々な資源もあって、それが産業を育てている。

 その一つの地域的な典型はやはり瀬戸内海でしょう。昔からヒト、モノ、カネが移動した。この狭い水道としての瀬戸内海、それを取り囲む地区を昔から私が好きな理由はそこにあります。面白い企業、面白いヒトが一杯いる。今回またそれを確認しました。

 そして重要な事は、「経路の起点とその後の展開」には「一人一人の人間が関与できる」ということです。私はこれを「天童の将棋の駒」を調べているときに強く思った。

 詳しくは時間がないので書きませんが、「吉田」という人がいなかったら、「天童に将棋の駒」作りの産業は生まれなかった。そう考えると、むろん自然条件など様々な要因があるが、やはり経路の起点を作るのも、経路の方向を変えるのもヒトだと言える。


2015年11月24日(火曜日)

 (14:40)3日弱この山口県を中心とする本州の西を回ってみて感じたことは、「とっても豊かな地域だ」ということです。山あり、海あり、海流あり、そして古代から人が住み、歴史がある。昔の人々の気が残っている。壇ノ浦だけでなく。

持石海岸 とっても綺麗でした  だから、移動していて見つけ、そして一番笑った文章は、阿武町の鹿島の湯の入り口に掲示してあった次の文章だ。ここには土曜と日曜の二回行きました曰く「若し長州が維新の雄藩たらざりせば、長州は風景国として、天下に持て囃やされてゐたであらう。長州の自然趣味が今まで、ひろく世間に理解されなかつたのは、余りに政治上に知られたからである」。  明治5年(1872)に萩に生まれ、旧制山口高等学校から束京帝国大学国史科に進学、卒業後は読売新間,毎日新聞記者を経て、駒沢大学・国学院大学教授として教壇に立った横山健堂という人が『長周游覧記』に書いた文章らしいが、同感である。

 そう、「長州」と聞いただけで我々は「維新」「政治」を思い浮かべる。あまりにも存在が圧倒的だったので。しかし地元の人達にはそれが誇りであっても、「それだけじゃない」という思いがあるに違いない

 実際に面白い土地です。北に日本海があって、それがまたとっても綺麗なのです。益川から萩、そして長門に向かって海岸沿いの国道を走ってみましたが、右手に見える日本海はとっても荒々しくも秀麗でした。人も少なく実に爽やか。

クエ鍋は何回も食べるが、実物を見たのは初めて  そして1時間も山間を走れば到達する瀬戸内海。人と家と車は多いが、その分経済活動が活発です。ユニクロを初めとして、多くの企業揺籃の場所となっている。瀬戸内海は昔から経済活動が活発というか物流の中継点で、資本の集積があったし、技術も集積した。

 宇部には宇部興産があり、その隣の小野田にはセメントがあり、企業が一杯生まれている。ユニクロはもっとも最近成功したこの地方の会社です。過去のこの辺の会社は海運か資源、それか物流、製造業で、要するに卸しの世界だったが、今は小売りの企業が台頭してきている。

 今朝は宇部から一時間も走れば行ける下関で唐戸市場を一時間ほど鑑賞し、壇ノ浦の海流のすごさを確認し、そして豪華海鮮バージョンで朝飯を食べましたが、「海辺ならでは」の豪華さでした。なんと言っても河豚。

ちょっと朝から食べ過ぎ ? でも昼夜を軽めに  さらに足を伸ばして門司の港、港の駅なども見ました。上の道路も下の道路も通りましたが、当然ですが近い。下関に近づくと「門司まで12キロ、北九州まで23キロ」とか出てきて、ドキドキする。ははは。概ね車では本州の中を移動している人間ですから。

 この地方は山が低い。最高に高い山で山口県は1040メートルと運転手さんが言っていました。確かに「ここはブータンか」と思うような秩父のような山深さはない。それほど急峻ではないのです。穏やか。そこに面白い事に「各1時間」の車の走りで次の大きな街に出る。

 ほどよく離れいていて、それぞれに個性がある。これは島根県の街ですが、「津和野」なんて春は綺麗そうだな。山間の街で、屋根が茶色。まるでドイツの田舎町のようです。瀬戸内海側の家の瓦は黒でした。

来たかった市場でした 面白く、美味しかった  萩は先日書いた通り。長門も静かな良い街です。日本の交通の本流から外れているのが喧噪を遠ざけている風で良い。あんなに日本海側の海が綺麗だなんて知りませんでした。津和野と萩にはまた行きたいと。

 宇部もいいですよ。何より空港から市内が10分ですから。「空の足の観点からすると、日本では福岡に次いでこの宇部空港が良い」とここの人に言うと皆笑うのです。でも街中は「何とか街」でちょっと寂しいな。


2015年11月23日(月曜日)

 (06:40)「そうなるよな。大阪の人達は寂しくなっちゃっていたから.....」と思いました。大阪のダブル選挙での「おおさか維新の会」のダブル勝利です。知事選と大阪市長選。

 大阪の人達は、自分達で「都構想」を敗北に追いやったその瞬間から一つ気が付いたことがあった。それは「都構想なきあとの大阪は、何もなくなった。ひょっとしてただの大きな地方都市....」。

 その言葉を非常に多くの人から聞いた。別に橋下支持でなく、むしろ彼に反感を持っている人からも。明らかに、大阪の人達にとっては橋下さんは、良い意味でも悪い意味でも「にぎやかし」だった。

 「にぎやかし」とは関西の人が結構使う。『《動詞「にぎやかす」の連用形から》にぎやかにすること。また、にぎやかさを少しだけ添えるもの』と辞書にはある。つまり、「寂しさ」を乗り越えるための一工夫、一仕掛けということです。「都構想」を負けさせたら「にぎやかし」が無いことに気が付いた。それでまた.....というわけか。

 「にぎやかし」が必要な事を認め、大阪の人々は「系」の二人を当選させたが、「都構想」が「にぎやかし」の領域を出られるかは分からない。何せ言い出しっぺ(橋下さん)の「今後どうするのか」の立ち位置が不明だし、仮に政治の世界に戻るとしてもいつまでも「大阪のにぎやかし」の政策で全国に支持者を増やすわけにはいかないだろう。福島や北海道の人が「大阪の都構想をどう思う」と聞かれてもシラケるだけだ。

 しかし今の「おおさか維新の会」に、全国に通じる、全国の人に訴える考え方、主張があるようには思えない。だから彼等は純化を選んだ。党名にわざわざ「おおさか」を加えた。全国政党としての「維新の会」は依然として存在する。都構想に私は別に反対じゃない。だって中味がよく分からないから。

 私が見るところ、「都構想」はいつまでたっても「枠組み論」の粋を出ない。今回のダブル選挙でその問題がクリア出来たとは思えない。松井・吉田両氏の記者会見では、集まる記者も少なくなるだろう。

 だから、「橋下なき都構想」は、一段とあんこなき枠組み論になる危険性がある。その危険性を「新しいあんこはあるよ」と改めて「おおさか維新の会」は言えるのか。それとも「やっぱり橋下依存」に戻るのか。それが問われると思う。かつ、「あんこ」にも賞味、消費期限がある


2015年11月22日(日曜日)

 (22:40)初めて来て持った印象は、

 「やはり変化は辺境から生まれるのか」
 「革命を起こすにはちょうど都合の良い場所だったんだな」

  .....ということです。ずっと来たいと思っていた萩の印象。

 たまたま連休明けに山口県内で講演が入っているので、事前に入ってこの辺をウロウロしているのです。中国地方の西のサイドは、私がもっとも手薄にしているところの一つで、萩にもこれまで来れていなくて、「いつか行きたい」とずっと思っていた。

松下村塾の前で  萩は江戸時代に入って13代まで毛利家が城を構えていたところ。維新の際に範を垂れる意味で城を自ら壊してしまって、萩城は今はない。「構えていた」というより、江戸の幕府に追いやられていたというのが当たっている。関ヶ原の戦いに敗れたが故に、毛利家は瀬戸内海沿いに城を作ることさえ許されなかった。

 かつての120万石から37万石にも減封された。もうそりゃ大変です。藩士を食べさすのも容易ではない。きっと下級藩士の多くは厳しい生活を余儀なくされたはずです。松蔭先生も殺され、その屈辱が明治維新で一気に爆発したのではと私はずっと思っていた。

