20年目 〜再び世界へ リネッティ3年目〜

Jリーグチャンピオンとなった品川シュトルツを広告塔に、と大手スポンサーが新しく4社も協賛してくれる事になった。 ドリームエンタープライゼス、エアーコミュート、関東総合電力、総合建設機器の各社である。 いずれも東京に本社を置く企業で、品川区長の口添えもあったとか。

そして、いよいよシュトルツの戦いぶりは全世界へと発信される事になる。 全世界ネットの「ワールドサッカーウィークリー」で取り上げてくれると言うのだ。 世界クラブランク39位となった品川シュトルツを見る目が変わったのだな。 世界中のクラブ関係者に恥ずかしくない試合を展開しなくてはなるまい。

今年も悲喜交々の契約更改の時期となった。対象となるのは3名であり、その結果も正に対照的であった。 50%アップとなったのはボランチのジャビであり、280百万の5年契約で合意。 山形は現状維持の65百万で単年契約。 そして、長らくシュトルツの守護神としてゴールマウスの前に君臨した岩下の戦力外通知である。 32歳となる今年はリネッティ監督の構想から外れてしまったのだ。私も佐藤がいる以上は3人目のGKで 選手枠を費やしたくは無い。無情な結論だが岩下がチームを去った。袴田から「1」を奪った男は、 こうしてチラバートに追われる最後となった。

去る者があれば、訪れる者あり。 先ずはユース設立6年目にして、初めてトップチームへの合流が認められたのが 伊武左右吉(16歳)と常松和宏(19歳)の2名である。 いずれも昨年から宮田、路木の指導を受けており、チーム戦術にも馴染んでいる期待のホープだ。 そして、坊野スカウトのお眼鏡に適った山岸史俊クン(18歳)がシュトルツに入団した。 やはり新人が増えるのは良い事だ。活気も出るし、ベテランの目の色も変わる。 篠原クンの目の色が変わっているのには困り者であるが。 まぁ3人には良い意味でチームを引っ掻き回してもらいたいものだ。

品川区長からの打診でチーム就任20周年の伏目を期してクラブタワーの建立を決意した3日後、 驚くべき知らせがもたらされるのであった。

「会長ぅ、お電話です。日本サッカー協会のキャプテンからですって」

何を隠そう教会からの電話は、私に対しての代表監督就任の依頼であった。 今年はリネッティ監督とラツィオにでもキャンプをはって、戦術浸透度を深めなければならない。 それに、ようやく軌道に乗ってきたシュトルツの運営・強化を2年間もテクニカルスタッフに任せっきりになるのか? とは言え、私の腹は決まっていた。就任以外にあり得ない。 私のクラブの主力を引き連れて世界の強豪と戦うのだ。私は3日の猶予の後、協会に就任了承を伝えた。 『昨年Jチャンプの品川シュトルツのオーナー マツオカ氏 代表監督就任』 『元U23監督のマツオカ氏、遂にA代表監督に!』

さぁ、就任早々2月は<南米チャレンジリーグ>への参加が決まっていると言う。 先ずはメンバーの選定だ。 昨年のリーグでの対戦を思い出して、と。

FW 三浦(神戸)、棚田(清水)、大石、シンゴ(シュトルツ)
MF 平塚(神戸)、伊東(清水)、遠藤(横浜FM)、多古(市原)、阿部、源(シュトルツ)
DF 中澤(横浜FM)、宮川(山形)、玖珂、近藤(エステーラ)、路木(シュトルツ)
GK 南 (柏)
精鋭16人を連れて代表のチャーター機は南米へと飛び立った。シュトルツの事はリネッティ監督とテクニカルスタッフに 任せて、大会に専念する事としよう。

不安もあったが、選手たちの勢いは正に破竹の勢いと言うヤツで南米の強豪を寄せつけない。 パラグアイ(1−0)、メキシコ(2−0)と快調な出だしを切ると日本メディアからの取材攻勢も厳しくなってきた。 ウルグアイ戦は初めて失点したものの3−1と撃破し首位に踊り出た。 やや油断もあったか、4試合目のベネズエラ戦は先制を許し、FW棚田が負傷するアクシデント発生。 しかしチームは三浦、玖珂を中心に奮起してシーソーゲームを3−2で逆転勝利。 この試合がその後の勢いを決定付けたかもしれない。

