F2 Chris & Daisuke around the world

<East/North Euro TOP>
Warszawa/ワルシャワ

(2003.08.25-2003.08.30)

 ワルシャワ市街 ArturとRobert BMW AutoFusにて

早朝散歩から戻り、リヴィヴを出発。すぐ先のポーランド国境へ向かった。
欧州諸国は外国登録の車両を持ち込む際にグリーンカードという保険に加入する必要があるが、どうも国境付近で買えるところがない。入国時にも特に何も言われないので、まんまと無保険で走り出すことになった。(東欧諸国ではグリーンカードなしで国境を通過できないところが多いと聞いていたのでちょっと拍子抜けした。)入出国手続きもさすがに旧ソビエト圏を脱出して簡単になり、ものの30分程度で通過できる。これは楽チンだ。
ポーランドに入ると道が見違えるほどに良くなった。カザフを抜けてから路面は完全に舗装されており、舗装状態も良好だったのでずいぶん快適に感じていたが、ここに来るとあたかも空気の上を滑っているかの如くである。

ポーランド最初の小さな町ザモシチでは、町の中心から徒歩圏のキャンプ場に泊まってみる。今回の旅で初めて有料のキャンプサイトに泊まるが、実に安心して泊まることができる。やはり欧州を旅するのは格段に気が楽である。心からほっとする。
ザモシチからは有名なナチスドイツ強制収容所マイダネクのあるルブリンを通過して、一気にワルシャワを目指す。途中、さらにチェーンが伸びきってしまったので、チェーン調整のアジャスタを外して目いっぱいチェーンをスプロケットに噛み付かせてしのぐ。もう限界だ、あと200kmもってくれと祈るばかり。

無事、ワルシャワに到達した。

ワルシャワは10年前に普通の旅行で来たことがあるので、土地勘がある。おかげであまり右往左往することなく、BMWのポーランドオフィスに辿り着き市内のディーラを紹介してもらえた。こうしてワルシャワのBMWディーラAutoFUSにて、かなりまともな整備全般と消耗品の交換をすることができた。ただ本拠地ドイツの隣国にもかかわらずパーツの供給状態があまりよくない。そういうわけで調達に時間がかかるチェーンとスプロケットは展示車両から移植してもらい、待ち時間を節約した。そういう調整ごとも英語が堪能なAutoFUSの担当者ロバートのおかげでスムーズに進んだ。またメカニックのおじさんも今後のメンテナンスのアドバイスやら、行く先々のちょっとした情報などを教えてくれて親切だった。

オデッサのブラッドに紹介してもらったワルシャワ在住のライダーArturに連絡をとってみる。AutoFUSの受付嬢が驚いたことに日本語を話せて、電話を貸してくれた。彼女はかつて船橋に住んでいたらしく、提示したバイクの登録証にある横江の住所を見て親近感が湧いたらしい。聞いてみると冷戦直後東欧諸国の経済がたちゆかない時期に、出稼ぎとして東京で働いていたのだと言う。そういえばそんな特集をTVで見た覚えがある。

夕方になるとArturが仕事帰りにAutoFUSに寄ってくれた。
Arturは銀行員で郊外の投資家相手に営業をしてまわっている。銀行員としてきちっとしたなりをしているが、坊主頭に髭面で首から上はライダーそのものである。ちなみについ最近まではもっと髪があって、レインボーカラーだったらしい。かなり愉快な男である。
整備待ちの間、Arturの家に泊めてもらうことになったが、ちょうど異動直後で忙しいらしくあまり家には帰ってこなかった。ちょっと申し訳なかった。
ある晩、Arturが慌しく帰ってきて「取材をする」と言ってきた。最初はなんのことだか分からなかったが、どうも大陸の東の果てから走ってきた客人の記事を、自分が所属するライダークラブのウェブサイトや地元のバイク雑誌に掲載するということらしい。

しばらくして横江の記事が、彼らのウェブサイト(http://www.strangers.riders.pl/ramki.htm)や2つのバイク雑誌に掲載された。
そのおかげでポーランド中から、たくさんの応援のメールをもらった。実に感謝感激である。

 磨り減ったスプロケット 上が新品、下がなれの果て メカニックのおじさん この写真が雑誌に! 

2、3日後に整備が終わってAutoFUSへ行くと、新車同様に甦ったダカールが次の出発を待っていたが、整備の途中でリヤのショックアブソーバがオイル漏れを起こしていることが発覚した。完全にだめになっていたわけではないが、快適な走行は期待できない。間違いなくカザフ西部のあの道でやられたのだ。妙に走りが重いと感じていたのは、チェーンとスプロケットの問題だけではなかった。やはり無傷であの道を通過するということは有り得なかったのだ。交換するより他に手段はないが、パーツ調達に1週間かかると言う。

「ベルリンへ行く。」
いろいろ考えた末、バルト三国と北欧諸国を逆周りで走るコースに変更した。無理矢理、予定通り走ることも不可能ではないが、北欧はやはり完全な状態で走りたい。ワルシャワからベルリンなら2日あれば余裕で行ける。そして何よりベルリンはBMWの本拠地ドイツの首都である。調達は容易だ。

こうしてArturとAutoFUSのスタッフに別れを告げ、ワルシャワから西へベルリンに向かうことにした。途中、ポズナンで一晩を過ごし、時間に余裕を見て国境を目指す。

 ザモシチの広場 ポズナン夕景

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