 今日ちらっと見ただけですが、その印象を強くしました。萩は静かな、そして落ち着いた良い街です。海と山があって、とっても料理が美味しそう。しかし目がどちらを向くかというと、「明治維新を先導した英雄達」、そしてその足跡です。

 本当かどうか知りませんが、タクシーの運転手さんが、「萩出身の日本の首相は4人、山口県出身の首相は菅直人を入れて9人です」という。多いのは知っていたが、萩出身が4人とは知らなかった。しかし伊藤博文以下しばらくはずっと萩の出身者が首相になっていた印象も残る。

 それらの英傑を生んだ松下村塾をまず見ました。運転手さんが言うんです。「昔は午後になると人などいなかったのに.....」と。ま連休の中日だったからかもしれないが、今日は多かった。駐車場のおじちゃんが、「もう車止めるところないから」とか言っている。

 吉田松陰は29才で幕府から江戸に出頭を命じられ、切腹させられている。今世に出回っている肖像はすべて想像ですが(彼の写真はない)、それにしても年寄りに見える。40〜50才か、その上。しかしそれは別にして、13才で講師を務めたとは凄い。

 今回知って「彼はもっと凄い」と思ったのは、日本を九州から東北まで1300キロも歩いたというのです。「まず土地と人々を見ることから始めねばならない」と。その回った道が萩博物館に表示してある。それはそれは凄い距離です。

松蔭先生も、高杉も座った....  萩に来て初めて、今NHKが日曜日の夜やっている大河ドラマが萩を舞台にしていることを知りました。なにせNHKの大河ドラマはもう10数年全く見ていない。それよりも私が好きなのはスクープハンターですが、それは置くとしてドラマの舞台になろうとなるまいと、萩は面白い、思考を巡らすには良い場所だと思いました。

 石垣がとってもいいんですよ。黒い石と明るい色の黄色に近い石をうまくモザイクに組み合わせている。美的センスがあるなと思いました。あんな石垣は数多く石垣を見ている私にとっても初めてでした。

色合いが面白い  「初めて」と言えば、黄色に塗られたガードレールも山口県だけのものとか。何の黄色か。みかんの黄色とか。あと一つ、運転手さんが面白い事を言っていた。「宇部」って街があるあないですか。宇部興産とか。その「宇部」がどこから来ているかご存じですか、と。

 彼によれば、今の17万人が住む宇部の町は、かつては海だったそうな。それは日本ではよくある話です。東京の八重洲の辺も全部そう。宇部の場合、海は今の琴崎八幡まで来ていたそうです。

 で昔坂の上に住んでいた地元の人は、今の「宇部の街の辺を「うみべ」と呼んでいた、と。そりゃそうだ。しかしそれがいつしか短縮されて「うべ」になり、漢字が付けられたと。それだけでなく「宇部」の語源についてはいろいろ説があるそうです。しかし運転手さんは固くそれを信じているようだった。


2015年11月22日(日曜日)

 (16:40)奇妙で変則的な”国際大会であるプレミアム12”で「勝者」と言えるのは、日本の大谷でしょう。あのインビンシブルな投球は、彼がその気になれば世界最高峰の野球リーグであるMLBで直ぐに通用することを証明した。

 なぜ「奇妙で変則的」と言うかというと、世界でもっとも野球をする能力が高い選手がより多く集まっているアメリカの大リーグ機構の現役選手が、誰一人として参加していないからです。

 「むかし、そう言えばいたな」という選手はベネズエラの投手などにいた。しかし現役のMLBの選手は誰一人として参加していなかった。私が見る限り。よってアメリカ・チームは現在はマイナーかその下にいる選手で構成されていた。だから彼等の勝っても「韓国が世界一」というのはおかしな話だ。

 しかし見ていて「個々の選手の能力」は比較的良く分かった。そしてその中で誰よりも「傑出している」と思えたのは、日本の大谷翔平だった。何せ13イニングほど投げたが、打たれたヒットは3本。

 2回韓国に当たっているので、韓国の選手達は特に2回目の準決勝では大谷の球をある程度”予測”出来た筈である。しかし韓国の監督は「当てるのも難しかった」と言った。一番注目される発言は、イ・デホ選手(今年までソフトバンク・ホークスに所属)の「レギュラー・シーズンより大谷の球は5〜6キロ速かった」と言うもの。

 その言葉を信じれば、つまり大谷はレギュラー・シーズンの8割ほどの力で投げている、ということになる。これは凄い。多分MLBのスカウト達が球場に足を運んでいたら(きっとそうだが)、彼を改めて高く評価しただろう(多分そうだが)。

 大谷の日本での契約がどのくらい残っているか知らないが、これは日本のファンとしては気になる。やはりアメリカでどの程度通用するか見てみたい気がするからだ。しかしそのMLBは「自国に世界最高峰のリーグがあり、そこに世界最高峰の選手の多くが来る」という現実故に、プレミア12だとかWBCには選手を出そうとしない。

 それはある程度無理もない。MLBの選手には年間で170を越える試合がある。そのいくつかには休養で出ていないが、チームには帯同しているので、そのシーズンが終わって、かつ10月も選手権を戦って、そして11月に国際大会に出てなどとはとても言えない。

 日本の選手は年間140試合ちょっとだ。加えてポスト・シーズンがあり、それはそれで疲れると思う。しかしそれでも選手にとっては「きついシーズン終わりのゆっくりしたい時期に....」ということになるだろう。

 日本のマスコミは「野球世界一が決まる」とか宣伝していたが、アメリカ・チームの選手構成を見れば、「どこが?」と疑問に思わざるを得ない。サッカーのワールドカップは「世界一を決める大会」だと思うが、今の野球の国際大会はその資格を欠く。

 そういう意味では日本が優勝していても、「世界一」の称号を与えるのには逡巡するだろう。その意味で私は、「今年のプレミア12の真の勝者」は大谷翔平君だと思う


2015年11月19日(木曜日)

 (19:40)朝からいろいろな情報に接していますが、フランスの警察とテロ集団の一味と思われる連中との7時間に及ぶ銃撃戦の現場サンドニの「その後」は依然として混乱しているようで、正確な様子はちっとも伝わってこない。

 首謀者とされるアブデルアミド・アバウド容疑者(28 ?)については、朝からワシントン・ポストは「死んだ」と報じているが、それがあちこち(日本の毎日もその線)に引用されているだけで、実際にはフランスの警察は確認していない。

 死者二人(拘束8人)のうち、一人は自爆した女ですが、もう一人の死体はあまりにもちりぢりになって「身元確認など出来ない状態」とされる。何せ銃弾5000発が発射されたようで、また自爆もあり建物そのものが崩れそう、との情報もある。

 それにしても、フランスの警察にとってショッキングなことは

  1. アブデルアミド・アバウド容疑者はシリアにいると思われていたのに、厳しい監視を潜って欧州に、しかも厳戒態勢のフランスに舞い戻ってきていた

  2. その場合、どういうルートで戻ってきたのか不明で、それは当局にとっては「気持ちの悪い話」であること。ということは、今でも難民に紛れてか、テロリストがシリアと欧州を行き来している危険性がある

  3. 武器の入手ルートがまだ特定できず(ベルギールートが可能性が高いとされる)、ということは今後もテロリストが大量殺戮の武器を入手する可能性があること

  4. アバウド容疑者を含めて、テロに参加した若者は少し前までは「普通の」「良い奴」と言われる連中で、それがたった数ヶ月の間にシリアに行く気持ちを持ち、ほんの僅かな期間で強烈なテロリストになっていること

  5. としたら、シリアで米、露、フランス、イギリスが強烈なISIS撲滅の為の爆撃をしても、結局はテロ志願者は減らず、逆にテロを拡散する危険性が増すのではないか
 といった点だ。だからといってシリアのISISをほっておけるわけはない。爆撃は今後も続くでしょう。特にフランスとロシアのそれは呵責無きものとなるに違いない。しかしその「実効性」はあまり検証されていない。