チリとの5試合目は大石が初スタメン。得点こそならなかったが4−0と大勝で余裕の采配。 ここからが正念場の残り2試合。3勝2分けのアルゼンチンとの大一番は大石が代表初ゴール! しかし85分にまさかの同点を許し、5勝1分けとし得失点差でブラジルに首位を明け渡す。 最終戦はそのブラジルが相手。 開始早々ブラジルにゴールを許したが、アウダイールが一発レッドで退場すると後半は日本ペース。 大石の2試合連続ゴールで追い付くと、平塚、多古が追加点を上げロスタイム。 ロナルドのシュートは枠を反れて試合終了。

代表監督として嬉しい<南米チャレンジリーグ>優勝の栄誉に輝いた。 これには日本中のメディアが湧きかえった。 三浦が優勝杯を天に突き上げる。大石もいぶし銀のはたらきで私に応えた。 そしてMVPに輝いたのはボランチとして影の仕事人に務めた伊東である。 代表監督としては最高のスタートを切った事に、笑みが絶えない私であった。

帰国後は記者会見やテレビ出演で忙しかったが、2日後には1stステージが開幕だと言う。 選手たちは気の休まる間もなく、新しい戦場へと散って行った。 今年J1に昇格したモンテディオ山形には宮川ピエールが、横浜F・マリノスには中澤と遠藤がいる。 激しい戦いが予想されるな。 一方でウルグアイ代表FWファンゼッカを以ってしてもJ1残留を果たせなかった鹿島アントラーズ。 Jリーグを戦うと言う事も楽ではない。

まだ半袖のユニフォームでは肌寒い3月。 シュトルツと開幕戦を争ったのは新鋭モンテディオ山形。 これがJ1初挑戦である。シュトルツスタジアムでどんな戦いを見せてくれるのか。 前半はアシモビッチの2ゴールで下馬評通りのシュトルツ優位な展開。後半は山岸と伊武を早くも デビューさせたリネッティ監督。伊武は張り切り過ぎたかいきなりのイエローカード。 ともかく3−1で開幕戦は白星スタート。視聴率も22.34%とまずまずではなかろうか。

その後も順調に横浜F・マリノス(1−0)、コンサドーレ札幌(4−0)、ベガルタ仙台(2−1)、 大分トリニータ(2V1)、アビスパ福岡(2−0)と連勝を続けて2位で3月を終えた。 水城がハットトリック1回の7ゴールと自身ゲンの良い3月に大活躍だ。 サポータークラブも4千人の増加で23万人を突破した。月間ベストイレブンには堅守を評価されチラバートと宮田がノミネート。

4月に入るとディフェンディングチャンピオンに、闘志むき出しでかかってくる対戦相手にてこずるシーンも多く見られたが、 サガン鳥栖(3−0)、ジュビロ磐田(2−0)、FC東京(1−0)、ガンバ大阪(2−1)と2位キープ。 水城は5ゴールを追加して得点ランク3位につけている。折を見ては山岸、伊武をピッチに立たせようという リネッティ監督であるが4月はなかなかチャンスが無かった。

カップ戦2回戦で再び合い見えたモンテディオ山形。 常松と伊武のスタメン起用はやはり油断だったか。 大石先制の後も試合は落ち付かず、水城が負傷退場するハプニングに見まわれる。 リーグ戦での得点王争いをしていただけに残念だ。1日も早い復帰を祈るしかあるまい。 試合は2−2のドロー。水城不在が響いたか。

嫌な流れをリーグ戦に引きずってしまったか、11節の柏レイソル戦で3分、9分に得点を挙げて 後は逃げ切るだけと言う展開に引き過ぎてしまって、そこから怒涛の反撃をくらい驚愕の4失点。 水原、黄ともに2ゴールとFWを捕まえられなかった事が悔やまれる。首位のヴィッセル神戸も大阪エステーラに敗れる キリングデーとなった。

