高嶋秘書と迎える2年目の正月。 てきぱきと昨年のデータを読み上げる。 観客動員は50万人を若干割ったものの、晴天時はほぼ満員のサポーターに包まれた。 サポータークラブも2万人程度の増加で、5万人突破した。 スタジアム増築を行ってなお、年間収支は34百万の黒字で終える事が出来た。 品川区のデータとしては住宅投資の効果は未だ現れぬ様で6%、 商業も若干減って26%となり、スポーツと自然が増えて8%だと言う。 住民は48万人を突破し、区長も税収が増えて喜んでいたとか。新東京テレビの副社長が訪れたのは七草粥を食べ終わった頃。 昨年は16%を超える視聴率に「スーパーサッカー11」は看板番組となったそうだ。 ところが、大口スポンサー3社は契約期間満了に伴い、契約終了を告げてきた。 約束だけに不平の漏らし様も無いが、総額24億の収入減となるだけに頭は痛い。 芝浦の国際総合電機製造からJ1リーグの各ステージで4位以内を条件に9億の提示があった。 ちょうど良い刺激になるだろう。秘書は少し心配していたが、契約を締結した。 その他、地元の玩具メーカから5億もの出資を頂き、42億のキャッシュフローに加え スポンサー収入28億で今年の強化資金は70億となった。
世代交代の波を迎えた昨年。主力選手の見極めが難しいところだ。 先ずはチームの要、千代反田(21歳)との契約を終わらせたい。 昨年の評価点ランク2位の実績を考えると、100百万からどこまで上げるべきか。 5年契約したいところだが、2年契約の190百万でキャッシュフローの約5%が消えた。
続いて、FW陣を支える大石と原。 大石(17歳)と原(18歳)は共に3年契約だ。 大石は微増の83百万、原は現状維持の15百万で契約終了。
ここからは思案のしどころだ。 先ずは大野(30歳)。現在のシステムではMFは4人。 ベストイレブン常連の森岡、バイティンガー、長橋は固いところだ。 これで山形が帰ってくれば4人は揃うが、スポンサー契約条件のステージ4位には バックアッパーも必要か。取敢えず1年契約とし、現状維持といきたかったが 微増の148百万で大野も納得してくれた。
次はディフェンス。 今年の契約更改は喜沢(27歳)と見吉(29歳)だが、宮田と和登がスタメンになれば 千代反田を含めて3人が揃う。大幡がまだ健在であれば、2人は要らないか。 喜沢とは1年契約延長しよう。これも微増の180百万で契約更改。 見吉は自由契約とした。
最後になったGK。 昨年も肝心要の試合は袴田(25歳)がゴールマウスを守った。 しかし今年はアカプルコFCから岩下が帰ってくる。バックアッパーとしては佐藤が居る。 会長就任時からのメンバーではある袴田への解雇通告は辛かったが、これもプロの判断だ。 長らくシュトルツの背番号「1」を背負った男がクラブハウスから姿を消した。
岡津スカウトの処遇も考えないではなかったが、 国内選手にはパイプのある彼に、更に2年間お願いする事に決めた。 その岡津スカウトが期待に応え、ボランチから、サイドハーフ、ディフェンスもこなす 路木龍次クン(18歳)との移籍合意を取り付けた。 2年契約で年俸は23百万だ。貴重なバックアッパーとなってくれる事を期待しよう。
今年のサポータークラブの予算を63百万に決め終わった頃、 スカウト部から相談が持ちかかった。 昨年のアジアウィナーズカップを制したリヤドFCから、竹村に対しての身分照会が来たと言う。 沢田を放出した今、竹村にまで離脱されては、前線の態を成さない。 ジャファール監督からも移籍には強い反意を示され、この移籍は立ち消えとなった。 しかし懲りないリヤドFCからは続いて大野への獲得意思を示された。 こちらもジャファール監督から中盤に欠かせぬ戦力と言う事で、私の考えと一致した。 リヤドFCは他のJリーグのクラブにも打診していたそうだ。
