4年目 〜凋落の兆し。〜

GMとして4年目の正月。関東ガスの社長との懇談により、今年のスポンサー料増額をとりつける。 昨年のJ1での活動が関東ガスの広告効果に結びついたらしい。ところが、TVでの視聴率は 思ったよりも伸びなかった。12局ネットの新東京テレビの専務から、放映契約打ち切りの通告を受けてしまった。 替わって6局ネットでの報道になった。スポンサーには物流業界大手から8億円の出資が頂ける事に。 これはかなり経営としても助かる話しだ。その他映画会社の協力を得られる事になった。

成績の芳しくなかった昨年を考えると、今年の契約更改は厳しくあたらなくてはならない。 ゴールマウスを死守した袴田だが2年契約という事で30百万から85百万への大幅アップを認めた。 右のサイドバックを勤める喜沢。彼はチームの人気選手でもありオールスターにも選出された事を考慮し、 97百万から135百万の2年契約を提示し一発サイン。 大野は期待には満たない出来ではあったが、57百万維持には難色を示したため 2年契約を条件に70百万という事で納得したようだ。 同様にマルティンも納得できるシーズンではなかったが25%アップの75百万で2年契約で承諾。 新人ながら最終ラインで奮闘した千代反田には異例の5年契約を持ちかけた。 少々強引ではあったが、100百万の契約には否のあろうはずが無い。 以上主力との交渉を済ませた後は、お互いに辛い話し合いとなった。

先ずは藤下が20百万維持でしぶしぶチーム残留。富士も30百万に減額提示したが、 首を縦に振らなかったために前年同様38百万の単年契約とした。 チーム随一の高給取であった曽我部には30百万を提示。 案の定80%減には納得のいかない曽我部は言葉も無く、応接室を後にしてそのまま戻らなかった。 同じくボランチでコンビを組んだ正芳も85百万からの減額を一切認めなかったため、契約不調で退団。 江埜口とは契約更改をせず、自由契約選手としてチームを離脱した。 全選手の契約更改が済んだ時点でのチームの運営資金は19億円となっていた。 もう少し厳しくても良かったのかもしれない。

並行して新人獲得にスカウト部が奔走。 曽我部、正芳の抜けた守備的MFを担う戦力として 中村忠クン、 森岡茂クン、 と契約できた事は大手柄であろう。2人とも中学を卒業したての16歳。 学業との両立を期待したい。前者には33百万、後者には20百万の年俸を与えるが、大切に使って欲しいものだ。

エドワード監督で結果が出なかった昨年。 指導方針を変えるしかあるまい。ポルトガルから大物を招聘。35歳と若いが、実力は疑う余地の無い アーグスタ氏が 監督就任を快諾してくれた。まずは1年契約と言う事だが、アーグスタ監督の元で 4−5−1システムでの中央突破に期待しよう。 2月のチーム始動はアーグスタ監督の意向により リスボンでキャンプをはった。

2年目のJ1が始まる。今年の目標は5位以内なのだが、果たして。 チームの布陣は1TOPには竹村と沢田を併用。 トップ下には加東とマルティンを並べる。センターハーフには大野を据え、 新戦力の森岡、中村を左右のボランチで起用。円藤と藤下にも活躍してもらうつもりだ。 4人のディフェンスだが、大幡をリベロとして左から見吉、千代反田、喜沢と並べる。 ゴールマウスに鍵をかけるのは袴田。

開幕前の専門誌でのチーム分析によると 「オフェンス:2.8/ディフェンス:2.8/スタミナ:3.3/戦術:1.8/システム:1.8」 との酷評。確かに監督交代に伴う戦術、システムの変更に一抹の不安はある。 しかし、サッカーは何が起こるか分らない。

そう、何が起こるか分らない東京ヴェルディとの開幕戦。 いきなりの中村退場。なんとか引分けで切りぬけたものの、続くガンバ大阪戦を0−2の完敗。 3節の鹿島アントラーズ戦はシーソーゲームの末、本山の退場を誘って3−2の辛勝。 沢田が決勝ゴールを決めて私の期待に応えてくれた。しかし、その後も苦しい試合は続く。 見吉の退場などもあり、横浜F・マリノス、清水エスパルスに連敗。 セレッソ大阪戦では千代反田が専門誌で10.0の評価にも関わらず、試合自体は1−1の引分けで 結局3月は1勝2分け3敗と散々。