負けが許されないカップ戦2回戦のホーム試合。 フルメンバーで臨むが、2度のリードを守りきれず2−2でPK戦に突入。 こうなると運次第とも思われたが、互いに失敗無しで迎えたモンテディオ8人目のキッカーはGKのサルバ。 サルバのキックはゴールの枠を捉えずに8−7と辛勝。どうにか3回戦進出を決めた。

これが運を呼び戻したのか、3位大阪エステーラとの直接対決は延長の末にスーパーサブ大石が決勝ゴールで2−1。 首位ヴィッセル神戸はジェフ市原に敗れ、90分勝ちした清水エスパルスが替わって首位に踊り出た。 5位ながら神戸を破った市原との13節。試合は1−1のまま120分が終了。 3位に落ちたヴィッセル神戸だったが、首位エスパルスを3−0と下して再び首位奪還。最後の最後まで優勝の行方が 分らなくなってきた。

1日天下の清水エスパルスとの対戦は14節。ここで負けたら首位戦線脱落となる一戦であったが、 先ずはエスパルスが2点先行。この時点で日本平に詰めかけたサポーターは清水勝利を確信した事だろう。 しかし、前半終了間際に大石が1点返しハーフタイム。ケガの水城がドレッサールームでイレブンを激励。 すると大石が後半同点ゴールをぶちこむ。リネッティ監督ガッツポーズ。こうなると勢いは追い付いたシュトルツ。 97分に源がVゴールを叩き込み2位キープ。清水エスパルスは優勝のチャンスが無くなった。

勝ち点34で2位のシュトルツと勝ち点35の首位ヴィッセル神戸。 勝利以外に優勝は無い。 88,000人。満員の観客に埋め尽されたシュトルツスタジアムで頂上決戦のフエは吹かれた。 均衡した試合を動かしたのは後半22分。PA内で大石が倒されてPK奪取。 これを阿部がキッチリ決めて虎の子の1点をもぎ取ると、残り時間は執念のディフェンス。 そして、試合終了のホイッスルが鳴り響いた。9年ぶりの1stステージ優勝である。

20年目1stステージ
優勝 品川シュトルツ 勝ち点37 13勝1敗1分け 31得点12失点
2位 ヴィッセル神戸 勝ち点35 12勝3敗0分け 46得点12失点
3位 大阪エステーラ 勝ち点35 11勝2敗2分け 26得点13失点
4位 清水エスパルス 勝ち点34 11勝3敗1分け 29得点11失点
水城が途中で長期欠場となったが、よく勢いを保った。 リネッティ監督の指導のおかげだな。メニリティ監督依頼となる3シーズン目の指揮に狂いは無い。 シュトルツ黄金期はどこまで続くか。地元サポーターへのお礼も兼ねて 優勝賞金は直ぐに品川区のスポーツ投資に費やされた。

メディカルスタッフからも嬉しい報告がもたらされた。 アシモビッチの能力が爆発的に開花している様なのだ。 29歳となり、通常ならば成長の止まる基礎データが未だに伸びていると言う。 まだまだ成長すると言うのかアシモビッチ!

休む間もなくカップ戦の3回戦。ジェフ市原と1勝1敗であったがトータル3−1でシュトルツが準決勝進出。 視聴率は2試合とも20%を超える注目度であった。 6月下旬にはパリFCからGK佐藤が帰ってきた。昨期のフランスリーグを制したパリFCで学ぶ事も多かったはずだ。 岩下の去った今、チラバートにもしもの事があれば佐藤にかかる責任は大きい。

オールスターはチラバート、ジャビ、阿部が選ばれたが他チームの選手と息が合わずにプレイでは 魅せる事が出来なかった様だ。1−4と完敗。まぁ仕方あるまい、お祭りだ。 それより、水城が復帰したとの連絡に小躍りしたいくらいの心境だ。32歳の彼には体だけは十分に注意してもらいたい。

