6年目 〜心機一転 4−4−2〜

残念ながら帝国シネマとの契約は4億円の 違約金という形で終ってしまった。 新規スポンサー探しも極力契約条件の無いところを探さなくてはなるまい。 大口の関東ガスも昨年の体たらくに契約継続はして頂けなかった。 厳しいデフレスパイラルの中、地元のパンメーカーが5億円も出資してくださると言う。 これからは毎朝パン食だ。計10社から頂いたスポンサー料を合わせて、 現時点でのキャッシュフローが32億。 さぁ、厳しい契約更改だ。ところが、全貌がスポーツ紙にバレバレ。

名前ポジション推定年俸寸評
岩下(17歳)GK90→88失点の多さが気になる
袴田(26歳)GK85→95レギュラー奪取なるか
大幡(24歳)DF160→160(2年)FKにも磨きがかかる
喜沢(24歳)DF135→155(2年)不動の右サイドバックの飛躍なるか
見吉(26歳)DF24→34(3年)中村と左サイドバックを争うベテラン
大野(27歳)MF70→120(2年)チームリーダーの期待大
森岡(17歳)MF30→40(5年)昨シーズン一番の大化け
マルティン(20歳)MF74→125チームにも馴染んで大爆発を狙う
加東(26歳)MF80→80やや衰えも目立つが決定力No.1
山形(16歳)MF14→15(5年)会長秘蔵っ子の奮起を期待
竹村(25歳)FW90→95(2年)チームの重戦車は今年は得点王を目指す

一体どう言うことなんだ。情報の出所を広報部に確認させていると、翌日のスポーツ紙には『品川シュトルツ 監督交代!』『アーグスト氏突然の解雇』『新監督はアイルランドの智将』 などの記事が飛び交っているではないか。記事に煽られるように監督就任の会見を開く。 「今回の監督交代はアーグスト氏に成績不振の責めを負わせるものではありません。 より攻撃的なスタイルを模索し、今シーズンは竹村と沢田の併用を決めました。 そこで4−4−2スタイルに実績のあるオライリー氏を招聘致しました。 2年間のアーグスト氏への感謝の心は少しも変わることはありません」

マスコミ対応で例年よりも慌しい正月となったな。 実はマルティンにも6億のオファーがあったのだが、それは上層部でお断りする事にした。 マルティンはこれからもシュトルツの中心選手として活躍してもらわなければならない。 新人獲得では坂田大輔クンを狙っていたものの契約年数が合わずに契約には至らず。 FWの後釜をそろそろ見つけておかねば。

秘書に呼ばれて医療スタッフを訪れたのは1月の下旬。 体力テストの結果、長橋の身体能力が飛躍的に開花していると言う。 頼もしい事だ。スコットランドへの留学の成果が現れたと言うことか。 これで今年のスタイルは決まった。

                        (控え)
       竹村
             沢田

          山形             バイティンガー
     大野        マルティン     加東
          長橋             円藤
      
     中村  千代反田  喜沢        見吉

          大幡             

          岩下             袴田
2月のロッテルダムキャンプの後、森岡はそのままリスボンに1年間の 留学に旅立った。 森岡も素晴らしいOMFに成長する事を期待しよう。

3月に入り新監督の下でミーティング。 喜沢と竹村はチームの中に親しくできない人間がいると不満をもらし、 円藤は起用法、袴田は契約金額に満足していない様だ。 これは対策を練らなくてはならない。 今年は試合に対して、プレミアを原則0円とすることも通達した。 勝って当たり前、勝てないようならJ2落ちするべきなのだ。 イヤなら勝て。それしかあるまい。

脅しが効いた訳でもあるまいが、鹿島アントラーズとの開幕戦。 カシマスタジアムの興奮に後押しされて柳沢が早くも2ゴール。 しかし今年のシュトルツは粘りが違う。前半の内に1点返すと 後半怒涛の2ゴールで逆転。終了直前に同点弾を浴びるものの、 鹿島アントラーズから勝ち点1を得た。 ホームの緒戦となった清水エスパルス戦は残念ながら1点を 返せずに0−1の敗退。 しかし横浜F・マリノスにも守り勝つと、 昇格組のサンフレッチェ広島、ベガルタ仙台、そして 大分トリニータと下して4連勝。 3月はベストイレブンには千代反田と長橋が選出された。

