15年目 〜勤続疲労?老化現象?〜

仕事始めの日。執務室に入って我が目を疑う。 そこに一人の女性が待っていたからだ。 真っ赤な長い髪。肩も露わでミニスカートにブーツときたもんだ。 「お嬢さん、ここへはどうやって?」 それが私の第一声だった。 「あらぁ、会長ぅ、これからお世話になります」 「え?」 これが微笑ましい最初の会話だ。

彼女は今年から秘書を務めてくれる篠原紗香サンだそうだ。 こう見えて外国語堪能の有能秘書だそうだが、とりあえずその格好でオフィスをウロウロするのは止めて欲しいものだ。 殊にその前傾姿勢は止めなさいっての。

それはそうと、昨年はスタジアム拡張に踏み切ったために資金不足が著しい。 スポンサー収入を加えてようやく45億のキャッシュフローを得たが、これから千代反田を含めた主力級の 契約更改が待っているのだ。

千代反田充  (27歳)260→300(3年)  本当はもう少し長く契約したかったが、手許不如意につき3年。
岩下圭次郎  (26歳)135→145(4年)  次の契約時には後継者が育っていなくては。
宮田正光   (26歳) 60→110(4年)  リベロからSDFへのコンバートでもう一花。
バイティンガー(29歳)130→153(4年)  チーム最年長はいよいよ三十路に突入、牽引車として奮闘を。
ジャビ    (23歳)190→178(5年)  戦術にフィットして戦力となるか。
佐藤浩    (22歳) 33→ 33(1年)  サテライトで腐ること無かれ。
この時点で既に35億を使い、キャッシュフローは10億に。デルベーネやモンテスを獲得している場合では無いな。 今年からジャビは「19」を、そして森岡は「8」を背負う事になった。新しい背番号での活躍を期待しよう。 コペンハーゲンとも姉妹都市提携を結び、チーム創設15周年と言う事もありユースを設立する事を決意した。 シュトルツユースチームが品川区のスポーツ振興に一役買えば言う事なしだ。 早速4名の練習生が目に止まり、2軍グラウンドで練習に特別参加させているところだ。 今年はサポータークラブの予算は若干低めに抑えて240百万。キャッシュフローが5億を切ってしまっているのでね。

限られた予算の中で最大限のチーム強化を図る。 とにかく守備力強化のためイタリアはラツィオFCで海外キャンプを実施。 一昨年の世界戦略、昨年のJ制覇と有言不実行に終わっている。今年は不言実行と行こう。

さて、3月がやってきた。キャッシュフローは何と2億。 おい、大丈夫なのか? 今年のJ1リーグは京都パープルサンガ、鹿島アントラーズが姿を消し、 東京ヴェルディが返り咲き、アルビレックス新潟がJ1初参戦。

開幕戦は柏レイソル。8万人弱のサポーターを拝した新シュトルツスタジアム。 しかし選手たちは本領発揮とはいかず、スコアレスドローと歯切れの悪い出だしとなった。 2節のFC東京とのダービーマッチではロスタイムに失点し、1−2といきなり黒星。 これにはオライリー監督も辣腕発動。岩下のスタメン落ちである。 佐藤がゴールマウスを守ってからは 浦和レッズ(2−1)、大分トリニータ(1−0)、ジュビロ磐田(2−1)と3連勝。全5ゴールは不調のエース水城が。 3勝1敗1分けで8位のシュトルツは6節でサガン鳥栖と対決。 岩下、源と不調ながらもベストメンバーをピッチに送り出したオライリー監督だが、 3失点で敗退。5勝1敗が6チームもひしめく大混戦。品川シュトルツは3勝2敗1分けで8位キープ。

カップ戦が始まる4月。 3節で対決した浦和レッズと1回戦で再び相見える。佐藤がゴールを守るがキッチリ逆襲をくらって0−1と敗戦。 この敗戦でオライリーが再びゴールマウスを預けたのは岩下。この2人の争いも見物だ。 今度は岩下、そしてジャビがスタメンで7節大阪エステーラ(3−0)、 カップ戦2戦目(3−1)、8節ジェフ市原(2−1)と3連勝。この3試合は原が奮起の5ゴール。 阿部も浦和レッズ戦では初アシストの10.0評価を得た。

