Tallinn, Riga and Vilnius/タリン、リーガ、ヴュリニュス

(2003.09.19-2003.09.23)

　エストニア：タリン旧市街

ヘルシンキも感じのいい街だったが、天気の悪さもあってなんとなく南へ行きたい気分が募っていた。
そういうこともあって、気付いたときにはバルト海対岸のエストニアの首都、タリンに向かって船に乗っていた。ヘルシンキとタリンの間は、陸路でロシアのサンクトペテルブルグを経由するルートがあるが、すでにロシアのビザは有効期限が切れていたので海路でバルト海を渡ることにした。もしビザの有効期限内だったとしても、無効騒ぎで散々国境でもめただけにもう一度ロシアに入国しようというモチベーションなどは失せていたのだが。

４時間ほどの航海を経て、タリン港とその向こうに広がる旧市街の町並みが見えてきた。バルト三国は翌年EU加盟を控えているとはいえ、やはり旧ソビエトの国家ということで、国境通過（入国）が面倒だったりするのだろうか、などと思っていたら簡単に済んだ。グリーンカードの提示も求められなかった。タリン港から旧市街まではほんの目と鼻の先なので迷うことがなくていい。
旧市街にある安宿をとって、おもちゃ箱のようなかわいらしい旧市街を散策する。小さい町なのでものの数時間でひと通りのところは歩いてしまったようだ。エストニアは血のソーセージ、ヴェリヴォルストが有名なので、それだけは食っておくかと思い、適当な食堂に入ってみるが、不思議な食感と味わいでうまいともまずいとも言えない。

タリンを出て、ラトヴィアの首都リーガに向かった。エストニア領内は郊外ものんびりしていて、あまり旧ソ臭さがなかったが、リーガに近づくとどうもシベリアあたりで見たような集合住宅（団地）が散見される。それでも道路上には「この道路はEUの支援を受けて整備を進めています」という標識が立っており、あと１年もしないうちにEUの一部になるんだということを意識させられる。そういえばバルト三国の通貨も完全にユーロと固定相場になっている。

バルト三国の道を走っていると「インターネットポイントまであと何キロ」という、他の国ではあまり見かけない標識を見る。バルト三国はどちらかといえば情報通信では急成長の類に入ると聞いていたが、こういう標識をみるとどうなのかな、と思う。すでにPCが壊れて久しいので積極的にインターネットカフェを探すことはしなかったが、いくつか入ってみたところはあまりぱっとしなかった。

　ラトヴィア：リーガ旧市街

バルト海に沿った海沿いの道を走り、気持ちのいい晴天の中リーガに到着した。ラトヴィアでは入国時にグリーンカードを強制的に購入させられた。長くても２、３日と思っていたが、最低購入単位が１５日なのでかなりの割高感があるが仕方がない。リーガはよく整備されていてこぎれいな町だが、個人的にどうも違和感を覚えて好きになれなかった。あまり出歩かずに、旧市街の広場でお茶をしてぼんやりする。

バルト三国は国土が広くないので、さくさくと進める。急ぐつもりもなかったが、あっという間に３つめのリトアニアに入国した。リトアニアも入国時に強制的にグリーンカードを買わされる。バルト三国はそれぞれの国の首都の旧市街が見どころだが、リトアニアだけはバルト海に面する地元人とドイツ人のリゾート地ニダへ最初に向かった。途中、十字架の丘というその名の通り十字架だらけの小さな丘に立ち寄った。
ニダへはクライペダという町から渡し船に乗って行く。バルト海中に残された砂丘の町だが、地元のリゾート客がいっぱいで思ったほど良くはなかった。砂丘に近いキャンプ場で泊まることにしたが、他に客が１人しかいなかった。この客がドイツから来たという５０代のおじさんで、かつて福岡から東京までヒッチハイクで旅をした経験の持ち主だった。そのおじさんBerndは変な日本人が来たと大喜びで、今後ドイツに来る機会があればぜひ家に寄ってほしい、と連絡先と彼の自宅の行き方を教えてくれた。彼自身、日本を旅行した時に日本人にとても親切にしてもらったので、そのお返しがしたいということらしい。ドイツはもう一度行く予定ではあったので、行くことがあればよろしくお願いします、と言っておいた。

リトアニアを横断する形で、内陸部にある首都ヴュリニュスへ移動した。タリン、リーガに比べて、ずいぶんと柔らかい印象の町でずいぶんと居心地がいい。蛇行する川沿いに広がった街並みと秋の紅葉が落ち着いた感じを醸し出しているようだ。ヴュリニュスからはかつての首都カウナスへ向かう。「命のヴィザ」で有名な外交官杉原千畝氏の記念館があり、日本からの団体観光客が数多く訪れていて印象的だった。久しぶりに日本人をいっぱい見た。

　リトアニア：ヴュリニュス