カップ戦の緒戦は3月にも対戦した横浜F・マリノス。 アウェイではシーソーゲームの末2−2のドロー。 ホームでは久しぶりにプレミア10百万を用意して臨む。 いきなり先制される苦しい展開だったが、エンドの替わった後半、 山形のクロスをライン際で受けた竹村がダイレクトボレー。 一瞬、が放たれたかの様だった。 綺麗にゴールマウスに吸いこまれ、2試合とも引分けてPK戦に突入。 岩下が踏ん張って4−3でマリノスを退ける。

4月はリーグ戦も4勝負け無しの好成績。 起用法に不満を抱く円藤をピッチに送り出すなど、 オライリー監督も余裕の采配。バイティンガーもアシストを記録するなど チームにフィットし始めた。

カップ戦の2回戦はジュビロ磐田が相手。 ホーム、アウェイともにプレミア10百万にて2−1、3−0と完勝。 竹村が点を獲り、千代反田が守る、シュトルツの良いリズムが発揮できた。 1stステージはいよいよ佳境。ガンバ大阪との11節はスコアレスドローのまま 延長突入かと思われた後半ロスタイム。大幡のCKに詰めたのは竹村。 値千金のゴールで2位浮上。首位の清水エスパルスを肉薄する。

「皆さん、調子良さそうですね」 優勝に向けて、秘書も気が気でないらしい。 ところが、ホームで迎えた12節。FC東京に前半で2失点。 バイティンガーから加東に交代するものの、後半も見せ場が無く完敗。 これが優勝へのプレッシャーなのか。13,000人余りの観客からは大ブーイング。 順位こそ下げなかったものの、勝ち点で清水エスパルスに差を付けられてしまう。

「お祭りにでも行きましょうか」 今度は秘書が気を効かせて、オフの日に地元の祭へと誘ってくれた。 シュトルツのコーナーも見事なものだった。これならば来年も祭に出資しても良いだろう。 「お母さん、シュトルツ優勝出来るかな?」「じゃ、また応援に行かないとね」 ふと聞こえて来た会話に、地元サポーターの期待を感じずにはいられなかった。 そうか、そう言うことか。 秘書の気配りに今更ながら頭が下がる。

奮起したシュトルツはその後の2試合で順調に勝ち点を伸ばし、最終節を待つ。 首位の清水エスパルスの勝ち点は37、我が品川シュトルツは34と数字上はエスパルス優位。 とにかく最終節のジュビロ磐田には勝利が義務付けられる。 それも得失点差を考えると大量得点が欲しいところだ。 6月8日19:00、運命のキックオフ。 シュトルツスタジアムを悲鳴で満たしたのは前半25分。 山形のタックルはファウルを取られて一発退場。これにはスタンドからもブーイング。 しかし裁定は覆らない。中盤を一枚欠くシュトルツ。ところがオライリー監督は 空いたスペースを積極的にパスで撹乱する指示を出す。守備も岩下が奇跡的なファインセーブを連発。 すると後半にセットプレイから虎の子の1点をもぎ取り、そのまま試合終了。 やる事はやった。清水の試合結果はどうだ?

スタッフから携帯電話に連絡が入る「清水エスパルスは・・・引分けました」 僅か勝ち点1の差で優勝カップには届かなかった。「そうか、ありがとう。気をつけて帰って来てくれ」 何を悔いる事があろうか。昨年はどん底にいた品川シュトルツは チーム史上初の優勝争いを演じ、1stステージ2位という好成績を残した。 中でもステージ通算の7失点は清水エスパルスの10失点を下回り、J1の16チーム唯一の一桁失点であった。 若い選手の中には涙を浮かべている者もいる。 「バカだな。泣くな。2ndステージもあるんだぞ。これからだ。このサポーターに応えるのはこれからだ」 と叱咤する私の声も震えが抑えられない。 悔しいなぁ・・・

