5年目 〜ゼロ浮上への展望〜

早いもので就任5年目だ。今年はインターナショナルカップも開催される大事な年だ。 帝国シネマが業績向上のため、スポンサー料を上げてくださった。 しかし年間平均視聴率15%を下回った場合は契約破棄、契約金の返還という条件は厳しいのか。 その他ランジェリー会社、インテリア企業が新規スポンサーとなり36億円の強化資金を得た。

帝国シネマの契約条件は年間平均視聴率15%だったか? 広報スタッフから、今年のチームの試合報道は6局ネットから更に格下げのローカルネットでの報道だと言う。 これで15%は到達出来るのだろうか。これは対策を講じなくてはなるまい。 悩ましい。

さて、契約更改だ。 大幡(23歳)とは160百万で単年。来年以降で留学を考えたい。 ルーキーイヤーを終えた中村(16歳)は微増の契約。 35百万の3年契約。来年は留学させたい。 同じ新人の森岡(16歳)は50%アップの30百万で単年。 円藤(22歳)は70百万維持で2年契約。 チームの柱である加東(25歳)は45百万から80百万まで要求されたが、これは否めまい。 彼には今年からMFにコンバートして活躍してもらうつもりだ。 エースストライカーの沢田(23歳)には3年契約で75百万。 凌ぎを削るもう一人のFW竹村(24歳)は90百万維持で単年。 J1昇格の功労者であった藤下(27歳)、宇野(31歳)とは残念ながら契約更改せず、チームを去った。 この時点で資金は28億となった。

続いての監督人事。 ドイツの闘将、コッヘル監督ともギリギリまで調整をつづけたものの、6億近い契約金がネックになり 最終的にはアーグスト続投。システム、戦術の一貫性もアーグスト採用に追い風となった。 スカウトについても朝山稔氏との契約寸前までいったものの、こちらも金額面で折り合わず 岡津スカウトが留任。

喜沢にタイルFCから540百万のオファーがあったが、貴重な右サイドバックは放出する訳にはいかない。 しかし選手にとっては、J1でくすぶる品川シュトルツでプレイするよりも、海外でのチャレンジを 良しとする者も出てくるだろう。今年は結果が求められるシーズンだ。

サポーターズクラブには48百万円の予算を取った。 会員減少の続くサポータークラブに歯止めはかかるのか。 また、正月の東京都サッカー大会にも10百万円の出資。 地元のサッカー人気に貢献できれば幸いだ。 その一方で相変わらず羽田の空港拡張に協力を求められる。 国交省の役人からも再三突っつかれてはいるのだが、6億もの金を拠出する訳にはいかない。

スカウト部からの新人報告は1件。千代反田の同郷である 山形恭平クンを獲得できたと言う。 14百万で宝珠の原石が手に入った。彼にとって厳しくも、楽しいプロサッカー生活が始まるのだ。

今年もリスボンキャンプでじっくりチームの底上げを図る。 3月にはスコットランドから長橋も帰国した。 今年の4−5−1は 1トップを沢田、トップ下に帰国したての長橋、マルティン。 左右のボランチに円藤、森岡を並べて、センターハーフは大野に任せる。 最終ラインは大幡をボランチとし、左から中村、千代反田、喜沢の浅いライン。 GKは背番号「1」を背負った岩下がレギュラーを奪取。 ベンチには竹村、袴田、見吉、山形らが控える。

今年はJ2からアビスパ福岡が復帰、また横浜FCがフリューゲルス消滅以来、初めてJ1に昇格した。 3月6日。今年のJ1リーグ、1stステージが開幕した。 開幕戦の相手は、ニューイヤーカップの覇者である鹿島アントラーズ。 スポーツ紙の予想では鹿島有利であったが、開幕戦で勢いが決まる事を知った私は 選手達に30百万のプレミアを約束。拮抗した試合展開に終止符を打ったのはベテラン加東。 延長からピッチに立った彼はカシマスタジアムを黙らせるVゴール。まずまずの発進だ。

