11年目 〜越えられぬ壁〜

関東ガスの専務から契約期間満了の連絡を頂いた。てっきり契約延長して頂けると考えていただけに残念だが、 こればかりは仕方あるまい。昨年のチャンピオンシップでのボーナスが印象的だ。過去に契約条件を満たす事ができず 双方にしこりを残したが、今回は綺麗な巻く引きだ。

電力会社は業務拡大し、今年はファン感謝マッチを要求してきたが、U23代表監督として留守にするために 来年以降で実施する事を了承頂いた。 品川銀行は外資との提携で一挙に7億もの出資を頂ける事になったが、契約条件は年間収支2億以上の黒字だと言う。 12月には58億をキープしなくては。一方的な通告だが、今なら条件を果たせるであろう。まずは目先の7億はデカイ。 その他物流会社から8億ものスポンサードを受ける事になった。 今年は主力級の契約更改を控えている。89億の手許資金で足りるだろうか。

        【単位:百万円】
GK 岩下   100→135(4年)
DF 路木    23→ 50(5年)
MF 山形    15→ 45(5年)
MF 源    100→130(5年)
GK 佐藤    20→ 30
FW 竹村   110→115
MF 森岡    40→110(5年)
DF 千代反田 190→260(4年)
今年は長期契約を前提にした。この3年の間でできるだけキャッシュフローを貯め、スタジアムを増築したい。 増築して直、2億の黒字を出すためには選手との契約更改を出来るだけ控えなくては。 しかし5年後が大変そうだな。もう少し分散する必要があったか?

スカウトの岡津氏との契約期間も満了。 ユーゴスラビアのコルドビッチ氏、レコノビッチ氏との契約も考えたが、 クロアチア籍のアシモビッチを擁す今、ユーゴスラビアと太いパイプを持つスカウトでは本領発揮とはいくまい。 また、岡角忠信氏採用の声もあったが、しばらく選手獲得は控えるつもりなので岡津氏留任で決定。 何せ、中盤は源、阿部、アシモビッチと若手が控えている。 DFも和登、宮田、路木らが今後を担う、FWも原、水城、大石は伸び盛りだ。

今年も竹村をキャプテンに指名し、サポータークラブの予算を1億程度で組んだ。 この時期は海外クラブからのオファーも多い。 ピッチに立つ事の出来なかった源にはブハラFCから異例とも言える移籍金650百万の提示。 竹村にもチンタオFCから126百万でオファー。 2件とも即座にお断り。ブハラFCは懲りずに岩下へ594百万で獲得意思を。 U23代表GKをそう易々と手放す訳にはいかない。これも却下。

新人獲得では、メニリティ監督と私の眼鏡に適う選手がいなかったため、今年は新人加入は無し。 サガン鳥栖は今年の一番人気、矢沖田と契約できたそうだ。あの清水エスパルスで鳴らした 元日本代表矢沖田選手の弟(笑)だ。

1月末には妖しげな製薬会社のセールスマンが、スポーツドリンクの営業にやって来た。 私は追い返すつもりだったが、高嶋クンが「このメーカは最近特許も多く出願していますし、 きっとこのスポーツドリンクも選手たちの役に立ちますわ」と言うので1年間分の 契約を結んだ。練習場で自主トレ中の選手達からも評判が良い。 なるほど、良い買い物だったかもしれないな。

私はU23代表監督として品川シュトルツから6人目の選手として 山形を召集する事を決めた。2月の国際大会<U23インターリーグ>での活躍を期待しよう。

オランダ、ベルギー、コロンビア、ルーマニア、スコットランド、そして日本の6ヶ国で戦われる <U23インターリーグ> その緒戦は強豪オランダ。 多少浮き足立ったか、MF古嶋がPA近くでファウル。 クルーマンの鋭いFKは辛うじて岩下がパンチングで弾き出す。 オランダの猛攻は続くがバステンを宮田が止める。 すると今度はデムールが人見を倒しPK。水城がきっちり決めて前半を1−0で終える。