プロの世界は厳しい。 優勝を逃した3日後にはカップ戦の3回戦が組みこまれている。 アウェイではバイティンガーの初ゴールで 先勝しているとは言え、選手の気持ちを考えると試合どころでは無いのではと、 心配していたのだが、杞憂であった。 オライリー監督のもと、次の目標をカップ戦に切り替えたイレブンは ベガルタ仙台をホームに招いて、2−1の完勝。 先制されてもすぐさま山形が同点弾を叩き込む姿に、違う涙が頬を濡らした。 これでベスト4進出だ。カップ戦優勝も夢ではない。

頑張っているのは選手だけではない。 何とスカウト部が貴重なDFのバックアップメンバーを見つけてきたと言う。 U17代表の和登クン、U19代表の宮田クンだ。 2人とも50百万で契約。千代反田を中心に築かれた鉄壁のシュトルツDF陣に頼もしい バックアッパーの誕生だ。来月からチームに帯同するのは良いのだが、サテライトで くすぶっているのも芸が無い。かと言って1軍枠は一杯だ。 強化部長から中村を留学に出してはどうかというアドバイスがあった。 SDFとしてならリスボンFCも実績があるという。アーグストの伝手もある。 その週末に中村はリスボン行きの飛行機に飛び乗った。 「1年後、楽しみにしているぞ」

オールスターにはいつもながら千代反田、喜沢が選ばれ、今年は長橋も名を連ねた。 しかし4ヶ月連続となる月間MVP受賞は伊達ではなかった。エジムーニョに2失点。 1−2でオールEastの敗戦であった。

7月に入ると世界スポーツ大会の予選が始まり、 品川シュトルツからも2名が代表入りを果たした。 千代反田と長橋だ。千代反田は予選大会をフル出場、長橋は3試合に出場し 見事5勝2分けのグループ首位で本選への出場権を獲得した。 この頃、チームではオライリー監督のもととにかく潜在能力を伸ばす練習に特化。 基礎練習を中心に、伸び率の良いものを積極的にカリキュラムに取り込んだ。

J1昇格後、2ndステージの開幕戦で勝ち星の無いシュトルツ。 ジンクスは健在で4年連続の開幕黒星。 2,000円の入場料を払って満員のお客様をホームに迎えておきながらの失態に思わず目をつぶる。 続く2節ではいきなり1stステージの覇者清水エスパルスとの直接対決。 アウェイの試合に一抹の不安があったが、これを延長に持ちこみVゴールで劇的な勝利。 これをきっかけにその後も長橋が10.0評価を続けて3連勝。5位にまで順位を上げた。 6節の大分スタジアムでのトリニータ戦。 吉田に出鼻をくじかれるものの、長橋の同点ヘッドで何とか引分け。この試合でも 長橋が10.0評価。能力開花は嘘では無い。月間MVPこそ守備の要、千代反田に譲ったが マルティンと合わせて3名がベストイレブンに名を連ねた。 2ndステージ優勝を目標に、選手達は一丸となった。

9月に入ってもマルティン、千代反田、長橋が代わる代わる評価点10.0の大活躍。 4勝2分けと12節終了時点で遂に首位に立つ。 カップ戦も京都パープルサンガを合計2−1で下し、初の決勝進出。 決勝の相手は浦和レッズ。正直言って苦手な相手だがチームのモチベーションは最高潮。 望外の3−0に浦和スタジアムに詰め寄せたレッズサポーターは声も無く、 アウェイ席のシュトルツサポーターめがけて竹村がカップを持ってウイニングラン! 初のカップ戦優勝だ。大会MVPには千代反田が選ばれた。 経理スタッフは優勝賞金5億円に目を輝かせている。 優勝クラブに恥ずかしくないよう、この資金でクラブハウスを拡張する事にした。 これで手もとのキャッシュフローは18億となった。