選手更改も終え、今年の陣容も整った。 竹村は背番号が変わり、沢田からエースナンバー「9」を引き継いだ。 新加入の路木には「15」を用意しよう。 新しいスポンサー名を入れたユニフォームを発注していた頃、 医療スタッフからは長橋の完治が知らされた。 今シーズン開幕前の朗報だ。
営業部長からは集客向上の為にスタンドに屋根を設置してはどうか、との打診を受けた。 確かに晴天時は、満員となるスタジアムだ。屋根さえあれば雨天時も満員となるだろう。 2億の工事費用で済むなら、これは安い買い物だ。3月の開幕までには間に合わせよう。 続いて、スタジアムにテナントを増設してはどうか、と言う進言もあったのだが サポーターからは特段の要望が無い様なので、こちらは暫く見合わせとした。
スタジアムの屋根を設置する話しをどこで聞きつけたのか、またしても空港公団の幹部が オフィスに現れた。何度言われても、今8億もの出資協力は出来ない。 しかし彼らも懲りないものだ。
この頃、路木も加えて選手たちはリスボンに発って、ジャファール監督の指揮の下 ステージ制覇に向けてのキャンプを行っていた。今年は高嶋クンもリスボンに同行させた。 ベルリンフィルとウィーンフィルの定期公演のおまけ付きだ。
帰国寸前に、日本サッカー協会からオーナー会議の召集がかかった。 インターナショナルカップを控え気合たっぷりなのか、理事長の声も大きくなるが やれ日本の世界ランクは56位だの、 やれ名門の鹿島アントラーズ、名古屋グランパスのJ2落ちに、 リーグの人気活性化のため各クラブの努力を期待するだの、 下らない話しばかりだ。 私の興味はただ一つ。去年J2を2位で終了し、J1に昇格した大阪エステーラ。 クラブ順位では品川シュトルツの84位を上回る78位である彼ら。 お手波拝見と行こうではないか。
選手たちが帰国し、開幕直前のある日。 ジャファール監督から今年の構想が伝えられる。 今年は中盤をダイヤモンドではなく、ボックスにする。 沢田が抜けた2TOPの一角は水城を中心に大石、原が控える。 OMFにバイティンガーと森岡。 ボランチに長橋と新鋭の路木を。右サイドバックは和登を中心に考える。 GKはアカプルコFCから戻った岩下がスタメン。
(控え) (留学) 竹村 水城 大石、原 森岡 バイティンガー 山形 路木 長橋 大野 中村 大幡 和登 喜沢 宮田 千代反田 岩下 佐藤3月の開幕直前の専門誌に寄れば、品川シュトルツは優勝候補に上げられ 戦力分析では5点満点で3.5点という評価で、ある評論家は戦術理解度を不安要素としていた。 水城、和登に加え、路木と言う新戦力がマッチするか、ジャファールの手腕に期待しよう。1stステージの開幕戦はアビスパ福岡をホームに迎えて。 今夏にはインターナショナルカップ本戦を迎える。 選手たちは代表監督へのアピールも余念が無い。 オープニングゴールを奪ったのはキャプテンの竹村。 このゴールが決勝点となり、先ず1勝。路木の動きは固かったが、まずまずの出来か。
3月はこの後の5試合も負け知らず。 2節の柏レイソル戦は片切が先発せず、前半2−1で路木に代えて大野で守り通す予定であったが 相手FWの町田の2発目で同点。和登を下げて喜沢で逆襲に出たが120分フルタイムドロー。 3節はホームで攻撃陣が爆発し、竹村のハットトリックなどで5−2。後半は原が水城に代わって 竹村と2TOPを無難に務めた。大分トリニータとの4節も前半で3−0の余裕の展開。 後半は一挙に3人交代し、大石、大野、喜沢がピッチに立った。 ジャファール監督は積極的な選手交代で起用法の不満を解消しようとしている様だ。 選手たちもスタメン定着、代表選出、様々な夢の為にピッチで汗を流す。