ハーフタイムにとにかくボール回しを落ち着かせる様に指示。 守り固める事はせずに、いつもの調子で臨めと。 しかし、どこか硬さのあるプレイは否めない。クルーマンの古嶋に対するファウルで絶好のFK。 人見が直接狙うものの、バーを直撃。追加点はならなかった。 80分を過ぎ、やや足の止まった日本を見逃さず、オランダはダービッドがロスタイムに ドリブルで突破してミドルレンジから強烈な一発。これが世界か。緒戦は1−1の引分けだ。

オランダに続きヨーロッパの古豪ベルギーとの第2戦。 よもやノーガードの打ち合いになるとは予想できなかった。 口火を切ったのはバンホースト。しかし直後に与那嶺のクロスに 呂比須が頭で合わせて前半は1−1。

ベルギーのカウンターに注意を促したものの、 後半開始直後に再びバンホーストの1ゴール。 私は調子の上がらない水城に代えて大石をピッチに送り出す。 大石のランに釣られて空いたスペースに人見が走りこむ。 呂比須からのラストパスに合わせた人見が同点ゴール。 2試合連続のドローかと思ったがロスタイムに集中を切らしバンホーストにハットトリックを許し 2−3で試合終了。6チーム中5位に低迷。うーん。

またしても日本国内では監督更迭論が出ていたと言う。 カワブチ会長が激励の為に練習に訪れてくれた。 これに発奮しない日本男児ではない。 3位コロンビアとの3試合目。 ところが苦しい立ちあがりは相変わらず。 またバレラにゴールを割られ先制を許す。 ところが、ここで顔を下げる選手は誰もいない。 水城と与那嶺がワンツーでコロンビアディフェンスを崩し、与那嶺が同点シュート。 コロンビアも黙ってはいない。 バルダーニのCKはピンポイントでバレラの頭に。 宮田が追い切れず再びリードを許す。 キャプテン水城が立ち上がれとゲキを飛ばす。 まだ試合は捨ててない。人見がそれに応える。厳しいマークに耐え、クロスを挙げると 飛びついたのは水城。ダイビングヘッドがゴールネットを揺らし前半のうちに2−2のドローに。

オーバーペース気味な前半にスタミナ面を危惧していたが、 ハーフタイムのマッサージで随分と体がほぐれた様だ。 彼ら自身もこのまま帰国したのでは、他の選手に顔向けできまい。 後半はコロンビアも足が止まった。水城が中盤に下がってボールを受け、 ドリブル突破。これには虚を付かれたコロンビア。 ディフェンスが水城に寄っていく所を人見にラストパス。絶好の機会に 人見のシュートは枠を捉えた。この試合初めて勝ち越す。 残り時間もどうにかコロンビアの逆襲に耐え切り、3−2でこの大会初勝利。 良かった。

3位に順位を上げた日本代表。 4試合目は6位スコットランドが相手。 ここまで勝ち星の無いスコットランドだが、さてどうする。 やはり勝利が何よりの薬だったようで、ようやくトップギアに入った日本代表。 前半に水城が倒れながらも1ゴール。

後半は疲れの見える呂比須に代えて大石を。 水城が右サイドからドリブルで突破し豪快に2ゴール目を叩きこむ。 「10」を背負う山形を80分から伊東に代える余裕すらあった。 良かった、2勝目だ。

最終戦はルーマニア。 この試合に勝利し、オランダが負ければ優勝の目も残っている一戦。 選手達のモチベーションも高い。 しかしルーマニアとて戦うためにこの大会に参加している。 お互い相手の出方を見ている間に前半45分が終了。

私は怒った。 「相手に合わせてどうする。 残った時間は自分達のプレイをしなさい。 それが君達のサッカーだ」 陳腐なセリフだった。 名将と呼ばれる監督達はもっと気の効いた事を言うのだろう。 大石と代わってベンチに座る水城は、そんな私の顔色を覗いて一言 「さっきのゲキ、良かったですよ」 試合を決めたのは伏兵DF保坂。人見のCKにタイミングはバッチリ。 ゴールネットを揺らしたのはこの1点のみで、1−0で有終の美を飾った。