 その一方で、「飛行機の緊急着陸」と「引き返し」が世界各地で結構生じている。ただし筆者はこのことによって世界の旅行需要が大きく落ちるとは思っていない。それほど世界経済は脆弱ではないでしょう。9.11はあまりにも突然で衝撃が大きかった。

 今回のフランスのそれは、確かに衝撃は大きいし、悲惨なことだと思うが、全く予想外という訳ではない。9.11は茫然とした人が多かったのではないか。いずれにせよ、目立つ人間(今回の場合はアブデルアミド・アバウド容疑者)が消えても、今の状態だと次々に誰か次の人間が登場する危険性もある。

 それにしても、「死を覚悟した人間」の犯罪の阻止は本来極めて難しいとされる。「生きたい」と思っている人間には抑止が効く。その面ではISISは現代社会にとって極めて難しい相手です。


2015年11月18日(水曜日)

 (16:40)ははは、IBMさんは「Cognitive」という単語を本気で、馴染みのない日本でも広める努力を始めたようですね。今朝の日経の朝刊の21面から4ページに渡ってこの単語を中心に据えた広告が掲載されている。

 「新しいテクノロジー」
 「新しいビジネス」
 「新しいthink:思考の時代」

 と。実は先月の末27日だったと思ったのですが、「人工知能」の話を聞きに日本IBMの箱崎本社に取材に行ったのです。その取材に基づくお話は30日の森本毅郎スタンバイなどで早速ご披露したのですが、その時に一番私の頭に残った単語が「Cognitive」でした。はっきり言って知らなかった。「認知」という意味でした。

 ところが先週末から今週にかけてNHKが認知症の特番を二日ほどやっていて、その第一回を何気なく見ていたら、「MCI」という認知症の手前の症状が出てきた。番組ではMCIの単語構成は知らせていなかったので、「なんやろ」と思って調べたら「Mild Cognitive Impairment」と。

 「おお、出てきた出てきた」とその時に思ったのです。「使われる単語なんだ」 と。訳は「軽度認知障害」。そして今回のIBMさんの大きな広告です。4ページは腰が入っている。

 前後から見て、なかなかタイミングは良い。しかし「Cognitive Computing」が”クラウド” ”IoT”など新しいIT業界用語ほどに一般に広まるかどうかは、IBMの今後の努力次第かな。何よりも「身近な成果」が必要だと思う。クラウドはもう完全に身近です。

 実はそれとの関連で、今日の昼にパレスホテルで「Cognitive Business Roundtabel」と題するIBMの説明会(記者やアナリスト相手)があった。日米責任者(日本IBMの代取社長のポール与那嶺さんも)によるコグニティブ・ビジネスに焦点を絞ったもので、Q&Aもあって良かった。

 面白かったのはアメリカIBMの同ビジネス(同社のコンピューターのワトソン)担当の最高責任者であるマイク・ローディン氏が、「Cognitive Computingはフロント・オフィスに変革をもたらす」と説明したこと。同社が今まで出してきた360(確かに革命的なコンピューターだった)などのメーンフレームが「裏」のシステムだとしたら、コグニティブはフロントの革新だ、と。

 だとしたら「成果」が見えないと、認知されるのが遅くなってしまう。ビジネスとしてのCognitive Computingの先頭に立つのは「医療」です。その後に金融(銀行、保険)、それにコールセンターや旅行業が続く。つまりコンサル的な利用を想定している。それをIBMはビジネスにしようとしている。

 これは私が質問したのですが、「コンサル」というのは「頼む方がその気になること」「故に内部の情報を開示する勇気があること」が前提となる。特にコンサルの主役がコンピューターとなると、頼む側は詳細なデジタル情報の提供が必要になる。

 Cognitive Computingが「まず医療」というのは納得出来る。なぜなら、患者は治りたいから。藁も掴む気持ち。金融も合目的的です。そこから「どう出ることが出来るのか」がポイントかな。だってあまり説明したり、データを出したくない人も業界もある。説明を聞いていて、「Cognitive Computingは、産業革命、コンピューター革命に続く第3の革命」という命題の説得性は、「今後の成果次第」と。成果があれば「Cognitive Computing」がそれこそ”認知”される。

 興味深い単語がいくつか。一つは新聞に出ている「outthink」。そのまま調べたら、このサイトが出てきた。つまり「think」がウリのIBM(製品名でもあった)が、人間の「思考」を超えるのをお手伝いすると言うことでしょう。

 もう一つ。「TrueNorth」と。これは会合での会話で出てきた。知らなかった。サイトを見ると、「人間の脳が持つ計算能力と出力効率を模倣したプロセッサ」「現在のプロセッサのように総当たり方式の数学的計算によって問題を処理するのではなく、状況を理解し、あいまいさにも対処して、コンテキストに応じた処理をリアルタイムで実行できるように設計されている」と。

 去年の夏に発表になっている。面白そうだから覚えておこう。単語が面白い。「cognitive」「outthink」、そして「TrueNorth」と。ははは。


2015年11月17日(火曜日)

 (16:40)so far 今日の驚きは二つかな。一つは、あの何もない矢来町に出現した商業施設。

 いえ、今日は来年2月に出す本の事で新潮社さんにお伺いしたのです。もう詰めですから。昼前だったかな。直ぐに終わって「食事」ということになって、「この近くに新しく出来た施設がある。そこでいかが....」というので、ご一緒したのです。

矢来町の新しい商業施設  直ぐ隣の神楽坂はご存じの通り色々店もある面白い通りで、NHKの「新日本風土記」が一本出来るほどですが、昔から「矢来町」と言えば、「新潮社以外何があるの」というくらい「これ」というものがなかった。「昔は昼飯場所もなかった」と新潮社の方。

 場所は飯田橋方面から入って新潮社の本社の先。直ぐ隣です。それもそのはずで、以前は同社の「書庫」だった建物。今でもその面影が強くあるのですが、重い本を収納する書庫なので「しっかり出来ている」ということで、建築家の隈研吾さんが「このまま使おう」と。外見はあまり変えずに、中味を変えた施設。

 名前は「ラカグ」(La Kagu)です。「Kagu」は神楽坂に通じるらしいが、本来は「Yara」の筈。ま、そんなことはどうでも良い。ラカグはこの辺に住むフランス人が「kagurazaka」と発音できないので「rakagu」と言っていたのを借りてきた、との説明。

 何が面白いか.....と言って、それは「空間」です。出版社の書庫だったという空気感がいいし、本当に「本屋の臭いがする店舗」です。実際に本が各所に置いてある、それが面白い。「本の臭いがプンプンするおもしろ空間」。食事も出来る、おちゃっこも可能。本を読んでも良い。今はやりのスタイルですが、場所的に面白い。

遅いですが....  置いてある商品もまともというか、「セレクト感」が強く出ている。新潮社が建物を持ち、サザビーが企画・運営をしているという面白さ。入っているブランドも他ではあまり見掛けないものが多い。

 1階がウィーメン、2階がメン。と言ってもあまり境目はない。うーん、神楽坂にはこの手の大きな施設はなかったように思ったので、矢来町でどうぞ。車庫もあるそうです。私は出版社の車庫に駐めさせてもらいましたが。

 もう一つの驚きは、全く個人的記録、それの備忘です。今朝皇居を一周したら31分をはるかに切れちゃったという話。今までの最高は31分12秒だったかな。約一週間前。それが右の記録ですから「50秒も前進...」というわけ。

 でもまだとっても遅いですよ。選手は15分台で走る距離です。多分フルマラソンで4時間切る人は25分前後で回れる。何せ最初の5キロですから。ま、でも、まだ短くなっている、それも比較的短期間で、というのが私的にはちょっと驚きでした。失礼。


2015年11月16日(月曜日)

 (07:40)昨日は夕刻に皇居一周をしたのですが、その時に「やはり警備が厳しくなったな」と思いました。普段はいない場所にまで警察官が配備されていて、「安保法制反対のデモももうない中で、考えられるのはパリでのテロだ」と思いました。警備が厳しくなっているのは、日本を含めた先進国全体での傾向でしょう。

 それにしても、一般市民を相手の組織的なテロ攻撃。見境無く銃を乱射し、銃弾を再充填して撃ち尽くしたあとは腰に巻いた爆薬で自爆。常軌を逸したやり方です。イスラム過激派のテロ攻撃の一つのパターンとはいえ「人道に外れている」と思う。

 しかしそれがフランス国民のショックを強く深いものにしていて、そういう意味では仕掛けた方からすれば「成功」とも言える。それが極めて残念です。

 ISISは今回のテロ攻撃の成果を誇っており、今後もその存在感を示すためにもテロを仕掛けてくるものと思われる。今朝のウォール・ストリート・ジャーナルには「Paris Attacks Suggest Shift in Islamic State’s Strategy」という分析記事があって、そこには次のように書いてある。

 Friday’s attacks in Paris, if Islamic State’s claim of responsibility proves correct, represent a major departure for the militant group that until now concentrated on creating a state in Syria and Iraq rather than directly targeting the West.