FC東京、横浜F・マリノスも退け、長橋、森岡、千代反田らが10.0評価を得る順調な滑り出し。 予選に続く代表選出はなるのか。 チームの戦績は3月無敗ながらも勝ち点2の取りこぼしで順位は4位。 月間MVPは首位の東京ヴェルディのFW前園が獲得している。
4月はカップ戦が始まった。 緒戦はJ2のベガルタ仙台。 楽勝かと思われたが、岩下がまさかの先制点を許す。 ホームで恥ずかしい試合は出来ない。キャプテンの竹村が強引な突破で同点ゴールを決めたが 決定力に欠き、引分けで1試合目を終えた。 アウェイでの2試合目の前に1stステージの7節。 下位のパープルサンガ京都相手に足が止まり、延長突入。 大石に代え、原を入れて撹乱するが、サンガDFも粘る。延長後半は路木に代えて大野が 絶妙なパスワークを見せたものの、そのまま試合終了。 ややチームの雰囲気が低調なまま、仙台スタジアムでのカップ戦。 黄色いサポーターの後押しに、ベガルタイレブンが奮起。 福永が先制ゴールを上げると、勢いは止まらず岩下が2点目のゴールを割られる。 何と今年もカップ戦は緒戦敗退。
ジャファール監督の激が裏目に出たのか、8節のヴィッセル神戸もアウェイで0−4の惨敗。 原をスタメンで起用した前半に2失点で良いところが無く、後半は不調の水城を強行させたが不発。 ジャファール監督からは機能していない中盤のプレスを解くように指示が飛んだ。 泥沼からはなかなか抜けられず、清水エスパルスとの9節も決め手無くドロー。 大野を先発させたが、大石の退場が痛かった。最後のチャンスも相手GKの真田がファインセーブ。
4月に入って勝ち星の無いシュトルツ。 スカウト部はACミランのバンチとも接触を取ろうとしたが、27歳と言う年齢を加味すると 異国の地での再始動も難しかろう。私は獲得にストップをかけた。
いよいよ10節は大阪エステーラとの対決。 最近体調を崩し、スタメンを外れていた水城だが、大石の出場停止もあって強行出場。 1−1の拮抗した展開から、相手キャプテンのDF広瀬が一発レッド。 そのFKから水城が飛びこんで勝ち越しゴール。 ただし、直後のプレイで水城も退場。10人対10人となったその後は凌ぎ切り、6試合振りの白星。
今年もゴールデンウィークが訪れた。 オフも交えて気分転換が出来たか、ここからシュトルツは猛烈に巻き返し。 4位シュトルツと5位浦和レッズとの優勝戦線生き残りマッチは、アウェイで大石が先発の期待に応えて 先制ゴール。そのリードを守って2−1で勝利。 続く首位ガンバ大阪との12節は大野、喜沢を先発させるジャファール采配が的中。 吉原、オルザデベをマークし守り固めてカウンター。前半で2点を先制すると、後半は 大石、和登を交代させる余裕も。リズムはガンバには傾かず、更に2点を加えて大勝。 依然4位ながら、首位ガンバ大阪との勝ち点差は僅か3。
強化部長からは海外大物選手の獲得を検討してはどうか、と ルシリュー、シーバネンと言う高名なスカウトも紹介されたが、今は未だ早い。 岡津スカウトもホッと胸を撫で下ろしたと言う。
1stステージも残り3試合。 先ずは目の上のたんこぶである、3位東京ヴェルディ。 ガンバ大阪戦と同じく、ベテラン大野、喜沢の先発で2−0勝利。 ところが、張り切った大野が翌日の練習で、脹脛の肉離れで戦線離脱。
14節は昨年のJ2覇者である大宮アルディージャ。 ジャファール監督はここまでベンチを暖めた佐藤を先発GKで起用。 佐藤も危なげなくゴールを守りきり、2−0でいよいよ首位との勝ち点差は1にまで縮まった。 ガンバ大阪は首位から陥落し、その座を守るのは清水エスパルス。
5月は4勝無敗で月間MVPも長橋が奪還。サポーターも2,000人も増えたと言う。 この勢いで迎えるのは最終節、ヴァンフォーレ甲府戦。 だが、試合前に区長からオフィスに電話がかかる。 現在の警備管区の見直しで品川警察署を新設すると言う。 地元のためにも良い話しだ。4億の資金援助に応じる事にした。 また、ブルガリアのソフィアFCから中村に対して招待留学のオファーがあり、 1年間チームを離れる事になった。海外の活躍が代表監督の目にも止まるだろうか。