結局オランダは最終戦も勝利し、無敗でこの大会の優勝を決めた。 日本はベルギーにも特失点差で及ばずに3位で終えたが、 地元メディアも日本代表の勇姿に好意的な報道が多かったそうだ。 おかげで帰国時も空港には大勢のファンとカワブチ会長をはじめとした 協会幹部が歓待してくれた。

<U23インターリーグ>

優勝 オランダ代表    勝ち点11  3勝0敗2分け 13得点 5失点
2位 ベルギー代表    勝ち点10  3勝1敗1分け  9得点 5失点
3位 日本代表      勝ち点10  3勝1敗1分け  9得点 6失点
4位 コロンビア代表   勝ち点 6  2勝3敗0分け 11得点10失点
5位 ルーマニア代表   勝ち点 5  1勝2敗2分け  7得点10失点
6位 スコットランド代表 勝ち点 0  0勝5敗0分け  4得点17失点

大会最優秀選手 バステン(FW:オランダ)

帰国後にもチェコ、イタリア、イングランドとの親善試合が組まれていたのだが、 大会の疲れが残ったか、相変わらず多くのサポーターの前で大敗。 特にチェコ戦は前半で6失点と、大会3位の慢心を一掃するに余りある結果となった。 とにかく1得点も挙げられなかったのが悔やまれる。

3月に一旦チームは解散し、Jリーグが開幕する。 シュトルツのオーナーとしてクラブハウスに帰ると、高嶋クンが待っていた。 「おかえりなさい、会長。インターリーグはまずまずの結果でしたね」 執務室に帰り、机の上にたまった資料に目を通す。 スタジアム改築の見積なんて取った覚えはないんだがなぁ。 「あ、そちらは営業部長が」 なるほど。でも50億もかかるのでは、見送るしかあるまい。 昨年のクラブランキングか、品川シュトルツは66位。 これは良いのか悪いのか。まぁ大阪エステーラの79位を超えているだけ良しとしよう。

練習場でメニリティ監督とも再会。 インターリーグの成績を本職であるメニリティ監督に誉められて恐縮。 監督からは今期ゾーンプレスを採用したい旨を告げられた。 バイティンガー、森岡、長橋、山形の中盤カルテットには、更なる戦術理解を期待しよう。 今年はヴァンフォーレ甲府、パープルサンガ京都に替わって ジュビロ磐田、名古屋グランパスが返って来る。 厳しい戦いが予想されるが、望むところだ。我々も以下のスタメンで臨もうではないか。

        水城  竹村

バイティンガー 森岡  長橋  山形

     中村  千代反田  路木

          宮田

          岩下
メニリティ体制2年目となる今年は幸先良く3月に無傷の6連勝。 中でも2節の横浜FC戦では長橋がるようなドリブルで疾走し、ゴールを挙げた。 横浜F・マリノスは主力6名が30代を超える老獪なチームだったが、シュトルツの敵ではなかった。 岡津スカウトが須並哲(22歳)と接触を取ったようだ。メニリティ監督もディフェンスの強化を求めてはいたのだが、 サイドバックは中村、路木がいれば良いだろう。3月はサポータークラブが10万人を突破したと言う嬉しい連絡も入った。

8節には因縁のFC東京との戦い。試合は5−0と圧勝したが星が悪質なファウルで退場する荒れた試合だった。 連勝が止まったのは9節。14位の柏レイソル相手にホームでまさかの0−1。 U23代表候補の水原の一発に泣いた。続く10節も4位のアビスパに延長に持ちこまれるが、何とか大石がVゴールを決めて 首位を守った。スタジアムでは新商品を売り出したとかで、月々の収益も増え営業スタッフが喜んだ。

5月には復調したシュトルツはカップ戦を含めて再び無敗。 カップ戦にはアシモビッチ、阿部がスタメンデビューし、阿部はアシストも記録した。 今年も出資した地元の祭には、シュトルツコーナーに多くのサポーターが訪れてくれたと言う。