さて、注目のインターナショナルカップ予選が始まる。 2月の南米チャレンジリーグに召集したメンバーを中心に代表選考したが、若干の入替えが生じた。

FW 三浦(神戸)、棚田(清水)、大石(シュトルツ)
MF 平塚、牧野(神戸)、伊東(清水)、多古(市原)、中村(横浜FM)、阿部、源(シュトルツ)
DF 玖珂(エステーラ)、中澤(横浜FM)、斎藤(神戸)、高梨(市原)、路木(シュトルツ)
GK 南 (柏)
以上16名である。横浜F・マリノスの中村俊輔はまだ21歳であるが、光るものを感じた。 秘密兵器として期待しよう。PKは三浦、FKは平塚、CKは玖珂をキッカーに指名。 予選とは言え侮るな。

しかしアジアの枠に収まりきらない選手ぞろいである。 1巡目をイラン(4−0)、ウズベキスタン(4−0)、トルクメニスタン(5−0)、韓国(1−0)、マレーシア(4−0) と圧倒。中でも2TOPの三浦が6ゴール、棚田が4ゴールと大当たり。平塚もFKのみで4得点である。 2巡目もイラン(2−0)、ウズベキスタン(3−0)と連勝して、 この時点で予選通過が確定。 トルクメニスタン戦では先発した大石、途中出場の源が揃ってゴール。 源はこれが代表初ゴールである。 韓国戦で初めて横浜F・マリノスに所属するキム・ジュヨンに失点を許すが大勢に影響無く、最終戦のマレーシア戦も勝利し、 10戦全勝22得点1失点の快挙で韓国と共に本戦決定を決めた。 予選A組はサウジアラビアとクウェートが本戦にコマを進めたと言う。

代表での阿部、路木、大石、源の活躍が奏効したかサポータークラブの会員は24万人を突破。 これには篠原クンも驚いている。「会長ぅ、ウチのクラブって凄いんですのね」 しかし喜んでいるのも束の間であった。

再びJリーグが始まる。まったく代表選手にとっては過酷なスケジュールだ。 そしてその代表を虎視眈々と狙っている選手は当然あたりも厳しくなる。 ましてや代表監督の観戦する機会の多いシュトルツ戦となれば尚更の事である。 かくして自ずとシュトルツ方位網が出来あがった。

2ndステージ開幕戦。いきなり黒星発進したのがヴィッセル神戸と品川シュトルツ。 いずれもJ1昇格組の横浜F・マリノスとモンテディオ山形からの敗戦であった。 これがケチのつけ始めで、シュトルツは3節のコンサドーレ札幌にも初白星を献上。 続く5節の大分トリニータ戦では水城がまさかのレッドカード。ここまでトップスコアラーとして ほぼ毎試合得点を挙げていただけに残念だ。そして試合もそのまま1−2と落とすと 6節のアビスパ福岡にも1点が届かず0−1と連敗。

2ndステージを好発進したのは1stステージ4位の清水エスパルス。 5勝1分けと負け知らずで首位。 2位集団に4勝2敗でFC東京、ヴィッセル神戸、大阪エステーラ、ジュビロ磐田が追走。 シュトルツはまさかの11位である。

9月上旬、混沌としたJリーグは視聴率もうなぎ上り。軒並み20%を超えた。 シュトルツは2勝2分けと踏ん張るものの順位は上がらず10位に止まっている。 9節で出場停止が解けた水城だけは4試合で4ゴールと、チームを牽引する大車輪の活躍。 上位陣もポロポロと敗れ、日替わりで首位交代の有様。

2ndステージで好調が続くFC東京とカップ戦の準決勝で対決。 リネッティ監督は疲れの見える沖田、源、宮田に代えて常松、山岸、伊武を先発起用。 これが大失敗。どこかボール回しもぎこちなく、FC東京FW佐東にハットトリックを許し0−4と大敗。 決勝進出に赤信号点滅である。