 Such a turn also heralds a dramatic escalation in the perils faced by civilians in Europe and the U.S., the “crusader nations” in Islamic State’s cross hairs. Islamic State, after all, is far more indiscriminate in its targeting than al Qaeda: It considers pretty much anyone in the West as legitimate prey.

 The Paris massacre occurred as Islamic State was suffering military setbacks in Syria and Iraq, losing territory to the Kurds in both nations and being subjected to an intensified air campaign by both the U.S.-led coalition and, since recently, Russia.

 ちょっと引用が長くなって申し訳ないが、つまり空爆やクルド族の反撃もあってシリア、イラクで後退を余儀なくされているISISは、「西側を直接攻撃し始めた」と。よって「crusader nations」(十字軍諸国)に住む住民をISISの発言を借りれば「安心して眠らせない」ということになる。

 パリのテロ事件は今朝段階で死者が132人に増加した。懸念されるのは「8番目の犯人」がおり、その犯人が依然として逃亡しているのではないかとの疑いがあること。フランスやベルギーの警察の発表で明らかになった。

 この男は Abdeslam Salahで 26才。ベルギー生まれで同国の警察によれば「パリでの攻撃に参加した」とされる。この「8番目の犯人」がどのような役割だったかはまだ不明な点がある。この容疑者は事件後にフランスからベルギーに向かう際にフランスの警察に止められ、3時間も尋問を受けたが、その後釈放されたと。フランス警察の大失態です。

 レストランを襲撃後に自爆した身元判明の犯人の兄弟(ベルギー在住のフランス人、3人兄弟でもう一人はベルギー国境で逮捕)の一人とも言われている。今回の襲撃犯は3グループに分かれ、いずれもベルギーで組織されたとされる。

J  犯人グループがISIS関連であることはほぼ間違いないところまで来た。今朝の報道によれば、フランスとアメリカの当局は「パリで事件を起こした犯人達は、シリアのISISのメンバー達と連絡を取り合っていた」と述べている。

 つまり明らかにシリア・イラクの一部を支配するISISとの連携の下で事件を起こしたと言うことだ。そのISISは事件を引き起こしたことを犯行声明で明らかにすると同時に、「これは一連の攻撃の第一波に過ぎない」という趣旨の事を述べている。

 事態は明らかにエスカレートの方向だ。今朝のWSJによればアメリカは、「フランスとの連携を強め、フランスがシリアで報復攻撃(空爆)をする際のターゲット絞り込みに必要な情報を共有することにした」と報じている。

 オランド大統領の事件後の発言をそのまま信じるならば、フランスは怖じ気づくことなくISISに対する空爆を強める方向。実際に現地(シリア)日曜夜の段階で、テロ事件後に初めてフランスはシリアでのISIS支配地域、特に陣地に対する空爆を実施したと報じられる。

 ちょっと長くなりますが、一連の問題の背景となっているシリア情勢は実に複雑なんですよ。そもそもは、地球温暖化による中東、特にシリアでの降雨量減少によってシリアの多くの地域で早魃が広がったのが原因との見方がある。

 早魃で多くの民衆が食料を調達できなくなった。政治、社会情勢が不穏になった。それを対処できなかったアサド政権に対する反発が起き、国内情勢(政治、軍事など)が割れた。さらに「アラブの春」の影響もあって、「アサド政権打倒」の運動に火が付く中で混乱が深まり、過激派が各種登場したという展開。

 今でも「シリアの今後の政治体制」については、国内ばかりか米ロ欧の間でも思惑の違いが残っていて「それによって周辺国がISIS撲滅で協力体制を敷くことが出来ない」という現状だ。ロシアはアサド政権の存続がシリアの今後を安定化させる上で重要と考えるが、アメリカはアサド政権の退陣が必要と考える。

 アメリカもロシアもフランスも「ISISに狙いを絞った空爆」はしているが、「空爆だけではISISを敗北に追い込めない」というのが一般的な見方だ。と言って、地上軍を派遣する国はない。今回の事件は空爆を受けても、全体的にはISISが少しも力を落としていないことを明確にした。

 さらに「ISIS要人(ジハーディ・ジョンなど)殺害は続いているが、それではISISの力は落ちない」との見方が強い。ISISはシリア難民(今年だけで81万人も欧州に入ったとされる)の中にメンバーを忍び込ませ、フランスやベルギーの協力者、同調者を組織して(武器調達、犯人の移動など)事件を起こしたとされる。

 ISISの「事を起こす力」はシリアでの米露やフランスの空爆では、少しも落ちていない。といって、米露欧には有効な対策があるわけではない。それが心配だ。


2015年11月15日(日曜日)

 (17:40)そりゃ、調べきれないですよね。あれだけ大勢一挙に入ってくれば。そしてその中にたとえ一人であろうとISから派遣された、またはISに同調したテロリストが入っていた......となれば。欧州の移民政策全体に影響を与える。

 日本の新聞を含めて、世界各国の新聞が一斉に「Paris Attacks: Syrian Migrant Was Among the Bombers」と報じ始めた。続いてWSJは「Attacker in Paris assaults that killed 129 had entered Europe last month」と。

 経緯はこうだ。サッカー場で見つかった自爆テロの容疑者1人の遺体の近くから、シリアの旅券(パスポート)が見つかった。旅券の人物はシリアで1990年9月に生まれ、現在は25歳になる。

 驚くのは、この旅券の所有者が10月3日、トルコ国境に近いギリシャ東部レロス島で難民として手続きをとった記録があること。ギリシャ政府が明らかにした。つまり、WSJが報じているように「犯人の一人は移民を装ってつい先月欧州に入ってきた」という可能性があるということ。むろん、だが容疑者が旅券の所有者本人かどうかは不明。

 ギリシャ政府は、指紋などのデータをフランスに送り、また一方で8月7日にギリシャに上陸した30歳の男の照会もフランス政府から受けているという。ずっと欧州の一部で心配されてきたことです。

 WSJの記事には、「European security officials have worried that Islamic State operatives would bring terror by mixing with the cohort of Iraqi and Syrian migrants who are fleeing war each week」とある。仮に各紙に載っている記事が本当なら、杞憂ではなかったということだ。

 その他、いろいろな新しい情報が入ってきている。サッカー・スタジアムの外で起きた爆発(自爆)は、犯人がカードに止められたからであって、もし彼が球場内に入っていたら大勢の死傷者が出た惨事になった可能性がある、といった。恐ろしいことです。


2015年11月14日(土曜日)

 (05:40)ネット上の面白いサイトを二つ紹介しますね。

 まず今流れているGEのアメリカでのコマーシャル。日経がちょっと文章で書いていたので、「どれだろう」と探したら、直ぐに見つかった。 何回見ても笑える。

GEに就職したオーエン君が抱える問題 親との対話の不成立  写真に掲載したのはその部分スクリーンショットですが、息子のオーエン君が親に「GEに就職した」と報告すると、親は「おお、製造業の会社だ」と言っておじいちゃんが使っていた巨大なハンマーを手に持ち、「これを使え.....」と息子の前に。製造業の古いイメージ。親は顔の表情から息子がGEに就職したことが誇らしげだ.............