6位に順位を上げたシュトルツに立ちはだかるのは青い壁。 4位ガンバ大阪である。3月の月間MVPオルザデベがFKに合わせて先制。宮田のファウルからのFKと言うのが痛い。 森岡が同点ゴールを挙げて追い上げムードと行きたかったが、由宇木に決勝ゴールを決められホームで痛い3敗目。 ジャビに7億のオファーがあったが、いくら資金難と言えどもそれは出来ない。 2位ヴィッセル神戸との対決もダニエル、城に2点先制される苦しい展開。城のレッドカードに全員攻撃の指示を出す オライリー監督。しかし原の1ゴール止まり。視聴率は20%を超えたと言うが、拠りに拠ってこんな恥ずかしい試合。 僅かな期待は阿部の自身初となる月間ベストイレブンの受賞くらいか。

5月は9節のベガルタ仙台にこそ0−2とピータミッツに中盤を抑えられ完敗するが、 カップ戦2回戦のセレッソ大阪(2−0、3−0)、12節アルビレックス新潟(2−0)、 13節アビスパ福岡(1−0)と4連勝。14節には首位清水エスパルスにも80分まで1−0でリードする。 ところがロスタイムにバービーにゴールを許して勝ち点1ずつ分け合う。それでも順位は9位に低迷。 月間MVPは先月のバロンに続き、首位清水エスパルスから伊東輝悦が。宮田、千代反田がベストイレブンに選出された シュトルツDFは6試合で3失点と悪くは無かったのだが。

追い込みの6月は大阪エステーラとのカップ戦3回戦のホーム緒戦を辛うじて1−0で辛勝。87分の水城のループで決着。 1stステージ最終節は15位東京ヴェルディとの東京ダービー。 勝てば7位浮上の目も合ったのだが、FC東京に続いてダービーマッチはロスタイムの失点で競り負け。 イエローカードを3枚ももらってストレスばかり溜まる試合で1stステージが終ったのは悔しい限りだ。 直後に大石が帰国し、カップ戦の方は大阪エステーラを下してベスト8進出。

15年目1stステージ
優勝 清水エスパルス 勝ち点37 13勝1敗1分け 45得点13失点
2位 ヴィッセル神戸 勝ち点36 12勝2敗1分け 31得点10失点
3位 ガンバ大阪   勝ち点32 11勝4敗0分け 35得点19失点
4位 ベガルタ仙台  勝ち点31 10勝4敗1分け 27得点15失点
5位 サガン鳥栖   勝ち点27 10勝5敗0分け 24得点18失点
6位 ジェフ市原   勝ち点26  9勝6敗0分け 28得点23失点
7位 柏レイソル   勝ち点25  8勝6敗1分け 26得点18失点
8位 アビスパ福岡  勝ち点24  8勝6敗1分け 22得点19失点
9位 品川シュトルツ 勝ち点23  7勝6敗2分け 18得点17失点
やはり清水エスパルスは強い。しかしヴィッセル神戸も勝ち点1差に肉薄。 シュトルツの体たらくは何なんだ?1stステージ9位と言うのは昇格直後の2年間を除いた ここ11年で最低の成績。勝率も辛うじて5割キープ、得失点差も僅かプラス1? 出戻りオライリー監督を持ってしてもこれが限界か?

散々な1stステージが終了した後、中村が招待留学から帰ってきた。その成長振りは如何に? そして念願の千代反田のラツィオ留学。28歳にもなると2年留学で5億もかかるのか? これまた少ないキャッシュフローには痛いが、けちけちせずに送り出そう。 帰国直後の中村にJ2落ちした京都パープルサンガから4億程度のオファーが来るが断じて却下。 何を言っているんだ。

オールスターには宮田、バイティンガーと並んで阿部が初選出。 フレッシュなプレイを見せたものの試合は1−4でWestが勝利。

世界スポーツ大会が開催される7月。 残念ながらシュトルツからはU23代表を送り出す事は出来なかった。 しかし考え様によっては、チームのフルメンバーで1ヶ月間しっかりと練習をする良い機会だ。 ジャビを中心に連携強化に勤める事にした。