中村の代わりに喜沢が右、和登が左のSDFとして最終節に臨む。 ゴールマウスも引き続き佐藤が守る。岩下が調子を落としているので良い休養になるだろう。 ジャファール監督の慧眼には恐れ入る。 試合は水城、竹村の2TOPがそれぞれ2得点と爆発。バイティンガーも1点をあげ、5−0の圧勝。 清水エスパルスも最終節を勝利した為に、優勝には手が届かなかったが、勝ち点差1の2位で 1stステージを終了した。
エスパルスは12勝1敗2分けで勝ち点37、30得点9失点。 対する品川シュトルツは11勝1敗3分けの勝ち点36、33得点、10失点。 失点も少なくなりつつある。締まった試合展開を続けられれば、2ndステージでは優勝を目標に 改めて気合を入れよう。 昨シーズン優勝のガンバ大阪は勝ち点33で3位だった。 なんと最下位はジュビロ磐田。昨年の鹿島アントラーズに続き、優勝経験クラブのJ2落ちは リーグにとっても喜ばしい話しではない。敵ながらエールを送ろう。
準優勝賞金を元に、品川区のスポーツ投資を。 これは地元への還元だ。理解ある住民に感謝してもしきれない。 何せ1stステージのホームゲームは全て満員だ。 2ndステージは優勝で応えなければなるまい。 3週目にはリスボンから宮田が帰国した。サポータークラブも遂に6万人を超えた。 オールスターこそ喜沢、千代反田、長橋の活躍空しく、オールEastは2−4で負けてしまった。 FC東京のデニソンは不幸にも試合中に負傷。
そしていよいよサッカーの祭典、インターナショナルカップが開催。 結局、昨年の予選に続き、千代反田、森岡、長橋が日本代表として旅立った。 FWは予選ではケガに苦しんだ吉原。もう1人のFWが清水エスパルスの上田克巳。 さすがに岡津スカウトも目をつけた逸材。早くも代表デビューとは。 中盤は森岡、長橋の他、J2の鹿島アントラーズから小笠原、中田。 1stステージチャンピオンの清水エスパルスからは沢登がキャプテンとして選出された。 3バックは左から海本、千代反田、小島光顕。 GKは水野恭也というイレブン。
パラグアイ、モロッコ、ユーゴスラビアとのDグループは楽観視されていたが、 テレビの前で日本中が悲鳴に覆われたのは緒戦のパラグアイ戦。 FWヤリュージュがオフサイドラインの裏へ絶妙の飛び出しハットトリック達成。 エリア外からのミドルで4点目を取り、更に1失点を喫した後、長橋が下がって森保を入れるが リズムは代わらずに0−5の大敗。 得失点差を考えてもグループ突破が非常に難しくなってしまった。
日本国内が悲嘆に暮れる中、恐らく喜んでいたのはシュトルツ関係者くらいか。 1stステージ終盤に練習中のケガで戦線離脱していた大野が復帰したと言う。 2ndの開幕に間に合って良かった。
さてインターナショナルカップ。 グループリーグ第2戦はモロッコ。 出きれば大量得点と行きたかったものの、吉原のゴールを守りきる1−0の辛勝。 最終戦に僅かな期待を残したが、ユーゴスラビアに0−1で敗れて1勝2敗の3位。 2位パラグアイの1勝1敗1分けの勝ち点1差は果たして、たかが1差なのか、されど1差なのか。 結果的に優勝はGグループを首位通過したオランダ。 念願の初優勝だ。前大会は歴史的なカザフの優勝で終ったが、今大会はアジア勢はグループリーグで 全て姿を消した。