 対して息子は「いや、僕は......確かにGEはパワフルなマシンを作っているが、僕がGEに就職してやるのは強力マシン同士がどうやって情報を共有するかのコードを書く仕事なんだ.......」と。

 でも親はそれが分からない。だから「いいから、おじいちゃんのこのハンマーを持って行け.....と」。対して息子。小声で、「僕は要らないんだけど.....」と。笑える。

 あと2本「オーエン君が抱えた問題」というコマーシャルがあって、この2本も面白い。今度は彼とその同年代の友人との会話が出てきて、逆に同年代の友人達はどうも「GE」という会社に対するイメージが良くない。親世代とは逆に。「なに、その会社」と思っている。その前提で2本が出来ている。この2本もとっても笑える。

 この3本のコマーシャルを見ながら、「あ、IOTはアメリカでもまだ馴染みがないんだ」と思いました。加えて、福島第一原発を作ったGEが一時は「まるで金融の会社」のようになり、そして今インメルトを先頭に再び「インフォーメーション+製造業」のIOTの先頭に立つ会社になろうとしている。その事に関して、親やオーエン君の友人達の間で”怪訝”さが持たれていることを逆手に、GEに関する新しいイメージを持ってもらおうとしていることが分かる。

 木曜日にこのコマーシャルを発見したので、金曜日に大手システム・インテグレーターから親しいお客さんを集めた講演会の講師を頼まれていたので、「これは使える」と思ってスマホで皆さんにお見せした。英語が分かる人は笑ってくれた。もちろん解説しましたが。

GEが目指すところを示した最後のショット   GEのコマーシャルは下の写真で終わる。つまりインダストリアル・インターネットを言っているのです。でも順番は逆です。「GEはデジタルの会社ですよ」とまずそれを前に持ってきて、その後に「工業の会社でもある」と。

 そう言えば今朝のネットでウォール・ストリート・ジャーナルを見たら、「Sumitomo Mitsui to Enter Talks to Buy GE Japan Leasing」と。GEは本気で金融を全部売るんだ。

 もう一本はネット上の大英博物館です。フェースブックでは昨日紹介しました。このサイトはFTを読んでいて昨日発見しました。「+」を押すと接近する。ま「やはり実物を見た方が良い」という気はするが、予め概観して、見るものを決められるメリットはある。全館見るのはむろん大変ですが。


2015年11月12日(木曜日)

 (21:40)私がミャンマーに行ったのはそれほど前ではない。2012年から2013年にかけての年末年始。つい最近だけに鮮明に思い出しますし、それ以降ずっと気にしていました。昔のこの国の日本での国名表記は「ビルマ」。

 そのミャンマーで約半世紀続いた軍政から政権の民間移管が起きそうな情勢。アウンサンスーチーさん率いるNLD(National League for Democracy)が圧倒的比率で得票したため。

 ミャンマーの議会は、上院(定数224)と下院(同440)の計664議席。うち軍に166議席が割り当てられているので、それを除く498議席が対象だが、選挙結果判明で帰属が明らかになった議席の割合は圧倒的にNLD優位。残る選挙結果判明でも、議席の大部分をNLDが取る可能性が高まったため。

 ミャンマーは実に魅力のある国です。その時私はこう書いた。  

 何よりも私が思ったのは、「この国は絶対に発展する」ということだ。何せスタート台が低い。統計(一人当たりGDPで700ドルちょっと、日本は4万、中国は5000ドル)がそれを物語るし、女性が田植え仕事を一日手伝って労賃が400円だ。国さえ開けば海外資本が見逃すわけがない。

 実際に来て強く思ったのは、「ものすごい成長余地がある」ということだ。自国で生産できるもの(特に農産物)は多いし、天然ガスもある。貿易収支は黒基調だ。人々の手先が器用だ。ウィーさんは裁縫も上手かった。何を作らせても良さそうだ。ベトナム人に似ている。ちょっとしたバイクの修理など、自分でしてしまう。それなのに「これといった産業がない」のだから、お金が入って場を設け、育てれば凄い。整えなければならないインフラは山ほどある。

 何よりもヒトが良い。慎み深く、書いたように手先は器用で、日本人との親和性も非常に高いと思う。まじめな国民です。しかし国としてはいろいろ問題がある。今朝の日本の新聞にも書いてあるが、NLDにはアウンサンスーチーさん以外に我々が知る指導者はいない。つまり完全な人材不足。

 しかし彼女は大統領になれない。外国籍の家族がいるとトップ(大統領)にはなれないと憲法が決めているためだ。彼女はイギリス人と結婚し、二人の息子は英国籍だ。だから、「私は大統領以上の存在になる」といった憲法無視の発言をして問題視される。

 私はミャンマーについて書いた旅行記に、同国が抱える問題として三つを指摘した。

  1. 酷いインフラ
  2. 民族問題の存在
  3. 金融システムの未整備
  4. 宗教国家であること>
 このうち「2」に関して日本であまり報じられない問題をMuslims Lose Out in Myanmar ElectionsというWSJ記事に見つけた。同紙の記事は、ミャンマー(圧倒的仏教国)に住むイスラム教徒に関して、次のように指摘する。
 Muslims officially make up 4% of the country’s population, but some experts say the number is higher, up to a 10th of the country’s population of 51 million. Some have full citizenship, but not the stateless Rohingya, who despite having lived in Myanmar for generations are considered by the government to be foreigners from neighboring Bangladesh.
 公式の4%ではなく、実際には10%のイスラム教徒がいるとすると、彼等が新議会で何らプレゼンテーションを持たないというのは問題でしょう。ましてやアウンサンスーチーさんには「宗教問題という弱点がある」と言われるし、その通りだと思う。

 一番の大きな問題はロヒンギャですが、その他にも国境近くで武装闘争をしているグループもある。ミャンマーには我々観光客が入れない地域がある。実に多様な民族が住むミャンマーは、ビルマの竪琴で我々が持っている以上に非常に複雑です。

 そういう意味では、「圧政が終わった後の民主化に失敗した中東の国々」が多い中で(リビア、シリア、エジプトなどなど)、「アジアのミャンマーはどうなるのか」という大きな問題がある。ミャンマーには、中東諸国と同じように宗教対立(仏教対イスラム教やその他)という問題がある。これはアウンサンスーチーさんのカリスマでもなかなか超克が難しい。そういう観点から今のミャンマーを見ています。

 しかし長いまとめ文でも書きましたが、民政移管後のミャンマーは今までに増して魅力的な国になると思う。楽しみだし、より多くの方が実際に行かれることがいいのかな、と思う。それが同国を支援することになると思う。


2015年11月12日(木曜日)

 (09:40)昨日思いました。「日本人のかなりは飛行機野郎だ。特に男は」と。ま、説明の必要は無いでしょう。

 昨日は気が付かなかったのですが、今朝見たら夕べの午後8時10分に事務局から「初飛行の模様を収めた動画」が送られてきていて、今朝それを見ました。全部で2分01秒の動画です。

 多分4機編隊で飛んだのだと思う。一機は撮影・記録、一機は護衛、もう一機は外からの観察のためもあって関係者でも乗せていたのでは。そしてMRJ。ビデオは富士山を臨む位置での三機編隊で飛んでいる姿から始まる。そして少し戻って昨日の朝陽を浴びるMRJ。

 次に出発直前の様子、そして離陸、巡航。実に綺麗です。隣の自衛隊機との大きさの違いも非常に鮮明で、夕べ見たテレビ映像とはかなり違っていて、非常に興味深かった。2009年の8月05日に取材した事を契機にずっと「報道関係者各位」に加えてもらっているのですが、今までは「またかよ」というモノが多かった。「延期、延期」の連続でしたから。

 だって取材したときに既にかなりイメージがしっかりした飛行機だったんです。もう。それからが時間のかかること。待たされ続けて「もういいや」とでも言いたくなるときに、やっと実物が飛んだ。飛行機は「飛んでなんぼ」ですから、ナイス。

 ははは、飛ぶ姿を見て今までの不満はどこにやら。取材してからでも6年以上待たされた。乗れるのは2017年ですか。ははは、真っ先に乗りたいですね。ま、量産体制に入るのにはそれはまたそれでいろいろ問題があると思う。

 私のフェースブックの書き込みに「エンジンも国産で」と。そうなんですよ。一番肝心なところが国産ではない。次の段階ではこれもお願いしたい。だって、零戦のエンジンは国産でしたから。