4月に入っても状況はあまり変わらず。 カップ戦では柏レイソルに0−1、0−2と歯が立たず。 1stステージに目を移すと、 大分トリニータは退場者を出しながらも、品川シュトルツにチャンスを与えず完敗。 番組放映の打ち切りが噂され始めた矢先の名古屋グランパスとの8節。 大幡のFKがゴールネットを揺らし、延長戦で沢田のVゴール。 実に1ヶ月ぶりの勝利。選手たちには勝利ボーナスとして10百万を支給する事にした。 これが効いたわけでも無かろうが、札幌コンサドーレにも竹村の先制点を守りきって連勝。 見吉が10.0の採点されるオマケ付き。2試合連続の勝利ボーナス支給。 京都パープルサンガにはスコアレスドローで勝ち点1を上積み。 専門誌の月間MVPは鹿島のファビアーノ選手が3月に続いての受賞だそうだ。 マルティンがここまで育つのは何時の事だろう。

1stステージも佳境の5月。 苦戦は続き、袴田のファインセーブも実らず浦和レッズに0−1の惜敗。 カップ戦で歯が立たなかった柏レイソルとの再戦はVゴール負け。 残り3試合で順位も気になりだした私は、ヴィッセル神戸とのアウェイの一戦に 30百万のプレミアを出す事を決意。 プレミアに惹かれた訳では無いだろうが、沢田が2ゴールを決めて久しぶりの勝利。 沢田は荒削りながらもストライカーとして、チームで光を放ち始めている。 つづくホームでのジュビロ磐田戦もプレミア30百万で臨んだものの、これは0−2と完敗。 袴田は良くやっているとは思うが、如何せんディフェンスが弱いか。

郷土のお祭りに約20百万出資。チームの戦績は今一つだが、これで評判は捨てたものでもないだろう。 羽田空港の新滑走路計画への6億円の協賛は丁重にお断りした。 昨年に続いて助役もクラブハウスに訪れたが、無い袖は振れない。

ステージ最終節はFC東京とのダービーマッチ。 2−0で有終の美を飾った。順位は12位で何とかBクラスの底辺といったところか。 75百万円の賞金は何に使おうか。 今年の1stステージを制したのは清水エスパルス。14勝1分けの無敗は恐れ入る。 通算5失点という堅いディフェンスは見習わなければならない。 エースのエジムーニョは月間MVPに。いずれウチの沢田も・・・ 品川シュトルツは5勝7敗3分けで12得点16失点。まずは勝率5割、特失点差をプラスに改善したい。

夏の祭典、オールスターには昨年に続いて見吉が、そしてファインセーブ連発の袴田、 右サイドバックの喜沢も選出された。 残念ながら見吉はコンディション不良につき試合には出られなかったが、袴田はPK戦まで 戦いぬいて7−6の末、勝利に貢献した。

インターナショナル予選が始まった。 残念ながら我がシュトルツからは代表選手を輩出することが出来なかったが やはり自国の代表の戦績は気になるものだ。 チームがシステム練習に打ちこんでいる間も、私はオフィスで試合結果をチェック。 中国戦の取りこぼしが響いて、韓国、サウジに次ぐグループ3位となり本戦には進めなかった様だ。 サウジとは勝ち点1の差。中国との引分けが勝利であれば、と言うところか。 世界の壁はここまでも厚いものか。

8月を迎えてJ1リーグも2ndステージが開幕。 システム練習の結果も実らず、開幕3連敗。 相手エースにしっかり仕事をされてしまったのは、悔しい限りだ。 スカウト部にはGKを探してもらうように指示を出す。 4節は昨年の覇者、横浜F・マリノス。これは連敗街道まっしぐらか、とのスポーツ紙の予想を裏切る 1−0の守り勝ち。久しぶりの加東のゴールを袴田、見吉、喜沢が守りきった。 こう言う試合を続けられると良いのだが。 と、思った矢先の1stステージ覇者、清水エスパルスとの一戦は加東先制という願っても無い展開。 しかしチームの勢いが違うのか、守りきれずに逆転負け。 再び連敗街道か、と心配したが6節のセレッソ大阪戦で大幡が魅せた。 セットプレイを任されている大幡からのFKがマルティンへのアシストとなり、 1−0で夏休み最後の試合に終止符。 この試合の千代反田の守りっぷりに専門誌は10.0の評価を。ディフェンスの連携は向上しているのか。

オフィスにスタッフから緊急連絡。 サテライトで練習を続けていた富士が、チームを離れたいと言う。 正直言って、彼は今のチーム構想には無い。中村、森岡の高校ルーキーも試合勘を身につけ レギュラーの座を譲らない。しかし富士は古参の選手。彼の離脱に動揺する若い選手達も出てくるだろう。 ここは悩みを聞く事で、ガス抜きになったようだ。 23時まで話し合った翌日以降は、練習場で普段通りの練習を続けていた。