国際大会の余韻の覚めやらぬ中、2ndステージが開幕する。 開幕直前の7月下旬にU19のMF源紫電クンを破格の100百万で獲得。 少々財布の紐が緩すぎた様だ。本人もまさかの年俸提示に一発サインだった。 背番号「14」が試合で見られるのは何時になるか。これで15人枠が一杯となるため、 宮田の帰国で空いた留学枠で水城がサンチャゴに1年間の留学に旅立った。 2ndステージは大石、原にかかる期待は大きくなるが、プレッシャーを糧に頑張ってもらうしかあるまい。
竹村のゴールで開幕戦を制したシュトルツだったが、2節の柏レイソル戦で森岡が退場。 ホームスタジアムのスタンドからはため息が漏れる。慌ててジャファール監督は路木を下げて 大野で守備固め。しかし人数差を埋めきれず、町田にハットトリックを許し11位に転落。 しかも3節は低迷しているとは言えジュビロ磐田。森岡不在のため、OMFはバイティンガーのみの 逆Y字の中盤で、長橋が中央を占める。
好調の原を先発で起用したジャファール監督。 ところが前線にボールは回らず、井上に2ゴールを許す。 たまらずテクニカルエリアいっぱいの所で3点目を覚悟して、全員攻撃の指示。 先ずは大幡が直接FKから1点。相手GKの織田が手を伸ばすものの届かず。 後半にようやく前線にボールが回り、竹村、原が1点ずつを上げ3−2で連敗を防いだ。 どう言う訳か2失点のバックラインを仕切った千代反田が10.0評価であった。
4節は大石を先発させ大分トリニータのゴールを襲うものの、2度もクロスバーを強震。 後半からは調子の良い原を送り出すもののスコアレスドロー。得点はならなかったが 攻守の要である長橋が10.0評価を得た。 5節ではFC東京戦で竹村がケガを負う緊急事態。 大石と原の二人に託すしかあるまい。大石のループシュートなどもあり、試合は2−0で終了したが 今後の2ndステージの戦い方には大きな影響を与える一戦となってしまった。
ホームで迎えた横浜F・マリノスとの6節は大石、原の2TOPでは初先発。 1−0の辛勝で何とか8月は4勝1敗1分け。3位とまずまずか。 月間MVPには千代反田。
ステージ中盤の9月に入り、約8億かけて練習場の芝を長芝に張り替えることにした。 竹村に続くケガ人を出さぬための未然の対応である。 試合の方は竹村不在が響き、上位であるヴィッセル神戸、清水エスパルスに連敗し7位まで 順位を下げてしまう。 チーム力としてはヴィッセル神戸にも負けてはいないと思うのだが、沖秀達にやられた。 10節の大阪エステーラ戦も勝ち点1を積上げるのがやっと。 しかも11節の浦和レッズ戦では、FW原までもが試合中に負傷。 急遽バイティンガーをFWに上げ、長橋を1列上げて、ボランチに大野を投入。 試合は2−0で勝利したものの、残り4試合でFW2人をケガで欠く苦しい台所事情となった。 「これは、お祓いでも行くしかないか・・・」
オーナーとは違って、現実的なジャファール監督はチームに2つの修正を加えた。 最近精度の落ちた大幡のセットプレイに号を煮やしたか、長橋にFK、CKのキッカーを指名。 そしてFW2TOPのポジション取りを左高めから、フラットに変更。 アウェイで臨む相手は2位のガンバ大阪。 相変わらず吉原とオルザデベの高速2TOPは健在。この一戦も守りを固める。 しかし流石はワールドクラスのFW。オルザデベがあっけなく先制。 これにはシュトルツFWとしてバイティンガーが奮起。同点、勝ち越しゴールを奪う大活躍。 このまま逃げ切りたかった試合だが、オルザデベも食らいつき2ゴールで試合は延長に。 2人の外国人エースの共演となった試合にピリオドを打ったのは、バイティンガー。 自身初となるハットトリックでVゴール勝ち。順位こそ5位のままだが、敗れた2位ガンバとの勝ち点は 僅か1。
9月も月間MVPはシュトルツから輩出することになった。不動のボランチ長橋だ。 FWのケガもあり、後半は攻撃的なポジションもこなしている辺りが高い評価を得たのかもしれない。 10月早々、2ndステージの首位をキープするヴィッセル神戸がカップ戦を制したとの報告があった。 勢いのあるチームを率いるのは沖秀達。