カップ戦直後の柏レイソル戦は鬼門か? 今ステージも水城が同点ゴールを叩きこむものの、柏FWの水原にVゴールを許し10位から浮上ならず。 カップ戦の2試合目はフルメンバーで望むが時既に遅し。原のゴールも空しく1−1とドローで今年はベスト4止まり。 12節の大阪エステーラ戦は1失点後に原、水城、大石の揃い踏みで3−1と逆転勝利して9月が終了。

財務部長からはチームのキャッシュフローが200億を突破と、嬉しい報告がもたらされたが 戦績は奮わず、シュトルツ方位網はきつくなるばかり。 13節のジェフ市原戦は早々に増田が退場して数的有利を作りながら3失点で手も足も出ず。 得点王争いもヴィッセル神戸の城と柏レイソルの水原が24ゴールと水城の23ゴールを上回る。

14節の清水エスパルス戦は源のVゴールで制し、いよいよ最終節。 ヴィッセル神戸の城だけには失点を許してはなるまい。こうなったら水城の得点王をチームを挙げてフォローせよ。 1stステージ王者の意地も見栄もかなぐり捨てて臨め。 果たして。試合は神戸ペース。守備はズタズタで牧野が先制。しかし待望のゴールが産まれる。 セットプレーのこぼれダマを水城が押し込んだ!これで24ゴール目。暫定で得点王に並んだ。 これで気が緩んだか。残り時間で4ゴールを神戸に許すが、城だけは完全にシャットアウト。 後半だけで三浦にハットトリックを許してしまったが。

20年目2ndステージ
 優勝 アビスパ福岡  勝ち点32 11勝3敗1分け 21得点11失点
 2位 ヴィッセル神戸 勝ち点30 10勝4敗1分け 34得点13失点
 3位 清水エスパルス 勝ち点28  9勝5敗1分け 29得点16失点
 4位 ガンバ大阪   勝ち点27  8勝4敗3分け 28得点17失点
 5位 柏レイソル   勝ち点26  9勝5敗1分け 32得点21失点
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11位 品川シュトルツ 勝ち点19  6勝7敗2分け 24得点23失点
星の潰し合いとなった今ステージを生き延びたのはアビスパ福岡であった。若きFW岡本など勢いのある良いチームだ。 今後の躍進は大いなる脅威となるだろう。12月の対戦が楽しみだ。 そして得点王争いだ。最終節2−0と勝利した柏レイソルだったが、水原にゴールは無く結局24ゴールで 水城、城、水原がタイトルを分け合う事になった。竹村に続くチーム2人目の得点王である。 評価点は日本代表エステーラの玖珂が8.0で最優秀評価点選手となった。 シュトルツからはチラバートが初めて14位(6.7)でランクインしたが、もう少し上位に居てもらわなければ困るな。

本当に忙しい1年になりそうだ。 水城の得点王を喜ぶ間もなく11月は代表監督として<アジアチャレンジカップ>に挑む。 先ずは7月の予選A組を首位通過したサウジアラビアが相手か。 しかし今の日本代表の敵ではない。前半に三浦が2ゴール、後半は大石が2ゴールを挙げて4−0と撃破。 決勝戦は因縁の相手韓国である。ところが韓国も寄せつけず、大量6得点を奪いワンサイドゲーム。 見事にこのタイトルも優勝と言う成績で選手たちは一層の自信をつけた様である。

その後も協会に依頼をして強豪とのフレンドリーマッチが続く。

対ブラジル   1−0 ケガを押して出場の牧野の決勝ゴール。
対オランダ   1−1 先制されるものの、棚田が同点弾。
対ドイツ    1−4 壮絶な打ち合いだったが、ドイツの堅守は厚く。ルンゲKハットトリック。
対フランス   1−0 三浦の値千金の勝ち越しゴール。
対アルゼンチン 2−3 三浦の先制弾を守りきれずに逆転を許した。反省。
対イタリア   1−2 流石にカテナチオは固い。しかしこれを破っていかねば。
強豪相手に2勝3敗1分けである。メディアの一部からは代表監督更迭もささやかれたが、おおむね私のチャレンジは 好意的に受け止められている様だ。来年の7月までもう時間は無い。 チームの骨格は固まったので、後は連携面を重視していきたい。

