F2 Chris & Daisuke around the world

<East/North Euro TOP>
Volgograd/ヴォルゴグラード

(2003.08.11-2003.08.15)

ヴォルゴグラード:ママエフの丘

ヴォルゴ川に沿って南下し、サラトフを経由してヴォルゴグラードへ向かった。ところが途中のサラトフの町で宿をとろうとすると、どこもかしこも満室だという。サラトフは河畔の丘陵地帯にひろがる美しい町だが、どうみても観光客などいない。特にイベントなどもやっている様子はない。ヴォルゴ川に面した大型のホテルなど、10%も稼動していないようにみえる。サマラでのことも考えるとどうやら噂の宿泊拒否らしい。
頭にきたので、幹線を少し走ったところで野宿をしようとサラトフを出る。カフェで夕食を食って表へでると、そこの店のおやじがシャシリクを焼いていた。お前もどうだ、言うのでもらって一緒に肉を食いながら、寝るところを探しているという話をしていると、ここで寝ていけと言ってくれる。どうやらここのカフェの駐車場スペースにテントを張って構わないという話なのだが、どうしたものか。
いろいろ考えた末、結局ここに寝ることにした。幹線道路沿いでバイクだけは人目につくので、カフェのガレージに入れさせてもらった。テントを張り終えると、おやじが「サラトフの町を見ていけ」と薦めてくれた。休暇中の警察官だという若者を紹介してくれて、彼の車でサラトフ方面に向かう。ところが警察官のくせにこの若者、恐ろしいほどの無謀暴走運転である。真っ暗の幹線道路をパッシング出しまくり、クラクション鳴らしまくりで猛スピードで走り回る。町に入って、彼の友人と思われる勤務中の警察官を見つけると、いきなり道の真ん中で停止し世間話をはじめる。当然後ろは大渋滞である。結局、小一時間ばかり走ってカフェに戻ったのだが、こんな車が普通に走っているのかと思うと、クリスの事故も偶然ではなく必然だったと思わざるを得ない。かなり疲れた。

何事もなく夜は明け、北海道を10倍くらいに広げたような大耕作地の幹線道路を進み、夕方前にはヴォルゴグラードに到着する。ヴォルゴグラードはかつてスターリングラードと呼ばれていた町で、第二次世界大戦中ナチスドイツの凋落の発端になった町である。今は巨大な工業都市だが、町の中心は静かで落ち着いた雰囲気に包まれている。ここでは久々に快適なホテルに泊まれたので、連泊した。翌日は風が強かったがいい天気だったので「母なる祖国像」のあるママエフの丘やスターリン攻防戦の資料館やら、のんびりと散策をして過ごすことができ精神的にも落ち着いてきた。つかの間の平和な1日である。ブレーキパッドが紙1枚程度まで磨り減ってしまっていたので、簡単な整備や洗車もしておいた。

 ヴォルゴグラード ヴォルガ川 街道沿いのカフェのシャシリク 一面ひまわり畑!

こうしてヴォルゴグラードで充電して、ロストフ・ナ・ダヌーへ向かう。距離的には1日で行ける距離だったが、都市に遅い時間に入るをを避けるために途中で野宿をはさむことにした。ところが、ぼちぼち寝床を探そうかと思い始めたところで検問があり、訳のわからない難癖をつけられて大もめ。最初は入国カードに所持金の記載のないことにケチをつける。昔はそういう制度だったことがあったかも知れないが、税関の申告書に所持金の記載はしているし、ここまでロシア国内の全ての検問をこれで通ってきているので問題はないはず。お前の知識が問題だ、と思った。すると今度は実際の所持金と税関申告の所持金が違っているとケチをつける。入国して1週間もたっているのだから、申告時より所持金が数十ドル減っているのは当たり前だ。こいつは引き算もできないのか、と思った。さらにトラベラーズチェックを見て、怪しい金を持っているじゃないかと言い出す。トラベラーズチェックを知らないのか、と思った。最後にはこれはCriminalだから、ここで100ドル置いていくか銀行に行って500ドル振り込めという。なんだ結局金が欲しいだけか、と思ったが、額が大きいので話にならない。ずいぶんと長い間口論を重ねたが埒があかず、時間コストが100ドルを越えるというところまできて折れた。100ドル札を相手の顔面に叩きつけて、先へ進む。

悪徳警官とけんかしていてすっかり暗くなってしまったので、途中幹線道路からはずれたところで野宿をすることにした。幸い交通量が少なく、人目につかず動くことができた。近くに農道があるが、そこからはこっちは見えない。
ところが夜半過ぎになって1台の車が進入してきてしまった。ナイフを握り、臨戦態勢で様子を伺うが、しばらくするといなくなった。こういう場合、仲間を連れて戻ってくる場合があるので警戒したまま朝を迎える。

ロストフに到着し、感じのいい安宿をとるとやっと緊張が解けてくる。首都モスクワとコーカサス地方の中継都市となるロストフは活気があり、これまでのロシアの町で一番賑やかな感じだ。散策をしていて気持ちの良い町だった。そしてこれがロシア最後の町となる。

 ロストフのロシア正教会 ロストフのメインストリート
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