いよいよ勝負どころの6月。 和登がリスボンから帰国し、入れ替わる様に源がリスボンに旅立った。2年の留学だ。 カップ戦の3回戦では山形が負傷するアクシデントもあったが、東京ヴェルディ相手にアウェイで先勝。 和登に遅れる事1週間。原も帰って来た。源を追う様に路木もリスボンに2年間の留学に向った。

1stステージ最終節。相手は2位のガンバ大阪。勝ち点の差は2、得失点差から考えて 延長に持ち込んだ段階で優勝は決まるシュトルツ優位な状況ではある。

山形の負傷欠場に際して、右サイドMFには阿部が入る。 その隙を見逃さなかったのは、さすが新井場。右サイドを突破した新井場からのクロスは 最終的に新井場の足元に。先制ゴールはガンバ大阪。しかし長橋が同点弾、森岡が逆転弾を決めあっさり逆転に成功。 後半は竹村を下げて大石を投入。ところがガンバに同点ゴールが生まれたのは75分。 メニリティ監督はすかさず阿部を下げて原を入れて攻撃の手を緩めない。大石が右MFに下がる。 試合を決めたのは若きエース水城。この1点が決勝ゴールとなり3−2で試合終了。 1stステージの優勝は2回目。 またしても6失点と言う堅守が優勝に直結する結果となった。ガンバ大阪との2強体制はしばらく続きそうだ。

優勝 品川シュトルツ 勝ち点40 14勝1敗0分け 39得点 6失点
2位 ガンバ大阪   勝ち点35 12勝3敗0分け 34得点14失点
3位 アビスパ福岡  勝ち点28 10勝5敗0分け 32得点14失点

優勝後のカップ戦2試合目にきっちり勝利した後、守護神GK岩下にブラジルの サンパウロFCから招待留学のオファーが。 またと言う無いチャンスだ。1stステージ優勝し、チャンピオンシップ出場も決めた。 2ndステージは佐藤にゴールマウスを預けても良かろう。 メニリティ監督と岩下を交えてのミーティングを行い、正式に1年間の留学が報道発表された。 月末には合わせて4ヶ月連続となる長橋の月間MVP受賞が伝えられた。 シュトルツに限ってみれば、この優勝でサポータークラブには多くの加入者を得て11万人突破という喜ばしい報告もあった。

今年も夢の祭典オールスターの日を迎えた。 ゴールを守ったであろう岩下はブラジルにいる。 シュトルツから選ばれたのは森岡、長橋、バイティンガーのMFトリオだった。 山形も怪我がなければ選ばれていただろうか? ところが、試合はオルザデベが1stステージの憂さを晴らす様に2ゴールを挙げてオールWestが勝利。

さぁ、いよいよU23代表監督として臨む世界スポーツ大会。 アシモビッチもクロアチアのサッカー協会からの帰国要請を受け、一時チームを離れた。 クロアチアは予選Gグループでメキシコ、ルーマニア、ウルグアイとの戦いが待っている。 私の率いる日本代表はジャマイカ、ベルギー、イングランドと強豪ひしめく予選Aグループを2位までで 勝ちのこらなければならない。

日本の第1戦目はジャマイカ。3チームの内で最も与し易い相手と思っていた。 まずはここできっちり勝ち点3を得る事が大事だったのだが。 昨年の予選で右サイドを勤めた与那嶺から清水エスパルスの市川にレギュラーが代わった事が 微妙に影響あっただろうか。エチェベリーが先制ゴールを挙げた。 リードされ、苦しい試合展開になったが、どうにか人見がる突破で ジャマイカディフェンスを切り裂き、値千金の同点ゴール。 どうにか勝ち点1を得るに止まった。

落ちこんでもいられない。 こうなれば残り2戦をどうあっても全勝で突破する以外には無い。 背水の陣だ。ある意味駆け引き抜きで全力を尽くすだけになり、指示は簡単になった。 「シンプル イズ ベスト」である。 古豪ベルギーを森岡、水城のシュトルツ勢のゴールで粉砕。 ほっと胸を撫で下ろす。