1stステージの優勝を逃した時の悔しさは一夜で払拭したイレブンだったが、 さすがに優勝の喜びはどこかで慢心を生んだのか。 首位で迎えた14節の相手はまたしても浦和レッズ。 レッズサポーターの前で、レッズイレブンも2度の失態は許されない。 緊迫した試合に終止符を打ったのはトゥット。岩下との1対1に落ち着いてループシュート。 岩下も飛びつくものの、右手の僅か上を残酷な軌跡が弧を描く。 0−1の敗戦。この時点で首位から4位へと陥落する。 最終節はジュビロ磐田に竹村のハットトリックなどで5−0と圧勝するが時既に遅し。

2ndステージも優勝を清水エスパルスにさらわれてしまった。 勝ち点差は1。清水エスパルスは11勝3敗1分けで勝ち点33、品川シュトルツは10勝2敗3分けで勝ち点32。 失点はまたしても清水の20失点に対して、シュトルツは8失点。 思い返せば大分トリニータ、京都パープルサンガに勝ち切れなかったのが響いたか。

そんなチームに朗報が。竹村が28ゴールを挙げ得点王に輝いたと言う。 チーム初の個人タイトルだ。 すると記者達に選ばれる年間最優秀評価点選手には 長橋が選ばれた。7.9点の長橋に続いて、7.7点の千代反田が2位、7.1点のマルティンが7位、 喜沢と大野も6.6点は18位だと言う。

他チームに目を移すとサンフレッチェ広島が昇格1年目で降格が決定。 アビスパ福岡も昇格2年目で降格の憂き目を見る事になった。 一年前はシュトルツも年間14位で終ったとは思えない程の躍進ぶりだ。 オライリー監督には何と感謝の言葉を伝えれば良いものか。

2位の賞金7億円で第2練習場を設ける事にした。 短芝も張り、オライリー監督の指導環境の向上に役立てば良いのだが。 減り続けていたサポーターも増加に転じ、視聴率もうなぎ上りと言う。 広報スタッフの顔にも安堵の表情が浮かぶ。 品川区の助役からも感謝状を頂いた。何でも品川区民の増加に寄与しているそうだ。 区民は44万人を超えたという。

11月を迎え、初めてワールドチャレンジカップに挑む事にした。 オライリー監督が対外試合を強く望んだためだ。 リュブリャナFCが緒戦の相手であった。 戦力比較では決して引けを取る相手では無かった様に思うが、 アウェイでの試合は大幡のタックルに一発退場のレッドカード。 オライリー監督は猛烈な抗議を行うが、判定が覆る事は無く10人で戦うシュトルツも 後半に1失点を喫し緒戦敗退。 初挑戦は何とも煮えきらぬ結果になってしまった。

ニューイヤーカップは嫌な流れを引きずった訳ではあるまいが、 緒戦は降格の決まったアビスパ福岡相手に大苦戦。 PK戦にまで縺れ込み、薄氷を踏むような勝利。 2回戦のサガン鳥栖こそ2−0で退けるものの、3回戦の東京ヴェルディは ホームで良いところ無く0−1の敗戦。立錐の余地無いシュトルツスタジアムに冷たい風が吹く。 しかし、考えてみればニューイヤーカップのベスト8も史上初の成績なのだ。 これで満足できないクラブに育った事に、私は内心喜びを感じていた。 優勝は柏レイソルだった。

今年は予期せぬ転換期となった。 オライリー監督を招き、システムを変更し沢田、竹村を並べて得点力の向上を図ったところ 望外の結果を手に入れる事が出来た。もちろん安易なプレミアを慎んだ事も影響しているだろう。 チームは勝利に飢えていた。 戦う集団となった品川シュトルツに、サポーターも背中を押してくれた。 年間35万人もスタジアムに足を運んでくださり、減り続けていたサポーターも戻りつつある。 賞金のおかげでクラブハウスや第2練習場など、施設面でも大幅に改善できた。 やや持ち出しもあったが、先行投資だと考えれば安いものだ。 カップ戦を制したとは言え、やはり狙うはJリーグ王者。 私も夢を見ることにしようか。


目次へ

前の年に戻る次の年へ進む

タイトルへ戻る