注目の世界スポーツ大会だが、日本U23代表は残念ながらジャマイカ、ベルギー、イングランドと 争った1次リーグで姿を消す事になった。2敗1分けの1得点5失点では已む無し。 優勝は予選F組をトップ通過したイタリアU23代表だった。

日本全土が悲嘆に暮れる頃、品川シュトルツはようやく大型FWを獲得。180cmを超える上背が魅力の 青柳滋雄クン(17歳)が入団決定。年俸は35百万。 将来を担う傑物に育てたい。ブハラFCから大石に380百万でオファーがあったが、当面は原、水城と 並ぶ攻撃陣のタレントは譲れない。これは丁重にお断り。

さぁ、7月も過ぎ去り2ndステージが開幕する。 基本的なスタメンは以下の通り。

     水城  大石(原)
   源        森岡(山形)
     阿部  バイティンガー
  路木        中村
    宮田    和登
       岩下
1stステージ同様、柏レイソルとの開幕戦は2−2で引分けと低調な立ち上がり。 4節では当時最下位の大分トリニータに初白星を献上する有様。結局8月は4勝1敗1分けで6位。 首位はヴィッセル神戸が6戦全勝。翌月はカップ戦で激突するだけに、目が離せない。

9月に入るとシュトルツが足踏みを始める。 大阪エステーラとの7節はカウンターが効きまくり、押せ押せながら肝心な所をシエロにつぶされ なんとか1点をもぎ取り辛勝したが、8節ジェフ市原、9節ガンバ大阪に連敗。 9節は首位ヴィッセル神戸もベガルタ仙台相手に初黒星。

そして10節はホームで首位ヴィッセル神戸との対戦。 約8万人を迎えたホームで先制したのはシュトルツ。源が豪快なヘッドで1−0。 しかしU23代表で活躍した三浦和良がしぶとく同点ゴール。 しかしこの試合は守りに入らず、攻める姿勢を忘れなかったイレブン。 60分に運動量の落ちたバイティンガーに代わってピッチに立ったジャビが決勝ゴール。 2−1でヴィッセル神戸を破り、神戸は2位転落。視聴率も20%を超え、近年稀に見る好勝負であった。

ところが、この一戦はヴィッセル神戸の闘争心に火をつけた様で、 カップ戦は0−2、0−2と完敗。攻めに攻めた結果の敗戦だけに、何も言う事は無い。 カップ戦はベスト4で敗退したが、2ndステージの躍進は留まる事を知らず、 ヴィッセル神戸に替わって首位に立ったベガルタ仙台も阿部の2アシストで辛くも延長Vゴール勝ち。 仙台GKカルドゾのナイスセーブも110分の森岡のシュートには届かず。これで神戸が首位奪還。

上位キラーとして6位に順位を上げたシュトルツだったが、詰めが甘く12節は7位のアルビレックス新潟に 1点を先制されると、これを返す事が出来ずに一挙に9位まで転落。結果的に9月は3勝3敗だった訳だ。 月間MVPには神戸の平塚浪馬が選ばれた。そしてそのヴィッセル神戸は清水エスパルスを下してカップ戦制覇。

13節のアビスパ福岡戦に1−0と競り勝った時点でシュトルツの勝ち点は22、優勝争いには手が届かないものの 3位新潟の勝ち点は25。まだ上位進出に望みはある。が、14節に6位清水エスパルス相手に シーソーゲームを演じ、一旦は勝ち越すがVゴール負けで万事休す。最終節こそまたも最下位に低迷した 東京ヴェルディ相手に何とか延長戦で「10」山形がVゴールを叩きこみ勝ち点2を積上げ7位で2ndステージ閉幕。 エース水城の衰えが感じられたステージだった。主力選手が20代後半に差し掛かり、チームの老齢化が始まっているのか?