最後はグループ首位通過をかけてイングランドとの一戦。 負ければグループ3位で予選敗退もあり得るだけに、油断は禁物。 幸先良く前半の内にセットプレーの流れ玉を北澤が詰めて先制。 相手も必死に同点弾をぶちかましたが、勢いは覆らず。とどめを刺したのは水城の右足。 エリア内に進入し、落ちついて勝ち越しゴール。2−1で見事強豪イングランドを下し 予選Aグループの首位通過が決まった。

ところが、何故かトーナメント緒戦がEグループ首位のオランダ。 優勝候補最右翼の今年のオランダは強い。2月のインターリーグでは何とか引分けに 終えたものの、今回はどうだろう。 呂比須、水城の2TOP、北澤、人見、森岡、市川のフラットMFも馴染んできた。 CDFの伊東を中心に中村、海本のDFも堅い。リベロ宮田の攻め上がりがあれば、真田の ゴールキーピングも随分楽になるだろう。 私は精一杯のプレーを誓わせて選手達をピッチに送りこんだ。選手達も良い顔をしている。

しかし先制はオランダ。FWバステンの個人技であっさり前半15分にビハインド。 ところが水城がキレの良い動きを見せ、相手PA内でファウルを受ける。 このPKを自身でしっかり決めて1−1の同点でハーフタイム。 流石に楽な相手ではない。 後半立ちあがり、虚をつかれ、カッセルベインクがミドルレンジでシュート。 真田が手を伸ばすが届かない。オランダ勝ち越し。 このまま試合終了かと思われたロスタイム、水城がダービッドからボールを奪ってそのままドリブル。 DF2人に囲まれながら強行突破。不十分な体制から放った右がオランダゴールに突き刺さる。 スタンドの日の丸が大きく揺れた。

非常に善戦したが、やはりオランダは一枚上手。 延長戦に入るとボールポゼッションで圧倒され、最後はリッカートのヒールパスが を放ちながらバックスピンすると、そこに走りこんだ バイディングスが試合を決める3点目を日本ゴールに打ち込んだ。 惜しくもトーナメント緒戦敗退となったが、オランダはそのまま優勝を果たしたチームである事を考慮すると オランダをここまで苦しめた日本のレベルは決して低いとは言えまい。

帰国後、そのまま成田で会見を開き、カワブチ会長にトーナメント緒戦敗退の成績を伝えて 私の任期は全うした。次期世界スポーツ大会予選は違う監督が指揮をとられる事だろう。 非常に良い経験をさせて頂いた。 私も長いオーナー生活でモチベーションを失いかけていたが、また サッカーの素晴らしさを思い出すことが出来た。 よし、この勢いはJに還元しなくては。

先の世界スポーツ大会で惜しくもGグループ3位に終わったクロアチア代表から、 アシモビッチがシュトルツに帰って来た。 さぁ、8月。J1リーグ、2ndステージの開幕だ。 分の悪い開幕戦、その相手はジュビロ磐田。

長橋のFKが直接ジュビロゴールに収まり、2ndステージも快調な滑り出しかと思ったものの、やはり2ndの 開幕戦は何かが違う。高原へのファウルでケガを負わせた様だが、その手負いの高原が同点後に逆転のFKを決めて 1−2でまたも黒星発進。

メニリティ監督がもう一度ネジを巻きなおし、2節からは5連勝で8月を締めくくる事が出来た。 水城、大石がゴールを量産し、見ていて安心できる試合運びに、非常に満足している。 アシモビッチ、阿部らも徐々に交代出場の時間が長くなっているのは頼もしい事だ。

川崎フロンターレから長橋に576百万での獲得オファーがあると言う。 240百万と高騰する年俸は確かに頭が痛いのだが、源が帰り、アシモビッチと阿部が育つまで もう少し長橋の力が必要だ。幸い長橋もチーム残留を希望したために、このオファーは断る事にした。