辛うじて優勝の可能性を残すシュトルツに、これ以上無い吉報がもたらされた。 エース竹村が試合に出場出来るコンディションにまで復帰したと言う。 チームドクターには大変感謝している。 10月は格下相手にきっちり勝ち点9を上積みしなければ。
ホームの13節。相手は8位東京ヴェルディ。 しかしこの試合も退場者を出してしまう。前園へのチャージが危険なプレイと判断され、 千代反田がレッドカードでまさかの一発退場。このFKを北澤に決められ、0−1。 前半で10人となったシュトルツも竹村を軸に猛攻をしかけるが、90分が終了。 この時点で優勝の可能性が消えた。
自暴自棄になった訳でもないのだけれど、空港公団の再三の協力依頼に断る元気もなく 約8億の出資計画にサインをしてしまった。 昨年就任したばかりと言う公団の局長は、その後取締役に就任したとか、しないとか。 彼らにとっても何年越しの営業活動だったのだろうか。
優勝は逃しても出来るだけ高い順位をキープして賞金を頂きたいものだ。 何より芝浦の国際総合電機製造とのスポンサー契約条件が両ステージの4位以内だ。 良いニュースとして、原も続いてリハビリを終了したそうだ。 ようやく万全の体制が組める。 ところがジャファール監督は最下位の大宮アルディージャ相手にGK佐藤で臨むと言う。 それでなくても千代反田が出場停止でリベロに大幡を戻し、CDFには和登をスライド、 左SDFに路木を下げて、大野をボランチに入れる急造ディフェンスなのに。
不安は的中。新加入の与那嶺ジョーに先制されると、モチベーションの低いシュトルツイレブンは 最後まで大宮ゴールを割る事が出来ず、痛い連敗で7位に降下。 この時点でジャファール監督には見切りを付ける事にした。 闘志無き者は去れ。
最終節のヴァンフォーレ甲府戦に勝利して最終順位は5位。 優勝はやはりヴィッセル神戸(11勝3敗1分け)でアビスパ福岡が最高位の2位(10勝2敗3分け) となった。ガンバ大阪、FC東京を挟んでの5位。4位とは勝ち点1差だけに、大宮アルディージャからの 取りこぼしは悔やんでも悔やみきれない。 得点王は3位のガンバ大阪から吉原の27ゴール。 シュトルツはケガを負ったものの竹村の18ゴールは7位にランクイン。 最優秀評価点には長橋で7.6で2年ぶり3度目の受賞。 千代反田(7.5)、バイティンガー(6.9)、森岡(6.8)の4人がトップ10に入った。
11月に入ると早速、国際総合電機製造の営業局長がオフィスに現れた。 「お互いにとって、望まぬ結果になった事を残念に思います」と詫びを述べ 違約金9億の支払い手続きを取った。 暗いムードを振り払ったのは、山形の帰国だ。専門誌にも「シュトルツ会長の秘蔵っ子」と 書かれた通り。期待のホープには早速チームに合流してもらおう。 15人枠の問題でGKの佐藤を半年ほどアカプルコへ留学させた。17歳の彼には良い刺激になるだろう。
現在の私の目標の一つが海外タイトルであった。 今年挑戦するのは<ワールドチャレンジカップ>である。 3年前にオライリー監督で果たせなかったタイトル。 ジャファール監督にもベストメンバーで当たる様に指示を出した。 これに応えたのがエース竹村。2ndステージをケガで出場できなかった鬱憤を晴らす様に 1回戦からゴール量産。 カトマンズFC戦で2ゴール(2−1)、ワルシャワFC戦で1ゴール(1−0)。 準決勝のブハラFC戦こそ無得点(1−0)だったものの、モスクワFCとの決勝戦が圧巻。 50百万のプレミアも効いたであろうが、バイティンガーからのクロスにゴールラインギリギリからの スーパーボレーが一閃、モスクワFCのゴールネットを揺らした。 モスクワFCも粘って同点ゴールを奪うが、決勝点も竹村(2−1)。