ホームでの開幕戦、東京ヴェルディ戦は勝利目前で88分に追いつかれ1−1のドロー。 3節の横浜F・マリノス戦では加東がケガをするアクシデント。 試合は大幡のFKで辛くも同点。負けないシュトルツは引分けで勝ち点1を上積み。 ところが、強豪ジュビロ磐田をホームに迎えた4節は沢田が相手GKとの1対1に 時間をかけすぎ得点ならず。延長後半にVゴールを叩きこまれて今シーズン初の黒星。

昨年のJリーグチャンピオン、清水エスパルスとのアウェイの一戦は 1−1のまま延長戦に突入。前半で沢田が痛恨のレッドカードでここまでかと思われたが、 120分なんとか粘ってドロー。ホッとしたのも束の間。 延長の疲れが残ったのか、最下位のアビスパ福岡に0−1で敗れるという屈辱。 沢田の出場停止に岩下の90分フルタイム起用は慢心だったか。

3月は視聴率も14.57%と契約条件にはギリギリ届かず。 スタンドは満員になっていると言うのに。 関東ガスからは年間収支黒字を条件とされていたが、賭けにでるしかあるまい。 私はスタジアム拡張の意思を固めた。 ところが経理スタッフ、顧問弁護士からは大反対。 「関東ガスとの契約はどうなります」「今のキャッシュフローではお急ぎにならなくても」 何より、私自身変なを見た。 スタジアム拡張は時期尚早だったか。経理スタッフ、顧問弁護士との打合せで計画は取り止めとした。

4月はチームが好成績を収める。 カップ戦は川崎フロンターレにアウェイで1−0の勝利。 ホームは守りきって2回戦進出。両試合ともに千代反田が10.0評価を受ける。 リーグ戦の方も中位クラスからしっかり勝ち星を積上げて3勝1分けの無敗。 但し視聴率は相変わらず14.74%と契約を満たさず。

住宅投資、スポーツ投資、地元のお祭りへの出資など、出来ることは全てしているつもりだが 5月に入っても視聴率が伸びず14.71%に留まる。 サポーターも減りつづけている。 確かにカップ戦の2回戦はジュビロ磐田相手にアウェイを0−1で落とし、 ホームで竹村が決定機を逃して3回戦進出が消えた。 リーグ戦も柏レイソル、浦和レッズに勝ちきれず勝ち点1づつを上乗せしたのみ。 ヴィッセル神戸には痛い一敗を喫し、6位から8位へと順位を下げた。 最終節のガンバ大阪戦は相手のエース、ステファノビッチが退場したにも関わらず PK献上してリードを許す有様。何とかドローに持ちこむのが精一杯だった。

それでも昇格後最高位の8位で1stステージを終了。150百万の賞金に頬が緩む。 5勝3敗7分けと、勝率も5割を超えた。後は決定力を高めて勝ちきれなかった試合での 勝ち点を上乗せ出来るようにしたいところだ。 11得点9失点という成績にも如実に現れている。 千代反田は4月からベストイレブンに選出されつづけ、遂に6月には 月間MVPの受賞を受けた。 オールスターには千代反田、喜沢がノミネートされ、オールEastの4バックを守り、3−2で勝利した。 しかも千代反田は決勝点となるPKを決めた。

7月に入ると、スカウト部から耳寄りな情報。 ドイツの新星バイティンガー選手がシュトルツに興味を示していると言う。 弱冠20歳の新鋭に80百万は高すぎた。 まぁ、その分は試合で元を取るしかあるまい。 とにかく、9月にはチーム合流するとのこと。楽しみに待とうではないか。 そして、あれは正夢だったか。インターナショナルカップはカザフが制したと言う。 アジアサッカーの時代が来たのだ。

J1リーグ2ndステージが始まる。専門誌によれば、我が品川シュトルツは 『オフェンス:3.1/ディフェンス:3.1/スタミナ:3.4/システム:2.9/戦術:2.8』 と、降格争いの中に挙げられていた。 冗談ではない、こうなればプレミアを奮発してでも上位に食いこまなくては。

