F2 Chris & Daisuke around the world

<SouthAmerica TOP>
Mendoza, Santiago/メンドーサ、サンティアゴ

(2004.02.25-2004.03.04)

 アンデス山脈を越えて、チリの首都サンティアゴへ向かう

ブエノスアイレスの日本旅館に戻ると、相変わらずの面子がいまだに滞在している。それでもちょうどリオのカーニバルの時期なので、けっこう人は出た後らしい。バイクが到着すると、BMWディーラーへ行き修理を依頼する。原因は燃料タンク内モーターの配線の接触不良だった。モーターをこじ開けて、修理をする。修理が終わった翌日、旅を再開する。約10日ロスしたため、3,000km南のパタゴニアまで戻ることは止めて、メンドーサを経由、一気にチリの首都サンティアゴへ向かう南米大陸を真横に横断するルートを選択する。

メンドーサまでの道のりはパタゴニアの最果ての風景とはうって変わり、牧歌的な緑のパンパが続く。途中水害で幹線道路が水没している箇所があったが、迂回路を通り難なくメンドーサへ。チリとの国境をなすアンデス山脈を見上げるぶどう畑に囲まれたメンドーサは、木漏れ日が輝く落ち着いた町だった。そして名産のアルゼンチンワインに浮かぶように、町が酔っている。町中どこへ行ってもワインだらけだ。世界最大のファーストフードチェーンであるマクドナルドさえも、メニューにワインとつまみをそろえている。ワイナリーをいくつか周り、良さそうな銘柄の赤ワインとアサドでメンドーサの夜を過ごす。ワインが旨い町は気候もよく、最高だ。

メンドーサからはチリのサンティアゴまで、アンデスの峠を越えて1日で到着する。このルートはアルゼンチンとチリの首都を結ぶ大幹線道路であるため、峠を含めて全路線が舗装されており楽勝である。峠の標高も3,000mに満たないため、国境付近では気温が少し下がったくらいで、特別に空気の薄さは感じない。赤茶けた岩と砂の渓谷を進み、途中南米最高峰のアコンカグアを横目に通過してゆく。目の前に広がるアンデスを初めて見て、その雄大な姿にただ感嘆する。国境通過はパタゴニア地方の国境に比べるとやや時間がかかったが、荷物検査が少しだけ厳しめなくらいでまったく問題はない。うっかりしたことに、国境を出たところで荷物の積み直しをしている際にレザーマンツール(携帯工具)を失くしてしまった。長い旅の途中で、物を紛失することほどへこむことはない。ブルーな気持ちのまま、首都サンティアゴ入りした。

サンティアゴは盆地に広がる大都市で、周辺の道路や新市街の近代的な姿はさすがといったところ。盆地都市の運命か、スモッグが噂通りひどくてアンデスの山並みはうっすらとしか見えない。たまたま滞在した日が日曜日で何一つ街は動いておらず、暇々な首都の休日を過ごした。観光用なのか、旧市街にある魚市場周辺だけは活気があり、そこを覗いてみた。南北4,000m以上にわたり海岸線に接するチリは、海産物が豊富で旨いと聞いていたがどうも大味で旨いというほどではない。なんだかいまいちな気分のまま、サンティアゴを出発する。

 メンドーサ マイプーのぶどう畑 南米最高峰 アコンカグア 標高6,962m チリの首都サンティアゴ スモッグの向こうにアンデスがそびえる

サンティアゴを出る前にBMWディーラに寄り、エンジンオイルを交換しておく。次の停泊地ビーニャ・デル・マールまではわずか120kmほどなので、のんびりとハイウェイを進む。太平洋を望む急な坂道を下ると、ビーニャの町だ。ここにも南米では有名な日本人宿「汐見荘」がある。海へ続く坂道の途中、住宅地の中に汐見荘はある。町の中心、セントロからは少し離れているが快適な宿だ。そしてここにも数週間から数ヶ月の長期滞在者がいる。
ビーニャはサンティアゴに住む金持ちの手ごろなリゾートということになっているが、別にどうといったことはない。むしろ隣町のバルパライソのほうが面白い。バルパライソはビーニャから10kmほどの距離で、急斜面にカラフルな建物がわんさか並んでいて独特の景観をつくり出している。ひとつひとつの建物は古く、手入れも行き届かず汚いのだが、町の景観としては非常に美しい。ここには映画『イル・ポスティーノ』に登場した詩人パブロ・ネルーダの邸宅があるので、ちょっと行ってみた。ぐねぐねと入り組み、ものずごい急斜面の町はバイクでも走るのはきつい。町のあちこちにはアセンソールと呼ばれるエスカレータがあり、徒歩での観光だとこれが使えて便利そうだ(老朽化していてちょっと怖そうだが)。

ビーニャはさらっと流して、海岸線を北上する。海は近いがそれほど盛り上がる道でもなく、淡々と進んで温泉地だというソコスまで行った。チリの北半分は砂漠地帯なのだが、いよいよ砂漠っぽくなってきたところの荒涼とした風景の中に、こんもりとした小さな森がある。その森の中にソコス温泉があり、なかなかこぎれいでセンスのいいホテルとキャンプ場が併設されていた。今回、ゆっくり温泉めぐりをする時間がなかなかとれず、ここは久しぶりの温泉である。どうにも普通の浴槽に温泉と思わしき湯を張って入るのだが、なるほどよく体が温まる。南米の太平洋は寒流の影響で夏でも気温が低めとなるので、温泉は有難い。表に成分表らしきものがあったが、スペイン語なので読めなかった。

静かな森のキャンプ場で温泉に入って温まり、本格的なアンデス越えに備える。
 
 サンティアゴの魚市場 汐見荘から海へと続く坂道 ビーニャ・デル・マール バルパライソの坂の住宅街 ソコス温泉の浴場
<SouthAmerica TOP> <Previous> <Next>
<Previous>
<Next>