9月に入りサポーターが減り始めていると言う連絡を受ける。 どういう事だろうか、品川区の人口は微増で40万人突破したと聞いていたのだが。 やはりチームの戦績か。強化費に余裕があるわけでもない。 弱いのは中盤のタメを作れる選手がいないからだと思っているのだが。

悩んでいる間も試合日程は進む。 ハードな練習が選手のコンディションを崩したのか、9月の緒戦は格下である大分トリニータと 120分フルタイム戦って1−1の引分け。次節までは休養を取らせたものの、 名古屋グランパス戦も延長戦に突入。1−1のまま試合は動かず120分が終了。 とにかく休養が必要だ。完全オフにし、北海道でのコンサドーレ札幌戦へ移動。 宇野が退場する苦しい展開となったが、休み明けの選手達は奮起。 竹村が久しぶりに決勝ゴール。これを10人で守りきって2ndステージの3勝目。 この勢いをパープルサンガ京都にぶつけたかったのだが、良いところ無く0−1で苦杯。 浦和レッズにも勝ちきれず0−1で悔しい思いを。この時期、勝ち点の近いチームに負けるのは 非常に悔しい。 悪い事は続くもので、慰留してきた富士から 自主退団の申し出を受ける事になった。 不退転の決意を覆す事は出来ず、彼はチームを去っていった。 やはり同様が隠せないイレブンは柏レイソル戦に100%取り組む事が出来なかったのか 120分スコアレスドローに終った。

「悪い事ばかりではないですよ」と秘書が慰めてくれた。 直後にスカウト部からの吉報。高校No.1GKの呼び声高い 岩下圭次郎クンがチームに帯同してくれる事になった。 高校生に90百万とは、とメディアには叩かれたが、これも強化策の一環だ。 袴田にも刺激になることだろう。

4月に緒戦を戦った柏レイソルがカップ戦を優勝したと言う。 優勝チームの足取り、 と言うことで初回に惨敗している品川シュトルツをスポーツニュースで見るのは辛いものだ。 それ以上に辛いのは2ndステージの残り試合。 ヴィッセル神戸に1−3、ジュビロ磐田に1−1、FC東京に1−2と散々な終幕。 結局1stステージより戦績は悪く、13位にて終了。 3勝8敗4分け9得点17失点と凋落は止まらない。このままではJ2落ちも時間の問題か。 一方、栄華を極めたのは清水エスパルス。両ステージ制覇となる13勝2分けの完全優勝。 年間無敗とは。エジムーニョがMVPに選出。但し得点王は鹿島アントラーズの鈴木隆行の35ゴール。 品川シュトルツの得点王は加東で7ゴール、沢田が5ゴール。これでは駄目だ。 攻撃、守備、課題は多い。 今年の降格はセレッソ大阪、コンサドーレ札幌の2チーム。今年、品川シュトルツに白星を 献上してくれた2チームがいなくなる来年は剣が峰となろう。

11月に岩下がチームに合流すると同時に、サテライトにいた控えGK西巳が 自主退団。 新しい顔ぶれとなり、プレシーズンマッチで様々な調整。 岩下も試合に出て、チームの皆と連携を深める。 海外へも遠征を行ったが、サンホセFCには0−1、アクラFCには0−3で良いところ無く帰国。 国内では4勝1敗1分けとまとまってきたか。

緒戦敗退が恒例だったニューイヤーカップだが、 ジェフユナイテッド市原相手に千代反田が初ゴールとなるヘディングを皮きりに 2得点。2回戦に進んだ。相手は浦和レッズ。今年は2戦2敗の相手だったが PK戦に持ちこんだ。ところがエースの沢田と千代反田が外してジ・エンド。 大会は鈴木がゴールを量産して鹿島アントラーズが優勝した。

今年の観客動員は25万人強。 年間収支は意外な事に2億弱の黒字だと言う。 地元である品川区の住民は40万人を超え、商業26%で、住宅、スポーツが7%、自然5%と言う データが届けられた。

とにかく選手の出入りも多く、動きの多い1年ではあった。 戦績は下降線だ。このままでは優秀な選手達は愛想を尽かしてチームを離脱してしまうかもしれない。 アーグスト監督自体に間違いは無いと思うのだが、4−5−1システムにフィットしていないのか。 沢田、竹村を活かすには2トップとして4−4−2、もしくは3−5−2を導入してみるのも 一つの手だとは思うのだが、またシステム、戦術を1からやり直す不安も隠せない。 さて、どうしたものか。


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