9月早々にサポータークラブからの意見書を受領。 ゲームコーナーが欲しいと言う。試合が無い時もスタジアムに足を運びたいそうだ。 まぁ、嬉しい話しなのだが現在のスタジアムの敷地スペースでは足りないだろう。 スタジアムの拡張を考える時期か。しかし今年はスポンサーの一つである銀行から2億の黒字収支を 条件にされている為、来期以降で考えよう。それまで待ってもらえるように広報部に説明資料の作成を指示する。

9月も2ndステージは2つの引分けを挟んだもののリーグ戦は無敗で2位をキープ。 8月は鳴りを潜めた竹村にもゴールが生まれ、スタジアムで応援してくれるサポーターに 最良の恩返しが出来た。今月は試験的に入場料を4,000円に上げてみたのだが、18,000人程度のサポーターが いつも詰め寄せてくれた。

スカウト部も29歳のソクラウスと接触を取ったりと、相変わらず海外の大物を含めて精力的な仕事っぷりには 感謝しなくては。ソクラウスとは年齢を理由に契約には至らなかったが、次の大物を期待しよう。 高嶋クンから「年初にお見えになった製薬会社のセールスマンがいらっしゃいましたので、 またスポーツドリンクを購入しておきました」と報告を受けた。あぁ、あの胡散臭い営業マンか。 個人的には気に入らないのだが、選手からは好評なので仕方ないか。

9月唯一の敗戦が、カップ戦準決勝の2試合目。ホームでのヴィッセル神戸戦だ。 アウェイを2−1と先勝して迎える有利な展開だったのだが、またしてもホームで中村が退場を言い渡される。 前半で10人となったシュトルツは、守備を立て直す事が出来ずに1−3でヴィッセル神戸に敗れ、 通算3−4でベスト4敗退となってしまった。そのヴィッセル神戸は決勝でアビスパ福岡に破れ準優勝となる。

13節でリーグ戦で再び合い見えたヴィッセル神戸。 先制したのはヴィッセルだったが、水城、原、バイティンガーの連続ゴールで一時は3−1と突き放す。 ところがヴィッセルの若きエース播戸に2ゴールを許し3−3で引分け。 続く14節は昇格組の名古屋グランパスにVゴール負けで3位に順位を落とす。 一人退場者を出したグランパスはカウンターに徹し、森山のハットトリック。 この時点でガンバ大阪の優勝が決定してしまった。

そのガンバ大阪が最終節の相手。 我がシュトルツは勝利し、少しでも順位を挙げたいところだったが、竹村の先制ゴールも空しく1−3の逆転負けで 最終順位は5位にまで降格してしまった。最後の負けも痛かったが、J2から今年昇格したジュビロ磐田、 名古屋グランパスに敗戦したのは頂けなかった。

優勝 ガンバ大阪   勝ち点38 13勝2敗0分け 34得点11失点
2位 清水エスパルス 勝ち点34 11勝3敗1分け 23得点 8失点
3位 柏レイソル   勝ち点33 10勝2敗3分け 25得点12失点
4位 アビスパ福岡  勝ち点32 10勝3敗2分け 30得点 8失点
5位 品川シュトルツ 勝ち点30  9勝3敗3分け 30得点16失点
得点王はジュビロ磐田で奮起した高原で25ゴール。シュトルツは20ゴールの水城が8位が最高位。 竹村は15ゴールの11位、長橋が11ゴールで16位。 8月から4ヶ月連続で月間MVPを受賞した千代反田は長橋を追い抜き、7.8で 最優秀評価点を獲得。 長橋は7.6で3位、宮田が7.0で13位とランクに顔を出した。森岡の6.9(14位)、中村の6.8(16位)と続く。 ディフェンスは調子良さそうなのだが、2ndはもう少し失点を抑えたかった。 サポータークラブはこの10月にいよいよ12万人を突破したとか。 チャンピオンシップに向けて、照準を合わせて頑張ろう。