 ま、一歩一歩ですが。MRJが就航すれば、日本の産業のループはほぼ完成する。


2015年11月11日(水曜日)

 (17:40)日中所用があって見れていなかったのですが、午後6時31分にMRJの事務局から以下の経過報告と写真データが送られてきました。写真は全部で10枚。静止画で、「動画はでき次第」ということです。発表文は以下の通りです。

MRJ 初飛行を実施
 三菱航空機および三菱重工業は 11 月 11 日、次世代リージョナルジェット機 MRJ (Mitsubishi Regional Jet)の飛行試験機初号機による初飛行を実施しました。

 初飛行では県営名古屋空港を離陸後、太平洋側の空域を利用し、上昇、下降、旋回などの 基本特性の確認を約 1 時間半かけ実施しました。

 三菱航空機森本社長は「これまでの皆様の多大なるご協力により、本日 MRJ は無事、大 空に飛び立つことができました。今後、さらに気を引き締め、型式証明取得、初号機納入に 向け邁進していきます。」と述べました。また、機長を務めた安村操縦士は「MRJ の操縦性 は、期待以上のものでした。大変快適なフライトでした。」と述べました。

 両社は今後、国内での飛行試験を継続し、2016 年第 2 四半期から、米国モーゼスレイク 市(ワシントン州)のグラント・カウンティ国際空港を拠点とした飛行試験を行い、2017 年第 2 四半期の量産初号機納入を目指します。

 両社は今後も、MRJ プロジェクトの成功に向けて全力で取り組んでいきます。
                                      以上

 写真は私が「これはかっこいい」というのを二つだけ選んで皆さんにも公開します。はよ動画が見たいな。
2015年11月11日

2015年11月11日


2015年11月11日(水曜日)

 (05:40)取材時に座席に座って....「1」の四つ並びゾロ目の「いい日」を選んだと言うことでしょうか。そりゃ応援団の一員としては注目ですよ。やっとMRJが空に。昨日MRJの広報担当者からメールが来ていたのですが、改めて見たら「MRJ(Mitsubishi Regional Jet)の飛行試験機初号機による初飛行を11月11日(水)午前に実施することとしました」と。

 待ちに待った初飛行です。多分日本的に天気もよさそうなので、1時間くらいをしっかり飛んで欲しい。恐らく今日最も嬉しいニュースの一つになるでしょう。メールにPDFで発表文が添付されていて、以下のようになっている。

MRJ の初飛行実施日について

 三菱航空機および三菱重工業は、次世代のリージョナルジェット機である MRJ (Mitsubishi Regional Jet)の飛行試験機初号機による初飛行を、11 月 11 日(水)午前に 実施することとしましたので、お知らせ致します。

なお、飛行試験は、安全をすべてに優先させて実施し、今後の機体状況及び天候状況等に よっては、予定が変更となる可能性もあります。
                                   以上

 でも重要なのは、メールの最後の方に「初飛行当日は以下のサイトにて離陸および着陸時の模様を生中継で配信する予定です」と書かれている点。

 ホームページ: www.flythemrj.com/j
生中継(USTREAM): http://www.ustream.tv/channel/NtahYVsFWxG

 となっている。このメールには「午前中」とあるだけで、何時頃とは書いてない。ま、いろいろあるんでしょう。確かtaxi的に地上で動いたり、時速200キロまでの離陸助走の試験は終えている筈です。楽しみ。以前、番組の取材でMRJの座席に乗った感覚が戻ってきました。シャープでいいんですよ。天井には富士山の影絵が。


2015年11月09日(月曜日)

 (06:40)考えたら身にどっぷり「紅葉」がまとわりついた一週間でした。この週末まで。

荘厳でした。それにしてもよくあんな急峻な所に  先週の半ばには所用があって善光寺さんに行き、その帰りに小諸城址(懐古園)に寄って紅葉を見たのですが、この週末は比叡山の延暦寺に立ち寄った後に福井まで足を伸ばして芦原温泉、三国温泉などを巡りました。どこも紅葉が綺麗だった。堪能しました。

 大きく言うと「長野県の紅葉は終わり」「琵琶湖周りはこれからが見頃」という図式でしょうか。もっとも標高によっても大きく紅葉具合は違う。関東も今が全体的には見頃なんでしょう。

 延暦寺は確か30年ぶりでした。日光のいろは坂にはちょっと見劣りがするが、それでも紅葉が綺麗な京都からの山道を上がって。泊まったのは今年3月から星野が運営に当たっているホテル(オーベルジュ的な。ロテル・ド・比叡とか言った)。

 その利点は従来「延暦寺会館」(宿坊)に泊まらなければ参加できない延暦寺のお朝事に参加できること。ホテルを朝6時のマイクロバスで中心のお堂に当たる根本中堂に行き、そこで読経を聞きました。やはり良い。

 荘厳です。天井の花がもうくすんでいるのですが、出来上がった当時は実に綺麗だったのだろう、と。隔てる谷間はあるのですが、人間とお釈迦様が同じ目線にいる。よくここまで考えたものだ思いました。お坊さんの講話もあって、全部で1時間弱のコース。

建物の赤も綺麗だった  その後、真ん前にある文殊楼(もんじゅろう)に上がって回りの山の様子を見ましたが、「よくこんな急峻な山の中にこれだけの建造物を作ったものだ」思いました。延暦寺全体では、100以上のお堂があるそうな。

 日中はトレイル。一旦山を下りて、今度はまた比叡山の山頂に向けてケーブルカー、ロープウェーで上がって、その後は東堂を見たので西塔と横川(よかわ)に徒歩でトレイルロードを歩きました。

 全部で7キロくらいかな。東海自然歩道の掲示があって、西塔まではかなりの人が歩いていたが(2キロ強なので)、西塔から横川までは距離が4キロ以上になるせいかほとんど誰とも会わずに。

ここで「釜揚げそば」を食べましたが、昼飯としては最適と思いました  もっともトレイルロードの直ぐ近くを「奥比叡ドライブウェイ」が走っていてその車の音が聞こえるので、「ここで熊にあったらどうしよう」という事も無い。楽しかったですよ。もっとも、石がごろごろ、木の根っこは出ているし、アップダウはきついときていて、同じ距離のアスファルト、コンクリートの上を歩くのとは違う。

 東堂、西塔、それに横川の3地区を合わせて「延暦寺」と言うと思い出しました。それにしても広大です。でも道が整備されていて、楽しめる地区だと思いました。

 なお根本中堂は今修復中。それが「10年かかる」と聞いて、「時間軸が違うな」と思いました。


2015年11月07日(土曜日)

 (08:40)正直言って、数字そのものにも驚いたが、その数字を受けたニューヨークの株価がダウやNASDAQの指標で上昇し、SPでも小幅安にとどまったことが驚き。

 予想が18万ちょっとに対して、出てきた数字(非農業部門就業者数)は27万1000人と今年一番の高い数字。前2ヶ月の数字も合計1万2000人上方修正された。8月、9月の低い数字は「いったい何だったのか」という10月の強い数字。

 家計調査による失業率統計もFRBが完全雇用状態と見なす4.9%に限りなく接近する5%。「今日FOMCが開かれたら、利上げは間違いなく決まる」(市場関係者)との見方が出るのは当然だ。

 日米英の新聞を読み比べると、「ただ賃金は伸び悩んでおり、物価の上昇圧力はなお弱い。イエレン議長らはぎりぎりまで経済指標を点検する考えだ」と日経が抑え気味なのに対して、アングロサクソンの新聞はどこかはしゃいでいる。「やっぱり強かった」と。

 つまり「12月はほぼ利上げがあるのでは」という感触に欧米の関係者はなったのだが、しかしダウは46.90ドル上がり、18000ドル台に接近。Nasdaqは既に5000の大台を回復している上に、さらに昨日は上がった。通常は株は金利の上昇を嫌う。しかし「もう利上げは織り込んだ」のかも知れない。

 株の上昇は、「アメリカ経済は強い」という観点からのものかも知れない。FTの記事には日経記事とは逆に「The jobless rate fell to 5 per cent, as the number of unemployed people fell by 1.1m compared with this time last year. Wages rose at their strongest clip since 2009, with average hourly earnings rising 2.5 per cent over the year.」という文章がある。つまり「賃金も上がった」と。

