Baja California/バハカリフォルニア (2004.05.21-2004.05.24) 翌朝、佐藤君にもらった朝食のパンをかじりつつ、着岸を待つ。予定より遅れて午前10時頃、バハカリフォルニア半島南部の町ラパスへ到着する。コルテス海の内海にあたるこの地域の海岸は、波もなく明るい青色に澄んで美しい。こんなきれいな海ならのんびりとビーチリゾートができそうだと期待が膨らむ。少々肌荒れがひどくなってきたので、海水浴がしたかったのだ。佐藤君と別れ、半島最南端の高級リゾート地ロス・カボスへ向かった。ところがラパスを出発して舗装の幹線道路を進むつもりでいたが、うっかり標識を見落としてとんちんかんな場所へ出てしまった。地図を見て幹線道路に出るダートロードを横切ることにした。ニカラグア以降、今回の旅でダート道を行くことはもうないと思っていたが、こんなところでダートラストランを迎えてしまった。わずか20km程度の短いルートだったが、一部ふわふわの砂がとても深いところがあり、走行は難航。両足をついて恐る恐る進んだ。 幹線道路に戻り、快適な舗装のワインディングロードを行く。サボテンと乾燥した木々がひしめく大地から、ロス・カボス地域に抜ける。この地域の2つの町サンホセ・デル・カボとカボ・サンルーカス間の道路はきれいに整備され、海沿いに超高級リゾートホテルが点在する。少々のんびりしたかったので町は避けて、カボ・サンルーカス近くのリゾートホテルに泊まってみた。海に突き出た断崖に立つそのホテルはいかにも高そうだったが、意外にも安かった(食事は最悪だったが)。米国入国に備え、衣類を徹底的に洗濯してからビーチに行ってみる。 ところがロス・カボスの海は外海に面しているので、波がとんでもなく荒く激しい。遠浅の光り輝くビーチではなく、深い青が印象的な海だ。これはのんびり泳ぐようなところではない。せっかく来たので海に入るが波にもみくちゃにされてもう大変。ロス・カボスはリゾートの中でも、スポーツフィッシングやダイビングが中心のところらしい。 ロス・カボスを出発して、米国国境まで約2,000kmの半島縦断道路を北上する。この縦断道路は半島を何度か横断しながら、外海から内海へ外海へとサボテンの荒野を進んでいく。道は快適だったが、気温の変化が辛かった。バハカリフォルニアは外海側が寒流の影響でひたすら寒く、内陸の砂漠乾燥地帯と内海側が激烈に暑い。船の着いたラパスを再び越え、先行する自転車の佐藤君を追い越す。コルテス海の海岸沿いを走るロードに出ると、静かな青い海が目を見張るほど美しい。日が暮れてきたので縦断初日の夜は、海沿いの宿で休むことにした。近くに食堂があったので夕食をとりに行こうとすると、宿のおやじに呼び止められる。どうやら目の前の海で捕ってきた蛤があるらしい。ということでそこで蛤をご馳走になることにした。宿のおやじは蛤のセビッチェを作ってくれると言ったが、千葉出身の横江は蛤といえば焼き蛤である。日本では焼いて醤油をかけて食うのが一番旨い食い方だと説明すると、なるほど今日はそれで行こうと早速調理にとりかかる。ここは当然ビールが必要なので、近くの食堂にビールを買いに行く。戻ってみると、なんとおやじは蛤を全てゆであげてレモン醤油で食っている。スペイン語が正しく通じなかったので、焼く→火を通す→ゆでると解釈したらしい。まあこれはこれでいいかと思い、一緒に食ってみるとこれが実に旨い。美味しいレモン醤油のゆで蛤とビールで、素晴らしい夜が更けていった。 半島を横断する山道を進んでいくと、サボテンの群生に混じって長芋の根っこのような植物が増えてくる。バハカリフォルニアの荒野は奇怪な形状をした植物が多く、生理的に不気味な光景だ。青い空、果てしない一本道と開放的な風景になんとも違和感のある大地である。冷たい外海に出て、もう一度山道を越えると、半島の付け根の国境の町ティファナへと入っていった。 ティファナは学生時代に一度だけ立ち寄ったことがあるが、見覚えがまるでなかった。昔は国境の猥雑な町という印象があったが、今はきれいな商業都市である。米国入国前にバイクを洗車し、米国で義務付けられている保険加入などの準備を行った。 |
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