ところが、さすがは専門誌。 フタを開ければ開幕5連敗。一方的な敗戦は少なくなったものの、やはりシーソーゲームを落とすのは 決定力不足なのか。選手の中にも長橋のように監督を批判する者が現れ始めた。 6節のアビスパ福岡戦では、ホームにもかかわらず8,000人程度しか観客が集まらず。 これでは収益にも影響が出てしまう。試合も沢田の退場でスコアレスドロー。 千代反田だけは堅い守備が評価され、引き続きベストイレブンに。

世の夏休みが過ぎても、シュトルツイレブンは足踏み状態。 7節のFC東京、8節の京都パープルサンガと連続でVゴール負け。 選手にとっては最も疲れるパターンであろう。 さすがに最下位対決となった横浜FCとの9節はプレミア無しで4−0と竹村が爆発したが、 勢いは続かず名古屋グランパスに0−1で惜敗。 ホームで13位の柏レイソルを叩いて浮上を狙うものの先制を許し、何とか加東が同点弾を叩きこむに 留まった。 結果的にはその後のヴィッセル神戸、大分トリニータから勝ち星を得たものの 14位で2ndステージが終了。3勝10敗2分けと、1stステージで引分けた分が 黒星になってしまった勘定だ。

月間MVPはジュビロ磐田の福西の独壇場であったが、優勝したのは古豪 横浜F・マリノス。10勝4敗1分けという結果に上位陣のつぶしあいの痕が見られる。 得点王は22ゴールで2年連続となる鈴木隆行。 我がチームからは竹村が16位の11ゴール。 年間MVP福西に0.4点及ばず、千代反田は7.1点と言う年間評価であった。 年間総合順位も品川シュトルツは首の皮1枚となる14位で終了。 横浜FC、ヴィッセル神戸が降格の憂き目を見た。

まったくもって、この窮状を救う手立ては無いものか。 とりあえず11月のプレシーズンマッチでは2列目にバイティンガーと山形を並べてテスト。 伸び盛りの森岡は来期留学に出そうと思う。 内弁慶のシュトルツはプレシーズンマッチは4勝2分けと負け無し。 海外遠征もドシャンベFCに3−0、バグダッドFCには1−1のドロー。 しかし視聴率は相変わらずの14%台。 またも経理スタッフから「帝国シネマさんとの契約条件を満たしませんと4億円の違約金です」と どやされる。

横浜F・マリノスとジュビロ磐田のチャンピオンシップを観戦に横浜まで足を伸ばした。 福西が要所要所を締めて、マリノスに良いサッカーをさせず磐田がチャンピオン。 ジュビロは決定力の高い高原、井上を前線に擁し、GK戸野池がゴールマウスにガッチリ鍵をかける。 当面、王座は安泰のように見えた。

東京ヴェルディとのアウェイの一戦で始まる今年のニューイヤーカップ。 2列目には加東と森岡を戻し、必勝の体制で臨む。 シーソーゲームを制したのはシュトルツ。 延長前半加東がVゴール。やはり加東は良いところで仕事をする。 2回戦は浦和レッズ。トゥット、アリソン、エメルソンの3人に良いように掻き回され こちらのサッカーが出来ず、最後はエメルソンのカウンターに沈んだ。0−1でシュトルツの 今シーズンは終った。その浦和レッズも清水エスパルスに完敗。優勝は清水エスパルス。

結局15%の視聴率をキープできずに、帝国シネマには4億円の 違約金を支払った。 平均視聴率は14.63%。こちらもギリギリで落とすのはチームと一緒か。 観客動員は27万人弱、減りつづけるサポーターは現状で25,000人。 年間収支は何とか10億の黒字となり、経営的には楽になった。 しかし何時になればスタジアムを拡張できるのか。


目次へ

前の年に戻る次の年へ進む

タイトルへ戻る