 しかし次のFOMCが例えば来週ではなく、12月の中旬で今からまだ一ヶ月も先である事は確かだ。インフレ率は低いし、ドルが大きく上がってしまった。今朝は123円台という数字を見た気がする。これはアメリカ企業にとって重い。

 まだ少し数字の出方を見続ける必要がありそうだ。


2015年11月07日(土曜日)

 (08:25) ロシアの民間機がシナイ半島上空を飛行中に事故に見舞われて乗客224人(ほぼ全員がロシア人)が死亡した事件は、テロ組織の犯行(爆弾を使った爆破)の可能性が高まっている。ロシアのプーチン大統領もエジプト向け全ロシア機の飛行の「当面停止」を発表。

  「テロ組織による爆破説」が強まっている背景は

  1. シナイ半島に存在するIS系テロ組織間の無線会話の中に、その旨(飛行機を墜落させた旨)の会話があることが、イギリスの諜報機関によって捕捉されている

  2. アメリカの軍事偵察衛星に、この民間機から墜落直前に発せられた閃光が捉えられ、それが爆発によるものと見られること

  3. フランス当局(製造国としてエアバスを監視する)のブラックボックス解析によれば、機器故障などの兆候は何ら無く、突然情報が途絶えているが、それは機内での爆発によるもとの思慮される
など。ではどういう経緯で爆発物が持ち込まれたのか。BBCやAFPが報じていることを総合すると
  1. 飛行機がシャルムエルシェイクの空港を出発する直前に、同機の荷物室の中、または荷物室最上部に持ち込まれた

  2. それがある乗客のものか、それとも空港関係者が持ち込んだものかは不明。前者だとある種の自爆テロ

  3. それが時限装置故か、何らかの地上、または機内からの指令かはわからないが、荷物室で爆発した
と見られる。世界の指導者のなかでは、イギリスのキャメロン首相、ハモンド外相に続いてオバマ大統領もラジオ番組のインタビューでその立場を表明。多分、オランド大統領もそう。

これに当初強く反発したのがロシアとエジプトだが、ロシアの対エジプトフライト停止は、ロシアもテロ説を無視できなくなったことを反映している。飛行を続け、もう一機落とされれば、プーチン大統領は「重大な判断ミス」と国内からも非難されかねない。

 そもそもプーチン大統領はシリアのテロ組織空爆の理由として、「テロが将来ロシアを襲うのを未然に防ぐ」ことを挙げていた。しかし対IS作戦故にロシア人が沢山乗る飛行機を落とされたとしたら、プーチンの失策となる。

 しかしこれでロシアがシリアを対象とする空爆から手を引くかというと、逆だと思う。今のプーチンだと「爆発説」を認めるかどうかは別にして、開始したばかりの空爆をやめることはせず、一層厳しい空爆に出る可能性が高い。シリアでの主導権をアメリカに渡さないためにも。

 困ったのはエジプトだが、そもそも「シャルムエルシェイクの空港の警備が甘い」と言われたことによって起きている可能性が高い。それは従業員のスクリーニング(採用、思想チェックなど)かも知れないし、荷物検査の手続きの問題かも知れない。エジプト経済は厳しいが、それより「飛行機に乗ること」への恐怖は世界的に高まる危険性がある。

 もっとも高まっても世界の空の旅客は減らないだろう。今の世界は航空旅客を減らせるような状況ではないし、飛行機はあまりにも日常のものとなった。交通事故に遭うことを予想して車に乗らない人は少ない。


2015年11月05日(木曜日)

 (21:25)善光寺からの帰りに立ち寄った小諸城址(懐古園)は、「そろそろ紅葉も終わりかな」という雰囲気もありながら、しかし秋の今の時期にしかない美しさを十二分に残していました。綺麗だった。

詩情があるんですよ  とにかく「城址」と言っても、実に複雑な地形の場所。深い谷あり、川あり、急な階段あり。だから見る場所によって全く違った景色になる。それが小諸城址の良いところで、いろいろな角度から秋を楽しめた。

 実は昨日の夜ですが、「長野県内で楽しめる紅葉の名所」ということで、松本、諏訪など中央道方面を含めて各地の紅葉名所を調べたのです。そしたら、ほとんどの場所で期間が「〜10月20日」とかになっていた。つまり長野県の紅葉の見頃は終わっているのです。

アップダウンも厳しい  ところが上信越道沿いの小諸城址だけは「〜11月上旬ころ」となっていた。それで行ったのですが、「滑り込みセーフ」という感じですかね。しかし今週末くらいが最後でしょうか。今はむしろ関東の方が綺麗なのでは。

 都内着後に「運動不足」と思ったので、全く例外的ですが夜7時過ぎの皇居を一周だけしました。びっくりしたな。ランナーの数の多さに。朝に比べて圧倒的に女子が多い。そして圧倒的に日本人。朝はコーカシアンが結構多い。

 それにしてもタイムを計り始めて2週間くらいですが、ラップは結構短くなってきている。別にそれを目的にしているわけではないのですが、最初は一周で37分程度かかっていたのですが(だからとっても遅いんです)、2〜3日前に31分ちょっとに、今日は31分を切りました。

そろそろ終わりですかね  もっとも5キロのラップなど計って意味があるのかどうか。だってフルマラソンはその8倍以上。「疲れるのは30キロが過ぎてから」と聞いている。だから、5キロ、10キロが多少早くなっても、あと疲れて足が動かなくなったら意味が無い。

 しかし足切りにひっかかるようじゃいかん。それでちょっと気にしているのです。マラソンの記録から判断すると、オリンピックの上位者は5キロを15分前半で走る。ははは、私が一周する間に彼等は2周以上する。どんだけ。

 まあこちとら趣味ですから。5時間が切れれば上々かな。


2015年11月05日(木曜日)

 (09:25)なんでも初めてのことは興味深い。善光寺の「お数珠頂戴」に参加。

 所用があって長野市に。どうせだからと思って善光寺の宿坊に泊まろうと思ったのですが、「その日の予約は駄目」と言われて、参道沿いにある松屋旅館さんに。近くて便利。善光寺さんは今年は御開帳の時に金沢帰りに寄って以来。その時は御開帳見たさに善光寺さんに寄っただけなので、今回はちょっとゆっくり。

直前まで閑散  旅館にはいったら、「明日の朝は行かれますよね....」と確認された。「何だろう」と思ったら、「お数珠です」と。「ああ、そういうのがあったな.....」と。テレビなどで見ていたのです。「何時からですか」と聞いたら、「6時20分には旅館を出てお寺に行って頂きたい」と。

 今朝ですが、ちょっと早めに行って見たら、もう結構な数の売店も開いている。ついでだから「お戒壇めぐり」も出来たので、しっかり錠前に触れて一周。それを終えて、参道に行ったらさっきまで閑散としていた参道に人々が一列に。ところが6時半には人々が並ぶ

 要するにその時、その日に一番位の高いお坊さんが、お住まいからお寺に移動するときかな、参道に並んで、両膝を着いていらっしゃる方にお数珠で頭をお触りになる、という毎朝の行事。多分御利益がある。面白い体験でした。

 それにしても紅葉が綺麗です。だって上信越道を通っているときでさえ、ちょっと目線を山にやるととっても綺麗。今日は帰りに小諸城(懐古園)に寄る予定ですが、きっととっても綺麗です。


2015年11月04日(水曜日)

 (09:25)屋上で「自動運転」のデモをしていたので、しばらく見ていて、「なるほど」という点と「それじゃまずいだろう」という点が。直ぐに車体のボルトをいじれるので、駐車できないと私が行った日は三菱自動車さんが行っていた。自動運転車のデモ走行。今開催中の東京モーターショーです。

 東京モーターショーに行くのは5年連続くらいですが、今年はちょっといつもより人が多かったような。会場を目指す車のナンバーも関東中心ではあるが、結構全国的で、「車好きが多いんだな」と。

透明感があった面白かった  実際の所、車はいろいろな意味で今大きな変化点にある。動力系で大きな変化があり、コネクティビティでも大きな変化が進行中。車種的にも各社の収益源動力がSUVなどに移ってきた。加えて”自動”の世界が広まりつつある。屋上で私が見たのはそれでしたが、ちっとも車庫入れをやらない。