そしてチャンピオンシップである。本当に目が回りそうだ。 この年で代表監督は激務であったな。先ずはホームでアビスパ福岡を迎え撃つとしようか。 篠原クンと観戦したのだが、チームはやや守勢に回ってしまい何と0−1と敗戦。 これにはサポーターもブーイング。このまま終わってしまうのか。

いやいや、シュトルツには勝負強さがあった。 福岡に乗り込んだ選手たちには笑顔さえ見られた。頼もしいではないか。 だが、2試合目も先制ゴールは福岡。トータルで2点リードとなり圧倒的に福岡有利の展開。 まだまだ希望を失わないシュトルツイレブン。阿部のPKで1点を返し、反撃ムードだ。 しかしアビスパ福岡も大サポーターの後押しがある。岡本が再びリードを奪うゴール。 流石にこれにはガッカリかと思ったが、その4分後シンゴがキッチリ同点弾を叩きこみハーフタイム。 リネッティ監督にも余裕が合った。「良いサッカーをしているのは我々だ。我々がチャンピオンにふさわしい事を ピッチで証明して来なさい」 名将のゲキに応えたのはまたしてもシンゴ。86分の逆転ゴールで3−2。 トータル3−3となって決着はPK戦に委ねられる事になった。

こうなると初のチャンピオンシップがかかるアビスパ福岡の選手たちに重圧がかかる。 満員のサポーターもプレッシャーになったか2人が失敗。対するシュトルツは4人全員が決めて4−3で 辛くもV2達成である。 ふぅ、手に汗握る苦しい試合だった。選手たちに感謝だな。シンゴ、ありがとう! 年齢と寒さのために胴上げは無しだと言っておいたのに、選手たちは目ざとく私を見つけ出して福岡の地で胴上げ。 福岡サポーターからも温かい拍手を頂いた。ありがとう。

吉報が続く。帰京した私に坊野スカウトからジュビロ磐田から藤田俊哉(18歳)が移籍希望との事。 源、アシモビッチに取って代わる存在となるが良い。すかさず4年契約の年俸1億のオファー。 移籍金込みで総額8億で契約合意。山岸との2列目が見られるのは何時だろうか。

好事魔多しとは良く言ったもので、山あれば谷あり。 ニューイヤーカップの緒戦にあたる2回戦。 三ツ沢球技場での横浜F・マリノス戦は88分に中村に直接FKを決められ、いきなりの敗退。 もう一つのシードであるジェフ市原もヴィッセル神戸に1−2と競り負けたとか。 横浜F・マリノスはその後も中村の左足が炸裂し、決勝までコマを進めたが、牧野、平塚、城、三浦に大量7失点を喫し 残念ながら準優勝に終わったそうだ。

今年はチーム運営をスタッフに委ねていたために、年末の書類整理が一段と大変な事になっている。 なになにシーズンの観客動員が160万人に、平均視聴率は伸び悩んで20%そこそこか。 最高視聴率は年末のマリノス戦で25%ねぇ、あれが全世界に放送されたとなると寧ろ恥じだな。 年間収支は大きな出費も無く32億の黒字で200億突破。 品川区は住宅の増加に伴って111万人を超えたか。

マツオカ 「ふぅ・・・」
篠原   「会長ぅ、あら、随分とお疲れの様で」
マツオカ 「あぁ、篠原クンか。いやいや、今年は疲れたよ。もう、いい歳だからなぁ。堪えるよ」
篠原   「来年はいよいよ、ですわね。当然私も大会には連れていって頂けるんでしょう?」
マツオカ 「篠原クンがチームを離れたら、誰が面倒を見るんだい?」
篠原   「そんなぁ。それじゃ詰まりませんわ」
マツオカ 「あのねぇ」
篠原   「私もこの歳まで会長のお側で頑張りましたのよ。最後までお供致しますッ」
マツオカ 「分った分った。そんな風に指を鳴らして脅すなよ」
来年も波乱の一年になりそうだ・・・


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