カワブチ会長からU23監督の後任が決まらないと言う事で、11月の親善マッチまでは私に指揮を取れと言う。 嬉しい話しではあるが、次の大会を控えた第一歩を私が指揮してどうするのだろうか。 選手も今後の選考に繋がらないと考えたのか、モチベーションは一向に上がらずに何と8戦して1分け7敗と大敗。 これにはメディアから総攻撃。カワブチ会長の進退問題にまで発展してしまう。 私の力不足は認めるが正直、こちらもいい迷惑であった。

クラブハウスに帰って来ても高嶋クンに「会長のいらっしゃらない間に、岡津スカウトがストニコフ選手と契約寸前まで 漕ぎつけたのですが、やはり最後の詰めが・・・ 会長がいらっしゃったら・・・」 と踏んだり蹴ったりだ。 しかし岡津スカウトはめげずに国内のビッグネーム河本鬼茂のアポを取りつけたと言う。 ただしFWには竹村をはじめ4人も陣容が揃っているしなぁ。河本も28歳。来シーズンは29歳では見送らざるを得なかった。

この煮えきらぬ思いはチャンピオンシップで昇華しよう、とスタジアムに足を運んだのだが 第1戦のホームで満員24,500人の観客の前で相手FWのオルザデベ、マグロンに完膚なきまでディフェンスを割られ、 0−3とほぼ優勝の行方を定める一方的な試合運びを許してしまう。 竹村にも絶好のチャンスが訪れたのだが、惜しくもシュートがゴールネットを揺らすには至らなかった。 負けは仕方がない。こうなったら我々も敵地で大勝する以外にない。メニリティ監督と最後のミーティングを行い 4日後、大阪に乗り込んだシュトルツであったが、結局ゴールマウスに吸いこまれたのはJ.ステファノビッチの1ゴールのみ。 2戦2敗で今年はチャンピオンシップをガンバ大阪に譲る結果となった。V2は成らず。

ますます失意が募る。が、後悔ばかりもしていられない。 準優勝賞金でクラブハウスに 戦術指導室を設けて、一層の戦術浸透を図る事でV奪還の体制をフォローする事にした。 キャッシュフローは66億。大丈夫だ。年間収支2億の黒字は十分果たせそうだ。

今年最後のタイトルであるニューイヤーカップ。 湘南ベルマーレを3−0で一蹴した後、2回戦の相手はまたしてもガンバ大阪。 雪辱に燃える選手達はホームで良いプレーを見せたものの、今のガンバは止められない。 マグロンは千代反田がマンマークで仕事をさせなかったが、オルザデベに先制されると 後半のミドルレンジから遠藤の一発で終止符。 実はプレミア30百万をかけて臨んだのだが、ダメだったか。しかしそのガンバ大阪も決勝戦でアビスパ福岡に敗れたと言う。 うーん、来年のシーズンも厳しい試合が続きそうだ。

年間収支に若干の余裕が見られるので、品川区にグッズショップを開店する計画に決裁を下ろす。 これで月々の収益も増加するだろう。優勝セールが出来るように頑張らなくては。

「会長、大変です」「どうした、高嶋クン。君らしくもなく慌てて」 12月24日。クリスマスイブの日にもたらされた突然の申し出。 竹村の引退である。 5年間キャプテンとしてチームを牽引したシュトルツのエースである。 「まだ31歳だろう、何を言っている。まだまだ君のストライカーとしての技量には期待しているんだ。 考えなおせないのか」 私も必死に説得したのだが・・・ 竹村は2ndステージとチャンピオンシップを通して自分の力が落ちている事を痛感し、 自分に納得いくプレーが出来ないとの一点張り。

竹村裕次 31歳 J1得点王(28ゴール)1度。 シュトルツのカップ戦優勝3回、チャンピオンシップ優勝2回、そしてワールドチャレンジカップ優勝は 彼なくしてはあり得なかっただろう。 ありがとう、シュトルツのエース竹村裕次。そして、さようなら。

『品川シュトルツのエースストライカー 竹村裕次(31歳)電撃引退!!』


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