2年目 〜驚愕のJ2リーグ、品川シュトルツの大躍進〜

オーナーとして2年目を迎えた。 スポンサー各社に年明けの挨拶回り。 こんな景気の悪い世の中なのに、各社とも我がクラブの成績が広告効果に直結したと 契約継続に加え、契約金額も増額して頂いた。我々に寄せられた期待は大きい。 新しいスポンサーも4社増えた。 品川区の企業代表としても今年は決して負けられない。 兜の緒を締めなおしつつ、短い冬休みが終った。

クラブに激震が走ったのは1月の半ば。 司令塔であるチャルロとの契約が 不調に終り、彼はスペインへと帰っていった。 確かにクラブの経営状況から、彼の望む契約金額の提示が出来なかった。 しかし、彼には今年も主力としてJ2制覇に力を貸して欲しかったのだが。 去る者がいる一方、新加入もあり。 MF長橋康弘、 DF喜沢、大幡 の3人の新人を獲得。彼らには即戦力として戦ってもらおう。 スタッフからは練習効率の向上のため照明施設の増築を薦められた。 その通りだ。資金は8億まで減る事になるが、ここは彼らの練習環境のために照明設備を設置しよう。

2月にはスコットランドのグラスゴーFCでキャンプを行った。 これで基礎能力の底上げになるだろう。 今年はJ1から降格したサンフレッチェ広島、コンサドーレ札幌とも争わなければならない。 しっかり頼むぞ。

3月のJ2リーグ開幕。 出だしは好調。引分け2つを挟んだものの無敗。加東が月間MVPに選出される大活躍。 ベストイレブンにはその加東、曽我部、そして新人の大幡がさっそくの選出。 但し4月のカップ戦はJ1のFC東京の前に2連敗で緒戦敗退。 まぁ、今年はリーグ戦に集中しよう。 4月に高石スカウトがチャルロの後継者としてペルーから17歳の新鋭MF マルティンを獲得。 契約金額は60百万。新天地での活躍を期待してるぞ。7月のチーム合流までは若い力で凌ごう。

ところが、4月に2敗、5月には引分け含めて5試合連続勝ち星なしと成績が落ちこんでしまった。 選手達の間には、チームの方針に不満を持つ者が現れた。 これではピッチ上でも良い結果は出まい。 それでも個々人の戦いぶりは関係者から評価され、 月間MVPには曽我部が、ベストイレブンにも曽我部、加東、大幡、喜沢が選ばれた。 後は結果だけだ。

オフィスで他クラブのオーナーとの情報交換をしている中、有用な示唆を受けた。 私はチームの基盤育成をおろそかにしたまま、エドワード監督に戦術やシステムの練習を指示していた。 これではいくらエドワード監督の能力が高くとも選手には、その指示の1割も伝わるまい。 急いで持久力、筋力、瞬発力などの基本メニューに変更させる指示を出す事にした。

おかげで6月は引分け一つとまずまずの戦績。 不満だらけだった選手達も満足顔だ。ほっと胸をなでおろす。 7月のWSフェスタには大幡、喜沢、そしてDMF正芳に召集がかかった。 J2リーグでは好敵手である大阪エステーラの司令塔との連携が今一つだったのか、 2勝1敗4分けという煮え切らない結果で全日程を終えた。 この悔しさはリーグで挽回してもらおう。

8月のJ2リーグ再開後も加東、曽我部、大幡、喜沢の主力が大車輪の活躍。 常に優勝戦線をひた走り、一時3位に順位を下げた事もあったが48節には J2優勝を決めた。 練習を見直しした結果が、さっそく最高の形に結びついた。 最終的には36勝7敗9分け、勝ち点は117、82得点25失点は立派な成績だと言えよう。 2位の大分トリニータが28勝で勝ち点98に終った事を考慮すると、 我がクラブの大躍進は目を見張るものがある。 得点王争いも加東が41ゴールで文句無く受賞。 評価点も上位4人を締めた(曽我部7.7、加東7.0、大幡6.9、喜沢6.8)。 11月のリーグ終了後、MF大野祐平の獲得も決まった。24歳の即戦力だ。 来るべきJ1での戦いが早くも楽しみではないか。

優勝の喜びを噛み締める間もなくニューイヤーカップ。 大宮アルディージャを退け、J2降格が決まっているベガルタ仙台との2回戦。 スコアレスドローでPK戦に縺れ込んだが、惜しくも4−5で敗退。 勝ちあがれば横浜F・マリノスの胸を借りる事が出来ただけに無念さは隠せない。

オフィスで年の瀬の準備をしていたところ、興味深い資料に目が止まった。 今年1年間の観客動員は31万人。視聴率も平均で13%獲得できたと言うではないか。 広報スタッフにも頭が下がる。 サポーターも15,000人に到達しようとしている。 J1クラブとしては見劣りするのは否めないのは分っている。 さぁ、手腕の見せ所だ。私の戦いはまだまだ終らない。


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