15年目2ndステージ
優勝 ヴィッセル神戸   勝ち点39 13勝2敗0分け 47得点 7失点
2位 ベガルタ仙台    勝ち点34 11勝3敗1分け 40得点16失点
3位 アルビレックス新潟 勝ち点31 10勝4敗1分け 16得点19失点
4位 ジェフ市原     勝ち点30 10勝4敗1分け 37得点17失点
5位 ガンバ大阪     勝ち点27  9勝6敗0分け 28得点18失点
6位 清水エスパルス   勝ち点25  9勝6敗0分け 27得点18失点
7位 品川シュトルツ   勝ち点24  9勝5敗1分け 22得点19失点
ヴィッセル神戸が尻上がりに調子を上げ、2ndステージ6年ぶりの優勝。 3位の新潟は得失点差マイナスと言うのが癪に障る。16得点で10勝と言うのは効率が良い。それでいて 4敗で19失点と言うのは負けっぷりも良いって事か。 今年も得点王は浪花の大将オルザデベで38ゴール。衰えを感じた水城だが、16ゴールで10位にランクイン。 年間評価点はU23代表でも活躍し、優勝の立役者にもなったヴィッセル神戸の平塚浪馬で 7.8、シュトルツからは7.0で宮田、阿部が辛うじてランクイン。

今年はチーム戦力を省みてプラチナリーグへの参戦は諦め、プレシーズンマッチで実戦練習を重ねる事にした。 収益も見こめるしな。 ところが、大阪エステーラとのプレシーズンマッチで水城が負傷退場。 青柳のデビュー戦は、何と水城の代役であった。残念ながらノーゴール。 海外クラブを招いた対戦はポルトアレグレFC(0−1)、アスンシオンFC(1−1)、ブカレストFC(0−2)、 感謝祭でもブダペストFC相手に1−1が精一杯。ベストメンバーを欠いたものの「10」山形が面目躍如の同点ゴール。 世界選抜vs欧州選抜は、今年のJリーグMVP平塚が世界選抜へ、そしてジャビが 欧州選抜にノミネートされた。 結果、PK戦にもつれ3−1で欧州選抜が勝利。しかしジャビは最後までベンチで試合を見送る事になった。

ヴィッセル神戸は平塚の活躍もあり、チャンピオンシップで清水エスパルスを下しJリーグ初制覇。 6年前は同じ対戦で涙を飲んだが、見事雪辱を果たしたと言う訳だ。

ウィンターカップ直前に水城がケガから復帰。 フルメンバーでウィンターカップの1回戦、川崎フロンターレ戦に臨む。 満員のホームスタジアムで戦ったのだが、内容は実にお粗末。 どうもチーム全体の運動量が落ちているか?路木は10.0評価を得たものの1−0と梃子摺ってしまった。

2回戦は2ndステージ2位と躍進のベガルタ仙台戦。 この試合もシュトルツスタジアムで行う事が出来た。 しかし、原の先制ゴールまでは予定通りのゲームプランだが、大石が相手のタックルで十字靭帯断裂の 大ケガを負ってしまった。

ベスト8が出揃った3回戦、清水エスパルスとの試合もホームスタジアムで戦う事ができる 恵まれたクジ合わせだったが、水城の先制ゴールを守れずに1−2で敗退。バロン、エマラにやられた。 しかし決勝はその清水エスパルスを再びヴィッセル神戸が撃破。 オレンジ時代に終止符を打つゼブラの逆襲は三冠達成と言う最高の形でフィナーレを迎えた。

「会長ぅ、私の就任初年度としてはまずまずな一年ってところかしら?」 篠原クンと迎える最初の年の瀬。 資料を整理しながら一年を振り返る。 観客動員は大幅に増え200万人を超えた。サポータークラブは予算を絞ったために微増であったが、 収益は19億の黒字で終える事が出来、1stステージ開幕直前は2億しかなかったキャッシュフローも45億まで 持ちなおす事ができた。新スタジアム着工に踏み切って正解だったな。 品川区は経済振興都市として84万人の人口を抱え、住宅11%、商業22%、スポーツ13%、自然14%と バランスの取れた街である様だ。 しかしチームの戦績はよくよく考えれば7年ぶりの 無冠で終了。 3年前ですら、私がU23代表監督としてアジアトーナメント優勝を果たしている。 淋しい一年だったんだなぁ。オライリー監督も特効薬には為り得なかったか・・・


目次へ

前の年に戻る次の年へ進む

タイトルへ戻る