 担当者に「なぜ」と聞いたら、「シークエンスがおかしくなっていて」との言い訳。ちっとも埒があきそうもないので、「じゃ、また来るね」っと言って、結局そのまま。デモが故障じゃしょうがない。実際の路上故障が起きたら大変でしょう。

 全体に「自動運転」とは、「のろのろ運転」の印象。車庫入れを映像で見たが、ちょっと我慢出来ないほどのろい。前の車のチェースも実に慎重で、ある意味自動車教習所の教習の繰り返しのような。「これは実際の製品にするのは大変だな」と思いながら見ていました。

ホンダの水素自動車クラリティ  むろん大きな役割はある。手足が不自由だったり、目が見えない人とか、耳の聞こえない人もソフトウエアのコンフィギュレーション次第で車の運転が出来るようになる。素晴らしい。しかし「進む楽しみ」「操縦する楽しい」はかなり失われる。そう思いました。

 ちょっと気になったのは、西館のフォルクスワーゲンのところには他のブースに比べてやはり人が少なかったことかな。消費者は敏感です。同社に関してはこの一両日にも新たな疑惑が報じられていて、カイエンやアウディにも。日本の販売は噂では10月に半減したと聞きましたが、厳しい状況は続きそう。

MIRAI の中はこうなっている。後ろの二つのタンクが圧縮水素を入れている  人が多かったのはトヨタのコンセプトカーのところかな。「TOYOTA C-HR Concept」ですが、その右隣にあった水色の透明感のあるコンセプトカーも面白かった。ホンダの水素自動車クラリティも初めて見ましたが、「洗練されていて面白い」と思いました。色が私のMIRAI とほぼ同じでビックリ。

 ジェイテクトのところに、MIRAI の台車が展示してあって、「ああ、俺のMIRAI はこうなっているのか」と暫く見ながら、係の人と話をしていました。もうちょっと圧縮技術を磨いて、より長い距離を走れるようにしてもらわないと使い勝手が良くならないと思うのです。

 でも面白かったな。なぜなら今車が一番変わるときにあるからだと思う。来年はどんな車が出品されるのか、韓国やアメリカのメーカーはいつ出品に復帰してくるのか。いろいろ興味がある。


2015年11月02日(月曜日)

 (20:25)日中用事があって見れなかったMLBワールドシリーズの第5戦をビデオに撮っておいたので見ましたが、ニューヨーク・メッツのファンが可愛そう。だって勝てるチャンスを二日連続してエラーで落としている。そしてメッツのファンにとってシーズンが終わってしまった。

 昨日はマーフィ(2塁手)が大失策(取れるゴロを後ろにそらす)をしたが、今日はドゥーダ(1塁手)が9回の表、「これで終わる」という時に、本塁に悪送球。そして同点で延長になって......負け。

 メッツのクローザーのファミリアも可愛そう。二日連続してその場に立っていて、結果的に「救援失敗」となった。確かに3戦までの救援成功機会でゴードンにセンターバックスクリーンにHRされたのは明確な自責点だが、それ以外には彼に責められるところはない。

 いえ、カンザスシティを応援していたので、良いのですが。それにしても、メッツのファンは今年は気の毒だったと思う。ニューヨークに住んでいたときに思ったのは、ニューヨークでもヤンキース・ファンに比べてメッツ・ファンが控え目なこと。今年は歓喜できるチャンスだったのに。

 それにしても、今年のポスト・シーズンのロイヤルズの強さはなんなんでしょう。前半リードされていても、後半には必ずといって良いほど追いつく。追いついた上で、その試合は必ず取る。

 ホズマーなど4番打者に相応しい打率は上げていないとも思うのに、肝心な時には打点をあげるしぶとさ。最終戦も0−2でリードされていて、最初の打点は彼の珍しいレフト線への野手オーバーの2塁打。

 エスコバー、ゾブリスト、ケイン、ホズマー、ムスタカス、ペレス、ゴードン、リオスでずっと戦っていたと思う。不変。DHがあるかなしかで、リオスが8番に入ったり、9番に入ったり。リオスは以前レンジャースにいた。

 ロイヤルズもちょんぼをしているんですよ。例えば昨日のリオスのアウトカウントを間違えた本塁送球忘れ(したが気づくのが遅れた)があったり。しかし記録を取っていないが、メッツの方が記録に残る、残らないを含めて、ミスが圧倒的に多かった。それがシリーズを分けた。

 ロイヤルズって面白いチームなんですよ。私がアメリカに居たときは最後のところが本当に弱かった。地区シリーズで必ずヤンキースに負けるチームだった。強くなった今も、妙なチームです。凄い打者、凄いピッチャーはいない。超有名な。しかし選手の総和としての力は凄い。

 なにせ「リバウンド力」がある。追い越されても、ちょっと無謀とも思えるプレーで、何故か点が入って追いついていたり、勝ち越していたりする。不思議です。今日の9回裏のホズマーの3塁からの走塁にしても、普通はアウトです。試合終了。カンザスシティにシリーズは移るはずだった。しかしそれがドゥーダの焦りを誘った。

 それにしてもハービーは2試合に好投したのに、勝ちが付かず。マーフィも悔しいでしょう。それまで6戦連続のHRを打っていたのに、ワールドシリーズになったら全く打てなくなった。おまけに次の日の試合になっても、「昨日エラーしたのはこの人」的にテレビカメラのターゲットにされていた。

 まあでも、5戦とも見ましたが面白かった。日本もアメリカも最終シリーズは4勝ー1敗でチャンピオンが決まった。ちょっとあっけなかった。それはチャンピオンになったチームの強さの証拠です。

 うーんでも、アメリカの来年のチャンピオンがまたKCRになるという保証はないな。アメリカは一年でチームががらっと変わってしまう。強いチームが揃っている。しかし日本は来年もソフトバンクが強そうだと思う。善し悪しは別にして。


2015年11月02日(月曜日)

 (08:25)南シナ海、尖閣、竹島などなど微妙な問題に触れずに会談を実施。微妙な問題には触れないので、当然ながら「話すこと」はあまりない筈で、よって時間の会談予定時間は30分も繰り上げられて終わった

 日中韓の3カ国首脳が狙ったのは、「それでも3カ国首脳が会いました」という実績を残す事だったのでしょう。だから事前に事務方でほぼ全ての問題を詰めたと思われる。その結果の、あまりにも結論が前もって見えた東アジア・サミットでした。

 だからウォール・ストリート・ジャーナルは「China, Japan, South Korea Skirt Sensitive Subjects」と見出しにつけた。思うのは、ほぼ毎週のように顔を会わせているメルケル・オランドの独仏関係が世界の中ではやや異常であるにしても、「3年半も会っていなかった」ということ自体が異常だし、世界の中でも恥ずかしいことだと思う。

 だから3カ国は「会いましたよ。来年も会う予定です」という1点で合意(時期は決めなかったが)した。難民問題に直面している欧州がそうですが、世界の多くの国々が「今の問題」に直面し、それをどう解決するかに奔走しているときに、70年以上前の“過去”に拘泥している東アジアの隣国関係は、決して前向きではない。

 記者の質問も許さなかった3カ国の首脳の成果発表会(一応記者会見と言うんですかね)を見ながら、「様々な国内問題はあるが、そろそろそういう時代ではないと首脳達も気づいてはいるんだろうか」と思いました。

 むろん3カ国とも狙いはある。次々に発表される中国と韓国の経済指標は悪いものが多い。それには、日本との関係の悪さも一つの要因になっていると思う。中国は日本の資本と技術が欲しい。韓国は日本との関係悪化も一因で経済が悪く、国内でも「関係改善をすべし」との見方が台頭。朴槿恵大統領もその声を無視できなくなったと言える。

 今日の日韓首脳会談も大きな進展は難しいでしょう。両国の立場は事実認定のところから違っているし、韓国が言うところの「解決」も一体何を意味しているかがわからないことも多い。時間の経過の中で変化している。

 残念ながら東アジアの首脳同士の関係が、欧州並みになるのは相当な時間がかかりそう。



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