何と1回戦敗退から僅か2年後。 <ワールドチャレンジカップ>で初優勝を遂げてしまった。 4試合で5ゴールと驚異的なペースで 世界スタジアム6万人の観客に応えた竹村。そして彼の手によって、高々と掲げられた優勝カップ。 クラブの歴史に世界への記録が刻まれた瞬間であった。 帰国後もメディアには竹村にまつわる取材が絶える事が無かった。
取材攻勢の中、浮かれる事無く練習に取り組む面々。 しかしオーバーペースが祟ったのか、原がケガを再発。 癖になってなければ良いのだが。 心配なニュースの一方で、練習試合に初先発した源がヴィッセル神戸相手にゴールを奪ったと言う。 練習試合とは言え、立派な事だ。 連携練習、戦術練習、システム練習とトップチームの一員として育てただけ甲斐はある。
師走に入り、先の優勝賞金10億から品川区のスポーツ振興の為に2億を出資する事にした。 地元サポーターからは今後も我が品川シュトルツに熱い応援を期待したい。 チャンピオンシップは1stステージの覇者、清水エスパルスがヴィッセル神戸を下して総合王者に輝いた。
ニューイヤーカップ直前で原のケガが完治した。 早速緒戦のヴィッセル神戸戦で原をピッチに送り出すジャファール監督。 この辺りが私の思惑とは異なるのだが。しかし原は監督の期待に応え、先制ゴール。 後半は大事を取って大石に交代。その大石も勝ち越しゴールを奪う。 最後は長橋のFKで突き放し3−2で2回戦進出。
岡津スカウトが息を切らせてオフィスに現れたのはこの頃か。 「か、会長。あのマルドラドが来年は日本でプレーしても良い、と」 アルゼンチンのスーパースターであるマルドラドが品川シュトルツに加われば、 来年のJリーグ優勝は間違い無いだろう。 しかし・・・ 「岡津クン。いつも君のスカウティングには恐れ入る。 本当に感謝している。だが、今回は見送ろう」
私が懸念したのは29歳という、その年齢であった。 確かに中盤に強烈なキャプテンシーを持ったマルドラドの加入はプラスになるかもしれないが、 今の若手中心のチームには突出し過ぎるのではないか。 あと5年早く巡り会えていれば。
ニューイヤーカップは2回戦のジェフ市原(4−1)、3回戦の大宮アルディージャ(2−0)、 準決勝の柏レイソル(2−0)を下し初の決勝進出。 柏戦では山形が先制のヘディングを決め、初のマン・オブ・ザ・マッチにも輝いた。 決勝戦の相手は今年のJリーグを制した清水エスパルス。 またしてもホームで気負ったか、千代反田がレッドカードで数的不利を被る展開。 勝負は1点を守りきった清水エスパルスに手も足も出ず、清水エスパルスが二冠達成。 品川シュトルツは残念ながら準優勝での年越しとなった。
大晦日。
いつもの様に私はオフィスの自室で1年間を振り返っていた。今年も陣容には変化があった。見吉、袴田の解雇、新人路木との契約、源紫電の獲得。
スカウト部はバンチ、マルドラドと言うビッグネームとも接触した。 ルシリュー、シーバネンと言う高名なスカウトからも注目されるクラブとなった。
中村にブルガリアから招待留学のオファーがあった事からも、品川シュトルツが世界に注目され始めたと言えよう。施設面ではスタジアムには屋根を付け、ホームでは3,000円の入場料でもほぼ満員の入場となった。
選手のケガも多かったので、医務室も設けた。 警察署、空港も設置され、住民は50万人を突破。残念ながらインターナショナルカップは千代反田、森岡、長橋を擁しながらもグループリーグで敗退。
しかし国内を見れば長橋は攻守の要としてJリーグを戦い通し、最優秀評価点を得た。 海外クラブとの戦いで結果を残す事ができた事が嬉しい。この活躍振りにサポータークラブは7万人弱となり、観客動員は63万を数えた。
今後は国内外を問わず一層の高みを目指そう。私の任期も残りそう長くはあるまい。